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THE BLACK MAGES/黒魔道士 | |
FF音楽ファンが願って止まなかった、バトル音楽のアレンジアルバムがついに現実のものになった。ロックテイストでアレンジされた楽曲は、曲本来の真実の姿か?それとも新たな解釈か?それを判断するのはリスナーだ。特に、ファミコン時代の楽曲たちが見せる新たな表情から、あなたは何を感じ取るだろうか。シリーズ化も決定した、FFアレンジアルバムの新たな方向性。ヘビーなサウンドにその身を委ねろ! デジキューブ SSCX 10080 2003年(廃盤) JASRAC表記:なし |
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スクウェア・エニックス SQEX-10019 2004年再発 JASRAC表記:なし |
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「ファイナルファンタジー」と言えば、ゲームに興味のない人でもその名は知っている、というほどの「業界を代表するタイトル」である。それはひとえに、他の追従を許さない膨大なシリーズを重ねてきたゆえ。そんな中で、作品中で使用される音楽もかなりの曲数が存在していることは、ここを読んでいる諸氏にはご存知の通り。その幅広い音楽性は様々なアレンジバージョンの派生を可能にし、これまでもサウンドトラックとは別に独立したアレンジアルバムをリリースしてきた。 が、そのアレンジアルバムは言ってみれば「癒し系」の和やかなものが大半を占め、FFファンの心を捉えて離さない「バトル音楽」については、一部の例外を除いて手付かずのままであった。バトル音楽を選りすぐったアレンジアルバムの発売を……ファンの切実な願いが、ついに実現。それが、この「THE BLACK MAGES」である。ここには、バトルで使用されたシリーズの楽曲をバンドサウンド、ロック、メタル……いろいろな例えがあるだろうが、つまり「ギター中心の」アレンジで10曲収録。シリーズからまんべんなく集められた楽曲は、ずっとFFを追い続けてきたファンなら間違いなく楽しめるはず。脳内では絶えずこんなサウンドを想像していた人も多いことだろう。 アレンジを担当したのはスクウェアファンにはおなじみの関戸剛氏と、「アインハンダー」などを担当しテクノを得意とする福井健一郎氏のふたり(福井氏はミキシングも担当)。実はこのふたり、過去のFF音楽を個人的にバンドスタイルでアレンジしていたのだという。それを作曲の植松伸夫氏に聴かせてみたところ、ぜひともアルバム化したいということになり、結果としてできたのがこの「THE BLACK MAGES」なのだ。その得意分野から言って、おそらく関戸氏がギター系、福井氏がキーボード系を担ったのであろう。植松氏もかねてよりバトル曲のバンドアレンジは構想していたそうで、製作中は監修という形で関わることになった。 さて、その内容だが、バンド調のロックアレンジは確かに「これだよ」と思える出来で楽しめる。しかし、言ってしまえば「生」なのはギターだけ。キーボード(オルガン)も演奏しているとは思うが、ベースやドラムは打ち込みである。本当の意味でのバンドスタイルではなく、あえて言うなら「よくできた打ち込み音楽」。ギターに比べ、周囲のオケがやや軽く感じてしまうのは否定できない。このアルバムにロックを期待していた人には、物足りないものかもしれない。が、考えようによってはあくまでこのアルバムは「序章」に過ぎない。ご存知の通り、後に「THE BLACK MAGES」はバンドとして数回ライブを行なっており、発売が噂される次回のアルバムでは、彼らによる本物のバンド演奏で製作される可能性も大きいのだ。打ち込みに比べてバンド録音は予算も大きくなるが、それは売り上げ見込み次第。まだ「THE BLACK MAGES」を購入していない人は今すぐ手に入れ、「のびよのしっぽ」にも加入してしまおう! 「THE BLACK MAGES」のCDをamazonで購入できます。 |
01 | Battle Scene (Final Fantasy I) |
