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オンラインゲームの功罪を考えてみる 2002.02.25 |
世はまさにオンラインゲーム花盛り。PC世界の住人たちのものだったオンラインゲームの波が、家庭用ゲーム機にも押し寄せています。その筆頭はやはり、スクウェアの「ファイナルファンタジーXI」であることは疑いようがないでしょう。ミリオン確実な超有名・人気RPGタイトルがオンラインになるとなれば、話題にならないわけがありませんよね。事実、ベータテストが始まってからの「PS2ハードディスク」の在庫不足はかつてないほどです。ユーザーの期待の高まりが手に取るように伝わってきます。
さらに、プレイステーションミーティング2002では、数え切れないほどのオンラインタイトルの発表がありました。人気シリーズ「グランツーリスモ」、「みんなのGOLF」、「アークザラッド」そして「信長の野望」や「ボンバーマン」まで。あの「バイオハザード」までもがオンラインとなります。シリーズものがこれだけオンラインとなれば、ユーザーを引き付けるには充分すぎる材料ではあります。どうです、ワクワクするでしょう?
しかし、ユーザーすべてが人気タイトルのオンライン化を望んでいるのだろうか?答えはNO、だと筆者は思います。その環境がないユーザーは置いてけぼりなのが現状なのです。そして、メーカー(クリエイター)が思うほどに、ユーザーは作品に従順ではありません。それを認識しないと、会社が傾くほどの打撃を受けることになるかもしれませんよ、というお話し。つれづれなるままに書いてみましょうか。
まず、環境。現状では、まだまだゲーム機をネットに接続するのは容易とは言えません。すでにブロードバンドを利用している人は多数いらっしゃるでしょうが、そのすべてのプロバイダー、そしてルーターやモデムなどの機器が対応するのか、これは現段階ではまだ見えていません。そして、オンラインゲームをやろうとすれば、プロバイダーの乗り換えや機器の買い換えも発生するでしょう。これらの手間をかけずにオンラインゲームの楽しみを享受できるのは、ほんの一握りのゲーマーだけです。ただでさえ、そのためにはPS2のハードディスクを購入したりと、追加出費がかさみます。「ソフト一本いくら」で遊べた、これまでのオフラインゲームにはない敷居の高さが、そこにはあるのです。これまでと同じように、前作ミリオン売れたからオンラインもイケるだろう、などという安易な皮算用は、もう通用しないと思って間違いないです。
そして、さらに重要なのがユーザーの気分。ネットの掲示板をあちこち見て回りますと、「これまでFFは全作プレイしたけど、XIはオンラインだからやらな〜い」というユーザーがいかに多いか、製作サイドはもっとよくリサーチした方がよろしいかと。ユーザーはそこまで従順ではありません。「バイオはずっとやってきたけど、ゲームキューブじゃ買わない」というユーザー。結局は気分なのです。新ハードを購入したり、ネット接続という敷居を乗り越えてまで作品に付いて行く、そんなありがたいユーザーはごく一部であると断言しましょう。自分の持っているハードの範疇で、遊びたいゲームを遊ぶ。これまではたまたま、PSでバイオやFFが出ていた。だからプレイした。そのぐらいのものでしょう。「何があろうとこのシリーズはすべて見届ける!」それはかなりコアなユーザーに限られた感情です。そのテのユーザーはメーカーにしてみれば理想的な顧客でしょうが、そんな人間は滅多にいないのだとまたまた断言しましょう。
もともと、「グランツーリスモ」や「みんなのGOLF」などは、PSの「ライトユーザーを取り込む」という戦略のもと成功してきたシリーズではありませんでしたか?これらを糸口としてゲームに入ってきたお客さんが、ネットワークゲームと化したタイトルに魅力を感じるかは、はなはだ疑問。いずれにしても、今回オンラインを発表したメーカーは、かなりの売り上げ減となることは覚悟しなければなりません。その覚悟がなければ、オンラインに参入する資格すらないのです。売れなくて当然、売れてラッキー。その姿勢でいないと、いざコケた時のダメージは致命的なものになりかねません。「ゲームとしての質は高かったが、ユーザーにその環境がなかった」。そんなことは、言い訳にしかなりませんよ。
そもそも、人気タイトルのオンライン化という企画が会議に上がった時に、こういった議論はなされないのでしょうか?どのようなユーザー層をターゲットとするのか、そのユーザー層はオンライン化を受け入れるだろうか、そしてどのぐらい売れるだろうか?この不景気のご時世、ビジネスをするならとことん考えなければならないようなことをすっ飛ばして、安易にオンラインと言っているようにしか、どうしても見えません。言ってしまえば「売る気があるのかい?」ってこと。技術蓄積、先行投資も理解できますが、そのわりには売れ筋タイトルばかりラインナップされているのが気になります。どうせなら実験ついでに、実験的タイトルも作るべきなのでは?
