GAMERS EDEN ゲーム音楽 ゲームサントラ レビュー ファイナルファンタジー
ファイナルファンタジーVII ORIGINAL SOUND VERSION
ボックスジャケット

初回版にはLPサイズの大型版もあった
(写真は通常版)
 プレイステーションフォーマットとなった初のFFシリーズ「VII」の劇中音楽を、ゲームオリジナル音源・CD4枚組によって収めた大ボリュームのサントラ。圧倒的なクオリティとなった音源と、表現力の増した楽曲に酔いしれろ。

デジキューブ
SSCX 10004
1997年2月10日発売(廃盤)
JASRAC表記:なし
スクウェア・エニックス
SQEX-10001〜4
2004年再発
JASRAC表記:なし
ゲーム紹介

 かつて家庭用ゲームというものはファミコン以前からロムカセットを用いており、常に容量との戦いに晒されていた。また、コンピュータ技術とゲームマシンが抱えるスペックの制約から、2Dでの表現が当然であった。我々ゲームユーザーはそんな2Dのゲームに慣れ親しみ、ゲームは2Dであるべきものと思い込んでいた。が、コンピュータ技術の飛躍的な進化によって3Dポリゴンのゲームが市場に投入され始め、ゲーマーは自らの持つゲームに対する固定観念を根底から引っくり返されるような衝撃を味わった。当初はアーケードゲームを中心として湧き起こったムーブメントであったが、家庭用ゲームにおいてもプレイステーションやセガサターンの登場によって、CDロムソフトを採用し容量の問題をクリアするとともに3D表現を実現していった。

 そんな「技術の恩恵」を最大限に利用した作品が登場するのは1997年のこと。スーパーファミコンソフトであった人気RPGシリーズ「ファイナルファンタジー」は、主戦場をプレイステーションというプラットホームに移し、最新作「VII」を発売。3Dで構築されたキャラクターやフィールドマップ、美麗なCGムービー、そのいずれもが大きな賞賛をもって迎えられたことは記憶に新しい。CDロム3枚に渡る壮大なシナリオ、キャラクターの内面まで描き出す緻密なイベント、ジョブシステムを発展させたマテリア成長システム。すべてにおいてこれまでのFFを着実に進化させた「VII」はおよそ362万本を売り上げ、後に「インターナショナル版」も発売されるほどの人気を勝ち得た。キャラクターイラストもこれまでの天野喜孝氏から野村哲也氏に変更、一部では「アニメっぽい」と言われるその画風も、これまでコアユーザー向けと言われていた「FF」を、広くライトユーザーに認知させることに一役買っていたのは疑う余地もない。一本道のシナリオ以外にも様々なやり込み要素を付加した「FFVII」は、プレイステーション初の本格的RPGとまで評されていた。
 
 圧倒的なボリュームを誇るシナリオやイベントをフォローするため、作品中の音楽も大幅に増加。作曲の植松伸夫氏は「今回は絵が語ってくれるので、音楽は一歩引いた」と言う。ファミコン、スーパーファミコンのグラフィックではシナリオやキャラクターの感情の昂ぶりを語るのにしばしば限界があり、時には音楽による「盛り上げ」が不可欠だったのに対し、プレイステーションでの圧倒的なグラフィック表現でその必要がなくなったということだ。そのためか往年のファンからは「音楽として聴けるメロのある曲が減った」と言われることもあるが、それは植松氏の「あくまでゲームのための音楽」というポリシーに基づいた計算なのである。そして、重要なイベントシーンでは「エアリスのテーマ」などの強烈な印象を放つ曲をここぞとばかりにぶつける。非常に良くできた音楽演出と言うことができるだろう。映像が進歩すれば、当然音楽にも変革が求められる。植松氏はプレステ1作目にして、早くもそのことに気付いていたのだ。これに気付いていなかったら……おそらく「映像がこれでもかと語るうえにベタベタな音楽が鳴り響く、とってもやかましいFF」が出来上がっていたかもしれないのだ。「僕は絵と音とシナリオとプログラム、全部が一緒になって100パーセントになればいいと思っているんですよ。たとえば絵が80パーセントを語ってくれて、音が20パーセントを語って、それで全体としてのバランスがとれていればいい。もう常に音楽が"立って"いる必要はないと思う」というのは植松氏の言葉だ。100パーセントと100パーセントを合わせても決して200パーセントにはならず、むしろケンカし合って収拾のつかない状態になってしまう。実はこれは作品作りの上で非常に重要なバランス感覚であり、プロとアマチュアの差なのである。結果としての「トータルのバランス」をプロは常に考えている。

 楽曲の制作期間はおよそ8ヶ月から9ヶ月ぐらいとのこと。「これでも今までよりは長いんです」と植松氏(これまでのシリーズは本格的な制作期間で言えば約半年ほどらしい)。悩むヒマなくどんどん作り、苦労を感じるヒマもなかったとか。ちなみに植松氏は自分で本編をプレイする時は音を消し、ジャズをかけながらやっていたそうで……。「だって聴いていられないって!」とは氏の談である。長い期間、制作中ずっと聴き続けた自分の音楽に対しては、そういうものなのかもしれない。そんな植松氏が自分自身のお気に入りとして挙げるのは「エアリスのテーマ」や「メインテーマ」のようだ。それでも全体を振り返って「今回は音楽が絵に負けてる。絵の質感にはかなわないな」と語るが、一方で音楽単体の評価はまったく気にならないという。「ゲームを遊んでもらったうえで、ゲーム音楽としてイマイチだね、と言われたらそれは僕の負け。ゲームが面白いという評価は欲しいけど、音楽だけの評価はあまり気にならないですね」、ということで、当サイトはゲームをプレイしまくったうえでのレビューを徹底的にさせていただこう。筆者が「プレイしたゲームの音楽しかレビューしない」というのは、そんな理由である。ゲームをプレイせずに曲だけを「好き」「嫌い」と言い放つのは、ゲーム音楽において最も意味のないことなのだ。

 前作「VI」で3枚組だったサウンドトラックCDは、本作でとうとう4枚組になった。開発スタッフは冗談半分に「なんでゲームが3枚なのにサントラが4枚になるんだ?」と言っていたが……。もちろんデータとCD-DAの容量の違いゆえに起こる珍現象であることはわかっているからこその「冗談」である。ゲームをプレイした人はもちろん未プレイの諸氏にも、プレイステーション音源で奏でられるスーファミ音源との圧倒的な表現力の差を聴きとってほしい(そのうえでゲームもぜひプレイしていただきたいが……)。ゲーム音楽がここまで進化するとは、「ファミコン世代」の人間には想像もしていなかったことなのだから。全体をこれまで通りオーケストラ調でまとめつつも、世界観に合わせたサイバーな雰囲気の曲調やロックな音色も採り入れられており、音楽的な幅にはさすがと言うほかない。広大なマップと様々なイベント、それぞれに色合いの異なる場面にピッタリと曲を合わせてくる植松氏のタンスの広さにただただ脱帽。

 2004年には「コンピレーション・オブ・ファイナルファンタジーVII」のコンセプトのもと、4つの関連作品を発表。それらの作品で「VII」の楽曲がどう扱われていくかについても、興味の対象としては充分すぎるほどだ。特に「VII」の楽曲をアレンジして多数採用した「ADVENT CHILDREN」のサウンドトラックなどは、本編を見ていない「VII」ユーザーにとってもオリジナル「VII」のアレンジ盤として聴き込むことができる逸品だ。オリジナルのサウンドトラックとともに楽しんでほしいと思う。

どちらも必携、「FFVII」と「FFVIIAC」のサントラ。ゲーム本編もぜひプレイを。

 DISC1       DISC2       DISC3       DISC4


DISC1

01.プレリュード
・起動後のスタッフクレジットムービー
・エンディング後のスクリーンセーバー
プレイステーションプラットフォームでの「FF」第一弾となった「VII」で、ソフトを起動するとまず流れてくるのがコレ。シリーズおなじみの「プレリュード」がはるかにクオリティアップしています。PS初ということはPS音源初ということでもあるわけで、そのアンサンブルの美しさに当時はただただ驚くばかりでした。ファミコンからスーパーファミコンに移行した時もグラフィックとサウンドの向上には驚いたものでしたが、スーファミとは言えまだまだ「ゲームの音」だったのに対してプレステで奏でられるそれは、もはやヘタなDTMが尻尾を巻いて逃げ出すほど、音楽としての完成度を高めています。もちろんファミコン、スーファミ音源にも独特の味がありましたが、プレステはもう別次元の発音てな感じです。これまでのクリスタルのイメージを残しつつ「ハープ感」を増したアルペジオを、ストリングスと木管が優しく包み込みます。

ゲームでは起動直後とクリア後にしか流れませんが、シリーズ定番の曲を印象的に流すことにより、これは間違いなく「FF」だということをアピールしているのです。新しい世代に対してはより強烈に、古い世代に対しては懐かしさも感じさせつつ。特にオールドファンはおなじみのアルペジオに「グッ」とくるとともに、これから始まる新たな物語に胸踊らせたものでした。
02.オープニング〜爆破ミッション
・オープニングムービー〜壱番街駅〜壱番街〜壱番魔晄炉へ
・壱番魔晄炉でのガードスコーピオンとの戦闘〜壱番魔晄炉脱出
・エアリス奪還のため神羅本社ビルに正面から突入した際、1F〜3Fでバトルを通して流れる
・神羅ビルエレベーターが暴走してから、59Fまでバトルを通して流れる
・八番街地下〜螺旋トンネル〜八番街〜魔晄キャノン(ミッドガル再潜入)
2つの曲を組み合わせて構成している曲。その構成はもちろん、オープニングムービーに合わせた「映像ありき」のものです。冒頭のエアリスにおおっ!となった後、カメラが引いていくと未来都市のような雰囲気。そしてミッドガル全貌……。ムービーの展開に完璧に合わせた編曲はお見事のひとこと。まるで映画を見ているように、ググッと引き込まれます。「FFは映画っぽい」とは「I」の頃から言われてきたことですが、それは演出面を指してのこと。「VII」のオープニングはまさに「映像で」そのまま映画っぽいものをやっているわけです。そして「VII」は2005年には本当に「映画」になってしまったわけです(「ADVENT CHILDREN」のこと)。

冒頭の静かなイントロダクションはエアリスのアップ。パーカッションが入るあたりからカメラはミッドガルの街中へと飛び出し、はるか上空へ。徐々に楽曲が厚みを増していくのと同時に、映像は本作の序盤を象徴する「魔晄炉」を描きつつミッドガル全体像へ。それとともに曲も最高潮に達し、本作のタイトルが表示されます(41秒)。音楽が「ジャーン」と鳴り響くと同時に画面中央に表示されるタイトルロゴがなんとも印象的でした。厚みのあるオーケストレーションは「完パケのCD再生か?それともムービー焼き込みか?」と思わされるほどですが、まぎれもなく内蔵音源です。オープニングからいきなりプレステのスペックを見せつけられ、スーファミとの差を実感したものです。「こりゃもう"ゲームの音"じゃない!」という。この一連、1分13秒までのパートが「オープニング」です。なお、「ADVENT CHILDREN」でもオープニングとして採用されています(演奏はもちろん違いますが)。このオープニングを作るに至った経緯を、植松氏は次のように語っていました。「最初にオープニングの絵を見た時に、CGがガーッて動いて、なんだかきったねぇ未来都市が出てきて、これで"VI"の音楽はねえだろう、とは思いましたね。オープニングの曲を作る1週間がいちばん悩みました」。そうして悩みながらの音楽制作、プロデューサー坂口氏とディレクター北瀬氏から「音楽どうなってるのよ?」と問われた植松氏は、とりあえずこの曲を聴かせてみることに。そして聴き終わると……坂口氏は「ベリーグー!」とだけ言い残してその場を去ったんだそうです。「方向性は間違ってなかったんだな」と、植松氏がその後の楽曲カラーを決めるきっかけとなった出来事だと言えるでしょう。

その後、カメラは駅のホームへググッとクレーンダウンし、リアルタイムポリゴンへと移行する場面から曲調が変化。ムービーからダイレクトにゲームへと移行するのはもちろん、楽曲の展開にも唸らされました。ここ(1分13秒)からが「爆破ミッション」の部分です。ゲームを貫く雰囲気を予感させるかのごとく、もうすでにサイバーな匂いがふんだんに投入されているのはお聴きの通り。パーカッション系(SE)の音数が多く、配置も凝った潜入BGMになります。以後壱番魔晄炉に到着するまで、戦闘を通して流れることになります。

ベースとピアノがユニゾンで低音を強調し、なんとも言えない圧迫感を醸し出しています。さらにそれをティンパニが補強するという「これでもか」な編曲。3連符を刻み続ける進行がいかにも「ミッション」風で、その上で勇ましく鳴り響くブラスの音色に自然と「前に進まなきゃ」という気にさせられてしまいます。細部まで聴くとシンバルをリバースさせたようなエフェクト音も随所に挿入され、規則的に鳴らされるハイハットとともに緊張感、そしてメカニカルな雰囲気を生み出していると言えます。

「オープニング〜爆破ミッション」という形で流れるのはこのオープニングのシーンだけ。あとは「爆破ミッション」のみ、ゲームの中で何度か使われています(使用箇所は曲タイトルの欄を参照)。
03.魔晄炉
・壱番魔晄炉内部
・伍番魔晄炉内部
・ニブル魔晄炉内部(カームでの回想シーン含む)
・コレル魔晄炉外観(中には入れない)
・メルトダウン魔晄炉(ゴンガガ)
・ジュノン海底魔晄炉(海底ドック)
とっても重い雰囲気の、状況音楽。ゲーム序盤を象徴する施設「魔晄炉」のテーマと言ってよいでしょう。ティンパニとピアノが低音部を担い、何が起こるかわからない不気味さを醸し出しています。一方ではクリアな鐘の音が響き渡り、謎に包まれた空間を演出します。神羅カンパニーの存在を匂わせるようなボイスの音色も、スーファミと比べたらその説得力はまさに圧倒的。このような音色に依存した雰囲気作りも、プレステの表現力があるからこそ。同じようなことをスーファミでやるならば、もっとメロディを立たせないと厳しいものになってしまうでしょうね。

いわゆる「楽音」以外も効果的に用いられ、例えば「爆破ミッション」と同様のリバース音はこの曲だけでなく、「VII」を通して多用されているもの。同時発音数が多いからこそ、メロディや伴奏以外の装飾的な音もふんだんに用いることができるのです。そういう意味ではこの「魔晄炉」で聴くことのできる「ドドドドドド」という6連の音色もまさしく装飾。ベースでもなければリズムでもない、しかしどちらの役割も果たしているという面白い役割になっています。魔晄炉の中で絶えずうごめく機械のイメージを増幅させています。

ゲーム序盤から中盤までは「魔晄炉めぐり」が基本となるため、この曲を聴く機会も多くなっています。特に序盤ではこの曲が耳から離れなくなってしまった人も少なくないのでは?
04.不安な心
・壱番魔晄炉脱出後の八番街〜汽車に飛び乗って脱出まで
・七番街駅周辺〜列車墓場
・神羅ビル67F、独房に捕らわれたクラウド一行の会話シーン
・カームでの回想シーン、セフィロスたちが到着したニブルヘイムのBGM
・ゴールドソーサーバトルスクェアに初めて訪れた時(「片腕が銃の男」が人を殺しているらしい)
・ゴンガガ村内
・コスモキャニオンの聖なる火(コスモキャンドル)を囲んでの仲間との会話イベント
・現在のニブルヘイム
・ゴールドソーサーでスパイであることがバレたケット・シーが、マリンをタテに開き直るシーン
・夜の忘らるる都
・竜巻の迷宮で、セフィロスが見せるニブルヘイムの幻影(←実は真実)
・カーム(メテオ後)
ここまで聴いてくると、「もしかしてVIIって凄く暗い?」と思ってしまいますが、序盤は暗いですね、はい。いや、全体的に暗いか。グラフィックの雰囲気もあいまって、もうただのゲームではない所までイッている気がしましたね、当時は。ということで、本作最高使用頻度を誇るイベントBGMがこの「不安な心」。ひっそりとした弦による導入から、なんとも言いようのない寂しさが漂っています。ハープと木管が出てきてからも楽曲は暖かくなるわけでもなく、ただひたすら心象描写に徹したうすら寒さを前面に出していくのです。1分18秒あたりから鳴っているベルの音色が唯一の救い、でしょうか。

使われている場所が記憶に残っているためか、使用頻度のわりに人気のない曲になっています。例えば、列車墓場の不安感、独房の暗さ、エアリスが死んでしまう直前の忘らるる都……あまり良い思い出のない場面に集中して流れている曲なので、それもいたしかたありません。ですが、劇伴としてこのような曲もなくてはならないものです。明るい曲ばかりでは成立しませんからね。そう理解していても拭えない戸惑いは、ひよっとしたら植松氏の作風(人柄)に起因しているのかも?植松氏はこれまで、暗い曲の中にもどこかに救いを入れてきたと思うのですが、「VII」では暗い曲はとことん暗いんです。きっとそれは、「絵が語っているので音楽は一歩引いた」という氏の判断によるものではないでしょうか。「VII」発売直後に氏がよく語っていたことですが、ここで言う「引いた」ものはメロディのこと。そのぶん背景音楽的な要素が強くなり、暗い曲では暗さだけが残ってしまったのでしょう。このあたりがオールドファンから「メロディのある曲が減った」と言われる原因にもなっています。

