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EINHANDER(アインハンダー) オリジナルサウンドトラック

 スクウェア=RPGというイメージは、多かれ少なかれゲーマーが持つイメージの共通項だ。すでに「FF」を始めとする大作がその地位を不動のものとし、さらに97年と言えばプレイステーションでの「FFVII」が世間的にも大きな話題となっていた頃。スクウェアのゲームが売れに売れ、坂口博信氏がメディアに頻繁に露出していた。そして告げられたのが、スクウェア的シューティング「アインハンダー」だった。このCDはゲーム中で使用された楽曲をオリジナルサウンドにて収録したもの。福井健一郎によるテクノサウンドが満載である。

デジキューブ SSCX 10015(廃盤
1997年12月21日発売 JASRAC表記:なし

スクウェア・エニックス SQEX-10099(再販盤)
2007年7月18日発売 JASRAC表記:なし


再販開始!新品が2000円で買えるようになりました!
ゲーム紹介

 少しでもゲームを知っている人に「スクウェアの代表作は?」と訊けば、多くの場合「ファイナルファンタジー」という回答が返ってくるだろう。さらにそれは、スクウェアというメーカーはRPGを得意としている会社だ、というイメージに直結してくる。もともと「これがダメだったらもうゲームはやめようかな」という坂口博信氏の想いから名付けられた「ファイナルファンタジー」だったが、それがヒットしたことでスクウェアというメーカーの方向性を明確にし、以後ヒット作となるRPGタイトルを複数生み出すことになるのだから面白い。しかし、ちょっとゲームにうるさい人ならば、このイメージに「ちょっと待った!」という声を上げずにはいられないはずだ。

 そう、スクウェアは決してRPG「だけ」のメーカーではない。パソコンゲーム時代、そしてファミコン時代にはシューティングやアクションも作ってきた(会社が無理矢理「RPG」と銘打ってしまった「キングスナイト」のような例もあるが)。スーパーファミコンの頃からRPG色が濃くなり始めたものの、プレイステーション参入第一弾は格闘ゲーム「トバルNo.1」だった。「トバル」は続編「トバル2」に発展し、さらに「エアガイツ」へと派生。アクションでも「武蔵伝」を立ち上げ、プレイステーション2では最初にレースゲームである「Type-S」をリリースしている。このようにあらゆるジャンルに挑んでいるのだ。ただ、それらが決して同社からリリースされるRPGのようには売れていないことが、皮肉にも「スクウェア=RPG」というイメージの裏付けにもなってしまっている。

 そんなスクウェアがPSでシューティングを発売すると発表し、FFしか知らないスクウェアファンは騒然となった。タイトルは「アインハンダー」。意味ありげな一本の腕をモチーフとしたキービジュアルを、一方でシューターたちは「いったいどんなゲームになるのか?」と目の端の方でチラチラと見ていた。そう、シューティングゲーマーにとってスクウェアはそれほど注目すべき対象ではなかったのだ。スクウェアがRPGを得意とするように、シューティングを得意とするメーカーは他にある。「スクウェアが作るシューティングなんて。でも……」というのが正直なところだろう。注目はしないが、気にはなる。そんなタイトルだった。

 ある意味、プレイステーション以降のスクウェア作品は「ユーザーに優しい」ものが増えた。ヒントは満載、普通にプレイすれば誰もが筋道通りにエンディングへと辿り着け、総合的な難易度も決して高くはないソフトという意味で。そんなレールの敷かれた大作とは対照的に、「アインハンダー」は蓋を開けてみれば意外なほど硬派な作品であった。決してユーザーに媚びない難易度、雨アラレの弾幕、耐久度の高いボス、シューティングではお約束の「覚え」要素など、マニア的シューターたちにご家庭でじっくり遊んでもらおうという意図からか、徐々にハードルを上げていくようなバランスが秀逸。ユーザーがスキルを上げることで少しずつ先に進めるようなステージ構成と、知らなければ絶対に回避できない敵の攻撃に、「次こそは!」と闘志が高まるのだ。さらに、過去のシューティングの「おいしいとこ取り」にも見える装備の持ち替えが、攻略に複数の選択肢を与えているのである。毎日少しずつプレイしていつかはクリアしたい、そう思わせる作品に仕上がっていた。当時のスクウェアにあって売り上げ本数約10万本という数字がどのような意味を持つのか、それについてはここでは言及しないが、シューターたちからの評価は高い。中古市場に多く出回っていることから実売数以上のユーザーが存在し、彼らは今日においてなお本作を再評価しているのだ。

 そんな、負けず嫌いなユーザーを駆り立てる一因は、間違いなく本作に流れる楽曲にもある。シューティングのBGMと言えばテクノやロックは定番とは言え、やはり最もハズシがない。本作でもシンセやサンプリング、ループを多用したスマートなテクノを堪能できる。小刻みなビートはユーザー心理に作用し、コントローラーを操る手が知らず知らずのうちに熱を帯びてくる。プレイヤー本来のリミット以上の連射と回避を可能にするのが、シューティングにおける音楽の役割と言い切ってもいい。ユーザーと音楽がシンクロすればするほど、実力以上のプレイが可能となるのだ。音楽に気持ちが乗らないと、テンションも上がらず奇跡は起きない。シューティングゲームにおける音楽は、他のあらゆるジャンル以上にユーザーとのシンクロを求められる

