GAMERS EDEN ゲーム音楽 ゲームサントラ レビュー エアガイツ
EHRGEIZ(エアガイツ) オリジナル・サウンドトラック
ジャケット画像  スクウェアのプレイステーション用格闘ゲーム、「エアガイツ」のサウンドトラック。ゲームの開発は、「3D格闘ゲームの神童」石井精一氏率いるドリームファクトリーが担当。そして、彼らにとっては昔から縁の深い、そしてドリフ作品としては「トバル2」からの続投となる、中村隆之氏がサウンドを担当している。これまでとは製作手法を大きく変えたという新たな中村サウンドは要チェック。ゲストキャラとして登場する「FFVII」のキャラクター専用のFFアレンジ曲も収録。

デジキューブ
SSCX 10025(2枚組)
1998年
JASRAC表記
なし
ゲーム紹介

 ドリームファクトリーという社名を聞いたことがある人は多いだろう。格闘ゲームファンならなおさらだ。そのドリームファクトリーの代表者(当時)が、石井精一氏である。石井氏は、かつてセガのAM2研に所属し、後にナムコに移籍。そしてそれらで、「バーチャファイター」や「鉄拳」といった、3D格闘ゲームを開発してきた人物である。即ち、現在の3D格闘の礎を作り上げた人物と言っても過言ではないのである。ナムコを退社した氏は自らかつての仲間を集めてドリームファクトリーを設立、スクウェアの子会社という形で、同社より「トバルNo.1」「トバル2」といった、玄人好みの3D格闘をリリースしてきた。そして、1997年にナムコとの共同開発という形で、あるアーケード用格闘ゲームの開発にとりかかる。それが本作「エアガイツ」である。

 スクウェアの子会社でありながら、ナムコとの共同開発となったことには石井氏のかつての人脈もあるだろうが、なによりスクウェアにアーケードのノウハウがなかったことが大きい。ゆえに「トバル」シリーズは家庭用のみのリリースとなったが、「エアガイツ」はまずアーケードでリリースし、それを移植という形でプレイステーションで発売するという、石井氏本来のスタイルで進められたわけだ。また、当時はスクウェアのアーケード進出という面でも話題となり、それをアピールするためかタイムリリースキャラとして「FFVII」のキャラクターをゲスト出演させ、注目を集めた。

 ゲームシステムのウリは、まずステージ全体を活かした「移動しながらの攻防」。従来の3D格闘ゲームは、3Dと言いつつもほとんどのタイトルにおいて「奥行き」の概念があまり活かされておらず、たいていは対戦するキャラクターが直線軸上で対峙していた。「奥行き」があってもそれはちょこっと奥や手前に避けられる程度の「軸ずらし」がほとんどだったのである。しかし、「エアガイツ」は対戦中でもステージを所狭しと走り回ることが可能で、段差があればそれを昇り降りすることもできた。これは当時、3D格闘にまったく新しい概念を取り入れたと言える。もう一点は、「トバル」シリーズの要素を進化させた「ジャストフレーム」。特定のタイミングでしかボタン入力を受け付けないという操作方法はライトユーザーにはウケなかったが、これこそがまさにドリームファクトリーたる所以。徹底して「玄人好み」に徹しているのだ。

 アーケードが稼動した1998年の翌年には、プレイステーション版が発売となる。問題は、この「玄人好み」なタイトルをライトユーザーの多いプレイステーションでいかに売るか、ということだった。そこでまず、「FFVII」キャラの登場を大々的にアピールし、FFユーザーの関心を誘った。具体的には、本家「FFVII」にすら登場しなかった「タークス時代のヴィンセント」や、パーティキャラではないのに人気の高かった「ザックス」といったキャラクターを盛り込み、売り上げの拡大をはかった。さらに、アーケードではナムコの「鉄拳」ライクだったハードな絵柄を、人気イラストレーターTAKAMICHI氏を起用して親しみ易い(アニメチックな)タッチに変更。また、ドリフ作品ではおなじみの「クエストモード」も収録し、数々のミニゲームも追加といった内容で勝負に出た。結果、「バーチャ」や「鉄拳」、本家「FF」のような大ヒットとはならずとも、新規格闘タイトルとしてはまずまずのヒットとなった。後に廉価版(PS One Books)となって再リリースもされている。そこそこのヒットに留まった原因としては、やはりその玄人向けのゲームシステムがライトユーザーに受けなかったこと、そしてアーケードユーザーには、ナムコカラーが薄れたかわりにスクウェア色(=FF色)が強く出すぎたことで反感を買ってしまったからのようである。

 こういった経緯のアーケード版・プレステ版のサウンド全般を担当しているのが、セガ時代からドリフメンバーと縁のある中村隆之氏。「トバル2」の頃からドリームファクトリーに在籍し、そのサウンドを担ってきた氏は、「トバル2」のサウンドを「これまでの総決算的なもの」と分析しつつ、今回の「エアガイツ」に関しては手法や発想をまったく変えた、転換点とも言えるサウンドだと語る。今作においては効果音もほぼ自分で作ったというのだから驚きだ。そんな「エアガイツ」のサントラは2枚組CDでリリース、例えば「トバル2」では1枚のCDだったために切り捨てられていた「クエストモード」の楽曲も完全収録。格闘モードの楽曲も、アーケードとPSアレンジ版両方を収録しているという豪華さである。中村氏の語る「新たな手法」によって生み出された楽曲がどういうものなのか、チェックしてみよう。ライナーノーツに載っている、ゲーム音楽の大御所(川田宏行氏・古代祐三氏)と中村氏の対談もかなりマニアックで、ゲーム音楽ファン必読の内容。


