GAMERS EDEN ゲーム音楽 ゲームサントラ レビュー
すぎやまこういち交響組曲「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」
(N響版交響組曲SBM+ゲームボーイ版ゲーム音源)
 ファミコンソフトとして誕生した不朽の名作「ドラゴンクエストIII」を、「I&II」に引き続きゲームボーイカラーでリメイク。基本的なベースはスーパーファミコン版の内容を継承しつつ、「モンスターメダル」やさらなる裏ダンジョンを追加、小さなカートリッジにたくさんのファンサービスが詰まっている。このCDはゲームボーイ版ゲーム音源と、1988年のN響版交響組曲にスーパービットマッピング技術を施したものをカップリング。ドラクエ音楽ファンにとっては待望のN響再発盤としての意味合いも強い一枚。

Sony Music Entertainment
SVWC 7071
2001年
JASRAC表記:
あり

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ゲーム紹介

 技術の進歩は、我々に「ドラクエ」を持ち歩くことを許可した……。モノクロの頃はともかく、カラー画面へと進化を遂げた任天堂の「ゲームボーイ」は、「ドラクエ」移植の場として最適だったのである。まずは原点である「I・II」のカップリングが移植され、そしてロトシリーズの完結編である「III」が、オリジナルであるファミコン版からほぼ12年の時を経て、2000年12月8日に発売された。ちいさなメダルや新たな職業・盗賊の追加、クリア後の隠しダンジョンなどのフィーチャーは、96年に発売された同作のスーパーファミコン版をベースとしながらも、ゲームボーイ版ではさらに「モンスターメダル」や新たな隠しダンジョンを追加し、究極の「ドラクエIII」となった。

 「ドラクエI・II」のゲームボーイ版については、そのサウンドトラックは「ゲーム音源大全集」に収録されるに留まった。が、「III」は単独のサウンドトラックが発売された。それがこのCDである。ゲーム音源はスーパーファミコンに比べたら貧弱なものではあるが、逆に考えればファミコン音源に近く、すぎやまこういち氏による「音数が制限された中での創意工夫」を楽しむことができよう。そのような状況下にあっても、スーパーファミコン版で追加された新曲はすべて網羅されているのだ。ゲームボーイに移植……となると、実作業は下請けに丸投げということも珍しくないが、すぎやま氏に関してはすべての楽曲の再編曲をすべて自ら手掛けたようだ。

 このCDはそれだけではない。ファミコン版の時にリリースされたNHK交響楽団によるオーケストラバージョンを、SBM技術を施して再収録しているのだ。ファミコン版の交響組曲は廃盤になっており、また「ドラクエのオーケストラと言えばロンドンフィル」に染められていた中でのN響版の再発は、ファンとしては嬉しい限りである。スーパーファミコン版のロンドンフィルハーモニック管弦楽団による交響組曲との聞き比べも面白いだろう。できることならこの要領で、過去のオーケストラバージョンを再収録したゲームボーイ版「I」「II」のサウンドトラックもほしいものだ。

 当然のことながら、N響版ではスーパーファミコンから追加された新曲は演奏されていないので、そういった楽曲のオーケストラバージョンはロンドンフィル版で補完することになる。「III」の音源をコンプリートするのであれば、これから紹介するゲームボーイ版(GBゲーム音源+N響)、スーファミ版の2枚(ロンフィルオケ盤とゲーム音源盤)、そしてゲーム音源大全集(ファミコン版サウンドストーリー)が最低限必須となるだろう。

 現在、ゲームとして最も確実に手に入る「ドラクエIII」はゲームボーイ版かと思われる。もしもCDを聴いて知らない曲があったら、ぜひゲームボーイ版「III」をプレイしてみてほしい。3D全盛の時代にあって、ゲームとしてまったくひけをとらないことが実感できるはず。そして「ドラクエ」の根底にあるものが、現在もなお変わらずに受け継がれていることが理解していただけるであろう。

オーケストラ・ヴァージョン
オーケストラ・ヴァージョンのレビューは、ファミコン版交響組曲のコピー・改変です。
01 ロトのテーマ
Roto
おそらく、日本で最も有名なRPG音楽だろうと思われる、ドラゴンクエストシリーズのメインテーマです。「I」では「序曲」、「II」では「ドラゴンクエストマーチ」と呼ばれていたこの曲は、ロト完結編の「III」で初めて「ロトのテーマ」という称号を与えられました。同時に、「III」はメインテーマにドラクエ前期イントロとも言える、ホルンによる「ロト編ファンファーレ」が採用された最後の作品ともなりました。次回作「IV」からは冒頭のファンファーレが大きく変化することになるのです(俗に言う「天空編ファンファーレ」です)。

そんなホルンの勇ましいイントロに続いて、誰もが口ずさむことのできる主題部が始まります(0'12"〜)。そして43秒からの主題のリピートでは、オーケストラ全体が奏でる圧倒的な迫力で我々を魅了してくれます。言ってみれば、このCDはドラクエ音楽としては初めてNHK交響楽団が演奏したもので、ファミコン版「I」「II」の組曲を担当してきた東京弦楽合奏団の演奏と比較すると、まず楽器編成の厚みが明らかに豪華になりました。さらに、かつてはティンパニとシンバルだけだった打楽器に、N響となったことでマーチングスネアが加えられ、より勇ましい行進曲調に仕上げられた点が、東京弦楽合奏団の演奏と比較した場合に最も特徴的なことでしょう。

