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ゲーム音楽と著作権・・・まじめに考えてみよう
インターネットでも頻繁に「著作権」について語られるようになってきた昨今、
MIDI系のサイトにおいても「JASRAC(ジャスラック)」対策として、
既存コピー曲の発表を自粛するところも珍しくなくなりました。
また、ゲーム系のMIDIを置いていたページはファイルを削除したり、ページ自体を
閉鎖している所がほとんど。「著作権」とは、JASRACとはいったいなんなの?
ここではそれらについて考えてみたいと思います。

基本的には上から順に読み進めて頂きたいのですが、
いつものようにかなりの長文となってしまったため、項目ごとへのジャンプも以下に設けました。
ま、書く方も頑張ったんで、読む方も気合い入れて下さいってことで。

音楽著作権ってナニ?

JASRACってナニ?

ゲーム音楽とJASRAC

テレビ放送とJASRAC

テレビ放送とゲーム音楽

インターネットとゲーム音楽

JASRACに関するアレコレリンク

おまけ1:一曲あたりいくらするのか?

おまけ2:ちゃんと分配されるのか?

おまけ3:Web上での疑問に答えます

ちなみにここは「GAMERS EDEN」というサイトだったりします。
音楽著作権ってナニ?
そもそも、「著作権」とは何なのでしょうか。認識があいまいな人のために、
もう一度基本を確認しておきましょう。

一時は中古ゲームの売買に関する裁判が多く開かれていましたし、
近年は「ファイル交換ソフト」での違法な行為とそれによる逮捕者も頻発しており、
「著作権」という言葉を耳にすることも多くなりました。
この「著作権」とは、簡単に言うと『創作した人が創作物に対して所有する権利』のことです。
すべての著作物(音楽・写真・映像・書物・ソフトウェア・etc)には著作者の権利があります。
これによって、著作者以外による著作物の無断複製、発表、商用利用などあらゆる行為が
禁じられているのです。

もしも著作権所有者以外によるこれらの行為があった場合、著作者はその人物・団体を
著作権侵害」で法的に訴えることができます。具体的には著作者の許諾のない複製や転載、
商用利用がこれにあたります。
たとえば、著作者に許可を得ていない「あらゆるメディアへの作品の転載」
「公共の場での発表」「売買行為」などが罰せられることになります。
これらは完全に違法行為として扱われ、訴えられた場合には被告に勝ち目はありません。
もちろん、れっきとした犯罪行為であることをしっかり理解しておきましょう。

「あらゆるメディア」とは、雑誌や放送媒体のことを言いますが、普及以来「無法地帯」だった
インターネットの世界も、最近ではこれに含まれて考えられるようになりました。
サイトへの画像転載などもしかりです。
そして、写真や画像、映像、個人の肖像にそれぞれ権利があるのと同様に、
音楽にも著作権があります。
即ち、『ゲームの曲をMIDIにしてサイトで公開する』ことなども、著作者(作曲者)および
ゲーム製作会社に対する著作権侵害と見なされます。
かつては無数にあったゲーム音楽系MIDIサイトのほとんどが現存しないのは、
そういった部分での取り締まりの強化と、それを受けたユーザーの危機意識が高まったため。
言うまでもなく、MP3などにしてアップロードするのもいけません。
また、商用・非商用も関係ありません。

POINT
・ある著作物について、その著作者以外が作品を使用するには許諾が必要
JASRACってナニ?
では、どうしてもそのような行為を行ないたい時はどうすればいいのでしょうか。
そう、無許可がダメなら許可を得れば良いのですね。
即ち、「著作者に許可を得る」ことでこれらの行為は法的に正当なものとなります。
その際には「使用料」という形で、金銭を払うことになります。

しかし、使用に際してその都度著作者に連絡を取るのは大変な手間ですし
(それでもどうしても使用したいのならば仕方ありません)、
著作者としてもすべての使用許可の申請に自ら対応するのは大きな労力を要します。

そこで、音楽著作権に関して、それらを著作者に代わって委託・代行するのが
JASRACジャスラックと読みます)という名の団体だ、ということなのです。
作曲者(著作者)はJASRACの会員となることで、使用料の請求や使用状況の管理を
JASRACに任せるのです。そして、JASRACは会員に代わって、使用料の請求や管理、
違法行為に対する警告を行います。
 
