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第9回 ゲームの改造
ゲームを改造して遊ぶということ 2012.02.12
 ゲームの改造・・・というと、ゲーム機を改造することを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。ハードウェアを改造して、本来ならばできないことを可能にしてしまう・・・・・・。昔は単なる工学的な興味からゲーム機の基盤をいじったり、入出力に手を加えるなどの「カスタマイズ」が主流だったはずです。自分にとってゲーム機をより良いものにアレンジする・・・。保証は効かなくなりますが、基盤やハンダに明るい人は自己責任のもと、ゲーム機を改造していたものです。本来はサポートされていない、より好みのコントローラーを繋げたりとか。

 ところがいつしかゲーム機の改造は、本来であれば動作するはずのない、違法なコピーソフトを走らせるためのものになってしまいました。チェックプログラムをパスするような回路を挟んだり、フロントローディングを強引にトップローディングにしてしまったり・・・・・・。お隣の大陸ではコピーソフトが前提なので、売られているハードは基本的に改造済みのものである、なんてことも言われてますね。一度手間をかけてしまえば、あとはゲームがタダ同然になるわけですから、誘惑に負けてしまうのも理解はできます。理解はできますが、許したくはないですけどね。



 今回のコラムで語ろうと思っている「改造」は、それらハード的なものではありません。ハードの改造があればソフトの改造もあるんです。もしかするとそれを使っている人々は「改造」とは思わずにやっているかもしれませんが・・・・・・、そう、ゲームデータの最強化に代表される、「データの改造」です。

 かつてファミコン全盛期、「裏コマンド」といったものが大流行しました。特定のボタン入力を成功させると特別なことが起こる、というものです。それらは意図的にプログラマーのイタズラ心によって仕込まれたものもあれば、デバッグモードを消すのを忘れてただけだとか、単なるバグであったりしたわけですが、そんな中には「自キャラ無敵化」もありました。プレイヤーキャラクターが不死身になるというものの類です。アクションであれば敵に当たっても死ななくなり、シューティングであれば敵の弾や機体に触れても無問題。プレイヤーは腕を磨くことなく、エンディングに到達することができます。そんなゲームが楽しいのか?という問題はありますが、ゆえにコマンドは複雑なものにされてもいました。どうしてもクリアできないプレイヤーが最後の手段として、「どうしても最終面が見たい!エンディングが見たい!」という欲望を満たすためにコマンドを入力したのです。

 また、RPGなどにおけるプレイデータの記録手段として「パスワード」が主流になると、その法則性を解析したり、はたまた偶然の発見も手伝ったりして「いきなり高レベルパスワード」といったものが広がりました。「ドラクエ」の「ゆうて いみや おうきむ こうほ りいゆ うじとり やまあ きらぺ ぺぺぺぺ〜」はあまりにも有名。本当ならばスライムにも苦戦する状態から徐々に強くなり、己の成長を感じつつ冒険するのがRPGの醍醐味でしょうが、ゲーム序盤からラスボスと対峙することも可能なレベルでサクサク進めるのです。それが楽しいかどうかは微妙ですが。

 ゲームが複雑化するにつれて、そういった裏技は減っていきました。それらがプログラムに与える影響が、ファミコン時代の比ではなくなったからですね。ファミコンなら笑えたものでも、現在のゲームにおいてはゲームの進行そのものすら危うくさせかねない。遊び心で仕込んだ裏技が深刻なバグを生んでしまったとなったら、メーカーにもユーザーにもデメリットにしかなりません。

 ただし、それら「裏技」を使用することは、「改造」とは違います。プレイヤーが手を加えるわけではなく、あくまでプログラムに則った上でのことですから。「改造」は、もっと強制的にプログラムをいじくり、自分に都合の良いようにしてしまう「荒技」です



 現在のコンピュータゲームは大容量化が進む一方ですが、その多くは必要なデータを一時的にゲーム機のメモリーに読み込んで展開させます。CDやDVDなどのROMに記録されたデータはいじれませんが、メモリーに展開されたデータならば任意にいじくることが可能です。また、セーブデータもメモリーの中ですから、いじることができます。別の方法としては、データを何らかの形でパソコンへ吸い出し、それをいじってゲームに戻す(反映させる)という手も。いずれにしてもセーブデータやプログラムを改竄できるわけですが、それには知識が必要です。いじりたいデータはプログラムのどこにあるのか。どこをいじれば、どのパラメータが書き換わるのか。それを知らなければならないわけです。誰もができることではありません。

