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F.F.MIX
見本品でスイマセン。  スクウェアの人気RPGシリーズ「ファイナルファンタジー」。その植松伸夫氏による音楽はゲームファンの心をつかみ、ゲーム自体の人気とはまた別のところで、音楽独自の人気も獲得していった。「ゲームサントラ」という商品も定番となり、「ゲーム音楽」というカテゴリーも確かに世間に認知された。

 FFもゲーム音源のCD化とは別に数々のアレンジアルバムを発表してきたわけだが、その中でゲーム音楽としては珍しいいくつかの「シングルCD」、今で言う「マキシシングル」も発売していた。そのほとんどが現在では廃盤となり入手困難であるが、ファンに対する救済策として登場したのがこの「F.F.MIX」である。「FFVI」の発売を機にリリースされたこのアルバムは、過去作品のシングルCD「FFIVミニマムアルバム」と「FFVマンボdeチョコボ」の収録曲をすべて収めたうえ、新規リミックスも追加したサービス盤。さらに「FFV 5+1」のみに収録されていた「マトーヤの洞窟」のスーパーファミコンバージョンも収録と、とにもかくにもファン感涙の一品となっている。


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ポリスター
PSCN-5012
1994年
JASRAC表記:
なし

01 Tina
(new view snow remix)
まず一曲目は、「IV」「V」のシングルでも音ネタリミックスを発表してきたSNOW PRODUCTIONが、今回新たに「FFVI」を題材としてリプロダクションしたトラックで、このミニアルバムが初出となります。いきなり軽めのブレイクビーツから始まり、サンプルのボイスなんかも入りつつ。ひとむかし前のダンスアレンジとなった「ティナのテーマ(FFVIより)」。808(ヤオヤ)っぽいハットが時代を感じさせます(笑)。

