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CHOCOBO RACING Original Soundtrack
ジャケット画像 デジキューブ
SSCX-10030
1999年 
JASRAC表記:
なし

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 バンプレストと組んで、ディフォルメしたFFキャラを使って製作した「チョコボの不思議なダンジョン」をヒットさせたスクウェアは、チョコボをFFから独立したキャラクターとして広く認知させることに成功した。もちろんそのキャラクター的価値を一度で捨てるはずもなく、「チョコボの不思議なダンジョン2」を発売。さらに、その世界観やキャラクターたちをレースゲームへと昇華させたのが、この「チョコボレーシング」である。

 SFCの「マリオカート」を想起させる、コミカルなレースゲーム。ストーリーモードや対戦では、アビリティを使って競争相手を妨害したりといったあたりも、いかにも「マリオカート」。さらに、走りの評価によって与えられるポイントを使ってのキャラクターカスタマイズなど、「チョコボ」ならではのお楽しみ要素をふんだんに盛り込んだ作品である。特に、友人らとの対人プレイは驚くほどアツく、レースゲームとしてはなかなかの傑作であろう。ディレクターは、FFファンにはおなじみの時田貴司氏。

 で、その音楽なのだが、なんとすべて(主題歌は除く)FFシリーズの楽曲をアレンジしたものが使用されている。ここが従来のFFファンには最もシビれるところだろう。楽曲担当は、現在フリーのイトケンこと伊藤賢治氏(当時はスクウェアに在籍)。当初、伊藤氏はこの作品の楽曲を「FFアレンジとオリジナルを半々で」とプランニングしていたようだが、「自分がプレイヤーだったら、やっぱりFFの曲が聴きたいなあ」と思い、すべてをFFのアレンジ曲とすることにしたという。そこから伊藤氏は過去のFFサントラを聴くことから始め、自分の思い入れの強いもの、そしてファンが懐かしく感じるもの、この2点を考慮して曲の選定を行なっていった。

 結果として「FFI」〜「VI」の楽曲、中でもファミコン時代の楽曲が多くの比率を占め、そしてこのサントラはオールドファンに訴えかける名盤となった。「チョコボレーシングのサントラ」ということを抜きにしても、FFアレンジアルバムとして一聴する価値のあるCDである。懐かしの名曲たちが、イトケンのハイテクアレンジで蘇ったのだ。

 欲を言えば、サントラのライナーノーツに、楽曲のモトネタをきちんと記載してほしかった。FF音楽ファンにとっての配慮というか、サービスの点でやや残念。「わからない人はファンではない」と切り捨てるのもけっこうですが……。かく言う私も「モーグリフォレスト」で切り捨てられた人……。かなり後になってイトケン氏自ら元ネタを明かされましたが。「モーグリフォレスト」のモトネタがわからず悩んでいた人、レビュー本文をチェック!



ゲームをプレイしながら、音楽も楽しみましょう!


01 ダッシュ DE チョコボ 圧倒的なオケヒットを打ち鳴らして始まる、オープニングのCGムービーで流れる「チョコボのテーマ」のアレンジ。ドラムのアレンジなどはまさしく「イトケン」といった感じ。ムービーにシンクロした作りになっており、そのためか各々のパーカッションやシーケンスも、絵と何らかのリンクがあるように聞こえてきますね。チョコチョコと動き回るチョコボをうまく表現しています。よく聴いてみると、全編にいろいろな音が盛り込まれているのだ。

中でも特筆すべきは、メインメロのサックスでしょう。もちろん、打ち込みではアリマセン。しっかり生演奏なわけですが、こうやられると「チョコボ」のメロも妙にカッコイイではありませんか。アドリブ入りまくりのこんなチョコボ、本家FFでも聴くことはできませんぜ。
02 えらんでチョコボ キャラクター/アビリティセレクト画面で流れる、「チョコボのテーマ」アレンジ。シンセサウンドを中心にした、楽しげなアレンジになってます。まさしく「チョコボ」のイメージが満載で、音色のセレクトもバッチリといったところ。ブレイクの所に挿入されるオモチャのクラクション(三輪車とかに付いてるアレ)のような音(もしくは、子供用の音の鳴るサンダル)が、チョコボの鳴き声をイメージさせてカワイイ。
03 チョコボのテーマ ストーリーモードで流れる、「チョコボのテーマ」アレンジ。コミカルな音色で構成されていて、本作における「チョコボ」のキャラクターを印象付けています。ちょっとトボけているんですね。

