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第1回 日本の不景気
第2回 ゲーム業界の危機
第3回 オンラインゲーム
第4回 ゲーム会社の傲慢
第5回 中古販売の是非
第6回 古いゲームが欲しい!
第7回 ゲームの裏世界
第8回 エミュレーター
第9回 ゲームの改造
日本はなぜ、まだまだ不景気なのか?2002.01.10
 景気が悪い、どん底だと言われ続けてもうだいぶ経っています。なぜ、景気が悪くなったのか?いったい今、どのぐらい景気が悪いのだろうか?回復はするのだろうか?景気がゲーム業界に与える影響とは?そんなことを徒然なるままに書き連ねてみようという気になったわけです。正しいことも、間違っていることも書くと思いますが、しかしこれは、単なるいち「ゲームユーザー」の声として、なにとぞご容赦願いたい次第です。

 景気が悪いということは、つまりものが売れないということ。ものが売れなくなれば企業は儲からなくなり、結果としてそこで働く社員に支払われる給与が下がってしまいます。給与が下がると、人はものを買わなくなりますよね。ものを買わなくなると、商店もメーカーも儲からない。……ああ、こりゃダメだ。堂々巡りになってしまいます。結局この悪循環をどこかで断ち切らない限りは、景気が回復することはまずありえないと、そういうことでしょう。こんなこと、ちょっと考えれば気がつくはずです。が、今の日本はこれに気がつかないままやってきてしまいましたし、仮に気がついていたのだとしても、見て見ぬフリを貫いてきたのです。そして、解決策すらも見過ごしたまま、迷宮に入り込んでしまったのです。

 皆さんはご存知でしょうか?都心の地下鉄の混みようを。しかも、もう終電まぎわの地下鉄の混雑ぶりは異常であるとさえ言えます。なぜ、こんなに混雑するのか。なぜ、不景気なはずの日本で、これだけの人々が毎日終電間際まで出歩いているのか。どの人を見ても、あきらかに仕事帰り。飲んで遊んでいたというようには見えません。スーツに身を包み、みんな疲れた顔をしているのです。そして「明日も早いんだよなあ……」なんてことを思っていたりするのでしょうか。

 これだけの人が毎日遅くまで労働していて、なぜ豊かにならないのでしょう。仕事があるということは需要があるということで、働けば働くほど給料も上がるはずです。そうすればものは売れ、景気だってよくなるはず。しかし、そうならないのはどうして?

 答えは簡単。彼らは無給で残業しているのでしょう。いわゆるサービス残業です。景気が悪い。仮に仕事があったとしても、それによって得られる単価(会社の利益)は下がる一方。でも、仕事をし続けなければ会社が潰れる。となると、残業代が出なくなったとしても社員一丸となってサービス残業をしなければならないのですね。今の世の中、再就職は難しいでしょうし、会社を潰すわけにはいきません。日本総フリーター化も、そう遠い未来ではないのかもしれません。

 ですが、働いたからといって収入も上がらないのでは、人々はやはり買い控えを続行するしかありません。すると、やっぱり企業は永遠に儲かりませんし、社員の給料も増えません。人はやっぱりものを買わない。企業がどんなに頑張ったって、ものが売れてくれなければどうしようもない。と、いうわけで今の日本はこういう状態。では、ゲーム業界はどうなのでしょうか?



 不景気な世に似つかわしくなく、ゲーム業界はニューハード乱立の状態です。仮にハードが出たとしても、数年後には「次世代機」と呼ばれるものにとって変わられる時代。パソコンと同じく、ゲーム業界ももはや日進月歩なのです。そういう状況はパッと見、景気は良さそうに思えます。しかし、不景気な世の中でそんな「ハードの使い捨て」のようなことが許されるのでしょうか。

 ソニー(SCE)のプレイステーション(以下、PS)が業界で一人勝ちをおさめたのは、明らかにソフト資産の力でしょう。ファミコンからスーパーファミコンに至る任天堂の一強体制は、その強力なソフトのラインナップによってもたらされました。そして、任天堂がハードの乗り換え時期を熟慮していた頃、突如として現われたSCEのプレイステーション。マニア向け、ゲーセンに通うようなコアユーザー向けの印象のあったセガサターンとは対照的に、ライトユーザーをメインターゲットとして広告を展開、そのラインナップもあってか、PSの普及率はじわじわとセガサターンを圧迫し始めたのです。

 「売れているハードで出したい」とはどのソフトメーカーも思うこと。「ハードが売れている、イコール、ソフトもより多く売れる可能性がある」とソフトハウスが考えるのは当然です。結果としてファミコン、スーファミの人気タイトルの続編の獲得に成功したPSは、オールドユーザーからライトユーザーまでを広く取り込んで、圧倒的シェアの確立に成功しました。一方でPSのラインナップでは物足りないコアユーザーは、他のハードで満足感を補完していました。この頃、ハードの力関係はそこそこバランスがとれていたのです。ただ、それもまだ当時が比較的豊かであったからに他なりません。

 そんなPSもいよいよ次世代機「PS2(プレイステーション2)」へと世代交代の時期を迎えます。不思議なことですが、PSユーザーの多くはなぜかPSソフトとの互換性を確信していました。その予感どおり、PS2はPSソフトとのほぼ完全な互換を伴って発売され、早くも一人勝ちの様相を呈し始めていたのです。任天堂やセガがかつて一度もなし得なかった、ソフト資産の互換。この効果は思いのほか大きく、PS2発売後もPSフォーマットで様々なソフトが発売されたのはご存知の通り。その最たる例が「ドラゴンクエストVII」だと言えるでしょう。「PSソフトですが、もちろんPS2でも遊べます」、単にこれだけのことが何よりもユーザーには大きかったのです。これには他社ハードメーカーは悔しい思いをしたに違いありません。ユーザーにとっては「できて当然」のことを今までやってこれなかったハードメーカーに対する、SCEの嘲笑すら聞こえてきそうです。もちろん、それを実現するにはかなりの技術を要します。PS2の中には、PSがまるごと入っているようなもの。つまり、2台のハードを積んでいるのに等しいスペックなのですね。が、ユーザーはいつの世もそんなことはおかまいなしで、高い水準の要求をするものです。こんなことは、ユーザーにしてみれば「できて当然」なことでしかなかったのです。

