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グラディウスV サウンドトラックス
ジャケット画像
ゲームが好きな人であれば、シューティングは苦手でもその名は知っているであろう名作「グラディウス」。アーケードで着実にシリーズを重ね、進化してきた「グラディウス」の最新作が、2004年コンシューマに登場した。プレイステーション2用ソフトとして発売された「グラディウスV」は、シリーズ最新作にしてオリジナルのアーケード版が存在しない、シューターとしては複雑な心境にさせられるタイトル。その音楽を担当したのは、これまたゲームファンからカリスマ的な支持を集めている職人・崎元仁氏。

Konami Media Entertainment
KOLA081
2004年
JASRAC表記:なし


GRADIUS V サウンドトラックスを購入
ゲーム紹介

 一応シューターのはしくれを自認する筆者にとって、2000年代前半はアーケードゲームの終焉、シューティングというジャンルの衰退を感じずにはいられない時代となってしまった。アーケードについては自分があまりゲーセンに立ち寄らなくなったという事情もあるだろうが、少年時代と比べてもゲーセンの数は減少し、規模も縮小している。駅前に必ずゲーセンがあった時代は、はるか過去のことである。もちろん今でもシューティングゲームは存在しているが、その位置はいつでも隅っこに追いやられ、過去のような輝かしいヒット作も出てこない。

 シューティングゲームとは、試練である。自己との戦いである。誰も助けてはくれない。攻略本やサイトは無数にあるが、自機を操作するのは自分以外にあり得ない。どんなに優れた攻略の手ほどきを受けたとしても、それを再現できなければクリアには至らない。何度も撃墜され、パターンを学習し、やっとクリアを成し遂げた瞬間にこそシューティングの快感はあるものであり、それを味わいたいがためにシューターはストイックな挑戦を続けてきたのだろう。しかし、ハードウェアメーカーがライトユーザーの獲得を優先して市場を展開してきた結果、ゲーマーと呼ばれるべき人々の相対的割合は悲しいほどに低下した。レベルを上げれば誰でもクリアできるRPGがもてはやされる昨今、苦行を強いるかのようなシューティングゲームがウケる土壌はもはやなくなったのだ。それはコインを積んで浪費していくゲームセンターも同じである。いくらつぎ込めばクリアできるかわからないからだ。シューティングゲームにおいてはRPGと違い、キャラクターではなくプレイヤー自身のレベル(スキル)を向上させなければ意味がないのである。

 「グラディウス」や「R-TYPE」といった、シューティングの一時代を築き上げた名作の最新作ですら、家庭用にしかリリースされない状況。そんな中で発売されたのが、コンシューマオリジナルの本作「グラディウスV」である。「グラディウス」は言うまでもなくコナミのタイトルだが、本作は家庭用であるとは言え外注されており、トレジャーが開発を担当している(ゆえにトレジャーらしさもそこかしこに見出せる)。そんな状況からも、シューティングに本腰を入れない老舗メーカー……といった背景が見えてくる思いだが、むしろシリーズの進化として新たな血を入れること自体は歓迎すべきことなのかもしれない。内製で製作していれば「どこを取ってもグラディウス」というものは出来上がるだろうが、そこに目新しさはない。おそらくシリーズは停滞するだろう。筆者個人的には既に「IV」でシリーズの行き詰まりを感じていたのだ。

 アーケードの終焉はシューティングの衰退と密であると書いたが、家庭用として地道に売っていくのももちろんアリだ。RPGなどは家庭用中心の市場だが、ヒット作を多く残しているのだから。もちろん限られたパイをRPGやその他を相手に競う以上、現状ではシューティングが圧倒的に不利だが、良作を重ねていくことでジャンルとしての盛り返しもあり得ないことではないだろう。そういう意味では本作「グラディウスV」は明らかにその一翼を担うものであると言える。さらに、コンシューマはユーザーにとっても経済的に親切だ。仮に1タイトルを実売5〜6千円で購入したとして、あとは家庭でいくらでもプレイできる。もしも「グラディウスV」をアーケードでプレイしたら、一部の凄腕シューターを除き、とても同額をつぎ込む程度ではクリアできないだろう。腕に自信はないけどシューティングは好き……筆者を含めたそういうユーザーにとって、コンシューマはアーケード(ゲーセン)の持つ高い敷居を取り除いてくれる。