 筆者個人の場合、「アインハンダー」の楽曲とのシンクロ度は非常に高かった。音楽のスタイル自体が好みのものであったことも当然あるだろうが、ステージの展開と見事にリンクするよう組み立てられた楽曲が、右脳に直接届いていたからではないかと考える。本作の楽曲を手掛けるのは、スクウェアサウンズ(当時)の福井健一郎氏。もともとコナミに在籍し、フンイキ福井の名で「サンセットライダー」「XEXEX」「バイオレントストーム」「リーサルエンフォーサーズ」などを担当、シューティングゲームを多く手掛けた。'95年に関戸剛氏とともにスクウェアへ移籍。関戸氏と「オールスタープロレスリング」の楽曲を担当するほか、後にFF音楽のロックアレンジ「THE BLACK MAGES」の仕掛け人ともなる。フュージョン好きというところから多彩なジャンルを得意とするキーボーディストで、一言で括れば「テクノ」である本作の音楽にも、様々な要素が投入されていると言えよう。だからこそ、場面ごとにユーザーとの高いシンクロを生むのだ。

 そんな「アインハンダー」の楽曲を、ゲームで流れたバージョンのまま収録したのがこのアルバムである。ミキシングまで福井氏が行っており、楽曲製作・録音からミックスダウンまでを氏が統括していることから、アルバムとしてのまとまりも非常に良いものになっている。個人的にはゲームなしでもじゅうぶんに楽しめるアルバムだとは思っているが、ぜひゲーム本編とともに味わってほしい。シューティングはまさに冬の時代、名作「グラディウス」の新作が外注で製作され、「R-TYPE」ですら「FINAL」によって歴史に幕を降ろした。シューティングはコンシューマー市場では絶対的に「売れないもの」とされている。しかしアーケードならばどうかと言えば、シューティングがゲーセンを席巻したのは既に過去のこと。シューターには辛い時代だが、「アインハンダーはやってなかった」という人は、ぜひこのスクウェアからの挑戦を受けてほしい。シューティングゲームを市場に呼び戻すのは他でもない、ユーザーなのだから。

 なお、本CDは発売元であるデジキューブが倒産してから長らく廃盤状態となっていたが、ファンからの熱い要望に応える形でスクウェア・エニックスから2007年7月、再販がなされた。また、それにともなってスクエニ公式サイトのミュージックページにおいて、作曲者である福井氏が本作についてのコメントを発表している。

01 強襲[ASSAULT]
-ムービー[オープニング]-
「在りし時 未だ月と地球が争っていた混沌の世 月から訪れる異形の戦斗機は こう呼ばれ恐れられていた -アインハンダー」ということで、英語のナレーションを受けてオープニングムービーを彩るのがこのトラック。華麗に火線を潜り抜ける一体の青い戦闘機、エンディミオンがグライフと対峙するまでを描きます。短いムービーではありますが、既に「FFVII」で高品質なムービーをお家芸としていたスクウェアらしいオープニングと言えるでしょう。こうしたムービーがシューティングに必要か否かという議論はさておき、本作においては長すぎないムービーが要所に挿入され、ストーリー面を盛り上げることに貢献しています。おそらくそのムービーの量は、皆さんが想像するほど多くはありません。

この曲ですが、というかこの親切なサントラは曲名を見れば、その楽曲がどこで流れる曲なのか一目瞭然ですね。すべてのゲーム音楽CDがこうだとラクなのですけど(笑)。今さら解説すべきこともないっぽい。

イントロからのパッドシンセはゲーム中ではフェードイン気味に、効果音の後ろでひっそりと流されています。ナレーションの「called einhander」を受けて、25秒のリズムが鳴り始めるというわけです。4つ打ちを核としたキック、808っぽいハイハット、タンバリンなどいかにもな典型的ダンスビートに、一貫した進行を繰り返すベースとそれに呼応したスウィープ系シーケンス。そんなバックトラックの上で、ボイス系パッドとシンセストリングスが緊張感を盛り上げます。コーダのところでエンディミオンのアップ、砂嵐にディゾルブしてメインタイトルが表示されるという流れ。ムービーの曲ということで、画に合わせた音作りがなされているようです。
02 発進[TAKE OFF]
-機体・兵装選択-
メニュー画面で「GAME START」を選ぶと、まずは自機の選択(FIGHTER SELECTION)を迫られます。特にまだシステムを把握しきれていないうちは、何を基準に選べばいいのか多いに悩みますね。ようやく自機を決めても、次に兵装選択(ARM SELECTION)をしなければなりません。慣れてくるとお気に入りのチョイスが固まってくるんですけどね。