ある意味「トバル」の続編?「ディシディア」の原点?
まずはゲームをプレイ サントラです

DISC 01         DISC 02

DISC 01

Arcade Section
01 The Title まず始めは、タイトル画面で使われているME&SEです。シンセによるアタックと電流のスパーク音、「エアガイツ」というボイスコールから成ります。このあたりは効果音も含めておそらくすべて中村氏の手によるものでしょうね。

さて、通常サントラというものはだいたい「オープニング」から始まるものでは……という疑問を持つ人ももちろんいると思うのですが、実はプレステ版オープニングムービーの曲は中村氏による楽曲ではありません(あの金属的なオケヒットが鳴り響く、ケツの方では徐々にテンポが上がっていく曲です)。かと言ってスタッフクレジットにも載っておらず、誰による作曲なのかは不明なのですが……。さらに、なぜオープニングだけが中村氏の手によるものでないのかも謎。冒頭からいきなりナゾだらけのエアガイツサウンドであります(笑)。気になる人はページ下部のコラムも参照して下さい。

なお、条件(ゲーム起動後、コントローラーに手を触れずに放置し、オープニングを8回流す)を満たすと見られる「エクストラオープニング」の方は中村氏の楽曲ですので、サントラにしっかり収録されております(25曲目「Opening (Short version)」)。
02 The Tale of "EHRGEIZ" モード(アーケード、VS、プラクティス)をチョイスした後の、キャラクター/コントローラータイプ選択画面で流れる曲。オケヒットとグラスクラッシュのアタッキーなアクセントもさることながら、ピアノのバッキング、シンセのシーケンスなど、メロなし・構成のみで聴かせるインパクト重視の曲調になっています。サンプリングのリズム音色も、思い切って両サイドにパンニングすることで、広がり感と音圧感を稼いでいます。ゲームの導入として一時的に流れるのならばこれでいいのですが、楽曲単体で聴くとちとツラい。ということで、サントラにも40秒強しか収録されていません。いかにゲーセンでの音の洪水の中で目立てるか、というあたりが重視されていると思われる、職人的な曲。

そういえば「エアガイツ」って、全体的にボリューム設定が高めですよね。テレビの音量はそのままなのに、他のソフトと比較すると明らかに音が大きい。このあたりもやはり、アーケードゲームの名残りでしょうか?さらに「エアガイツ」は全体を通して耳につくSEが多いので、ネットに公開されているユーザーのゲームレビューでは、よく「エアガイツ、音がうるさい」などと書かれているのを目にします。アーケードにおける「より目立つようによりハデに」という鉄則は、家庭用では逆効果になることもあるようです。
03 VICTORY ではさっそく、アーケードモードをプレイ開始です!まずは第一ステージ、VSダッシャー猪場。このバトルで流れるのがこちらの曲です。リング上でのレスラーとの闘いは、激しいビートとヘビーなシンセベース、攻撃的なオケヒットに彩られます。イントロに歓声のようなSEが混ぜられているあたり芸が細かいっす。中盤以降に現れるエレピのメロディは、技と技の応酬というか、華麗な技の駆け引きといった感じのクールさを演出しています。リズムは単なる打ち込みって感じではなく、生っぽい音色をサンプリングし、細かく刻んでシミュレートしているようです。「Recycle」あたりを活用していそうな。

なお、この曲はVSモードにおいてステージにドームを選んだ場合も流れます。対戦相手のテーマではなく、ステージ曲なんですね。
04 ESCAPE アーケードモード第二ステージ、VSジョー。テンポの速いループと、ウニウニ系のシンセベースが引っ張っていく、緊迫感のあるバトル曲です。徐々にシンセが重ねられていくさまは盛り上げ感バツグン。「Recycle」で切り刻まれたようなサンプリングループの使い方が面白く、キック・スネア・タンバリンそれぞれのミュート具合が曲に変化を付けています。さらにリズム隊を広げることによって、ダイナミックな音場を作っています。筆者個人的には、数あるステージ音楽の中でもかなり好きな方です。

VSモードでステージにROOFを選んだ場合にも聴くことができます。また、メニュー画面でセレクトできるミニゲームのうち、「バトルランナー」のゲーム中BGMとしても使用されています。なお、「Brave Fencer 武蔵伝」に付属していた体験版「エアガイツ」でも、この曲がバトルランナーに使用されていたことを付け加えておきます。ちなみに、体験版のバトルランナーはタイトル画面で[R1ボタン]とスタート同時押しで遊べます。
05 飛行船で逃げろ! アーケードモード第三ステージ、VS三島。「三島拳」というのは、まさにナムコとの共同開発ゆえに可能となったネーミングですね。技モーションにも「それっぽい」ものがあります。っていうかそりゃもともと石井氏の十八番ですし。キャラクターの背景はあまり語られませんが、彼と三島ファミリー、そして「鉄拳」との繋がりを考察するのも面白いかも?

話が横道に反れました。この曲ですが、ヘリコプターのSEから始まるイントロは、ステージとのマッチング感バッチリ。ディストーションギターをフィーチャーした楽曲で、あえてテンポを落とすことによって、迫り来るようなずっしりとした重さを醸し出しています。この曲のリズムも「Recycle」によるバラシ系で、「新しいソフトでいろいろ試してまーす」という感じ。

あ、さんざん書いといていまさらなんですが「Recycle」というのは、簡単に書くとPCベースのサンプリングソフトで、取り込んだサンプルを切り刻んで再割り振りできるってなものです。これを使うと、ありきたりなループも再構築することができるので、斬新な感じにできるのですね。一時期大流行し、新しモノ好きなサウンドクリエイターたちがこぞって使っていました。それこそ「猫も杓子もRecycle」で、逆に今では目新しくもなくなってしまったのですが。時期的には「エアガイツ」もその頃でしょう。ループだけでなく、バッキングなどにも使っているようです。

この曲はVSモードでステージにAIRSHIPを選んだ場合にも聴けます。
06 香港レゲエ アーケードモード第四ステージで流れる曲。対戦相手は李。ん?ナゼ香港でレゲエ?と思われる人もおられるでしょうが、中村氏いわく「ミスマッチかと思ったけど、急に閃いてしまった」とのことです。そういえば、現在の中村氏自身の会社は社名が「ブレインストーム(英語で「閃き」を意味します)」。中村氏は閃きを大切にしているのですね。

このマッタリとした空気がなんとも言えず、バトルに緊迫感のカケラもない……と思いきや、李の攻撃は容赦ありません。そうか!これはプレイヤーを貶めるための作戦なんだ!迫り来る李、しかし音楽はこの調子で気の抜けるプレイヤー→GAME OVER。李攻略は、まずこの曲に慣れることから始めよう!