原曲は、言うまでもなくFFIの「戦闘シーン」。イントロは包み込むようなシンセに、これだよこれ!と思わせるディストーションギターの刻みが加わっていきます。原曲のいわゆる「ソソソソソソファファ」感は薄れてしまいましたが、メロが出てくると「ああ、あの曲!」と思う人も多いはず。ガシガシとした重厚なリフを引き連れて曲は進行していきます。ドラムとベースも、懸命に生っぽく聴かせるための凝った打ち込みがなされていますね。特にベースのシミュレートはかなり生演奏っぽいと思えます。エフェクターを使ったギミックも随所に施されており、潤沢な機材を縦横無尽に駆使していることがわかります。 ファミコン音源で鳴らされていた曲がこういったアレンジで聴けるのはなかなか感慨深いものがあります。ファンの作ったアレンジもネット上には山ほど存在していますが、やはりこのようなギターを全面に押し出したものはなかなかないわけで、さすがにプロのアレンジと唸ってしまうだけのパワーがあります。これを聴かされてしまっては、植松氏もその気にならざるを得ませんね。もともとが短い曲なので、間奏では独自のフレーズが即興的に奏でられています。 |
02 | Clash on the Big Bridge (Final Fantasy V) |
原曲は……もうイントロの雰囲気からわかりますよね?FFシリーズでも1、2を争うであろう人気曲、「ビッグブリッジの死闘(FFV)」です。説明するまでもありませんね。問答無用のロックアレンジで万人が納得の出来でしょう。オルガンとギターの絡みが文句なくカッコイイ!サビで聴けるユニゾンのギターもお約束ながら、抜群の高揚感を醸し出しています。 もともとはスーパーファミコンで鳴っていた曲で、音色の軽さからどこかコミカルに聞こえてしまい(ギルガメッシュには合ってたかも?)、曲としては個人的にそれほど好きではなかったのですが、このアレンジで見直してしまいましたよ、もう。そういえばバンドでは植松氏がオルガンを担当するのですが、この曲をBX-3(KORGのオルガン)でノリノリで演奏する植松氏の姿……なんか想像できません。一度は生で見てみたいっす。 |
03 | Force Your Way (Final Fantasy VIII) |
比較的新しい作品から、「FFVIII」の中ボス曲です(タイトルは原題のまま)。ギター色が強くなっている点はアルバム共通ですが、ファミコンやスーファミの旧作に比べてプレイステーションでは音色が明確なだけ、アレンジも原曲重視というか、予想し得る範囲で行なわれていますね。ストリングスやシンセに至ってはほぼ原曲通りと言っても差し支えないかな。崩しにくかったということでしょうか。 それでも聴き応えはバッチリで、中盤のダウンフレーズにおける緊張感は原曲にない雰囲気を出すことに成功しています。プレイステーションとは言えとても表現することのできない重厚さは、アレンジならでは。どのフレーズをどの音色に置き換えるかという試行錯誤も行なわれていると思いますが、オルガンソロとギターソロの入れ替わりの妙が、リスナーをハイテンションにさせてくれること間違いなし! |
04 | Battle, Scene II (Final Fantasy II) |
イントロは一瞬「んっ、なに?」と思ってしまうが、すぐに入ってくるストリングスの雰囲気で原曲がわかるはず。「FFII」の「戦闘シーン2」ですね。ここまでアップテンポなアレンジが続いてきたわけですが、ここにきてゆったりとしたものになっています。もともと、原曲がすでにプログレのテイストを感じさせるものだっただけに、このアレンジもその点が重視されているようです。ストリングスやブラス、そしてチェンバロなんかも顔を出すあたり、いかにもという感じ。 ロックやメタルというと圧倒的なハイテンポでギンギン、というものを安易に期待してしまいがちですが、こういったシンフォニックなものも立派にロック。こういったテイストの曲ばっかり追求し続けているバンドもたくさんあります。そもそもロックに先入観は不要!ロックとは音色や技法のことを指すのではなく、スピリットなのです(なんつって)。このテンポ感で実質3分48秒ですから、あっという間に終わってしまう印象です。 |
05 | The Decisive Battle (Final Fantasy VI) |
前のトラックを引き継ぐような、哀愁を帯びたイントロ……からすぐに一転、またもや激しいギャンギャン、ズシズシが始まります。なに、よくわからないって?まあ、聴いて下さい。原曲は「FFVI」より「決戦」です。「VI」の頃になると、スーファミ音源で果敢にもギターサウンドを取り入れていたわけですが、植松氏も頭の中ではやはりこういった音で構想を練っていたと思われます。それだけに植松氏自身、今回のアレンジアルバムには感慨もひとしおだったのではないでしょうか。 ギターを全面に押し出しつつも、シンセ・ストリングスがバックでしっかりと緊迫感を出しています。あまり主張し過ぎず、さりげなく曲調を決めているあたりはウマいですね。反面、オルガンなどのキーボード陣は今回はちょっと引いてます。原曲とは真逆な編成が興味深いです。 |
