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すぎやまこういち「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」 オリジナル・ゲーム・ミュージック |
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1988年にファミコンで発売された「ドラゴンクエストIII」を、8年の時を経てスーパーファミコンでリメイク。シナリオはほぼそのままながら、新たなフィーチャーや隠しダンジョンの追加、そして「ドラクエVI」の技術を利用して作られた美しいグラフィックとサウンドによって、「III」が今でも通用する名作であることを堂々証明してみせた。本CDはそのゲーム音源のみで構成された、純粋なサウンドトラック。交響組曲はこれとは別に発売された。 Sony Records SRCL 3564 1997年 JASRAC表記:あり このCDを購入できます。 |
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ゲーム紹介 1986年に発売された「ドラゴンクエスト」は、ファミコンユーザーに対して「ロールプレイングゲーム」というものをわかりやすく翻訳し、その魅力を広く認知させることに成功、150万本の売り上げをもって堂々のヒット。翌1987年には続編「ドラゴンクエストII」が発売される。この2作品は、昨今のRPGにありがちな「タイトルやアイテムの名前が共通なだけの、形ばかりのシリーズ」ではなく、ストーリーも密接に絡んだまっとうな続編であった。前作の主人公が残した子孫、そして前作で登場した町や城が登場、前作の世界は「II」で語られる世界のほんの一部分でしかなかった……ゲームの中で徐々にそのことが明らかになり始めると、ユーザーは唸ったものだった。 そして1988年2月10日、今では考えられないリリースペースをもって、第三作「ドラゴンクエストIII」が発売。前2作とのストーリーの繋がりは、誰も予想しなかった「I」よりも過去の話、という内容で語られた。つまり、時間の流れとしては「III」→「I」→「II」となる。ゲームの終盤になってからそのことが明らかになることもあり、堀井雄二という稀代のストーリーテラーに「してやられた」という名シナリオである。当時の雑誌や公式ガイドブックでさえ、それに関する内容は一切伏せられており、ゲーム終盤にアレフガルドが登場することについては最重要機密並みの扱いであった。「III」の主人公が「I」における勇者の称号「ロト」となるいきさつ、そして残された武具が「ロトの装備」となり後世に残されていくところなど、「I」をプレイしたユーザーであれば背筋がゾクゾクするような仕掛けが盛り込まれている。 その後、新シリーズ「天空編」としてファミコンで「IV」、スーパーファミコンで「V」「VI」がリリースされる。ストーリーの繋がりはロト3部作ほど密接ではないものの、共通するキーワード「天空城」がいずれも登場することから、これらも3部作として括られている。そして1996年12月6日、当時の最新作「VI」のシステムを流用してリメイクされたのが、スーパーファミコン版「ドラクエIII」である。スーファミでは3作目となる「VI」の成熟したグラフィックによって「III」は生まれ変わり、シナリオはほぼオリジナルのままながらまったく古さを感じさせない。ファミコン版にはなかったちいさなメダルも加えられ、すごろくやクリア後の隠しダンジョンなど追加要素もふんだんに用意された。演出面でも、ファミコン版での「本当はこれをやりたかったけど容量の都合でカット」といったイベントが強化されており、飽きさせない。結果として、リメイクでありながらただ見た目をグレードアップしただけのものには留まらず、スーパーファミコンでの「ドラクエ最新作!」として堂々と世に発表できるクオリティに仕上がっている。 イベントの追加によって、ゲーム中の楽曲も増えた。もちろんすべてすぎやまこういち氏による新曲である。我々はゲーム冒頭から、「まどろみの中で」という名の新曲に触れることになるだろう。さらに、ゲームの世界が夜になると、城や街の音楽が夜らしいアレンジのものに変化する(「夜」自体はファミコン版にも存在した要素だが、楽曲の変化はなかった)。これらもスーファミ版の新曲と言って良いだろう。バラモス戦用の曲も追加され、ファミコン版では「ダンジョン」がそのまま使われていた「ゾーマの城」にも専用のBGが与えられた。 スーパーファミコン版「III」のゲーム音源は基本的には「VI」からの流用であるため、ドライバツールは「VI」においてメインプログラマー・山名学氏が作り上げたものが使われている。そしてサウンドそのものは、こちらも「VI」同様にすぎやまこういち氏と崎元仁氏・多和田吏氏が作り上げた「究極のスーパーファミコンフィルハーモニックオーケストラ」が流用されている。流用とは言ってもそれはツールや音源に関してだけで、そのうえで楽曲のデータは新規に打ち込まれているわけだ。 このCDは、そんなスーファミ版「ドラクエIII」で使用された新旧の楽曲たちを、MEも含めたゲーム音源ですべて余すことなく収録した、本来の意味での純粋なオリジナル・サウンドトラック。「スーパーファミコンで我々がなし得る最善のもの」とすぎやま氏みずからが語る、その珠玉のドラクエミュージックを楽しむことができるだろう。ライナーノーツには、ゲームデザインの堀井雄二が書き下ろした楽曲解説(珍品!)を掲載。どの場面で使われた曲なのか、記憶を掘り起こしながら音楽に没頭できる(タイトルと解説が1曲ずつズレているのが悲しいが)。一方で、ロンドンフィルハーモニック管弦楽団によるオーケストラバージョンは、単独のCDとして同時発売されている。2枚1セットで手元に置いておきたい。 |
