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エミュレーターについて語ってみよう 2005.03.05
 前回の「ひとりごと」では、ゲームが存在する以上はどこかで行われてしまう「違法コピー」について触れました。実は前回の「ひとりごと」、違法な手段を使ってゲームをプレイする方法全般について考えてみるつもりだったのですが、「違法コピー」だけでけっこうな長文になってしまったため、その他を紹介するまでには至りませんでした。よって今回はゲームの裏世界第二弾として、エミュレーターを扱います。

 普段からパソコンを使っている人、ネットを楽しんでいる人で、かつゲームにも興味がある人であれば、どこかで一度は「エミュレーター」「エミュ」といった言葉を見かけたことがあると思います。特にファミコンなどの古いゲームの話題では、よく出没する単語ですね。ではこの「エミュレーター」、いったい何なのでしょうか?

 エミュレート[emulate]とは、「模倣する」「真似する」といった意味の英語。パソコンとゲーム機の関係に限定して言えば、パソコンがゲーム機のマネをする、ということです。つまり、パソコンにファミコンなどのゲーム機のモノマネをさせることで、特定のハードのソフトを遊べるようにすることを指します。ちょっと固く説明すれば、「仮想マシンを構築する」ということ。たとえばパソコンにプレイステーションのモノマネをさせれば、パソコンのCD-ROMドライブにプレステのソフトを入れることで、ゲームができることになります。えっ、本当にそんなことができるの?

 それを可能にするのが「エミュレートするもの」、「エミュレーター」ということになります。略すとよく「エミュ」などと呼ばれていますね。つまりはパソコン用のアプリケーションで、各ハードごとにさまざまなエミュレーターが存在します。多くは有志が開発する、言わばインディーズアプリで、ダウンロードは無料。あとはパソコンにインストールしてしまえば、夢の全ハード対応ゲーム機に早代わり!おっと、だからと言ってエミュレーターを探しに行くのはちょっと待って下さいよ、と。

 そんなものが存在したんじゃ、正規のゲーム機が売れなくなっちゃうんじゃないの?という心配をするのは正義感に溢れるゲームファンなら当然ですよね。たしかに、すべてのハードのゲームがパソコンで簡単に遊べてしまっては、ハードメーカーとしてはたまったもんじゃありません。では裁判などに発展しているのか?というと、それもありません。ここはしっかり理解してほしいのですが、

エミュレーターの開発・配布そのものは違法ではありません。

 エミュレーターとは前述のように、ある特定の環境に異なる仮想環境を構築することです。もともとはコンピューター関連の技術者の間でデバッグに用いられたり、複数の環境に同一の条件を揃えるためのプログラムとして開発・利用されてきたもの。たとえば、Windows上でMac OSを走らせるMacエミュ、と言うのがパソコンユーザーにはわかりやすいでしょうか?コンピューターの中に別の環境を再現する手法、それが近年パソコンの高性能化によりゲームへの流用が目立ってきているというだけで、本来ならばゲームをするためのプログラムではありません。上の例で言えば、パソコンの中にファミコンのバーチャルマシンを設置するようなもの。ゆえにエミュレーターの開発・配布はファミコンそのものを配布しているわけではなく、開発者による独自のプログラムに過ぎないので、誰の権利も侵害してはいないのです。



 エミュレーターがどういったものかについては理解していただけたでしょうか?ゲームの用途に限定すれば、「コンピューター上に仮想のゲームハードを再現し、そのうえでゲームソフトを走らせる」というイメージはつかめましたでしょうか。即ち、エミュレーターをダウンロードすれば、アナタは今日から古今東西のあらゆるハードを持つことが可能です。夢のような話ですよね。

 ではさっそくエミュレーターをダウンロードして・・・ん?ソフトはどうするの?CD-ROMはともかくとして、ファミコンやスーパーファミコンのカセットはどこに入れるの?そう、エミュレーターだけではゲームはできません。言わばエミュレーターはゲーム機本体。ソフトは別に用意しなければなりません。プレステなどは最初からCD-ROMですから、パソコンに読み込ませるのは難しくないでしょう。でもカセットはどうすればいいのでしょう?