 さて、ジャンルが抱える背景はこの程度にして、そろそろゲームそのものに目を向けよう。家庭用オリジナルとしてリリースされた本作は、じっくり遊ぶことを前提とした難易度と言える。はっきり言って難易度は高い。それもシリーズ伝統の完全な「覚えゲー」だ。いかにして自分で攻略ルートを見つけるか、敵の出現パターンや攻撃方法も含めて何度も死にながら頭に叩き込む必要がある。何回かプレイすることでサクッとクリアできる生温さとは無縁だ。そして、シリーズごとに新たな要素を採り入れてきた自機の装備は、本作においては代表的なものだけをチョイスしたシンプルなものに回帰しているが、そこに「オプション操作」という新要素を採用することで、まったく新しい手触りを生み出している。自分の意志でオプションの配置や攻撃方向をコントロールできるということはそのまま操作の複雑化にも繋がるが、そこは家庭用ならではの「時間をかけて慣れる」ということで解決するしかないだろう。

 横スクロールシューティングで多く採用されている地形の要素も本作では過去シリーズ以上に過激で、知らずに訪れてしまうと初見ではまず潰されてしまうような場所が盛り沢山。こんなのどうやったら抜けられるんだよ!とコントローラーを放り出したい衝動に駆られるものの、しばらくチャレンジを繰り返せば必ず見つかる解法、このゲームバランスも絶妙。シューティングが「マゾゲー」と言われるのも理解できるはずだ。回転するステージ、そして障害物を用いて敵の攻撃を回避したりと、コナミだけでは出てこなかったであろう、ある種「トレジャーらしさ」も本作では炸裂している。そのことから旧作ファンからは「グラディウスらしさがなくなった」と批難されることも多いが、そういった輩はぜひ初代グラディウスだけを何周でも気の済むまで遊んで下さい、という姿勢を貫いたところは評価したい。ましてシリーズ伝統のモアイや火山ステージすら排除しているのだから、もう意図的にそうしたのだとしか思えない。

 そんな「グラディウスらしさ」を求める停滞派から批難されることが多いのは、本作の音楽も同じである。まず一聴して、「グラディウスっぽくない」。グラディウスの音楽と言えばこれまで、パッと聞いて耳に残る独特の音色と、メロディを中心とした印象に残り易い楽曲が主流だった。それはシリーズの個性だったかもしれないが、別の見方をすればアーケードで展開してきたシリーズゆえの個性だとも言える。様々なゲームが好き勝手に音を吐き出すゲーセンでいかに目立つか、アーケードゲームの音楽はそこに力を注いで作られていることが多い。しかし、家庭用ではそんな配慮は無用だ。パッと聞いた時の印象よりも、ステージ構成やシナリオに寄り添った、演出としてのしっかりとした「背景音楽」を作り込むことができる。結果的に後世にいつまでも残るものではなくなるかもしれないが、一本のパッケージとして全体の完成度を見たとき、どちらが正解かなんてことは安易に比較すべきではないのだ。土壌が異なれば当然手法も変わってくる。本作の楽曲はコンシューマタイトルとしてまっとうなものなのだ。アーケードでリリースされていれば、また違ったものになっただろう。

 本作の楽曲を手掛けるのは崎元仁氏。昨今では「タクティクス」と名の付くシミュレーションRPGや数多くのRPGに参加しており、氏の音楽の印象をまずシンフォニックなものと捉えているファンも少なくないだろう。きっとオケものが得意な人なのだろうと。しかし、本作の楽曲を聴けばその認識が間違いであることを自覚するはずだ。シンフォニックな響きはいくつかの楽曲で聴けるものの、大部分は攻撃的なループのビートとシンセサウンドが前面に出されたテクノが占めている。氏のコンポーザーとしてのキャリアは大御所と言ってもよいほどで、手掛けた作品も無数に存在する(ベイシスケイプのHPを参照されたい)。近年手掛けるビッグタイトルにRPGが多いゆえ、オケの人だと錯覚してしまいがちだが、崎元氏がこのようなサウンドを提示するのは意外でも何でもないのだ。また、楽曲の製作にあたっては開発側から「トランス調のものを」というオーダーがあったようだ。が、実際に楽曲を聴いてみれば、巷で聞かれるトランスの匂いはまったく感じない。これはおそらく崎元氏が解釈するところの「トランス」であり、ジャンルとしてではなく本来の意味での「トランス(音楽では"繰り返しによる高揚感"を意味する)」を採り入れたのだと考えられる。そうするとシンセサウンドやループが多用されているのも納得だ。

 もちろん本作の楽曲が崎元氏に発注された点については、開発がトレジャーであったことと無縁ではないだろう(トレジャー+崎元と言えば「レイディアントシルバーガン」もある)。結果として保守派いわく「グラディウスらしくない」曲のオンパレードとなったわけだが、それは「グラディウス」というシリーズで括るからであり、もっと単体の「グラディウスV」という作品に目を向けてほしいと願うのだ。製作が外注、その要因となったのであろうシューティングゲームというジャンルが抱える課題と時代背景、そんなことも考慮したうえで語ってほしいものである。「音楽が外注」なのではなく、「制作が外注だから音楽も外注」なのだ。単に「らしくない」「グラディウスをわかってない」と片付けてしまう批評は、シリーズへの愛情こそ伝わってくるものの、非常に盲目的だと言わざるを得ない。「内製だったらこうはならなかっただろう」という仮定のみを材料に本作の楽曲を批難することは、「あんた本当にシューティングが好きなのか?」と言われても否定できまい。もしも内製で作られたものが劇的な変化を遂げていたのなら、それはシリーズとして論ずる意味があるのだけれど。