06 | Battle Theme (Final Fantasy VI) |
「VI」が続きます。こちらは通常戦闘曲、「Battle Theme」です。前のトラックでの興奮を静めるかのような、スローテンポなアレンジ。どちらかというと快進撃!というよりは、緊迫した「重さ」を前面に押し出しています。厳しい戦いという感じです。ストリングスやボーカリーズが挿入され、シンフォニックメタル的なアプローチは原曲とは異なりますが、後期FFに通じるものがありますね。 個人的にはビッグブリッジと同様、音色のチープさが醸し出す不必要なコミカルさもあって、原曲にはほとんど思い入れがないのですが、やはりこういうアレンジにしてもらえるとすんなり受け入れられるのだから不思議です。今になって思うと、植松氏は昔からハードの音源では表現しきれないことを意欲的にやってきたんだなあと、改めて感じます。 |
07 | J-E-N-O-V-A (Final Fantasy VII) |
プレイステーション時代の「FFVII」より。このドラムンベースはおそらく福井氏の持ち味かな?あえてロックっぽい生ドラムにせず、こういったループを持ってきたのは、この曲において大正解だと思います。ギターの刻みが入ってくると、気分はもうアポロ・フォー・フォーティ……(わからなかったら、CD屋さんで探してね)。つまり、イマドキの王道なアレンジってことです。 全体的にギターよりもシンセがメインになっており、アルバム中では異色なテイストになっていて楽しめます。ループも複数が使い分けられており、しばしばハッとさせられる仕掛けも施されていたり。そうは言ってもプレステ時代の曲ですから、「Force Your Way」と同様、植松氏も指摘するように無難なアレンジであることは確か。アレンジ派と原曲派、どちらの嗜好も満たす好アレンジではないでしょうか。 |
08 | Those Who Fight Further (Final Fantasy VII) |
こちらも「VII」より、「更に戦う者達」です。英語にするとこういうタイトルになるのね……。さて、この曲はFFとしては初のPS参入で、植松氏が「やっとロックができる!」と、趣味大開放で作ったものだということはファンならとっくにご存知のはず。そんなわけで原曲が既に、ギター音色とオルガンの鳴り響くプログレテイストに溢れたものだったのですが、今回はその方向性をさらに推し進めたアレンジバージョンということになりましょうか。あくまで原曲の枠からはみ出さない、ファンも植松氏も納得のアレンジです。 逆に言えば、もっと激しく崩してほしかった、という「物足りない」派もあることでしょう。アレンジという作業において、常に発生する問題ですね。「どこまでやって良いのか」はアレンジャーがいつも考えていることですが、このアルバムをもとにして今後、ライブなどでどんどん発展していくことを考えれば、これはあくまで「基本形」ということになります。今後どういった展開をしていくのか?と期待する楽しみもまた、我々ファンには残されているわけです。 |
09 | Dancing Mad (Final Fantasy VI) |
本アルバム最大のヤマ場とでも申しましょうか、超大作!「FFVI」のラスボス戦から「妖星乱舞」です。ゲーム制作中、バトル曲に行き詰まっていたという植松氏が、「かつてない曲を」と一念発起して作ったというこの曲、ラスボス戦におけるインパクトはバッチリでした。そこで聴くことのできたパイプオルガンと神々しいボーカリーズの色を残しつつ、各音色をグレードアップさせた今回のアレンジは、ロックという括りで聴くと異色で、どちらかというとオーケストラ音色に比重が置かれています。それでもドラムスとギターはしっかりと骨格を支え、曲に疾走感と重厚さを与えています。 とにかく原曲を最大限にリスペクトしたアレンジは、「VI」ファンなら背筋に電流が走ることうけあい。6分34秒からのプログレパートは、「THE BLACK MAGES」の本領発揮という感じで、今まで控え気味だったギターも前面に出て来ます。ライブでは盛り上がること必至なこの曲ですが、一番焦っているのは「まさか自分で(オルガンを)弾くことになるとは」という、作曲者・植松氏自身だったりします。 |
10 | Fight With Seymour (Final Fantasy X) |