 エミュレーターの世界では、ゲームソフトはROMイメージと呼ばれます。これは、ゲームソフトから中身のプログラムを吸い出したデータファイルです。エミュレーターにはこれを読み込ませてゲームを起動することになります。エミュレーターで読み込むゲームのプログラムはエミュレーター用に移植されたものではなく、ファミコンなどハード独自の言語そのままのデータです。エミュレーターはそれを翻訳してパソコン上に再現するのですね。と、いうことは、エミュレーターでカセットのゲームをするには、カセットからデータを吸い出してROMイメージを用意する必要があります。で、この吸い出したものをフロッピーなりCD-Rにすれば・・・・・・おっと、何かヤバげな匂いがしてきましたね。そう、前回の「違法コピー」で触れたマジコンの登場です。コピーマシンはデータ吸い出しツールとしてもその力を発揮するのです。

 ところが、前回の「ひとりごと」で触れた通り、マジコンなどのコピーツールはほとんど違法。相次ぐ摘発で、ごく限られた場所でしか購入できません。しかもお値段もそこそこ。そこでエミュレーター愛好者が行っているのは、吸い出しツールの自作です。基盤やコード、パーツを用意し、ハンダづけの知識さえあればわりとカンタンに作ることができます。有志のサイトでその回路図なんかも公開されていますね。このようにして吸い出すことについてはギリギリ合法(メーカーによってはデータのコピーなどを完全に禁止しているところもあるので注意)。ただし、吸い出した後でオリジナルのソフトを手放してはいけませんよ。それは違法行為です。あくまでバックアップという建前があるからこそ、合法なのです。



 しかしアナタは思うことでしょう。「エミュレーターで遊んでる人はみんな、そんな面倒なことしているの?」と。そうです。みんながみんなツールを自作して、自分でデータを吸い出しているわけではありません。ここからが、エミュレーターの裏の世界、そう、インターネットですね。誰かがデータを吸い出したからには、中にはそのデータをネットにアップロードする人も出てきます。それをちょちょいとダウンロードし、実行してやれば・・・・・・いともたやすくお使いのパソコンでゲームができるでしょう。しかし、

もちろん違法です。

 たとえオリジナルのソフトを所有していても、ネットで不特定多数に向けて公開されたROMイメージをダウンロードするのはいけません。エミュレーターで実行できるのは、あくまで自分でバックアップとして吸い出したデータのみ。それ以外はアウトです。一説にはダウンロードまでは合法、実行すると違法と言われていますが、ダウンロードしたからには実行するに決まってますよね?

 一時期は、国内のサイトにもROMイメージは公開されていました。それこそ検索すればヒットするようなサイトでおおっぴらに公開していた所もありましたし、それがヤバいとなると、いわゆるアンダーグラウンドなサイトで続けられたのです。が、インターネットでの権利の扱いについて厳しくなってきた昨今、ちょっと探せば見つかるようなところにはまずないでしょう。たいていはファイル交換の世界へ逃げているのが現状です。では、みんなはROMイメージをどんなところから手に入れているのでしょうか。 なお、いくら欲しいからといってエミュレーターのファンサイトや掲示板で「ROMどこにありますか?」「ROM下さい」は禁句。相手にされないばかりか罵倒されまくります。ROMについては人にきかない、尋ねないが鉄則です。だって、本来自分で吸い出すべきものなのですから。

 上で記した通り、正しいユーザーは自分でツールを自作してデータを吸い出し、それで遊んでいるのです。特に製造中止となったハードをいまだに愛するユーザーたちは、往年の名作を自発的にバックアップし、パソコンで遊べるものに変換していると言えばわかりやすいでしょうか?ですが、その中にちょっとした出来心から、そのデータを他人に向けて公開してしまう人が出てくるわけですね。好きなものはみんなと共有したいというのもひとつの愛情かもしれませんが、やっぱり正しくはありません

 自分で吸い出さない人たちは、ROMイメージをどうやって入手しているのか?それについてはコタエはカンタン、国内になければ海外に行けばいい。そうです、「違法コピー」の回でも登場した、お隣の大陸ですね。あちらのゲーマーは違法コピーが大前提。そんな彼らのサイトには、カセットから吸い出したROMイメージがファミコン・スーファミは言うに及ばず、発売されたばかりのゲームボーイソフトまで、よくぞまあという感じで公開されています。もちろん誰でも無料でダウンロードできます。非常にお手軽ですよね。エミュレーターをダウンロードし、ROMイメージをダウンロードさえすれば、アナタのパソコンはゲーム機に早代わり!しかも完全にタダ!あとはみなさんの良心が唯一のブレーキです