ロンドンフィルハーモニック管弦楽団との安易な比較は慎むべきでしょうが、N響の演奏は全体一発録りではなくマルチトラックレコーディングであり、ミキシングの段階で後付けの残響を付加しているため、やや輪郭がぼやけています。また、ミキシングバランスの問題なのですが、たとえばシンバルが明らかに前に出すぎているなど、オーケストラ録音としてやや不自然な箇所も目立ちます。これは当然、演奏ではなく録音側の技量なのですが。ただ、マスタリング技術の進歩によって、88年発売の交響組曲盤よりも格段に音質は良くなっております。同じマスターを使ったCDでも、後処理の技術によって聞こえ方は大きく変化します。もし両者を所有している方は、聞き比べてみるのも面白いかもしれません。

ここからトラック10までは、すぎやまこういち氏がみずから指揮した、NHK交響楽団の演奏によるオーケストラバージョンが続きます。
02 王宮のロンド
Rondo
弦楽による「城」の音楽です。いかにも王城という感じの、古典的バロックの香りがする秀逸な楽曲です。すぎやまこういち氏の有名な発言に「『I』を基準として、『II』は新たな世代の物語だから音楽もポップス的に、『III』は過去の話だから音楽もよりクラシカルに」というものがあります。その発言の意図は、このお城の音楽を聴いていただければなんとなくでも理解してもらえるのではないでしょうか?

ゲーム中に登場する「城」で、ほぼ例外なく使用されている楽曲です(竜の女王の城、ゾーマの城、アレフガルドのラダトーム城は除外)。また、1分6秒からの間奏部分はゲーム音源にはありません。
03 世界をまわる
(街〜ジパング〜
  ピラミッド〜村))
Around the World
タイトルの通り、音楽で世界一周といきましょうか。「III」で旅することになる、あらゆる街や村で流れる楽曲たちをメドレーにした組曲トラックです。まずは、なんとも楽しげな、木管楽器が跳ねるような「街」の曲から。木管はN響演奏によってもたらされた要素。弦楽を中心としていた「I」「II」の頃から、すぎやま氏は木管を欲していたに違いありません。金管や弦には出せない表情を、木管楽器は多彩に表現することができるのです。「III」での木管は悲願達成、という感じではないでしょうか。

1分24秒からは「ジパング」の専用BGM。いわゆる「和風」ではなく、もっともっと昔の日本、イメージは邪馬台国といった感じ。右側のチャンネルで鳴っているひっかくような音は、弦楽器の弦を弓で叩くようにして発音しているものです。3分6秒からは「ピラミッド」の曲です。もっともピラミッドは街ではなくダンジョンですが……。

4分18秒からは、「III」で初めて登場した「村」で流れる曲です。「街」と比べてよりのどかで、人々がマイペースに暮らしている伸びやかな雰囲気になっております。
04 冒険の旅
Adventure
アレフガルドを除き、ゲーム全編を通したフィールドで流れる楽曲。「III」の中でも最も人気が高い部類に入るでしょう。特にオーケストラバージョンの、ゲーム音源版にはない珠玉のイントロが高評価であるようです。この流れるような弦が宿命をも感じさせます。だからと言って悲壮感はまったくなく、あくまで前向き。楽曲そのものは、勇壮な金管にマーチングスネアの添えられた、なんともヤル気にさせてくれるものなのですが、このイントロがあるからこそ、楽曲全体の勇ましさがより引き立っています。このイントロを受ける形のような、55秒からの弦パートもなんとも言えません。オルテガより受け継ぎし意志と、後の世へと継がれていくロトの伝説を語っているかのようです。
05 ダンジョン〜塔
      〜幽霊船
Dungeon〜Tower
〜The Phantom Ship
「I」のダンジョンに通じるテイストを持った、孤独感と緊張感を増幅する「洞窟」のBGMから。ゲーム音源のものよりもゆっくりとしたテンポで、ひっそりとした洞窟内を思わせます。ゲーム音源は「今にも魔物に襲われそうな恐怖感」、オーケストラバージョンは「静まりかえった洞窟をそろりそろりと進むようす」というような、雰囲気の違いを感じますね。1分59秒からは、「II」から定着した要素である「塔」の音楽。「II」とはまた違った、脅かし要素が多い構成の楽曲です。ただし、洞窟にしろ塔にしろただ怖いだけの音楽ではなく、どこかに明るさやユーモラスな感じが組み込まれているのは、すぎやま氏の人柄ではないでしょうか。

3分18秒からは、「III」で新たに登場したタイプのダンジョン「幽霊船」の曲です。「船乗りの骨」で位置をつかみ、海上で幽霊船を見つけた時のドキドキ感は今でも覚えています。いったい中はどうなっているのだろう……。その不気味な雰囲気に、一歩一歩が慎重になってしまう。カッ・カッ・カッというウッドブロックと、チキチキと鳴るハイハットが、そんなパーティの足音のように聞こえてしまいます。弦楽器は労働を強いられる者たちの悲鳴、威圧的な金管は異形のモンスターの雄叫びか……いろいろな情景が見えてくる曲です。5分30秒で鳴る、1発の「ザン!」は、「I」の交響組曲における「竜王」のアタマでも聞くことのできたバルトークピチカート。
06 鎮魂歌〜ほこら
Requiem〜
Small Shrine
「II」の交響組曲では省かれた「ほこら」ですが、「III」で念願の組曲化。ですが、まずは全滅時に流れる「鎮魂歌」をどうぞ。それまでの勇ましいフィールドや戦闘の曲とはガラリと変わって、まさしく「鎮魂」。弦がしんみりと歌い上げ、「死んでしまった……」という絶望感を増幅します。