イントロから「チョコボ」とわかるアレンジはお見事のひとこと。こういう曲でもドン・ドドンと鳴るキック、チキチーチキチーと主張するハットを入れるあたりは、伊藤氏の個性ですなあ。
04 シドのテーマ ストーリーモードでシドが登場する場面に流れる、FFIV「シドのテーマ」のアレンジ。シドはストーリーモードでは、チョコボが冒険していく動機を与えてくれるキャラクター。序盤にしか登場しませんが、しっかりとテーマ曲を与えてもらったわけです。軽快なリズムに明るい音色を散りばめたアレンジになっていて、シドがどことなくかわいげなキャラクターに見えてきます。
05 モーグリのテーマ ストーリーモードでモーグリが登場する場面に流れる、FFV「モーグリのテーマ」のアレンジ。これはもうこれ以外にはないでしょう。今作のモーグリはズルっこですから、ハネたリズムにベースを前面に押し出した構成になってます。ですが、木琴風の音色で奏でられるメインモチーフのおかげで、しっかりとかわいさもアピールしておりますね。終盤にはサンバホイッスルなんかも入ってきて、なかなか楽しい展開になっております。

個人的には、リズムキットにリバーブかけすぎでは?とも思うんですが。
06 ゆかいな旅路 ストーリーモードで流れる、FFIII「四人組じいさんのテーマ」のアレンジ。このへんを持ってきてくれるというのは、オールドファンにはなつかしくていいですね。プレイしていて、「あれっ、この曲なんだっけ?」とハッとさせられること間違いナシ。原曲のイメージを崩さない好アレンジのためですね。せっかくのアレンジですから、「聴いたことある!」と思わせないともったいないですから。
07 ゴーレムのテーマ ストーリーモードでゴーレムが登場するシーンに流れる、FFII「古城」のアレンジ。これが使われたのも意外と言えば意外。ファミコン音源では到底表現不可能な、重厚なアレンジになって蘇ります。イントロの威圧感もさることながら、尺八や琴を思わせる「アジアン」なテイストも、違和感なくハマってます。

それにしてもこのアルバム、どうしてこう音がイイんだろ。クリアさはもちろんのこと、音圧が凄い出てます。もともとがレースゲームですから、内蔵音源ではないと思うんですが。FFの音楽を、こういった厚いシンセアレンジで聴けるっていうのは、ファンとして単純にウレシイですね。
08 ゴブリンのテーマ ストーリーモードでゴブリンが登場するシーンに流れる、FFV「おれたちゃ海賊」のアレンジ。ゴブリンで「海賊」を持ってくるセンスがグー。アルバム全体のテイストになじむピコピコシンセを従えて、ギターっぽい音色がメロを奏でます。スネアとハンドクラップの配置も絶妙。イトケンさんのリズムアレンジ、個人的には大好きだな〜。
09 奇々怪々 ストーリーモードで流れる、FFIII「最後の死闘」アレンジ。そこにチョコボのモチーフが巧みにミックスされています。イントロは「最後の死闘」が、このサントラでも出色のブキミさで奏でられてくるわけですが、気付くとボイス系の音色で、これまたブキミなチョコボのモチーフがいつの間にか鳴っているんです。ちょこっと音符の位置をいじってやるだけで、チョコボのテーマがこんなに恐くなるのか!という感じで、やられました。この2曲を混ぜるというアイディアには、完全に敗北です。

持続する高音のシンセストリングスにベル、そしてメロトロンっぽいフルート。所々に挿入されるパーカッションも、う〜ん、コワイっす。
10 黒魔道士のテーマ ストーリーモードで黒魔道士が登場するシーンに流れる、FFIV「ミシディア国」のアレンジ。このアレンジはいいですよ。あのヘンテコ曲(植松さん、ゴメンナサイ)がちゃんとした曲になってますから(笑)。ある意味で、とってもマトモな「ミシディア国」です。

曲のメインは、私はベースだと思っています。トライアングルやウッドブロックなどのパーカッション類もいい味付けになっており、「アーアー」というボーカリーズも非常に質が高いです。
11 白魔道士のテーマ ストーリーモードで白魔道士が登場するシーンに流れる、FFI「街」のアレンジ。暖かい雰囲気でまとめられた、とっても優しいアレンジになっています。イントロのオルゴールは、シロマのイメージにピッタリ。アコギ+口笛の組み合わせも、ああ、癒されるなぁ〜。きっと、ファミコン版「FFI」をプレイしていた時、頭の中でこういうイメージで曲を鳴らしていたファンも多いでしょうね。

