R・TYPE(アールタイプ)FINAL オリジナルサウンドトラックス

 シューティングゲームというジャンルにおいて、後にトレンドと成り得るいくつもの要素を確実に提示、ジャンルに広く継承した、アイレムの「R-TYPE」シリーズ。シューターを自認するならば知らぬ者はいないであろうこの「ジャンルを代表する作品」であっても、時代の流れに背くことはできなかった。「FINAL」というタイトルでもってシリーズの終了を明示した、シューティング「R-TYPE」の最期。このCDはそんな「最期のR-TYPE」を彩った楽曲を収録したサウンドトラックである。終焉を奏でる音はどのように仕上がったのか。

東芝EMI
TYCY-5511
1996年
JASRAC表記:なし
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ゲーム紹介

 とにもかくにも「FINAL」なんだそうである。「R-TYPEという名のシューティングが今後、世に出ることはありません」というはっきりとしたタイトル。シューティングゲームというジャンルには各メーカーが創意工夫で産み出した「名作」が数え切れないほど存在するが、筆者は個人的に「グラディウス」と「R-TYPE」こそがその双璧だと思っている。もちろんそれら以前にも優れた作品はあったし、その後もそうだ。タイトーや東亜プランの作品も好きだ。「ゼビウス」やハドソンシューティングはどうするんだという声もあるだろう。それに反論できるほどの持論はないが、横スクロールシューティングということで言えば、完成度・独創性・ゲーム性ともにこの双璧が崩れることはないだろうと思って「いた」。過去形なのは、「R-TYPE」が終焉を迎えてしまったからだ。

 1987年、元祖「R-TYPE」はアーケードゲームとして我々の前に姿を現した。今と違ってシューティングはコンピューターゲームを代表するジャンルだった。「グラディウス」や「ダライアス」が全盛の頃、当時ゲームセンターで腕を慣らした者はみな、「R-TYPE」をプレイしたことだろう。そして独特のシステムとグラフィックの虜となる。明らかに「生体」を意識した敵キャラクターに魅了され、画面に収まらない巨大戦艦に驚愕し、3種類のレーザーとフォースを駆使した戦略性に惹き込まれる。いまではシューティングではお馴染みの「溜め撃ち(本作では波動砲)」も、「R-TYPE」が初めて編み出した。インターネットもない時代、プレイヤーは貨幣を投入してはじわじわと攻略法を編み出して先へ進んでゆく。次から次へと挑戦者が現れた。ある者が新たな領域に突入すれば、先のステージ見たさに人垣ができたものだ。「R-TYPE」の企画者とデザイナーはアイレム入社1年目にこの作品を作った。目標は「グラディウスを超えたい」だった。

 翌1988年には家庭用新ハード・PCエンジンの目玉ソフトとして移植された。2枚のソフトに分割はされたものの、その移植度は当時でもかなり高いものであった(MSXにも移植されたが割愛する)。1989年には、「R-TYPE II」が正統な続編としてアーケードに登場。その後もゲームボーイやスーパーファミコン市場に向け移植・関連タイトルをリリースしつつ、91年「GALLOP」、そして92年の「R-TYPE LEO」などのシリーズが順次アーケードにも投入された(ただしこれら2作はシステム面の差異から正統なシリーズとは言い難い)。93年には初の純粋な家庭用オリジナルタイトル「R-TYPE III」をスーパーファミコンで発売。そして1998年、プレイステーションにオリジナルの「I」と「II」がカップリングタイトルとして移植され、同年、完全新作「R-TYPE デルタ」がやはりプレイステーションソフトとしてリリース。こう書くとシリーズものとしては順調に育ってきたように見えるが、実はアーケードゲームとして生まれた「R-TYPE」は既に虫の息だったのかもしれない。「GALLOP」や「LEO」を外伝とすれば純粋な「R-TYPE」は1989年の「II」以降、アーケードに登場していない。あとはすべて家庭用ハードのソフトとしてしかリリースされていないのだ。格闘ゲームブームの影響で、シューティングゲームはゲームセンターにおいて圧倒的に「金を生まないジャンル」となっていた。

 原因はいくつかある。前述の通り対戦格闘ゲームが圧倒的な人気を得たため、その煽りを喰らったことがひとつ。そして時とともに複雑化していくルールとシステム、上がることはあっても下がらない難易度によって「初心者お断り」な雰囲気を形成してしまったこと。それでも喰らいついていったのがかつてのゲーマーであろうが、時代の風潮としてそんな「苦行」のようなゲームを誰もプレイしてくれなくなった。その「苦行」に適していたのは、一度ソフトを買えば何度でも気の済むまで自宅でプレイできるコンシューマーである。では、家庭用市場ではシューティングが売れていたのか?と言えば、否だろう。アーケードでもコンシューマーでも、シューティングは売れなかった。そしてシューティングで名をなしたゲームメーカーですら、シューティングに見切りをつけていった。「売れないものは作れない」のである。ゲーム制作には人もお金もかかるのだ。

 2000年頃、プレイステーション2で「R-TYPE」の新作を作る動きがアイレム内にあった。しかし、依然としてシューティングは売れないものであり、会社としてOKが出せるか出せないか以前に、現場のスタッフが乗って来なかった。「売れないだろう」という諦観である。お前らが言うな、作る側に熱気がなくてどうするんだと、当時別ラインで「絶体絶命都市」を担当していた九条一馬プロデューサーは、スタッフを口説いて回った。「アイレムに入ったんなら一度は"R-TYPE"作っとけ」と。そしてなにより、ファンから届けられた「"R-TYPE"をまた作ってくれ」の声は無視できず、何より励みとなった。そして本作「R-TYPE FINAL」の開発はスタートする。企画書の段階から「FINAL」だった。会社に対しての「最後だから(売れないかもしれないけど)やらせてくれ」という意思表示であるとともに、最後だと言わない限りいつまでも新作に期待し待ち続けてしまうユーザーへの、「感謝」を込めた誠実な回答として。