01 | ロトのテーマ | もはや説明の必要がないほどに有名な、「ドラクエ」シリーズのメインテーマ。「I」では「序曲」、「II」では「ドラゴンクエスト・マーチ」という曲名でしたが、「III」で初めてロトの名が冠されました。同時に、このシンプルな「ロト編イントロ」が付けられた最後のバージョンでもあります(「IV」からはイントロが変わります)。 さて、ゲーム音源の演奏ですが、かなりオケ版を強く意識したものになっており、データは新規のものです。「VI」の流用ではないですし、先の「I・II」のものとも明らかに違います(金管楽器が増し、マーチングスネアが追加されています)。「ロト編のテーマは全部同じでしょ?」と思っている人もいるかもしれませんが、実は「I」「II」「III」すべて微妙に違うんです(スーファミ版「I」「II」はほぼ同じですが、オケ版が異なります)。いずれこのあたりの違いもまとめたいですね。 ゲーム中での使用は3箇所。もちろん初めはオープニングタイトルになります。次に耳にするのはゲームが中盤を越えた後。バラモスを倒してアリアハンに戻り、そのことを王様に報告するとさっそく宴を開く段取りに……このイントロが勇壮に鳴り響きます。ゲームクリアかと思うのも束の間、閃光が轟いて謎の声が……ゾーマとは何者だ?というところで、ゲームは一気に終盤へと突き進みます。このあたりは、メインテーマとしての有名さを逆手に取った演出ですね。一瞬「エンディング?」と思わせて、ブッツリと切っています。 そして本当のエンディング。ゾーマを倒してラダトーム城に戻った際にも演奏されますね。言わばエンディング前半部分です。ここで演奏されるのはこのCDに収録されているものとはやや異なり、イントロと主題の間の「タメ」がもっと長いものになっています。「ロトの伝説の幕開け」にうってつけの演出で、続いて「そして伝説へ…」が演奏されます。 なお、CDのライナーノーツに掲載されている堀井雄二氏の解説では、この曲のところに「さあ、今回はどんな名前で、はじめようか。4文字以内だし、悩むところだ」と書かれています。これ、明らかに「間奏曲」のことですよね。たぶん印刷レイアウト時のミスでしょうが……一曲ずつズラして読みましょう。 |
02 | 間奏曲 | 冒険の書作成画面で流れる、おなじみの「インテルメッツォ」。ピチカートによる軽快なブリッジ音楽ですが、今やしっかりと「ドラクエ」の代表曲になっているのはご存知の通り。これについてはデータ的には「ドラクエVI」からの流用ですね。まったく同じです。 実はこの曲、ファミコン版の「IV」で初登場した曲ですから、ファミコン版「III」にはなかったんですね。では、ファミコン版での冒険の書作成画面では何の曲が流れたのか?……何も流れないのでした。 |
03 | まどろみの中で | スーパーファミコン版の新曲。弦とボーカリーズ音色で構成された、包み込むような暖かさと神々しさを併せ持つ曲で、しかしどこか寂しげ。様々な表情を見せる楽曲です。新しい冒険の書を作るとまず開始される、性格付けイベントの冒頭で流れるのが初出となります。どこかの森にいるプレイヤーの分身・主人公。奥に進むと、そこは滝の見える広々とした場所。語りかけてくる謎の声の質問に答えていく……そんな場面でしたね。神秘的なこのイベントにはピッタリじゃないでしょうか。ある意味、ゲーム中で最初に聴くことになる楽曲です(オープニングデモは除く)。 他のゲーム中での使用は多くはありませんが、バラモスを倒した後に、天の声が語りかけてくるシーンで流れました(その後、アリアハンに飛ばされます)。これにより、性格付けイベントの「謎の声」とここでの「天の声」が同一のものだと推測できます。クリア後の隠しダンジョン入り口でも使われていますが、これは単なる流用でしょう。「神竜」が「謎の声」の主である、ということはないはずです。 |
04 | 街 | ゲームを通して「街」で使われる曲です(アレフガルドは除く)。「III」では「村」という概念も登場し、楽曲も分けられました。「街」は弾むような木管楽器と流れるような弦で構成されており、楽しげな人々のざわめきと往来を感じさせてくれます。人々はバラモスの名も知らされておらず、ましてゾーマの存在などは想像もしていない。そこにはただ、日常がある……のですね。以下、この曲が流れる街々をリストアップしてみましょう。それっ。 アリアハンの城下町、ロマリアの城下町、アッサラーム、イシスの城下町、港町ポルトガ、バハラタ、ランシール(住人は「村」と言っているのに曲は「街」…)、商人の町第三段階以降、サマンオサ城下町 |
05 | 街の夜 | 夜になってから街に入ると、BGMがこのように変化します。「昼夜」という概念はファミコン版にも存在し、夜しか起こらないイベントがあったり、昼と夜では人々が話す内容が変わったり、お店が閉店したり……といった要素があったのですが、曲自体は変化しませんでした。もちろん容量の問題でしょうが、スーパーファミコン版では楽曲も「夜っぽい」ものになるのです。もちろん、トラック4「街」のアレンジですね。言ってみればこれもスーファミ版の新曲。テンポがスローになり、包み込むようなボーカリーズが、静まりかえった雰囲気を感じさせます。上の「街」が流れる街では、例外なく夜になるとこの曲になります。 ソフトを起動したまま放置すると流れるデモイベント冒頭のアリアハンでは、昼間ではありますがこちらの曲が使われています。英雄オルテガの子供が誕生した!というシーンには、こちらの方がよりふさわしいという判断でしょう。その後、オルテガがアリアハンを出発する直前まで通して流れます。 |