1分27秒からが「ほこら」の曲です。短いME的な楽曲で用途も限定されているにもかかわらず、非常にファン人気の高い曲です。
07 海を越えて
Sailing
ドラクエの海はワルツ!その鉄則にのっとった、船で移動中に流れる「海」BG。その方向性は「II」のものよりもさらに強められ、まるで舞踏会のよう。ズンチャッチャ、ズンチャッチャ、紳士と貴婦人が手を取り合って踊っていそう。もっとも、僕らのダンスの相手はモンスターですけどね。命懸けのダンス。

ちなみに、88年の交響組曲盤では英語表記が「SAIL ON THE SEA」でした。他のトラックも、大文字表記だったものがこのCDでは小文字になっていたりもします。
08 おおぞらをとぶ
Heavenly Flight
フィールド曲「冒険の旅」と並んで、「III」で1・2を争う人気を誇るのがこの「おおぞらを とぶ」。ラーミアに乗って空を飛んでいる際に流れるものです。ラーミアに乗っている限りはモンスターとエンカウントせずに流れ続けますから、長時間聴くことになるため人気が高いのも必至というわけです。神秘的なラーミアの存在を語りつつ、オーブを全て集めた達成感、そしてこれから終局へと向かっていく冒険を盛り上げてくれます。

個人的には「ラーミア、飛ぶの遅せー!」とか思ってしまうんですが、確かにこの曲に乗せてラーミアがビュンビュン飛んじゃったら違和感あるかも。それにしても「FFIII」のインビンシブルといい、「『III』に登場する空飛ぶ乗り物」ってばなんでノロいんでしょう?

この楽曲も88年盤では英語表記が「FLYING IN THE SKY」でした。なんかちょっと低学年っぽい英文ですね。スーパーファミコン時点からの変更ですが、「Heavenly Flight」の方がラーミアで飛んでいる雰囲気は出てます。また、日本語タイトルも88年盤では「おおぞらを とぶ」というように空白が設けられていました。2004年の「ドラゴンクエストVIII」で復活するこの曲ですが、そちらのタイトルはこのゲームボーイ版と同様に「おおぞらをとぶ」となっています。
09 戦闘のテーマ〜
アレフガルドにて〜
勇者の挑戦
Fighting Spirit
トラック9ではバトル音楽組曲をお送りします。まずは通常の戦闘音楽「戦闘のテーマ」から。初めてこの曲をファミコンで聴いた時には「ずいぶん細かい音を詰め込んだな」と思ったものでした。ファミコン音源で迫力のある音を作る時、細かい音をビッシリと並べることはひとつのテクニックなんだそうです。子供心に「これオーケストラで演奏できるのかな?」と余計な心配をしたのですが、聴いてお分かりの通り、まったく問題ナシです。

続いては、ゲーム終盤に訪れる「アレフガルド」のフィールドBGM(1分40秒〜)。切なすぎる木管とハープで構成され、郷愁を誘う弦のイメージも「I」「II」と共通です。アルペジオが3連符になっている点が、本作における「アレフガルド」最大の特色ではないでしょうか。

と、静かな演奏に浸っていると突然「ドジャーン!!」。2分56秒からはラスボス・ゾーマ戦のバトル音楽「勇者の挑戦」。特筆すべきは間奏部分。4分44秒からをよく聴いて下さい。まず現れる右側の金管は「ロトのテーマ」のイントロ部分、続く4分46秒からの弦によるモチーフはまさしく「アレフガルドにて」ですね(4分47秒からの左側にいる管も追いかけてます)。続く4分50秒で聴ける金管のフレーズは、「ロトのテーマ」の主題部です。さらに4分55秒には、「I」の「序曲」だけに組み込まれている間奏からの引用も。なんだかすぎやま氏に試されているような。「どこまでわかるかな?」って。「I」と「III」を繋ぐような、音楽的な仕掛けが満載です。もちろんゲーム音源にはありませんが……オケ版だけのファンサービスというところですね。

曲名を見ればわかる通り、あくまでこの曲は「勇者側の視点」から見た決戦を表現している曲なのですね。決して敵の強大さだけを語っているのではないということです。だから、ロトのモチーフが顔を出しているのです。こういった立場で作られているラスボス曲というのは、「ドラクエ」シリーズでもきわめて珍しいのではないかと思います。

この録音はファミコン版リリース当時のものですから、スーパーファミコンで追加されたバラモス戦の「戦いのとき」は未収録です。オーケストラバージョンを聴きたいという人はロンドンフィル盤も手元に置いておきましょう。
10 そして伝説へ…
Into The Legend
エンディングテーマ、「そして伝説へ…」をフルオーケストラで。もちろん曲名は、ゲーム本編のサブタイトルでもあります。つまり、「I」のロトの伝説へ繋がっていく…という意味ですね。「III」とは言っても、まだまだエンディングは短くシンプルでしたね。その後の物語はプレイヤーに委ねるというか、余韻を残すというか。「III」が終わった直後に「I」をプレイした人はかなりいるんじゃないでしょうか(私もそうでした)。

なお、この曲はドラクエのオーケストラコンサートにおけるアンコールの定番。暗黙の了解というか、みんなわかってる。最近はどうなのか知りませんが……。すぎやま氏もMCでは「この曲は聞いたらすぐ分かりますよ。分からないと言う人は、ドラクエをやってないモグリですね」というような紹介のしかたをしていたようです。
オリジナル・ゲームミュージック・ヴァージョン(ゲームボーイ版:基盤音源)
ゲームヴァージョンのレビューの一部は、スーパーファミコン版のコピー・改変です。
11 ロトのテーマ もはや説明の必要がないほどに有名な、「ドラクエ」シリーズのメインテーマ。「I」では「序曲」、「II」では「ドラゴンクエスト・マーチ」という曲名でしたが、「III」で初めてロトの名が冠されました。同時に、このシンプルな「ロト編イントロ」が付けられた最後のバージョンでもあります。