 そして2003年7月、「FINAL」は世に放たれた。「最後だから」と会社を説得し、パッケージや盤面に凝り、初回特典を用意し、価格も抑えた。すべてユーザーへの「感謝」として。できあがったゲームはというと「圧倒的ボリューム」。ゲームの質についてはもちろん「R-TYPE」そのもの、「デルタ」を経て3Dシューティングというものをより高いレベルでまとめあげ、手触りは「R-TYPE」以外のなにものでもないだけでなく、100を超える機体を用意し、プレイ状況によってユーザーが新たな自機を獲得できるようにした。これは「"R-TYPE"の新作はもう出ないけど、この1本で100年遊べるシューティングを作ろう」という開発コンセプトによるものだ。機種が増えれば戦略も増える。自分に合った機体はどれなのか、コレクション要素も含めて長い間プレイできるだろう。さらに別モードとして「AI対戦」も搭載、本筋とはまた違った「遊び」も楽しめるようになっている。

 本作の音楽はプロデューサーの九条氏からWavelink Zealに依頼された。サウンドデザイナーの岩井隆之氏と、コンポーザーの岩井由紀氏である。「今までに無かったシューティングのBGMが欲しい」という、気合いの入ったプロデューサーがよく言う発注(「デルタ」でUSPに対しても同じオーダーをしている)ではあるが、2人の岩井氏はおおいに悩んだようだ。思い付くままに曲を作ってみるが画面と合わない……。そんな試行錯誤を繰り返し、時間が過ぎていく。そんな状態が数ヶ月続いたらしい。そして「こっちだ!」という道筋を見つけてからは制作ペースが上がり、無事サウンド制作は完了した……とのこと。彼らが見つけた道筋とは何か?その答が、ここで御紹介するサウンドトラックCDには収められているはずである。

 なお、翌年の2004年には「グラディウス」が新作「V」をリリースしているが、こちらも家庭用(PS2)のみの発売であり、しかも制作はコナミ内製ではなく外注されている。「R-TYPE」がシリーズを完結させ、「グラディウス」ですらそのような状況。個人的にはシューティングというジャンルがどれだけ斜陽か、いやというほど感じさせられた2000年前半から中盤であった。「R-TYPE」はシューティングとしては確かに終った。九条氏も「"R-TYPE"という名のシューティングが世に出ることはもうない」と確かに明言したが、2007年、アイレムから「R-TYPE TACTICS」という名のシミュレーションゲームがPSPソフトとしてリリースされるなど、誰が予想したろうか……(なお、「R-TYPE TACTICS」も岩井由紀氏がサウンドを担当、オリジナルサントラも出ている)。いつかきっと「R-TYPE RPG」なんてのも……。ファンが待ってるのはそういうものではないと思うが。


Wavelink Zeal

↑本作の作曲を担当したWavelink Zeal(ウェーブリンクジール)のサイト。「Wavelink Zeal」とはチームの名称で、2007年からは岩井由紀(サイトでは岩井ユキ表記)氏が代表を務めている。岩井由紀氏は1991年にカプコンに入社し、格闘ゲームやアクションゲームを中心に作曲。2001年にフリーとしてWavelink Zealに参加し、前述の通り2007年から代表になった。

01 オープニング SE(効果音)込みで聞かせる、「R-TYPE FINAL」オープニングムービーの曲です。楽曲単体で聴きたいと思うのもファンなら当然の心理ですが、そもそもサウンドトラックってこういうものだったんですよね、昔の映画とか。CDを聴いていると、オープニングムービーの映像どころか激しいミッション(ゲームプレイ)までもが脳裏に蘇ってきませんか?

真っ赤な太陽、波の音……印象的な始まりのオープニングムービー。静寂はすぐに掻き消され(18秒〜)、人間の気配がする市街地を飛び回りながら激しい戦闘を繰り広げる「R」(シリーズでは珍しい、新鮮な画ですね)。ジュノリアクターを思わせる典型的なテクノビートと刻み系のベース、そしてシンセは、たしかにこれまでの「R-TYPE」シリーズではあまり耳にしなかった構成。これといったメロを持たせずリズムの小気味良さのみで映像を引っ張っていきますが、40秒からは一転して宿命のようなものも感じさせるヒロイックなメロディが顔を出します。あまりにわかりやすくて「メインテーマかな?他の曲でも出てくるかな?」と勘ぐってしまいたくなります(実際出てきます)。リズムはさらに小刻みなテンポ感のあるドラムンベース調のループへと変化し、集結した「R」シリーズが波動砲を一斉射!バイドを消し去ります。

1分16秒からは、白バックに次々と「R」シリーズが現れて列を成していく、商品のひとつのコンセプト(=自機もりだくさん)を象徴するかのような映像に添う、ゆったりとしていながらもメカニカルなイメージが溢れる曲調に。ラストは夕景の水面に沈むフォースが何かを暗示するかのようなオープニングのシメに、再度波音を被せて楽曲は終了します。楽曲も効果音も一手に引き受けているからこそ可能な、音が一体になったストーリー性のある演出は「FINAL」にふさわしいものと言えます。
02 タイトル オープニングムービーが終了すると表示される、タイトル画面で流れる短いタッチ。心拍を思わせるキックが減衰しつつも、同様の感覚で刻まれるシンベは重々しくリズムをキープ。風のようなスイープシンセとクワイヤ調のボーカリーズがどこか寂しく、切なく聞こえてしまうのは、「FINAL」であることを知っているからでしょうか。シューティングのタイトル画面は無音か(「R-TYPE」シリーズもそうでした)、そうでないなら激しく煽り立てるかのどちらか。短くともあえてこのような曲を充てたのはきっと、制作スタッフの「想い」ゆえではないでしょうか。「"終焉"が始まるんだよ……」みたいな。ちょっと感傷的すぎますか、私?