ゲーム中では複数のイベントでたびたび耳にする曲ですが、圧倒的に強いのはニブルヘイムのイメージ。カームでの回想、そして現在のニブルヘイムでも流れているのです。懐かしい故郷のはずなのに、どうにも消し去ることのできないこの不安。知っている場所のはずなのに、知っている場所とはどこか違う……そういう直接的な不安はもちろんのこと、筆者としては曲名にもなっている「不安な心」はティファの心象なんじゃないかと思っています。もちろんどうなるかわからないクラウドに対する不安、ですね。

ちなみに曲とは関係ないんですが、ニブルヘイムは回想と現在では、一部のCG(背景)が変わっているんです。火事で焼けてしまったものを建て直したからですね。パッと見では気付かないかもしれませんが、煙突の数が違っていたり。そんなところにも「違和感」を仕掛けてあるんです。
05.ティファのテーマ
・七番街スラム、アバランチのアジト「セブンスヘヴン」
今回も前作「VI」までと同様に各キャラクターごとのテーマ曲がありますが、いまひとつ効果的な演出には至っておらず、その反省から次の「VIII」ではキャラクターのテーマ曲がなくなります。そのかわり、魔女のモチーフや「EYES ON ME」といった強力なテーマでの印象付けに成功していますよね。「VII」ではそういった意味で「FFVIIメインテーマ」の方が強い印象を残しています。この「ティファのテーマ」はサントラCDの発売や、「ADVENT CHILDREN」への流用があってこそ「ティファのテーマなんだ」という認識に繋がったわけで、初めてゲームをプレイした時点で「シーンのBGM」以上の印象を得ることは難しいでしょう。ファンのリアクションで収録曲が決められた「リユニオン・トラックス」にこの曲が収められていないことが、その証明ではないでしょうか。

もちろんティファが初めて登場するシーンで流れているわけですし、その後に続く回想イベント(給水塔)やエンディングにも組み込まれていますから、分析していけばこのメロディが「ティファのテーマ」だということはわかってくるのですが、そこまで考えて曲を聴くユーザーがどれだけいるか?印象的なテーマ曲というのはそういう作業を必要とせず、無意識のうちにアタマに染み込んでくるものなんです。そういう意味ではこの曲はセブンスヘヴンでしか流れず、しかもシナリオの進行によって七番街は入れなくなる場所ですから、「これティファのテーマなんですよ」と言う方が無茶なワケで。というか開発中から「ティファのテーマ」のつもりがあったんでしょうか?それならもっと印象的な使い方ができたハズなんですが。ティファのお母さんが亡くなってしまったイベントとか、最終決戦直前とか。

楽曲自体は植松氏が得意とする、メロディ重視のあったか曲。弦や木管をメインに組み立てています。曲が良いだけにもったいないですよね。後に植松氏自身が「もっと曲数を減らせたんじゃないか、音楽を鳴らさずに済んだんじゃないか」と振り返ってますが、こういう曲が楽曲増加を招いているのでは?
06.バレットのテーマ
・七番街スラムにて、伍番魔晄炉爆破へと出発するアバランチ
まんま、ですね。ある意味、やっとこれまでの「FF」らしい曲が出てきたなあというところでしょうか?これは曲の雰囲気や音色のおかげで「バレットのテーマだろうな」と思えるものになっています。しかし、曲自体の使用が一度しかないうえ、使われているシーンの内容から「アバランチのテーマ」という誤解も生じやすく、キャラクターのテーマ曲として成功しているかどうかと問われると「?」といった感じです。これも「ティファのテーマ」と同様、あってもなくても作品自体にはそれほど影響のない曲だと言えます。厳しい言い方かもしれませんが、効果的に使えていない以上はそういうことです。実はバレットの背負っている過去って暗いエピソードばかりなので(まあ登場キャラはみんなそうですが)、この曲を使えるイベントが他にないんですよね。ならばやはり「アバランチのテーマ」みたいなものを作って、それを立てていった方が結果的には良かったかもしれませんね。

楽曲はティンパニによるドッシリとした感じを核として、アバランチのリーダーたるバレットの勇ましさを表現したかのようなブラスとストリングスが高らかに歌い上げています。しかしどこかユーモラスな感じもあり、口が悪くて直情径行ながら憎めないバレットというキャラをよく捉えていると思います。あとはほんとにもう、もっと上手く使えていたらなあという残念さだけが残りますね。

しかし、実はこの曲、後で出てくる「裏切り者の烙印(Disc2-17)」でアレンジされているんです。バレットの故郷があった土地、北コレルで流れる曲ですね。そこまで到達してやっと、「バレットのテーマ」に意味が出てくるようになります。が、「バレットのテーマ」は七番街のイベントでしか流れず、コレルに着く頃にはほとんどのプレイヤーがきれいさっぱり忘れてしまっているはず。その段階で「あ!バレットのテーマだ」と気付く人というのはかなり稀でしょう。サントラでじっくり聴き込む人が初めて気付く仕掛けである以上、ゲームにおいては効果的でないということに変わりはありません。
07.急げ!!
・螺旋トンネル列車内、未確認ID検出〜車両移動〜列車から飛び降りるまで
・伍番魔晄炉で、エアバスターの爆発に巻き込まれて落下するクラウド
・伍番街教会で追っ手に狙われるエアリスを守る戦い(バトルを通して流れる)
・七番街プレート支柱崩落ムービー
・宝条の目論見でいまにもエアリスに襲いかかろうとするサンプル(レッドXIII)
・コンドルフォートでプレイできるシミュレーションバトルでのユニット配置時
・ゴールドソーサーで殺人の濡れ衣を着せられ、追い詰められるクラウドたち
・ウータイで、窮地に陥ったコルネオがユフィとイリーナの命をタテにして威嚇するシーン
・ゴールドソーサー(デートイベント後)で、キーストーンを持ち出したケット・シーを追うイベント
・ジュノンにウェポンが接近!〜シスターレイ発射!
・コレル魔晄炉からヒュージマテリアを積み込んだ汽車が出発〜それを追うシドたち
・ジュノンの海底魔晄炉潜入
・海底魔晄炉から引き上げられたヒュージマテリアを追うシーン
・潜水艦撃沈に失敗した際、あらためて海底ドックの赤い潜水艦を奪いに行くイベント(海底魔晄炉〜潜水艦)
曲タイトルがまんまでいさぎよいです(笑)。戦闘音楽を除けば、おそらく使用頻度はナンバーワンではないかと思われる汎用焦らしBG。とにかく「急げ」「脱出」「ピンチ」というシーンに使われまくっている曲なので、印象に残っているユーザーも多いのでは。戦闘を通して絶えず流れることもあり、さらにRPG以外の操作を強要されるイベント(汽車のアレ)で使われたりと、リアルに緊迫感を煽られた人にとってはトラウマになり得るほど。主だったメロディのない構成曲であるにもかかわらず、これだけプレイヤーの心理に迫ってくるような効果を出すのは職人ならでは。ゲーム終盤では「もっと急げ!(Disc4-8)」にとって変わられる感じはありますが、印象度ではだんぜん「急げ!」の方が上です。

シンセベースの音色と打ち鳴らされるパーカッション、緊張感を煽る弦、そして後半で出てくるホイッスルのような音色が一丸となってプレイヤーを焦らせます。なんかさりげなくすごい発音数を消費してそう。
08.闇に潜む
・螺旋トンネル内部〜四番街プレート内部
・コルネオの館から落とし穴で落とされる地下下水道
・アルジュノン兵舎地下にある上級者の館
・ガイアの絶壁内部(外部は音楽なし、風音のみ)
ジャズ調のナンバー。チーチッチ・チーチッチというハイハットもさることながら、アコースティック風味なベースがいい味出してます。非常に音数の少ない構成でありながら、シーンの雰囲気によくマッチした楽曲です。基本的にはダンジョンBGで、最初に聴くことになるのは列車から飛び降りてから探索することになる螺旋トンネル。曲名の通り、「潜入」という状況をうまく表現してあります。「黒マントの男を追え(Disc2-9)」とどういう基準で使い分けているのかは不明ですが、「ガイアの絶壁」でもこの曲が流れるのはナゼ?まあクラウド側から見ればここも「潜入」かな?
09.神羅カンパニー
・伍番魔晄炉脱出時、プレジデント神羅登場
・プレジデント、ハイデッカー、リーブによる七番街プレート崩落実行会議
・神羅本社ビル外観
・神羅ビル2Fショップで見られる、魔晄エンジン搭載車のプロモムービー
・タークスに捕らわれたクラウドたちがプレジデント神羅と「約束の地」について会話
・背中に刀を突き立てられたプレジデント神羅の亡骸を発見する場面〜ルーファウスと対峙
・コスタデルソルへ上陸するルーファウス
・北コレルでの回想イベント、神羅軍に焼き払われるコレル村
・ウータイでユフィを連れ去る謎の男……コルネオ登場、のシーンでチラッと使用
・北の大空洞に、飛空艇でやって来るルーファウスたち
・ハイデッカー、スカーレットとリーブの会話イベント〜魔晄を暴走させる宝条
・八番街で、プラウドクラッドに乗ったハイデッカー&スカーレット登場(戦闘まで通して流れる)
「FF」はいつもそうなんですが、今回も敵側のテーマ曲には印象的なものが多いですね。これは当初こそ巨大企業「神羅カンパニー」のテーマとして使われていますが、プレジデントの死後は早々に「ルーファウスのテーマ」的な扱いになっていきます。下々のことなど顧みない驕れる権力者には、大仰なシンセ・コーラスがうまくハマッています。左右で打ち鳴らされているパーカッションと、センターにいるスネアから成るリズムの絡みも面白いですね。それぞれは1発ずつ淡々と打っているだけなのに、一体となった時のリズムの構成には唸るほかありません。植松氏が敵側のテーマでよく使うリズムパターンではあるんですけど、これ以外にはあり得ません。

もちろん神羅&ルーファウス関連のイベントで多用されているわけなんですが、面白い使用例をひとつ。ウータイでの、マテリアを盗んだユフィを追うクラウドたちの前に今にも彼女を連れ去ろうとするコルネオが現れるイベントで、イントロのみをチラッと使用してます(すぐに「スラムのドン」に切り替わる)。「神羅のしわざか?」と思わせつつ、実はコルネオでしたぁ〜、という音を使ったイタズラです。印象強い敵側のテーマであるからこそ可能な遊び。これをプレイヤーがまったく覚えていない曲でやっても効果ゼロなわけです。まあ一応、コルネオも神羅側の人間なんですけど、この時ばかりはコルネオが勝手にやってることですので。

もうひとつは、対プラウドクラッド戦。バトルを通してこの曲が流れる唯一の機会ですが、ルーファウスが亡き者となったことにより、プラウドクラッドが倒れることは神羅の最後の壁が崩壊することを意味しているわけで、この戦闘でこの曲が流れることの意味は大きいです。神羅にとってはもう後がない最終決戦なんですね。こうなると大仰に聞こえていたこの曲もどこか悲壮的。神羅のテーマとしてしっかり印象付けができているからこそ可能な演出なのですね。

神羅絡みで豆知識をひとつ。神羅が七番街スラムを壊滅させたシーンのムービーにおいて、社長室とおぼしき場所で下界を眺めるプレジデントの背後に一瞬、現実音としてのクラシック音楽のようなサウンドが挿入されていましたが、あれは何の曲でしょうか?正解はハイドンの「THE CREATION」で、既存のクラシックです。本作唯一の既存曲の流用になります。浜渦正志氏がシンセでアレンジし、「片翼の天使」も担当している方がコーラスを乗せています。
10.闘う者達
・通常戦闘
・七番街プレート支柱(移動・戦闘通して流れる)
・神羅ビル外観エレベーターでの2連戦
FF史上初、おなじみのイントロ「ダダダダダダドド」がなくなった戦闘曲。個人的にはとってもお気に入り。たしか植松氏は当時、「あのイントロからの展開ってどうしても似通ってくるから、前々からやめよう、やめようと思っていたのですが、今回ハードが変わるということで思い切ってなくした」というようなことを言ってました。展開の多い、長いバトル曲になっています。パッと聴き、めちゃくちゃパート数が多いような気がします。リズム隊・パーカッションもステレオ音場で細かいこといろいろやってます。イントロの撤廃についてはオールドユーザーを中心に賛否両論ありますが、筆者は音楽の幅が広がったことは良かったんじゃないかな、と。これがなければ「VIII」の戦闘曲は生まれなかったかもしれませんし、「IX」の戦闘曲に「懐かしい〜」と喜ぶこともなかったわけで。

最初に聴くことになるのはゲーム序盤、壱番魔晄炉内部でのエンカウントバトル。それまでの壱番街〜壱番魔晄炉外観部では戦闘も通して「爆破ミッション」が流れているため、壱番魔晄炉内部で最初にエンカウントした際に始めて流れるというわけです。以後はもう何度となく聴くことになるでしょう。マスターマテリア作ろうとか、全キャラレベル99目指すぞ!とか言ってたらそりゃもう。バトル回数はジュノンエリアの「オヤジ小屋」で確認できますよ。

ボス戦は基本的に「更に闘う者達」が流れますが、ゴンガガで戦うレノ&ルードと螺旋トンネルで戦うレノ&ルード&イリーナはなぜか通常通りのこの「闘う者達」なのです(他のタークス戦は「更に闘う〜」なのに)。なんででしょうね?また補足として、ミディールでの1回目の戦いを除いてアルテマウェポンとのバトルは「闘う者達」が流れます。インターナショナル版で追加されたルビーウェポン、エメラルドウェポンもともに「闘う者達」が。ダイヤウェポンは「更に闘う者達」なのにね。おそらく、シナリオ上ぜったい戦うことになるバトルでは「更に闘う者達」が使われ、プレイヤーの自由意志によるバトルは「闘う者達」、といった使い分けがされているようで。すべてのケースに当てはまる定義ではありませんが、だいたいそういう感じ。あれ?そうなると必ずしも戦う必要のないゴドーや、海底飛空艇でのレノ&ルード戦はどうなるの?うーん……。謎だ謎。正解は「プランナーの気まぐれ」ってことで。

さて、この「闘う者達」はクラウドら「VII」キャラがゲスト出演するスクウェアの格闘ゲーム「エアガイツ」でカバーされたりもしてますし(編曲:中村隆之)、FF・ドラクエキャラが集う夢のコラボ作品「いただきストリート」にも出張していたり(編曲:松尾早人)、「ADVENT CHILDREN」や「クライシスコア」ではセルフカバーされたりと、「FF」のバトル音楽でいちばんの出世頭なんです、意外にも。
11.ファンファーレ
・戦闘勝利
・ゴールドソーサー闘技場で8連戦勝ち抜き時
・チョコボにエサをあげてステータスがアップした時
・チョコボが生まれた時
・ゴールドソーサーミニゲーム「スノーボード」ゴール時
おなじみの「ファンファーレ」は本作でも健在。きちんと作品の雰囲気に合わせた、メカニカルなアレンジになっているのはさすが。「VI」まではファンファーレ後の部分がほぼ変わらないメロディを奏でていましたが、「VII」ではガラッと雰囲気が変わり、シンセサイザーのシーケンスとストリングスによる構成モノに変貌しています。「VI」よりもさらに中世的な雰囲気を捨て、近未来感を前面に押し出した本作においては従来のものよりもハマっていると思います。

こちらも「闘う者達」と同様、最初に聴けるのは壱番魔晄炉内部のエンカウントバトルで勝利した時になります。またゲーム中では、ファンファーレ部分のみを取り出して短いブリッジにしたバージョンも随所に使われていますが、サントラには未収録となっています(詳しくはページ最下部コラム参照)。
12.教会に咲く花
・伍番街スラムの教会でクラウドが目を覚ます〜エアリスとの会話一連
・教会脱出後、伍番街スラムを屋根づたいに移動
・伍番街、エアリス(と、育ての母エルミナ)の家外観と屋内
・六番街公園でのクラウドとエアリスの会話シーン(ソルジャーについて、初めて好きになった人)
・古代種の神殿後、クラウドの夢の中。眠りの森でしばしの別れを告げるエアリス
・忘らるる都にて、エアリスの願いは既に星に届いているということがわかるイベント
クラウドとエアリスが伍番街の教会で再会するシーンの曲です。再会と言っても、八番街でチラッと顔をあわせた程度なのですが……。しかしあの高さから落下してきて無事なクラウドって……ソルジャーってそういうところも強化されてるの?筆者もぜひ魔晄に漬かりたいもんです。

さて、この曲はもちろん「エアリスのテーマ」のバリエーションになっています。「エアリスのテーマ」が出てくるのはだいぶ後のことですが、その際の印象がより強いものになるよう、「教会に咲く花」でメロディを匂わせているんですね。言わば音楽的な伏線を張っているわけです。そういう点を見るだけでも、楽曲の扱いは他キャラクターのテーマとは別格。ティファやバレット他のテーマはちょっと印象薄いのですが、やっぱりイベントと音楽のインパクトの、そして何よりこの「伏線」のおかげで、エアリスのテーマ曲だけは強烈に頭に残っていますね。見事に植松氏の戦略にハマっているということですねえ。その植松氏の戦略はドンピシャで、「FFVII」はもとより「FFシリーズ」全体を通して楽曲の人気はトップクラス。ファン投票の結果「FFX」の主題歌「素敵だね」のカップリング曲としてボーカル化されたことからも、人気の高さがわかろうというもの。