 違法ROMイメージについてはゲームメーカーも厳しい対処を辞さないところですが、相手がお隣の大陸とあっては後手後手になるのも無理はありません。ではおおもとのエミュレーターを取り締まるかと言えば、前述の通りエミュレーター自体は独自のプログラムですから合法です。こうなるとメーカーには打つ手がありません。そういう意味で、まさしくユーザーの良心こそが最後のブレーキなのです。

 ですが、エミュレーターがどういうものかという純粋な興味もありますよね?今回はエミュレーターそのものも知識としてご紹介しておきましょう。どれも検索すればすぐに公式サイトが見つかる有名なエミュレーターです。ダウンロードしても問題ありませんが、ROMイメージは正しく用意して下さいね。

代表的なエミュレーター

 NNNester J
国産のファミコンエミュレーター。もともと海外産だったNesterを改良した国産クローンです。多くのROMイメージに対応し、設定項目の細かさと完全な日本語環境で使い勝手も良好です。他にファミコンエミュとして有名なものに「VirtuaNES」「G-NES」「パソファミ」などがあります。ディスクシステムに対応しているとか、吸い出し機能が付いているといったそれぞれの特徴があり、細分化しています。

 SNEShout
代表的なスーパーファミコンエミュレーター。スーファミソフトの特徴であるボイス対応をウリにしたもの。動作も軽くて扱い易いです。ちなみに「SNES」とは海外でのスーファミの呼称(「NES」はファミコンのこと)。他に「ZSNES」「SNES9X」などが有名です。

 VisualBoy Advance
ゲームボーイアドバンスのエミュレーターとして不動の地位を築き上げています。デフォルトでは英語表示ですが、公式サイトには日本語化ファイルまで用意されているという親切さもその要因では。GBAはUSB接続の吸い出しケーブルも存在するので、それさえ買えれば自分で吸い出すのもラク。

 MagicEngine
最も完成度が高いとされるPCエンジンエミュレーター。その自信からかシェアウェアとなっています。他にも「HuE」「XPCE」がありますが、いずれも開発停止だったりWinXPでは動作が不安定だったりと、MagicEngineを超えられていません。ROMを用意するのが難しそうですが・・・

 Gens
メガドライブエミュレーターとして最高峰の完成度を誇る名エミュで、支持者も多くいます。他の雄として、SG-1000からマークIII、メガドラ、そしてゲームギアといった多くのセガハードに対応した「KEGA Fusion」も超有名。作ったのも生粋のセガマニアでしょう。



 なんか古いハードが多くない?と思われる人もいるでしょうが、それは当然というものです。エミュレートの大前提は、エミュレートする側のマシンが、エミュレートされる側の性能を大きく上回っていること。今回紹介しているようなケースですと、自分が使っているパソコンがこれらのゲーム機よりもスペックが上回っていることが安定した動作の条件なのです。そういう意味で、レトロなゲーム機はエミュレートに最適なわけですね。逆に、次世代機と呼ばれる昨今のハードは、家庭の一般的なパソコンよりも高い性能を秘めていますから、エミュレートは困難になるのです。まして、昔のハードほど単純でもなく、その複雑なプログラムとシステムは解析するのも容易ではありません。それでも最近はパソコンの性能もドッグイヤーと呼ばれるように日進月歩の進化があたりまえ。数年後にはどうなっていることやら。

 PCSX
プレイステーションエミュレーターです。最近の一般的なパソコンの性能をもってすれば、プレステのエミュレートも実用的なものとなりました。プレステなどのディスクメディアを使ったゲームは、エミュレートの際に別途「バイオス」と呼ばれるデータが必要でしたが、PCSXの画期的なところは、バイオスがなくても動作はする点。敷居の高かったPSエミュを身近なものにしました。なお、PCSX2というプレイステーション2のエミュレーターも存在はしていますが、まだまだ鋭意開発段階。しかもパソコンのスペックが足りずにまともに動作することはまれでしょう。