しかしまあ、あえて言うならここはオープニングムービーを受けてやはり無音でいくか、効果音(波音)だけにするテもあったなあ。
03 メニュー タイトル画面でスタートボタンを押すとメニュー画面へ。電源投入直後、パイロットの選択をしていなければメモリーカードからパイロットデータを選びます。そこから流れるのがこの曲。聴いてすぐわかる通り、前のトラック「タイトル」からボーカリーズを抜いて伸ばしたような、アンダースコアと言った感じになっています。

プログラム的に難しいのかもしれませんが、タイトルと同じ曲を使うのであれば音を繋げてほしかったですね。製品ではいったん「タイトル」がちょん切れてあらためて「メニュー」が流れ出すのですが、ここはスムーズにいきたいところ。例えばタイトル画面でスタートボタンを押してメニューへ移動すると、ボーカリーズだけがなくなってリズムだけのアンダースコアになるとか。でなければやはりタイトル画面は無音か、効果音だけで構成した方がサウンドデザイン的には美しかったと思います。ただでさえシューティングは音楽が流れっぱなしになりますから、メリハリは必要ですよ。この曲自体が持つ重苦しさと緊迫感は出撃前の雰囲気をじゅうぶんに表しているだけに、タイトル画面で音楽が流れるおかげでそれを損なっているんです。「FINAL」なのに文句ばかりですみませんね。
04 ハンガー さあ、いよいよゲームスタートです!獲得した自機がズラリと並んでいるイメージの格納庫、「ハンガー」で流れる曲がこちら。インダストリアルな匂いのするスローテンポなリズムトラックのみで淡々と雰囲気を作っています。今回はどいつで出撃しようかな?納得のいくまでチョイスしましょう。AI対戦のハンガーでも流れます。
05 ミュージアム 「ミュージアム(博物館)」だからと安易にクラシカルな曲を持ってきたりせず、作品のトーンを損ねないこういった楽曲を用意するあたりは良い仕事。軽めのループと生っぽいベース、そしてローズ系キーボード音色のバッキングで聞かせるBGM。くどいメロを持たせずにあっさりと流しています。ここでもしクラシカルな曲や、「兵器開発」といった感じの勇ましい曲が鳴っちゃったら、かなりシラけたはずです。ジャジーな香りもする落ち着いたトーンで、主張も邪魔もしないいわゆる背景音楽ですね。個人的には9秒あたりから鳴る、独特な質感のライドシンバル(?)が凄く好き。

ところで皆さん、全機種集めました?私はまだです、というかあえて集めてないというか……。これ、全部集めたらその時こそ本当に「R-TYPE」が終っちゃう気がしてですね……。なんか。

「ミュージアム」だけではなく「BYDO LABO」、「GALLERY」でも流れます。
06 ステージ1.0
(永眠の都市:不安)
「夏の日差しの中、海鳥達に挨拶をした。そして私は悪魔の巣へ進入した」……。ステージ開始時には小説の書き出しのようなテキストが表示されます。そのテキストに呼応して鳴らされる「ミャア、ミャア」という海鳥の声とともに静かに始まるのがこのトラック、ステージ1.0前半部のBG。「R-TYPE DELTA」における一面BGMは一曲の中でその色を変えていくものでしたが、「FINAL」ではステージ展開に合わせて楽曲をチェンジする手法を採用しています。この曲はステージ開始からメルトクラフトを相手にしている際に流れ、ストロバルトが登場する前にカットアウトされて次の「静寂」に切り換わります。また、ギロニカ撃破後、ボス出現前までもう一度流れています。

緊張の高まりを感じさせる、心拍音のようなキックと不規則なハイハット、「悪魔」の息遣いを思わせる不安定なシンセ音から成る短い曲ではありますが、一面導入部(=ゲーム導入)の雰囲気を担う重要な役目を担っています。なんと言ってもこの「シューティングらしからぬ」雰囲気は、ある意味で大英断。ゲームの最初でこういう音を提示することは、ユーザーに良くない第一印象を与える危険もあるからです(「暗いなー」みたいな)。しかし、あえてこの曲調。家庭用だからじっくり遊んでわかってもらおう、ということでしょうか。

アーケードでのシューティング音楽はとにかく「目立つ」「派手」「アタッキー」が最優先でした。ゲーセン内での音の洪水の中で「いかに他所のゲームより聞こえるか」という命題があったからです。が、家庭用にそんな縛りは無用。ゲームの雰囲気や演出に合わせて、いかなる曲でも持ってこられるんです。
07 ステージ1.0
(永眠の都市:静寂)
まさに「静寂」。前の「不安」と共通の、不安定なシンセ音をベースに、「アー」とも「ハー」とも聞こえるボイス音色が加えられています。リズム的な要素はなくなり、音楽というよりはME。ゲーム中では効果音もいよいよ激しくなる頃で、はっきり言ってこの曲、鳴ってるんだかないんだかほとんどわからないほどです。まさに「静寂」ですな。ただしステージが、ではなくて「曲が」、です。これも短い曲なのですが、わざわざ「不安」と分ける必要あったの?とも思います。強制スクロールですから、一曲の中で変化をつけるやりようはいくらでもあるはずなのですが……。