VSモードでステージにHONGKONGを選んだ場合も流れます。
07 CONTINENTAL TRAIN アーケードモード第五ステージ、VSヨーコ。綺麗なエレピとシンセストリングスでまとめられた、ドラムンベースです。ドラムンベースというのも時代を感じさせますが(リリース当時は大流行中でした)、巷にドラムンベースっぽいものが溢れる反面、ゲーム音楽にはここまでストレートなドラムンベースってあまりなかったかも。「エアガイツ」のスピード感を表す曲にしたい、キャッチーでアップテンポな曲にしたいという意識で本作の楽曲制作をしていたという中村氏、結果としてドラムンベース的なものもできたということでしょう。

ところが、メディアでのインタビューやレビューではたいてい、本作の音楽を大きく「ドラムンベース調の……」と括っているのですが、聴けばわかる通り、全体を通した割合ではそれほどドラムンベースはありません。つまり、よくわかっていない人にとっては「テンポの速いもの=ドラムンベース」という認識があったんですね。まあ無理もないことですが、とりあえず「ジャングル」時代から勉強し直してきなさいっ!

VSモードでステージにTRAINを選んだ場合も流れます。
08 旅の果てに アーケードモード第六ステージ、VSナジーム。無国籍な感じの、怪しげなバトル音楽です。ドンドコドンドコのパーカッションもそうなのですが、キモは何と言ってもナゾのボイスではないでしょうか。音階の構成自体も、とっても異国っぽい香りを漂わせており、遺跡への入り口といった雰囲気のステージにはピッタリです。また、そのものズバリではないのですが、この曲のリズムもドラムンベース的アプローチが試みられております。

VSモードでステージにCOLISEUMを選んだ場合にも流れます。
09 真実の扉 アーケードモード第七ステージ、VSハン。いよいよ遺跡の中へ、ということなのでしょうか、「旅の果てに」と共通したようなシタールっぽいエレピ音色が怪しげなメロを奏でております。前の曲とうって変わって、控えめなリズムの静かな曲調になっており、いやでも慎重に戦ってしまいます。

VSモードでステージにDIGUPを選んだ場合にも使用されます。
10 運命 アーケードモード第八ステージ、VSサスケにおいて流れる曲。VSモードでステージにSHELTERを選んだ場合も耳にすることができます。これまた「真実の扉」とはうって変わった、ディストーションギターと激しいリズムが鳴り響くデジロック調の楽曲になっています。それもそのはず、条件を満たさない限りはラスボス戦一歩手前ですからね。サスケもそこそこ強いですし。

この曲にもわりとわかり易いドラムンベースっぽいループが使われています。まあこれをドラムンベースと言ってしまうと、テンポの速いものはなんでもそうなってしまうのですが……。中盤からはギターの代わりにクールなシンセの上モノが奏でられ、なんかレースゲーム(特にリッジ系)のBGMに流れそう。
11 闘う者達
(FFVIIより)
アーケードモード第九ステージ、VSクラウド戦で流れてくる、耳馴染みのある曲。そう、「FFVII」の通常バトルの曲ですヨ!FFファンに対する最大限のサービスと言って良いでしょう。原曲がオケ音色でまとめられていたのに対し、「エアガイツバージョン」はチャキチャキとしたデジタルリズムとシンセ満載の、どこを切っても「中村アレンジ」といった感じ。リズムにはこれもドラムンベース的要素がありますね。原曲でのブラスのパートが、奇妙な人声っぽいサンプルに置き換えられているため、どこか茶化した感じもしてしまうのですが……(あくまで個人的に)。

このクラウドステージと次のティファステージは、前のサスケをどれぐらいの時間で倒したかという条件によって発生します。つまり、サスケを倒すのに手間取っていると、クラウドやティファと対面することなくジャンゴ戦になってしまいます。そうなると当然この曲も流れません。ゲーム中でこの曲聴いたことないよ?というプレイヤーは、ぜひサスケをサクッと倒してクラウドたちに会いましょう。
12 プレリュード
(FFVIIより)
クラウド戦に続き、アーケードモード第十ステージ、VSティファ戦で流れるおなじみのメロディー。そう、FFシリーズの代表曲「プレリュード」ですね。これはかなりしっかり「FFVII」バージョンに基づいて作られています(リズムの追加はありますが)。こういった形でのFFアレンジが聴けるのは、FF音楽ファンにとっては嬉しいことではないでしょうか。

しかし、こういうの聴くたびに思うのですが、アレンジ作業にあたって原曲のデータとかはもらえるんでしょうか?それとも耳コピしているのでしょうか?後者だとすると、「さすがプロだな〜」とうなってしまいます。
13 未来の人の挽歌 アーケードモード第十一ステージ、VSジャンゴ戦。宿命的な匂いがするスケールの大きい曲です。テンポもゆったりめで、ヘビーな感じになっています。高音を中心にまとめられた音色が、緊迫感を増幅しています。とは言っても、プレイヤーにしてみれば「なんだよこの犬は?」という感じで、壮大な曲もいまひとつピンとこないのでありました。格闘ゲームって一部の例外を除いて、バックストーリーの説明が弱すぎるんだよなあ。「なんでコイツと戦わなきゃいけないの?」という。

