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第1回 日本の不景気
第2回 ゲーム業界の危機
第3回 オンラインゲーム
第4回 ゲーム会社の傲慢
第5回 中古販売の是非
第6回 古いゲームが欲しい!
第7回 ゲームの裏世界
第8回 エミュレーター
第9回 ゲームの改造
ゲーム業界は今、圧倒的な危機的状況にある!2002.01.15
 前回のコラムで「不景気」について徒然なるままに書き連ねてみましたが、実際に不景気によって起こっている現在のゲーム業界の危機的状況について考えてみましょう。「ゲームが危機?なに言ってんの?」と思ってしまったならばそれは完全な認識不足。意外とアナタのような人が、ゲームの危機を呼び込んでいたりして・・・・・・。

 ユーザーがゲームに求めるものは「娯楽」、すなわち「遊び」です。コンピューターゲームというものが出現した頃は、「コンピューターゲーム」というだけで一定の期待感と満足感があったものでした。しかし、人間とはぜいたくなもので、慣れてくると新たな刺激を求めるようになります(これはもう例外なく)。そこでゲームを離れて新たな趣味に移る人もいれば、ゲームにさらに新たな遊びを求めていく人もいます。ゲームメーカーは、常にそういった人々の新たな欲求を満たすための努力をしてきました。結果として、現在のような多種多様のジャンル、スタイル、そしてプラットフォームがあるわけです。

 しかし、そのためにはユーザーもリスクを背負う必要がありました。現在のように雑誌やネットでの情報が氾濫しているなら話は別でしょうが、昔はちがったのです。かつてのゲーマーには、自らの目でゲームを見抜く「選球眼」が必要とされました。要は、このゲームはアタリかハズレか。それに4000円〜5000円をつぎこむわけだから、失敗はできない。そういった中で友達との情報交換やソフトの貸し借り、それによる「クチコミ」はゲーマーにとって非常に重要なメディアだったと言うことができるでしょう。ゆえに、現在なら「クソゲー」の一言で片付けられてしまうようなソフトでも、何とも言えない独特の味わいによって固定ファンを生んでいたのです。

 つまり、昔はメーカーもユーザーも冒険をしていたのです。メーカーは実験的なソフトを発表して新たな「遊び」を追求し、ユーザーは日々発売されるいくつものソフトから自分の遊びたいものを見抜く。たとえそれがハズレだったとしても、買ったからにはとことんやり倒し、そうすることでそのソフトに魅力を見出してさらに遊び続けていました。そんな世代が今、「レゲー」「バカゲー」を懐かしんでいるのはご存知の通り。それは、停滞してしまった現在のゲーム市場に対する警鐘ではないでしょうか?



 今のゲーム業界を客観的に眺めてみて下さい。いったいどれほどの「冒険」が行われているでしょうか?ちょっと考えればすぐわかりますよね、「冒険」は悲しいまでに行われていないではありませんか。発売されるのは過去の作品のリメイク・移植かもしくは、ヒットタイトルの続編ばかり。メーカーは新規タイトルでの「冒険」ができない状況にあるのです。売れるかどうかわからない未知数の新作に開発費はかけられない……ならば、大作の続編にお金をかけてたくさん売りたい。多数の社員を抱える「企業」の姿勢としては理解できる話ですが、それではあまりにゲームに「夢」がなさすぎるのではないでしょうか?

 ユーザーも、7000円〜8000円のお金を費やすからには、絶対に外したくないと思う心理は当然でしょう。モトの取れる遊びがしたい……。結果として、そこそこ内容が予想できて、かつ前評判も高い、ハズレの可能性が低い「大作」の続編しか買わなくなるのです。これもわかる話ですが、実はユーザーが無意識のうちにそれに求めているのは「遊び」でも「冒険」でもなく、「安定」なのではないでしょうか……?もちろん、自分を戒める意味も含めて。数千円を払って、安定を手に入れる。ゲームとは、そんなものではなかったはずです。

 一時期はたしかに業界を牽引してきた大ソフトメーカーが、リメイクや大作の続編しか発売しない現状を、ゲーム業界の危機と言わずして何と言いましょうか。例えば、スクウェア(筆者注:これは合併前の文章です)。FFシリーズでその地位を不動のものにし、メーカーの知名度だけで新規タイトルまでもミリオンを連発していたあのスクウェアが、今では過去作品のリメイク(移植含む)か「FF」の続編しか発売していないのです。久々の新規RPG「キングダムハーツ」も、ディズニーでは国内ユーザーに対する「引き」が弱いと感じたのでしょうか、かつてのFFキャラを引っ張り出して、魔法の名前も「FF」から引用しています。もはや「FF」の後ろ盾なしでは新作を売ることはできず(自信がない、とも)、もちろんユーザーもそれなしには飛びつかない。これはどう考えたって危機でしょう。