さてゲーム音源ですが、ファミコン音源を懐かしく想い出させる好アレンジではないでしょうか。ゲーム中での使用は3箇所。もちろん初めはオープニングタイトルになります。次に耳にするのはゲームが中盤を越えた後。バラモスを倒してアリアハンに戻り、そのことを王様に報告するとさっそく宴を開く段取りに……このイントロが勇壮に鳴り響きます。ゲームクリアかと思うのも束の間、閃光が轟いて謎の声が……ゾーマとは何者だ?というところで、ゲームは一気に終盤へと突き進みます。このあたりは、メインテーマとしての有名さを逆手に取った演出ですね。一瞬「エンディング?」と思わせて、ブッツリと切っています。

そして本当のエンディング。ゾーマを倒してラダトーム城に戻った際にも演奏されますね。言わばエンディング前半部分です。ここで演奏されるのはこのCDに収録されているものとはやや異なり、イントロと主題の間の「タメ」がもっと長いものになっています。「ロトの伝説の幕開け」にうってつけの演出で、続いて「そして伝説へ…」が演奏されます。
12 間奏曲 冒険の書作成画面で流れる、おなじみの「インテルメッツォ」。今やしっかりと「ドラクエ」の代表曲になっているのはご存知の通り。実はこの曲、ファミコン版の「IV」で初登場した曲ですから、ファミコン版「III」にはなかったんですね。ゲームボーイ版「III」では、まさしくファミコン版「IV」を想い出させるものになっています。ちなみに「III」に初めてこの「間奏曲」が採用されたのは、スーパーファミコン版でした。
13 まどろみの中で スーパーファミコン版から追加された新曲。それがそのままゲームボーイ版でも採用されています。新しい冒険の書を作るとまず開始される、性格付けイベントの冒頭で流れるのが初出となります。どこかの森にいるプレイヤーの分身・主人公。奥に進むと、そこは滝の見える広々とした場所。語りかけてくる謎の声の質問に答えていく……そんな場面でしたね。神秘的なこのイベントにはピッタリじゃないでしょうか。ある意味、ゲーム中で最初に聴くことになる楽曲です(オープニングデモは除く)。

他のゲーム中での使用は多くはありませんが、バラモスを倒した後に、天の声が語りかけてくるシーンで流れました(その後、アリアハンに飛ばされます)。これにより、性格付けイベントの「謎の声」とここでの「天の声」が同一のものだと推測できます。クリア後の隠しダンジョン入り口でも使われていますが、これは単なる流用でしょう。「神竜」が「謎の声」の主である、ということはないはずです。

もともとがスーパーファミコンでの曲ですから、ゲームボーイ版は当然クオリティダウンしています。ボーカリーズによったメロディは、どう聴いてもボーカリーズに聞こえない音色になっています。ですが、どうでしょう。両者を比較すると、原曲が醸し出していた雰囲気がまったく損なわれていないことにハッとさせられるのではないでしょうか?これぞ、「制限の中で最大限の音楽を作る」ゲーム音楽の醍醐味であり、すぎやまマジックなのです。
14 ゲームを通して「街」で使われる曲です(アレフガルドは除く)。「III」では「村」という概念も登場し、楽曲も分けられました。ゲームボーイ版は、懐かしいファミコン音源のテイストを色濃く残しています。楽しげに弾むメロディは、街の喧騒と人々の往来を感じさせてくれるでしょう。以下、この曲が流れる街々をリストアップしてみましょう。

アリアハンの城下町、ロマリアの城下町、アッサラーム、イシスの城下町、港町ポルトガ、バハラタ、ランシール(住人は「村」と言っているのに曲は「街」…)、商人の町第三段階以降、サマンオサ城下町
15 街の夜 夜になってから街に入ると、BGMがこのように変化します。「昼夜」という概念はファミコン版にも存在し、夜しか起こらないイベントがあったり、昼と夜では人々が話す内容が変わったり、お店が閉店したり……といった要素があったのですが、曲自体は変化しませんでした。もちろん容量の問題でしょうが、スーパーファミコン版からは楽曲も「夜っぽい」ものが用意され、昼夜で区別されたのです。もちろん、トラック4「街」のアレンジですね。それがゲームボーイ版にも受け継がれたということです。上の「街」が流れる街では、例外なく夜になるとこの曲になります。
16 王宮のロンド アレフガルドを除き、ゲームを通して「城」で流れるBG。「I」「II」と共通したイメージによる、弦楽での「いかにも王城」という感じがする古典的バロックです。このようなゲームボーイの、誤解を恐れずに言えば「貧弱な音源」ですら、しっかりとクラシックの雰囲気を感じさせるのですから、音楽の印象というものについていかにメロディが重要であるかがわかりますよね。

ロト3部作の中でも最も華やかな曲調になっていると感じますがいかがでしょう?すぎやまこういち氏の有名な発言に「『I』を基準として、『II』は新たな世代の物語だから音楽もポップス的に、『III』は過去の話だから音楽もよりクラシカルに」というものがあります。この曲を聴くと、そんな意図がなんとなくわかるような気がしますね。