VSモードでステージにCOMPUTERを選んだ場合も流れます。
14 The Legend. アーケードモード第十二ステージ、VSジャンゴ第二戦で流れる曲です。とは言え、これは格闘としてはオマケ的なもので、言ってしまえばエンディングの一部。アタフタしているうちにスタッフロールが流れ始め、焦らされてしまいます。ここではジャンゴそのものを叩いても意味がなく、台の上にある箱を落として壊し、中にある剣2本をジャンゴに当てなければなりません。しかし、これが慣れないとなかなか上手くいかない!あっ、スタッフロールが!与えられた猶予はおおよそ50秒!そんなプレイヤーに追い討ちをかける、強弱の付けられた悲劇的な焦らし曲です。これ以外で耳にすることはないと思います。
15 DER EHRGEIZ. テクノ系の楽曲が多かったバトルに対し、アーケードをシメるこのエンディングの曲は、ギターとシンセのリフが絡み合うミクスチャーロック。エンディングだからと勇壮に、壮大にまとめることをあえてせず、スパッと勢いよく締め括る潔さは、いかにも格闘ゲームという感じで好感が持てます。初めてエンディングを迎えた時、この曲があまりにかっこ良すぎるんでシビレてしまいました。中村氏みずからが自信作とおっしゃるのもわかります。かなり好きっス。

ただし人によっては、ジャンゴに剣を当てきれずorアイテムを拾えずにタイムオーバーとなってしまった直後に流れる曲ですから、コントローラーを放り投げた苦い記憶が蘇ってくるかも(笑)
16 A self-service SELECTOR. もの凄くヘビーな、ズシズシと響いてきそうなハードロックナンバー。これもなかなかカッコイイ。んですが……普通にゲームをやっていても、この曲なかなか聴けませんね。ハイ。
17 Elevator その名の通り、ステージがELEVATORの時に流れる曲。通常、アーケードモードでのELEVATORはクラウドが対戦相手となり、「闘う者達」が流れるためこの曲は使われません。が、VSモードでエレベーターステージを選択することで耳にすることができます。小刻みなループのリズムが心地よい、テンポの速いライトな楽曲。イントロにはエレベーターの始動音と思われるSE的な音が加えられており、ステージの臨場感アップに貢献しています。
18 Fresh Fish ステージがUNDERGROUNDの時に流れる曲。とは言え、ELEVATORステージと同じく、アーケードモードでのUNDERGROUNDではティファが対戦相手となり、「プレリュード」が流れます。この曲はVSモードでUNDERGROUNDステージを選択することで聴くことができるのです。

どことなくアジア的な香りを感じる楽曲(え、私だけ?)。基本的にはオケっぽいシンセとティンパニが重厚に響く「煽り曲」なのですが、所々に大河ドラマ的と言うか、アジアンなテイストを感じるのですよ。もっと言えば和風というか、昔の忍者ものゲームで流れそうなメロディです。
19 Continue ゲームオーバー時のコンティニュー画面および、ランキングのネームエントリー画面で流れるBGです。「Ah」でもなく「Yeah」でもなく、「エー」と連呼しております。この曲のイントロでテトリスを感じたアナタは古き良き時代のアーケードゲーマーですね。あの頃はどこのゲーセン行ってもテトリスのBGMがいちばん目立ってた。
20 ステージクリアー 「DER EHRGEIZ.」の一部を使用した「ステージクリアME」らしいのですが、通常は以下の「マップソング」が使用されており、この形での使用はないような気がするのですが……聞き漏らしているのかな?
21 マップソング1 「DER EHRGEIZ.」の一部を使用したステージクリアME。アーケードモード第一ステージ、VS猪場勝利時に使われています。トラック20の「ステージクリアー」と何が違うかと言うと、コーダの処理が異なってますね。「ステージクリアー」がアタック的に短く終わっているのに対し、こちらはもうちょっとアトトロがあるんです。このアトトロ中に、プレイヤーキャラが次のステージに向かって走っていくモーションが映し出されます。
22 マップソング2 同じく、「DER EHRGEIZ.」の一部を使用したステージクリアME。アーケードモードでのVSジョー、三島、李との対戦勝利時に流れます。「マップソング1」に比べて音色が重めで、コーダにベル音色によるアルペジオが付いているのが特徴です。
23 マップソング3 やはりステージクリアなのですが、「DER EHRGEIZ.」は盛り込まれておりません。アーケードモードでのVSヨーコ、ナジーム勝利時に使われているバージョンです。「遺跡へ」といった意味合いでの選曲でしょうか、8トラック目「旅の果てに」を用いて作られています。
24 マップソング4 アーケードモードでVSハン、サスケ、クラウド、ティファ勝利時に使われるステージクリアMEです。16トラック目「A self-service SELECTOR.」を使って短くまとめています。

なお、FFキャラでアーケードモードをプレイすると、勝利時にFFシリーズ定番のファンファーレが流れますが、サントラには未収録となっています(アレンジは中村氏が行ってます)。
25 Opening (Short version) 前述の通り、エクストラオープニングのムービーに充てられている曲です(エクストラOP出現条件:ゲーム起動後、コントローラーに手を触れずに放置し、オープニングを8回流す)。マーチングリズムとティンパニで構成されたリズム隊に悲壮感のあるシンセ・ストリングスを乗せ、ボーカリーズなども薄く混ぜて緊迫した雰囲気。ずいぶんとシリアスなオープニングなんだな……と思いますが、これには理由があるようです。