アルバム発売時ではほぼ最新作だった「X」より、宿敵シーモアとの最終決戦用バトル音楽「シーモアバトル」。これも、原曲がすでにオルガンをメインとしたロック的なものだったのですが、今回のアレンジではロック色をさらに強調しています。特に聞き手を驚かそうという仕掛けはなく、あくまで純粋に原曲を丁寧になぞっています。 アルバム全体にロックテイストが貫かれた本アルバム、バトルアレンジを待ち望んでいたファンにとって必携のアイテムであることは間違いないでしょう。「ロックのことはよくわからない」という人にとっても、純粋にFFのアレンジ音楽として楽しめる内容です。反対に、このアルバムで初めてFF音楽に触れたという人は、ぜひ原曲も聴いてみて下さい。そして、よろしかったらゲーム本編もプレイしてみて下さい。これらはゲームからは独立したアレンジ音楽ではありますが、もとはゲームから派生したもの。決して切り離すことはできないと筆者は考えます。「ゲームありきの音楽」たちが、ゲームから離れたところでこのように変貌を遂げた……それを感じるのもまた、ゲーム音楽のひとつの楽しみ方ではないでしょうか。 |
「黒魔道士」のバンド編成 |
ご存知の通り、CD発売後「THE BLACK MAGES」はバンド「黒魔道士」へと発展し、ライブ活動を行なっています。バンドメンバーはすべてスクウェアエニックスの社員(かつてのスクウェアサウンズメンバー)で構成され、もちろん我らが植松伸夫氏もオルガンで参加しています。ライブは植松氏のファンクラブ「のびよのしっぽ」会員なら優先予約ができます。しょっちゅう開催されるものではないのでなかなか見る機会はありませんが、ファンクラブ会員にはライブ映像を収めたDVDが送られる特典もありますし、アルバムのシリーズ化もあるようです。継続して「黒魔道士」たちを応援していこうではありませんか。ここでは、基礎知識として、バンドメンバーを紹介しておきましょう。 ギター:関戸PTA剛 もとコナミ出身で、スクウェアには1995年入社。以後「BRAVE FENCER 武蔵伝」「チョコボの不思議なダンジョン2」「オールスタープロレスリング」などの作曲を担当し、その傍ら「クロノ・トリガー」「ファイナルファンタジーI・II」のプレステ移植版のアレンジなどもこなしている。スクウェアファンにはギタリストとしてもおなじみで、数々の作品のサントラにギターで参加している。言うまでもなく、「THE BLACK MAGES」のメインアレンジャー。 ギター:岡宮ミッチー道生 かつてプロのスタジオワークをしていたこともあるという、スクエニのプロダクションマネージャー。ギターが数パートに渡る「THE BLACK MAGES」の楽曲において、ライブで関戸を強力にサポートする(というか、かなり前に出てくる)。関戸氏を「静」のプレイスタイルとするなら、ミッチーは「動」だ。スクエニ作品ではビジネスマネージャーとして「半熟英雄対3D」「FFCC」、Coプロデューサーとして「FFタクティクス」、プロデューサーとして「FFX」「ロマンシングサ・ガ3」などなどを担当。「半熟〜」ではボーカル曲のアレンジも担当した。 キーボード:福井フクイ健一郎 関戸と同じくコナミ出身。やはり1995年にスクウェアに入社し、関戸とともに「オールスタープロレスリング」シリーズを担当する。ソロではシューティングゲーム「アインハンダー」を担当し、テクノスタイルを押し出したキーボーディストならではのサントラが好評。フュージョン好きなところもあって、多彩なジャンルを操る。関戸とともに「THE BLACK MAGES」でアレンジを担当。実は福井こそが「THE BLACK MAGES」の発案者である。ステージではオルガン以外のシンセをまかなう。 ベース:河盛ニコラス慶次 スクウェアサウンズファンには、シンセサイザープログラマとしておなじみ。FFシリーズを初めとして多くの作品を担当、我々の耳に届いている楽曲たちの音色セレクトは彼によるところが大きい。幾多のシンセを操る姿からは想像し難いのか、ベーシストであることが初耳だという人も多い。 ドラム:羽入田ハニー新 宣伝関係の社員(最近では「FFX」や「FFXI」の宣伝を担当)ということもあり、最も謎(?)に包まれた人材。「THE BLACK MAGES」を通じて、我々ファンにとっておなじみの人となる日も近い。 オルガン:植松ノビヨ伸夫 言わずと知れた、我らがFF音楽の父。アルバム製作時は監修という形での関わり方だったが、ライブで本格参戦。自ら作ったプログレ風フレーズに手を焼きつつも「まさか自分が弾くとは」と笑ってみせるが、若かりし頃に培ったバンド経験がその体内で沸沸と温度を上げているはずだ。ステージの後はビールで乾杯!か? |
”THE BLACK MAGES” LIVE shibuya-AX,26&27th April 2003 | |