アリアハン、ロマリア、イシス、ポルトガ、ダーマの神殿、エジンベア、サマンオサといったあらゆる「城」で使われていますが、「竜の女王の城」だけは例外的に「ほこら」が流れます。また、クリア後の隠しダンジョンに組み込まれた「ゼニスの城」でも使用されています。
17 王宮の夜 こちらもスーファミから追加された曲ですね。夜になったお城で流れる、「城」のアレンジ。ゲームボーイ版の音源をもってしても、しっかりとチェンバロを思わせる音色になっています。スローになったことでよりバロックぽさが強調されており、見張りの兵士以外はみんな寝てますよ、また明日おいでなさい、という雰囲気に満ちています。上記「城」が流れる場所では、夜になるとこの曲に変化します。例外は「ゼニスの城」のみ。ここは夜になることがありませんから……。
18 冒険の旅 フィールドで流れる、冒険のテーマ。「I」「II」よりも格段に勇ましい行進曲風の曲調がなんとも「ヤル気」にさせてくれます。交響組曲版のイントロ(ゲーム音源版にはありません)もファンに大人気のカッコ良さですので、ぜひN響の演奏(トラック4)とあわせてお聴き下さい。せっかく一枚のCDに収録されているのですから。

アレフガルドを除くすべてのフィールドで常に流れ続ける、プレイヤーにとって最も親しみある曲。人気が高いのも道理でしょう。トヘロスを使っていつまでも聴いていたいですね〜。敵が出てくると、「曲のジャマすんな!」などとRPGプレイヤーにあるまじき感情を抱いてしまいます。

そんなこの曲ですが、ファミコン版開発中は「冒険後半のフィールドBGM」として検討されていたようです。そう、「II」のような感じですね。冒険前半はもっと控え目な曲を充てることも考慮されていたと言われています。容量の問題から見送られた計画ですが、もしもそれが現実のものになっていたら、この曲はここまで人気のある曲にはなっていなかったかもしれませんね。
19 「街」よりも規模の小さい、「村」で使われる曲です。村自体は「I」「II」の頃から存在していましたが、楽曲は「街」と共通でした。「III」で初めて、両者が楽曲的に区別されたのです。それは以後のシリーズに受け継がれています。

「街」より小さく、暮らしている人々も少ないことからか、「街」のようなポップさはなくのんびりとした曲調。地名も知らない場所に入ったプレイヤーが、楽曲から「ここは街」「ここは村」と判別できるようになっています。ヘタな作曲家が作ると両者のタッチが似通ってしまい、曲を分ける意味すらなくなってしまうものですが、そこはすぎやま氏の仕事ですから完璧です。ましてもともとはファミコンの音源でそれをやっていたのですから楽器音での変化はつけようもなく、あくまで曲そのもので勝負しなければならなかったのです。ゲームボーイ版も、基本的には条件は同じですね。

レーベ、カザーブ、エルフの隠れ里、ノアニールの村(目覚め後)、ムオルの村、商人の町第二段階まで、スー、グリンラッドの老人(魔法使い)の家、ルザミ、海賊の村で使われています。また、クリア後の隠しダンジョンに組み込まれている老人の家(第11フロア。ゼニスの城の次)でも流れます。
20 村の夜 夜になった村で流れる、「村」のナイトアレンジ。もちろんスーパーファミコン版から登場した新規アレンジです。ゲームボーイ版にもしっかりと受け継がれました。例外として、テドンの村では昼間は「鎮魂歌」が流れていますが、夜間はこの曲が流れます。どうしてなのかはテドンに行ってみればわかるでしょう。
21 ねむりの村 またまた、「村」のアレンジです。パッと聴いただけで「村」のメロディだとわかるかどうか……というぐらいに雰囲気が変えられていますが、ファミコンからプレイしているファンであればすぐわかるのでは?スーパーファミコン版では風のようなSEとともに、静まりかえった村をこれ以上ない形で演出していましたが、ゲームボーイ版はメロディだけで勝負!エコーをシミュレートしたような音の減衰、微妙なビブラートは決してスーパーファミコン版にひけをとっていません。

確認した限りでは他への流用は一切なく、しかも村の人々が目覚めてからは通常の「村」の曲になるため、聴くことのできる期間が極めて限定されたMEなのです。MEにしてはけっこう長いですが、風の音も含めて最高の「エフェクト」ですね。メロディのピッチが微妙なベンドによって揺れているのも、不安定な危うさを醸し出すのに貢献しています。あ、一応追記しておくと、スーパーファミコンから追加された新規アレンジですよ。念のため。
22 ダンジョン(上の世界) いわゆる「洞窟」で流れるダンジョンBGM。ゲームボーイ版は音色・編曲ともに、ファミコン版を忠実に再現したアレンジになっています。ちなみに、「ダンジョン(上の世界)」という表記はゲームボーイ版が始めて。「下の世界」はすなわちアレフガルドのことです。以下、この曲が流れるダンジョン一覧。

岬の洞窟、ナジミの塔B1F、いざないの洞窟、ノアニール西の洞窟、ノルドの洞窟、バハラタ東の洞窟、地球のへそ、ジパングの洞窟、サマンオサ南の洞窟、ネクロゴンドの洞窟、ギアガの大穴、クリア後隠しダンジョン(ダンジョンのマップを流用した各フロア)
23 戦闘のテーマ 通常戦闘で流れる、ゲーム中で最も多く耳にするであろうバトル音楽です。ファミコン音色をそのまま継承したような怒涛の音数が、懐かしささえ感じさせます。ゲームボーイ版のサントラは、そのままファミコン版サントラの代用としても楽しむことができます。曲調やアレンジがスーパーファミコン版のものではなく、ファミコン版のものに近づけられているからですね。CDの収録時間の都合からか、1曲ごとの収録時間が短すぎるのが残念ですけど。
24 「II」で初登場した「塔」という種類のダンジョンは「III」にも継承されました。専用の楽曲も用意されています。それがこのトラックです。7/8、5/8といった変拍子が頻繁に入れ替わる不安定さは、上に行けば行くほど先の見えない不安に囚われていく心理にハマっています。思うに、塔そのものの恐怖というよりは、プレイヤー側の感情に添えられた楽曲なのですね。