06 | 宿屋(ME) | 宿屋に泊まると聴くことになるME(ミュージック・エフェクト。短いブリッジ音楽のことを総称してMEと呼びます)。その他、アリアハンにある主人公の自宅で休憩した際にも耳にすることができます。「ドラクエ」シリーズ共通のメロディです。回復の象徴。 |
07 | 王宮のロンド | アレフガルドを除き、ゲームを通して「城」で流れるBG。「I」「II」と共通したイメージによる、弦楽での「いかにも王城」という感じがする古典的バロックです。ロト3部作の中でも最も華やかな曲調になっていると感じますがいかがでしょう?すぎやまこういち氏の有名な発言に「『I』を基準として、『II』は新たな世代の物語だから音楽もポップス的に、『III』は過去の話だから音楽もよりクラシカルに」というものがあります。この曲を聴くと、そんな意図がなんとなくわかるような気がしますね。 アリアハン、ロマリア、イシス、ポルトガ、ダーマの神殿、エジンベア、サマンオサといったあらゆる「城」で使われていますが、「竜の女王の城」だけは例外的に「ほこら」が流れます。一方、クリア後の隠しダンジョンに組み込まれた「ゼニスの城」ではこの曲が使用されています。え?「ゼニスの城なんて知らない」ですって?ぜひ行って下さい。一度行けばルーラでも行けるようになります。え?「隠しダンジョンなんて知らない」ですって?一度ゲームをクリアしてから、「竜の女王の城」に行きなさいっ!プンプン。 |
08 | 王宮の夜 | こちらもスーファミでの追加曲ですね。夜になったお城で流れる、「城」のアレンジ。テンポを大きく落とし、チェンバロのみで演奏されています。よりバロックぽさが強調されており、見張りの兵士以外はみんな寝てますよ、また明日おいでなさい、という雰囲気に満ちています。上記「城」が流れる場所では、夜になるとこの曲に変化します。例外は「ゼニスの城」のみ。ここは夜になることがありませんから……。 |
09 | セーブ(ME) | 城などでセーブした時に流れるオルガンのMEで、「ドラクエ」シリーズではおなじみの共通のメロディです。ファミコン時代からの過去の同曲に比べて、倍速のようなテンポになっています。初めて聴いた時は違和感がありましたが……。おそらく、実際はセーブにそれほど時間がかからないのでしょう。プレイヤーをあまり待たせたくない、という配慮から短くなったものと思われます。プレステになってからは元に戻りますが……。 |
10 | 冒険の旅 | フィールドで流れる、冒険のテーマ。「I」「II」よりも格段に勇ましい行進曲風の楽曲で、鳴り響く金管とマーチングドラムがなんとも「ヤル気」にさせてくれます。交響組曲からのフィードバックとして、流れるようなストリングスも組み込まれており、時間経過のある本作のフィールドにピッタリ。パートの進行に合わせてあたりが暗くなったりすると、ずいぶん長いこと歩いていたんだなあ……と錯覚させられてしまうのだから不思議です。交響組曲版のイントロ(ゲーム音源にはありません)もファンに大人気のカッコ良さですので、ぜひあわせてお聴き下さいね。シビれますよ。 初出はオープニングデモの中の、アリアハンを旅立ったオルテガが各地を巡るシーン。以後、アレフガルドを除くすべてのフィールドで常に流れ続ける、プレイヤーにとって親しみある曲。人気が高いのも道理でしょう。トヘロスを使っていつまでも聴いていたいですね〜。敵が出てくると、「曲のジャマすんな!」などとRPGプレイヤーにあるまじき感情を抱いてしまいます。 そんなこの曲ですが、ファミコン版開発中は「冒険後半のフィールドBGM」として検討されていたようです。そう、「II」のような感じですね。冒険前半はもっと控え目な曲を充てることも考慮されていたと言われています。容量の問題から見送られた計画ですが、もしもそれが実現されていたら、この曲はここまで人気のある曲にはなっていなかったかもしれませんね。 |
11 | 村 | 「街」よりも規模の小さい、「村」で使われる曲です。村自体は「I」「II」の頃から存在していましたが、楽曲は「街」と共通でした。「III」で初めて、両者が楽曲的に区別されたのです。それは以後のシリーズに受け継がれています。 「街」より小さく、暮らしている人々も少ないことからか、「街」のようなポップさはなくのんびりとした曲調。地名も知らない場所に入ったプレイヤーが、楽曲から「ここは街」「ここは村」と判別できるようになっています。ヘタな作曲家が作ると両者のタッチが似通ってしまい、曲を分ける意味すらなくなってしまうものですが、そこはすぎやま氏の仕事ですから完璧です。ましてもともとはファミコンの音源でそれをやっていたのですから楽器音での変化はつけようもなく、あくまで曲そのもので勝負しなければならなかったのです。スーファミ版では、そこにさらに音色による差異を付加したという感じですね。 レーベ、カザーブ、エルフの隠れ里、ノアニールの村(目覚め後)、ムオルの村、商人の町第二段階まで、スー、グリンラッドの老人(魔法使い)の家、ルザミ、海賊の村で使われています。また、クリア後の隠しダンジョンに組み込まれている老人の家(第11フロア。ゼニスの城の次)でも流れます。アッチッチ!なんだこのスープ、舌をヤケドしちゃったぞ!? |
12 | 村の夜 | 夜になった村で流れる、「村」のナイトアレンジ。もちろんスーパーファミコン版での新規アレンジです。金管とピチカート、ハープを中心にまとめられています。同じ「夜」を表現するにしても、「街」はボーカリーズ、「城」はチェンバロと、いろいろなやり方があるもんですね。さすが!と言うほかありません。 例外として、テドンの村では昼間は「鎮魂歌」が流れていますが、夜間はこの曲が流れます。どうしてなのかはテドンに行ってみればわかるでしょう。 |
