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ドラゴンクエストの世界「ドラゴンクエストII -悪霊の神々-」 | |
今となっては非常にレアな、しかしドラクエ音楽の歴史を語るうえでは欠かせない逸品。ギター、ベース、ドラムスの加えられた東京弦楽合奏団による演奏は、数多く発売されているドラクエ関連のCDにあっては異色の存在だが、それこそポップスのヒット曲も数多く生み出してきたすぎやまこういち氏ならでは、の作品である。後のロンドンフィルによる演奏との聞き比べをしてみるのも一興では。 アポロン音産 BY30-5136(CD)廃盤 AY25-6(LP)廃盤、KSF1486(カセットテープ)廃盤 1987年 JASRAC表記:あり ドラゴンクエストII 悪霊の神々 amazon中古CD在庫チェック |
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ゲーム紹介 1986年に発売された「ドラゴンクエスト」は、ファミコンユーザーに対して「ロールプレイングゲーム」というものをわかりやすく翻訳し、その魅力を広く認知させることに成功、150万本の売り上げをもって堂々ヒット作となった。今にして思えばこの衝撃は、他のメーカーに「ウチもRPGを作るぞ!」と思わせるにじゅうぶんであり、またユーザーには「早く次の新作RPGをプレイしたい」という飢餓感をも抱かせたはずだ。それに応えたのかどうかは知る由もないが、翌1987年には続編「ドラゴンクエストII」が発売される(ちなみに「FFI」もこの年だった)。 今の「ドラクエ」を思うと考えられないようなリリースペース。さらに、「I」と「II」の間から、ゲームの進化をも見ることができよう。シナリオの飛躍的な増大とともに、これまた飛躍的に拡がったマップ。なんと、前作の世界は「II」の世界ではほんの一部分に過ぎない。アイテムや魔法も増加した。そしてなんといっても最大の進化は、敵・味方ともに取り入れられた「パーティ」の概念であろう。「I」においてはただただ一人旅、出現するモンスターも単独の「1対1バトル」であったのに対し、「II」では3人組のパーティとして世界を旅していく。それで戦闘はラクになったか?と言えば、敵はさらに多くの群隊で出現し、生易しくはない。3人の役割分担を把握し、それぞれに適切な行動を指示しなければたちまちピンチになる。戦闘における緊張感は、健在だ。 世界が拡がった分、単純に移動距離は伸び、パーティの持久力が問われる。また「どこに行くべきか」というところでもおおいに悩んだ。さらに謎解き要素も手強いものが用意され、「あそこどうすればいいの?」という会話が、日本中の電話線を駆け巡った。現在のようにインターネットなどない時代、一足早くクリアした者はヒーローになれた。落とし穴だらけのダンジョンなどは、いま足を踏み入れても緊張してしまう。 もしも今、このような難易度のゲームが発売されたら、ヘタをすれば「クソゲー」とすら言われかねない。そんな厳しい冒険の道のりを、我々がくじけることなく最後まで到達することができたのは、すぎやまこういち氏による音楽の力が大きい。時に厳かに、時に楽しげに。対して洞窟や塔では、いつ魔物が現われるかという緊張を煽り、仲間が全員揃うとフィールドの音楽が変化する。そんなメリハリの利いた音楽に、我々は幾度となく救われてきたのではないだろうか?そんな「ドラクエII」の音楽をオーケストラ演奏のために編曲し、収録したのがこのCDだ。 興味深いのは、このCDが全体を通して非常に「ポップス」であるところ。これはファンの間では必ず語られることでもある。いわゆるドラムスやギター、ベースなどの現代的な楽器が幅広く使用され、後にも先にも聴くことのできない独特の「ドラクエサウンド」が、かえって斬新だ。「ドラクエといったらフルオーケストラ」、そんな概念を覆す異色のアルバム。なぜこのようなサウンドになったのか?すぎやま氏によれば、「ドラクエI」を基準として、「II」は新たな世代のストーリーだからポップス調に、「III」は昔の話だからよりクラシカルな楽曲にした、ということらしい。なるほどと思わされる話ではあるが、これを信じるならば、スーパーファミコン版のサントラとも言えるロンドンフィルバージョンで、このポップステイストが完全になくなってしまったのはどういうことなのだろうか?まあロンドンフィルにギターやドラムを加えるなんて無理な相談ではあるが……。 そんな異色の味わいを持つこのアルバム、演奏は「組曲ドラゴンクエスト」と同じく東京弦楽合奏団。指揮はすぎやまこういち氏自身が行ない、オーケストラ録音はおなじみの行方洋一氏による。残念ながら廃盤状態で、この貴重なポップスサウンドは他のCDへの再収録も行なわれておらず、聴くためにはなんとしてもこのCDそのものを手に入れるしかない。その稀少性から入手は非常に困難だと思われるが、ドラクエ音楽の歴史と変遷を知るには欠かせない一枚であることは間違いない。まだCDというものがそれほど普及していなかった当時、筆者は友人のレコードからダビングしてもらったカセットテープを擦り切れるまで聴き込んだ。そのため、筆者の中では「ドラクエIIの音楽」と言えば、必然的にこの東京弦楽合奏団のものを思い浮かべてしまい、後のロンドンフィルバージョンにはどうにも違和感を感じてしまう。懐古と言われればそれまでだが、ぜひ今の世代のドラクエファンにも聴いてもらいたい一枚。そのためにも、なんらかの形での再販を強く希望したい(めでたく再販されました!→こちら)。 このレビューでは、CD自体が入手困難という事実を考慮し、ライナーノーツに寄せられたすぎやまこういち氏自身による楽曲解説もあわせて紹介していく。それが、ドラクエファンたちのドラクエ音楽に対する理解・分析の一助にでもなればと願う次第だ。 |