PS移植にあたってのアレンジの作成、RPGパートの楽曲制作とスケジュールはタイトで、非常に短い期間での創作作業にそうとうの苦労があったことは想像に難くありません。中村氏はPS版エアガイツの作業において、自分という人間の未熟さを痛感した、とまで述べています。そんな曲作りへの苦悩が、この曲に表れているとも語っています。
RPG Section
26 Brand New Quest ここからは、オマケ(と言うにはあまりにも作り込まれている)のRPG「ゴッドレスダンジョン」に使われている曲をお届け。まず最初はタイトルからもわかる通り、ゲームのアタマで流れる曲になります。ゲームをスタートした直後のプロローグが終わると、プレイヤーキャラ(増田とクレア)は遺跡の入り口に。そこから、ホテルに着くまで流れる曲ですね。いよいよ探索スタートか?と思いきや、いきなりブッ倒れて遭難するプレイヤーキャラに、度肝を抜かれた人も少なくないでしょう(笑)。楽曲はアクションRPGのBGとしてまっとうなタイプの、オケ主体のもの。進め進め!という勢いに溢れているのですが、この曲が流れるのがここだけというのはちともったいないかも。

もちろん、RPGの曲も中村氏がすべて作曲されています。氏は(こう言ってはなんですが)「エアガイツ」以前は格闘ゲーム専門といったところがあったので、RPGの楽曲というのは初体験。さぞ難産だったのだろうと思いきや、「やったことのないジャンルだけにアイディアはたくさんあった」そうです。制作からのオーダーは「定番のRPGぽく」ということだったようで、それを受けて中村氏は「オーケストラ主体で、耳慣れたもの」という基本方針を設けたとか。そのおかげで、格闘パートとRPGパートではまったく別のカラーを打ち出すことができています。しかしRPGといいミニゲームといい、一枚のCD-ROMにいくつの「まったく異なるゲーム」が入ってるんだ、こりゃ。
27 遺跡のある街 プレイヤーのベースキャンプとなる「村」で流れるBG。これもなんともわかりやすいと言うか、「ああ、RPGの村ってこんな曲だよね」と誰もが納得できるものになっています。前半はハープ音色のアルペジオに、包み込むようなシンセストリングスが暖かさを醸し出しています。ところが後半の一部に、ティンパニとシンバルの加わる音の厚い箇所があり、まるで「えっ、ここお城もあるの?」という感じ。これ、なくても良かったような……。

まあ、ダンジョンの探索から帰るとホッとさせてくれることは確かです。もっともハードモードに「村」はありませんがね……。ノーマルをクリアしたら、ぜひハードもプレイしてみて下さい。村のありがたみがわかるでしょう。なお、CDでは「Brand New Quest」の次にこの村の曲が入っているわけですが、実際にはホテルの曲を先に聴くことになります。
28 ダンジョン1 ダンジョン内は、一定フロアごとに曲が切り替わってゆきます。具体的には、3フロア潜るたびに曲が変化。そんなゴッドレス・ザ・ダンジョンの1F〜3Fで、探索を始めたプレイヤーがまず聴くことになるのがこの曲。村から近いためかまだそれほど怖さはなく、「不思議な遺跡」といったニュアンスが強調されているようです。音色も、村との共通性を持たせているように感じますね。

それにしてもなぜ3フロアごとなんだろう?RPGパートの曲は締め切りがタイトで、2週間ほどで作らなければならなかったそうです。ダンジョンの探索BGM、もっと絞っても良かったんじゃないでしょうか?それでも中村氏自身は「楽しんで作れた」とおっしゃっているから、良しとしますか。
29 ダンジョン2 ゴッドレス・ザ・ダンジョン4F〜6Fで流れる探索中BGM。「ダンジョン1」とはまるで変わって、シンセベースの刻みに高音の緊張系シンセストリングス、ボーカリーズが乗せられ、かなり緊迫感高めになっております。それでいながら、ボーカリーズ音色のおかげで神秘さを失っていません。
30 ダンジョン3 ゴッドレス・ザ・ダンジョン7F〜9Fの探索BG。フロアごとに似た曲を隣接させず、アオる曲の次にはゆったりした曲がくるように配慮されているようです。この曲も緊迫系の「ダンジョン2」との対比からか、低音の弦音色と木管を中心とした、焦燥感よりも不安・孤独といった要素を前面に出した楽曲です。
31 ダンジョン4 ゴッドレス・ザ・ダンジョン10F〜12Fは、妙に悲劇的なこの楽曲が担当。イベント音楽かと思ってしまうほどに「立つ」この曲、ダンジョンBGMとしてどうなんですかねえ。このクドさ(失礼)でありながら、楽曲自体は短くループすることを前提にしているため、かなり飽きます。さすがに。
32 ダンジョン5 ボンボンボンという、淡々としたベースで幕を開けるゴッドレス・ザ・ダンジョン13F〜15Fの探索中BG。深く潜れば潜るほど、楽曲もだんだんと悲壮感を増していきます。楽器の編成も徐々に増えているような。
33 ダンジョン6 と思いきや、ゴッドレス・ザ・ダンジョン16F〜18Fではピアノとボーカリーズコーラスによる、宗教色のある静かな曲に。メロディックメタルのイントロにくっついていそうな、ピアノ・オケ・コーラスの組み合わせは、いよいよダンジョンも終盤にさしかかっていることをいやでも感じさせます。
34 ダンジョン7 いよいよ最後が近くなってきた、ゴッドレス・ザ・ダンジョン19F〜21Fの探索BG。またもやコーラスです。このあたりになるとさすがに敵も強いので、曲を聴いている余裕はなかなかないカモ。
35 罠で戦闘中 ドカーン!シャッターの罠にかかってしまった際、トラップの作動中に流れる曲です。かなりわかりやすい、オーソドックスなRPG戦闘音楽。早く敵を全滅させないと……という焦らし効果はバツグン。ダンジョンの曲に比べて展開も起伏に富んでおり、飽きさせません。
36 中ボス 21Fにおけるガーディアンドラゴン戦で使われるボス戦音楽。弦を中心に構築されていますが、それとユニゾンのオルガンが独特の神々しさを感じさせます。
37 大ボス ガーディアンドラゴン戦に続いて行なわれるアークドラゴン戦を彩る戦闘曲。曲調・音色は連戦となるためか非常に似たものになっています。この戦いに打ち勝てば……や、やったのか?その時、予想もしなかったハプニングが起こるのです。まさかもう一度潜らされることになるとは。「魔界村」かっつーの。
38 フェニックス パートナーが戦うことになる、真のラスボス、フェニックス戦で使われる最終戦闘曲。冒頭の圧倒的なコーラスから、33トラック目「ダンジョン6」と同じピアノ+ボーカリーズメロへと繋がります。