あっ、ティナだ、とわかるモチーフが登場するのは1分48秒過ぎから。このへんもいかにも「リミックス」という感じですネ。ティナ以外の部分が多すぎて、原曲のファンにしてみたらちょっと不満かも。個人的には、声がジャマ。まあ、ゲーム音楽のファンにわかりやすくダンスミュージックを紹介する手法としてはアリでしょうね。っていうか、いまさらですけどリミックスしてる「Snow Productions」ってナニモノなんでしょうか?
02 Friends Beats
("dear friends" jeep remix)
オールドスクール?風味の「親愛なる者へ(FFVより)」。最近のR&Bブームから言うと、このリズムはむしろ今のハヤリに近いかも(ちょっと古めのHIPHOP、みたいな)。原曲のモチーフは、かなり早めにアコースティックギターで顔を出してます。これぐらいならBGMとしても快適カモ。ジャズのテイストが入ってるのも、FFらしくなくて面白い。ブレイクビーツのミュートにセンスがあって、けっこう好きです。こちらもこのミニアルバムが初出のニュー・トラック。
03 Main Theme of Final Fantasy IV
(phat stylee remix)
「メインテーマ(FFIVより)」のレゲエバージョンとでも言いますか。ゲーム音源からサンプリングしたと思われるメロに、ハネ系のループが乗っています。もちろんお約束で、ピアノがウラで「ッキャ、ッキャ」やってます。808のキックをサンプリングしてピッチを落とし込んだような超低音ベースも全編でブブブン。今ならこのままドラムンベースに持ち込めそうなアレンジ。このミニアルバムが初出です。
04 Prologue…
(arranged version)
FFIVのオープニング、即ち後の「ファイナルファンタジー」のゴージャスバージョンで、「FFIVミニマムアルバム」からの収録。SFC音源にコンバートする前の状態ってこんな感じなのでしょうか。中盤のピアノソロ&ボーカリーズ部分がカッコ良すぎです。ラッパのチープさは「いかにもシンセ」ですが、「FFVII」以降のPS音源に近いものがありますね。
05 Theme of Love
(arranged version)
「愛のテーマ(FFIVより)」のシンセ・アレンジバージョン(「FFIVミニマムアルバム」から)。ハープ、フルート、弦のシンプルな構成は原曲のイメージのまま。後半はピアノソロになります。やべえ、美しすぎて泣ける……。
06 The Origin
(unreleased track)
「FFIVミニマムアルバム」から『序章』、ゲーム未収録曲です。音源はSFC。ゆっくりとしたマーチリズムの上に重めのピアノがズーン、そしてブラスと弦が勇ましくも緊張感のあるフレーズを重ねていきます。隙間のある雰囲気モノ。「序章」というタイトルから、ゲーム中のどこに入る予定だったのかはファンなら察しがつくでしょう。ゲーム冒頭の飛空艇のシーン、実際には「赤い翼」が流れているところ、あそこに使用される予定だった楽曲です。
07 Restless Moments
(unreleased track)
これも「FFIVミニマムアルバム」から、ゲーム未収録の焦らし音楽。中盤からの展開がとっても好きです。実は、製作上の都合からなくなってしまった時間制限イベントのために作られた曲。
08 The Sea of Silence
(unreleased track)
「FFIVミニマムアルバム」から、『静かの海』。ゲーム未収録楽曲です。船で移動中に流れる予定だったのでしょうか。それとも「静かの海」というダンジョンかイベントがあったものの、開発中になくなったとか?実はどちらもハズレで、正解はもともと月面のフィールドマップ用のBGMとして作られたもの。植松氏の「雰囲気違うなー」という判断でボツになったそうです。
09 Matoya
(sfc version from final fantasy)
FFV 5+1」より、そのシングルでしか聞けなかったレアトラックをここに再収録。このことが、この「F.F.MIX」の価値を飛躍的に高めています。SFC音源による「FFI」マトーヤの洞窟。こういうアレンジは嬉しいですね。全曲やってほしい気がします。それでCDにしてほしい……と思ってたら、PSに移植されたことによりサントラ化され、願いはほぼかないました。あとは「FFIII」を残すのみ、か?
10 Mount of Sky Dragon
(unreleased track)
FFVマンボdeチョコボ」より『飛竜の山』。ゲーム未収録曲です。「銀嶺を行く」の前に入るはずだったのかな?「V」で多用されているティンパニは、この曲でもゴンガンゴン、と鳴り響いております。
11 Opening Idea-Version.2
(unreleased track)
これも「FFVマンボdeチョコボ」から。オープニングのアイデアスケッチですね。バージョン1が本編に採用になったのでしょうか。作曲時にはいくつものアイデア、スケッチを作成して、複数の候補を用意していることが伺えます。植松氏も「こんなんもアリだなー、どっちがイイかなー」と悩みながら作曲しているのでしょう。
12 Flying Ship-Version.2
(unreleased track)
「FFVマンボdeチョコボ」から、飛空艇BGMの別バージョン。採用されたバージョンはティンパニの鳴る勇ましいものでしたが、こちらはどちらかと言うとライト。疾走感は共通しています。
13 Mambo de Chocobo 「FFVマンボdeチョコボ」の表題曲。バンド名は「セニョール植松とマンボ・パンチョス」で、このレコーディング限りのバンドでした。マンボでお約束の「ア〜ァ、ウッ!」ももちろんアリで。そういえば「ファイナルファンタジー1987-1994」のライナーノーツで、「当日のミュージシャンはアッと驚く超一流の面々」と言っていましたが……。

ちなみにこの曲と同時にレコーディングされた「ソンゴdeチョコボ」は、「ファイナルファンタジー1987-1994」で聴くことができます。ファンならこちらもぜひおさえておきたいですネ。
14 The Prelude Crystal Mix 「FFIVミニマムアルバム」から、プレリュードの軽快なダンスポップミックス。「FFX」に出てくるプレリュードの原型になったのかとも思わせるアレンジです。薄く混ぜられてる、わりとよく耳にするループも時代を感じさせますね。テレビやニュースで「FF」が取り上げられるとよくかかってました(JASRAC通ってないのに……)。おそらくこのポップさが、テレビのBGMとして使いやすいのでしょう。ちなみに「プレリュード」の音色は「IV」のオリジナルサントラをサンプリングして使っているようです。
15 Final Fantasy Megamix これはもう、とにかく聴けってことですか。っていうかこのループもありがちですけど(笑)。「FFV」の音ネタがぎっしり詰まっており、「あれっ?」っていうネタがあちこち顔を出してます。それぞれが短すぎて浸るヒマもないっす。「あれっ?」って思ったとたんにもう次のネタが……。あ、この「ファンタジー、ファンタジー」って言ってるボイスは何だろ?

それにしても「メガミックス」ってもう今は絶対に使わない言葉ですね。出典は「FFVマンボdeチョコボ」。


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