楽曲は「不安」に続き、ストロバルトが登場するあたりから流れ始めますが、ゲインズが出現する前には終ってしまいます。短いんですよね、これも。
08 ステージ1.0
(永眠の都市:VSゲインズ)
画面奥から飛来するゲインズの姿を視認した頃に流れ始める、VSゲインズ音楽。アタマのシンバル連打こそインパクトがありますが、あとはシーケンスと軽めのパーカッション、そしてベースのみという構成曲。テンポは速いのですが「中ボスだぞギャギャギャン!」というわかりやすいシューティング音楽にはせず、ひたすら背景に徹しています。と言えば聞こえは良いのでしょうが、ベースは低域すぎて、スピーカーの性能によっては再生しきれないかもしれません。つまり「聞こえない」。さらに実際、ゲーム中では効果音に埋もれて曲そのものがやっぱり聞こえ難い……。効果音と音楽のボリュームバランスがあまりよろしくないですね。作った人、調整した人には悪いですが、これだと音楽、あってもなくても大差はないですね。あくまでゲーム中での聞こえ方で言えば、ですよ?かといって単体で楽しめる曲か、と言うと微妙ですし。その点については単体での評価をしたいわけではなく、「ゲームのための音楽」であることを前提とすればさほど問題ではありませんが、じゃあゲームで効果的に鳴ってるの?と言うと……ってことです。

ゲインズを倒しても鳴り止むことはなく、ギロニカ出現直前までなんとなく流れています。また、この曲が使われているのはステージ1.0に留まらず、ステージ3.0の陸戦用ゲインズ、ステージ5.0でのゲインズ戦と、1周で計3回耳にすることになります。
09 ステージ1.0
(永眠の都市:VSギロニカ)
ギロニカ出現から流れ始める楽曲。というより、こりゃほとんどSE(効果音)。ギロニカの唸り声か?軋み音か?という「グアァァァー」という音が何度も繰り返され、その隙間を薄いシンセ音とベースが埋めています。一方、ゲーム中では敵・自機ともに激しく効果音を撒き散らしていますので、正直サントラを聞くまで、個別の曲が割り当てられていることに気付きませんでした。ベースがマスキングされてしまうのも、「VSゲインズ」と同じ。持続音ではなく刻んだ方がまだ目立ったかもしれません。「そもそも目立たせようとしてません」と言われると返す言葉もありませんが、じゃあ音楽いるの?と。

ギロニカを倒すとBGMは「不安」に戻り、1面ボスに辿り着くまではそれが流れることになります。雰囲気作りや演出の面でやりたい方向性は理解できますが、うーん……いいのかなあこれで、という気持ちがあることは否定できません。ステージ1.0はあくまで「静寂」なんだ、「永眠の都市」なんだという演出を最大限に尊重してのことかもしれませんが、それをやりたいのであれば、極論してしまうとBGMがまったくなくても成立はしたのでは?流れてても聞こえないんですから。演出を否定するつもりはないですが、なんか……プレイしていて「グッ」とこないんです。何かのサントラレビューで筆者は「シューティングにおいては音楽とプレイヤーのシンクロが、時として実力以上のプレイを生むことすらある」というようなことを記しましたが、このステージ1.0はどうかな?
10 ボス(生物系) 「生物系」と銘打たれたボス戦用BG。小刻みなハイハットと4つ打ちのキック、そしてトランス系スウィープシンセが主構成要素。アオってはいますが主張のない曲で、ハードなボス戦の邪魔をしません。初代「R-TYPE」のボス音楽の色も感じますね。いま作るとこうなる、的な。ですが、これが「今までに無かったBGMを」というオーダーに対する、悩んだ末の回答なのだと言われると「?」です。こう言っちゃなんですが、極めて誰でも思い付きそうな無難な曲だと筆者は思います。ステージはここまで「シューティングっぽくない(良し悪しは別にして)」トーンで貫いてきたのに、ボスはずいぶんわかりやすいなあ、と。汎用ボス音楽という性格もありますから、こうせざるを得ない、ということもあるのでしょうけど。

この曲が流れるステージボスは1.0のXelf-16、2.0〜2.4のネスグ・オ・シーム、3.5のR-13ケルベロス、4.0のドブケラドブス、6.0のゴマンダー。シリーズにおいてはメカと生物の線引きが難しく、曲名を知らないと「ボス音楽はどういう基準で使い分けられているんだろう?」と疑問に思うかもしれませんね。
11 ステージクリア 初代「R-TYPE」では「オメデトウ!」的な明るいブリッジが流れた「ステージクリア」ですが、「FINAL」ではこのように抽象的なMEに。というより、「DELTA」からこんな感じになったんですけどね。実はステージクリアってめでたくもなんともなく、悪魔の巣のさらに奥地へ進むわけですからむしろ地獄へ踏み込むようなもの。となればブリッジもこういうトーンで正しいということになります。達成感はないですけど、どちらを採るか、ということだと思います。「DELTA」や「FINAL」は演出にすり寄せたのでしょう。

40秒弱あるMEですが、ゲーム中ではそんなに長く流れることはありません。倒した直後ぐらいから「びみょおぉーん」と鳴り、スコア計上の時には鳴り止みます。
12 ステージ2.0
(歪んだ生態系:砂漠)
もしかするとこの曲、というかステージ(砂漠)を知らないままプレイしている人、プレイし終えた人もいるんじゃないでしょうか。砂漠は知らずにプレイしていると、場合によってはまったく辿り着くことのない隠しステージ的な性質を持っているからです。ステージ2のボス、ネスグ・オ・シームをどのように倒したかによって、次の周回でのステージ2が5パターン(2.0〜2.4)に分岐するのです。条件は攻略サイトや攻略本で調べて下さいね。