13 | ねむりの村(ME) | またまた、「村」のアレンジです。パッと聴いただけで「村」のメロディだとわかるかどうか……というぐらいに雰囲気が変えられていますが、ファミコンからプレイしているファンでしたらすぐわかるのでは。風のようなSEとともに残響でめいっぱい広げられたメロディが、静まりかえった村をこれ以上ない形で演出してくれます。なんでみんな止まってるの?おーい、返事してよ……。ということで、誰ひとりとして動かない、静寂に支配されたノアニールの村で流れるものです。 確認した限りでは他への流用は一切なく、しかも村の人々が目覚めてからは通常の「村」の曲になるため、聴くことのできる期間が極めて限定されたMEなのです。MEにしてはけっこう長いですが、風の音も含めて最高の「エフェクト」ですね。メロディのピッチが微妙なベンドによって揺れているのも、不安定な危うさを醸し出すのに貢献しています。あ、一応追記しておくと、スーパーファミコンでの新規アレンジですよ。念のため。 |
14 | 目覚め(ME) | 続いては、ノアニールの村で「めざめのこな」を撒くと鳴るME。その後、人々が目を覚まします。この時点から、ノアニールの村のBGMが通常の「村」に変化します。めでたしめでたし。 |
15 | ダンジョン | いわゆる「洞窟」で流れるダンジョンBGM。ファミコン版よりもテンポはゆったりとしています。また、ファミコン版がその独特の音源によりドロドロとした怖さがあったのに対し、このスーファミ版は交響組曲を強く意識した編曲となり、寒々しいストリングスの刻みが入れられたことによって、ファミコン版とはまた違った「うすら寒い、背筋が震えるような怖さ」を持たされています。後半にはシンセ音色のアルペジオも組み込まれており、緊迫感も高められていますね。以下、この曲が流れるダンジョン一覧です。どんっ。 岬の洞窟、ナジミの塔B1F、いざないの洞窟、ノアニール西の洞窟、ノルドの洞窟、バハラタ東の洞窟、地球のへそ、ジパングの洞窟、サマンオサ南の洞窟、ネクロゴンドの洞窟、ギアガの大穴、クリア後隠しダンジョン(B1F〜B3F、B5F〜B6F洞窟エリア、B7F牢屋エリア) |
16 | 戦闘のテーマ | 通常戦闘で流れる、ゲーム中で最も多く耳にするであろうバトル音楽です。もちろん交響組曲がベースになっているのですが、ファミコン音色を継承するような「ピコピコピコピコ」も忘れていません。交響組曲の良さと、ゲーム音楽ならではのアレンジがいいあんばいでミックスされているのがスーファミ版の魅力と言えるでしょう。 |
17 | 勝利(ME) | 戦闘に勝利した時に、何度も耳にするME。MEというよりは完全にSE(効果音)ですが、こういう音もすぎやまこういち氏の手によって生み出されているのです。当然、「ドラクエ」シリーズを通して使われている共通の音です。 |
18 | レベル・アップ(ME) | 戦闘で得た経験値によってキャラクターがレベルアップした時に、「勝利」に引き続いて鳴らされるトランペットのMEです。これも「ドラクエ」シリーズでは共通のメロディ。最近では携帯電話のメール着信音にしている人も多いですね。「ドラクエ」は知らないけどこの音は聞いたことがあるなあ……という人が増えたのもそのおかげでしょうか。「III」では転職時にも使われています。 冒険序盤、シャンパーニの塔に潜むカンダダから金のかんむりを取り戻した主人公が、ロマリア城の王位を譲られた時にも暗転とともに鳴ります。シリーズを通した音ならではの遊びですね。 |
19 | 塔 | 「II」で初登場した「塔」という種類のダンジョンは「III」にも継承されました。専用の楽曲も用意されています。それがこのトラックです。「II」の「塔」が金管メインで威圧感のあるものだったのに対し、今回は木管がメインの控え目な印象。しかし7/8、5/8といった変拍子が頻繁に入れ替わる不安定さは、上に行けば行くほど先の見えない不安に囚われていく心理にハマっています。思うに、塔そのものの恐怖というよりは、プレイヤー側の感情に添えられた楽曲なのですね。 使用されているのは、ナジミの塔、シャンパーニの塔、ガルナの塔、アープの塔、ルビスの塔(マイラ西)、クリア後隠しダンジョン(B12F以降の塔エリア)。ルビスの塔はアレフガルドにあり、そこでの街や洞窟は「ドラクエI」の楽曲が使用されていますが、「I」には塔が存在しなかったため、例外的に「III」の楽曲がそのまま使用されています。 |
20 | 鎮魂歌 | パーティ全滅時に流れる曲です。この後、城に戻って王様に怒られてしまうわけですね。いかにも悲しい、立ち上がりの遅い弦を中心にまとめられた、作品の中でも数少ない「悲哀の曲」。ちょっと「I」のダンジョンに似ていますね。また、テドンの村では昼間に限り、この曲が例外的に「村の曲」として使われています。滅ぼされてしまった村、せめて死者には安らぎを……アーメン。 イベントでは、ゾーマの城においてオルテガの死後に流されています。 |