植松伸夫氏のファンクラブ「ノビヨのしっぽ」会員特典として、2004年1月末頃に全会員に配布された非売品のライブDVD。CDではもちろん拝むことのできないメンバーの姿、演奏を70分に渡って楽しむことができる。収録楽曲は11曲で、ライブ用に施されたリアレンジはファン必聴。「穏やかなヒゲのおじさま」植松氏がオルガンを弾きまくる姿も必見だ。 SQUARE ENIX 型番なし(非売品) 2003年 JASRAC表記:なし |
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「ライブの映像が見たい」……これが、ライブに行くことのできなかったFF音楽ファンの切なる願いであった。そんなファンの熱望を、黒魔導士は聞き逃しはしなかった。「ノビヨのしっぽ」会員向けに配布された、ライブ映像を収めたDVDがこれである。この配布がアナウンスされてからというもの、「ノビヨのしっぽ」未加入だったFF音楽ファンはこぞって入会し、DVDの到着を今か、今かと首を長くして待ち続けた。そして公約通り、DVDは2004年1月に各会員のもとへ届けられた。単純に、映像でライブを擬似体験できるのが嬉しい。さらに、CDには未収録の名曲「マトーヤの洞窟」が収められているのもこれまた嬉しい。最初はそんな興奮だけで、ワクワクしながら見られる内容であることは間違いない。 最初から(非売品とは言え)映像ソフト化を考慮していたわけではないだろうから、照明やカメラアングルについては言及しないとして、やはり音にはこだわってほしいところ。しかし、ミックスバランスは「ライブならまあこんなもんかなぁ」というレベルに留まっており、せっかくの演奏がパートによっては非常に聴き取り難いのが残念だ。植松氏が必死にオルガンを弾いているのに、福井氏のシンセと比べるとほとんど立たず、周囲の楽器に埋もれている。特にオルガンがキモとなる「ビッグブリッヂの死闘」では致命的でさえある。ラインでのステレオ2ch一発収録なのだろうか?マルチは回していなかったのか。後処理としてのミックスはまったく行なわれていないのか?編集点の処理もほとんど行なわれていないところを見ると、サウンド面でのポスプロ作業が行なわれたとは思い難い。 さらに、ライブ映像でありながら、その臨場感はあまり感じられない。楽曲単体を聴かせたいという配慮なのか、それともろくにオーディエンスマイクを立てていないのか、観客の熱狂が伝わってこないのだ。そんなにおとなしい観客だったのだろうか?否、映像を見る限りでは盛り上がっているようだ。個人的にはやはり、ライブ映像というものは楽曲に歓声や拍手が加わってこそだと思うので(クラシックならまた事情も異なるが)、この点も非常に物足りないものとなっている。植松氏のMCもほとんどカットされているのも残念。せっかくのDVDなのだから、もうちょっとそういった「演奏以外」の部分も収録してほしかった(冒頭に楽屋風景はちらっと映るが)。 もっとも、最初に述べたように、ライブに行けなかった者としては映像で見られるだけで幸せであることも事実。これを「ノビヨのしっぽ」の会員特典としてくれたことに感謝しているし、次回作への期待もこれまで以上に大きいものになった。すでに私の中では、早くも次回作が待ち遠しいものとなっている。そしてまたライブ活動、ライブ映像のリリースと、黒魔導士たちの活躍に今後も期待し続けたい。 収録楽曲 01.J-E-N-O-V-A (from FINAL FANTASY VII) 02.Force Your Way (from FINAL FANTASY VIII) 03.Battle Theme (from FINAL FANTASY VI) 04.Battle, Scene I (from FINAL FANTASY I) 05.Battle, Scene II (from FINAL FANTASY II) 06.マトーヤの洞窟 (from FINAL FANTASY I) 07.Those Who Fight Further (更に戦う者達 from FINAL FANTASY VII) 08.The Decisive Battle (決戦 from FINAL FANTASY VI) 09.Clash on the Big Bridge (ビッグブリッヂの死闘 from FINAL FANTASY V) 10.Dancing Mad (妖星乱舞 from FINAL FANTASY VI) 11.Fight With Seymour (シーモアバトル from FINAL FANTASY X) |
バンドスコア出てるの知ってました?