ただし、使用したい楽曲がJASRAC登録曲かどうかによってケースは異なります。
作曲者の中にもJASRAC会員ではない人が当然いるわけです。
そういったJASRACに登録していない著作者の作品、および楽曲の使用申請を
JASRACにしても意味がありません。
逆に言うと、JASRACに登録していない楽曲の使用に関しては、JASRACの目を
気にする必要がないということになります。
その場合、著作権者に対して直接、使用許可の申請が必要になります。
勘違いしてはいけないのですが、JASRACに登録していない楽曲に、著作権がないわけでは
ありません。すべての楽曲には著作権があるのです。

POINT
・JASRAC会員である著作者の曲→JASRACへ使用許諾申請
・JASRACの会員ではない著作者の曲→著作者に直接許諾申請

 
使用したい楽曲がJASRAC登録曲なのかどうかを判別する最も簡単な方法は、
CDの表記を確認することです。CDのレーベル、もしくはジャケットなどに
「JASRAC」の表記があれば、そこに収録されている楽曲はJASRAC登録曲である
可能性が高いです。ただ、すべての楽曲が登録しているのではなく、
「一部がJASRAC登録」の場合でもこの表記がされることがあります
どの曲が委託曲で、どの曲がそうでないのか、これについてはJASRACほかの運営する
music forest」というサイトで検索するのが良いでしょう。昔に比べてデータの反映が
迅速になっており、信憑性は高くなっています。利用は誰でも可能で、会員登録などの
わずらわしい手間はいりません。

JASRAC表記の一例は、以下の画像参照。

CD表記の一例

POINT
・CDの盤面にJASRAC表記がある→収録曲の全部または一部が委託曲
・CDの盤面にJASRAC表記がない→JASRACが権利に介入していない


問題なのは、特に最近のゲーム音楽に多いのですが、
歌手の歌っているテーマ曲のみを登録していることが多く、その場合でもCDに
JASRAC表記されてしまうので厄介です。
例えば、比較的新しい「ファイナルファンタジー」シリーズのサントラCDには
「JASRAC」表記がされるケースが大変多かったのですが、
それは既存の(JASRACに登録された)歌手による主題歌が採用された「VIII」から「X」まで。
主題歌のない「XI」のサントラでは、「JASRAC」表記がなくなりました
つまり、主題歌とそれに類するメロディ、
そして歌手に関してのJASRAC登録であることがわかります。

また、「X-2」のサントラCDにもJASRAC表記はありますが、実際に管理されているのは
やはり主題歌のみで、調べてみると純粋なサウンドトラック(ゲーム劇伴)については
登録されていないことがわかります。

特に有名な(JASRAC会員である)アーティストや歌手、作編曲者が関係している
楽曲は高い確率でJASRACに委託されますが、それ以外はわざわざ登録しない、
というのが現状のようです。ただ、「盤面にJASRAC表記があるのだから」という理由で、
権利関係の問題にJASRACが介入してくるであろうことも、
また容易に想像できるわけです。

逆に、もう一方のゲーム音楽の雄「ドラゴンクエスト」シリーズの楽曲の著作者である
すぎやまこういち氏は、JASRAC会員どころか理事ですので、
シリーズの楽曲(CD)は当然すべてJASRAC管理となっています。

POINT
・一部の楽曲のみの委託であっても、盤面にはJASRAC表記がなされる
・個別の楽曲についての委託・非委託を知るには問い合わせるほかない
・2枚組以上のCDでは、たとえ一部の委託であってもすべての盤に表記が入る
・メジャーどころの作曲者・歌手が関わる曲は委託曲である可能性が高い
ゲーム音楽とJASRAC
興味のある人ならばすでにお気づきでしょうが、ゲーム系サントラCDは他のジャンルに比べて
JASRACの表記が少ない
です。これは、そのゲームのために製作された楽曲が
JASRACには登録されていないことを意味します。