01 OPENING さて、いよいよトレジャー製作の新生「グラディウス」が始まります。PS2の電源を立ち上げ、ソフト起動。そしてまず流れ始める、これまでのどのシリーズのものよりもクオリティの高い美麗なオープニングCG。そこに充てられているのがこの楽曲。自機(ビックバイパー)の出撃シーンを勇壮に盛り上げるシンフォニックな響きは、やはり崎元氏ならでは。映画のような展開にしばし惚れ惚れしていると、とたんに走り始めるチャキチャキとしたデジタルビート(40秒〜)。ここから鳴り始めるシーケンスのピコピコ音色が、なんとも「グラディウス」してるではないですか。しっかりシリーズの香りも盛り込んでいるあたり、職人だな〜と関心してしまいます。

その後も疾走する打ち込みビートとシンセ群をベースに、管弦・ティンパニといったオーケストラ音色を従えて進行していきます。デジタルは迫り来る無数の敵機、オケはそれらをものともせず進撃していくビックバイパーを象徴しているかのよう。メディアベンチャーズが担当するような、打ち込みとオケが混ざり合ったハリウッド映画のサントラが好きな人にうってつけ。逆に歴代シリーズを崇拝してやまないシューターにとっては初っ端から「ぽくねえなあ」という感じでしょうか?

楽曲の進行を引っ張るリズム隊は本作全体の特徴で、このオープニングに至っては3パート以上重ねられています。センターで鳴るメインのリズムと、左右それぞれに割り振られてチャキチャキと刻んでいる、ハイハットのような役割を与えられたループとが複雑なビートを構築しているのがわかるでしょうか。単調になりがちなループサウンドにいかにして変化を与えるか、プロの技を感じます。そこにさらにタムのフィルやティンパニも重ねられているわけです。

CDではしっかりと完結しているこの曲ですが、ゲーム上ではフェードアウトされています。ムービーでビックバイパーが波動砲のようなものを撃ち(そんな兵装あったか?)、視力検査コアが大爆発するあたり。曲はしっかりタイトルが出るあたりまで考えて作られていますので(ムービーとCDをせーので再生するとよくわかるでしょう)、開発側があえて静寂によるタメを採ったということですね。

なお、この楽曲はストーリー上でも重要な役割を背負わされ、ステージBGMとして2面と8面に使われてもいるんです(少しアレンジを変えてますが、トラック18がそれ)。言わば「ビックバイパーのテーマ」。その意味するところは実際にゲームをプレイすることで体験して下さい。特に14秒からのフレーズはライトモチーフ的にいくつかの楽曲に組み込まれています。
02 SELECT
-WEAPON ARRAY-
ゲームのタイトル画面は無音ですので、ユーザーがOPに続いて聴くことになるのはこちらの楽曲になります。ゲーム開始直後のビックバイパー兵装選択画面です。緊迫感のある空間系のパッドと急き立てるようなスイープシンセ、そして軽めのリズムから成ります。歴代シリーズではこういう場面にもわりとメロのあるくっきりとした曲が充てられていたので、こういうところもシリーズのファンからしてみれば「らしくない」ところなのかもしれません。

ゲームではウェポンエディットが可能になってからも兵装画面ではこの曲が通して流れますが、1分間の時間制限があるためそれ以上は絶対に耳にすることはありません。また、プレイヤーによっては確立した組み合わせがあるため兵装セレクトは一瞬にして終了します。そこにあまり展開のあるメロディを組み込んでも意味がないわけです。筆者は兵装画面の曲はシンプルイズベスト、必要最低限の要素であるべきと考えているので、歴代シリーズのものよりも本作の曲の方がしっくりきますな。
03 UNIVERSE
-STAGE1-
さて、いよいよ出撃!今回はどんな敵が待ち受けていることでしょう。曲名にもある通り、ステージ1で流れるのがこちらの曲。過去シリーズではステージ開始直後はイントロの宇宙空間に放り出され、しばらくすると各々のステージに突入していたのですが、本作は一面からいきなり要塞内。よってイントロ音楽も流れず、いきなり本題に入っています。その本題……ステージ1の楽曲は作品全体のカラーを提示するかのような打ち込みのループビート、そしてパッドとシーケンス、スイープシンセから成る「主メロのない構成曲」。まるで「今回はコレでいくから」という意思表示のような曲です。歴代シリーズの曲ならいくらでも口ずさめる人でも、コレは難しいでしょうね。