柔らかなエレピの伴奏と木管楽器のみというシンプルな構成が、楽曲に最高の暖かみをもたらしています。これぐらいシンプルな方が、ユーザーの頭にスッと溶け込んでくるんですよね。極限まで装飾を外したというか、本作でここまでに出てきた楽曲は比較的「装飾ありき」の曲が多かったわけですが、ここにきてようやく本来の植松氏らしい、メロディのみで勝負!という曲がきたという感じ。むしろこの曲のため、さらには「エアリスのテーマ」を際立たせたいがために、他の曲は「引いて」いるんじゃないかと思えるほど。だからこそ「エアリスのテーマ」はあれほどの人気を得たのだと思いますし、その人気の影には間違いなく「教会に咲く花」がいるんです。もちろん作品中ではエアリスが絡んだイベントのみに使われています。それ以外への流用は一切ありません(当然、ですね)。
13.タークスのテーマ
・伍番街教会でレノ登場
・七番街プレート支柱で、エアリスを捕らえたツォンがヘリに乗って登場
・ミスリルマインでのツォン、ルード、イリーナとの会話イベント
・ルードが出入りする、アルジュノンの酒場(客はみなハゲばかり)
・ツォン、レノ、イリーナが立ち寄っているエルジュノンの神羅会員制バー
・ゴンガガでレノ、ルードと出会うイベント
・ウータイの居酒屋「かめ道楽」でレノ、ルード、イリーナと出会うシーン
・同じく「かめ道楽」で、指令を伝えに来た神羅兵を追い返すレノ
・ウータイにて、イリーナを連れ去られたレノたちと一時的に休戦協定
・コルネオを前にしてピンチに陥るクラウドらのもとに現れるレノ&ルード
・メテオ後、捕らえたバレットとティファたちに対し処刑を告げるルーファウス〜ガス室への移動まで
・海底に沈んだ神羅飛空艇(ゲルニカ)内部でのレノ、ルードと対峙
さて、「FFVII」の登場キャラと言えば味方パーティキャラやセフィロスがいやでも目立ってしまうわけですが、それ以外にも様々な「脇役」がいます。中でも「名脇役」と言えば、たびたび我々の前に現れては戦いを挑んできたり、時には戦わなかったり協力し合ったり……、そう、やたらとそれぞれの個性が強調されたプロフェッショナル集団「タークス」の面々ですね。「ぞ、と」が口グセのレノ、寡黙なルード、使命感は人一倍ながらうっかり屋なイリーナ、そしてクールなリーダー・ツォン。そんな彼らと出会うたび、流れてきたのがこの「タークスのテーマ」でした。これも印象の強い「敵側の」テーマ曲。まるでタークスの連中が揃ってフィンガー・スナップを鳴らしながら現われるようですね。シェイカー、フィンガースナップ、キック、ハイハット、タムタム、パーカッション、ギター、ベースといった感じの音数の少ない構成ですが、テーマとしてしっかり立ってます。ドラムキットを1トラックとすれば、わずかに4〜5パートで完璧にタークスを描いています。もちろん彼らのキャラが立っているからこそなんですが、プロの仕事屋のテーマを作曲した植松氏も、プロの仕事人ということで。キモは何と言ってもこのけだる〜い感じのギターですな。

制作スタッフにとっていかにタークスが「お気に入り」かは、「ADVENT CHILDREN」での活躍(特にレノとルード)をご覧いただければお判りの通り。「タークスのテーマ」もチラッと登場しているんですよ。なお、ヴィンセントもかつてはタークスのメンバーだったわけですが、彼がこの曲にのって登場する姿は……ちょっと想像できませんね。
14.腐ったピザの下で
・伍番街スラム
・六番街、六番街公園
・通気孔から神羅の重役会議を覗くシーン
・ニブル山(カームでの回想シーン含む)
・海底に沈んでいる神羅飛空艇(ゲルニカ)内部
「腐ったピザ」はミッドガルのプレートを皮肉った比喩表現。ゆえに市長の名前が「ドミノ」だったり、市長の助役は「ハット」だったりするわけです。さすがに「ピザーラ」は名前にするわけにいかなかったようですね。はい、豆知識終わり。楽曲はミッドガルのスラムの雰囲気を少ない音数でうまく表現しています。リズムとベースが機械に埋もれ陽光の当たらない様子を、そしてギターとストリングスがさびれた(貧しい)街並みを感じさせてくれます。特にこのベースの音色は良い音ですなー。決して埋もれることなく、しっかり楽曲の芯になっています。30秒あたりから入ってくるストリングスのフレーズはメインテーマの変奏と思われます。こんなに早いうちからテーマ性を明確に提示しているんですね。

ゲーム終盤でも伍・六番街に行くことは可能ですので、わりとゲーム全般において聴くことができる曲です。ニブル山やゲルニカはピザと関係ないですね。単なる流用です。
15.虐げられた民衆
・六番街ウォールマーケット
・ロケット村
シャッフルで跳ねた感覚がどことなくコミカルな曲。これもベースが楽曲を支配しており、スラムの怪しげな雰囲気を強めています。一部のベースが2トラック(センターと右)に割り振られているのも面白い効果になっています。何が狙いなのかはわかりませんが……。もしかして右はギター?いや、やっぱベースだな。まあいいか。コルネオが仕切っているウォールマーケットにハマっているのは当然として、ロケット村でも寂れた感じがマッチしてます。筆者はこの曲を聴くとですね、あの……トイレを思い出すんですよ。あのロケット村のみょ〜に描き込まれたトイレ、そしてウォールマーケット・居酒屋の消化剤イベント。あ、あとは定食屋ですね!近未来RPGに似つかわしくない、あの庶民的な定食屋。「おすすめ定食」食べてみたいっす。さしみ定食ですら「ジュージュー」と焼くのはいかがなもんかと思いますけどね。スクワットも捨て難いですね。「男男男」って、世が世なら「フォー!」でした。

タイトルの「虐げられた民衆」はもちろんスラムの住人を指しているんだと思いますが、そのわりにはウォールマーケットでしか流れないんですよね。コルネオは住人を虐げているのかな?そういやロケット村の人々はある意味では神羅に虐げられていましたよね。
16.蜜蜂の館
・ウォールマーケット内、蜜蜂の館
・ゴールドソーサーのミニゲーム「モーグリハウス」BGM
この館、最初はいったい中に何があるんだろう……と思いませんでした?外観のグラフィックは思いっきり風○店でしたけど(汗)。ここには「男男男」なんて建物もありましたし、ヘタしたら「FF」初の18禁ゲームになるとこでしたよ、もう。と、余計な心配はさておき。その○俗店……もとい、蜜蜂の館で流れてる奇妙な曲がコレ。「プッペップッペッ」というなんとも気の抜けた音色に導かれ、ピチカートと管が好き放題やってます。愉快と言うか、呑気と言うか、とにかく異質な曲ですね。実は作曲した植松氏自身、かなりのお気に入りなんだそうです。しかしサントラのアンケートハガキを集計した結果、この曲は20位にも入っていなかったそうで、ガッカリしたとか。

蜜蜂の館はシナリオの進行とともに入れなくなってしまいますが、ゴールドソーサーで「モグ・ハウス」をプレイすればこの曲を聴くことは可能です。モグと蜜蜂のイメージがどうしても重ならないんですけど、あのミニゲームの雰囲気には不思議とハマってます。「プッペップッペッ」がそこではモグの足音とか、声を思わせるんですよね。余談ですが、ゲームの進行上わずかな間しか立ち寄らない「蜜蜂の館」のグラフィック、そして蜜蜂娘たちをあそこまで作り込むスクウェアスタッフは最高です。できることなら「ADVENT CHILDREN」のクオリティで蜜蜂娘よカムバック!チックンされた時のクラウドのリアクションが見たい(もちろん「AC」のCGで)。一時期はPS2でリメイクするとアナウンスされた「VII」ですが、実現していたらこういったイベントがどうなったのか、女装クラウドがどう描かれたのか興味深いですね。
17.お前は...誰だ
・蜜蜂の館で「愛の巣箱」「団体様の巣箱」どちらかに入った際、クラウドが気を失う場面
・神羅ビル67Fで首なしのジェノバを見つけるシーン
・アンダージュノン民家で休んだ際に挿入される自問自答
・メテオ後、神羅に捕らわれたティファがジュノン医務室で目を覚ますシーン
エフェクトされたピアノ音色で奏でられる楽曲。こういう音色をサンプリングしているのでしょうか。単なるピアノよりも謎めいた雰囲気が増幅されています。プレイヤーにしてみれば「クラウドどうしちゃったの?」な曲ですね。壱番魔晄炉からおかしな挙動を見せていたクラウドの中に巣食う「何か」が、少しずつではありますが見えてくるイベントです。今にして思えばシナリオ結末の伏線がすでに……。

タイトルの「お前は...誰だ」は、クラウドの心象です。頭の中(?)で自分に語りかけてくる、自分をよく知っているような謎の声に対して。クラウドの行動(セフィロスを追う)が結局はリユニオンに基づいたものであったことがわかれば、神羅ビルでジェノバを見た際にこの曲が流れる理由もなんとなくわかります。ティファのイベントについてはまあ、こじつけようと思えば可能ですが、ただの流用のセンが濃厚ですね。
18.スラムのドン
・ウォールマーケット内、コルネオの館
・ウータイでユフィとイリーナを連れ去るコルネオ
・ユフィとイリーナをダチャオ像に吊り下げにしてご満悦なコルネオ
ほひ〜!ということで、コルネオのテーマ。あの怪しい雰囲気の屋敷といい、あの独特のキャラといい……。FFじゃなきゃできないよな、こんなの。「VII」で初めてFFをやったプレイヤー(特にドラクエファン)は、「なんだこのゲームは……」と思ったことでしょう。ウォールマーケットのイベント後、しばらく姿を消すコルネオですが(神羅ビル潜入時に館に立ち寄っても誰もいない)、「アイツどこいった?」と気に留めたプレイヤーがどれだけいたんでしょう?おそらく神羅(もしくはタークス)の追っ手から逃れていたんでしょうけど、ウータイで再会した時に「あー、こんなヤツいたっけ」とか思っちゃいました。まあその程度の小悪党ということですな。

屋敷の雰囲気もそうですが、せっかく入り口に「ぷう」と書かれたドラが置いてあるんですから、曲のどこかで「ドワァーン」と叩いてほしかったかも。個人的にはこの曲のキモは39秒の「ブゥー」だと思います。異論ある?
19.神羅ビル潜入
・エアリス奪還のため潜入する神羅ビル内部
・対ウェポン&セフィロス対策、ヒュージマテリアの回収について話し合うルーファウスと重役たち
・神羅ビル内部全域(メテオ後)
聴いての通り、神羅のモチーフで構成されている楽曲です。「神羅ビル潜入」というシチュエーションはプレイヤー視点なのですが、ここでは進入するビルの雰囲気を楽曲で表現しているんですね。緊張した高音のストリングス主体で、いつ見つかって戦闘になるかという緊迫感を出しています。一部にはバトルになるフロアがあったり、隠密行動を採らなければならないフロアもあるものの、大半のフロアは疑うことを知らない社員ばかりの呑気な雰囲気に満ちており、やや楽曲が浮いているなんてことも……。

あなたは正面から突入しましたか?それともえんえんと階段を昇りましたか?どちらの場合もビル内部ではこの曲が流れます(正面突破の場合は60F以降)。もっともゲームだから60階を階段で昇る気にもなるんですけどね。現実には無理っス。しかもふと顔を上げればティファのミニスカー(以下自主規制)。
20.更に闘う者達
・中ボス戦闘
・ルーファウスとのバトル後、神羅ビルからの脱出まで続けて流れる
・コンドルフォートシミュレーションバトルにおける、CMDグランドホーンとの直接戦闘
中ボス戦BGM。これはもうプログレというかロックですね、完全に。オルガンがメインに出ていて格好イイです。植松氏的にはプレステになって「やっとロックができる」ということでノリノリで作ったんだそう。これまでもロック的アプローチをしていたり、そういった音色を使った楽曲はありましたが、ここまで趣味炸裂な曲は初めてでは。ディストーションギターの音色もスーファミの頃に比べて安心して聴くことができます。ドラムスの耳コピがちょっと大変。でもちゃあんと叩けるように計算されてます。あとは曲タイトルの開き直りかたがイイですね、「さらに」って……。

本作の音楽の中でも人気の高い曲で、「リユニオントラック」への収録はもちろん、「THE BLACK MAGES」でのロックアレンジ、「ADVENT CHILDREN」でのアレンジなど、「闘う者達」同様に多様な展開をしています。「J・E・N・O・V・A(Disc2-14)」といい、「VII」の戦闘音楽はいずれも人気が高いですね。これは楽曲そのもののテンションももちろんですが、プレステになったことによる表現力の向上もおおいに貢献しているでしょう。初のハードで新鮮に聞こえた音楽の人気が出ないわけはないのです。

この曲が流れる戦闘は以下。VSエアバスター(伍番魔晄炉)、VSアプス(地下下水道)、VSレノ(プレート支柱)、VSサンプル:H0512(神羅ビル68F)、VSルーファウス(神羅ビル・ヘリポート)、VSモーターボール(ミッドガルハイウェイ)、VSボトムスウェル(アンダージュノン)、VSダイン(コレルプリズン)、VSギ・ナタタク(ギ族の洞窟)、VSロストナンバー(神羅屋敷)、VSマテリアキーパー(ニブル山)、VSパルマー(ロケット村)、VSラプス(ウータイ)、VSレッドドラゴン(古代種の神殿・壁画の間)、VSデモンズゲイト(古代種の神殿)、VS雪女(大氷河)、VSツインヘッド(ガイアの絶壁内部)、VSキャリーアーマー(海底魔晄炉)、VSレノ&ルード(海底の神羅飛空艇)、VSダイヤウェポン(ミッドガル近海・インターナショナルのみ)、VSゴドー(ウータイ・五強の塔)……けっこうあるなあ。
21.レッド13のテーマ
・神羅ビル68Fでサンプル:H0512を倒した後の、レッドXIIIとの会話イベント
「VII」では異色のテーマ曲。コスモキャニオンのテーマ曲「星降る峡谷」のアレンジ違いになっています。冒頭のパーカッションとベースはほぼ同じ構成で、「星降る峡谷」と異なるのはメインのメロディが存在しないところ。「星降る峡谷」ではこれに木管のメロディが加えられています。それにしてもこのタイコのサンプリング、みょーにイイ音してるんだよなあ。ひとつの音源に対して強弱を付けることで、タイコの雰囲気をうまく作っています。

ここでは「レッドXIIIが先か、コスモキャニオンが先か」について考えてみましょう。前述の通り、楽曲としては「星降る峡谷」と同一なのですが、どちらがオリジナルでどちらがアレンジ(派生)なのか?ということです。まず、「コスモキャニオン出身のキャラだからそのアレンジを使った」という推測ができます。反対に、コスモキャニオンの音楽を作る際「レッドXIIIの出身地だから彼のテーマアレンジを使おう」というのは、普通の作曲作業ではあまりないことだと思われます。動機としてあまりに弱いからです。次に、植松氏が過去に「星降る峡谷」について、「迷った」と発言していること。すでに「レッド13のテーマ」が存在していたならそんな「迷い」は生じませんよね?「過去のFFにあまりないタイプの曲だったので」と氏が語っていることからも、作曲作業において「星降る峡谷」が先に生み出されたものと思われます。そのうえで、レッドのテーマにもそのアレンジを組み込んだ、ということでしょう。

ところで、CDのブックレットでは「レッド13」となっていますよね。表記の問題ですが、キャラクターの名前は正しくは「レッドXIII」です。単なる誤植?
22.クレイジーモーターサイクル
・神羅ビルからバイクで脱出〜ハイウェイチェイスのミニゲーム
・ゴールドソーサーのミニゲーム「Gバイク」プレイBGM
一部ファンの間で「ドリフの曲」とか言われていた可哀想な楽曲。ドリフの何に似てるんだろう?多分イントロのベースのフレーズのことを言ってると思うんだけど……。セットチェンジの音楽のことかな?似てるかなあ……。とりあえず、ドリフ関係でこんな曲はない!と言っておきます。

それはさておき、曲について……。神羅ビル脱出のムービーに流れる曲であることはご存知の通り。暗いビルの中を歩くキャラクターたち、クラウドはどうしたのか?というシーンに合わせた、抑えめなイントロの導入。そこにクラウドがハーディ・デイトナ(バイクの名前です)を駆って登場すると、ドリフ……いや、シンセベースが呼応し始めます。そしていよいよ脱出!打ち鳴らすティンパニと、わかりやすいオケヒットがテンションを上げます。ここまでストレートなオケヒットはなかなか聴けるもんじゃありません(笑)。一方で、ハイウェイ、バイクといった過去の「FF」にはないフィーチャーを表現するかのように、シーケンスとベース、細かく刻むハイハットがひたすらメカニカルな雰囲気をキープしていきます。中盤以降のオルガンがもろに植松氏の好みが入っている気がしてイイですね。ロック好きな植松氏なら、ハイウェイときたらやっぱりディープパープルの「ハイウェイスター」か「スピードキング」といったところ?そりゃあパープルとくればオルガンしかないわけですよ!
23.想いを胸に
・伍番街ゲートの前で、ミッドガルを出てからのことを話す一同
・コレル山
・ブーゲンハーゲンのもとに集まり、エアリスがやろうとしていたことを探るクラウドたち
モーターボールとの戦いに勝利し、ミッドガル脱出を決意するパーティの面々。いよいよ広大なフィールドへと足を踏み出すところでの曲ですね。それぞれがこれから始まる旅に対して抱く複雑な想いを見事に表現しています。基本的には前向きなんだけれど、不安もある……。どちらにも寄らず、しかしどちらも含んでいる絶妙な曲ではないでしょうか?「メインテーマ」が入っている点も、曲の印象を高めています。一貫して「一歩引いた」曲で押し通しているからこそ、こういったいざという時のメロディアスな曲が立つわけです。