さあ、いよいよ発進。心の準備はOK?とでも言いたげな、心拍数を上げるかのような小刻みなビートとシンセベースから成るバックグラウンドがこの曲です。メロのない構成モノですが、戦地へと向かうプレイヤーの気持ちを昂ぶらせてくれるリズム楽器の構成が秀逸。センターに位置するタンバリンにレフト側のクローズ/オープンハイハット、6秒からはキックも鳴り始め、さらに14秒からは右側にライドシンバルが加わります。その後もパーカッションやシンセが加えられていき、徐々にテンションを高めているのです。ここでヘンにベタベタなメロのある曲が流れたら邪魔っけですよね。出撃を目前にしてコクピットへ向かうパイロットと、その選択に応じた兵装をセットするべく慌しく動き回るメカニッククルー、そんな画面には描かれないイメージを楽曲から感じ取ることができます。
03 帝都[CAPITAL]
-Stage1 #1 高射砲塔-
Stage1の幕開けとともにけたたましく鳴り響くサイレン。これは自機の来襲に対して帝都側が鳴らしているものでしょう。そんな縦スクロールのステージで流れるのがこのトラック。地を這うような低音のシンセが持続するなか、忍び込んでくるようにひっそりと歌い始める女性コーラスが、ゲーム冒頭にしてただならぬ雰囲気を漂わせています。ちょっと「パラサイトイヴ」みたいな感じ?終結部付近ではオーケストラ的な厚い展開も見られ、短い曲でありながらゲーム開始直後の「ツカミ」を最大限に意識していますね。

縦ステージを下りきるのに時間はかかりません。すると突如、女性の笑い声が……。看板(?)に映し出された女性の顔が、ガイコツ→ガスマスクへと変化。凝った演出だなあと感心する間もなく、スクロールは横に切り替わり、ここからは繁華街ということで次のトラックへ。
04 街路[STREET]
-Stage1 #2 繁華街-
ステージ1はいつの間にやらネオン輝く繁華街へ。四方八方からやってくる敵機。ウーフを破壊することで出現する「ガンポッド」を奪い、武装を強化。武装は局面に応じて切り替え可能……と、システムのキモを理解しながらだんだんとゲームに慣れていきます。スピード感たっぷりに後方へと流れていく背景に、プレステのシューティングってこうなるんだ……とワクワクしながら、しかし必死に指を動かします。ちなみにネオンをすべて破壊するとボーナスが。

楽曲もここでガラリと変わり、土着的なパーカッションとお経のようなボーカリーズが鳴り始めます。さらにそこへ民俗音楽的要素を感じさせるボイスも加わり、なんだか一筋縄ではいかなさそうなゲーム……と思っているところに突然、無線っぽいエフェクトのかけられたボイスが「All Systems Go!(←間違ってるっぽい)」。途端に四つ打ちビートを基本とするリズムものになります。それがこのトラック。パーカッションやボーカリーズは引き継いだまま、東南アジア的サンプリングボイスが挿入されます。繁華街のイメージでしょうか。ボーカリーズもさることながら、ベンドダウン/アップを繰り返すシンセが不気味。女性の吐息のような音が所々に散りばめられ(1分9秒以降)、生理的な嫌悪感を感じさせる音色で埋め尽くされています。だからと言って嫌いではないですけど。

このトラッドとテクノの融合っぽいテイストはジュノ・リアクター的といったところでしょうか。映画「マトリックス」とかで流れそうな。まだまだ序盤だからか、これでも本作では抑え目な曲調。中ボス・グライフとの戦闘でも通して流れ続けます。
05 廃墟[RUINS]
-Stage1 #3 旧市街-
グライフを一定の条件(エンジンを破壊)で撃破すると、旧市街エリアが挿入されます。そこで流れるのがこの曲。条件を満たしていないと聴くことができず、「街路」から次の「追跡」へ直結となります。ある意味ではシークレットな曲ですね。グライフは弱点である頭部をこちらの高さに合わせてくる性質があるので、狙わないとエンジンの破壊は難しいかも。しかし一面から分岐があるなんて、知らなきゃそういうもんだと思ってしまうでしょう。

楽曲はそれほど長いものではなく、ボイスパッドとループが音場を左右に動き回ります。35秒以降は予備知識なしに聴いていると「あれ?CD音飛びしてる?」と勘違いしてしまうかも。もちろん意図的にやっている効果です。
06 追跡[CHASE]
-Stage1 #4 アウトバーン-
旧市街(もしくは繁華街)を抜けると、舞台はハイウェイのような場所へと移り変わります。次々とプレイヤーを追って現れる敵機たち、その数も次第に増えていきます。楽曲はここへきてやっと正統派シューティングっぽい、ハイテンションなものへと変化。メカニカルなシンセベースが細かくテンポを刻み、多数のリズム音色とシーケンスとともにスピード感を生み出しています。空間を埋めるのは風を感じさせるシンセパッドで、ステージ終盤に相応しい緊迫感を醸し出してますね。さらにこの曲も複数のサンプリングボイスが挿入されています。ステージ1のコンセプトは「ボイス」なんでしょうか?

ここまで、1ステージだけでなんと4つの曲が次々と入れ替わっているのです。贅沢きわまりないという感じもしますが、めまぐるしく移りゆく背景の雰囲気に合わせているんでしょう。各楽曲のイントロをあえて薄いものにしてあるのは、楽曲の乗り換わりを考慮したものと思われます。いきなり曲がバン!と変わるよりは、ステージの変化に合わせていつの間にか曲も変わっていた、という効果を狙っているんですね。

このようにステージ1では楽曲そのものを切り替えるという手法でステージの変化を演出していますが、後のステージでは1曲の中で展開していくというワザも堪能できますので、お楽しみに。
07 鼓動[MACHINE BEAT]
-Stage2 #1 走行列車-
うなるような低音が不気味なこのトラック、ステージ2の走行列車ステージです。この音色が、遠方から迫り来る走行列車の不気味な駆動音といった役割も兼ねているような気が。無数の砲台が顔を出し自機を狙ってくる頃には曲に小刻みなリズムが加わり(1分21秒〜)、緊迫感を煽ります。いかにも特殊作戦、隠密行動という雰囲気に満ちていますね。