一度はブラスまで引っ張り出して盛り上げるのですが、一度クールダウンする1分5秒あたりからステージも変化。要塞から宇宙空間へと移行し、美しい地球(?)を背景に、収縮する赤いゼロスフォースが無数に出現。その色合いは「グラディウスII」の一面を思い起こさせます。

さて、一面からコレですから、従来のシリーズファンから総スカンをくらうのも理解できなくもありません。なんとも「グラディウス」していないのですから。しかし、筆者自身はこの変化を受け入れたいです。トレジャーがトレジャーらしい「新しいグラディウス」「コナミ内製ではない独自のグラディウス」を目指した(としか思えない)以上、楽曲も新たなグラディウスサウンドを模索して当然です。システムや演出がこれだけ様変わりしているのに、音楽だけ旧態依然としていたらそれこそ違和感を感じるでしょう。しかも効果音もハデ、無線通信のような人声もあったりしますから、音楽ばかりが主張することよりも全体の調和を重視したのでしょう。これは職人的仕事だと言えますが、家庭用だからこそできたことでもあります。アーケードではボツにすらなりかねない曲であることは認めましょう。口ずさめない、パッと聞いてそれとわからない曲はゲーセンではNGですから。

ちなみに途中でいきなりビッグコアも登場しますが、もはや本作においてはザコ扱いで、曲は変化しません。
04 STAGE BOSS ステージボスのテーマ。一面の「ビッグコアRev1.2」で初めて耳にすることになる曲です。「ビッグコアRev1.2」というよりも、ユーザーにとっては「視力検査コア」と言った方が通りが良いかな?最初に出会った時は「コレが本当に一面のボスか?」と面くらうと思いますが、わりと早く盲点も見つけられると思います。とりあえず一通りシューティングに手を染めた人であれば初回プレイでも一面は突破できるでしょう。でもまだまだ序の口ですよ。こんなものかと思われては困ります。

重々しいシンセベースに導かれて始まり、うっすらとブラスとピアノも挿入されていますが、SEも激しいゲーム中ではほとんど聞こえないでしょう。主体はあくまでリズムとシンベになります。特にステレオ音場いっぱいに広がったベースの厚みは心地良いですね。圧巻は生っぽいストリングスの刻みからブラスの盛り上げへと繋げる35秒以降ではないでしょうか。ちょうどボスの攻撃も「なんじゃこりゃ〜」なものになってくる頃です。緩急をつけた楽曲の展開が、ゲームの展開にピタッと寄り添うよう計算されています。ずっとやかましい音が鳴り続けるよりも、こういった「山あり谷あり」な展開の方が演出にハマり易いものです。どうにも従来のシューティングの音楽って、「曲は曲で勝手にやるからヨロシク」というものが多いような気がするんですよね。ストーリーもののゲーム音楽を多数手掛ける崎元氏にとって、そこらへんはお手のものという感じでしょうか。

共通言語になり得るキャッチーさはないけど、自然と体は動いてしまう。誰もが口ずさめるわかり易さはないけど、演出の邪魔をせず、しかし最大限に引き立てる。それが本作「グラディウスV」の音楽なのです。ちょっと褒めすぎ?でもテクノや映画音楽が好きな人は、本作の音楽の方が向くと思うんですよね。いつもの「グラディウス」シリーズの曲は、ロックやポップスが好きな人にウケる性質を持ってるんです。

ステージボスのテーマですから、以後ステージ最後で待ち受けるボスのところで使われていきます。ステージ2のビッグコアMk-IV、ステージ3のグランドスパイダー、ステージ4のヒュージハート、ステージ5のブラスターキャノンコア、ステージ6のカバードコアMk-II、ステージ7のキーパーズコアで全て。ステージ8では使われていません。
05 INTERMEZZO ステージ2で初めて耳にする、イントロの宇宙空間音楽。初代グラディウスで言うところの「空中戦」にあたるものです。開発側からの「トランス調で」というオーダーを最も色濃く残した楽曲だと言えます。導入からの特徴的なシンセのフレーズ、浮遊感のあるパッドなどは従来シリーズをおおいに意識していますが、逆に最も「グラディウスVらしくない」曲になっているのはご愛嬌?「V」っぽくするとシリーズらしさがなくなり、シリーズを意識すると「V」っぽくなくなる……難しいところですな。本作で最もキャッチーな曲だと言うこともできるでしょう。個人的に24秒以後とか42秒付近なんかはとても「グラディウスしてる」と思うのですが。