ゲームとしてはここまででもけっこうなボリュームがあったのですが、まだまだこれから……。というあたりでサントラはDisc2へ。ゲームの方はDisc1の序盤も序盤です……。レビューもものすごいボリュームになりそうな予感。

DISC2

01.F.F.VIIメインテーマ
・ワールドマップBGM
・ジュノンから出航する神羅運搬船のデモ
・コスタデルソルへ入港する神羅運搬船のデモ
・ゴンガガジャングル&メルトダウン魔晄炉外観
・ミディールでの「自分探しイベント」で、すべての真実を知るクラウドとティファ
フィールド(ワールドマップ)ではメインテーマが流れる、というシリーズの伝統を受け継いだ「FFVII」のメインテーマ。ミッドガルからフィールドに出た時に初めて聴くことになります。歴代のメインテーマというと、基本的にはわりと前向きで明るく元気な曲が多かったのですが、「VII」のメインテーマはお聴きの通りどこか不安げな幕開け。そもそもが「セフィロスを追う」「星を救う」というとっても重〜い命題を背負った旅ですから、「明るく元気」とはいきませんよね。プレステになってグラフィックがより緻密に、シリアスになったことも無関係ではないでしょう。しかし、曲が展開していく中で様々な表情を見せてくれるのです。単に不安げなだけでなく、時には寂しげに、時には癒しと救いを与えるように、時に雄大に語る楽曲は、キャラクターたちの様々な感情を内包しているかのようです。ここまで多様な変化に富むメインテーマは、シリーズでも他にはないでしょう。

それに伴う楽曲の長さも歴代屈指。と〜っても長い曲なのですが、普通に旅していると敵とエンカウントしてしまうのでなかなかすべてを聴くことはできないでしょう。それを考慮して、ゲームでは例えば戦闘の後や街から出た後には、以前の続きから再生されるような工夫がされているのです。なので、ほとんどのプレイヤーがすべてのフレーズを聴いているはず。もし聴いていないという人がいたら、サントラで聴いて!そして楽曲が語りかけてくる、「FFVII」の深い物語をじっくり味わって下さい。

なお、地上・海上とも変わることなくこの曲が流れ続けます(空・海底は除く)。
02.旅の途中で
・カームの街
・アンダージュノン
・ゴールドソーサーミニゲーム「モーグリハウス」エピローグ
・ゴンガガエリア東にある武器職人の小屋
・アイシクルロッジ、宿屋地下のパブ
・大氷河、ホルゾフの小屋
強引に分類するならば、汎用の「街の曲」です。曲名通り、旅の途中でふらっと訪れた場所で流れることの多い楽曲。最初に聴くことになるのは、ミッドガルを出てまず訪れることになる街、カーム。ここまで暗い楽曲が多く、ゲームのシナリオも重かったので、この曲に癒された人も多いのでは。マップが切り替わってこの曲が流れ始めたとたん、無条件に「ホッ」とさせられてしまいますよね。アコースティックギターの伴奏が暖かい雰囲気を作り、そのうえで奏でられるリコーダーやフルートのような木管系の柔らかなメロディが抜群の癒し効果を発揮しています。

本作では街の数がそれほど多くなく、しかもそれぞれの街に専用曲が充てられていることも多いため、実はこの曲を耳にする機会はあまりありません。それでもこれほど脳裏にこびりついているのは、本当に不安な時に救われたからではないでしょうか?たとえば、初めて広大なフィールドに放り出された時に辿り着いたカーム。厳しい寒さに力尽きた時に助けられたホルゾフの小屋。植松氏が作る「街の曲」が持つ癒しパワーは、本作でも健在なのです。
03.お休み、また明日
・宿屋やベッドで休息
・夜が明けて……といった演出
・ゴールドソーサーミニゲーム「モーグリハウス」1日目終了
・ボーンビレッジで発掘の結果を待つ時
・チョコボをカップリングして結果を待つ時
わかりやすく言うと「宿屋ME」で、基本的に休息をとって体力を回復させることのできる場所で聞くことができるものです。ゲーム中、最速のタイミングで聞けるのは七番街スラムの武器屋3Fになります(ここで10ギル払うと休むことが可能)。また、イベントの過程で自動的に場面が変わる際にも使われます。アバランチのアジト「セブンスヘヴン」では、クラウドが次のミッションに参加することを告げると画面が暗転してこの曲が流れ、「その翌日」といった感じの場面転換になっているのです。

特殊なチョコボ育成に精を出した人であれば、この曲が流れる間、生まれてくるチョコボの種類や性別にドキドキしたことを思い出すんじゃないでしょうか?
04.5年前のあの日
・壱番魔晄炉脱出後の列車内での会話シーン〜七番街駅〜七番街スラム
・七番街スラム壊滅後、六番街公園で途方に暮れるバレットたち
・モーターボール戦後、ミッドガルハイウェイの終端で今後のことを話し合う一同
・カームでの回想シーンにて、神羅屋敷にこもって書物を読みあさるセフィロス
・ウータイにて、マテリアを盗んだわけを涙ながらに語るユフィ(演技……)
・ゴールドソーサーのゴーストホテルで、これまでのまとめをするクラウド
・ゴーストホテル(デートイベント後)で古代種の神殿に向かう準備をするパーティ一行
・忘らるる都にて、クラウドが皆に「俺の中には俺の知らない部分がある」と不安を吐露するシーン
・メテオ後、ティファの回想シーン。七番街駅でのクラウドとの再会(インターナショナルのみ)
・最終戦直前、クラウドとティファの会話シーン「想いを伝えられるのは言葉だけじゃないよ」
曲名はミッドガル脱出後、クラウドがカームの宿で皆に過去の話をするイベントを指しています。そこで流れたBGがこの曲。メインテーマの変奏というか、モチーフを取り入れた曲になっています。基本的には「過去回想イベント」や「過去に思いを馳せるキャラクターの心象描写」に多用されており、言わば「過去のテーマ」という位置付けの曲ですが、その曲調からくる汎用性から、「不安な心(Disc1-4)」とともに様々な場面で使われています。

初出はもっと早く、ゲーム冒頭の壱番魔晄炉脱出イベント後、列車の中での会話シーンになります。ジェシーがミッドガルの構造を解説してくれたり、バレットが上の世界と下の世界の格差について語るところです。「好きでスラムに住んでるやつなどいない。敷かれたレールにはさからえないんだ……」と語るクラウド。「VII」ではこの後も「途中下車はナシだぜ」に代表される、状況や境遇を列車にたとえた表現が多く使われています。

使用箇所を検証すると、この曲が「知らず知らずのうちに"誰か"を演じるクラウド」と「そのクラウドに戸惑うティファ」を象徴した曲なのではないかとも思えてきます。カームでの回想イベントの際も、なにかを抑えていたに違いないティファの態度。旅立ちを決意するクラウドと、見守る(見届ける?)かのように付いていくティファ。ティファ自身の回想。そして最終決戦直前と、常にこの曲は「クラウドとティファ」を包み込んでいたのです。

寒々しいストリングスが奏でるマイナー調の「メインテーマ」のモチーフと、ハープのアルペジオが主な構成要素。あえて音にスキ間を持たせることによって、音と音の間に込められた余韻をプレイヤーに委ねています。わりと長く流されることの多いイベント曲であるにもかかわらずクドさがないのは、その「スキ間」のおかげ。
05.牧場の少年
・チョコボファーム
・神羅屋敷を脱出したザックスとクラウドがトラックの荷台で会話(インターナショナルのみ)
チョコボファームの曲ですね。インターナショナル版では流用があるものの、通常版ではチョコボファームでしか聴けません。そのかわり、ゲーム終盤であってもチョコボファームに行けば必ず聴くことができます。アコースティックギターと木管楽器から成る、3拍子の楽曲。シリーズでおなじみのチョコボのテーマではありませんが、そのモチーフはちらっと顔を出してます(1分01秒など)。チョコボを飼育したプレイヤーはかなりこの曲、聴きましたね。ひたすらエサを与えながら……。子供の誕生に一喜一憂しながら……。
06.ワルツ・デ・チョコボ
・チョコボファームで、チョコボからの問い掛けに答えた際のチョコボダンス
チョコボが踊りを見せてくれる時の曲です。聴いておわかりの通り、シリーズでおなじみの「チョコボのテーマ曲」のアレンジです。「FF」の楽しみのひとつに、こういったおなじみの曲がどのようなアレンジで登場するかということがありまして、「○○○・デ・チョコボ」という曲名も恒例のお約束。本作はまず、このワルツが登場。その名の通り3拍子になっています。終盤は盛り上がり、まるでバレエ音楽のよう。ゲームではこの曲にあわせて、ファームのチョコボたちが華麗な踊りを見せてくれました(このあとマテリア「チョコボ&モーグリ」がもらえましたね)。

ちなみにこのイベント、一度しか発生しません。楽曲に流用はなく、ゲーム中で聴くことができるのは本当に一度きり。このためにわざわざ一曲作るか……という気もしますが、チョコボのダンスモーションを組んだ人も素晴らしい仕事ぶり。こういったお遊びイベントにも全力を注ぐのがスクウェア式、ですね。
07.エレキ・デ・チョコボ
・チョコボが混ざっているエンカウントバトル
・ゴールドソーサーミニゲーム「スノーボード」BGM(シナリオ上の大氷河でのスノボは音楽なし)
シリーズでおなじみの「チョコボのテーマ」をテケテケアレンジ!チョコボが加わったエンカウントバトルで流れる、別名「闘うチョコボ達」(ウソ)。シリーズでも唯一の、チョコボのバトル音楽という意味で異色の存在です。チョコボを捕まえるために足跡のあたりをうろついて、このイントロが鳴った時の嬉しさと言ったらもう……。もろベンチャーズと言った感じで楽しめます(特にイントロと間奏部分)。こんな曲も入れちゃえるところがFFの懐の深さじゃないでしょか?プレイステーションになったからこそ出来たアレンジでもあります(このギターはスーファミでは厳しいでしょ)。音色もこの曲のために用意した、というものが多く、ギターはもちろんドラムキットなんかこの曲にしか使われてないのでは?というもの。ベンチャーズがわかる人なら大喜びの出来でしょう。それにしてもこのテケテケギター、ホントによくできてるなあ……。えっ、若い人はテケテケ知らない?オマエおっさんだろって?うーむ、植松氏のこの遊び、若い人にはどう届いているんだろう……。まあいいか、年寄りだけで楽しませていただきましょ。

「キュッキュッ」というSEはチョコボの鳴き声のイメージでしょうかね。ウインドウのセリフでは「クエッ!」と言ってますが……。
08.シンコ・デ・チョコボ
・チョコボに乗って移動
・チョコボせんにんの家
本来の意味でのシリーズおなじみ、チョコボのテーマアレンジ。というのは、チョコボというのはこれまで主に移動手段であったわけで、チョコボに乗ってワールドマップを移動している時に流れるこの曲こそが、本当の意味での「シリーズ恒例」なんですよね。ここまでの「ワルツ」「エレキ」は番外編です。それにしてもこの「シンコ」、とっても呑気でいいですね。ミドガルズオルムよりも早く、スイ〜スイ〜。ずっと乗ってたくなりますよね。5/4拍子でラフなジャズっぽく、ブラシによるドラムプレイもよく再現されています。ミドガルズオルムに脅えてたのがウソみたいな軽快さ。

この「軽快さ」、もっと言えば「スイング感」でしょうか?これが曲タイトルのもとにもなっている「シンコペーション」です。簡単に言うとリズムに揺らぎを与えて独特のノリを作り出す、みたいなこと。特にジャズでよく使われる音楽用語です。筆者のように浅学な者には、皆さんにそれを説明することができません。感覚的にわかっても、言葉にするのが難しいのです。仮に言葉にして、それを読んだ人に伝わるかどうか……。「シンコペーションとは」で検索すると専門的なページが多数ヒットしますので、探究欲溢れる方は調べてみて下さいね。この曲に関して言えば……本来の「チョコボのテーマ」と比較した際、メロディの音がもとの拍や小節をまたいで伸びてますよね?自由な配置というか、即興的なアレンジに聞こえませんか?これが「シンコペーション」……ってやっぱり伝えにくい。
09.黒マントの男を追え
・ミスリルマイン
・眠りの森〜サンゴの谷(洞窟含む)
・ジュノン海底魔晄炉(海底パイプ)
・古えの森
・大空洞内部(卵〜竜骨エリア)
ミスリルマインで初出となるBG。タイトルの「黒マントの男」とは言うまでもなくセフィロスのこと。彼の足跡を追ってダンジョンを進む際の、状況BGMと言えます。位置付け的には汎用ダンジョン音楽といったところでしょうが、魔晄炉という特殊なダンジョンが多く、かつダンジョンごとの雰囲気を重視した専用の楽曲が多い本作では、あまり出番が多くありません。

ディレイがかけられ徐々に減衰していくようなベルの音と、ジワワーっとせり上がってくるボーカリーズが張りつめるような緊張感を醸し出しています。終盤では鐘の音も加えられ、どこか神秘的な感じに。ただ怖いだけのダンジョンBGには決してならないところも、FFシリーズでは定番の要素です。
10.鷲の砦
・コンドルフォートでのシミュレーションバトル
コンドルフォートでは戦略シミュレーションがプレイできます。なんでもプロデューサー坂口氏の趣味のようで。まあミニゲームのひとつですね。純粋なRPGファンからは「なんでこんなことしなくちゃならないんだ」と言われることも……。現在のFFに受け継がれる点ですな(苦笑)。逆にハマってしまうとストーリーそっちのけでコンドルフォートに足繁く通ってしまったり。私は金にあかせてユニット雇いまくってました。シナリオにはあまり関係がない要素なのですが、マテリアを手に入れるためには避けて通れません。シミュレーションバトルで負けてもゲームオーバーにはならず、通常のバトルに移行する点はシミュレーションが苦手なプレイヤーへの救済措置といったところ?

楽曲は植松氏の得意とする、タッタカスネアとブラスが鳴り響く勇ましいマーチです。ここでの戦闘は基本的に「防衛」を主目的としたものですが、楽曲にそのような緊迫感はなく、むしろ「ガンガン押してけ!」という感じ。良かれと思って小屋の前にユニットを配置して守りに徹するとピンチに陥りやすいので、逆に前線に出して攻めた方が実は勝ち易いんですね。曲がそれを暗に示しているというのは言いすぎ?
11.ルーファウス歓迎式典
・アンダージュノン(プリシラ救出後)、ジュノンから漏れ聞こえる背景音楽
・ジュノン空港〜ジュノン内(メテオ前)
・神羅潜水艦内部での神羅兵&隊長とのバトル
いわゆる式典マーチですね。わかりやすいです。ある意味では「FFVII」唯一の現実音楽といいますか、ゲームの都合で流されているBGMではなく、実際にジュノンで演奏されている背景音楽なのです。行進に合わせるのが……ああ、視聴率があ……。ちなみになぜか「FFIX」でもちらっと流れますよ。ありゃビックリした。

ゲーム中では神羅兵から歌詞を聞くこともできました。メロディとはまったくリンクしてないようにも思えますが、データとして一応掲載しておきますね。「ル〜ファウス〜 ル〜ファウス神羅〜 わ〜れらが〜 神羅カンパニ〜 あ〜たらしい社長〜 おっ〜 おっ〜 神羅〜 おっ〜 おおっ〜 神羅カンパニ〜」……うーむ、「おっ〜」のところの発音が難しいなァ。つーかオレが社長だったらこんなウタ作ったヤツはクビ

ちなみに「リユニオン・トラックス」にも収録されています。一部の植松氏自身のお気に入り楽曲を除き、サントラのアンケートハガキから収録曲を選んだはずですから、意外とこの曲ってば人気あるんです。イベントのせいでしょうか?あくまで敵側の人間を讃える曲なんですけどねえ……。植松氏はこの曲を「リユニオン・トラックス」に入れるのはかなりおイヤだったようですよ。「たいした曲じゃないんですよ……」とは氏の談。
12.二本足で立つのも難しいものだな
・運搬船内部BGM(バレットとの会話前)
・クラウド、そしてティファがパーティを抜けた後、バレットがシドをリーダーに推すシーン
曲タイトルの意味がわからない人は、ゲームやって下さい(セリフの主はレッドXIIIです)。それにしてもこのために一曲作るか……。ちなみに「難しい」はゲーム中では平仮名でした。ところで、何度聴いても「虐げられた民衆(Disc1-15)」のアレンジにしか聞こえないんですが、この曲が流れるのはウォールマーケットとは何の関係もないイベントなんですよね、いずれも。つまり、あの曲のアレンジである必然性がまったくないんですよ。ウォールマーケット絡みで使われる予定だったボツ曲の再利用?なんて邪推もしたくなるってもんです。一応、汎用おマヌケBGMってことで。2回しか流れませんけど。
13.血の跡
・蜜蜂の館で「女王蜂の巣箱」を覗いた時
・神羅ビル67F独房に捕らわれていたクラウドたちが脱出、豹変したフロアの様子に気付く
・ミスリルマイン入り口付近の湿地帯で、セフィロスが倒したとみられるミドガルズオルムの死骸を発見
・運搬船内部BGM(バレットと会話後)
・ゴールドソーサーゴーストスクェア〜ゴーストホテル内
・ギ族の洞窟
・古代種の神殿出口、デモンズゲイトが現れる前兆
・ゴンガガで目を覚ましたクラウドに、皆がエアリスがいなくなったことを告げるシーン。怯えるクラウド
・魔晄キャノン頂上部でセフィロスは自分の子供だと宝条が語るシーン
も、これ当時すごい恐かった……。とってもホラーちっく。なんか低いSEも鳴ってて、戦闘になっても曲は切り替わらずこのまま……。途中で鳴るでっかいティンパニがまた恐い。なんと言ってもこの空白を持たせたうすら寒いストリングスがぁ……。個人的に「FF」でいちばん恐い曲に決定!実はけっこうあちこちで使われているんです。汎用恐怖BGMというところですね。タイトルの「血の跡」というのは、神羅ビル内部の床に残っていた意味ありげな血液の痕跡を指しています。この場面、エンカウントバトルのバトル背景にも血の跡の付いたものが用意されているんです。ほんと「FF」スタッフは芸が細かいです。