後半にはリズムが加わり、シンセストリングスが盛り上がって泣かせます。妙に子供の頃を思い出させてくれる好アレンジです。一周がけっこう長い編曲となっているのは、たぶん伊藤氏の曲に対する思い入れでしょう。伊藤氏自身もきっと、当時この曲をこういったイメージで聴いていたに違いありませんが、違ってたらすいません。
12 クリスタルの伝説 ストーリーモードで流れる、FFおなじみの「プレリュード」のアレンジ。FFのボーカルアレンジ「Pray」におけるプレリュードの、子供バージョンと言ったらいいでしょうか。女の子の声のサンプリングと思われるメインのボーカリーズが、鳥肌モノ。その周りを、さらに多数のボイス音色が包み込んでいます。そのセンターに、シンセによるおなじみのアルペジオがいます。

「プレリュード」の声ものアレンジは簡単に思いつきますが、子供でくるとはね。イメージしにくかったら、「風の谷のナウシカ」のあの曲を思い浮かべて下さい。そう、あの「ランラン・ランララランランラー」を……。
13 デブチョコボのテーマ ストーリーモードでデブチョコボが登場するシーンに流れる、FFIII「デブチョコボあらわる」のアレンジ。これは、もうそのまんまという感じです。マーチングスネアとティンパニー、ベースでズン・ズン・ズン。全体に「重量感」を感じさせる音色で構成され、イメージピッタリですね。
14 ベヒーモスのテーマ ストーリーモードでベヒーモスが登場するシーンに流れる、FFIII「クリスタルの洞窟」のアレンジ。これ、聴いたらゾクっときますよ。「悠久の風伝説」に負けてません。シンセストリングスをメインにした、パート数の多い重厚な編曲。そして右の方で、切ないハープが鳴っています。FFIIIをプレイした人には、絶対オススメです。それにしても、選曲がしぶいなあ。
15 幻獣神 ストーリーモードでバハムートが登場するムービーに流れる曲。イントロはFFVI「予兆」、その後はFFV「封印の書」のアレンジになっている。この「予兆」はスゴイことなってます!右から左に向かって次第に厚くなっていくチャーチオルガン、とにかくブ厚いっス。「FFVI」を最初にプレイした時のインパクトを思い出しますねー。ムービーとの相乗効果でバツグンの雰囲気を作っていますよ。

続く「封印の書」もバッチリ。「予兆」からの乗り換わりを感じさせない、同一曲かのようなアレンジは秀逸です。これまでのコミカルな雰囲気にあって、いったい何が起こるんだっ?と、そんな感じです。FFファンなら、ゾクゾクきてることでしょう。
16 つくってチョコボ カスタマイズのポイント割り振り画面で流れる、「チョコボのテーマ」のアレンジ。「チョコボ」からリズムだけを抜き出した形になっているんですが、どう聴いてもチョコボに聞こえてしまうあたりはウマい!としか言えません。左右にせわしなく動き回るSEが、この曲のキモですね。これも、どう聴いてもチョコボの声にしか聞こえません。「クエッ!クエクエクエッ!」。

余談ですが、私の最高ポイントは94。どうしてもそれ以上にいかない……。
17 シドのテストコース ここからは、しばらくノリノリのレースBGMが続きます。これはシドのテストコースでレースBGとして流れる、「チョコボのテーマ」のアレンジ。4つ打ちのリズムに、シンセによるチョコボメロがかぶさります。これまでに出てきたチョコボのアレンジと共通するような音色のセレクトもグッド。

おそらく、この世に存在する(公式の)チョコボのアレンジで、最も音数が多いでしょう。このようにアレンジされては、植松さんも納得するしかありません。どこをどう切っても「チョコボ」です。「FFVII」における「チョコボレース」とは、また異なる進化ではありますが、どちらもアリなんですね。こういうことが許されるのも、FFシリーズの懐の広さではないでしょうか。
18 モーグリフォレスト モーグリフォレストでレースBGとして流れる曲ですが、原曲がわかりません……。イトケンさん自身が「エンディング以外は全部アレンジ」とおっしゃっているので、これだけオリジナルってこともないハズなんですけど……。ああっ、わからない!とさんざん悩んでいたのですが、一時期は自分自身の結論として、「FFVI SPECIAL TRACKS」に収録されているゲーム未収録曲「街2」が元ネタであるとしておきました。所々差異はあるのですが、同じフルートメロですし……。