曲の方は「楽曲」というよりほとんどSE(効果音)。吹き荒れる風の音をベースにコン、コンとパーカッションが挿入されます。たまに遠くの方でなにかの生き物の鳴き声もするあたり、MとSEを一貫して制作しているからこその芸も。CDで聴いているとステージ1.0に続いて「このゲームの音楽って……」という感じですが、この2.0についてはゲーム中でグラフィックと合わさって流れた時の効果は「おみごと!」と言うほかなく、音楽単体で楽しめる性質のものではないですが、ステージの雰囲気を絶妙に表現しているんです。「ゲームありきの音」です。筆者は音楽単体を評するつもりはまったくないので、ゲームで流れた時にこの曲は「アリ」なんですよ。

さらに言えば「音楽を作って下さい」と言われてこういう曲を出すのって、凄いことですよ。勇気ある決断。おそらく試行錯誤の段階ではもっと「普通の音楽」も作ってみたんじゃないでしょうか。でも普通だなあ、画面と合わないなあ……で、こんな曲にしてみた、と。サウンドチームが見出した「道筋」って、こういうことじゃないかと思うのです。たぶん、制作当初はもっと「シューティングっぽい曲」が全体で鳴っていたのでしょう。
13 ステージ2.1/2.2
(歪んだ生態系:空中)
この曲は「砂漠」や「水中」とは異なり、すべてのプレイヤーが必ず聴くことになるものです。ファーストプレイのステージ2は必ず「2.2」になるためです。その「2.2」と、条件を満たすと発生する「2.1」で共通して流れるのがこの曲。古代世界を思わせるシェイカーとパーカッションがリズムを形成し、あとは持続するベース音と民族楽器を思わせる「びょみぃーんびょみぃーん」という音色が独特の雰囲気を醸し出しています。ここまでステージに寄せ、メロを廃しての「背景音楽」に徹した作品というのも、シューティングというジャンルではなかなか珍しいのでは?
14 ステージ2.3/2.4
(歪んだ生態系:水中)
これも「砂漠」と同様、ステージ2のボスをどのように倒したかによって次周回で発生する、特殊なステージ2「水中」で流れる曲です。即ちプレイスタイルによってはまったく聞けないプレイヤーもいるかもしれません。「FINAL」をしゃぶりつくすなら、すべてのステージを一度は経験したいものです。

水中というシチュエーションを重視することで、同じステージ2でも砂漠や空中とはガラッと雰囲気が変わりました。水中の反響音を思わせる広がりのある音色と、水流を感じさせるピコピコシーケンスは、本作のここまでの楽曲の中では初めて「高域寄り」な耳触りを生み出しています。これまでは「低音」寄りでしたからね。特別なにが面白いってわけでもない曲なのに、妙に新鮮に思えるのはそのためではないかと。
15 ステージ3.0
(巨大戦艦襲来:夜のビル街上空)
やたらに悲壮感たっぷりな、ステージ3.0前半のBGM。そうです、シリーズ伝統の巨大戦艦ステージなんですね。本来我々を守るもののはずだった巨大戦艦がバイドに侵され暴走、そんな絶望感を表した曲。今回の巨大戦艦はシリーズのどの戦艦も上回るスケールになっていますので、ぜひその目で確かめて下さい。この曲はステージ前半、陸戦用ゲインズが出現する前まで流れ続けます。

ここまで貫いてきた「メロなし構成・シンセ抽象曲」とは一転し、オーケストラ音色をメインに奏でる「わかりやすい」モチーフはかなり新鮮。ステージ1、ステージ2は巨大戦艦への前フリでしかなかった、これを立たせるためにここまで引いてきたんだ!と言わんばかりに主張しまくってます。
16 ステージ3.0
(巨大戦艦襲来:大接近)
ステージ3.0後半は、前と同じ曲をさらに厚くアレンジ。基本ラインは変わっていませんが、マーチングスネアがやシンバルが加わったことでテンポ感が出ています(実際のテンポもだいぶ速くなっています)。陸戦用ゲインズを撃破した後、ステージ後半で流れるものです。ひとつのステージを短いモチーフで貫いたことで、本作においてはかなり耳に残る曲になっています。
17 ボス(メカ系) 生物系ボスはトランステクノでしたが、この「メカ系ボス」の曲はドラムンベースできました。リズムとベース、ウニョウニョシーケンスが楽曲の核を作り、23秒からはボイス音色によるマイナーメロが入ります。あとはその短いメロをシンセやベル音色がなぞり、ひたすら繰り返していくという構成。欲を言えば途中でまたリズムのみに戻る部分を設けると、曲に変化が出たかな。長期戦になるボス戦では楽曲に緩急をつけることでゲーム中の状況と思わぬシンクロが生じて盛り上がったりしますから。それはまったく偶然の産物なんですけど、あるとないとでは大違い。それに、勘の良いプレイヤーになると楽曲のフレーズで敵の攻撃を予測したりね。そういう要素こそが、シューティングにおける「ゲームと音楽のシンクロ」ということなんだと思います。

初出はステージ3.0のボス・巨大戦艦本体波動コア。以後5.0のファインモーション、6.2のグリッドロック戦で使われます。
18 ステージ3.5
(暗黒の森の番犬)
こちらも、その存在すら知らないプレイヤーが多数いそうなステージ3.5の曲です。いわゆるシークレットステージで、自機がRX-12の場合のみステージ3.0クリア後にプレイできるという、知らなければまず出せないフィーチャーです。前半は不穏なシンセのイントロで始まり、23秒のピアノクラッシュでいったん静寂に。すぐにピアノのアルペジオが出たり引っ込んだりしながら、コーラスが神々しく歌い上げます。