使用されているのは、ナジミの塔、シャンパーニの塔、ガルナの塔、アープの塔、ルビスの塔(マイラ西)、クリア後隠しダンジョン(B12F以降の塔エリア)。ルビスの塔はアレフガルドにあり、そこでの街や洞窟は「ドラクエI」の楽曲が使用されていますが、「I」には塔が存在しなかったため、例外的に「III」の楽曲がそのまま使用されています。
25 鎮魂歌 パーティ全滅時に流れる曲です。この後、城に戻って王様に怒られてしまうわけですね。作品の中でも数少ない「悲哀の曲」。ちょっと「I」のダンジョンに似ていますね。また、テドンの村では昼間に限り、この曲が例外的に「村の曲」として使われています。滅ぼされてしまった村、せめて死者には安らぎを……アーメン。

イベントでは、ゾーマの城においてオルテガの死後に流されています。
26 ほこら 「II」から登場したほこらは「III」にも登場し、以後のシリーズに受け継がれていく要素です。小さな施設だけれど、時には宿屋や教会があったり、親切な助言者がいたり、旅の扉があったり……厳しい旅の途中で立ち寄ると、なぜだかホッと胸を撫で下ろしたくなる場所です。楽曲も「II」のテイストを引き継いだ、どこか神々しい静かなものになっています。ひっそりとした「ほこら」をこのうえないほどによく表しています。

世界がさらに広大になった「III」では、ほこらの数も過去の作品とは比較にならないほど増えています。この曲が流れるのはレーベ東のほこら、ロマリア南のほこら、イシス南のほこら、ポルトガへの関所、オリビアの岬のほこら、ジパング北のほこら、ポルトガ南の灯台、テドン北の小さな教会、精霊の泉(スーファミ版のみ)、浅瀬のほこら(最後の鍵のほこら)、スー北のほこら、レイアムランドのほこら(ラーミアの祭壇)、サマンオサのほこら、竜の女王の城・東のほこら、オリビアの岬のほこら、ほこらの牢獄、竜の女王の城、ラダトーム西の船着場、ガライの家、メルキド南・ルビスのほこら、リムルダール南・聖なるほこら、そしてクリア後の隠しダンジョン(ほこらエリア)……多いなあ。これだけ流れていれば印象に残るのも当然という感じですね。
27 ピラミッド ピラミッド内で使われている、専用のBGMです。なんとも異国情緒と言いますか、エジプト調の民族テイスト溢れる楽曲。これで出てくるモンスターがミイラとかですから、他のダンジョンと変わりないはずなのに、楽曲の効果も手伝ってすごく異質な空間に足を踏み入れてしまった気分になってしまいますね。の、呪われる〜!みたいな。軽快なテンポに乗って調子よく歩いていくと、落とし穴にハマったり。

夜のアッサラームでも例外的に使われています。劇場のベリーダンスのBGMとしてですね。また、クリア後の隠しダンジョン(ピラミッドエリア)でも耳にすることができます。とは言え、ゲーム全体を通して非常に聞く機会は少ないです。でも、きっと「III」ユーザーの印象にはこれでもかというほど残っているはず。それほど印象的な曲ですね。過去の「ドラクエ」にはなかった曲ですから。
28 ブギウギ こちらはスーパーファミコン版からの完全新曲で、ゲームボーイ版に受け継がれたものです。モンスター格闘場やすごろく場などの遊戯施設で使われる音楽ですね。アナログシンセっぽいベース音源はゲームボーイの音色ならでは、ではないでしょうか。また、クリア後隠しダンジョンに組み込まれている格闘場エリア(B8F)でも使われています。

ちなみにこの曲、2004年12月に発売されたPS2最新作「VIII」で、酒場のBGMとして復活しているのですよ。最初に聴いた時は自分の耳を疑いました。この流用の意図は不明ですが、「VIII」と「III」は密接な繋がりがあるような、ないような感じですので。なにせ「おおぞらをとぶ」も復活してますからねえ。
29 ローリング・ダイス こちらもスーパーファミコン版から追加された、すごろく中BGMです。すごろく場では普段はBGとして「ブギウギ」が流れていますが、すごろく券を使って実際にすごろくをするとこの曲になります。スーパーファミコン版とはまた異なるドラムスの表現が面白いですね。
30 海を越えて 船で移動している間に流れる曲で、「II」に倣いワルツになっています。「II」よりもさらにその方向性が推し進められており、さながら舞踏会のダンス音楽のように優雅なワルツ。ゲームボーイ音源だろうと立派にワルツしてます。もちろんこれは拍子の問題なので、音源はあまり関係ないですけど。テンポが変化するリタルダントも散りばめられ、データ的にもなかなか凝っています。
31 ジパング 今さらですが、「III」のワールドマップは実際の地球を模しています。となると、とうぜん東には小さな島国があるわけで。そう、私達の暮らす「日本」こと、ゲーム中での「ジパング」ですね。