たとえばコナミやカプコン、ナムコなどは、一部を除いて自社作曲のゲーム音楽の管理を
自社で行っています。つまり、管理をJASRACまかせにするのではなく、
自社で厳しく管理していく姿勢の現われ
です。
この場合、利用にあたっては直接メーカーへの申請が必要ですし、違法行為に対しては
メーカーから直接クレームが来ることになります。
こういった会社は特に権利については厳しいので、要注意です(コナミが良い例です)。

コナミの場合。

↑あるコナミゲームのサントラにある表記(一例)

一部の例外では、外部の作曲者に作曲を依頼し、その作曲者がJASRAC会員
あった場合、その楽曲はJASRAC管理楽曲となることがあります。
たとえばカプコンの「バイオハザード」シリーズを例に取りますと、社内の作曲者が曲を
製作した「1〜3」「コードベロニカ」のサントラCDにはJASRAC表記がありませんが、
外部の作曲者である佐村河内守氏が担当した「1」のディレクターズカット、
及び松本晃彦氏が担当した「アウトブレイク」のサントラCDにはJASRAC表記がされています
( ただし、例えば「アウトブレイク」のサントラCDのうちJASRAC管理なのは松本氏による
楽曲のみで、カプコン内製による曲については自社管理となっています)。
そういう意味では、「ドラクエ」におけるすぎやまこういち氏も、エニックスから見れば
「外部の作曲者」になりますよね。


POINT
・ゲーム会社の多くは自社製作の楽曲を自社で管理している
・外部のJASRAC会員である作曲者による楽曲は、JASRAC委託となる

 
ゲーム音楽がJASRACに登録されない理由として大きいものに、
「自社のゲームのために自社で作曲した音楽に対しても、使用料金が発生してしまう」
からであると言われています。結局は自社に帰るお金であるとは言え、そのために
JASRACに対して手数料を払わないといけないらしく(ばかばかしいですよね)、
ゲーム音楽の多くはJASRACに登録しないことが多いのです。
テレビ放送とJASRAC
テレビ放送では、毎日たくさんの市販楽曲が使用されています。
1時間のバラエティー番組でも、その曲数は50〜100曲になることすらあるのでは
ないでしょうか。「なんでテレビは使い放題なの?」という意見もよく目にしますが、
もちろんこれらの使用に際しても著作使用料が発生しています。

ただし、現状ではそのすべての楽曲について使用申請をしているわけではありません。
各放送局では、年間単位で相当の金額をまとめてJASRACに対して支払っています
(これを包括契約とか、ブランケット契約と言います)。
そして、選曲を担当するスタッフはJASRACに登録してある楽曲ということを前提に
使用しているのです。すなわち、JASRAC未登録である洋楽の海外盤や
多くのゲーム音楽は、原則として放送で使用することができません
(どうしても使用するのならば、個別に著作権者に対する申請・許可が必要です)。
 
では、そういった放送での使用で発生した使用料はどのようにして支払われて
いるのでしょう。プログラムの形態(ドラマ・CM・その他)によっては使用のたびに
申請したり、「使用楽曲リスト」を提出することもありますが、
たいていのバラエティー番組や情報番組、ニュースやワイドショーでは毎日、
使用曲を報告しているわけではないのが現状です。
およそ3ヶ月に一回(年4回)、各番組ごとに1週間の使用曲をリストにして提出しています。
その用紙には「曲名」「作詞・作曲者」「演奏者」「レコード会社とレコード番号」
「使用時間」などを書き込みます。その用紙をJASRACに提出し、
そしてその集計による割合から、JASRAC登録著作権者に対して、放送局が年単位で
支払っている使用料の中からJASRACが分配するという仕組みになっているようです。
JASRACがすべての番組を監視して調査しているわけではありませんし、
すべての使用楽曲を把握するわけではありませんので、ちょっと曖昧なシステムと言えます。

POINT
・テレビでは、年間契約でまとまったお金をJASRACに払っている
・調査結果の割合から、徴収した使用料を著作者に分配
・JASRACがすべての放送における使用状況を把握しているわけではない
・よって、JASRAC非管理の洋楽やゲーム音楽は放送では使えない