同じ疑問は他のファンの方々も持っていたようで、さまざまな曲が「元ネタ」として挙げられていました。しかしそのどれもが「ハズレ」であることが、イトケンさん自身の口から語られました(情報提供:カスタネット様)。ファン同士があれでもない、これでもないと議論していたことが御自身でも気になっていたらしく、あるインタビューの際に自ら「一曲だけわからないようなんですよね」と話題を振ったのです。それによると、鳴り続けるピコピコ音は「モーグリのテーマ」をイメージしてはいるものの、もっと根っこの部分での元曲があって、なんとそれはFFを象徴する「ファイナルファンタジー」なんだそうです!イトケンさんいわく、「FFのメインテーマを変奏曲っぽくした。コード進行はまさにあの曲」とのこと。これをズバリ当てられたユーザーは、ちょっといなかったんじゃないでしょうか。筆者もこれを知ってあわてて「モーグリフォレスト」と「ファイナルファンタジー」を聞き比べてみましたが、うーんなるほど、言われてみればそんな気もする?ような……。

曲自体はアップテンポなんだけど、とっても暖かい、包み込まれるようなイイ曲です。リズムも音数が多いんですが、決して曲の雰囲気をジャマしていません。音量バランスか、音色そのもののチョイスが絶妙なんですね。ひと昔前のリズムマシン的な音色が、なつかしい。

でも、よりによってなんでシリーズのメインテーマをいちコースBGMにしたんですかねー。それも、原曲をそれだと気付かせなかった理由であるような気がします。普通、もっと大事なところで使うと思うでしょ?
19 巨人の遺跡 巨人の遺跡でレースBGとして流れる、FFIII「バトル2」のアレンジ。イントロがベースで始まり、どこなくジャズっぽいテイストでまとめられ、作中でも独特な曲になっています。ファンによる耳コピMIDIの発想を上回るアレンジは、さすがプロ。リズム隊・パーカッションも凝ってます。
20 ミスリル鉱山 ミスリル鉱山でレースBGとして流れる、FFI「グルグ火山」のアレンジ。これはグーなアレンジです!ファンとして、この辺を流されると最もゾクっときますね。打ち鳴らすリズムもキマってます。それにしてもイトケンさん、こういうスネアの鳴らし方が好きですねー。多用されてます。

それにしても、なぜこの曲をグルグ火山のステージで使わなかったんでしょうか?
21 黒の館 黒の館でレースBGとして流れる、FFII「魔導士の塔」のアレンジ。原曲のイメージをより膨らませた方向でアレンジされており、今にもオバケが出てきそうです。レースBGとしてはややスローで、音数も少ないんですが、実際に走っているとグラフィックの雰囲気とあいまって、まったく気にならないのが不思議です。暗さはなく、どことなくコミカルになっているのも、ゲームのテイストに合っています。
22 ミシディア空中庭園 ミシディア空中庭園でレースBGとして流れる、FFV「エンドタイトル(大いなる翼を広げ)」のアレンジ。このサントラでの、個人的なベストです。カッコよすぎ!音数の多さ、編曲の厚さ、爽快感、どれを取っても最高の仕上がりです。ブラスとストリングスによる流れるようなフレーズが、俄然ヤル気にさせてくれるではないですか。個人的には「大いなる翼を広げ」のアレンジだと思ってます。イントロこそ、FFVのエンディングから拝借してますけどね。

ちなみに、「チョコボレーシング」発売当時のCMではこの曲が流れていましたね。画面は、たしかチョコボを車に見立てて、F-1のオープニングか?と思わせるようなカメラワークで映し出し、そこになんと「カーグラ」でおなじみの古谷徹氏のナレーションが大真面目に……。このCMの「遊び心」で、ソフトの購入を決めたようなもんです。もう1回見たいなあ、あのCM。
23 ハングリーランド ハングリーランドでレースBGとして流れる、「チョコボのテーマ」のアレンジ。ここに来て再びチョコボのアレンジになったのは、まあデブチョコボのテーマはレースBGにはなりにくかったんでしょうか?サックスメロによる軽快なアレンジになっております。ドラムキットも、これまでにはない独特のものになってまして、人間くさくなってます(笑)。フットペダルのハットがイイ音してます。

このコースは、途中で失速すると大幅に手前に戻されてしまうジャンプポイントがあります。気をつけましょう。坂はじゅうぶんに加速して上がること!
24 グルグ火山 グルグ火山でレースBGとして流れる、FFII「戦闘シーン2」のアレンジ。なぜか「グルグ火山」のアレンジはここに使われていないわけですが、コースの厳しさ(壁が無い場所があったり、岩が落ちてきたり)を表現したり、最終戦に近付くにつれ緊迫感を盛り上げていくための手段だったのでしょう。