この曲はその「ジパング」内で流れる曲です。いわゆる「和風」ではなく、もっともっと昔の「日出づる国」ぐらいのイメージで作られています。それにしても「ピラミッド」といい、世界地図を模した「III」ワールドならではの曲はドラクエサウンドの幅広さを実感させてくれるだけでなく、すぎやまこういち氏の「タンスの引き出しの豊富さ」をもじゅうぶんに感じさせます。
32 ヒミコの宮殿 「ジパング」は昼夜でのBGMの区別はないのですが、ヒミコの宮殿内においてはこの曲に変化します。これはファミコン版にはなかった演出で、スーパーファミコン版からの新規アレンジがゲームボーイ版に引き継がれたもの。もちろん「ジパング」の別バージョンです。テンポを遅くし、パーカッションを模したノイズ音源が加えられています。
33 幽霊船 幽霊船内で流れるBG。高音のつんざくような音色が緊迫感を高めています。ベンドダウンを効果的に用い、不気味さも存分に醸し出していますね。さすがにウッドブロックというわけにはいきませんが、スーパーファミコン版の音源とは異なる解釈のリズムが興味深いです。
34 おおぞらをとぶ 「ドラクエIII」でもトップクラスのファン人気を誇る、不死鳥ラーミアで飛行中に流れる雄大な楽曲です。ハープを思わせるアルペジオに、前に出てくる印象的なメロディ。名曲は音色や表現手法を変えても、リスナーに訴えかけるパワーに変化はありません。

飛行中は敵と出会わずに進むことになるため、曲への没入感をジャマされることもありません。「空を飛んでいる間は敵と会わないから、音楽は絶対に快適じゃなきゃいかんのですよ」というすぎやま氏の言葉は、以後のシリーズに引き継がれていく伝統でもあります。

「引き継ぐ」と言えばこの曲も、「ブギウギ」と同様にPS2の「ドラクエVIII」に引き継がれましたねえ。作品を越えて別の舞台に同一曲が使われることは、ドラクエシリーズでも異例のことです。序曲や間奏曲は別にして。
35 戦いのとき バラモス戦は、ファミコン版では通常の「戦闘のテーマ」が使われていました。ユーザーとしては、バラモスがラスボスだと信じきってプレイしているわけですが、この曲が流れたとたんに「ちがう、コイツはラスボスじゃない!」と直感してしまったとか。なにせ「I」でも「II」でもラスボスには特別な戦闘音楽が用意されていましたからね。もしくは「コイツは絶対変身する、真の戦いはそこからだ」とか……。だってラスボスにしてはあまりにアレなデザインですしねえ。だからというわけではないのでしょうが、スーパーファミコン版ではバラモス戦用として新たにこの「戦いのとき」が作られました。それはそのままゲームボーイ版にも受け継がれたわけです。

ゲームボーイ版最大の特徴は、交響組曲を反映し、スーパーファミコン版にすらなかったイントロが付け加えられたことでしょう(スーファミ版は、このトラックの39秒にあたるフレーズから始まります)。即ち、交響組曲からのフィードバックが初めてゲームボーイ版で行われたという、非常に稀なケースなのです。このイントロが「古き良きゲーム音楽」という感じで、なんとも言えない味わいを醸し出しております。

対ラスボス・ゾーマ戦では、「ひかりのたま」を使うまではこの曲が流れます。「ひかりのたま」を使った後は「勇者の挑戦」に変化しますが、「ひかりのたま」を使わないまま倒すことも可能で、その場合は「勇者の挑戦」が流れないことになります。また、クリア後の隠しダンジョンのボス・神竜やグランドラゴン(後者はゲームボーイ版のみ)とのバトルでも使用されています。

なお、実はバラモス戦用の曲はファミコン版でもちゃんと用意され、テストバージョンのROMには入っていたらしいのですが、製品版では消えていた、という説もあります。それがこの「戦いのとき」と同じ曲なのか、はたまた別のオクラ入りした曲なのかはわかりませんが、真偽をご存知の方はご一報を。

「戦いのとき」はスーパーファミコンでリメイクの話が出たときに作曲されたものだそうで、完全な新曲だそうです(ファミコンの頃にボツやオクラになった曲の再利用ではない)。
36 広野を行く アレフガルドにおけるフィールドBGMです。もちろん、「I」におけるフィールド音楽「広野を行く」ですね。ゲームボーイ版「III」では音源のおかげもあって、ファミコン版を懐かしく思い出させてくれます。ゲーム終盤、予想だにしなかったアレフガルドの地で、懐かしい曲が流れる……当時のプレイヤーの戸惑いは想像に難くありません。シリーズへの思い入れが強ければ強いほど戸惑ったはずです。こ、この曲は……この場所は……我々が来たのはいったいどこなんだ?過去のシリーズとどう繋がるんだ?そんな混乱した状態で、懐かしき、しかしまだ見ぬ地をさまよいました。この曲はプレイヤーの心境にマッチしたことでしょう。

ゲームボーイ版「III」の「アレフガルド」は、タイトルが「I」での「広野を行く」に戻されています。スーパーファミコン版「III」では『アレフガルド(広野を行く)』と表記されていました。
37 街の人々 タイトル通り、アレフガルドに点在する「街」で流れる曲で、「ドラクエI」での街の曲です。ファミコン版では、アレフガルドでも上の世界と同じ、通常の「街」が流れていましたが、スーパーファミコン版からはいたるところで「ドラクエI」の曲が用いられています。ゲームボーイ版もその演出をしっかりと引き継いでおり、旧作ファンには嬉しい演出です。