蜜蜂の館の「女王蜂の巣箱」を覗き見る際にも流れます。部屋の中では王様ごっこの好きなゴールドソーサー社長が趣味に興じているのでした。ヒュウゥウ〜、バリバリバリ、チュドーン!
14.J・E・N・O・V・A
・VSジェノバBIRTH(運搬船)
・VSジェノバDEATH(竜巻の迷宮)
・VS宝条、ヘレティック宝条、極限生命体宝条NA(魔晄キャノン)
・大空洞内部、星の体内へ進入(バトルも通して流れ続ける)
ジェノバ関係のボス戦で流れるバトルBGM。アナログシンセライクなメロの音色が最高!右のシンベ、左のピアノの低音で構成されているベースラインも無条件にカッコよく、かなりお気に入りな一曲です。緊張感を出しつつ戦闘をグイグイと引っ張る圧倒的なテンポの早さも、これまたグー。一言で言えば「キャッチー」なんですね。とてもわかり易く、誰もが「カッコイイ」と思える要素が詰まっているんです。ゲームと切り離しても、テクノ風味の音楽として普通にカッコイイ。現在のトランスに通じるような高揚感に満ちています。もしかすると無意識にやっているのかもしれませんが、ザコ戦をオケ、通常のボス戦をロック、ジェノバはテクノ風味というように色分けすることでタッチを付けているんですね。一曲ごとの印象を高めるためにはそういう手法もあるってことです。もしもすべてがロックだったら、どれがどれやら……といった印象になる危険があるわけです。

ファン人気もとても高く、「THE BLACK MAGES」や「ADVENT CHILDREN」でのアレンジに発展しています。「AC」でもジェノバはストーリーのキーになっていますから、この曲が流れるのはもはや必然でした。あとはどこで使われるかですが、文句の付けようがない形になっていたと思います。あそこしかないでしょ。

宝条との戦いにもこの曲が流れる理由は勘の良い人ならお気付きの通り。科学者としての探究心が極限にまで高まった宝条が自分の肉体にジェノバ細胞を注入してしまったからなんですね。
15.つづきから
・ゲームオーバー時
・ウータイで再度出会ったコルネオが苦労話をしようとするシーン
・コンドルフォートで防衛失敗(CMDグランドホーンとの直接戦闘に敗北←ゲームオーバーにはならない)
・ヒュージマテリア追跡時、潜水艦撃沈に失敗したクラウドたちが潜水艦から脱出した後
 (アンダージュノンのイルカの入り江に流れ着いたクラウドたち)
ゲームオーバーMEです。プレリュードにつながるのがニクい構成。でも聴きたくないなあ。サントラ的に「J・E・N・O・V・A」の後に入っている構成も意味ありげ。ジャズっぽいウッドベース風味の音色が素敵です。

ゲーム冒頭の壱番魔晄炉から制限時間内に脱出できなかった場合は当然ゲームオーバーになりますが、その時のゲームオーバー画面にはこの曲が流れず無音にされています。この処理によって、プレイヤーキャラがいながらにして爆発に呑み込まれてしまった虚無感がうまく表現されています。

ゲームオーバー以外で、イベントに使われる例がひとつだけあります。ウータイに再度現れ、ユフィとイリーナをさらったコルネオが、クラウドの前でここに至る苦労話をしようとする場面がそれ。「話せば長くなるけれど……」と、どんな話になるんだ?と思わせつつ、クラウドの「興味ないね!」でブチっ。笑わせていただきました。他に苦労話っぽい曲があまりないゆえの流用ですが、最も適したチョイスだと思います。
16.太陽の海岸
・コスタデルソル
コスタ・デル・ソル。南国っぽさがよく出ている傑作ですが、その特化ぶりから流用は一切ありません。ジャンルで言えばボサ・ノヴァですな。植松氏はほんと、音楽の幅が広いですね。「いろんな音楽が好き、どんなジャンルも好きになる自信がある」と言う氏ならではの曲といったところじゃないでしょうか。楽器のセレクトも典型的なボッサスタイル。こういう街があるからこそ、「旅の途中で(Disc2-2)」の出番が少なくなるわけです。ところで、ここにいるとなんか温度が上がって感じません?特に海岸などはグラフィックとあいまって潮の香りがしてきそう。そりゃあハナも渇くよね(byレッドXIII)。
17.裏切り者の烙印
・北コレル
・コレルプリズンでダインについて、そして片腕が銃になったいきさつについて語るバレット
・コレルプリズンで上に戻れるよう、ボスであるコーツと交渉するイベント
北コレルで流れる曲ですが、実はバレットのイメージ。バスッと切れる弦が面白い効果になってます。ピチカートで演奏される前半メロが「FF」では新鮮な響きになっているのですが、このピチカートが、実は「バレットのテーマ(Disc1-6)」の変奏なんです。曲調がすっかり変わっているうえ、「バレットのテーマ」自体流れたのがずいぶん前ですから、北コレルに着いたプレイヤーがわかるかどうかは微妙ですけど……。

タイトルの「裏切り者の烙印」とは、まさにバレットのこと。「バレットのテーマ」のアレンジであることの意味もそこにあります。
18.炭坑の街
・北コレル側のロープウェイ乗り場
・最終戦直前、皆が降りた飛空艇。誰も戻ってこないけど、そろそろ行こうか……という場面
北コレルのBGMかと思いきや、曲名に反してなぜかロープウェイ乗り場でしか流れないという不思議な使われ方をしている曲です。実はコレ、最初にロープウェイ乗り場に訪れた際に発生する、バレットの回想シーンの名残りなのです。その回想シーンでは廃れる前の、活気溢れる北コレルの様子が語られており、曲名が指しているのはズバリそちらのコレルのこと。もちろんこの回想イベントは一度しか発生しませんが、ロープウェイ乗り場では常にこれが流れるということになったわけです。ゴールドソーサー側からやって来ると、そのギャップは凄いものに(笑)。とことんさびれたイメージはバレットの心情に沿ったものであり、かつての北コレルを描写しているものではありません。結果的に現在の北コレルにピッタリはまってるのですが、北コレルそのものでは「裏切り者の烙印」が流れてしまうわけで、BGMを切り替える必要があったのかどうか。んー、ギターが哀愁ありすぎます。
19.ゴールドソーサー
・ゴールドソーサー(チョコボスクェア、ゴーストスクェアなど一部を除く)
ディズ○ーランドですか?いいえ、ゴールドソーサーです。という、遊園地音楽。最初に聴いた時はあまりにムービーとハマりすぎてて笑っちゃいました。植松氏って何でも作れちゃうよね!まさしくエレクト○カルパレード!きらびやかな音色に混じって人々の歓声が聞こえてきそう。しかしよくよく考えてみればゴールドソーサーって、神羅が経営しているんですよねえ……。ど、どこかに神羅のモチーフが……さすがに入ってないな。
20.ケット・シーのテーマ
・蜜蜂の館で「恋人の巣箱」を覗いた時
・ゴールドソーサーワンダースクェアで、ケット・シーと出会うイベント
・ゴールドソーサーデートイベント中、挙動不審なケット・シーを見かける場面
・黒マテリア回収のため、古代種の神殿に現れるケット・シー
これも「タークスのテーマ」と同様のフィンガースナップもの。あくまでケット・シーのテーマであって、正体であるリーブのキャラは採り入れられていないようです。曲調が既にケット・シーがスパイであることを匂わせているような気がしないでもないですが……。それにしてもぬいぐるみのスパイって……。しかもリモコン操作。すげえ設定だあ。世界の果てまで届くリモコン、ほしい!

ケット・シーの登場よりも早く、この曲を聴く機会が一度だけあります。ウォールマーケットの蜜蜂の館に入った際、「恋人の巣箱」を覗けばいいのです。この中で会話している老夫婦はどうやら「ケット・シー=神羅カンパニーのリーブ」の両親のようで、具体的にそうだとは示されないものの、神羅に就職した息子について話している点、そして部屋を見渡すと小さなケット・シー人形が飛び跳ねているところから推測できます。ケット・シー人形は両親の身を案じるリーブが渡したものか、影からひそかに見守っているのか。
21.砂の流刑地
・コレルプリズン
ならず者どもが落とされる場所・砂漠の監獄コレルプリズンのBGMです。減衰して右の方に消えていくパーカッションの音が、果てのない砂漠の広大さを感じさせます。しかしこのギターと口笛のようなリコーダーの音色が奏でる切なさは、どちらかと言えばバレットの心境を表わしているのではないかと思うのですが。「バレットのテーマ」もしくは「炭鉱の街」が入っているのかな、とも思いましたが、アレンジにはなっていないようです。音色は「炭鉱の町」とだいぶ共通していますけどね。音色で関連付けるというテもあるわけです。

DISC3

01.星降る峡谷
・コスモキャニオン
コスモキャニオンの曲で、「レッド13のテーマ(Disc1-21)」の元にもなっている曲ですね。冒頭のパーカッションはほぼ同じで、まずベースラインが加わり、次にギターと木管のメロが入ってきます。「レッド13のテーマ」との最大の違いは、この木管メロディの有無になります。メロがないのが「レッド13のテーマ」、あるのが「星降る峡谷」です。終盤の盛り上がりは圧巻。土地の雰囲気・グラフィックとの相乗効果はゲーム中でも屈指でしょう。余談ですが、フィールドを歩いていると、このエリアだけ夕焼けみたいになるんですよね。年がら年じゅう夕方?

植松氏は開発時、この曲を入れるかどうかかなり迷っていたようです(今までの「FF」にないタイプの曲だったからだそうで)。ところがディレクター北瀬佳範氏がこの曲を気に入り、使用することになったとのこと。「いつまでも北瀬君のPCのキーボードの上に譜面が残ってたから、入れろってことかな?と思って入れたんだよ(植松氏)」。他のスタッフにもウケがよかったとか。「FF」とそのスタッフの懐の深さは植松氏の想像以上だったのかもしれませんね。新しいものを貪欲に受け入れていく、それが「FF」なんでしょう。逆にユーザーの中には、新しいものを受け入れ難い人もかなりいるようですが……。
02.生命の流れ
・ブーゲンハーゲンの実験室(プラネタリウム)
「オープニング(Disc1-2)」と同じイントロで始まります。じっちゃん(ブーゲンハーゲン)のプラネタリウムでかかる曲で、ここではゲームのシナリオ上とても重要なことが語られます。高低で左右から包み込むようなストリングスと、ディレイ成分のあるベルの音色が、生命の持つ暖かみを感じさせますね。時おり挿入されるパーカッションの音色によって、コスモキャニオン的味付けも忘れていません。さらにその音色は「鼓動」「胎動」をもイメージさせているんです。ひとつひとつの音色・パートにしっかりと意味があります。
03.偉大なる戦士
・ギ族の洞窟最深部で、レッドXIIIが父セトの真実の姿を知るイベント
・ブーゲンハーゲンの最期を看取るレッドXIII
「星降る峡谷」の別バージョンです。「レッド13のテーマ(Disc1-21)」のアレンジではありません(レッドのテーマにはメロがないので)。レッドXIIIの偉大なる父、セトのテーマと言えるでしょう。最初は哀愁を帯びて始まりますが、誇り高き戦士を讃えるかのように楽曲は徐々に壮大な展開をしていきます。アオーン。
04.忍びの末裔
・ユフィとのエンカウントバトルに勝利した後の会話イベント
・五強の塔を制したユフィがウータイへの思いを語るシーン
まあ、ユフィのテーマですね。プレイヤーによってユフィは仲間になったりならなかったりするため、明確に「ユフィのテーマ」と名付けられた曲は存在しませんが(ヴィンセントもありません)、この曲のタイトル「忍びの末裔」は間違いなくユフィのことです。個人的には「マテリアいただき(Disc3-10)」がユフィのテーマだと思っていますが(笑)。あ、お聴きになればおわかりの通り、「忍び」と言っても決して和風っぽい曲ではないので、念の為。最速で聞けるタイミングはミスリルマインを抜け、コンドルフォート〜ジュノン周辺の森でユフィとエンカウントした時になります。ただし、ユフィと出会う確率はウータイに近い場所ほど上がるので、ジュノン周辺だとかなり根気良く粘らないと会えないカモ。仲間にするならもちろん早い方がいいですけどね。

しかしパーティキャラの何人かが隠し扱いというのは過去のシリーズでもありましたが、仲間にする手段がエンカウントというのはありましたっけ?ちょっとRPGに慣れた人というのはなまじ「森はエンカウント率が上がる」と思い込んでいるため(実は「FFVII」では関係ありません)、森を避けて歩くもの。結局ユフィと出会わずにゲームをクリアしてしまった人がなんと多かったことか。もちろん彼女を仲間にしていないと、この曲を聴くこともないのです。サントラで初めて聴いたという人もいるのでは?「忍びの末裔って何のこと?」みたいな。

余談ですが、植松氏のソロアルバム「ファンタズマゴリア」に原曲があります(ウソ)。
05.星に選ばれし者
・カームでの回想シーン。神羅屋敷でセフィロスが「母に会いに行く」と言って歩き去る場面
・同じく回想。ニブル魔晄炉で母・ジェノバと邂逅するセフィロス
・現在の神羅屋敷でセフィロスと対峙し、リユニオンについて聞かされるイベント
・古代種の神殿に現れたセフィロスが、ツォン相手に己の野望を語るシーン
・古代種の神殿「壁画の間」でクラウドたちの前に姿を現すセフィロス
・黒マテリアを回収したクラウドたちのところに、セフィロスが現れるシーン
・北の大空洞で眠るセフィロスの本体が現れる〜黒マテリアを渡すクラウド〜ウェポン発動
・最終戦直前、桁違いのセフィロスの力に圧倒される一同〜パーティ分割画面
これはもう「セフィロスのテーマ」と言っていいですね。めちゃくちゃ好きです。曲がテーマ性を持っていて、非常に立ったものになっています。初出はカームでの回想シーンです。神羅屋敷にこもって書物を読みあさり、自分の出生の秘密や「ジェノバ」と呼ばれる"母"の存在、セトラについてなど、あらゆる知識を得たセフィロスは人間への敵対心を露わにします。セフィロスは「邪魔するな。オレは母に会いに行く」と言い残し、ニブルヘイムを焼き払ってニブル魔晄炉に向かいます。そのセフィロスのセリフをキッカケにして鳴り響いたのがこの曲でした。彼が炎の中去っていくムービーにはゾクッとさせられたものです。

重みのある鐘の音と、左右に割り振られた心音をイメージさせるパーカッションによって始まり、神々しくも威圧的な感じのするボーカリーズによる悲劇的なメロディは、プレイヤーに圧倒的なインパクトを与えるでしょう。セフィロスという存在が放つ絶対的な強さと不可解な力をいやでも感じさせられます。以後、このボーカリーズが奏でるセフィロスのモチーフは、セフィロスに関するイベント楽曲にたびたび挿入され、さらに印象を強めていきます。

なお、サントラには収録されてませんが、コーラスパートを抜いたリズムのみのアンダースコアも、ゲーム中では複数箇所で流れます(使用箇所はページ下部・サントラ未収録曲リストを参照のこと)。
06.悪夢の始まり
・神羅屋敷(現在)の地下エリア
・ルクレツィアのほこらでの再会イベント、回想シーン
ニブルヘイムの神羅屋敷・地下で流れる曲です。隠しキャラであるがゆえに明確なテーマ曲のない、ヴィンセントのテーマと言ってかまわないでしょう。ルクレツィアのほこらで発生するイベントで使われていることからも明らかです。彼の宿命を表現している曲で、彼が棺桶から出てきて己の罪について語るバックにもずっと鳴り続けています。曲名の「悪夢」は解釈によっては、ここ神羅屋敷に閉じ込められていたクラウド(とザックス)の悪夢、とも考えられますが、これはやはりヴィンセントの悪夢で正解でしょう。実際、ヴィンセントは棺桶の中で眠りにつくたび、激しくうなされるほどの悪夢に苛まれているようですから。あれだけのシナリオに係わる過去を持ちながら、隠しキャラ扱いなのはなぜでしょ?彼の存在を知らないままゲームをクリアしてしまい、そのまま封印してしまった人も多いはずで、そういう人が「AC」を見たら「???」だらけになるでしょうね。「誰、コイツ」みたいな。しかもこの隠しキャラを主役にして一本ゲーム(DC)作っちゃうんだから……。