これまでオンラインゲームを楽しんできたのは、かなりコアなゲーマーであると言えるでしょう。学校や仕事を終えて帰宅し、常にネット接続してPCに向かっていられる(そして他に趣味がない?)コアユーザー。普通のライトなユーザーはそこまでゲームに時間を費やしません。他の趣味に興じたり、友達と遊びに行ったり、家事をしなければならなかったり。「いつでもできて、いつでもやめられる」それが売れるゲームの基本です。「売れなくても、面白ければいい」というのは詭弁ですね。メーカーは企業であり、ソフトが商品である以上、売り上げを二の次にはできないはず。ゲーム製作は遊びではないのです。もちろん、メーカーとしてもオンラインゲームの開発にあたっては、オフラインパッケージ以上にかさむ開発費、これを回収しないことには、次回作も何もありません。言っていることが矛盾しているようにも見えるでしょうが、筆者のコラムで共通しているのはここ。「夢を売る以前に、ゲームビジネスという土壌がなくなっては元も子もない」。
スクウェアは「FFXI」を実験とわりきっているようですね。企業として、メーカーとして技術力や開発力は見せていかなければならない。そして、新たな「もの」が出現した時には、それに挑戦しなければならない。万が一、それが次代の主流となった時、先を走った者には後からでは決して手に入れることのできないものが得られるからです。実験の根拠は、「FFXII」が再度オフラインに戻ること。オフラインの良さも理解しつつ、オンラインについても技術を蓄積していきましょうという意志表示だと受け取りました。これは賢い選択だと思います。映画で会社が傾きかけた(いや、完全に傾いたのを押し戻した?)というのに、このチャレンジ精神は高く評価されて良いのでは。
しかし、「なんか今オンラインはやってるらしいぞ」と軽い気持ちで主力タイトルをオンラインに切り替えたメーカーは、くどいようですが覚悟しておくべき。仮に成功すれば幸運、もし失敗しようものならばユーザーからは罵倒の嵐となるでしょう。最悪、メーカーとしてユーザーから見限られる危険性すら孕んでいます。「グランツーリスモ?ああ、前作がダメダメだったヤツね」……これまでとは正反対の評価が、メーカーに突き刺さることになるのです。
日本よりも格段にブロードバンド環境が普及しており、ゲームと言えばPCのオンラインゲームのことを指す韓国。これまで日本製ゲーム機の販売が禁止されてきましたが、このたびPS2が初上陸。ユーザーにはおおむね好評のようです。そこには、日本とはまるで対照的なユーザーたちがいました。環境の違いと言えばそれまでですが、すべては次のある韓国ゲーマーの言葉に表れているような気がします。
「他の人達の都合やスケジュールを気にせず、遊びたい時に遊べていつでもやめられるゲームはいいですね」
オンラインゲームには、これまでのゲームにはない面白さがある。それは筆者もじゅうぶん認識している事実ではあります。これまですべてCOMが相手だったものが、対人的なものになり、予想のつかない展開を助長する。そして、自分以外のプレイヤーとの会話、助け合い。一度ハマると抜けられない、充分な魅力を持っています。ですが、他人とのコミュニケーションがすべてオンラインゲームの上で……というのも、不健全なものだという感想もまた否定はできません。ゲームサイトでこんなことを言うのも何ですが、時にはゲームの外で、生身の人間とコミュニケーションを図り、ゲーム以外の趣味に没頭する……そのようなことも、ゲームをよりいっそう面白いものにするためのひとつの手段なのではないかと思うのです。
たまにはゲーム以外のこともしよう! |
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