使用曲リストを提出してからはJASRACまかせのことなので、
実際の使用料の分配についてどのように行われているのかは一般の人には知り得ません。
カラオケBOXなどでの使用曲の申請も、JASRACが一括して行っていることですので、
なかなか見えにくいところがあります。
こういったシステムに対して異を唱える著作権者も少なくなく、テレビなどで自分の楽曲が
使われていることに対して直接クレームを入れる作曲者もありますが、
現状では法的には問題がない
ことになります。
「JASRAC登録楽曲である以上、ある程度は放送で自由に使用できる」のが、現在の
システムであると言えるでしょう。
CDにJASRAC表記がされていて、かつ「どの楽曲が登録曲か」を明記していない場合、
逆に言えば著作権侵害の責任はJASRACと、
登録状況を把握していない著作者みずからが招くものであると言うことができるでしょう。

そんな曖昧な現状を打破すべく、テレビ局は技術屋さんと組んで新たなシステムを
導入しようと、2008年前後から動き始めています。それが「フィンガープリント技術」。
これは、放送から流れてくる音楽を逐一データベースに登録されている波形データと
照らし合わせ、使用楽曲を自動的かつ正確に導き出すというものです。
現在はまだテスト中で、サンプリング調査で回収した書類との合致率が85%を超えれば
実用化が始まるということ。テレビの音は実際には様々な音楽以外の音(出演者の声、
ナレーション、現実音、効果音など)が混ざっているため、検出は困難に思えますが、
既にそうとうなレベルで楽曲を特定できているそうです。

このシステムが実際に使われるようになると、正確な
利用楽曲の報告がすべてにおいて可能になりますから、理想的にことが運べば
著作権者へ正しい使用料が払われるようになるはずです。
ただし、場合によっては「テレビから市販の楽曲が一切流れなくなる可能性」も
あり得ます。フィンガープリントで出されたデータに基いて支払いを行ったら、それまでの
ブランケット契約よりもはるかに莫大な額になってしまった……という場合です。
ただでさえ減収・制作費縮小の傾向にあるテレビ局が、いま以上に音楽にお金を
出すとは筆者には思えないのです。
テレビ放送とゲーム音楽
では、ゲーム音楽をテレビなどの放送に使用したい場合はどうでしょう。
前述のように、現状ではJASRACに登録されているものの使用については
法的な問題はありません。最近の「ファイナルファンタジー」の楽曲が
よくテレビで使われているのはそのためです(「ドラクエ」もよく使われます)。
ただし前述したように、その「ファイナルファンタジー」をはじめゲームサントラの多くは、
実際にJASRAC管理にしているのは主題歌だけであるケースが多く、厳密には
他のBGMをテレビで使ってはいけないことになります。

ならば、JASRACに登録されていないゲーム音楽はどうなるのでしょうか。
一部の「ゲーム会社が自社で楽曲を管理している」楽曲については、CDなどに
利用に際しては当社までご連絡下さい』と記載されています。
この場合は、使用のたびにゲーム会社に連絡し、許可を求めることになります。
そして、楽曲単位で使用料を支払うことになります。
一般の人の感覚からすると、想像以上の高価な金額を提示されることでしょう。
もちろんケースによりますが、たとえば趣味でMIDIを公開している人にとっては、
とても支払える額ではありません。
 
ただし、すべてのゲーム会社が同じような姿勢であるわけではありません。
あるテレビの選曲スタッフが某ゲーム会社に、楽曲の使用の是非を伺うために
連絡したところ、「許可を取る必要はありません。使っていただいて結構です」との
回答を得たとのことです。
もちろん、この時の回答者が誰だったかによっても回答が変わる可能性はあります。
電話口に出たのが、広報担当の人だったのか、または音楽担当スタッフに回したのか。
これによって得られる回答は異なってくるでしょう。
 
あるゲーム作曲者の話では、「BGMとして背景に流れる分については、
聞かなかったことにするしかない」とした上で、
「それでも番組のテーマ曲などになって、それで楽曲が有名になってしまうのは困る
ゲームのために作った曲が別の意味を持ってしまうから」と言います。
 