なお、この曲だけは作曲のクレジットが、かつて「DELTA」を手掛けたUSPになっています(本作でのアレンジはもちろんWavelink Zeal)。それもそのはず、実はこの曲、「DELTA」に用意されていた隠しエンディング(自機がR-13の時にのみ見られる)で流れた曲なのです(「DELTA」サントラ18曲目「エンディング [静寂]」)。「DELTA」で謎の最期を遂げたR-13はバイドツリーに取り込まれ、「バイドを生み出すもの」になってしまいました。それが本作におけるステージ3.5なのです。前作のラストをきちんと回収し、楽曲にもしっかり関連性を持たせてくれたわけですね。……前作をやってない人には意味不明でしょうが、「R-TYPE」ファンならみんなやってるから問題ないですよね!
19 ステージ4.0
(沈黙の研究所:螺旋通路)
読んで字の通り、ステージ4.0の大部分で流れるBG。コンテナに乗ったジーラ、ミサイルをバラバラと放ってくるレリック、そしてゆったりと進行するキャタピガードなどなど、なかなか厄介なステージでしたね。楽曲はステージ3で聞かせたわかりやすさは再度後退し、背景音楽に戻ります。低音やスイープ音で構成されるベーシックトラックの上に、チャーチオルガンを思わせる高い持続音が緊張を維持します。研究所と言っても、ホラーゲームに出てくるそれで流れそうな音楽です。ゆったりゆったり移動するキャタピガードには合ってますが。
20 ステージ4.0
(沈黙の研究所:巨大水槽)
この曲は短い演出用ブリッジという性質のもので、オートスクロールによって自機がドブケラドブスのいる水槽に進むイベントで流れてくる曲です。水の音やドブケラドブスのものと思われる呼吸音も加えられていて、芸が細かいです。ここなんかは前の螺旋通路の曲を流し続けるだけでも成立はすると思いますが、あえて曲を分けることで演出を引き立てている好例と言えます。しかも敵は初代「R-TYPE」から因縁のあるドブケラですからね、特別な演出で盛り上げたいというのは作り手の親心でしょう。
21 ステージ5.0
(跳躍26次元)
ここでようやく「1ステージ1曲」とシンプルな演出になりました。分岐もせず、展開によって楽曲が切り換わることもなく、そのためか曲そのものもヒロイックなわかり易いものとなっています。オケ音色を中心に広がりを持たせ、埋もれてはいますがセンターでシンセベースも刻んでいます。惜しいなー、コレもっと前に出したらかなりカッコ良くなりそうなのに。オケ音色はそれほどリアルなものではなく、いかにも音源に入ってたストリングスですという、シンセ然としたもの。より生っぽくしていたら、また感じが変わったでしょうね。

シューティングというよりはRPGなんかで流れそうな曲ですが、そのキャッチーさは当然と言えば当然で、実はオープニングムービーの曲と同じメロを採り入れてあるんです。ゆっくりにはなっていますが、56秒あたりから顕著に現れています(トラック1「オープニング」59秒以降と聞き比べて下さい)。作品を象徴する、聞き馴染みのあるモチーフを投入するということは、ゲームもそろそろ佳境であることを示しています。

「1ステージ1曲」と書きましたが、厳密にはステージ5.0ではゲインズが登場している間だけはトラック8に切り換わります。
22 ステージ6.0
(宇宙墓標群)
こちらもオープニングで聞けたモチーフを組み込んだ、ステージ6.0のBG。ステージ5.0にも増して宿命的な雰囲気で、戦いが終局に近付いていることを物語っています。もしやこれって最終面?なんて思っていると、見覚えのあるヘビ野郎が……。ってことは、ボスはやっぱりアイツなの?ということで、さらに手強くなったゴマンダーが待ち受けます。

4分拍で鳴らされる「ブンブンブンブン」が曲のテンポとリズムをキープし、その隙間を複数のシンセが這い回ることで埋め、いちばん上にストリングスが乗っかって歌うという構成。時おりティンパニも加えられています。
23 ステージF-A
(バイドとは…)
そしてとうとう最終面。「DELTA」の最終面はコーラスで荘厳に歌い上げていましたが、今回はヘビーなグラウンドビートに乗せてピコピコシーケンスと風のような音色、ダークなシンセベースとシンセストリングスが淡々と同じ音型を繰り返すシンプルなものになりました。

グラウンドビートのループは音色を汚し、わざとビリビリ割れた音にしてあります。途中(53秒)からは別のループに切り換わり、またその後ではところどころループをミュートすることで楽曲に展開を作っています。ループって鳴らしっ放しだとただ「鳴ってるだけの音」なんですが、こうすることで意味が出てくるんですよね。さらに1分20秒からはパーカッションが出てきたり、1分33秒では4つ打ちにしてテンポが早くなったような錯覚を生み出したりといろいろ細かくやっています。

ところで「最終面」と言いましたが本作のそれは3つに分岐し、流れる曲もそれぞれ異なります。この曲はラストでバイドが待ち受ける、分岐のないストーリー上での本ルートで流れるものです。
24 ボス(最終) コーラスキター!ということで、やはりラストはこうきたか!の対バイドラスボス戦音楽。本作では珍しく、けっこう長い曲になっています。コーラスの後はオルガンともストリングスともとれる緊張感のある音色で場を盛り上げ、2分3秒からはコーラスも戻ってきます。バイドってこんな神々しいものだったんだ……というほどの雰囲気ですね。途中でリズムが乗ってきたり曲調が変わるといった、敵の攻撃に合わせた仕掛けは特になく、あとは淡々と繰り返すのみ。個人的な好みで言うと、繰り返しから何らかのビートが乗っかってくるような変化が欲しかったです。