 ですが、世の中はどんどんと不景気になってきてしまいました。良いソフトがなければ、ハードは売れません。即ち、良作ソフトメーカーを獲得できなかったハードは、滅びるしかないのです。ハードの価格も高騰してきた昨今、いちユーザーが何台ものハードを持つことは、よほどのコアユーザーでないかぎりあり得ないはず。かつてはプレステ、サターン、ロクヨンを揃えていたユーザーもいるでしょう。しかし、ロクヨンは事実上ソフトタイトルの不足から、ハードとしての天命をまっとうする前に自滅したに等しく、サターンもまたプレステとの一騎打ちに敗北した形となり、ユーザーとしては「もうプレステだけでいいじゃん」と、他社ハードに対する不信感のようなものすら芽生え初めていたのです。それを象徴するかのように、セガの社運をかけたハード「ドリームキャスト」は、ハードの性能は折り紙つきであったにもかかわらず、普及率、そしてソフトのラインナップという面でPS陣営に敗れ、結果としてセガはハード生産から撤退するまでに至ってしまいました。これも、明らかな不景気の影響。「会社として、もう売れるかどうかわからない新ハードに着手する余裕(つまり、お金)はありません」と明言したに等しいのですから。

 ところが、御大・任天堂はまだ粘ってみせます。ロクヨンの失敗(あえて言いましょう、失敗と)をものともせず、新ハード「ゲームキューブ」を発売。現在でこそ爆発的ヒットタイトルはありませんが、順調に売り上げを伸ばしています。ユーザーの評価も上々です。さらに「バイオハザード」などのキラータイトルを独占体制で獲得したことや、GBAとの連携などもあって今後の伸びが期待されています(筆者注:いずれも当時)。

 さらに、マイクロソフト初の家庭用ゲーム機「X BOX」が日本のゲーム業界に殴り込みをかけてきました。海外では先行して発売されており、好調な売れ行きを見せているようです(筆者注:当時)。そして、いよいよ国内発売。しかし、日本国内では静観しているユーザーがほとんどのようです。が、こちらもこれまでのゲーマーにとっては気になるタイトルの続編を数多く有しており、無視はできないといった姿勢のユーザーも少なくないと思われます(筆者注:当時)。



 セガが撤退してもマイクロソフトの参入で、再び三つ巴の様相を呈してきたハード戦争。この不景気の世の中で、どれほどの売り上げをはじき出すことができるのでしょうか。すでにPS2を持っているユーザーの手が、さらにキューブやX BOXにも伸びることになるか、それはソフトのラインナップにかかっているのは前述の通りです。また、近年各メーカーが力を入れているオンラインコンテンツということになってくると、周辺機器や通信費などでゲームに費やす金額は増加する一方。ゲーマーという人種はお金持ちが多いのか、それとも他に趣味を持っていないのかは定かではありませんが、こんなものを子供にねだられる親の立場になってみると、いささか笑えない気もしてきますね。もはや、一部のゲームは子供のオモチャではないのです。子供が自分のお小遣いで、すべてをまかなうには高すぎる娯楽になってしまいました。

 一般に現在のゲーム業界に最も多くの金銭を落とすユーザーは、自分である程度の金額を自由に使えるようになった、少年時代からゲームをしている独身サラリーマンだと言われています。それ以外にはゲーム以外に特に趣味を持たないフリーターであるとか、わりと裕福な家庭に生まれた子供達であるとか諸説はありますが、少なくとも現在、ドラクエやFFといったタイトルの続編を嬉々としてプレイしているのはまちがいなく子供ではなく、20〜30代の「かつて少年だった男たち」に違いないのです。多くが独身であり、かつある程度の収入もあるこの世代は、生活や家庭にまわすことのない分ゲームにお金を消費することをさほど厭わないのですが、そのほとんどは結婚すればゲームをやめてしまいます。買っても半年に数本、大作と呼ばれるものだけになるでしょう。ましてや数万円する新ハードを買う余裕はなくなります。そういった世代がゲームから足を洗った時、次の世代(今なら中・高生)が続かなければ、ゲーム業界にも本当に深刻な不景気が訪れることになるのです。つまり、ゲームは今のうちから若い世代、そして子供達の心をつかんでおかなければならないのではないでしょうか?今回、筆者がいちばん主張したいところはコレ。ゲーム業界の不景気は今がピークなのではありません。本当の危機は数年後に現われるのです!

 と、いうようなことをつらつらと考えているうち、最終的に勝利するのは「安く、手軽に遊べるゲーム」ということになりそうな気がしてきました。だからゲームボーイは売れ続けているのでしょうし、今ファミコンを引っ張り出すと、「次世代機」にはない面白さがたしかにあります(ファミコンミニの爆発的な売れ行きはそれを証明しているのではないでしょうか)。「見た目重視」で発展し続けてきたゲームは、ここいらで方向転換しないといずれ飽きられてしまうような、そんな危惧を感じるのです。日本が今以上に深刻な「不景気」に陥れば、「どこかで見たようなゲーム」にお金を払う人間はいなくなるでしょう。その時、ゲームという文化そのものが衰退するのです。

日本はまだまだ、不景気なのだ!
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