実際のところ、こういった事情は関係者でも把握していないことが多く、
NHKなどの放送においても、JASRAC登録曲ではないゲーム音楽が使われているのを
よく聞くことができます。
しかし、こういった無断使用に対してすべてクレームが入るかと言うと、それもないようです。
実際、すべての放送を逐一チェックすることなど不可能に近いことです。
強いて言えば、そこそこ視聴率のある番組で、「このコーナーで必ず使われる」ような
ものの方が、人の耳に入りやすいぶん発覚するケースが多いと言えます。
インターネットとゲーム音楽
ここまでテレビ放送の場合を例にとってきましたが、
同じようなことを我々が行う場合はどうでしょう。そう、ネットでのコピー曲や
着メロの公開ですね。

前述のように、JASRAC登録曲を放送媒体である程度自由に使用できるのは、
放送局がそれなりのお金をまとめてJASRACに支払っているからです。
もちろん、個人が非営利とは言え、著作者に無断でMIDIを公開するなどの行為は
認められていません
。それについても本来ならば、すべて使用料を払ってやらなければ
ならないことです。言うまでもなく、JASRAC未登録曲についてはゲーム会社に対して
直接許可を求めなければなりません。

POINT
・個人が他人の著作物を使用するなら、それぞれ許諾が必要
・許諾とともに使用料が発生する
・JASRAC委託・非委託に関わらず、無断使用は違法となる

 
冒頭で述べたように、コピー曲のMIDIを公開停止しているサイトも少なくありません。
JASRACからの警告も、無断使用をしている多くのサイトに対して送付されているようです。
放送などの世界では常識であったことが、インターネットの世界にも適用されてきたことの
証明と言えるでしょう。

しかし、同じ趣味を持つ人々の間での作品の発表・意見交換の場までもが
奪われていくことに対しては、一抹の寂しさを感じます。
MIDI・DTMと言った趣味の分野が廃れていくような気がして、残念でなりません。
ですが、権利を持つ人々の言い分も正論です。
中にはコピーMIDIの公開を無料で許可しているメーカーもあるものの、ごく一部です。

作曲者のスタンスもいろいろで、無断使用は何があっても認めないという人がいれば、
ファンたちの耳コピMIDIぐらいは大目に見ようという人もいます。
そういった寛大な人というのは、過去に自分も同じようなことをしていたのでしょう。
好きな曲をコピーしてMIDIにしたり、バンドで演奏したり……。
ゲーム音楽の発展は、常にそういったファンの活動とともにあったものだと思います。
ゲーム音楽をきっかけにしてMIDIや音楽活動を始めた人も多いはず。
その中には、実際にゲームの作曲者となった人もいるでしょう。すべての創作活動とは、
まず最初はコピーから始まるんですよね。
ファンが自ら打ち込んだ「耳コピ」のMIDIに対してはもっと寛容な態度で見ることも、
今後のゲーム音楽の発展にとっても良いことなのではないかと筆者は考えています。
ファンが離れてしまったゲーム音楽が、「単にゲームで流れるBGM」になってしまわないためにも……。

しかし一方で、サントラCDをまるごとコピーした違法なファイルがネットに流れてもいます。
それはもう論外というか、好きならちゃんとCDを買えよと。そういった行為こそが、
ネットに対する締め付けを厳しくし、自分たちの首を締めていることがわからないのでしょうか?
権利についてJASRACを「厳しすぎる」と責める前に、自分たちがなにをしているか
よく考えてほしいものです。
JASRACに関するアレコレリンク
JASRACでは、個人による非営利でのMIDI公開に関して、
放送などとは別の料金体系を設定しています。
放送使用などと同レベルの高額な使用料が発生するわけではなく、
見てみればわかりますが、決して個人が支払えない金額ではありません。
どうせならきちんと料金を払って、正々堂々とMIDIを公開するのもひとつの方法です。
JASRACのサイトはこちらから。     

著作者名・曲名・アーティスト名から検索でき、
その楽曲がJASRAC登録曲か否かを知るのに便利なサイトもあります。
MUSIC FORESTはこちらから。


また、当然ながらすべてのファンの活動や交流、趣味の分野まで規制する
JASRACに対し、異を唱える方々もいらっしゃいます。
正誤・是非は別にして、「現在ネット上で何が起こっているのか」を知っておくことは
重要だと考えます。当サイトではそういう方々の存在も公平に紹介していきます……
と思ったのですが、いつの間にやら「Not Found」です。
その他のJASRACについて記したページも多数閉鎖しています……。
活動に邪魔が入ったのか、それとも迫害が(ウチもヤバイか)?!単なる移転か?
情報お待ちしてますです。