21 | ほこら | 「II」から登場したほこらは「III」にも登場し、以後のシリーズに受け継がれていく要素です。小さな施設だけれど、時には宿屋や教会があったり、親切な助言者がいたり、旅の扉があったり……厳しい旅の途中で立ち寄ると、なぜだかホッと胸を撫で下ろしたくなる場所です。楽曲も「II」のテイストを引き継いだ、どこか神々しい静かなものになっています。ひっそりとした「ほこら」をこのうえないほどによく表しています。意外とファン人気も高く、「バイオハザード」におけるセーブ部屋の音楽のようなものでしょうか?安心感から、曲の印象が強まっているのです。 世界がさらに広大になった「III」では、ほこらの数も過去の作品とは比較にならないほど増えています。この曲が流れるのはレーベ東のほこら、ロマリア南のほこら、イシス南のほこら、ポルトガへの関所、オリビアの岬のほこら、ジパング北のほこら、ポルトガ南の灯台、テドン北の小さな教会、精霊の泉(スーファミ版のみ)、浅瀬のほこら(最後の鍵のほこら)、スー北のほこら、レイアムランドのほこら(ラーミアの祭壇)、サマンオサのほこら、竜の女王の城・東のほこら、オリビアの岬のほこら、ほこらの牢獄、竜の女王の城、ラダトーム西の船着場、ガライの家、メルキド南・ルビスのほこら、リムルダール南・聖なるほこら、そしてクリア後の隠しダンジョン(B9Fほこらエリア)……多いなあ。これだけ流れていれば印象に残るのも当然という感じですね。 |
22 | 治癒(ME) | 教会で治療を受けた時に流れる、オルガンのME。これも「ドラクエ」でおなじみの共通MEです。 |
23 | ピラミッド | ピラミッド内で使われている、専用のBGMです。なんとも異国情緒と言いますか、エジプト調の民族テイスト溢れる楽曲。これで出てくるモンスターがミイラとかですから、他のダンジョンと変わりないはずなのに、楽曲の効果も手伝ってすごく異質な空間に足を踏み入れてしまった気分になってしまいますね。の、呪われる〜!みたいな。タンバリンの軽快なリズムに乗って調子よく歩いていくと、落とし穴にハマったり。 夜のアッサラームでも例外的に使われています。劇場のベリーダンスのBGMとしてですね。劇場に近付くほどボリュームが大きくなり、離れると低くなるといった音的な遊びも行われています。また、クリア後の隠しダンジョン(B4Fピラミッドエリア)でも耳にすることができます。とは言え、ゲーム全体を通して非常に聞く機会は少ないです。でも、きっと「III」ユーザーの印象にはこれでもかというほど残っているはず。それほど印象的な曲ですね。過去の「ドラクエ」にはなかった曲ですから。 |
24 | アイテム(ME) | 重要アイテムを発見した時に鳴らされるME。ファミコン版にはなかったもので、「VI」からの流用です。以後「ドラクエ」おなじみのものとなります。 |
25 | ブギウギ | こちらはスーパーファミコン版の完全新曲。「VI」にも似たような曲はありましたが、もちろん別の曲です。モンスター格闘場やすごろく場などの遊戯施設で使われる音楽ですね。ホンキートンクなピアノが盛り場っぽい雰囲気を作っています。酒でも飲みながら遊ぼうぜ!みたいな。あ、良い子はお酒なんか飲んじゃダメですよ? また、クリア後隠しダンジョンに組み込まれている格闘場エリア(B8F)でも使われています。ここではパーティが格闘場のバトルフィールドに入り、バラモスエビルと闘います。 ちなみにこの曲、2004年12月に発売されたPS2最新作「VIII」で、酒場のBGMとして復活しているのですよ。最初に聴いた時は自分の耳を疑いました。この流用の意図は不明ですが、「VIII」と「III」は密接な繋がりがあるような、ないような感じですので。なにせ「おおぞらをとぶ」も復活してますからねえ。 |
26 | 当たり(ME) | 「VI」からの流用MEです(「VI」では「ファンファーレ1」)。モンスター格闘場で予想が的中した時に耳にすることができます。ただ、そのケースでは「大当たり」が流れることもあるんですよね。倍率によって鳴る音が変わるのでしょうか? |
27 | 大当たり(ME) | すごろくでみごとゴールした時に鳴る、「当たり」のファンファーレアレンジ。モンスター格闘場での予想的中時にも使われています。倍率によって「当たり」「大当たり」「超大当たり」が使い分けられているのかもしれません。 クリア後の隠しダンジョンの最後に控える「神竜」を倒すと、3つの願いのうちひとつを叶えてもらうことができます。選択肢には「オルテガを生き返らせる」というものがあるかと思えば、「エッチな本が読みたい」なんて脱モノの願いもあります。ためしに「エッチなほん」をもらってみると、なんとこのファンファーレが鳴るのです。ちなみにこの「エッチなほん」、読むと性格が変わるアイテムです。 |
28 | 超大当たり(ME) | 「当たり」の流れを汲む、最も豪華なファンファーレ。これも「VI」からの流用です。ですが私、「III」プレイ中にこれを聴いたことがありません。おそらくモンスター格闘場で、たとえば100倍ぐらいの倍率で大穴を当てた時なんかに鳴るんじゃないかな〜、と予想してたりするのですが。聴いたことある!という方がいらっしゃいましたら、情報をお寄せ下さいませ! |
29 | ローリング・ダイス | スーパーファミコン版新曲の、すごろく中BGMです。すごろく場では普段はBGとして「ブギウギ」が流れていますが、すごろく券を使って実際にすごろくをするとこの曲になります。もしかすると「ブギウギ」、または「VI」の例に倣って「街」のアレンジかなー、などとも思ったのですが、関係ないようですね。まったくの新曲です。コロコロという木琴の音色が、サイコロの転がるさまを表現しているようでなんとも愉快な曲です。なお、この曲は2005年発売の都響盤で新たにオーケストラバージョンが録音されています。そちらも聴いてみてはいかがでしょうか。 |
30 | 海を越えて | 船で移動している間に流れる曲で、「II」に倣いワルツになっています。「II」よりもさらにその方向性が推し進められており、さながら舞踏会のダンス音楽のように優雅でゴージャスなワルツ。テンポが変化するリタルダントも散りばめられ、オーケストラバージョンを強く意識した演奏になっています。しかし、どうして海と言ったらワルツなんでしょうか?誰が決めたわけでもないのに、定番ですよね。 |