 それを誰でもできるようにするのが、データ改造ソフトです。ゲームが好きな人であれば、ネットのゲームサイトや掲示板を巡るうちに「PAR」という文字を目にしたことがあると思います。これ、最もメジャーと思われる改造ソフト「プロ・アクション・リプレイ」の略称なのです。改造ソフトはPARだけではありませんが、ハード別にいくつもリリースされており、PS用、PS2用、GBA用、GC用、PSP用、DS用などなど、主流ハードのものはだいたい揃ってます。ユーザーはまず、自分が使用しているハードに対応したPARを入手し(普通にゲームショップで購入可能)、ゲームを起動する前にPARを起動。そこで作動させたい改造コードを選んだら、PARを抜いてゲームソフトに入れ換えます。おそらく選んだ改造コードはハードのメモリー(もしくは別途外部メモリー)に蓄積され、ゲームソフトに入れ換えたところで反映されるのでしょう。たったこれだけの手間で、意図したデータ改造が施された状態でゲームがスタートします。

 改造コードは改造ソフトに最初から大量に収録されていますが、それ以後に発売された新作のものは当然ながら入っていません。ですので、コードは後から自分で追加することもできるようになっています。知識があれば自分でコードを探す(解析する)こともできますが、大多数の人には難しいことですので、新しいコードが載っている本がちょくちょく発売されているわけです。また、ネットで有志が自分で発見したコードを公開していたりもしますので、そこから目的の改造コードを得ることができます。

 改造してしまえば、どんな弾幕シューティングであろうと無傷でラストまで一直線。どれほど過酷なサバイバルホラーであれ、ゾンビに噛まれても顔色ひとつ変えずに脱出。果てしなく長大なRPGだろうと、いきなりレベル99かつアイテム全部所持状態でラクラククリア。おやおや、どうしました?PAR、欲しくなってきちゃいましたか?

 でもその前に、考えてみて下さい。何のためにゲームしてるんですか?ゲームの楽しさって何ですか?筆者のような、ファミコン時代からのゲーマーにしてみれば、ゲームというものはあくまで「自分の腕を上げていくもの」であり、それが楽しみにも直結している。一週間前は越えられなかったステージがクリアできた、前は倒せなかったボスが倒せた、そういった自分自身のスキル向上こそがゲームの楽しさであり、ゲームをする理由でもある。しかしデータの改造は、そういった楽しみを最初から放棄することに他なりません。もっともゲームをする人にもいろいろなタイプがいますから、必ずしもその「楽しみ」が、筆者と一致するわけではないでしょう。改造をよしとする人々を否定することはしません。が、拒絶はしたい。「戦闘とかウザい、ストーリーを楽しみたいだけ」「クリアできそうにないけど、先の映像は見たいから」・・・本や映画でいいんじゃん?なんでわざわざ面倒な手間のかかるゲームがいいのよ?というのが正直なところです。

 事実、データ改造は賛否両論です。時間がない人にとってはサクサク進めることはこのうえなくありがたいことでしょう。腕はないけどゲームは大好き、といった人にとって無敵化は最大の味方となるでしょう。しかし、「正統派」ゲーマーはデータ改造に激しい嫌悪感を抱いています。どんなにゲームを愛し、楽しんだところで改造していたのでは、「正統派」ゲーマーに言わせればそれは「不正」であり、たとえエンディングに到達していても「クリアではない」のです。実際、多くのゲームサイトでは、掲示板などでのPARに関する書き込みを禁止しています。なので改造愛好者は独自のサイトを築き、両者が交わることは基本的にはありません。「改造しない」ゲーマーたちは攻略法を語り、「改造する」ゲーマーたちはコードの情報を交わす。自分はどちらか、そして訪れている「場」はどちらかを把握して立ち回らないと、いきなり叩かれる可能性があるので注意が必要です。

 ゲームメーカーも、そういった遊び方(改造ありきのプレイ)については良くは思っていないらしく、ハードメーカーはゲーム機にコード対策を施しています。PARのバージョンによって、使えるハードと使えないハードがあるのですが、これは新しいハードで旧来のPARに対するプロテクトがかけられているため。ソフトをPARと認識したときに起動を中止するものもあります。一方でソフトメーカー側はコードを解析されにくいプログラムにしたり、改造ソフトが使われていると識別した際にソフトを起動しないようにしたり、改造プレイの際にそれとわかる仕掛けを施したりといった対策をしています(プレイヤー画面に表示される「称号」などに、たとえば「うらわざ改造王」などと出てしまう)。もちろんそういった扱いの改造ソフトですから、メーカーからライセンスを与えられるはずもなく、改造ソフトはすべてノーライセンスな商品になっています(パッケージにその旨の記載あり)。ただし、販売が違法ということでもなく、普通にゲーム屋さんで買えてしまいます。なので売る方も買う方も咎めることはできません。筆者なんかはゲームショップに立ち寄った際、改造ソフトを置いているか否かでその店の「良心」を見ていますけどね。

 改造ソフトはプログラムをいじることで、ソフトに入っているあらゆる要素を任意に引き出すことが可能です。本来であれば特定の期間にしか入手できないアイテムをいつでも入手できたり、制作中はあったものの製品版では表面上消された、しかしプログラム上には残っているものも引っ張り出すことができます。また、ストーリーの進行に伴って必ずいなくなるはずのキャラクターの姿をいつまでもパーティ内に留めたり、本来敵として登場するキャラクターを仲間にしたり・・・。そういう面ではツールとしての面白さは認めますが、やはりそれらは制作者の意図しないもの。お金を出して買ったんだから、そのプログラムをどういじって遊ぼうが買った人の自由・・・なのでしょうか?