楽曲は「禁じられた遊び」のような、ギターのみで奏でられるシンプルな構成。アクセントの置き方がもろに「禁じられた遊び」で、まあ普通は棺桶に入って眠るなんて禁止するよな。
07.シドのテーマ
・ロケット村、神羅26号内部で初めてシドと出会うイベント
・なりゆきとは言え結果的に宇宙に出る夢が実現してしまい、感慨に耽るシド
・宇宙から自分たちの住む星を見たシドが、星を守る決意を新たに語る飛空艇でのイベント
・ミッドガルの危機に際して助けを求めるリーブに対し、「もちろんさ!」と答えるクラウドたち
「艇長とはオレ様のことだ!」ということで、ちょっとハンス・ジマーの映画音楽のテイストが感じられる、格好いいシドのテーマ曲。シドには格好よすぎる感じもしますが、ロケットがらみのイベントで流れるともうバッチリなんですよ。ゆっくりとしたマーチングスネアとシンセベースの上で、ストリングスと金管が高らかに、伸びやかに歌います。宇宙に思いを馳せるシドの心象を描写しているのでしょうか。単なるキャラクターのテーマというよりは、そのキャラクターが夢見る「宇宙そのもの」も内包しているかのような曲調です。でなけりゃべらんめい口調の江戸っ子シドには……もったいなさすぎる。この曲のメロディもまた、後に出てくるロケット関連のイベント曲に組み込まれていきます。やりすぎなほどの「立つ」メロディはそういう時に生きてくるのです。プレイヤーが覚えててくれなければ意味がないですからね(それで失敗しているのがバレットでしょう)。

神羅のロケット作戦を結果的には妨害してしまい、自分たちのやったことは間違っていたのかと悩む面々に、宇宙から地球(なのか?)を見たシドは「この星はセフィロスという病気を抱えて震えてる。誰かが守らなきゃならねぇ。それは俺様たちじゃねえのか?」と士気を高めます。皆から「かっこいい」と絶賛されるシドですが、「そのためにはどうすれば?」の問いには「……考え中でい」、音楽もブチッとカットアウト。曲が必要以上にアツいからこそできる遊びですね。
08.タイニープロンコを奪え!
・ロケット村からタイニーブロンコで飛び立つムービー
メインテーマのアレンジなのがうまいっす。イベント・ムービーにぴったりと合わせた展開になっており、ふわふわとしたイントロは浮き上がるタイニーブロンコ。メインテーマが出てくるところは神羅の連中の頭上を華麗に飛び去るシーン、37秒あたりからの危機的展開は弾が当たった!不時着するぞ!のあたりになります。もちろん一度きりのイベントですから、この曲もゲーム中では一回しか流れません。
09.ウータイ
・ウータイBGM(ダチャオ像、五強の塔内部含む)
この曲のおかげでウータイという場所がとってもうさんくさいものになっています(笑)。街の作りはまんま和のテイストですが、曲は安易な和風音楽にはしていません。ピッチベンドを上手く使うことでアジアンというか、異国情緒のある雰囲気にはなっていますが、琴や三味線、尺八といった「和」な楽器は使われておらず、せいぜいシタールっぽい楽器が入っている程度。「和」というよりはもっと大陸寄りな感じですね。

曲調自体も「街の曲」というよりは、「どこかにユフィが潜んでいるはず……」という重々しい感じでまとめられています。騒動が終わった後も五強の塔やダチャオ像の存在が、この曲を浮いたものにしていません。というか最初からそのあたりも計算ずくなのでしょう。個人的にはこの曲を聴くとネコを思い出しますね、ネコにゃーん。
10.マテリアいただき
・ウータイに向かう途中、不自然な態度を見せ始めるユフィ
・↑突如現れた神羅兵を退けると、マテリアがゴッソリなくなっている、というイベント
・自室でマテリアを返すとみせかけ、クラウドたちを罠にハメるユフィ
・五強の塔でユフィにあらためてクラウドたちについて行くよう命じたゴドーが、
 「戦いが終わればマテリア、用済みになるのではないか?」とユフィと内緒話を……
はじめてマテリアがなくなった時の驚きと言ったら……いやあ、戦闘がツライツライ。死にまくりでしたね。過去のFFでせっかく育てたキャラがパーティを離脱した時以上のショックでした。あ、曲の方は、「忍びの末裔(Disc3-4)」のモチーフがうまく取り入れられているアレンジになっています(21秒〜)。あまり長く流れる曲ではないので、1ループは短めになっています。
11.本命穴チョコボ
・ゴールドソーサーミニゲーム「チョコボレース」出走前エントリー画面
チョコボレースの出走前画面で流れる曲ですが、チョコボのアレンジではないようです。古き良きゲーム音楽っぽい音色に好感が持てますね。
12.フィドル・デ・チョコボ
・ゴールドソーサー内チョコボスクェア
・ゴールドソーサーミニゲーム「チョコボレース」レース中BGM
・ミディール(崩壊前)の各ショップ(買い占めおばさん&白チョコボのテーマ)
・ミディール(崩壊後)、買い占めおばさん&白チョコボのいる高台
チョコボレースでの競技中BGM。見事にフィドルだあ。「チョコボのテーマ」アレンジの豊富さではシリーズでも「VII」がいちばんではないでしょうか?途中で挿入されるムチ打つ音とか「ヤッホーイ!」という人声サンプリングがバッチグー。コントローラー握り締めてトウホウフハイを追ったあの日々が蘇ります。星の危機だっつーのに鳥レースに興じるというのもどうかと思いますが……。

よく聞くけど「フィドル」ってなに?という人もいるかと思いますが、フィドルというのは音楽のジャンルではありません。楽器の名前です。その楽器とはズバリ、ヴァイオリンです。オーケストラの世界でいうヴァイオリンは、民俗音楽の分野では「フィドル」と呼ばれているのです。さきほど「ジャンルではない」と書きましたが、実は「アイリッシュ・フィドル」に代表されるジャンル名としても定着しています。楽器名から派生したジャンル名ですね。「フィドル・デ・チョコボ」をジャンル分けするなら「カントリー」ということになるのでしょうが、カントリーの世界でもヴァイオリンはフィドルと呼ばれることが多いんです。ちなみに植松氏も趣味としてフィドルをたしなみ、友人たちと練習会を開いたりしてるようです。植松氏のフィドルの先生は、その縁で「素敵だね」のカップリング曲「Pure Heart」のアレンジを担当しています。「Pure Heart」はご存知の通り「エアリスのテーマ」のアレンジ。どうです?「FFVII」とフィドルの関係って実はかな〜り深いんですヨ
13.大当たりぃ〜
・ゴールドソーサーミニゲーム「チョコボレース」ゴール時
 …券を買って観戦してた→勝敗に関係なくいずれかのチョコボがゴールした時に流れる
 …自分で出場した→勝利した時のみ流れる
おなじみ「ファンファーレ」の電子音バージョンと言いますか、レースで勝った時に流れます。こういったセルフパロディも「FF」ならでは。この曲のおおもとを作った「I」の頃の植松氏は、ここまで定着すると予想していたでしょうか?ところでレースに自分で出場してばかりいる人には「"大当たり"ってなんのこと?」ですが、券を買って賭けを楽しむ本来の「チョコボレース」を曲名にしているんですね。

ファンファーレに続く後奏の部分は「VII」バージョンではなく、過去シリーズの定番フレーズを採用。
14.涙のタンゴ
・ゴールドソーサーミニゲーム「チョコボレース」に自分で出場した場合、負けると流れる
レースに負けた場合に流れる「ファンファーレ」のマイナーバージョン。ってかファンファーレじゃねえ〜。こちらも過去シリーズのフレーズを使っています。「タンゴ」とはアルゼンチン発祥のダンス及びそれに付随するダンス音楽の名称(ジャンル)で、2拍子を基調としたもの。「黒ネコのタンゴ」「だんご3兄弟」を思い浮かべながらこの曲を聴けば、「これがタンゴということか」とわかるかもしれません。
15.初舞台
・ゴールドソーサーデートイベント中の舞台BGM
ゴールドソーサーのデートイベントで参加する舞台劇の劇伴。最初は「おっ、"VI"みたいなオペラか?!」と思いましたが、ちょっと違いましたね。喜劇でした。楽曲も「VI」のように壮大なものではなく、学芸会っぽいチープさの漂うものになっています。ちなみにこの劇、大団円に至る選択肢のパターンは一つだけになってますが、分岐による音楽の変化はありません。曲はベタ垂れ流しで、イベントの展開や分岐に伴う展開はナシ。
16.花火に消された言葉
・ゴールドソーサーデートイベント中の、ラウンドスクェア(観覧車)BGM
・古代種の神殿で、自分を信じてくれたクラウドたちのため、黒マテリアパズルに挑むケット・シー
・ミディールで、病院にクラウドらしき人物が保護されているという情報を得るシーン〜病院へ
デートイベントのトリ、観覧車で美しい花火のムービーをバックに流れる曲。メインテーマのモチーフが散りばめられています。キャラクターテーマ曲のアレンジになっていないのはデート相手の候補が4人いるためで、特定のキャラのモチーフを入れるわけにはいかないからです。場合によってはバレットとデートすることも……。ちょっとエアリス寄りの曲調である気もしますね。特に狙いもなくゲームを進めていると、好感度的にエアリスになる可能性が高いんです。

デート候補の各キャラクターには、内部的にクラウドに対する「好感度」という隠しパラメーターがありまして、ゲーム内での選択肢の結果や行動によって変動しています。ゴールドソーサーでのイベント時点で最も好感度の高いキャラが、デートのお相手になるんですね。皆さんは誰とデートしましたか?私はユフィちゃんとのデートに成功。「チュッ」てしてもらいました。ユフィとデートするためにはとにかくエアリスとティファには嫌われまくって、ミスリルマインを抜けたら速攻ユフィを仲間にして……あ、この頃から北瀬チームのFFはラブコメ要素が?!
17.樹海の神殿
・古代種の神殿
印象的な鐘の音で始まるこの曲は、古代種の神殿で流れてくる曲です。神秘的でありながら、なんとなく焦らせられる曲。ここの謎解きはちょっと悩んだ記憶がありますね。それと同時にこの曲もえんえんと聞いていた覚えがあります。決して暗かったり絶望的な曲というわけでもないのに、運命的なものを感じさせるんですよね。それはここで待ち受けるイベントを知っているから?この後の展開を知っているから?

なお、他への流用が一切ない曲でもあります。さらに、古代種の神殿はクリアすると入れなくなりますから、ゲーム中でもきわめて聴くことのできるタイミングが限定されているんです。だけど、すべてのプレイヤーが必ず聴く曲でもあります。ゆえに印象に残るのかもしれません。もちろんここで起こるいくつかの重要なイベントとの相乗効果であることは言うまでもありません。
18.星の声が聞こえる
・忘らるる都(通常時)
忘らるる都でかかる曲。個人的な意見で恐縮ですが、これ聴くとなんかとても絶望的な感じがしてくるんですよ。イントロの音色がとってもユウウツに聞こえるんです。「ヤな予感」と言うんでしょうか。いや、ネタではなくて。プレイしている時にすご〜くヤな感覚に陥ったんですね。そしたら……アレでしょう。テンポ、音色、曲調とすべての要素がダルくてユウウツというのは、シリーズを見渡しても珍しいと思うんですよ。ここぞとばかりに植松氏が「負の波動」を解き放ったとでも言いましょうか。筆者的に本気でヤな曲です。何度ゲームを再プレイしても、忘らるる都に立ち入る時は無意識に躊躇してしまう、そんな曲。
19.エアリスのテーマ
・エルミナがエアリスの育ての母となった経緯を語る回想シーン
・エアリスがセフィロスの手にかかり絶命するムービー〜ジェノバLIFE戦〜湖のムービー
・最終戦を目前にして、ここにはいないエアリスに思いを馳せる仲間たち
「FFVII」と言ったらこの曲です。他にいい曲はもちろんあるんですが、やはり劇中でこのインパクトを超えるものはなかったですね。ここまで他の曲を「一歩引いた」楽曲で構成してきたからこそ、「エアリスのテーマ」が圧倒的に引き立つ。植松氏的にはここでプレイヤーを泣かすつもりですね、間違いなく。確信犯です。この後の戦闘がこの曲のまま行われるのも見事な演出(拍手!)。今でもこの曲を聴くとゾクっとします。「VI」の「アリア」とちょっと似ていようが、そんなことはどうでもいいんです!

ピアノの静かなイントロに始まって、一気に盛り上がる管弦群にハープも添えられているという楽器構成。34秒からの木管が歌い上げる儚げなメロディに、エアリスと交わしてきた言葉、エアリスとした約束、ここまでエアリスと歩いてきた道程……そういったものが脳の中でフラッシュバックします。もちろんここでこの曲が活きるのは曲の良さ・インパクトはもちろんのこと、事前に「教会に咲く花(Disc1-12)」で伏線を張っていたからでもあります。それがなかったら、この曲がここまで立つものになったかどうか。おそらく印象度という点では半減していたのでは。それほどまでに「教会に咲く花」が果たした役割というものは大きいんです。「教会に咲く花」あっての「エアリスのテーマ」。縁の下の力持ちというやつですね。

本作のファン人気ナンバー1と言っても過言ではないこの曲は公式のファン投票で1位になり、「FFX」の主題歌シングル「素敵だね」のカップリング曲としてRIKKIが歌うことにもなりました。「リユニオン・トラックス」ではオーケストラ演奏されていますのでこちらもオススメ。また、当然ながら「ADVENT CHILDREN」でもフィーチャーされています。ゲーム本編をプレイした人であれば無条件に背筋に電流が流れることでしょう。
20.雪に閉ざされて
・アイシクルロッジ
・大氷河
これはもう雪!寒っ!といった印象。ゲームやってて本気で「寒い」という錯覚に陥ったというのは凄いことですよ。グラフィックがそれはもうとても寒そうにできてましたからねえ。フワフワとした浮遊感のある弦楽器のような音色が淡々と同じ進行を繰り返すなか、あとはピチカートストリングスとベルのみというシンプルな構成。ゆえに、大氷河での風の音なんかがグッと前に出るわけです。この独特の浮遊感は3/4というワルツの拍子も作用してます。

余談ですが、筆者は小心者なので、クラウドが大氷河で行き倒れる時の「バタッ」という音がホントに恐くて……。初めてプレイした時にはもちろんそんなこと知りませんから、ビックリすると同時に何が起こったのかまったくわからず。今でも再プレイする時には「そろそろ倒れるかな、まだ行けるかな」とドキドキしながら大氷河をさまよっています。これも曲を抑えているがゆえの……効果?
21.北の大空洞
・ガイアの絶壁を抜け、初めて大空洞を目の当たりにするムービー
・竜巻の迷宮
・メテオ後のワールドマップBG
・アンダージュノン(メテオ後)
・神羅のヒュージマテリアロケット作戦も失敗に終わり、いよいよ地表に近付くメテオに絶望する人々
ドズーゥゥン。ゲーム中盤以降のワールドマップBGとなる曲です。絶望的な世界のイメージ。しかしこの低音、凄く効いてますね。最初は竜巻の迷宮到達時に聴くことになるわけですが、実はそこにセフィロスの本体が潜んでいたわけで、ここからの物語は常に大空洞(とセフィロスの存在)を意識しながらのものになっていきます。ゆえにワールドマップのBGMになるわけですね。そのため「メインテーマ」も組み込まれているのが大きなポイント(2分46秒あたりの木管に顕著です)。通常の「メインテーマ」が様々な感情を採り込んだ曲だったのに対し、この曲はただひたすらに重圧的・絶望的です。これはひとえに北の大空洞から発せられるプレッシャー、そしていつかはあそこに行かなければならないという宿命を表しているからなのでしょう。
22.リユニオン
・北の大空洞の底(セフィロス本体が眠る場所)、そこへやってくるルーファウス一行とクラウドたち
・同じ場所で「ここはリユニオンの最終地点」と語るクラウド、黒マテリアをセフィロスのもとへ
・大空洞内部(湿地帯エリア)
物語が急速なスピードで展開していきます。どうなっちゃうの?といった感じで、なかなか中断できませんでした。宝条の口からリユニオンというものが語られる、物語を紐解く重要なシーンです。ジェノバはバラバラになっても再び集まるために動き出す、それが「リユニオン」。各地で見かけたセフィロスの姿は、擬態能力を持つジェノバが化けた姿でしかなく、そのセフィロスを追うクラウドもまた、「セフィロスを倒す」という意志で行動していたように見えて実はそれは、宝条によってクラウドに埋め込まれたジェノバ細胞による「リユニオン」だったのです。

なにかを急かすような、前進したり後退したりを繰り返す弦楽器の刻みをベースに、ディレイ成分がパンニングされたピチカートとハープが脇を固め、後半には運命的なものを感じさせるコーラス音色も現れてきます。ラストダンジョン・大空洞の一部のエリアでも使われているため、キャラ&マテリア育成に精を出したやり込みプレイヤーにはそちらの印象が強いのでは。なにしろムーバーはここにしか出ませんからねえ。インターナショナル版でマジックポットが手強くなったのにはまいりましたが。
23.俺は…誰だ
・古代種の神殿、壁画の間で突然錯乱・分裂気味になるクラウド(有名な「クックックッ……黒マテリア」)
・黒マテリアをセフィロスに渡してしまったクラウドが錯乱し、エアリスを殴りつけるシーン
・忘らるる都、祭壇で祈りを捧げるエアリスに対し今にも襲いかからんとするクラウド
・ジュノンガス室でのティファ脱出イベント〜シスターレイがサファイアウェポンを撃破するムービー
・ライフストリームの中での、クラウドとティファの「失われたクラウド探し」
クラウド、ヘンになるのテーマ。もしくは「自分探し」のテーマですね。このピアノにかかってるの、どういうエフェクトだろ?「F.F.VIIメインテーマ」のアレンジと言っても良いでしょう。これによって「メインテーマ」とはそもそも「クラウドのテーマ」なのだ、という解釈もできますが、そもそもゲームの根本のテーマが自分探しだったのかもしれません。印象付けという面ではかなり早い段階から伏線があったと言うことです。曲自体の1ループはきわめて短め。6/8、5/8が目まぐるしく入れ替わることで不安定感を強調しています。