シンセとハイテンションビートだけが耳に残り易い曲ですが、周囲をしっかりとオケ音色が埋めていることも見逃せません。このふくよかなブラスの音色がこの曲をただやかましいだけではないものにし、宇宙空間の深遠さを感じさせています。ステージ2以外では、宇宙空間から始まるステージ(4面・6面)で聴くことができます。ステージ7も宇宙から始まりますが例外としてナシです。
06 TETO RAN ゲームをプレイしていて、もしくはCDを聴いていてこの曲が流れてきた時、シリーズのファンは「あっ」と思ったことでしょう。「沙羅曼蛇」のボス音楽「Poison of Snake」です。その後同作品を代表する曲として「沙羅曼蛇2」ではステージ1のボスBGM「THEME OF GOREM」や、「グラディウスII」ではまさしく沙羅曼蛇系ボスのテーマ、そして「グラディウスIII」でも使われています。そのシリーズ伝統とも言える曲が、本作でも崎元アレンジで復活!アレンジはもちろん新規のものですが、新たなフレーズは追加されておらず、原曲重視なものになっています。「らしくない」を連発してきたアンチもちょっと心が揺れたのではないでしょうか。

本作ではステージ2後半のボスラッシュで使われています。ここではデス、そして曲名にもなっているテトランといった、「沙羅曼蛇」発の懐かしい面々が立ちはだかります。おなじみのBGMとよく見知った敵の襲来に、「やっぱりコレはグラディウスなんだな〜」と思わず顔が綻んでしまいますね。
07 BIGCORE Mk-II ステージ2のボスラッシュで、デスとテトランに続いて登場するビッグコアMk-II。まさにそこで流れる楽曲がコチラ。これももちろんシリーズおなじみの曲で、原典は「グラディウスII」の「Take Care!」です。「グラディウスIII」や「グラディウスIV」でも進化して使われていますが、本作でも崎元アレンジとして最新版が聴けるって寸法です。オールドファンには嬉しい特典。まあビッグコアMK-IIを引っ張り出すからにはこの曲は欠かせないんですけどね。

過去シリーズはアーケードだったため、いずれもギラギラした音色と「これでもか」と言うほどのオケヒットが特色でしたが、本作ではオケヒットは味付け程度に、ストリングスとピアノを中心として上品にまとめられています。その中を左右に漂うブ厚いシンセは本作ならではの追加要素と言えるでしょうか。リズムはループを用いたデジタルビートではなく、マーチングスネア風味のオケっぽいもの。思いっきりアグレッシブなデジタルビートを乗せそうなところをあえてこうしたのには意表をつかれました。
08 FORTRESS
-STAGE3-
チャキチャキとしたサンプリングビートとスイープシンセを従えて、オーケストラ楽器が鳴り響くステージ3のBGM。イントロのティンパニや曲後半の鐘など、オケ的打楽器とデジタルビートの絡みが面白く、そういう意味ではストリングスの駆け上がりとピコピコシーケンスが同じフレーズをユニゾンで奏でる(1分31秒)など、シンセとオケ音色の真っ向勝負といったトラック。前面に出されているのは崎元氏ならではのシンフォニックなオケなのですが、一方でループを垂れ流すだけではない、凝ったリズムメイキングもじゅうぶん注目に値します。これはオケもテクノも両方体得していないと作れないタイプの曲です。どちらか一方を「なんとなく乗せてみた」ぐらいではここまでの完成度は得られないでしょう。

縦横にスクロールが変化し、いよいよ敵の攻撃が激しさを増すステージ3には緊迫感を煽るオーケストラサウンドがうってつけです。このステージはおそらく、プレイヤーにとって最初のヤマ場となるでしょう。弾幕の雨アラレ、狭い通路で次々と迫り来るビッグコア、そしてボスであるグランドスパイダー。初代最終面以上の歓迎ぶりに手に汗。
09 CELL
-STAGE4-
細胞ステージというか、ほとんど内臓ステージといった趣なステージ4のBGM。出だしのピアノの音色が、NHKのサイエンスドキュメンタリーのよう(笑)。ブン、ブンというベースが心拍を思わせるようで、こちらの鼓動まで引き上げてくれますね。かと思うと1分28秒からはキックの音色が心拍を引き継ぎ、さらに心理的効果を狙ってきます。この曲のテーマは「鼓動」ですね!なんてことを思っていたら、ボスはその名もヒュージ・ハート!巨大な心臓ですか?