ちなみにRPGパートにはエンディングらしいエンディングがなく、フェニックスを倒した時点でスクロールのテロップが流れて唐突に終わります(最初、バッドエンドかと思ったぐらい)。すなわちエンディング用の曲というものも存在しません。ここまで作り込んだなら、満足感のあるエンディングが欲しかったですね。さすがに納期がヤバかったのか?
39 お店その1 やおや、もしくはレストラン「セポーン・デ・トレビアーン」といった飲食関係の店で使われている曲です。これもいかにもな「RPG的・ショップの曲」という感じで非常にわかりやすいですね。
40 お店その2 よろず屋、かじ屋で使われている、勇ましいショップBGM。
41 ホテル クエスト的には、ゲーム開始後2番目に聞くことになるホテルの曲です。なんでも二人は村はずれで倒れていたところを、このホテルの主人に運ばれたらしい……。遺跡の入り口に足を踏み入れた後、いったい何があったのでしょうか。そしてここは、どこなのか。

ホテル内で画面を切り替えた時に、曲を読み込み直すのはいかがなものかと思うのですが。部屋とフロントを行き来するだけで、この曲がまた頭に戻って……ずっと引っ張るのはプログラム的にキツかったんでしょうか?RPGを作り鳴れていないプログラマーだとこうなってしまうものなのかも。
42 魔法のお店 その名の通り、町外れの魔法屋で流れるものです。魔法の名前もアレだし「マテリア」とか言ってるので、FFの曲を期待した私が間違っていました。スミマセン。えー、パーカッション中心の不思議音楽ですね。

DISC 02 Arrange Section

01 The Tale of "EHRGEIZ" DISC2は、「アレンジセクション」と銘打たれています。しばしば勘違いしている方がおられるので一応記しておきますと、このサントラは「アーケードバージョン」と「プレステバージョン」を収録しているわけではありません。「アーケード=PSデフォルト(ORIGINAL)」でありますから、DISC1がアーケード、PSのサントラを兼ねています。では、DISC2の「アレンジ」とはなにか。アーケードモードのオプションを開くと、「サウンドセッティング」という項目がありますね?ここで、ゲーム中の音楽をオリジナル(=アーケード)にするか、PSオリジナルのアレンジバージョンにするかを選択できるのです。つまり、このDISC2にはPS移植にあたって新たに作られた、PS版オリジナルのアレンジバージョンを収録しているわけです。

というわけで前置きが長くなりましたが、モード決定後のキャラクターセレクト画面で流れる「The Tale of "EHRGEIZ"」のアレンジ。基本線はオリジナルバージョンから大きな変更はありませんが、テンポがやや早くなっています。またミクシングでは、オリジナルの横への広がりを意識した感覚はなくなり、ストレートなミックスになっていますね。音色面ではシンセのパート(空間系パッド?)が増えているほか、ボイスのフレーズが変わっています。
02 VICTORY ドームステージで流れる曲のアレンジバージョン。基本的には純粋なアレンジという感じで、大きな印象の変化はありません。オリジナルではかなりリバーブ感が強調されていたリズムですが、アレンジではそれがなくなってスッキリしています。

アレンジバージョンについてはスタジオレコーディングが行われており、そのためギターやベースに関しては増強されています。この曲においてもオリジナルではエレピだったフレーズがクリーンギターに差し替えられているほか、オリジナルにはなかったギターソロが加えられています。いかにも「打ち込み」だったエアガイツサウンドに、人間の香りが加えられたというわけですね。
03 ESCAPE ROOFステージ、もしくはバトルランナーでおなじみの「ESCAPE」のアレンジ。ギターがかなりブ厚くなっていることで大きく印象が変わり、よりハイテンションになっています。激しいギターソロの後にシンセベース+ループのみになる部分があったりと、より展開に富んだ構成になっているのはコンシューマならではと言えるでしょう(アーケードでは「目立ち重視」で、おいしい箇所だけをループする傾向があるため)。シンセの早弾きソロも見せ場です。

オリジナルでは左右に拡げていたリズムをセンターに定位させることで、アレンジバージョンにはドシッとした芯が加わりました。オリジナルはそのミックスのせいかリズムだけの曲、という印象でしたが、リズムを真ん中にするだけで他のパートがかなり明瞭になったことはアレンジを聞けば一目瞭然でしょう。また、ギターを増強したことによって一部シンセが後ろに退いています。このあたりも、アレンジに対するミックスの変化という要素において参考になるのではないでしょうか。もっともスタジオレコーディングだから、というのもあるとは思いますけど。