31 | ジパング | 今さらですが、「III」のワールドマップは実際の地球を模しています。となると、とうぜん東には小さな島国があるわけで。そう、私達の暮らす「日本」こと、ゲーム中での「ジパング」ですね。ちなみに「ジパング」は英語で言うところの「JAPAN(ジャパン)」です。 この曲はその「ジパング」内で流れる曲です。いわゆる「和風」ではなく、もっともっと昔の「日出づる国」ぐらいのイメージで作られています。だから、琴も尺八もありません。それにしても「ピラミッド」といい、世界地図を模した「III」ワールドならではの曲はドラクエサウンドの幅広さを実感させてくれるだけでなく、すぎやまこういち氏の「タンスの豊富さ」をもじゅうぶんに感じさせます。 |
32 | 呪い(ME) | 「ドラクエ」シリーズではおなじみの恐怖のMEです。呪われた武器や防具を装備すると、突然このMEが鳴り響きます。知っていて装備したならまだしも、知らずにやった場合はかなりショック大!です。あわてて装備を変えようとしても、再びこのMEとともに「呪われていて外せない」のメッセージが。教会で呪いを解いてもらいましょうね。「シャナク」の呪文でもOKです。呪いを解くとその装備はなくなってしまうので、よく考えましょう。 「III」は、ファミコン版からバックアップバッテリーとなり、それまでの「ふっかつのじゅもん」による煩わしさはなくなりました。が、同時に「セーブデータの破損」という悲劇も発生するようになったのですね。ソフトを起動すると、内部でセーブデータのチェックが行われ、データが破損していると診断されるといきなりこのMEが鳴り響きます。予想だにしていなかっただけにこれもショック大!また、ファミコン版ではゲーム終了時には「リセットを押しながら電源を切る」のでしたが、スーパーファミコンは「リセットを押さずに〜」でした。ファミコンに慣れていた人はスーファミでもついついリセットを押しながら電源を切ってしまい、データを飛ばしたという悲しい伝説もまた「ロトの伝説」でしょうか? この短いMEについてこれだけの長文を書く筆者も、なかなか凄いですね。我ながら呆れてしまいます。 |
33 | ヒミコの宮殿 | 「ジパング」は昼夜でのBGMの区別はないのですが、ヒミコの宮殿内においてはこの曲に変化します。これはファミコン版にはなかった演出で、当然スーパーファミコンでの新規アレンジ。もちろん「ジパング」の別バージョンです。テンポを遅くし、和太鼓のようなパーカッションとピチカートが加えられています。 |
34 | 悪のモチーフ(ME) | 「VI」から流用されたMEで、このモチーフは「VI」の中ではあらゆる楽曲に用いられたものです。言わば「VI」のメインテーマ級のモチーフなのですが、「III」的には大きな意味はありません。単なる流用です。というか、どこで鳴りましたっけ?ここに収録されているということは、ヒミコが正体を現す時でしょうか。サマンオサの王がラーの鏡によって正体を現すイベントでも使われていたかも。もちろんファミコン版にはありません。 |
35 | やまびこの笛(ME) | オーブのある場所で「やまびこのふえ」を使うと、このように山彦が付加されたMEが流れます。オーブがない場所で「やまびこのふえ」を吹いても、最初のフレーズ単発のみで終わり、「しかしここではやまびこはかえらなかった」のメッセージが表示されます。 |
36 | 幽霊船 | 幽霊船内で流れるBG。高音のつんざくような弦が緊迫感を高めています。ベンドダウンを効果的に用い、不気味さも存分に醸し出していますね。ハイハット、ウッドブロックなどの要素は交響組曲からのフィードバックでしょう。上手く再現していると思います。 |
37 | 呪われしローレライの岩(ME) | オリビアの岬を船で通ろうとした時に、呪いで戻される際に鳴るMEです。このMEが鳴っている間に「あいのおもいで」を使いましょう! |
38 | 呪いがとけた(ME) | オリビアの岬で押し戻されている途中に、「あいのおもいで」を使うと流れるME。ハープと弦から成る、いかにもハッピーエンド系のMEです。これが流れた後はオリビアの岬を自由に通行できるようになります。よかったよかった。そして我々は「ほこらの牢獄」へ。 |
39 | 愛の想い出(ME) | 「あいのおもいで」を使った後にエリックとオリビアの幻影が現れ、ともに天空に消えていく際に流れるME。ボーカリーズで構成され、ふたりの変わらぬ愛を象徴しています。その時に表示されるウインドウメッセージは「オリビアの呪いがとけた!」。…38トラックと39トラック、タイトル逆なのでは?しっかり「呪われしローレライの岩」のアレンジになっているところに、すぎやま先生のコダワリが。 |
40 | 6つのオーブ1(ME) | レイアムランドのほこらで6つのオーブすべてを捧げた時に鳴るME。ボーカリーズとハープでいかにも神秘的。いったいこれから何が起こるのだろう?あっ、卵が……。 |
41 | 6つのオーブ2(ME) | 卵からラーミアが孵るイベントで鳴るME。「おおぞらをとぶ」のモチーフが組み込まれています。 |