 Dolphin Teaser
ドルフィンの名でわかるように、ゲームキューブのエミュレーターです。しかしその性能からエミュレートはまだ困難で、動作報告されているソフトもわずか。独自規格の8cmDVDのおかげでROMの吸い出しも容易ではありませんが、ネットワークの盲点を突いた吸い出し方が確立され、実用化に向けてメドが立ったというところ。また、うまく起動したとしても動作環境を選ぶので、ゲームがちゃんと遊べるかどうかは微妙。正規の本体を買ってしまった方が100倍快適かも。他に「DolWin」といった種も存在します。

 cxbx
なんとこんなものも!X boxのエミュレーターです。さすがに全世界では2000万台売れているハードです。が、日本国内にこれで遊びたい人がいるのでしょうか?とは言ってもまだまだ実用にはほど遠い状況のようです。電源ケーブルが発火する危険性はなさそうですね。



 というわけで、最近のハードをエミュレートしたもので快適に遊べるのはプレステぐらいですね。他にドリームキャストやNINTENDO 64のエミュレーターももちろん存在しますが、なかなか実用は難しい状態のようです。また、3DOやセガサターンといったちょっと前の機種についてもエミュはあり、それぞれの愛好者が日夜開発を続け、そして愛するゲームを起動しています。ハードの数だけエミュレーターは存在するのです。これはもう例外なくと言っていいでしょう。

 このような実情から、やはりエミュレーターは旧世代のゲームをパソコンでサクッとプレイする、という用途が最も適しているのかもしれません。そういう意味ではアタリなどのエミュレーターは資料的価値も高いと言えるでしょう。また、次のようなエミュもあります。

 NLMSX
MSXのエミュレーターです。これで遊びたい人はかなりコアなゲーマーでしょうが、むしろパソコンとの相性は良いのでは。一部メーカーが古いゲームのデータをフリーで配布していたりして、ある意味もっとも手軽にエミュレーターを体験するにはうってつけです。
↑「NLMSX」起動画面。Windowsにこの画面は新鮮。DOSっぽい?
→アリスソフト「リトルバンパイア」。フリー配布されている旧作のひとつ。


 MAME32 Plus!
エミュレーターは家庭用ゲームだけのものではありません。有名なアーケードエミュ「MAME」。90年代後半から開発が始まり、なんと今でも進化し続けている歴史のあるエミュレーターです。アーケードエミュは家庭用に比べて複雑。アーケードゲームは基盤によって、それこそひとつひとつが形式の異なるコンピューターのようなものです。MAMEはバージョンアップを繰り返し、いろいろな基盤に対応するための新たなドライバを取り入れているのです。アーケードゲームある限り、MAMEの進化も終わらないでしょう。



 このように、エミュレーターはパソコン>ゲーム機というスペック差が前提となっているため、レトロゲームを遊ぶのはともかく、最新のゲームをプレイするには実用的ではありません。即ち、現行機種はちゃんと本体を買って遊びなさい、ということです。苦労してROMを吸い出しても、動作しないこともザラなのです。さらに、エミュレーターを動かしているとしばしば「動作しない」「カクカクする」「画は出るけど音は出ない」など、様々な問題が発生します。スペック上の問題、パソコンを構成しているパーツとの相性など様々な原因が考えられますが、いずれもエミュレーターに動作保証はありません。仮にパソコン側に深刻なダメージが残っても(ないとは思いますが)、誰も保証してくれません。エミュレートは自己責任なのです。


エミュレーターを詳しく知るには

 ここまで、エミュレーターのほんの「さわり」を紹介してきました。エミュレーターとは何をするものか、その利点とリスクについてはなんとなく理解していただけたかと思います。ですが、中には物足りない人もいるでしょうし、もっと深く知りたいという人もいらっしゃるでしょう。そういったアナタは、その知識欲にまかせてネットの海に漕ぎ出して下さい。エミュレーターを解説しているサイトはたくさんありますし、ここに掲載したエミュレーター本体の名前で検索すれば公式サイトも見つかります。そしてそれに付随する検証サイトやリンク集も星の数ほど出てくるでしょう。そのうえでエミュレーターを使うか、様子を見るか、決めるのはアナタ自身です。誰も強制はしませんし、止めもしません。