呻きを思わせるボイス音色もそこかしこを這いずり回っており、体内に進入した異物(ビックバイパー)を排除せんとする生命の意志を感じさせます。1分37秒から入ってくる、暖かなフルートとピアノのフレーズは美しいのですが、ますます「脅威の小宇宙・人体」という感じでNHKっぽく。ミョンミョンとしたシンセの音色が、あちこちから湧き出してくるセルの動きを思わせます。

このステージあたりからは完全なパターン学習のうえに、オプション操作をしっかりと身につけていないと太刀打ちできなくなってきます。ステージ3を「最初のヤマ場」と書きましたが、はっきり言ってそれ以後はもうずっとヤマ場の連続です。細胞壁に挟まれてアウト、なんて珍しくもありません。もちろんこれ以後のステージもね。
10 METEOR
-STAGE5-
さあ、ここからゲームは後半に突入!あと4ステージでクリアですよ!とは言ってももうここからはオニのよう。ここまで比較的順調に辿り着いても、以後は倍以上は死にまくると思います。少なくとも筆者はこのステージで挫折しかけました。クリアできないように作ってあるのではないかと。そんな筆者から僭越ながらアドバイスさせていただけるなら、「岩は必要最低限だけ破壊」「敵弾は岩に隠れて避ける」この2点。言うほどラクじゃないですが。

そんな厳しいステージ内容に呼応するかのように、楽曲もよりアグレッシブでハードなものになります。ナマ優しいメロディなんてものはナシ!たたみかけるようなテンポで激しいビートと金属的なパーカッションを打ちつけ、うねりのたうち回るだけのシンセが徹底的にユーザーを突き放しにかかります。本作の中でもかなりテクノ的、と言ってもいいでしょう。逆に歴代のグラディウスファンにしてみたら、いちばん許せないタイプの曲ではないでしょうか。
11 SOMETHING GREEN
-STAGE6-
ステージ5とはうって変わって、シンフォニックな響きのする重厚なトラックはステージ6のBGM。ビートとベース、シーケンスはデジタルで上モノがオケというのはここまでにも聴くことのできた組み合わせですが、ここで初めてディストーションギターのような音色と男性コーラスといった要素が登場し、もはや「なんでもあり」。その混沌とした様子が、ゲームが終盤にさしかかっている事実を感じさせています。

ステージ6はユーザーの間では「バスクリンステージ」と呼ばれています。画面のほとんどを占める緑色の物体を指しているわけですね。曲名もこれを表しています。で、筆者は最初これに当たり判定なんぞないハズと思い込んでおりました。ただの演出、背景なんだと。だってこんな画面の大部分を占めるモノ、回避できるわけないと思うじゃないですか?そして突っ込んで自爆。えっ、当たっちゃダメなの?と当たり前の事実に愕然とし、どうすれば進めるのかパターンの学習に励むことになったのです。まあはっきり言うと、ゆっくり音楽を味わう余裕は筆者にはなかったですね。サントラって、本当にありがたいものですね(笑)。
12 BIGCORE ステージ6を困難なものにしているのは何もバスクリンだけではありません。終盤のボスラッシュ、それもコアラッシュは殺人的です。やっとの思いでひとつ倒しても、平然と出現する新手。まだ終わらねえのかよー、とヤケになってプレイするしかありません。

というわけで6面のボスラッシュ前半で流れるのが、伝統というかもはや「伝説」の域に達している初代グラディウスのボスBGM、その崎元アレンジです。グラディウスシリーズすべてに毎回アレンジを変えて登場している曲なので、もはや聴いたことがないという人を探す方が難しいでしょう。51秒からの展開は崎元アレンジオンリーの新解釈ですね。コーラスまで入って物凄い荘厳なことになってます。ローリングコア〜サークルコアとかなり長い間にわたり流れることになるため、いつものフレーズだけだとさすがにクドいという判断からでしょうか。たとえそうでも歴代シリーズのファンは文句も言わずに有難がるでしょうが……。

言ってみれば焦燥感はあっても緊迫感のなかった従来のボスBGMに、初めてそれを与えたという感じでしょうか。ゲーム本編同様、「伝統」を大胆にアレンジしていく姿勢に拍手です。それが改悪ならば批難されるのでしょうが、少なくとも筆者はそうは思いません。
13 BIGCORE Mk-III 「グラディウスIII」で初登場した曲で、ボス戦音楽です(原曲は「Dark Force」)。キーはちょっと違いますが、よくオリジナルを再現してあります。細かい音符のたたみかけ、威圧的なオケヒットはオリジナルのイメージを損なっていません。と思ったら、26秒からの展開はやっぱり新要素。崎元氏によって加えられた楽曲の新たな表情は、以後のシリーズに受け継がれていくのかも気になるところ。個人的にはこの「崎元部分」が倍は長くても良かったのでないかと思います。原曲部分がガチャガチャとやかましい(だけの)ものなので、緩急をつける意味でも改善では。

