PHANTASMAGORIA(ファンタズマゴリア)/植松伸夫

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NTT出版/ポリスター  PSCN-5010   1994年   JASRAC表示:なし

01.雨の日、子供達は
02.ANGEL HANDS
03.おきざりの ちいさな・・・
04.優しい経験の復活
05.DOGS ON THE BEACH
06.PHANTASMAGORIA
07.深い海・ブルー
08.マヤの民
09.MIRRORS
10.FINAL FANTASY

 FFシリーズの音楽を一貫して担当している生き証人(笑)、植松伸夫氏の貴重なソロアルバム。ゲーム作曲家とは別のところで、氏独自の音楽を発表している数少ない「場」である。ただし、植松氏はあくまで「僕はゲーム屋」というスタンスの人。ゆえにこのアルバムもあくまでスクウェアのプロダクツである。そういえば植松氏はかつて「サントラは売れるんですけどねえ、アレンジとかソロは売れなくて困ってます(笑)」と語っていた。FF音楽じゃなく、植松音楽のファンなんだッ!というそこのキミ!このアルバムはキミのような人のための作品だ。入手は困難かもしれないが、可及的速やかに購入し聴き込むようにっ!

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 と、まあここまで熱弁しておいてなんですが、「え、FFとは関係ないんでしょ、なんでレビューしてんの?ここはゲーム音楽レビューじゃないの?」という読者からのメールが……きてません。けど、あえて言わせてもらえば「キミの目はフシアナかっ!10曲目のFINAL FANTASYという文字が見えないのかッッ!」そゆこと。

 ファンたちの間でしばしば交わされる質問に、「FFVIのCMで流れていた、『ファイナルファンタジー』のボーカルバージョンはどのCDに入ってるの?」というものがある。勘違いしているのか、はたまた売り上げに貢献しようとしているのか、「prayだよ」「1987-1994ですよ」といった誤った回答もたびたびあるようだが、ここで明言しておきます。それは、植松伸夫のソロアルバム「ファンタズマゴリア」に入っていますよ!ここでしか聴けませんよ!そゆこと。

 全体的にゆったりとした楽曲を中心としており、インストあり、詩の朗読あり。純然なウタモノはありませんが、植松氏の音楽性がそこしかこに溢れています(民族音楽的アプローチも含めて)。ゲームのサントラではないので個々の曲たちにはあえて触れないけれども(ホントに良い曲ばっかりよ!)、聴き方によってはFFの匂いを感じるものも。特に5曲目の「DOGS ON THE BEACH」なんて、ユフィが出てきそうな「忍びの末裔」……ゴニョゴニョ。

 で、「FINAL FANTASY」ですが、やはり植松伸夫のソロ作品としては外せない、と。ライナーノーツの歌詞が掲載されていないので、浅学な筆者にはどこの言語なのかもわかりませんが、このアルバム唯一のボーカルものでもあります。逆から読むのか、「いえゆい」なのか、そういった仕掛けが施されているのかもしれませんが、それなら歌詞載せるよね。実はこれ「ウーズク語」だそうです。そんな言葉あったっけ?と思われるでしょうが、引っくり返して下さいよ。「葛生」語です。ボーカルの葛生千夏氏が作った言葉だそうです。それでもその意味は葛生氏(と植松氏)にしかわからないんですけどね。一方アレンジは、民族的でありつつもバロックな感じ。ギター、チェンバロ、トランペット(ペットはシンセですが)、そして独特なパーカッションで構成されているからでしょう。ボーカルは「Roaming Sheep」な感じとでも言っておきましょうか。とにかく他にはないタイプのアレンジになってますヨ。これ聴かずして、FF音楽マニアを自称するべからず。

 ちなみに、クレジットはされていないが、実は11トラック目が存在する。それが何かは……アルバムを持っている人だけのナイショにしておきましょうかね。知りたければ買いましょ。……これでちょっとは売り上げに貢献できましたかねえ、植松さん?


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