42 | おおぞらをとぶ | 「ドラクエIII」でもトップクラスのファン人気を誇る、不死鳥ラーミアで飛行中に流れる雄大な楽曲です。オーケストラバージョンの要素をたっぷりと反映した音色構成と展開は、スーパーファミコンならではです。ハープのアルペジオに、清らかな木管のメロディ。そして24秒からの盛り上がりは、リスナーの涙腺をダイレクトに直撃するでしょう。 飛行中は敵と出会わずに進むことになるため、曲への没入感をジャマされることもありません。「空を飛んでいる間は敵と会わないから、音楽は絶対に快適じゃなきゃいかんのですよ」というすぎやま氏の言葉は、以後のシリーズに引き継がれていく伝統でもあります。 「引き継ぐ」と言えばこの曲も、「ブギウギ」と同様にPS2の「ドラクエVIII」に引き継がれましたねえ。作品を越えて別の舞台に同一曲が使われることは、ドラクエシリーズでも異例のことです。序曲や間奏曲は別にして。 |
43 | 戦いのとき | バラモス戦は、ファミコン版では通常の「戦闘のテーマ」が使われていました。ユーザーとしては、バラモスがラスボスだと信じきってプレイしているわけですが、この曲が流れたとたんに「ちがう、コイツはラスボスじゃない!」と直感してしまったとか。なにせ「I」でも「II」でもラスボスには特別な戦闘音楽が用意されていましたからね。もしくは「コイツは絶対変身する、真の戦いはそこからだ」とか……。だってラスボスにしてはあまりにアレなデザインですしねえ。だからというわけではないのでしょうが、スーパーファミコン版ではバラモス戦用として新たにこの「戦いのとき」が作られました。高音の弦が持続する緊迫感溢れるイントロに続いて、激しい戦いを感じさせる金管が鳴り響き、ティンパニが打ち付けます。 対ラスボス・ゾーマ戦では、「ひかりのたま」を使うまではこの曲が流れます。「ひかりのたま」を使った後は「勇者の挑戦」に変化しますが、「ひかりのたま」を使わないまま倒すことも可能で、その場合は「勇者の挑戦」が流れないことになります。また、この曲はクリア後の隠しダンジョンのボス・神竜とのバトルでも使用されています。 この曲の初出はオープニングデモイベントで、オルテガが火山の火口で魔物と凄まじい戦いを繰り広げる場面。つまりゲーム中では4箇所において使われているということになります。なお、実はバラモス戦用の曲はファミコン版でもちゃんと用意され、テストバージョンのROMには入っていたらしいのですが、製品版では消えていた、という説もあります。それが「戦いのとき」と同じ曲なのか、はたまた別のオクラ入りした曲なのかはわかりませんが、真偽をご存知の方はご一報を。 ↓ 「戦いのとき」はスーパーファミコンでリメイクの話が出たときに作曲されたものだそうで、完全な新曲だそうです(ファミコンの頃にボツやオクラになった曲の再利用ではない)。 |
44 | アレフガルドに朝が(ME) | ゾーマを倒した後、魔王の爪跡(ラダトーム北の洞窟)から地上へ脱出した際に流れるMEです。始終夜間だったアレフガルドが明るくなり、朝が訪れる……曲名はそのことを意味しているようです(なぜCDのここに入っているかは不明。順番的には「勇者の挑戦」の後でしょう)。すぎやま氏は短いMEについても決して手を抜かず、一級品の仕事をしてくれますね。 |
45 | アレフガルド (広野を行く) |
アレフガルドにおけるフィールドBGMです。もちろん、「ドラクエI」におけるフィールド音楽「広野を行く」のアレンジです。ゲーム終盤、予想だにしなかったアレフガルドの地で、懐かしい曲が流れる……当時のプレイヤーの戸惑いは想像に難くありません。シリーズへの思い入れが強ければ強いほど戸惑ったはずです。こ、この曲は……この場所は……我々が来たのはいったいどこなんだ?過去のシリーズとどう繋がるんだ?そんな混乱した状態で、懐かしき、しかしまだ見ぬ地をさまよいました。この曲はプレイヤーの心境にピッタリとマッチしていたに違いありません。 スーパーファミコン版「III」の「アレフガルド」は、「I」とも「II」とも異なる雰囲気に仕上げられています。基本的なラインは揃えられていますが、より郷愁的になっているというか……。3連符が用いられていることもその要因のひとつでしょう。これもすぎやま氏の言う「よりクラシカルに」ということなのかもしれません。プレイヤーにとっては既に知っている場所、でもゲームの中の主人公にとってはまったく知らない場所……複雑な背景をよく表現していると思います。 |
46 | アレフガルドの街 | タイトル通り、アレフガルドに点在する「街」で流れる曲で、「ドラクエI」での街の曲です。ファミコン版では、アレフガルドでも上の世界と同じ、通常の「街」が流れていましたが、スーパーファミコンではいたるところで「ドラクエI」の曲が用いられています。旧作のファンには嬉しい演出でしょう。 ラダトーム、ドムドーラ、メルキド、マイラ(村ですけど)、リムルダールで使用されています。 |
47 | モンスター・ハープ(ME) | 「ぎんのたてごと」を使った時に流れるもの。モンスターをおびき寄せるメロディです。ガライみずから「あのメロディは危険なんだ」と言っていますが、はて、このハープは単一のメロディしか鳴らせないのでしょうか?というツッコミは野暮というものです。 |
48 | ラダトーム城 | アレフガルド唯一の王城、ラダトーム城で流れる楽曲で、もちろん「ドラクエI」での城の曲です。一箇所でしか流れないという意味では、ゲームの中でも数少ない「一点豪華主義」な曲。 |
49 | アレフガルドの洞窟 | アレフガルドに存在するいくつかのダンジョンで流れる曲で、「ドラクエI」での洞窟BGMです。だんだんとテンポが遅くなっていく点も含めて、「I」の同曲を忠実に再現しています。ただ、ファミコン版の「I」では洞窟のより深いフロアに潜るごとにテンポが遅くなっていきましたが、今回はそういった仕掛けはなく、テンポは曲の進行に合わせて固定。最後までいくと、イントロへとループしてテンポも元に戻ります。 岩山の洞窟、魔王の爪跡(ラダトーム北の洞窟)、沼地の洞窟(マイラ南)で使われています。ファミコン版では、上の世界と同じ「ダンジョン」が流れていましたね。スーパーファミコン版ならではのファンサービスといったところでしょうか。 |