DISC4

01.神羅軍総攻撃
・六番街プレート断面を昇るクラウドたち
・ジュノン内BGM(メテオ後)
・北の大空洞に向けてキャノンを発射せんと目論むルーファウスと重役たちの会話
・シスターレイのキャノン砲がダイヤウェポンを貫くシーン
主にメテオ後のジュノン内でかかるBGM。マーチ調になっています。パッと聴くとわからないかもしれませんが、きちんと「神羅カンパニー」のアレンジになっているのです(30秒以降に顕著)。あくまで神羅視点の楽曲になっており、他の流用シーンでも神羅側が何かしらの行動を起こす際に使われています。唯一、クラウドらが六番街プレート断面を昇るイベントにおいてのみイベントの主観は味方側ですが、ここでは神羅ビルに向かうために行動を起こしているわけで、根拠として神羅のモチーフが組み込まれていることについて違和感はありません。
02.ウェポン襲来
・シスターレイの一撃も虚しく、ジュノンにサファイアウェポンが接近〜エアポートへと急ぐバレット
・ミディールにアルテマウェポンが襲来、バトルまで通して流れる
ジュノンにウェポンが襲来するシーン一連で流れる楽曲。このシーンは圧巻のムービーが連続し、さらに毒ガス室に閉じ込められたティファ、それを助けるべく焦るバレット、一方でウェポンを迎撃する神羅軍といった具合に非常に緊迫しており、その間絶えず流れ続けていたのがこの曲でした。ウェポンの強大さ、意外と頼もしい神羅軍、焦るバレットなどすべての要素をひとつも漏らさずみごとに演出しているのはさすがとしか言えません。

後半には「星に選ばれし者(セフィロスのモチーフ)」のフレーズも顔を出します(1分2秒〜)。ウェポン覚醒のきっかけはまちがいなくセフィロスだったわけで、これもセフィロスがもたらす災厄にほかならないのです。まあウェポンはセフィロスを守っているわけでも、彼に操られているわけでもありません(誤解しがちですが)。あくまでメテオ発動に伴う「星の危機」を感知して覚醒しただけで、ウェポンは「星を傷つけるもの」を滅ぼすべく行動します。おそらく人間(とその文明)はそのように認識されたのでしょう。うーん、それにしちゃエメラルドやルビーは海とか砂漠でジッとしてるだけのような……。
03.空駆けるハイウインド
・バレットたちが奪ったハイウインドが窮地のティファを救出するムービー
・飛空艇ハイウインド内部
・ヒュージマテリア回収作戦にあたり、シドがリーダーを引き受けるシーン
・クラウドが復帰し、みんなで「途中下車はできねえぜ!」
・飛空艇に乗って移動中(クラウド復帰後←復帰前は地上と同様「北の大空洞」)
・最終戦を目前にして、もう戻ってこないかと思われたメンバーが再度全員終結!
・いよいよセフィロスのもとへ!〜Disc2終了
飛空艇での移動BGです。聴いてすぐわかる通り、もちろん「メインテーマ」のアレンジになっています。つまりワールドマップで流れる曲はアレンジこそ違えど「メインテーマ」で一貫しているわけです。ここまで楽曲にテーマ性を持たせているゲーム音楽も珍しいのではないでしょうか?「北の大空洞」にも「メインテーマ」は組み込まれていますし。アレンジを変えるだけでこんなに印象が変わるのか!という単純な楽しみ方もOKです。「空駆けるハイウインド」はテクノロジーを象徴するかのようなシーケンスと、風を切るかのような爽やかなストリングス、スピード感・疾走感溢れる勇ましいブラスで構成されており、いつまでも飛び続けていたい気持ち良さ。「FF」の飛空艇音楽はやっぱりこうでなくちゃ!というオイシイ魅力が詰まってます。

初出はジュノンでスカーレットに追い詰められたティファの前に、バレットたちの操るハイウインドが現れるムービーで、以後飛空艇内部へと続けて流れます。ただしこの初出、あくまでシナリオ上のこと。実はゴールドソーサーでミニゲーム「モーグリハウス」をプレイすると、イントロだけチラッと聞けるんです。モーグリが飛ぶ場面に飛空艇の音楽を使ったわけで、知っていれば「なるほど」な流用です。
04.深海に眠る秘密
・クラウドの操縦で動き出す潜水艦(ミニゲーム中は流れず)
・海底を潜水艦で移動中
潜水艦に乗って海中に潜ると流れる曲です。潜水艦の移動スピードとあいまって、ゆったりとした海底の雰囲気がよく出ています。もしかしてこれにも「メインテーマが?」と思いましたが、さすがになさそうです。エンカウントやイベントのない海底ですから、もっとクドい曲でもいいのでは?と思うかもしれませんが、海底の静寂感を出すにはこれぐらいでじゅうぶん。逆に潜水艦ゲームのように、音楽ナシでソナーの音だけでもよかったぐらいです。まあさすがにそれだと「もたない」のかもしれませんが……。なお、インターナショナル版ではこの海底に、オリジナル版では見なかった巨大な物体が徘徊しています。接触すると戦闘になりますし、何の用意もないとほぼ全滅は確定。そう、追加ウェポン「エメラルド」です。インターナショナル版では海底でも油断は禁物!
05.偏狭の村
・ボーンビレッジ
・ミディール
・ジュノンエリア、オヤジ小屋(戦闘回数を教えてくれるオヤジがいる小屋)
「発掘」をするあの村、ボーンビレッジの曲。他にミディールでも使われています。まさしく「辺境」ですね。ん?サントラでの表記は「偏狭」か。ウッドベース風のベースとエレピの演奏がさりげなくクールで、過去の「FF」シリーズにはあまりなかった感じ。こういった音色に依存したイメージというのも、プレイステーションならでは。個人的にこの曲は効果音とセットで耳に染み付いているんですよねー。たとえば、発掘作業をする時の「ピロピロピロ……チュドーン」とか、オヤジ小屋の「ぷう、ぷう(鼻提灯?)」とか。音楽だけ聴いてると何か物足りないこの気持ち、わかってもらえますか?ゲーム音楽ならではですけどね。
06.絶望の淵から
・ミディールで、重度の魔晄中毒となってしまい変わり果てたクラウドとの対面イベント
・ロケット村(メテオ後)
ミディールでのクラウドとの対面シーンで初めて流れます。まさに絶望、といったけだるさ、ユウウツさの漂う曲。「星の声が聞こえる(Disc2-18)」と並んで本作品の2大暗い曲!行方不明になったクラウドとの再会は思ったより早かったものの、その変わり果てた姿に我々はティファ以上のショックを受けたものです。なお、この曲が「ゼノギアス」で流れるということはもちろんありません。意味わかんなかったらゲームをやりましょう。
07.山の向こうに
・ミディールでのクラウドの「自分探しイベント」中、母を亡くしたティファがニブル山へ向かうシーン
こんな曲どこで流れたっけな?と、サントラ発売時真剣に悩んだ曲。ゲームの中ではたった一度しか流れないイベントBGMです。ゲーム的には「山の向こうに」の後には「お母さんがいるの?」という語句が続きます。スーファミ音源に比べて、アコースティックギターの表現が格段に向上していることを実感できるギターソロ曲です。が、ゲーム的視点からこの曲を見ると、はっきり言ってあってもなくてもという感じです(ムダとまでは言いませんが)。ここに「ティファのテーマ」のアレンジとか、過去の回想で頻出している曲を持ってくる(ギターアレンジでも可)とかしていれば、かなりここのイベントの印象が変わったのではないかと思います。ゲーム終盤にさしかかって、なお伏線や脈絡のない新曲を挿入する必要があったのか?それほど重要か?他に代わりがないタイプの曲か?という詰め方をしていくと、この曲自体の必然性ってそれほど感じられないんですよね。
08.もっと急げ!
・ゴールドソーサーバトルスクウェアにおける闘技場でのバトルBGM
・ウータイへの道中、突然神羅兵がやって来るイベント(そのままバトル)
・北コレルへ向かう汽車を止めるイベント
・ライフストリームの噴出で崩壊するミディール
・ヒュージマテリアを積んで発進してしまった神羅潜水艦を追うシーン(潜水艦ブリッジ到着まで)
・ヒュージマテリア追跡時の潜水艦撃沈ミニゲーム(ゴールドソーサーではBGMなし)
・潜水艦撃沈に失敗し、乗っている潜水艦からの脱出を迫られるクラウドたち
・ヒュージマテリア追跡時のロケット村でのバトル(対ルード戦を経てコクピット到着まで継続)
・海中からダイヤウェポンが出現し、ミッドガルに向かうイベント〜迎え撃つべく待ち構えるクラウドたち
ゲーム中盤以降、「急げ!(Disc1-7)」に代わって頻繁に使われる焦らし音楽。やはり危機的状況に流れるものですが、ゲーム後半はシナリオやイベントの性質からよりシリアスに、重い目的を背負ったキャラクターたちの「急がなければ」という状況を演出する必要があります。そこでこの曲の出番となるわけです。「急げ!」がどちらかというとシンセ中心の軽めのアレンジだったのに対し、「もっと急げ!」はオケ中心でより重く、厚くなっています。小刻みなスネアと打ち鳴らすティンパニ、そしてブラスにどこか「闘う者達(Disc1-10)」の雰囲気があり、その曲調からかイベント〜バトルと通して流れることも。とは言え表題の印象よりも、ゴールドソーサーの闘技場のイメージの方が絶対に強いはず……。だって超究武神覇斬ほしいんだも〜ん。
09.宇宙への夢
・シエラが回想で、シドの宇宙への夢を潰してしまった経緯について語るイベント
・ヒュージマテリアを積んでいるのを承知で、また沸々と宇宙への夢が湧いてくるシド
アコースティックギターと木管で男の哀愁を描く曲。もちろん「シドのテーマ」のアレンジです。それだけだと単に悲しげな曲になってしまうのですが、力強いパーカッションが加わってリズムを刻むあたり、強がりなシドの性格をいい具合に表しているのでは。彼がどれほど宇宙に強い夢を持っていたかが語られるイベントで流れ、他に流用はありません(できるはずもないですが)。シドのようにアツく生きたいものですね。周囲の人からはウザったがられそうですけど……。男である以上、自分の好きなものにあれぐらい執着してもいいんではないでしょうか?「オマエらが何と言おうとオレ様にはこれしかねえんでい!」みたいなモノ、あなたにはありますか?あ、女性を差別するつもりはありませんよ。女性だってアツく生きていいんです。江戸っ子口調はどうかと思いますけどね。
10.秒読み開始
・パルマーのしわざで、ヒュージマテリアを積んだ神羅26号が宇宙へ発射されてしまうムービー
緊迫感溢れるイントロで「ロケットが飛んじゃう〜!」のムービーを彩る、短いイベント曲。こちらも「シドのテーマ」アレンジになってます。ロケットと言えばシド、シドと言えばロケットですからこれ以外にはあり得ません。さて、思わぬ形で夢が叶ってしまったシドですが、その胸中は複雑です……。
11.心開けば
・コンドルフォート
・ロケット内で、酸素ボンベの爆発に巻き込まれて動けなくなったシドをシエラが助けるシーン
・特殊なチョコボで行く「マテリアの洞窟」4ヶ所
・最終戦を前にして、みんなに一度飛空艇を降り「戦う理由」を確かめてきてほしいと語るクラウド
圧倒的にコンドルフォートのBGMとしての印象が強い曲ですが、本来の用途はロケット(神羅26号)内でのシドとシエラに関するイベント。曲名の「心開けば」はまさにふたりのことを指しています。シドの夢を潰した原因でもある、シエラの酸素ボンベに対するこだわり……その酸素ボンベの爆発に巻き込まれた時、シドはシエラの正しさに気付きます。そして自分を助けに現れたシエラに詫びるのです、「すまねぇ」と。その後、脱出ポッドでロケットを脱出する際、オンボロのポッドに不安を抱くシドですが、シエラの「私が整備してましたから」のひとことに「なら安心だ」、そしてシエラは「ありがとう」。二人がともに心を開いた瞬間でした。

それ以外ではそれこそコンドルフォートで聴く機会が多い分、そちらの印象が強くなってしまっているのは無理もないことですね。他の場面でもちょこちょこ流れてはいるんですが……。ハープのアルペジオと木管のメロを中心に、ストリングスやピアノ、鐘の音が脇を固めています。空白を残した構成でBGMに徹しており、「音のスキ間にある音」をプレイヤーに委ねるというか、本来は鳴っていない効果音やセリフ、空気感を補完してね……といった感じでしょうか。個人的には各楽器の音量のバランスがあまり好きじゃないです……。というか、ピアノがデカすぎるのかも。たまに出てくるだけのクセにずいぶんでしゃばってるな、みたいな。
12.魔晄キャノン発射〜神羅爆発
・ミッドガルに移動したシスターレイが動き始めるムービー(前半部分のみ)
・シスターレイ発射準備〜発射、ウェポンおよび大空洞のバリア粉砕〜神羅ビル爆発
・宝条撃破後、飛空艇のシーン「メテオが落ちるまであと七日…」(神羅ビル爆発部分のみ)
ムービーBGです。組曲形式になっていますが、ゲーム中では分割され、前半部分の「魔晄キャノン発射」のみ2回使われています。まずは神羅がキャノンを発動させて発射スタンバイするムービー、続いて実際に発射されるムービーで再度使われます。軍隊調の曲が、発射に向けて着々と準備が進んでいく様子を描写。ゲームではここでいったん「神羅軍総攻撃(Disc3-1)」を挟んで、その後発射されたキャノンがダイヤウェポンを貫き、なおも大空洞のバリア目指して進んでいくところ、そしてバリアを破り、逆にウェポンの放った光弾が神羅ビルそしてルーファウスを直撃するシーンに後半部分が充てられています。映画音楽のような構成ですね。

1分10秒からのパート「神羅爆発」は、「神羅ビル潜入(Disc1-19)」に似た感じの「神羅カンパニー」アレンジ。神羅ビル、および中にいるルーファウスをウェポンの放った光弾が直撃するムービーシーンに合わせられた部分です。そういえばかつて神羅ビルにいるミッドガル市長が「神・羅・爆・発!」なんて言ってたこともありましたが、その通りになっちゃったというわけですね。合掌……っていうかルーファウス、誰もがこれで死んだと思いましたよね?ところが……詳細は「AC」を見ればわかります。
13.最期の日
・大空洞内部
重々しい、決意めいたこの曲はラストダンジョン(大空洞)で流れる曲ですね。レベル上げや稼ぎをさんざんやったので、それはもう何度となく聴きましたよ。ラーニングするために目的のモンスターを求めて何時間も彷徨ったのも良い思い出です。ラーニングに失敗したのも良い思い出……って、「"なんとか????"はゲーム中で最初にエンカウントしたドラゴンゾンビしか使わない」ってそんなのわかるかゴラア!いつまでたっても「なんとか????」を使ってこないドラゴンゾンビにイライラ……。

すいません、取り乱しました。えー、曲の方は、あと戻りのできない覚悟を秘めた硬派なテイスト。これまで本作のダンジョン系の曲ってわりとBGMに徹していたと思うのですが、この曲は珍しく主張していると思います。だからといって、ラスダンだからセフィロスのアレンジとか、メインテーマを……みたいな仕掛けはまったくなく、楽曲としてはわりとサラッと流しているのかなという印象。この後、ボス連戦でテーマ性のある曲が続くため、BGはあえて力を抜いたものと思われます。
14.完全なるジェノバ
・VSジェノバSYNTHESIS
通常のバトル音楽「闘う者達」のアレンジに聞こえなくもない、対ジェノバSYNTHESIS戦専用戦闘曲("せん"だらけ)。パーカッションを構成する音色が同じなのでそう聞こえるのかもしれません。ですがこんなことを言ってるのは実は筆者ぐらいのもんで、どうしてっていうほど同様の意見を目にしません(泣)。自分は耳がおかしいのか?と思いつつ、泣きながらこの曲のイントロと「闘う者達」を繋いでみたら、イイ感じのリミックスバージョンになってしまいました。ぜひお試しあれ。いや、ここまでのバトルの集大成みたいな意味合いも込めて、わざと「闘う者達」に関連付けていると思うんだけどなあ。「闘う者達・ファイナル」みたいな。違う?