F-Aルートで戦うことになるラスボス・バイドだけでなく、F-Bルートのボス(正体は伏せておきます)との戦いでも流れます。
25 ステージ6.1
(異変と忘却)
最終面の後に「ステージ6.1」?と思われるでしょうが、これも隠しステージ。ステージ5.0のボス・ファインモーションをどのように倒したかによってステージ6は6.0、6.1、6.2と3パターンに分岐するのです。1周で遊び尽くそうなんてアマアマな考えは通用しないわけですね。そういった分岐ステージを経験することが自機バリエーション追加の条件になってたりしますから、コレクターには避けて通れないわけです。こりゃマジで100時間遊べそう。

ステージ6.1は開始と同時にボス・ノーマメイヤーとの戦いに突入。この曲はステージBGMであると同時にボスBGでもあるわけです。専用BGMが用意されたボスと言えます。煽るわけではないのにテンポ感はある、押しも引きもしない中間的無機質テクノといった感じで、ステージBGMとボス音楽の中間というような着地点。それ以外に特筆すべきところはこれといってなし、ですね。

ところで、撃破した瞬間に一瞬、チラッと「生物系ボス」のアタマが聞こえたのは……バグですかね?こういう細かいところの調整もちゃんとやって発売してほしいものですが。「いいよいいよ些細なことだし、OK」みたいなノリならプロ失格、気付いてないのなら論外ですね。
26 ステージF-B
(夏の夕暮れ)
ステージF-B。最終面の別ルートです。分岐条件を正確に把握してはいないのですが、ステージ6.1をクリアするとそのままF-Bになるもよう。そこで流れてくるのはタイトル画面やメニューで流れる楽曲と基本的には同一曲で、それがここで使われる意味……。出現する敵機はRシリーズのバリエーションばかり、そしてラストで待ち構えるボスは……。シューティングの現状をも描写したかのような、シリーズの終焉、シリーズとの訣別を描くこのステージはある意味で通常ルート(F-A)以上に必見です。ボスを撃破したとき、なんとも言えない気持ちになりました。なんでコイツと戦わなきゃならないんだよ!みたいな。
27 ステージ6.2
(逆流空間)
ステージ6.1と同様、ステージ5.0のボスを特定の条件を満たして倒すことで出現する隠しステージ、6.2のBGM。最初見たときは「なんてキレイなステージなんだろう」と、呑気なことを思っちまいましたよ。クリスタルというか、スケルトンというか、ワイヤーフレームが輝く幻想世界。その見た目とは裏腹に難度は高かったですが……。そのデジタルな風景に寄り添うように、楽曲はわかりやすいテクノビートで、弾むようなポップさがあります。本筋のステージBGMは抽象的なものが多かったと思うのですが、こういった分岐ルートのBGはわりと正統派な曲になってますね。
28 ステージF-C
(どこまでも)
ステージ6.2を経て最終面に到達すると、表示されるのは「EXTRA STAGE」の文字。使用できる自機は1機のみ、コンティニューも不可という制約のなか、とにかくゴールまで持ちこたえろというもの。これがとんでもなく長い道のりだわ、硬い敵がわんさと出てくるわ、弾幕は雨アラレだわと正気の沙汰ではありません。そのステージで流れるのがこの曲ですがずっと流れっぱなしになるわけではなく、プレイ中は本作の曲がメドレーのように切り換わっていきます。

この曲がまずF-C冒頭から流れ、以後「ステージ1.0(永眠の都市:不安)」→「ステージ3.0(巨大戦艦襲来:大接近)」→「ステージ6.2(逆流空間)」→「ステージ5.0(跳躍26次元)」と繋がっていくのです。ただ、特にプランがあってのことではなさげで、曲が変わるタイミングはかなりテキトー。ステージの区切りとか特定の敵の出現に合わせてということはなく、なんとなく変わります。どうせなら世紀の変わり目とかにすれば良かったのに。また、選曲にもこれといった根拠がないので、これはもしかしたらプレイするたびに変わるのかもしれません。上で記した曲順は、筆者が残しておいたプレイ録画ではそうだった、というものです。

なおF-Cにはボスはおらず、定められたゴール地点に辿り着いた時点でクリアとなり、エンディングが始まります。ストーリー的な面白さはありませんが、最高難度のステージと言えます。
29 コンティニュー 全ステージ制覇までに何度も聞かされた曲ですね。そこからやり直すのが得策なのかどうかは別として……。ゆったりとしたビートはキックが心拍音のよう。上モノは空間的シンセのみで、特に目立ったところはありません。
30 ゲームオーバー RPGなんかでは聞くことなくクリアするのも珍しくない「ゲームオーバー」の曲ですが、シューティングにおいてはどんな達人であれ、極めるまでには何度となく聞くことになります。本作では「ゴアーーーン」という単発アタックを採用。敗北、挫折感を短い音で表しています。
31 AI対戦モードセレクト AI対戦関連の曲は本編のBGとは違い、ステージ演出を気にせず「わかり易い曲」「ノリの良い曲」を狙っているように思います。なにしろプレイヤーは「見てるだけ」ですから、飽きさせず手に汗握るようなものが望ましいわけです。ある意味で作曲の方もわりと自由に行われたのではないでしょうか。

この曲はAI対戦のモードセレクト画面で流れる、短いループものです。モードセレクトやAI設定中、パスワード発行画面で流れるほか、対戦の冒頭と対戦終了後にも使われています。タントンタントンと拍を強調したビートによって小気味のよいテンポ感を生み出しています。
32 AI対戦(NOVICE CLASS) AI対戦のチャンピオンシップモードでは、最初に選べるのは「NOVICE CLASS」のみ。勝利を重ねていけば、挑戦できるクラスが増えていきます。クラスは全部で4つ、もちろん上位のものほど対戦相手が強くなり、作戦をじっくり練らないと勝つのは難しくなるでしょう。