その効果はバッチリ。緊張感に溢れるこの曲をあてはめることで、このステージは何倍も難しく感じさせられます。テンポの速いイトケンリズムに、うねるようなベース、それとは対照的な高いシンセ音のメロが駆け上がる。これだけで、プレイヤーはこの上なく焦らされるわけです。楽曲全体に、激しく「エマージェンシー感」が漂っていますね。
25 幻界 幻界でレースBGとして流れる、FFIII「最後の死闘」のアレンジ。ほとんどコースに壁がなく、落ちたらアウト。ライバルに大きく差を開けられてしまうこのステージ、しかもCPUキャラがまた落ちねえんだ、コノヤロウ。ま、中にはショーカットもあったりしますがね、邪道ですよ。まさに。

楽曲は最終ステージにふさわしく、まさに「最後の死闘」といった雰囲気。テンポの速さ、焦らし度は間違いなく最強のアレンジでしょう。曲に思い入れがあればあるほど、FFIIIの壮絶なラスト戦をも思い出して、さらに焦ってしまうというオマケつき(笑)。しかも、曲にノッてしまってスピードをやみくもに上げてしまったプレイヤーは、奈落の底にまっしぐら。イトケンさん、素晴らしすぎるぜ、アンタ……。
26 FF8サーキット FF8サーキットでレースBGとして流れる、FFVIII「Don't be Afraid」のアレンジ。当時最新作の「FFVIII」より、隠しキャラとしてスコールくんが登場。同時に隠しステージ、FF8サーキットが出現するのです。FFVIIIのオケ感の強いバトル曲を、イトケン節のハイテクアレンジでお届けします。テンポは原曲と極端には変わらないハズなのですが、やはりリズムの構成か、とんでもなくアップテンポに感じます。それにしてもこの、後ろで「ガビガビガビ」っつってる音、なんの音だろ?

余談。本作には時田作品らしく「パラサイト・イヴ」のAya(パトカーだけど)や、飛空艇インビンシブルなど、スクウェアなつかしのキャラクター(なんとファミコン版の初代チョコボまで!)が隠しキャラとして登場します。そういったキャラを選択した時に、レースでそのアレンジが流れたりしても、それはそれで面白かったんではないかと思います。
27 WIN! 勝利(ゴール・入賞)時に流れる、FFおなじみの「ファンファーレ」のアレンジ。基本は守りつつ、しっかりとイトケンバージョンになっています。このループ、何かで聞いたことあるなあ。
28 LOSE... 敗北(ゴール・4位以下)時に流れる、「チョコボのテーマ」のアレンジ。短いMEですが、最後でトドメに鳴らされる「ポコン」っていう何とも言えない音が、敗北時の虚無感を増大してくれます。「スーパーマリオ」でマリオがミスした時に鳴る音に通じる、プレイヤーをコケにした音ですね(笑)。
29 世界のあした ストーリーモードのエンディング序盤で流れる、「チョコボのテーマ」のアレンジ。弦を中心とした、オーケストラっぽい編成になっております。「チョコボの不思議なダンジョン」テイスト。こんなアレンジをしてもらえれば、オリジナルを作った植松氏も幸せでしょう。
30 心のたからばこ 唯一のオリジナル曲で、エンディングムービーに流れる楽曲。ボーカルは太田由美氏。淡い色彩で構成されたエンディングムービーにはバッチリとハマってます。基本的にすべて生楽器演奏によるトラックで、編曲はFFシリーズのオーケストレーションでおなじみの、浜口史郎氏。泣きのストリングスはこの曲でも健在です!伊藤氏は「リユニオン・トラックスを聴いてたので、安心して浜口さんにおまかせできた」とのこと。

作詞は、ディレクターである時田氏がみずから担当しています。これがまた、なんとも胸にくる、イイ歌詞なんですよ。終盤の、児童合唱団が入ってくる頃には、泣きますよ。泣き。なんでレースゲームやってて泣かされなきゃならないんだ(泣笑)。思わず巡り合った、名曲。しばし、童心に引き戻されるというか、「いい年してゲームするのも悪くない」もんだと。ああ、また泣いてしまふ。

ちなみにイトケン氏は、この「チョコボレーシング」の曲を聴いた植松伸夫氏から「よかったよ、ありがとね」と声をかけられ、泣いてしまったそうです。と、いうことで、このサントラのテーマは「泣き」ということに決めました。いや、もう決めました。

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