左側でたまに鳴るボイス(1分27秒)、こわすぎ!ヘッドフォンで聴いてたら、背後に誰かいるのかと思ってゾッとしてしまいました。さらによ〜く聴くとウネウネ系のシンセに混じって、なにかをキュッキュッと擦ったようなヘンな音とか(1分48秒右側)、ドサクサに紛れていろんな仕掛けがされています。ヘッドフォンで大音量で聴いてたら気がおかしくなりそうに。
08 荒地[BADLANDS]
-Stage2 #2 砂漠-
ギャギャギャギャギャギャ・ダン!というド派手なオケヒットで始まるこのトラックは、一転してボス戦のような雰囲気の曲。タイトルこそ「砂漠地帯」ですが、最初の走行列車を抜けた先で対峙することになる中ボス・ガルネーレとの戦いから流れ始めるものです。ピョンピョンと跳ね回る、ガルネーレのトリッキーな動きに初戦は苦しまされましたねー。ガルネーレ撃破後、再度の走行列車ステージにも続けて流れます。即ちステージ2後半部分の曲ということになります。

ブブブブブブブブというメカニカルなベースとループのリズムが生み出すスピード感は、背景の高速スクロールとの相性バッチリ。左右へ好き勝手に動き回るエレピが、まるでガルネーレの動きを表しているかのよう。40秒からはチャーチコーラスっぽいボーカリーズが挿入され、一気に神聖な雰囲気に。このチャキチャキビートとボーカリーズの組み合わせ、「パラサイトイヴ」のサントラがお気に入りなスクウェアサウンズファンにオススメです。

1分5秒や2分37秒で聴けるような、古き良きシューティングゲームを思わせるメロディ重視の盛り上がりもこの曲のキモですね。どうあっても負けられない気分にさせられます。ボコーダーボイスが何と言ってるのかは英語サッパリな筆者にはわかりかねますけど(最後にエクセレントっつってるのはなんとなく聞き取れます)。ループのリズムも単調になることなく、複数の切り刻んだパターンを用意しておくことで変化を付け、ここぞというところでリバースやテープリワインドを組み込んでいます。

2007年7月追記:
上記ボコーダー部分について、サントラの再販を機に福井氏から解答が発表されました。詳細はスクエニ公式サイトのミュージックページで確認して下さい。ちなみに「エクセレント」は当たってました。なお、コレは福井氏本人の声だそうです!
09 静寂[SILENCE]
-Stage3 #1 核サイロ跡-
激しいボス戦を乗り越え、ステージ3に突入。楽曲は一転し、まさにタイトル通りの「静寂」。どうやら朽ち果てた兵器施設らしく、楽曲からはインダストリアルな香りのする金属系のパーカッションを聴き取ることができます。まくしたてるという方向とは逆の、ジワジワと迫り来る心理的な不安感を導くタイプの曲ですね。この先に何があるのか、何が出てくるのか……。この曲も抽象的なボイス音色が使われており、不気味でありつつも神秘的な印象を生んでいます。左側で鳴っているボイスから、何となく「たけや〜さおだけ〜」という竿竹売りの匂いを感じるのは筆者だけですね。スミマセン。
10 警報[WARNING]
-Stage3 #2 無人機-
ガラッと雰囲気が変わってエレクトリックなトラック。ギターのような音色、ブ厚いシンセベースに導かれて始まるこの曲はちょっと拍子がとりにくい、ステージ3中盤から流れるミドルテンポのBG。サイロを下りきると機械的な横穴を進むことになりますが、そこから流れ始めるものです。オケヒットの動きになんとなく「燃えよドラゴン」の匂いが……はい、気のせいですね。楽曲終盤のロータリーオルガンはキーボーディストである福井氏らしい音色。

ここでは自機の進路を塞ぐように、ひたすら付かず離れずを繰り返す中ボス・ゲッコーの相手をしながら進みます。コイツがまたイヤらしい動きをするんだ(笑)。ザコと連携して極太のレーザーを放ったりね。曲名の「警報」は、ゲッコー出現時のSEを指したものでしょう。

ゲッコーを撃破する頃には、ステージは再度縦穴式のミサイルサイロへ。そちらでもこの曲がそのまま続けて流れます。中ボス以降からステージ曲が変わるという演出は、ステージ2以降お約束になっています。
11 突破[BREAKTHROUGH]
-Stage4 #1 地底洞-
ステージ4は水が溜まった、横スクロールの地底洞窟。そこで流れる曲は、地下洞窟ならではの不気味さを前面に出したスローテンポなものになっています。ノイジーな音色が、地下洞窟とは言ってもそこが明らかに何かの目的を持って作られた人工の建造物であることを語っています。対照的に浮遊感のあるパッドの音色が、深き水を湛える洞窟を描写しているかのよう。何にしても、ただの洞窟ではなさそうですね。
12 工場[FACTORY]
-Stage4 #2 地下工場-
洞窟を進んでいると、プールのような場所で突如現れる中ボス・ぶら下がり健康器、もといザラマンダーとの対峙から流れ始める曲。ザラマンダー撃破後はステージ4の後半・工場エリアでもそのまま流れ続けます。この曲のイントロ、なんかやたら喋ってませんか?誰の声なんでしょう。ザラマンダーの声?