ちなみに、オリジナルに入っていた「hey!」という男性のボイスサンプルはなくなっています。
04 飛行船で逃げろ! AIRSHIPステージで流れる曲のアレンジ。ギターが増強されていることの他は、大きな印象の変化はありません。あと、ベースも生に差し替えられていますね。ドラムも生っぽく作られていますが、ライナーノーツにドラマーのクレジットがないので打ち込みでしょう。ハイハットなんかかなり緻密に打ち込まれていますが、実は一度にふたつ鳴っていたりして生のわけないという(スネアの音色も一定ですし)。それでもかなりバンドっぽさを意識したアレンジになっています。
05 香港レゲエ HONGKONGステージで流れるレゲエのアレンジ。イントロがより「香港」を意識したものになっています。オリジナルがほとんどリズムのみの曲だったのに対し、アレンジはかなりギターをフィーチャーしたものになりました。ベースも生モノになっています。
06 CONTINENTAL TRAIN TRAINステージで使用されているドラムンベースのアレンジです。オリジナルバージョンよりもテンポが速くなっているほか、エレピでやっていたバッキングがソフトなパッド音色に差し替えになっています。リズムについてはオリジナルに比べさらに凝った遊びが行われていますが、曲の印象は大きく変わってはいません。順当なアレンジです。
07 旅の果てに COLISEUMステージのアレンジ。メイン楽器はシタールか?という感じですが、おそらくギターでそれっぽいことをやっているものと思われます。そのため原曲に比べてかなり雰囲気が増していますね。また、オリジナルではシンセとパーカッションが同じ右側に定位していましたが、アレンジではパーカッションを左側に落ち着かせることで音場がスッキリとし聞きやすくなりました。

アレンジバージョン製作のためのレコーディングスタジオでの作業はわずか一週間だったそうです。しかも、事前にアレンジができていたのは「VICTORY」「ESCAPE」とこの「旅の果てに」だけというのですから、その一週間がどんなに厳しいものになったか考えると、他人事(失礼)ながら青くなってしまいます。もちろん残りの楽曲は、スタジオでアレンジを詰めながらレコーディングを進めていったのでしょう。体力的にもそうですが、精神的にもかなり疲れたのではないでしょうか。その後にトラックダウン(レコーディングしたものを2chステレオにまとめる作業)が2週間あったそうですが、これはさすがにエンジニア任せになってしまったようで……(さらにその後、中村氏みずからマスターをいじくってるのかも?)。それにしても、録りが1週間で混ぜが2週間というスケジュールもいかがなものかなあ、と思いますけど。まあ、日本のスタジオ料金は高いですからね。
08 真実の扉 DIGUPステージのアレンジです。前半はほとんど原曲そのまま、といった雰囲気ですが、後半になるとボイスフレーズの追加があるなど、さらに怪しげな感じに拍車がかかっております。そのため「旅の果てに」との関連性も強くなっているように思えますね。2曲1セット、みたいな。パーカッションのみだったリズムにもハットやスネア、タンバリンが加えられていたり、ギターソロが加えられていたりと、いろいろとグレードアップのための工夫が見られます。
09 運命 SHELTERステージで使われている「運命」のアレンジ。これはもうほとんど「エクステンドミックス」という感じで、オリジナルのグレードアップバージョンという程度のアレンジに留められています。まあ原曲が既にいじりようがないぐらい完成されていたのでしょう。予想していたよりもギターがおとなしいですね。もっとアレンジならではでガンガンくるかと思っていたのですが。
10 闘う者達
(FFVIIより)
いじりようがないと言えばこちらもそう、VSクラウド戦の「闘う者達」です。もともとが「FFVII」のものをいじったものだけに、すでにオリジナルがアレンジだったわけですから。パートの補強とミックスバランスの改善に留まっていると言ってよいでしょう。オリジナルバージョンよりも茶化し具合が薄れており、筆者としてはこちらの方が好きです。
11 プレリュード
(FFVIIより)
VSティファ戦の「プレリュード」。こちらももともとが「FFVII」のアレンジで、いまさらさらにアレンジしろと言われてもねえ……ということで、音色のグレードアップと補強に留まっているように聞こえます。
12 未来の人の挽歌 COMPUTERステージ、アーケードモードではジャンゴ戦で使われる曲「未来の人の挽歌」のアレンジ。どうでもいいですが、「未来人の挽歌」ではいけなかったのでしょうか?

Rolandの音源を使っていると言うだけに、JV系のカード音色を耳にすることができます。確かに便利な音源なんですよコレ。あとはTRINITYかな。コルグとローランド、それとサンプラーという感じですね。聴感上では、オリジナルでベターッと広がっていたループをセンターにすることで整理された印象です。ミキシングも、各パートが乖離していた(それぞれが前へ前へと出ようとする感のあった)オリジナルバージョンと比べて、上手くまとまっています。
13 The Legend. ジャンゴ第二ステージの曲です。短いフレーズのミュートである点はオリジナルと変わりありません。オリジナルでは右側に寄っていたシンバルがセンターにくることで、楽曲全体の締まりが良くなっているように思います。広がっていた、徐々に音量の上がってくるループもセンターに。