 個人が改造したゲームで遊んでいるうちは個々の問題でしかなかったのですが、最近は事情が変わってきました。そう、通信プレイの問題です。改造に頼らない人と改造している人がいっしょにプレイした場合、どうしても明らかな差が生じがちです。特にステータスMAXになった改造者は対戦において、あらゆる点で有利。逆に、ステータスやアイテムには恵まれているけどプレイスキルのない改造者は、パーティプレイにおいて足を引っ張ってしまうことも。また、改造者の不自然なデータが他のユーザーのデータに悪影響を及ぼす可能性もあります。それだけならばまだしも、通信においては改造データがサーバーにダメージを与えることもあり、そうなると不正アクセス扱いとなって裁判沙汰になり得ます。さらに、しばしばメーカーなどが行うハイスコアコンテストに、しれっと改造によって叩き出したスコアを応募する者が現れ、コンテスト自体が無意味なものになったケースもありましたね。通信やコンテストにおいて改造者は「出てってくれ!二度と来るな!」な扱いであることは知っておくべきでしょう。そんな嫌われ者になってなお、ゲームデータを改造したいですか?通信プレイをせず、コンテストにも参加しないし〜というロンリーゲーマーは、どうぞご自由にというところですけどね。

 実に久々の更新となった「ひとりごと」なのですが、以前から「次は改造について」としながらも滞り、それを今になって書く気になったのは、「モンスターハンター」がきっかけになりました。通信プレイでクエストに行った他ユーザーのデータを見たら、異常なステータスをした猫(オトモアイルー)がいたのです。これはなんだ、と調べてみたら、通称「悪魔猫」と言われるものでした。改造によって通常ではあり得ない強さを持ったプレイヤーのオトモであり、これを連れて行けばどんなに強いモンスターも簡単に討伐できるらしいのです。プレイヤー自身を改造しないだけまだ良心的なのかなとも思いましたが、筆者の中で、数百時間かけてG級に至った彼を見る目がちょっと変わったのも事実です。「おまえ、その猫、何回連れていったんだ」と。「モンハン」というのは最もプレイヤースキルが問われるタイプのゲームですから、G級であるというだけで「かなり頑張ったねえ」と褒めてあげてもいいのですが、悪魔猫ねぇ・・・。いろいろ調べて周るとやはり悪魔猫は毛嫌いされており、「いっしょに行ったハンターが悪魔猫を持っていたのですが、ボクのデータは壊れたりしませんか?悪影響ありませんか?」という質問もチラホラ。一方で改造派はどこまで強くできるかとか、クエストそのものを改造して高難度クエストやネタクエストを作り楽しんでいます。「正統派」と「改造派」はお互いが交わることなく、それぞれの規範の中で楽しんでいくんだろうな、今後も。ゲームデータを一滴残らず搾り出すことのできる、データ改造。あなたは可?不可?

 筆者自身は改造ソフトを買ったこともないですし、今後も買おうと思いません。改造しないゲーマーを「正統派」と呼称していることからも、筆者が改造をどう思っているかわかると思いますが、少なくとも同じ立場で、わかったような顔をしてゲームを語ってほしくないというのが正直な気持ち。改造をよしとしている人に「やめなさい」と言う気はありません。個人の自由ですし、ゲームの楽しみ方は十人十色です。が、同じゲーマーだとは思っていません。ゲーマーとしての種別が違うのです。筆者が正しくて特別だということではありませんよ。同じ作品をプレイしていても、改造していない人のプレイと改造した人のプレイは絶対に別のものである、と思うのです。そこは一緒にされたくないところ。まして「ボククリアしましたよ〜」なんて、口が裂けても言わないで欲しいのです。それに割いた時間、気力、根気、愛情、すべての重みは比較になるはずがありません。

 しかしメーカーによってはソフトの改造対策はしておきながら「最強データディスク」なんてものを配布・販売したり、公式な改造機能と言えるチートをソフトに搭載したり、どっちなんだよ!というものもありますね。はっきりしてほしいところです

己の腕を磨け!それがゲーマーだ!!



次回のテーマは・・・・・・未定です。
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