ひとつのモチーフを音色を変え配列を変え、ひたすら畳み掛けていくタイプの構成曲です。イントロのヒットで提示されたフレーズをまずベースが受け継ぎ、それを維持していきます。さらにそれをシンセが追いかけてますね。こういう曲はヘタな作り方をするとすぐに飽きてしまうんですが、さすがにうまく練られています。ただ、所々にギターの音色が入ってくるんですが(1分13秒以降)、いかにもシンセ音源の音なのでもうちょっと良いサンプルはなかったのかと。どんなに上手いテクノクリエイターでも、ギターだけは本物を使いますからね(サンプリングだとしても)。
13 払暁[DAWN]
-Stage5 #1 空軍基地-
ステージ5は曲名通りの空軍基地。楽曲は静かな導入で始まり、防戦のため出現する敵機に合わせてベース、ハンドクラップなどが加えられていきます。こういった徐々に要素が増えていく構成も、ステージとのシンクロを高めてくれますね。スイープするシンセの音色がアナログシンセっぽくてステキ。リアルタイムでツマミいじって変化させてます、みたいな。

いつの間にかシンセストリングスが加わって、どこか悲壮感の漂う雰囲気になっていきます。こういった曲調の切り替えも、もちろんステージ進行に伴う視点(進行方向)の変化などに対応していたりします。スクロール速度が決まっている(強制スクロールの)ゲームだからこそできるワザですね。
14 狂乱[MADNESS]
-Stage5 #2 対ゲシュテル-
ステージ1からこっち、中ボス戦専用の曲はありませんでしたが、ここにきて初めてステージ5の中ボス・対ゲシュテル戦専用BGが登場。まさしく「狂乱」した中ボスで、筆者は初遭遇時にはステージ5のボスかと思いました。中ボスにしてはインパクトがありすぎ、かつ強すぎ!

楽曲はそれまでのステージ曲よりもテンポを落とし、重めのループを使うことでゲシュテルの巨大感・重量感を感じさせるものとなっています。曲中に鳴らされているピコピコ系のシーケンスが狂ったコンピューターを思わせ、まさに「狂乱」。設定ではこのゲシュテル、その操作性と居住性の悪さから専任のサイボーグしか搭乗できません。それでも性能が良かったため、帝国軍が正式採用したわけですが、そんなところも「狂って」ますね。

曲中では(2分8秒〜)前曲(「払暁」)に共通するような盛り上げメロディを聴くことができます。イントロ以降は単なるテクノと思わせつつ、途中でプレイヤー(リスナー)を惹きつけるような華のあるメロを挿入するという手法は、本作(ひいてはゲーム音楽)において多用されているものです。構成重視、コードメインで進んできた曲が、ある時点を境にして主役がメロディに切り替わっています。こういう曲、大好きなんですが、ほんまもんのテクノにはなかなかないんですよね。ゲーム音楽ならではというか(最近の映画・ドラマのサントラにも多いですけど)。他のジャンルの人たちがやらないこと、異種ジャンルの融合を映像付随音楽はさらっとやってくれるというか、筆者がゲームの外でもゲーム音楽に惹かれるのはそんなところからかもしれません。
15 相克[CONFLICT]
-Stage5 #3 カタパルト施設-
ゲシュテルに手こずったためか、異常に長いものに思えてくるステージ5。まだまだここからです。ステージ5後半はいよいよ敵の攻撃が激化してくるカタパルト、流れる楽曲もより重々しく悲壮感のあるものになっています。ボーカリーズに導かれ、チチチチと鳴り続けるハイハット、次第に増えてゆくリズム楽器から成るイントロは、後の展開に繋がる期待感に満ちています。イントロからキャッチーで判り易いものよりも、徐々に「クる」方が心理的に盛り上がるんですよね。こういう構成って、作曲者がゲーマー心理を理解していないとなかなか出てこないもの。そして、家庭用ゲームならではの曲なんですよね。アーケードではとにかく派手に目立つことを重視し、イントロからキャッチーなものを求められがちですから。もちろんそういった楽曲の中にも名曲はたくさん存在しますけど、ただやかましいだけの曲もありますし。

楽曲後半(2分2秒)からはテンポが速くなりますが、もちろんステージの進行に合わせたものです。イントロからの流れはすべてこれを引き立てるための「序章」なのかもしれません。一曲であっても構成に変化を付けることで、複数の楽曲を使っているような効果を感じさせることはできるんですよね。映画的、と言ってもいいかな。これぞスクウェア的、と言った方が相応しいでしょうか。楽曲がコロコロと別のものに変わっていくよりも、1曲の構成で聴かせた方がプレイヤーの没入感は高まると思います。
16 焦燥[IMPATIENCE]
-Stage6 #1 成層圏-
ステージ6は、まさに宇宙へ向かわんとするロケット(ガイアー)のエンジンを制限時間内に破壊するという、ミッション風のステージ。当然制限時間内に破壊できなければ任務失敗、即ゲームオーバーになるという難所です。急げ急げ!早く早く!という感じでプレイヤーを急き立てるのがこの曲。いわゆるわかりやすい「シューティングテクノ」ですが、狙いがはっきりしているぶん意外性はありません。でも王道も必要ですよね。