音楽著作権の動向について(not found)
著作権とは、JASRACとは?といった基本的なことから、
実際の申請・問い合わせのドキュメントまでを深く掲載・検証していました。
ウチでこの問題に興味を持った人、さらにこの問題について知りたい人にうってつけの
サイトさんだったのですが……。

概要のコピーがありました。
http://homepage2.nifty.com/ichico/chosakuken.html

生き残っているページもあります。

作曲家/ヴァイオリニスト玉木広樹ホームページ
JASRAC評議員でありながら、内情を暴露!興味深いです。必読!

ネット交流文化を守ろう
JASRACによる非営利使用への規制に断固反対、のサイトさん。
この問題についてわかりやすく記述されており、ひと通りの知識はここで得られるでしょう。
さまざまな関連リンクも豊富です。興味のある人ならこれまた必読!です。
おまけ1−「一曲あたりいくらするのか?」
極端な話、実際に問い合わせてみればわかることなのですが、
ここでは別のメディアからそれを推測してみましょう。
よく、漫画などで登場人物が既存の歌を歌っていると、ページのどこかに
「JASRAC出 No.123456」などと書いてあるのを見ることがありますね
(最近は簡略化され「JASRAC許諾」などと表記されてもいます)。
これは、その漫画の中においてその曲を使用していることをJASRACに申請したことの
証明で、ナンバーは申請受理の番号です。
つまり、漫画においても(活字上の表記と言えど)既存曲を無断で使用することは
許されないのです。しかも、漫画における楽曲の使用は営利目的ですからね。
その漫画(もしくは掲載誌)が発売される前に、きちんと許可を取らないといけないのです。
 
で、とある漫画において「これで1万円だぞ、原稿料から引くからな!」という、
編集者の冗句とも嘆きともとれる一文を見たことがあります。
これによれば、活字での表記でなんと一曲あたり1万円かかるというのです。
さらに推測するならば、漫画での使用はおそらく歌詞の著作者に対する
課金でしょうから、もし曲も含めて使用した場合、はたしていくらになるのでしょうか?
想像もつきませんね。もちろんこれは営利目的の商用利用にあたりますから、
個人の非営利使用とケースは異なりますが。


楽曲使用料を推理する手掛かりは他にもあります。
2004年10月に、ある事件が勃発しました。
yahooのトップニュースにも載ったので知っている人も多いのではないでしょうか?
そう、あの「冬ソナ」の曲についてです。韓国ドラマ「冬のソナタ」のサウンドトラックは、
CDにJASRAC表記があるにもかかわらず、実はJASRACとは別の著作権管理団体が
権利を掌握しているというのです。こうなってくるともうわけがわかりませんが、
とにかくその団体(アジア著作協会)は日本のカラオケ会社(第一興商)に対し、
「冬ソナ」関連楽曲の無断使用に対して9億8千万円の損害賠償を求める訴訟を
起こしました。訴えられた方もきっと「だってJASRAC管理曲じゃねえの?」と
困惑したんじゃないでしょうか。

さらに、このアジア著作協会は、一部のテレビ局に対しても楽曲使用量の請求を
行いました。彼らの言い値は「1回の使用につき、1曲あたり5万円」というもの。
これはブランケット契約からはみ出した別料金ですから、もちろんテレビ局側としても
「はいそうですか」と支払うわけにはいかず、両者の主張は平行線のようです。
注意してテレビのBGMを聴いていると、現在は以前ほど「冬ソナ」の曲は使われて
いないはず。これは各テレビ局で「冬ソナ音楽の使用禁止令」が出たためらしいです。
テレビ局にしてみれば既にJASRACにそうとうの音楽使用料を納めていますから、
更なる出費は歓迎できるわけがなく、「JASRAC以外の管理楽曲は使わないこと」に
したわけですね。