この曲は最初からプレイ可能な「NOVICE MODE」で流れるものです。アタマからスウィープシンセが左右で鳴り響くトランシーなトラック。ビートは控え目で、ハイハットとタンバリンがその核。キックはベースにマスキングされそうなレベルでうっすらと4つ打ちです。スネアはなく、拍のところでタンバリンのベロシティを上げてその役目を担わせています。

これも悪くないんですが、「FINAL」ですし、ファンサービスの意味も込めてAI対戦のBGMは過去シリーズのアレンジで括る、ってテもあったのではないでしょうか。あざといかもしれませんが、筆者が制作側の人間だったらそうしたと思います。サントラCDにオマケのアレンジメドレーを入れるぐらいなら、ゲームの方でやりますね
33 AI対戦(NORMAL CLASS) AI対戦の「NORMAL CLASS」で流れる曲。曲の方向性は「NOVICE MODE」と大きくは変わりません。ビートがはっきりしたぐらいでしょうか。もっとキャッチーなメロがあっても良かったかも。基本的にプレイヤーが傍観者になってしまうことを、もうちょっと意識してほしかったかなあ。淡々としすぎかも。
34 AI対戦(UPPER CLASS) AI対戦の「UPPER CLASS」において流れる曲で、音色こそ異なりますがスペイシーなテクノというあたりはここまでと共通。テクノ好きなユーザーにはウケが良さそうですが、そうでない人はそろそろ飽きがくるかもしれません。作ってる人は飽きなかったんでしょうか……大きなお世話ですが。

ちなみにAI対戦のメニューから見られる「チュートリアル」、及びゲーム本編のチュートリアルでも使われていたりします。チュートリアル用の曲を発注し忘れたのでしょうか?それにしてはチュートリアルの頭で鳴るジングルは用意されてるので、「制作途中でAI対戦のモードを増やしてしまった」と推測。違うか。
35 AI対戦(HIGH CLASS) AI対戦の「HIGH CLASS」で流れる曲。ちょっと毛色の違う曲がきましたね。ややテンポ遅めに感じるというか。曲アタマを耳にした際に直感で、途中からドラムンベースが乗ってくると予想したのですが、変化ナシでした。このキックとハット、そしてシンセなら「ズンシャカ、ドガシャカ」って来ると思ったのになあ。もっとも高難度の「HIGH CLASS」だろうとむやみにアオらない一貫したポリシーはステキです。良し悪しは別ですが……。

正直に言うとAI対戦自体、プレイしていてその面白さがいまひとつわからなかったんです。見てるだけじゃん、ああっなんでそこで撃たない!もっと下!アイテム取れよ!ああっもどかしい!みたいな。自分の設定のせいももちろんあるんですが、見てるだけでも楽しめるノリが欲しかったですよね、楽曲には。曲がイケてればBGVとしてそれなりに見られるかもしれないですし。
36 R-TYPE メドレーアレンジ で、こちらがボーナストラック、「R-TYPEシリーズ」曲のアレンジメドレーです。サントラCDのためのものであり、ゲームの方で流れることはありません。いわゆるファンサービスというやつですが、個人的にはそれをゲームでやってほしかったです。AI対戦のBGMとか、特定ボス(ドブケラドブスやゴマンダー)のBGMを初代のボス曲にするとか、いろいろ考えられますよね。「感謝」を表すのであればそのぐらいやってしまっても、ユーザーは誰も文句は言わないでしょう(「グラディウス」なんかはそれをあざとくやって、おおむね好評ですし)。

逆に言えば、ゲームをやってサントラまで買ってくれたファンに対する格別の感謝……とも言えますが、ゲームをやらずにサントラだけ聴いてる人もいるわけで……。ついでに書くとこのサントラ、ゲームをやらないで聴いても特に面白くはないだろうなあ。もっともそういう人が「つまんないCD」と言ったところで聞く耳を持つ必要はありませんけど。

トラック制作は相原隆行氏。さすがにこういった曲の展開のさせ方やパートの抜き差しはバツグンにウマいです。原曲をうまく活かしつつアレンジもしつつ、知ってる人ならすぐわかるリミックスです。
サントラ未収録曲
・「チュートリアル」の小タイトルで鳴るピアノのブリッジ
・エンディングテーマソング「PROUD OF YOU(椎名へきる)」

それ以外は、ゲーム中で聴ける楽曲はすべてサントラに収録されています。

関連CD:椎名へきる「PROUD OF YOU」
ジャケット画像

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 サントラには未収録となった、「R-TYPE FINAL」のテーマソング「PROUD OF YOU」のシングル。歌うは人気声優(いや、歌手と言わないといけないか?)椎名へきる。「R-TYPE」との関わりは不明だし、ユーザーの間からも「なぜ?」の声が多かったですね。シューティングにそもそも主題歌がいるのか、とか……。作曲は木根尚登氏(TMネットワーク)。ちなみにへきるさん、ゲームでは機体ナンバー3「LADYLOVE」のカラーリングを担当。CD同梱の紙に出現方法が書いてあったりもします(攻略本でバラされちゃってるけど……)。CDパッケージの背表紙はおもいっきり「R-TYPE FINAL」のサントラCDと同じCGを使っています。

 「R-TYPE FINAL」で使われているのは「R-TYPE FINAL Ending Version」と名付けられた専用のバージョンで、シングルのメインバージョンはバンドサウンドによるポップなもの。バックトラックをすげ換えただけのものではなく、ボーカルも歌い直しています。


SONY MUSIC RECORDS  SRCL 5574
2003年  JASRAC表記:あり  コピーコントロールCD

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