せっかくの時限ミッションですから、デッドタイムに向かって30秒前ぐらいから徐々にテンポを上げても面白かったんじゃないでしょうか。この曲がさらに少しずつテンポを上げていくことで、ユーザーに「わー、もう間に合わねーよヤベー」と無意識のうちに感じさせることができたでしょう。もちろんフレーズがそれをやってはいますが、もうひと遊びしてもよかったかな。

ちなみに失敗した場合にだけ流れるムービーも用意されていますので、「アインハンダー」のすべてをしゃぶり尽くしたい人はわざとミスしてみて下さい。こういう「作戦失敗時にしか見られないムービー」なんてものを用意するあたり、いかにもスクウェアだなあという気もしますケド。
17 熱圏[THERMOSPHERE]
-Stage6 #2 対シュバルツガイスト-
ロケットのエンジン破壊に見事成功するも、突然鳴り始める電子的なシーケンス……ステージ6のボス・シュヴァルツガイストとのバトルで流れる曲がこちら。この曲もトラック14で述べたような「イントロはテクノ、そのうちおいしい泣きメロ」の典型的な例。イントロこそ電子音とリズム、シンベで構成されるストレートなテクノですが、41秒からの憂いのあるピアノが奏でるメロディと言ったら!緊迫感・焦燥感を維持しつつ、運命・哀愁すら感じさせるではないですか。そしてもとのテクノ調に戻ってループか……と思いきや、2分15秒からはさらにスタイルを変化させます。こうなってくると、これホントにボス戦の音楽なの?っていうかシューティングの音楽なの?という気さえしてきますが、この後に待ち受けるプレイヤーの運命を象徴しているようでもあります。「この敵を撃破したところで……」という。

お気付きかもしれませんが、ステージ5まではボス戦の音楽は汎用曲でした。それはそれで「ついにボスか!」というプレイヤーの認識を促すのに効果があったわけですが、このシュヴァルツガイスト戦で初めて既存曲の使い回しではない専用曲が充てられているのです。このため、筆者はそれまでのパターンにあてはめて「中ボスか!」と思ったものです。人によっては「ラスボス?」と思うかもしれませんね。この曲調・展開では無理ないですけど。この曲は確かに良曲なんですが、まだステージ6は既存のボス音楽でも良かったのではないか?とチラッと思いました(しかも場合によっては、この後にさらなるボスが登場しますし)。グラフィックにはバッチリとハマってるので、文句はありませんが。

ネット上のファンの反応を見ていると、やはりこの曲の人気は作品中でもダントツのようです。特にゲームをプレイしていない人からのウケが良いようですね。多くがゲームありきの「構成曲」である本作において、これだけキャッチーな泣きメロのある曲ですから、ゲーム未プレイの人の耳にも残り易いのでしょう。当然の評価なのかもしれません。

ふう、ロケットも硬かったし、なんかボス連戦って感じでキツいステージだなあ、なんて思いつつもなんとかシュヴァルツガイストを撃破して一安心……って、えっ、まだ終わらないの?

あ、余計なこと書いてもいいですか?ゲーム表記では「シュヴァルツガイスト」で正解だと思うんですが(攻略本も「シュヴァルツガイスト」です)、サントラが「シュルツガイスト」なのはナゼ?
18 残像[AFTERIMAGE]
-Stage6 #3 対モニター-
シュヴァルツガイストの倒し方によっては(モニターハッチを破壊)、シュヴァルツガイスト撃破後に「モニター」が出現します。その戦闘で流れる曲がこのトラック。これもゲームにおいてはレアトラックかもしれません。サントラで聴いて「こんな曲あったっけ?未使用曲?」と思われている方も少なくないでしょう。

ボスの後にさらにボス?ということで、もしやラスボスか、と思わされてしまうのはゲーム上の展開によるものばかりではなく、楽曲も一要因かもしれません。ステージ5まではボス戦と言えばお決まりの曲が流れていたのに、ステージ6では専用曲のオンパレードですからね。最終ステージか、と思ってしまいます。

シュヴァルツガイスト戦の曲とは異なり、今度は一歩引いたかのような抑え目の曲調。泣きメロも出てきますが、全体としては淡々としています。というよりも連戦となるだけに、完全に「熱圏」に食われてますね。曲順を変えれば良かったのでは?とも思いますが、やっぱり多くの人が聴く可能性があるバトルで「熱圏」を出したかったんでしょうね。人気ナンバーワンになる力を秘めた曲が隠しボス戦に使われたのではもったいないですから。
19 降臨[ADVENT]
-ムービー[エーオース来襲]-
エーオース?ゲーム中での表記は「EOS」でしたね。ステージ6をクリアすると、ヒュペリオンから通信が入ります。要約すると、「アンタ頑張ったから、我々の脅威は消えたし、アンタのデータをもとに無人戦闘機EOSのオペレーションデータも完成した。ごほうびに、アンタをEOSの戦闘実験のマトにしてあげる。死んだら二階級特進にしてあげるから、さっさとやられてね」……なんじゃそりゃあ!つまり、もっと要約しまくると「死ね」ってことですかい!うう、頑張ったのに酷い仕打ち……ふと前を見ると、「EOS」と呼ばれる無人の同型機がいっぱい。そしてこちらに向かって夥しい弾幕を浴びせ始めた!ってなムービーで流れる短い曲がコレ。複数のシンセベース(シーケンス音色含め)とテンポの速いリズムがメインの、完全な劇伴となっています。30秒ちょい。
20 叛逆[REBELLION]
-Stage7 #1 宇宙-
ということで、なんとか生き延びていたらしい私。突然始まる最終ステージです。わけのわからないうちに反逆者にされ、味方だったものと戦っていきます。容赦なく襲い来るEOS。生きるためには、戦わなければ。