この問題は更なる騒動に発展します。テレビ局としてはそんなつもりは
なかったのでしょうが、結果としてそれが周囲には「テレビ局とJASRACの癒着」と映り、
2008年4月には公正取引委員会が「新規参入を阻害した」との疑いでJASRACに
立ち入り調査をしたのです。この件については筆者のブログで記していますので、
興味のある方はご覧下さい。→blog「ゲーム以外」JASRACに立ち入り検査
おまけ2−「ちゃんと分配されるのか?」
知人が出しているJASRAC登録CDから任意に使用報告し、
その分のなんらかの分配がきちんと為されるのか、実験してみようと目論んでいます。
結果がいつ出るかはわかりませんが、面白い結果が出たらご報告しますので、
気長に待っててみてください。フフフ。

というネタフリを、当サイトでは以前からしていました。方法は簡単。
知人のテレビ音響スタッフにちょこっと協力を要請し、これまた別の知人の
CD(JASRAC委託)に収録されている楽曲を、任意に使用報告してもらうというものです。
それによって、使用報告に見合う使用料の払い込みがあるのかどうか。
分配は?明細は?非常に興味が湧く実験でした。

結果から言えば、JASRACはわりとちゃんと仕事をしているみたいだ
ということ。報告した分の使用料の払い込みはしっかりありましたし、
パーセンテージと分配についての配分を示した明細もあったようです。
ただし、万全ではありません。所詮は単なるサンプリング調査に過ぎないものですし、
どれほどの使用報告があったかというすべてのデータは開示されていません。
実際は闇に葬られた使用報告もあることが推測できます。

もう一点は、使ってもいないのに使用報告した場合。
これもしっかりと分配金が支払われてしまいます。
さすがに放送のチェックまでは行なっていないようで(当たり前ですが)、この辺は
完全に使用する側(=放送局及び音響スタッフ)の自己申告に委ねられています。
これも問題と言えば問題で、逆の言い方をすれば
使ったのに報告しなくてもバレない」ということ。これはブランケット契約最大の欠点ですね。
著作者の中にはきっと「毎日のように自分の曲がテレビで流れているが、
一銭も入ってこない」という人もいるんじゃないでしょうか。
実際に、そのことについて放送局へ直接クレームを入れた作曲者も少なくないようです。
また、このことはJASRAC内部の理事会においてもたびたび論議となっていることを
付け加えておきます。フィンガープリントが実用化されればそれもなくなるでしょうか。

なお、この実験における著作者やCD、楽曲を公開してしまうと関係者の身元を
特定されかねませんので、公表はできません。ご了承下さい。
あくまで「こんな実験をしてみたらこうなった」という一例として参考にして頂ければと思う次第です。


文責:GAMERS EDEN 管理人 ほみや
おまけ3−Web上での疑問に答えます
2005年5月、あるテレビ番組でゲームの曲が流れていたことについて、このページを
参照として引用されたサイトがありました。こういった内容について解説しているページは
なかなか無いらしく、様々なサイト・ブログから参照していただいているようです。
今ここを読んでいるアナタも、そんなリンクから飛んできたのではないでしょうか。
そんな中で、いくつか気になる疑問を挙げている所がありましたので、ここで僭越ながら
正しい答えを示しておきたいと思います。

Q.使用料はどうなってるの?
A.上で記している通り、テレビにおける音楽使用料はブランケット契約に基づいてますが、
  それはJASRAC登録曲に限ってのこと。JASRAC非登録曲については個別に申請を
  しなければなりませんが、そこまでやっているかどうかは怪しいでしょう。

Q.使用料を払わなくていいから使ってんじゃないの?
A.上で記している通り、「払わなくていい」という事実はありません。JASRAC登録曲で
  あれば、ブランケット料金の中から一定の割合で払われています。ただし、きちんと
  使用報告されていればの話です。ダマで使ってもバレない、という事実はありますね。
  テレビ番組すべてを逐一チェックすることは不可能ですし、作曲者にとって自分の曲が
  テレビから流れている事態に遭遇することは、よほどの偶然でもない限りまれでしょう。

Q.法的には問題ないのか?
A.上記のブランケット契約がある限り、JASRAC登録曲(CD)であれば問題ないことに
  なります。今回話題になっているゲームの曲がそうであるのかどうかは私には
  わかりませんが、非登録曲ならば個別に使用申請していれば問題ありません。
  ただし、そのどちらでもない場合、無断使用ということになり問題が出てきます。ただ
  著作権侵害は著作者の申告があって初めて成立するので、作曲者およびゲーム
  会社が気付かなければ何も起こりません。