単純な比較はいけませんけどね。アーケードは曲の長さや音色に制限があるでしょうし、もちろん時代の流れもあります。1989年の「グラディウスIII」と本作を真正面から比較することほど馬鹿げたこともないでしょう。筆者が言いたいのは「2004年バージョン」としてまっとうであるということであり、むしろもっといじれたところを必要最低限に留めてあるな、と思うほどです。あまり変えすぎてしまうと、過去の曲を使う意味がなくなりますからね。

ステージ7で出現する中ボス・ビーコンにも使われていたりします。アーケード版「III」には登場しない敵なので「なんでこの曲?」と思われるかもしれませんが、実はスーパーファミコン版の「III」に登場している敵なんです。
14 HIGH SPEED
-STAGE 7-
残りあとわずか、2ステージで全クリです。オメデトウ!なんて言うのはまだまだぜんぜんまったく早すぎる。敵の猛攻はさらに激しくなるのです。むしろ7面を突破できれば、クリアは見えるかな。ということでステージ7のBGMがこれ。イントロの宇宙空間で「INTERMEZZO」を使っていないのはナゼかな〜?なんてことも思うのですが、おそらく高速ステージにだけ「HIGH SPEED」を流したのではあまりに短すぎるということなんでしょう。

というわけで、ビーコンが登場するまでの「ステージ7前半」に流れるのがこの曲です。テクノっぽい楽曲が多くを占める本作において、意外や意外、初の正統派4つ打ちテクノになっています。導入に続けて5小節目から入ってくる4つ打ちキックはテクノのお約束で、しっかりとキープされたテンポ感は高速スクロールのステージにはピッタリ。58秒からのディストーションギターがフィーチャーされた、4つ打ちテクノとは正反対のロックな部分も、楽曲にまったく異なる表情を与えています。1分36秒からはそのギターを従えたまま、楽曲はまたテクノの形態を取り戻していきます。そしていつの間にかまた4つ打ちテクノへ……この乗り換わりも実にスムーズで違和感はありません。
15 IMPREGNABLE FORTRESS
-STAGE7-
ビーコンを撃破できてもまだまだステージ7は半分。ここからが後半です。その後半部分はこの曲が充てられています。前半の雰囲気を引き継ぐような4つ打ちテクノですが、よりシリアスな雰囲気になっています。リズムの音色が古き良きローランドのリズムマシンと言った感じでシブいですね。パッド・シーケンス・ピアノ・ベースとどれを取っても一切の遊びがなく、非常に真剣に作られた正統派テクノ・インストルメント。2分5秒以降のブラスは「グラディウスV」ならではのカラーであり、テクノっぽくはないですが邪魔はしていません。

それもそのはず、ステージ7後半はプレイヤーにとってなんともストイックなチャレンジを求められるのです。突如現れるザブの大群、変化する地形、障害物で封鎖するしかない炎、ビッシリと並んだ砲台、破壊できない機雷群など、ひとつ突破してもまた頭を抱えてしまう難問揃い。ひとつひとつ解法を紐解いていくほかありません。というわけで、キーパーズコアが出現するまでこの曲がプレイヤーの挑戦意欲に寄り添ってくれます。このステージ7のテクノ2連投はとても好きな構成です。ステージBGMとしても本作いちばんのお気に入りどころ。
16 ELEPHANT GEAR 非常に難しい謎解きを越え、激しいボスたちの猛攻に耐え、やっとステージ7を突破……できません。最後に待ち構えるのはエレファントギア、曲名そのものです。前の2曲とガラリと変わり、RPGのボス戦などで耳にしそうなオーケストラ中心の煽り曲。こういう曲も崎元氏ならお手のものですな。個人的にはステージ7はここまで辿り着くのが大変で、エレファントギアは比較的容易かと。足の動きがややトリッキーなのですが、何回か挑むうちに見切れると思います。チョコマカと動き回るザコたちに注意を払い、コアをすべて破壊できればステージ7はやっと終了。残すは最終ステージのみ。クリアはもう見えたも同然です。
17 DEMO ステージ7クリア後に挿入される、ビックバイパーのパイロット(つまり自分)とコンピューターの会話シーンで流れる状況説明音楽。こういうイベントシーンも家庭用ならではと言えます。そして、既にステージ2で張られていたストーリー上の伏線が明かされる場面でもあります。オケとシンセが絡み合う、宿命的なものを感じさせる重厚な楽曲です。サントラにはかなり長く(3分43秒)収録されていますが、ゲーム中では短い間しか流れません。SEもかなり作り込んであるシーンなので、この曲「なくても良かったんじゃないの?」とも思いますね。
18 BATTLESHIP
-STAGE2&8-
サントラの構成上ここに配置されていますが、ステージ2で初出となる曲です。冒頭の壮大なオーケストレーションは……あれ?オープニングムービーと同じ曲?そうです、同じです。イントロの長さこそ異なっていますが、展開や音色構成に至るまでほぼ同じですね。「OPENING」との違いと言えば、完結しているかループするかというところぐらい。でも実際はオープニングもムービーではフェードアウトされているワケで、わざわざ別バージョンを作る必要はなかったですねえ……。崎元さんご苦労様です、としか言えません。なので詳しい曲解説は「OPENING」を参照して下さいね。