 筆者の捉えかたとしては、まあファミコンミニぐらいの認識です。最新のゲームをやるならやっぱりちゃんとしたゲーム機でプレイする方がだんぜん手軽で早いわけで。それでもエミュレーターが盛んに開発され、そしてそれに飛びつくユーザーが絶たないのは、ひとえにゲームへの愛・・・ももちろんあるのでしょうが、やっぱり一部には「タダでゲームができる」という認識があることも否定できないと思うんですよね。で、そういう人の興味を惹きつけて商売をしようという人たちも出てきます。最近さかんにエミュレーターを紹介する雑誌・書籍が出てきたのもその流れでしょう。

違法な本を吊るし上げ!
 エミュレーターを扱う雑誌・書籍は数あれど、多くはROMイメージは自分で吸い出すことを建前とした健全な誌面作りをしているのに対し、一部にはお客さんの目を惹きたいという目論見からか、違法なROM入手方法に触れているものも存在します。ここでは特に目についた、開いた口が塞がらない「トンデモ本」をご紹介してみましょう。
「かんたんファミ1246タイトル完全網羅エミュレータブック」
マイウェイ出版社から2003年に発売されたムック。個性的なレビューを添えて全てのファミコンタイトルを紹介しており、資料としての価値が高い一冊。そこまではよかった。付属のCD-ROMにエミュレーター本体を収録しているのもセーフだろう。だが、「行ったらダメだよ!」などというワザとらしい注意書きを加えつつ、ROMイメージの置いてある違法サイトのURLを掲載しているのはいかがなものか。行ったらイカンものをなぜ載せる?さらに冒頭のページでWIN MX、Winnyを紹介しているあたり、ROMはこうして手に入れろ!とでも言いたげ。アウト。
「ファミエミュレータ完全ガイド2004」
雄出版(知ってる?)という所から発売されたもの。デザインが上の「かんたんファミ」に似ているため、同じ人たちが作ってるのかと思ったが誤解のよう。中身はやはりファミコンタイトル完全レビューで、画面写真が豊富。昔のゲーム関連のチラシなども多数掲載しており、資料的価値はかなりのもの。さすがに違法サイトのURLこそ載っていないが、ファイル共有に尋常でないほどのこだわりを見せており、まるで「この本に載せてるゲームはすべてWinnyで拾いました」と言わんばかり。エミュレーター本でWinnyを紹介する必然性など本来はまったくなく、そこにこだわる姿勢にこの本の主張を見た!
「iP!」2004年5月号
月刊のパソコン誌ではあるが、上の2冊のムックなど比較にならない凶悪さを誇る晋遊舎の雑誌。同誌では以前からたびたびエミュレーターについてのページを設けているが、この号はまず表紙から「犯罪的コピー天国へようこそ」という強烈なキャッチ。自分達のやっていることを自覚しているようだ。中身では「著作権保護のため、白日のもとに違法サイトを摘発する」として、違法ROMサイトのURLを掲載。「我々の目的はただひとつ、非合法サイトの撲滅だ!」って、んなわけねーだろシラジラしい。違法コピーやMODチップ、ファイル共有までバッチリ紹介してくれている。非合法のカタマリはおまえらだ。
「iP!」2004年11月号
同じく晋遊舎の「iP!」なのだが、半年の時を経て「違法サイトの摘発」という白々しい大義名分さえも消滅し、堂々と違法ROMサイトの情報を掲載してしまっている。特集の冒頭には「ROMサイトもバッチリ紹介しちゃいますよ!」と誇らしげな煽り文が踊っているが、アンタらそれは犯罪幇助でっせ。違法サイトがなくなる前に、アンタらの雑誌が廃刊になってしまわないかとドキドキです。筆者はあえて著作権保護のため、白日のもとに違法雑誌を摘発する、とでも書いておけば満足してもらえるでしょうか?ゲーム画面を撮影した数々の写真も、メーカーに許諾とってるわけない、よねえ。
ということで、くれぐれも皆さんは違法なROMでゲームをしないようにしましょうね!