50 | フェアリー・フルート(ME) | 「ドラクエI」の「ようせいのふえ」のメロディ。ルビスの塔で、石化したルビスを蘇らせる時に使うアイテムです。こういったMEも旧作のものを使ってくれるあたり、ニクいじゃありませんか。ちなみに作中のアイテム名も「ようせいのふえ」であり、「フェアリー・フルート」はMEに与えられた名称。 もともと「ドラクエI」での「ようせいのふえ」は、メルキドで闘うことになるゴーレムを眠らせるためのものでした。それを「III」では石化を解くために使うわけです。この笛、何でもできるんじゃん!それとも、名前は別でまったく違うものとか? 肌村さんよりツッコミが入りました……。SFC版「III」では、「ようせいのふえ」を戦闘中に使うと敵1グループを眠らせる効果があるんだそうです。使ったことなかった……。でも、眠らせたり石化を解いたり、万能であることは間違いありませんね! |
51 | レインボー・ハープ(ME) | 「ドラクエI」の「にじのたてごと」と同じMEです。ゾーマ城に向かう橋をかけるため、「にじのしずく」を使用した時に流れるメロディ。あれっ、せっかく「III」で勇者たちが橋をかけたのに、竜王はわざわざ壊してくれたのかな?なかなか用心深い魔王さんなのか?それとも長い年月を経たことで自然に壊れた? |
52 | ゾーマの城 | スーパーファミコン版の新曲で、トラック15「ダンジョン」のアレンジ。タイトルは「ゾーマの城」となっていますが、バラモス城でも使われています。厳密には「ゾーマの城」に限定するのでしたら、「アレフガルドの洞窟」のアレンジでなければいけないわけで。 「ダンジョン」をさらにスローにし、パート数をあえて薄くして音にスキマを作ることで、人の気配のない不気味さと、いつどこから何が出てくるかわからない恐怖感を煽ります。 |
53 | 回想 | 続いてもスーパーファミコン版での新曲になります。ボーカリーズを主体としてひたすら哀愁たっぷりに奏でられる「回想」の初出はオープニングデモイベントで、火山で魔物と戦ったオルテガが死亡したという報せがアリアハンの城に伝えられる場面。次に耳にするのはゲームの終盤も終盤。ゾーマの城で発生するイベント、オルテガ対キングヒドラの戦闘で流れます。オルテガのテーマ、と言っても過言ではないでしょう。実際に回想らしきシーンで流れるのではなく、まして主人公の回想なのか、オルテガの回想なのかも明かされてはいません。その回想という行為はプレイヤーに委ねられています。父の足跡を追ってここまでやってきた旅を回想してみるのも悪くありませんね。ただ、イベントがこの曲を活かすほどのものにはなっておらず、プレイヤーのオルテガに対する思い入れ度によっては楽曲のみが浮いて聞こえてしまうかもしれません。 ちなみに、ファミコン版でのこの場面では、普通に「戦闘のテーマ」が使われています。せめて鎮魂歌を流すべきだった、とスタッフが激しく後悔したという逸話が残されていますが、それが事実であるならば、スーパーファミコン版の演出はまさに雪辱戦といったところでしょうか。 クリア後の隠しダンジョンをクリアすると、3つの選択肢の中からひとつ願いを叶えることができます。中には「オルテガを生き返らせる」という願いが用意されており、この曲があることだし、アリアハンに帰ったらさぞや感動的なイベントが起こるのだろうな……と期待して行ってみたのですが、そんなものはありませんでしたね。ええ、ガッカリしました。普通にひとこと、ふたこと会話して終わり、ですよ。街の人々や母さんは嬉しそうですが、プレイヤー的には「……だから?」という。 |
54 | 勇者の挑戦 | 対ラスボス・ゾーマ戦で、「ひかりのたま」を使った後に流れるラスボスバトル音楽(それまでは「戦いのとき」が流れます)。インパクトのあるイントロから、息をつかせぬ展開で最終戦をグイグイと引っ張ります。中でも楽曲の要であるストリングスのスピード感溢れる細かい「刻み」は、自然な音にするため2トラックを費やして表現しているとか。個人的にはスーパーファミコンになることで、交響組曲からのフィードバックがどの程度行われるのか興味があったのですが(「アレフガルド」や「ロト」の間奏は入るのかな、とか)、音源の増強はともかくフレーズ的にはほぼファミコン版から変化ないですね。これはぜひオーケストラバージョンも聴いてほしいと思います。ほんと、シビれますから! ちなみにファミコン版では、戦闘開始直後からこの曲だったのですが、スーファミ版では前述の通り、「ひかりのたま」以後に改められています。また、「ひかりのたま」を使わずにゾーマを倒すと、「勇者の挑戦」は流れることなく終わってしまいます。 |
55 | そして伝説へ | エンディングのスタッフロール画面から流れる、本作のエンディングテーマ。「伝説」とは、もちろん「ロトの伝説」を指しています。エンディングは効果音が鳴らないだけあって、スーファミが発音可能なすべてのパートを贅沢に使ったオーケストレーションは素晴らしいのひとこと。本編中の楽曲とは音の厚みが段違いです。 第三作目とは言え、まだまだエンディングはシンプルでした。楽曲もシンプルイズベストという感じで、無駄な装飾や展開を省き、ストレートな達成感を与えてくれます。この曲が鳴り終わった後、すぐさま「ドラクエI」をプレイし始めた人もきっと少なくないでしょう。ロトの伝説は決して終わることなく、プレイヤーの中で「III」→「I」→「II」……と永遠に続いていくのです。 |
交響組曲とあわせて揃えましょう! | |
珠玉のゲーム音源を収録!