悲壮感のあるなボーカリーズがプレイヤーの置かれた悲惨な立場を物語ります。そこに通信からの女性の声。「HYPERION(ヒュペリオン)ヨリ入電 貴官ハ重大ナル反逆行為ヲ犯シテイル 直チニ武装ヲ解除シ投降セヨ 繰リ返ス 貴官ハ・・・」そんなイベントシーンに続き、危機感を煽るかのような異様な雰囲気を醸し出す、シーケンス音色中心の曲が始まります。ここまでのテクノな流れとはまた異なる、映画のサウンドトラックのように煽り立てるタイプの状況説明的な楽曲になっております。短い周期で繰り返されるループものですね。収録時間も短いです。

通信音声のような声ネタが入れられており、芸が細かいですね。楽曲が場の雰囲気、空気感をSE的に補完しています。「貴官を叛逆者とみなす。投降しない場合は撃破する」みたいなことを言っているという想定でしょうか。筆者は勝手にそう思っていますけど。雰囲気あるじゃないですか、その方が。ただ、これだけ文明が発達しているのに、いまだ通信が「プツッ」というかは疑問ですが……。トランシーバーか、タクシー無線か?っていう。
21 無重量[ZERO GRAVITY]
-Stage7 #2 対ヒュペリオン-
そして現れた諸悪の根源、ラスボス・アルパアジール……じゃなかった、ヒュペリオン。アルパアジールってのはガンダムネタです。わからない人にはゴメンナサイ。だってファンネル放ってくるし。

「GRAVITY」というのは、「重力」ですね。それが「ZERO」で、「無重量」となります。「無重力」とほぼ同義です。即ち、宇宙空間の戦い。「無重量」であるがゆえに、とてつもなく巨大で重そうなヒュペリオンがビュンビュンと飛び回るこの戦闘、本作の最終戦です。つまりラスボス戦ですね。楽曲はテンポで煽るタイプのものではなく、テクノというよりはどちらかと言うとヘビーなロック調のリズム。前半はそんなどっしりとしたビートを核にして、浮遊感のある空間系のシンセが宇宙空間を感じさせてくれます。見渡す限りの闇、闇、闇……といったイメージ?1分53秒からは荘厳な女声コーラスが楽曲を支配します。「パラサイトイヴ」で使ってるものと同じ素材でしょうか?さらに2分38秒からはグレゴリアンチャントのような展開を見せます。このコーラスは広大な宇宙へ向けられたものなのか?ヒュペリオンを讃えるものか?それともプレイヤーに向けられた応援歌?もしくは鎮魂歌?いろいろな解釈ができる曲です。

ラスボス戦というのは曲を作る側にとってもスペシャルなもので、作品の集大成とも言える曲を持ってくることが多いですが、こと本作においては意外にあっさりしているな、という印象を持たれるかもしれません。特にサントラで曲だけを聴いていると(ゲーム未プレイならなおさら)。しかし、そこはゲームのサントラですので、楽曲だけ取り出して評価を下さないでほしいのです。ここ(最終戦)まで至る過程、ストーリー展開、プレイヤーの置かれた状況……そういったものをすべて内包したうえでのこの曲ですから。ぜひゲームの方もプレイして下さいね。
22 戦慄[SHUDDER]
-対大型敵 タイプ1-
ステージ最後で待ち構える対ボス戦BGM。高速ビートによるテクノな路線は踏襲しつつ、オケヒットを打ち鳴らすことで「ボス戦だ!」という判り易い迫力を狙っています。イントロでボス登場、スネアのアタックとともに始まるオケヒットからボスの攻撃が始まるという具合。パンニングで駆け回るシーケンスが、トリッキーな動きをすることが多い本作のボスの動きを象徴しているかのよう。

1分9秒からは声モノとしてラップが挿入され、ただのBGMに留まらない主張を見せています。本作唯一のボーカル曲とも言えるかも(ラップですけど)。何と言ってるかは筆者には聞き取れませんが……。ラップに関するクレジットがどこにもないので、サンプリング素材による声モノだとは思います。

最初に聴けるのはステージ1のドラッヘ戦。続いてステージ2のシュピンネ戦、そしてステージ4のシュトゥルムフォーゲル戦で流れます。
23 血戦[BLOODY BATTLE]
-対大型敵 タイプ2-
対ボス戦BGMその2。「戦慄」よりはゆったりとしており、オケヒットを使ったコケ脅しもありません。機械的なものを感じさせる、工場のサイレンを連想させるかのようなアナログシンセっぽい音色に引っ張られて楽曲は始まります。1分16秒からは本作の楽曲において顕著な特徴として挙げられる、「テクノ+アルファ」の盛り上げ系メロディが展開され、さらに2分11秒からは楽曲がそれまでとはまったく違った表情を見せ始めます。錯乱した機械を思わせる混乱気味の曲調が、プレイヤーに予想外の危機感と焦燥感を与えるでしょう。戦闘を単調なものに感じさせない、この曲のキモとも言える部分です。ここがなかったら、無難にまとまったBGMの枠を出なかったでしょうね。