 例えば、カプコン。今、カプコンが発表するメインタイトルのほとんどは「バイオハザード」のシステムを継承した、ゼロから作ることに比べたら開発費を抑えられる(もしくは「バイオ」ユーザーの需要を見込める、安定した)タイトルか、「ロックマン」の続編がほとんどになっています。「マキシモ」などの新規作品もあるにはあるのですが、この作品を待ち望んで、かつ最もプレイしているのはかつて「魔界村」をプレイした世代のゲーマーばかりではないでしょうか(発表時も、「あの魔界村が」のようなコピーがあちこちの雑誌で見られたものです)。

 例えば、「ゼノサーガ」。かつてスクウェアで発売した「ゼノギアス」のスタッフが独立して会社を設立、そしてナムコから発売される期待の新作RPGと言いたいところですが、会社を変わってまでなぜ「ゼノ」の名前にこだわるのでしょうか?「続編ではない」と言いながら「ゼノ」をタイトルに冠したり、メインスタッフはほぼ同じだったり、「エピソード I」とするあたりはやはり、「ゼノギアス」の威光がなければ新作を打ち出す自信の無さの現われではないですか?結果的に「ゼノギアス」とは関係ないという結論に至ったとして、その名前でユーザーを惹きつけたのは明らか。しかも、後に続編が発売されること自体は良いとしても、海外版の移植盤までリリースするあたり、スクウェア商法まで継承してしまったようです。



 そもそも、続編とは「前作の続き」を指します。主人公が違えばストーリーも異なり、さらにシステムも変わっているようでは厳密には続編とは言えません。逆に映画の世界ではあまり見られない、ゲーム業界独自の特殊な伝統です。「続編」と言いつつ、前作の登場人物や世界観が一切継承されていない「続編」は、映画ではそうそう(ゲームに比べて)ないことでしょう。

 そういう意味では、特にシリーズごとの変更が激しい「FF」などは、あえて「FF」を騙って続編を作り続ける必要は無いと言えます。引き継がれているのは一部のモンスターや魔法・アイテムの名称ぐらいなのですからね。しかし、「FF」とすれば数百万本売れるものを、わざわざ新規タイトルとして売り出せば何本売れるかもわかりません。最初から売れることを見込んで莫大な制作費をかけているわけですから、ビジネスとしては当然の判断として、「最後の夢、究極の幻想」は今後もシリーズを重ねていくでしょう。

 「ドラクエ」も「ロトシリーズ」「天空シリーズ」と括ってみればたしかに続編かもしれませんが、厳密には「IV」「VII」で続編ではなくなっているはず。言ってみれば、エニックスも「ドラクエ」の威光はもう手放すことはできないのです。出せば売れるタイトルをむざむざ捨てるようなマネはするはずがありません。

 ですが、発展することのなくなった文化からは、必ず人間が離れていきます。技術が進歩したために見た目やボリュームが豪華なゲームが標準のようになってきた昨今、一方ではユーザーの目もどんどんと肥えているのです。「ふうん、順当に進化したね」ぐらいでは、満足しなくなってきていると言えるでしょう。そんな現在、短い間隔で次々に「FF」の続編が出ようが、何年待たされてもあきらかに「ドラクエ」であり続けようが、そろそろこの2大タイトルに新鮮味や魅力を感じるユーザーも減少してきているのではないでしょうか。もちろんそれはRPGだけに限ったことではありません。格闘ゲームしかり、レースゲームしかり、人気タイトルが続編の発売を繰り返していくなかで、新規タイトルが減り続けていることに、そろそろ危機感を持ちましょう。いずれゲームが続編だけの世の中になってしまえば、人々はゲームを捨てて別の趣味に走るに違いありません。そしてゲームは衰退するのです。日本が世界に誇れる数少ない文化が、ひとつ消えてしまうことになるかもしれません。

 そんな中、マリオ・ゼルダ・ポケモン・スマブラといった「人気続編のパイオニア」任天堂でさえ、しっかりと「ピクミン」などで「冒険」を忘れていないこと。これは注目するにじゅうぶん値します。この不景気な御時世、大作の続編による売り上げはしっかりキープしたいということも、会社・企業であり続けることの苦労ももちろんわかっているつもりです。しかし、やるところはしっかり「実験」していますし、続編・リメイクを乱発しているメーカーはそろそろ、「余裕がないのがユーザーにバレバレ」な現状を、少しずつでも打破するように努力しなければならない頃ではありませんか?問題はどのメーカーが最初に動くかですが、最初に動けばきっと、その後に受ける恩恵も最も大きくなるでしょう。

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