「エアガイツ」のサウンドを全体的に眺めてみると、オリジナルバージョンは「なんでもかんでも拡げ過ぎ!」という印象があるんですよね。それがアーケード的に有効な策なのか、それともそれがマイブームだったのかはわかりませんが。アレンジバージョンではその欠点がうまく軌道修正されたな、という感想。人によっては「おとなしくなったな」と感じるかもしれませんが、家庭用として、そしてリスニングのうえではアレンジの方が快適なんじゃないかと思います。
14 DER EHRGEIZ. ギター・ベース大増強でシビレ度120パーセントアップ!問答無用でカッコいい「DER EHRGEIZ.」のアレンジ。個人的にはこのゲームのメインテーマだと思っています。オープニングも、他人のヘンテコな曲にするぐらいだったらこの曲を活かせばよかったのになあ……とすら思います。通常オープニングって何のテーマ性もないんだもん。賑やかしのみ、って感じで。いまだにコレは惜しまれる点ですね。
15 A self-service SELECTOR. ギターが補強されて、さらにヘビーになった「A self-service SELECTOR.」です。これはもう予想通りのアレンジという感じ。誰がやってもこうなるでしょう、という。あとはもう完全に別モノに変えてしまうかのどちらか。個人的には、原曲の方向性を活かしたアレンジは好きです。
16 Elevator クラウド様のおかげでゲーム中ではちと印象の薄い、ELEVATORステージのアレンジ。微妙にテンポ速くなってるかな?オリジナルにはなかった弦とフルートのユニゾンが、曲に新しいイメージを付加していますね。音色もそれぞれ向上していて、インストルメントとしてクオリティアップしています。
17 Fresh Fish UNDERGROUNDステージで流れる曲のアレンジ。こちらもアーケードモードしかプレイしないよというプレイヤーにとっては、ほとんど隠し曲ですね。このアレンジは音色の増強のみというか、もう原曲からいじりようがないだろうという。っていうか「新鮮な魚」ってなに?「新鮮な魚」でなんでこの曲?最後の最後までナゾに包まれたエアガイツサウンドでありました。
18 11th どんなにアーケードをやり込んでも出てこない曲。しかも「Elevator」によく似ているため、もしやアレンジなのか?という、レビュー泣かせの曲です。いったいこんな曲がどこに?未収録曲か?ということで、実はミニゲーム「バトルパネル」で使用されている曲です。オマケのミニゲームのために曲を作るとは!隅々まで遊んでね、というメッセージなのか、それともどこかのボツ曲がもとになっているのかな?そしてタイトルが示す「11th」の意味とは?……無理矢理ナゾで締めようとしているのがバレバレなレビューですいません。

この曲はもちろんPS版のミニゲームにしか使われていないので、そもそもオリジナルバージョン(=アーケード)が存在しません。ゆえにDisc2にしか収録されていないのです。
19 DER EHRGEIZ
(Long Version)
期待感を煽るイントロが加えられた、「DER EHRGEIZ.」のアレンジバージョン。これはゲーム未収録のボーナストラックですね。というか、実はこれがモトだったりします。アーケードの「エアガイツ」が初めてゲームショウに展示された時、そのプロモーションビデオに当てられていた曲なのです。つまり、最初からテーマ級の曲として作られた楽曲なのですね。う、そのプロモ見てみたい……。

そして、「エアガイツ」サントラ最大のナゾがここにあります(もういいよ、と言わずにまあ聞いて下さいよ)。それは、オリジナルもアレンジも「DER EHRGEIZ.」なのになぜこのトラックだけが「DER EHRGEIZ」なのかという点。え?「何を言っているんだ」ですと?アナタには見えませんか、この小さな「.」が……。しかたない、拡大してみましょう。
オリジナル&アレンジ→「
DER EHRGEIZ.
このトラック→「
DER EHRGEIZ

ね?ピリオドがないでしょう?どうでもいいか。まあ、こんなことにツッコミを入れるのもウチだけだと思ってカンベンして下さい。
サントラ未収録曲
・通常のオープニングテーマ(中村隆之氏の作ではないため)、下記コラム参照
・FFキャラの勝利ファンファーレ(FFシリーズの「ファンファーレ」、アレンジは中村氏)
・陽子のエンディングムービーで使われている曲
・FFVIIエンディングに使われている、FFVIIの「片翼の天使」(オリジナルサントラから使用)
通常オープニング曲を発見!?
本当にもう偶然なのですが、「エウレカセブン」というアニメのサントラで通常オープニング曲とソックリな曲を発見してしまいました。ただ「ソックリ」なだけならば、わざわざここで御紹介しません。ソックリとか似てるとかいうレベルを超えて、本当にそのまんま同じ曲。前述の通り、「エアガイツ」内では誰の曲なのかも一切クレジットのない通常オープニングですが、このアニメの劇伴は佐藤直紀氏が担当。佐藤氏と言えば近年、ドラマや日本映画のサントラなどで引っ張りだこの人気コンポーザーですが、「エアガイツ」リリース当時はほぼ無名。そういう映像音楽家を志す人が、無名時代にゲームの音楽を手掛けていても何の不思議もありません。それでもナゼこの曲だけなのか、なぜこれだけが中村氏でないのか、なぜクレジットされていないのか……とナゾは尽きません。

エウレカセブン 「交響誌篇エウレカセブン」オリジナルサウンドトラック1

2005年 アニプレックス SVWC 7294〜5

佐藤直紀氏による劇伴楽曲のほか、劇中で使用された挿入曲も網羅したサントラ。「エアガイツ」の通常OPにソックリな曲は、Disc2の13曲目「type the END」です。特に注釈がないので佐藤氏の曲だと思われるのですが、現在佐藤氏が得意とする曲調とはまた異なる感じで、いまひとつ確信が持てないところです。


興味のある人はCDで聴いてみて下さい。
さ・ら・に!
「出撃!マシンロボレスキュー」
オリジナルサウンドトラック VOL.2


2003年 Lantis LACA-5229

「エウレカ」よりさらに古い、アニメのサントラ。このCDの25曲目「死闘!激闘!」がこれまた、「エアガイツ」の通常OPに激似というかほとんどそのまま。こちらも音楽は佐藤直紀氏です。1997年もしくは98年の「エアガイツ」、2003年の「マシンロボレスキュー」、2005年の「エウレカセブン」……。これはもう同一人物によるセルフカバー(使い回し)と断定して良いでしょう。


嘘だと思うならCDを聴いてみて下さいよ!

クラウドやセフィロスを操る格闘アクション!「エアガイツ」未体験の方はこの機会にぜひ。ベスト盤が安いです。

ゲーマーズエデン トップへ サントラレビュー メニューへ
2004-2006 GAMERS EDEN

ユーズドの在庫をチェック!