ステージ3のグスタフが初出となります。コイツの攻撃は初見じゃ絶対に避けられません!何がどうなってるのかワケわからんと思います。あとはステージ5の対デューラー戦で聴くことができます。「戦慄」との使い分けについては明確な基準は不明です。敵の動きや外見で異なるわけでもなさそうですし、交互に使われているというわけでもありませんし。うーん、謎です。
24 混濁[MUDDLE]
-コンティニューカウント-
タイトル通りの短いMEです。曲というよりはほとんど効果音。タイトルはパイロット=プレイヤーの「意識の混濁」ということでしょう。「薄れゆく意識の中-」ってやつです。まさにそんな感じの、意識が遠のいていくような音になっています。もちろんなるべくなら聴かずに済ませたいものですが、最後まで辿り着くにはきっと何度となく聴かされることになるでしょう。
25 月光[MOONLIGHT]
-エンディング タイプ1-
「タイプ1」?そんな、エンディングにいくつものパターンがあったかな?と疑問に思いつつ、音を聴いて納得。言わばバッドエンドのMEなんです、コレ。ステージ6でロケットを阻止できないと、そこでゲームオーバーとなりバッドエンドムービーが流れます。このMEは最後の「GAME OVER」画面で鳴るものです。音自体は短いものですよ。うーむ、これもマルチエンディング、になるのか?
26 審判[JUDGMENT]
-総合評価-
ゲームオーバー後に表示される、戦闘評価画面で流れる曲がこちら。プレイヤーに審判を下す、重々しい雰囲気が漂います。なお、難易度をフリーにしてプレイしている時、もしくはパイロットデータを作成せずにプレイしている場合は評価画面が出ませんので注意しましょう。もちろんこの曲を聴くこともできません。
27 地球光[EARTHLIGHT]
-スタッフロール-
その名の通り、エンディングのスタッフロールで流れる曲。今ではボーカル曲が流れるエンディングも珍しくありませんが、本作はインストゥルメンタルになっています。ボーカルが乗っても違和感はなさそうですけど。

ゆったりとしたビートとシンセから成るバラード調の楽曲は、ハッピーエンドともアンハッピーエンドともつかない中立的な印象。いったいどういう結末だったのか?というプレイヤーによるストーリーの反芻と、戸惑いにも似たプレイ後の余韻を邪魔しないものになっていると言えるでしょう。プレイ中に「テクノ漬け」にされたプレイヤーに対する「癒し」系の優しい音楽です。爽快感や達成感というものよりも、次のプレイに繋げる(もう一度プレイする気を起こさせる)感じを優先させているかのような。
28 輪廻[METEMPSYCHOSIS]
-未使用ボーナストラック-
ゲーム未使用の曲もボーナストラックとして収録。言ってしまえばゲームとは関係のない曲であるわけで、レビューのしようもないんですが。ボツ曲なのか、それともこの曲が使われるはずだった演出が開発中になくなったのか?という想像を巡らせる材料にはなりますけどね。それほど長い曲ではなく、完結する形が採られていることからもステージや戦闘用の曲ではなく、イベントもしくはムービーの曲だろうという推測もできます。

作品全体の楽曲に流れる「テクノ」な印象とは系統の異なるタイプの曲で、リズム楽器がなく、空間系シンセと民族色を感じさせるパイプ系音色から成る抽象的な雰囲気。筆者としては地球もしくは月をバックにした宇宙空間の映像をイメージしてます。すべては想像でしかありませんが、サントラファンとしてはこうした未使用トラックも特典として嬉しいものですし、世界観を知る手掛かりとしてもありがたいですね。
29 序幕[BEGINNING]
-東京ゲームショー'97
  スペシャルリミックス-
トラック3・帝都[CAPITAL]+トラック23・血戦[BLOODY BATTLE]を組み合わせた、メドレー形式のミックス。リミックスと記述されていますが、それぞれゲーム使用バージョンとのミックス的な差異はほとんどありません。後半の「血戦」の使いどころというか立ち上がりが異なり、またコーダがオケヒットによる完結になっているという違いはあるものの、「ミックス」という点では「スペシャル」と言うほどの遊びはないです。

曲名にもある通り、ゲームショーで展示したデモで流されたものなのでしょう。デモで流れる曲というのは早い時期に作られた可能性が高いと言えます。だいたい新作ゲームにおける作曲では打ち合わせの後、ディレクターに対して「さぐり」を入れる意味でもまず数曲のデモトラックが製作され、方向性・テイストの確認が行われます。本作では早い段階でテクノを中心とした音作りが提示され、GOサインが出たものと推測できます。特にボス戦の曲などは開発中のROM焼きなどでテスト的に乗せる意味もあり、開発初期にデモバージョンが作られていると思われます。……重ねて言いますが、すべて推測ですけど

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サントラと違ってゲームソフトはお安いようです。