で、せっかくなので体験記。

 ここまで記しておいて「ハイおしまい」では、最後まで読んでくれた人も納得いかないのではないか、という気がしてきました。あえて筆者は違法な世界に足を踏み入れてレポートをしたいと思います。本来ならばROMイメージは自分で吸い出すものと何度も申し上げてきましたが、この世の中にはそうでないものがあることは知っておいて損はないでしょう。誤解しないでいただきたいのは、筆者はこれを推奨するわけではありません。正しいことと正しくないことの両面を皆さんに見つめていただき、自分の頭で判断してほしいのです。では、いきますよ。

手順その1



↑エミュレーター本体をダウンロードし、解凍。今回は「NNNester J」を選んでみました。
もちろんこれだけではゲームはできません。起動しても当然画面は真っ暗です。
手順その2

上で晒し上げたような本に掲載されている、違法ROMサイトを訪れます。
隠すでもなく、パスワードや会員登録があるでもなく、誰もが落とせる
状態で山のようなROMが並んでいます。とりあえず1本ダウンロードしました。

手順その3

ダウンロードしたファイルはZIP圧縮されていたので解凍します。すると、
.nesというファイルが出てきました。

手順その4

関連付けをしてあればこの.nesファイルをダブルクリックすることで
「NNNester J」が起動します。「NNNester J」側からファイルを開くことも可能。
すると・・・


あ〜っ!(モザイク処理してあります)

ファミコンと寸分も違わないゲーム画面が鮮やかに蘇りました。
動作も問題なく、画面・音ともに正常です。USB接続のゲーム用の
コントローラーを使えば、何の違和感もなくファミコンをプレイしている
感覚。結局トラブルもなく、エンディングまで普通にプレイできました。

 うーむ、いかがですか?筆者はファミコンは現役で使ってますし、このゲームについてはオリジナルのファミコン版はおろか、スーファミ版もGBAのファミコンミニも持っています。そのどれにも決してひけをとっていません。というか、そもそも元データのまんまなんですから当然です。つまり、ファミコン程度のゲームならエミュレーターでの再現度は完璧。しかもこの手軽さ。ヤバイです。

 しかし、なんと言うか、ゲームへの愛情は欠落しているような気がしました。自分で吸い出したデータならまた違うんでしょうが、ゲームってやっぱり嗜好品ですし、お金を出して買うことに意味があるわけで、だからこそ一生懸命プレイしなくちゃ、という気持ちになると思うんです。で、プレイしていくうちに愛着も湧いてきますよね。違法ROMはそのへんの感情がまったくないんです。身銭を切ってないぶん、拾った雑誌と同じような感覚。飽きたらポイ、ができてしまう。なんか、楽しめないんですよ。素直には。

 ただ、中古問題の回でも書いたんですが、もう手に入らない古いゲームやマイナータイトルをどうしてもプレイしたい場合、他に手段がなければエミュもじゅうぶん候補になり得るなあ、という感想も持ちました。メーカーが旧作をプレイする機会を保証してくれない限り、レトロゲームミュージアムとしてのエミュレーターは立派に実用的だなあ、と。だってここだけの話、違法ROMサイトにですね、あるんですよ。本当にマイナーなタイトルまで、全部。想像以上だったので驚いちゃいました。これがタダで公開されてるなんて、逆にこのサイトの運営者は何のメリットを求めているのかな、と心配するほどです。

 まあ、ファミコンミニのように現在でも正規にプレイする手段が用意されているタイトルについては、やっぱり実機で遊ぶべきですよね、うん。それ以外のゲームについては、筆者の個人的な感想を言うなら、やっぱり秋葉原に中古ソフトを漁りに行く方が楽しいし、ゲームに対して真剣になれるような気がしました。さらに言うなら、レトロゲーム探しはそれもひとつのゲームなんだと。違法ROMによるエミュレーションは手軽ですが、ゲームとしては面白くない。無敵状態のシューティングをプレイするような、スタート直後からレベル99の勇者で冒険するRPGのような、シラけた感覚がつきまとうんだよなあ

 最後にもう一度書いておきますが、エミュレーター自体は違法なものでも怪しいものでもありません。それを開発する人々の情熱は本物ですし、ゲームへの愛情の形のひとつであることは間違いありません。結局、エミュレーターのグレーゾーンなイメージって、ROMから来ているんですよね。さて、アナタはエミュレーター使いますか?ROMはどうしますか?

エミュが違法か合法か、それは使う人しだいなのだ!



次回はゲームの改造について語ってみることにします。
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