ラダトーム、ドムドーラ、メルキド、マイラ(村ですけど)、リムルダールで使用されています。
38 ラダトーム城 アレフガルド唯一の王城、ラダトーム城で流れる楽曲で、もちろん「ドラクエI」での城の曲です。一箇所でしか流れないという意味では、ゲームの中でも数少ない「一点豪華主義」な曲。ゲームボーイ版の音色は、懐かしいファミコン版「I」をダイレクトに想い出させてくれます。フレーズの展開はファミコンのものより豊富で、まるでファミコン音源で交響組曲をシミュレートしたかのような楽しさがあります。
39 ダンジョン(下の世界) アレフガルドに存在するいくつかのダンジョンで流れる曲で、「ドラクエI」での洞窟BGMです。だんだんとテンポが遅くなっていく点も含めて、「I」の同曲を忠実に再現しています。ただ、ファミコン版の「I」では洞窟のより深いフロアに潜るごとにテンポが遅くなっていきましたが、今回はそういった仕掛けはなく、テンポは曲の進行に合わせて固定。最後までいくと、イントロへとループしてテンポも元に戻ります。

岩山の洞窟、魔王の爪跡(ラダトーム北の洞窟)、沼地の洞窟(マイラ南)で使われています。ファミコン版では、上の世界と同じ「ダンジョン」が流れていましたね。スーパーファミコン版から、「I」の曲が流れるようになったのです。他の楽曲と同じく、ゲームボーイ版もそれに倣っています。
40 ゾーマの城 スーパーファミコン版からの新曲で、ゲームボーイ版に受け継がれた楽曲。トラック22「ダンジョン(上の世界)」のアレンジ。タイトルは「ゾーマの城」とありますが、バラモス城でも使われています。

「ダンジョン」をさらにスローにし、パート数をあえて薄くして音にスキマを作ることで、人の気配のない不気味さと、いつどこから何が出てくるかわからない恐怖感を煽ります。なお、ファミコン版の「III」での「ゾーマの城」は、通常の「ダンジョン(上の世界)」が流されていました。
41 回想 続いてもスーパーファミコン版からの新曲になります。ゾーマの城で発生するイベント、オルテガ対キングヒドラの戦闘で流れるもの。オルテガのテーマ、と言っても過言ではないでしょう。実際に回想らしきシーンで流れるのではなく、まして主人公の回想なのか、オルテガの回想なのかも明かされてはいません。その回想という行為はプレイヤーに委ねられています。父の足跡を追ってここまでやってきた旅を回想してみるのも悪くないでしょう。

ちなみに、ファミコン版でのこの場面では、普通に「戦闘のテーマ」が使われています。せめて鎮魂歌を流すべきだった、とスタッフが激しく後悔したという逸話が残されていますが、それが事実であるならば、スーパーファミコン版の演出はまさに雪辱戦といったところでしょうか。それがそのままゲームボーイ版にも採用されたわけです。
42 勇者の挑戦 対ラスボス・ゾーマ戦で、「ひかりのたま」を使った後に流れるラスボスバトル音楽(それまでは「戦いのとき」が流れます)。インパクトのあるイントロから、息をつかせぬ展開で最終戦をグイグイと引っ張ります。

ちなみにファミコン版では、戦闘開始直後からこの曲だったのですが、スーファミ版以降(ゲームボーイ版も含む)は前述の通り、「ひかりのたま」以後に改められています。また、「ひかりのたま」を使わずにゾーマを倒すと、この「勇者の挑戦」は流れることなく終わってしまいます。
43 そして伝説へ エンディングのスタッフロール画面から流れる、本作のエンディングテーマ。「伝説」とは、もちろん「ロトの伝説」を指しています。エンディングは効果音が鳴らないだけあって、ゲームボーイが発音可能なすべてのパートをフルに使っております。

第三作目とは言え、まだまだエンディングはシンプルでした。楽曲もシンプルイズベストという感じで、無駄な装飾や展開を省き、ストレートな達成感を与えてくれます。この曲が鳴り終わった後、すぐさま「ドラクエI」をプレイし始めた人もきっと少なくないでしょう。ロトの伝説は決して終わることなく、プレイヤーの中で「III」→「I」→「II」……と永遠に続いていくのです。
44 ME集
ゲームボーイ版:効果音
ゲームボーイ版「III」で使われているMEをまとめたトラックです。スーパーファミコン版よりも数は増えており(「出た!2」などは新規)、また、名称が改められたME(「出た!1→悪のモチーフ」「ミラクル→呪いがとけた」「オリビア→呪われしローレライの岩」など)もあります。以下、解説です。

宿屋(宿屋などに宿泊して回復)
教会(教会で治療)
出た!1(「VI」の悪のモチーフ)
出た!2(悪のモチーフの変奏)
勝利(戦闘に勝利して終了時)
レベルアップ(戦闘後レベルアップ時/転職時)
呪い(呪われた武具を装備/セーブデータ破損)
セーブ(城などでセーブ)
重要アイテム発見(タイトル通り)
ミラクル(オリビアの呪いが解けた)
オリビア(オリビアの岬で戻される)
やまびこの笛(オーブのある場所で「やまびこのふえ」を使う)
フェアリーフルート(「ようせいのふえ」でルビスの石化を解いた)
愛の想い出(オリビアの岬で「あいのおもいで」を使った)
6つのオーブ1(オーブを6つすべて捧げた)
6つのオーブ2(ラーミアが卵から孵る)
レインボウ・ハープ(にじのたてごとで橋をかける)
シルバー・ハープ
モンスター・ハープ(ぎんのたてごとを使った)
当たり(モンスター格闘場で予想的中)
大当たり(モンスター格闘場で予想的中/すごろくでゴール)
超大当たり

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