特にわかりやすいキャッチーなメロもなく、構成で聴かせるタイプの曲ですが、ラスボス戦の前なのであえてこのような一歩引いた曲になっているのだと思います。ここでハデにしすぎてしまうとラスボス戦が立たなくなるからね。インパクトはオケヒットに委ねていますが、個人的には中盤(1分11秒〜)で出てくるピアノの低音部を使ったベースがツボです。「J・E・N・O・V・A(Disc2-14)」に通じるような感じがしません?
15.神の誕生
・VSリバースセフィロス
ラスボス第一形態戦BG。これはもうもろに植松節ロックですな。植松ボス曲にはやっぱりこーゆーのが欠かせません!通常バトル曲からシリーズ伝統の「イントロ」がなくなったことで有名な「VII」ですが、26秒ぐらいのところのベースがさりげなくおなじみの「イントロ」を刻んでいるのもニクいじゃないですか。ただし、後の「片翼の天使」は植松氏が推す本作最大の「聴きどころ」。そのインパクトを削がないよう、「神の誕生」は最大限に注意を払って作られています。ロックになっているのも「片翼」とカブらないようにしているからで、そのため極力オケっぽい楽器も使わないようにしているのでしょう。

基本的にはシンセ&オルガンメロで進行していくのですが、途中で「星に選ばれし者」が挿入されます(1分24秒〜)。ああ、こう書いた時点でラスボスがバレバレじゃないか。いいか、ウチはネタバレサイトだって明言してるしねぇ。あとは充実した低音がキモでしょうか。これは根本のベースがセンターにありつつ、ピアノの低音部が淡々とベースを補強しているためです(右側で聞こえてますね)。このピアノはリズムを補強する役割も担ってまして、この曲のアップテンポさはドラム以上にこのピアノの作用が大きいです。まさに縁の下の力持ち。
16.片翼の天使
・VSセーファセフィロス
ラスボス最終形態戦。驚いたのは本物の人声コーラスが挿入される点。最初聴いた時はどうやっているのかさっぱりわかりませんでした。カラクリは、録音したコーラスを2小節単位に分割してサンプリング。内蔵音源として鳴らしているのです(わかる?)。いやあ、めちゃめちゃクリアーな音なんでホント驚きましたね、当時は。ここだけ特別にCD再生しているのか?とかね。毎回、特にラスボス戦には気合を入れるという植松氏、今回はどうしようかと考えたあげく、人の声を使うことに。しかし、それっぽいことは「VI」でもやっている。今回は本当に人の声で、かつ歌詞のあるものをと思い、それが可能かどうかプログラマーに相談したところ、「非常にキツいけれど、全部で合わせて15秒なら」との返答。結果としてコーラスを録音後それを細かく分割し、音色として内蔵させたわけです。「全部で15秒」という制約を感じさせないほどによく練られているとは思いませんか?。なお、コーラスは「FFX」で作曲を担当した浜渦正志氏のご学友です。浜渦氏自身もバスのパートに参加しています。

詞の元ネタが、オルフの「カルミナ・ブラーナ」だというのは今や有名な話ですが、「VII」発売直後に、すでにネットの掲示板では「あれはカルミナ・ブラーナだ」とする類の書き込みがあり、植松氏は「FFをプレイしてる人たちの中には凄い人もいるもんだなあと」たいそう驚いたそうです。しかし、そんな人たちでも見破れなかった元ネタが実はもうひとつあるんです。イントロの「ジャン・ジャン・ジャン・ジャン」というオケの刻み。「ジミ・ヘンドリクスの"パープルヘイズ"をオーケストラでやったらどうなるか、ってのをやりたかっただけ」と語るのは、もちろん植松氏御本人(笑)。この曲を聴いて「パープルヘイズ」が思い浮かんだ人は当時いたのでしょうか?

では、曲自体に耳を向けてみましょう。お聴きの通り、「神の誕生」とはガラッとタッチを変えてオーケストラ楽器をふんだんに使用。1分42秒からのコーラスが歌い上げているメロディは「星に選ばれし者(Disc3-5)」になっており、まさにセフィロスのテーマ・完結編といったところ。所々に鐘の音がフィーチャーされているのも「星に選ばれし者」と共通したイメージです。また、「VI」のラスボス戦はプログレ寄りでしたが、今回はクラシックの側に寄ったかなという印象。

ちなみにゲームをプレイするより先にサントラを聴いてしまったプレイヤーは、この曲を聴いてラスボスが何者なのかモロにわかってしまい、興をそがれたという話も聴いた事があります。思いっきり名前を連呼してますからねえ。サントラはクリアしてから聴きましょう(笑)。なお、「リユニオン・トラックス」で完全なオーケストラバージョンとなっているほか、「ADVENT CHILDREN」ではバンドサウンドも加えられて「再臨」しています。そちらもチェック。
17.星の危機
・エンディングムービー
まさに一大映画音楽です。すばらしいのひとこと!画と音が完全にシンクロしています。「メインテーマ」がたびたび顔を出していますが、これはやっぱり音楽単独で聴くよりも、エンディングムービーと合わせて初めて意味を持つものだと思います。ここではせっかくですから、シーンごとに分析していきましょう。

0分00秒〜 「エアリスのテーマ」。ついにセフィロスを倒したクラウドに差し伸べられる一本の手。まさか、エアリスが?と思わされるシーンです。
0分24秒〜 一転して危機感を強調した展開に。崩落する足場。素早い身のこなしで崩れる岩場を駆け上がり、落ちるティファを抱えるクラウド。35秒でいったんコーダ、クラウドの手が間一髪で崖をつかみます。
0分37秒〜 ティファを抱え、腕一本で宙ぶらりん状態のクラウド。ハタから見てるとじゅうぶん危険な状態ですが(笑)、クラウド的には危機は脱した感じ。ティファとクラウドの会話。このパートは「ティファのテーマ」+「FFVIIメインテーマ」。他の仲間たちも無事なようです。
1分48秒〜 再び不安げな曲調に。もうじきホーリーが動き出す、そうなれば自分たちがいるこの場所は……脱出する手立てはない……するとそこへ!落下してきたのはハイウインド(1分58秒〜)。
2分16秒〜 吹き出すライフストリームに押し上げられ、空中に放り出されるハイウインド。緊迫感のある楽曲の展開とともに、ボロボロとパーツを落としていくハイウインド。ブリッジでなす術もなく身体を右往左往させる仲間たち(2分38秒〜)。そんな中、なんとかエマージェンシーレバーに手を伸ばすシド……。
2分47秒〜 「シドのテーマ」アレンジ。シドが引いたレバーによって再度、空高く舞い上がるハイウインド。当面の危機は脱したものの、星の危機はまさにこれから。
2分59秒〜 静かなストリングスで始まる「エアリスのテーマ」アレンジ。カームの街に退避していたマリンが「お花のおねえちゃん」の気配を感じ、窓から外の様子をうかがうシーンです。
3分33秒〜 マリンが見たものは……今にもミッドガルへと激突せんばかりのメテオでした。もし激突すれば、ミッドガルだけでは済まない大惨事が人々を、星を襲うでしょう。メテオ接近の影響で起こった竜巻が、ミッドガルを破壊していきます。
4分16秒〜 壊滅していくミッドガルの彼方で何かが光った……そう、ホーリーが発動したのです。ミッドガルを守るように、メテオの下へと滑り込むホーリー。しかし、せっかくのホーリーも遅すぎたようです。メテオはホーリーをものともせず、さらに地表へと迫ります。「星に選ばれし者」のモチーフが組み込まれ(4分53秒〜)、まるでセフィロスの怨念を見ているかのよう。
5分04秒〜 飛空艇からなす術もなくミッドガルを見つめる仲間たち。メテオが星に接近しすぎているため、頼みの綱のホーリーも逆効果だと語るレッドXIII。このままじゃ……仲間たちの不安を「メインテーマ」のマイナーアレンジが強調(5分24秒〜)。一度無音になるところ(5分53秒)でティファが何かを見つけます。「あれは!?」。
5分54秒〜 地表から何かが湧き出し、メテオに迫ります。それはどんどんと数を増やし、何かの意志を持っているかのように……「ライフストリームだ」。星の力が、生命の意志が……。
7分54秒〜 一瞬現れるエアリスのイメージ。

植松氏は作曲の際、音楽を製作しているシーケンサーとムービー映像の入ったビデオデッキを「いっせ〜の、せ!」でスタートして何度も合わせてチェックしたらしい。う〜ん、なんてアナログな。今ならコンピューター上で映像と音声トラックを同時に表示させ、同期もカンタンですな。当時そういう機械がなかったわけではないですけど(映画なんかでは普通にやってましたから)、スクウェアにまだその環境がなかったか、植松氏が使い方を覚えてなかったかのどちらかでしょう。とにかくどんな手法を使っていようが、ここまでの仕事をやってのけた植松氏に盛大なる拍手を!パチパチパチ。
18.スタッフロール
・エンディングスタッフロール
さすがにこれだけの作品になるとすごい量のスタッフロールだな、という。様々な楽曲がメドレーのように出てきてます。ここはもうゲームの余韻に浸りながら、音楽に耳を澄ませましょう。スタッフロールをことこまかにチェックするもよし、目を閉じて物語を回想するのもよし、です。

冒頭は「オープニング」を力強いマーチにアレンジ。41秒からは新規パート、プレイヤーやスタッフに向けた「お疲れさま」「どうもありがとう」というメッセージを感じさせる優しい曲です。2分19秒から始まるのは「メインテーマ」の超ポジティブアレンジ、「飛空艇ハイウインド」に近い感じですね。ちょっとクールダウンした後、3分30秒からは背筋ゾクッのおなじみ「ファイナルファンタジー」。ここでやっと出てきました!だんだん隅っこに追いやられていくようで……。ゲーム中ではもちろんここでしか聴けません。よりオーケストラっぽさを増し、ファミコン時代からのファンもスーファミからのファンも問答無用の泣き所です。そして、多少雰囲気は変わったかもしれないけれど、これは「FF」の正統進化ですよ……とすべてのFFファンに訴えかけているのです。

サントラ未収録曲
「ファンファーレ」単体バージョン
Disc1・トラック11「ファンファーレ」の後奏がないバージョン。ファンファーレ自体のアレンジもやや軽め。
・コンドルフォートシミュレーションバトル勝利時
・ジュノンでクラウドが神羅兵にスペシャルポーズを伝授する時
・ルーファウス見送りのためジュノン港でスペシャルポーズをキメる時
・コスタデルソルにて、30万ギル支払って別荘を購入した時
・海底ドックにある神羅潜水艦を奪い取った際(潜水艦撃沈失敗時のみ)

ドラムロール
ほとんどSEですが、結果発表時のスネアロール。
・コルネオの館での「今夜のお相手」発表時
・ゴールドソーサーミニゲーム「チョコボレース」ゴール後の結果発表
・ゴールドソーサーミニゲーム「モーグリハウス」で、モーグリが飛ぶ直前のアオリ

ハイドン「THE CREATION」
ゲーム中、唯一の既成クラシック曲の流用。ミッドガル七番街スラムを「プレート落とし」で壊滅させたプレジデント神羅が、神羅ビルからその様子を見下ろすムービーシーンで流れていた曲です。社長が趣味で流していた現実音楽の扱いでしょうか。悲鳴と破壊音に包まれるスラムとそれを眺める権力者の思惑を、うまく対比的に描いた演出。「神羅カンパニー」などを流さず、あえて既存のクラシックにした意味もそこにあるのでしょう。なお、CDなどの既存音源は使っておらず、浜渦正志氏がシンセサイザーで編曲、コーラスを藤崎美苗氏(ソプラノ)、原大介氏(テノール)がそれぞれ担当し、ゲームのために録音したものです。

「星に選ばれし者」アンダースコアバージョン
リズムと鐘の音色だけの「星に選ばれし者」。
・カームの回想シーンでのセフィロスとパーティを組んだ戦闘(最初の1回のみ)
・回想シーンの続き、神羅屋敷の地下室にこもるセフィロス
・現在の神羅屋敷BGM
・竜巻の迷宮でセフィロスがクラウドの正体について語るイベント(ニブルヘイムの幻影)
・セーファセフィロス撃破後、超究武神覇斬でセフィロスにトドメをさすクラウド

「飛空艇ハイウインド」短く完結バージョン
イントロ部分だけで完結するバージョンが存在してます。
・ゴールドソーサーミニゲーム「モーグリハウス」で、モーグリが見事飛ぶのに成功した際

「レッドXIIIのテーマ」パーカッションのみバージョン(?)
エンディングで500年後、レッドXIIIとその子供たちが岩場を疾走するシーンで鳴っているものです。
その他の音楽にまつわるあれやこれや
ニブルヘイムのピアノで弾く曲は?
ニブルヘイムのティファの家にあるピアノは、プレイヤーが弾くこともできます。カームでの回想でクラウドが奏でるお手本を再現すれば、タイミングによってはティファのへそくり(1ギル)や究極リミット技の入手に繋がるのです。そのお手本は、「ドレミシラドレミソファドレド」。これ、何の曲だかわかりますか?わかりやすいように伸ばしてみましょうか。「ドーレーミーシーーラーー、ドーレーミーソーファードーレードーー」、わかりにくかったら最後の「ド」からもう一度、最初に戻って繰り返してみて下さい。そう、「FFVIIメインテーマ」なのです。「FFVIIメインテーマ」ではこの形のメロディが出てくるのは曲の途中になるので、よく「飛空艇の曲だ」という人を見かけますが、飛空艇の曲はそもそもメインテーマのモチーフを使ったアレンジ。ピアノで弾くのになぜ飛空艇の曲なのかもやや意味不明ですよね(タイミング的に、まだ飛空艇は出てきてませんし)。ここはやはりメインテーマとするのが正解でしょう。

FFVII体験版の音楽
スクウェアのプレイステーション参入第一弾となった格闘ゲーム「トバルNo.1」には、「FFVII」の体験版が同梱されていました。ゲームの導入部分、壱番魔晄炉爆破ミッションをプレイすることができるものです。パーティにいきなりエアリスがいて、しかもリヴァイアサンが使用可能だったり、クラウドのサンダーが全体化可能だったり、メンバーがいきなりレベル9前後だったり、または出現するモンスターが製品版とはずいぶん異なっていたり、はたまた微妙なセリフの違いがあったりと、とにかく比較し始めたらキリがないこの体験版。では、音楽はどうでしょう?

結論から言えば、楽曲の使いどころは製品版とほぼ同じ。オープニングムービーから続く「オープニング〜爆破ミッション」、壱番魔晄炉では「魔晄炉」、魔晄炉内のランダムエンカウントでは「闘う者達」、中ボス戦〜脱出にかけて再度「爆破ミッション」というところまで同じです。唯一異なるのは、「ファンファーレ」が一切流れないこと。いずれの戦いも勝利時にはバトルBGMが戦績画面まで流れ続けます。「ファンファーレ」っていちばん早く作ってそうなものですけどね。楽曲の差異はそれぐらいのものですが、興味深いのは音色の違い。これはそのまま曲を聴いた時の印象の違いに直結します。筆者は、ブラス系の音が製品版よりもかなり前に出ていると感じました。「爆破ミッション」や「闘う者達」はブラスがメロを司る部分がありますので、かなり聴いた時の印象が変わっています。「魔晄炉」もアレンジこそ同じですが、音色の微妙な違いを感じ取ることができます。体験版から製品版に至るなかで、音色のさらなる向上や試行錯誤があったことを想像させます。
「片翼の天使」コーラス歌詞

estuan interius ira vehementi   estuan interius ira vehementi
Sephiroth! Sephiroth!
estuan interius ira vehementi   estuan interius ira vehementi
Sephiroth! Sephiroth!

sors immanis et inanis
sors immanis et inanis

estuan interius ira vehementi   estuan interius ira vehementi
Sephiroth! Sephiroth!

veni, veni, venias ne me mori facias
veni, veni, venias ne me mori facias
veni, veni, venias ne me mori facias
veni, veni, venias ne me mori facias
veni, veni, venias ne me mori facias(同時に裏コーラスで gloriosa generosa)
veni, veni, venias ne me mori facias(gloriosa generosa)
veni, veni, venias ne me mori facias(gloriosa generosa)
veni, veni, venias ne me mori facias(gloriosa generosa)
Sephiroth! Sephiroth!

対訳(一部植松氏による意訳)

激しい怒りと苦い思いを胸に秘め
恐ろしく非情に、しかし何の実もない虚しい運命よ
来るな、近寄るな、殺さないでセフィロス
栄光なるもの、驕れるものよ


いっしょに歌ってみませんか?のコーナー(耳で聞いたまんまです)

歌い出しまでイントロを聞きながらノドのコンディションを整え、1分9秒待ちます。

エェシュターンス インテーリーゥス イラヴェー ヘンメッティ〜
エェシュターンス インテーリーゥス イラヴェー ヘンメッティ〜
(元気よく)セフィロス! セフィロス!
エェシュターンス インテーリーゥス イラヴェー ヘンメッティ〜
エェシュターンス インテーリーゥス イラヴェー ヘンメッティ〜
(誇らしげに)セフィロス!(パパラパー)セフィロス!(パパラパー)

ソォースイマニス エ〜ティナニス
ソォースイマニス エ〜ティナニス

エェシュターンス インテーリーゥス イラヴェー ヘンメッティ〜
エェシュターンス インテーリーゥス イラヴェー ヘンメッティ〜
(胸を張って)セフィロス!(ンパンパンパンパ)セフィロス!(チャーラーラーラー)

間奏の間にお友達を連れてきて下さい。家族でもいいです。

(呪文を唱えるように)ベニベニベニアス ネメモリファシアス
ベニベニベニアス ネメモリファシアス
ベニベニベニアス ネメモリファシアス
ベニベニベニアス ネメモリファシアス
ベニベニベニアス ネメモリファシアス(もうひとりがグローリーオーオサ ジェーネーロースア)
ベニベニベニアス ネメモリファシアス(グローリーオーオサ ジェーネーロースア)
ベニベニベニアス ネメモリファシアス(グローリーオーオサ ジェーネーロースア)
ベニベニベニアス ネメモリファシアス(グローリーオーオサ ジェーネーロースア)
(激しく主張して)セフィロス! セフィロス!


コーラス担当一覧(エンディングスタッフロールより)

SEPHIROTH CHOIR

SOPRANO 福島真津恵 藤崎美苗
ALTO 中野和子 小野左貴
TENOR 田部井亨 原大介
BASS 酒井聡澄 浜渦正志

ゲーマーズエデン トップへ サントラレビュー メニューへ
2001・2005 GAMERS EDEN

ピアノ譜で弾くバイエル併用FFVII。
後に出たピアノコレクションとは別です。