ゲーム本編をプレイすればわかりますが、言ってみれば「ビックバイパーのテーマ」的な意味を持たされている楽曲です。なぜステージ8で再登場するかは……まあゲームをプレイして下さいよ。ストーリーの伏線が早くもステージ2で張られているということです。初めてプレイした時には驚かされました。そしてサントラでこの曲がこの位置に収録されている理由も。

さて、ステージ8は言わばステージ2の発展系ですので、ステージ7よりかはいくぶんラクだと思います。序盤で大量に出現するオプションハンターと、モンキーアイがウザいぐらいですかね……。あとちょっとでクリアですから頑張りましょう。
19 LAST ENEMY 「ラストエネミー」とかたいそうな曲名が付いていますが、それほどのことはありません。ステージ8の最後にいるってだけで、特別なことしてくるわけでもなし。ストーリー上の都合におけるラストエネミーです。これも初代から一貫している伝統ですね。急き立てるようでありながら、オーケストラ音色はどこかプレイヤーを讃えるかのよう。もう勝負は見えているからでしょうね。負け惜しみだか捨て台詞だか言ってるけど、とっとと滅びなさい、ってことでエンディングへどうぞ。
20 STAFF ROLL 激闘を制した者だけが辿り着けるスタッフロール画面で流れる、シンフォニック全開の曲がこちら。ひとつのモチーフをリピートし積み重ねていくタイプの楽曲で、オーケストラで壮大に盛り上げるあたりはまるで「なんとかタクティクス」とか「タクティクスほにゃらら」に流れていそう。これぞ崎元サウンド、と思う人も少なくないのではないでしょうか?しかし今後は、「グラV」のような音楽も氏の持ち味なんだ、と認識に付け加えて下さいね。

コーダは静かにひっそりと完結してますが、最初からゲーム中でフェードアウトされることを想定しての処理でしょうか。余韻を残すために楽曲を完結させない手法はわりとよく使われます。ついつい「ジャジャーン!」とハデに終わらせたくなるところですけど、ぐっとガマンしたという感じです。
21 NAME ENTRY ネームエントリー画面で流れるうっすらとした淡々BGM。と思ったら、「OPENING」や「BATTLESHIP -STAGE2&8-」と共通する、オケ音色でのメインテーマモチーフが入っています(31秒〜)。これがなければ、「なんだよ、もっと褒めてくれてもいいじゃん!」というほどに重苦しいだけの曲になってましたね。
22 GAME OVER メインテーマモチーフを使った、壮大なMEになっています。重厚なオーケストラサウンドは、シューティングというよりもRPGで流れそうな雰囲気です。

ちなみに高次周における音楽の充てられ方ですが、はっきり言って2周目以降は筆者のようなヘタレにはとても太刀打ちできません。しかしステージ1だけプレイした感じでは、1周目に準ずるものと思われます。
参考:ゲーム中での楽曲配置
オープニングムービー:OPENING

兵装選択:SELECT -WEAPON ARRAY-

1面:UNIVERSE -STAGE1- → STAGE BOSS(ビッグコアRev1.2)

2面:INTERMEZZO → BATTLESHIP -STAGE2&8- → TETO RAN(沙羅曼蛇ボスラッシュ) → BIGCORE Mk-II(ビッグコアMk-II) → STAGE BOSS(ビッグコアMk-IV)

3面:FORTRESS -STAGE3- → STAGE BOSS(グランドスパイダー)

4面:INTERMEZZO → CELL -STAGE4- → STAGE BOSS(ヒュージハート)

5面:METEOR -STAGE5- → STAGE BOSS(ブラスターキャノンコア)

6面:INTERMEZZO → SOMETHING GREEN -STAGE6- → BIGCORE(ローリングコア〜サークルコア) → BIGCORE Mk-III(BIGCORE Mk-III) → STAGE BOSS(カバードコアMk-II)

7面:HIGH SPEED -STAGE 7- → BIGCORE Mk-III(ビーコン) → IMPREGNABLE FORTRESS -STAGE7- → STAGE BOSS(キーパーズコア) → ELEPHANT GEAR(エレファントギア) → DEMO

8面:BATTLESHIP -STAGE2&8- → LAST ENEMY

エンディング:STAFF ROLL

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