Q.番組でゲーム音楽が流れるのは、プロデューサーの趣味か?
A.中には自分の番組で流す音楽を指定するプロデューサーもいるようですが、非常に
  稀であるようです。ましてマニアックなゲームの曲を使うよう指示するプロデューサーは
  いないでしょう。指定する可能性があるとすれば、ディレクターと呼ばれる演出家だそう。
  しかし多くの場合、テレビで流れる音楽は「選曲さん」「音効さん」「効果さん」という
  音響演出のスタッフに任されているのが実情のようです。そのスタッフの趣味である
  可能性はゼロではないかもしれません。

Q.テレビで流れる曲は誰が決めてるの?
A.よほど特別な場合でない限り、前述の「音効さん」に一任されているようです。当然、
  おおまかな方向性・曲のタイプなどはディレクターやプロデューサーと打ち合わせをして
  決めるようですが、そこに「どのCDからあの曲を使おう」といったことについては完全に
  プロである「音効さん」の領域。何千、何万というCDの中から選ばれるそうです。
  中にはゲーマーな「音効さん」もいるでしょうし、趣味でゲームの曲を選ぶこともないとは
  言い切れませんが、逆に言うと「音効さん」というのは膨大な数のCDを持っています。
  映画やドラマのサントラ、アニメのサントラ、フュージョン、クラシック、歌ものなど・・・。
  ゲーム音楽もその中の選択肢のひとつでしかなく、多くの場合は「使った曲がたまたま
  ゲームの曲だった」というのが実際のよう。ほとんどの「音効さん」はそれがアニメなのか
  ゲームなのかわからない人のほうが多いようです。

最後に、筆者が偶然目撃したテレビ番組におけるゲーム音楽の使用例を紹介しましょう。

・NHKのドキュメンタリーで、スクウェアの「パラサイトイヴ」のサントラから「Ayaのテーマ」などの
 印象的なメロディがテーマ曲的に使用されていました。「音効さん」としては、ああいった
 「同じメロディのアレンジ違い」は作品の印象付けに便利らしく、使いやすいとのこと。
 ただしこのCD、JASRAC登録はされておらず、きちんと使用申請されているのかどうか?
・やはりNHKのスポーツニュースか何かで、「ワイルドアームズ」のバトル音楽が流れました。
 確か映像はサッカーだったと思います。これはJASRAC登録されているのでOKですね。
・民放(失念)のワイドショーで「Brave Fencer武蔵伝」の曲が使われていました。これは
 「パラサイトイヴ」同様、JASRAC非登録ですね。
・民放(やはり失念)のスポーツ番組の中で、水球の映像に「FFX」の「Other World」。
 これはもう間違いなく、音効さんがゲーマーでしょう。ちなみに「Other World」は「FFX」の
 オープニングムービーで、ブリッツボール(水中球技)の場面に流れていた曲です。
 水球にこの曲を付けるのは、ゲームを知っててこそでしょう。

挙げるとキリがないのですが、印象的だったのはこのぐらいでしょうか。「ドラクエ」の曲もよく
耳にしますね。JASRAC登録曲なので安心して使えるのでしょう。いちゲーマーとして見ると
「その曲がゲームのどんな場面で流れてるか知ってるの?」というミスマッチな選曲も中には
あるのですが、前述の通り、「音効さん」にとってゲーム音楽はこの世に存在する無数の
音楽のうちのひとつ、でしかないというのが本音のようです。


今回、この記事を書くにあたり、知人の「音効さん」にいろいろ教えていただきました。
協力を感謝します。thanks
ほんとにおまけ−Web上での反応いろいろ
・知らなかったことが書いてあったので役立った
 →ありがとうございます
・JASRACについて知ることができた/勉強になった
 →お役に立てて筆者も嬉しいです
・ゲーム音楽がテレビで流れることについての疑問が解けた
 →なによりです
・読んでないけど一応メモしとこ
 → ・・・読んでください・・・
・長文なので注意!
 →大きなお世話です
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