「ドラクエ」ファンで、まさか「II」をやったことない人なんて……いないですよね? | |||
原点・ファミコン版 | スーファミ版 | FC・SFC移植のWii盤 | ゲームボーイ版 |
01 | ドラゴンクエスト・マーチ DRAGONQUEST MARCH |
もはやおなじみの、ドラゴンクエストシリーズのメインテーマ。「I」では序曲と呼ばれていたもので、「III」では「ロトのテーマ」となります。ホルンによるイントロ、弦楽の主題、そしてフルオーケストラによるリピート部分と、構成は「I」の「組曲ドラゴンクエスト」に準じていますが、後半のリピート部分が俗に言う「3連ベース」のアレンジになっており、メインのメロディのバックで弦楽器などが3連符の伴奏を刻んでいるのが特徴。同じような「序曲」でも、作品ごとにそのアレンジを微妙に変えているのです。このへんの聞き分けはマニアックではありますが、ひとつの楽しみ方なのは確か。 また、「I」のオーケストラ版「序曲」にあったような間奏はなくされており、ゲーム中のオープニングでの形に近くなったと言うことができるでしょう。このアルバムを聴くのは大半がゲームのファンであり、ゲーム中では出てこないフレーズを組み込むよりも、聴いて違和感のないシンプルな構成にしたということでしょうか。 すぎやまこういち氏の解説: この曲は前作と共通です。もうすっかりドラゴンクエストの顔になったようです。 |
02 | Love Song 探して ONLY LONELY BOY |
「ドラゴンクエスト・マーチ」に続くのは、王道的ポップスサウンドによる「Love Song 探して」。ゲームではニューゲームの名前入力、もしくはコンティニューでの「復活の呪文」入力画面(冒険の書)で流れるものです。ブラスや弦といったオーケストラ楽器もありますが、なんと言っても印象的なのは力強いドラムスとベース、そしてエレキギターでしょう。サックスによる、情熱的なソロも挿入されています。当然一発録りではなく、各パートごとにオーバーダビングを重ね、最終的にミックスダウンをしています。当然そこには全体的な残響(リバーブ)の付加もあるわけで、後のフルオーケストラレコーディングとは、録音段階から製作手法が異なっているわけです。 で、「ドラクエII」でなぜ「Love Song 探して」なのか?という疑問も当然あります。実はこの曲、ファミコン当時は「勇者ロトへのメッセージ」という副題のようなものが与えられていました。とは言えストーリーに密接に絡むものでもなく、主題歌でもない。今になって聞くとかなり意味不明なのですが、逆に言えばそれは「今」だから疑問になるのですね。ファミコンで「II」が発売された当時、誰もそんな疑問は抱いていませんでしたし、普通にゲーム中の曲として受け入れていました。つまり、まだ「ドラクエ」には「クラシックであたりまえ」というお約束すらなかったのです。今では「ドラクエといったらオーケストラ」ですから、この曲が浮いて聞こえてしまうのですね。 それこそすぎやま氏の言葉による「新たな世代のストーリーだからポップス調にした」ということなのかもしれません。後にこの曲には歌詞が付けられ、牧野アンナの歌唱によるシングルレコードが発売されました。まだシングルCDなど存在せず、シングルと言えばEPレコードの頃です。このあたりもぜひ再発してほしい音源ですね! すぎやまこういち氏の解説: 復活の呪文を入れる時に流れるこの曲は牧野アンナのデビュー曲にもなりました。ゲームの中でも"ある所"で出てきますが、それがどこかはヒ・ミ・ツ(ほみや注:ペルポイで町人「まきのアンナ」に話しかけると聞けます)。 |
03 | 王城 CHATEAU |
「ドラクエII」における城のテーマです。「I」と同様のイメージの、カルテット(弦楽四重奏)によるもの静かな楽曲。「I」の「ラダトーム城」が華やかさのある楽曲だったのに対し、この曲はさらに厳かな、高貴さを感じさせる曲調になっています。より格調高いと言いますか、クラシカルな感じ。 それもそのはず、すぎやま氏にはドラクエ音楽を通して、クラシック音楽の魅力をわかり易く紹介していきたいという目論見があるのです。そのためには、既存の名曲の手法を取り入れて翻訳していくのが手っ取り早い。この曲はよく指摘されますが、バッハの「G線上のアリア」をリスペクトしています。すぎやま氏によれば「この曲はさしずめA線上のアリア」とのことですが、おかげで筆者は「G線上のアリア」を口ずさむと、いつの間にか「王城」になっているなんてことが日常茶飯事です(笑)。 しかし、ファンたちの会話では、そのようなすぎやま氏の狙いやリスペクトといった点を見落とし、しばしば「パクリ」とまで言われていることもあります。その曲がゲームに合っているか、どうしてそういう曲になったのかということを無視して、ただパクリの一言で片付けてしまうことほど虚しい議論はありません。音楽を聴いて重箱の隅を突っつくだけというのは、芸術を楽しむ姿勢としては褒められたものではありませんね。この曲をきっかけにしてバッハに出会った人もきっといるはず。ならばそれは素晴らしい「音楽の連鎖」であり、すぎやま氏の狙いは成功しているのではないでしょうか? すぎやまこういち氏の解説: バッハの名曲「G線上のアリア」に対して「A線上のアリア」といったメロディーです。前半は弦楽四重奏、後半は弦楽合奏で演奏しています。徳永二男さんの素晴らしいヴァイオリンソロが聴きものです。 |
04 | 街の賑わい TOWN |
これまたポップステイストに満ち溢れた、「街」のテーマ。エレキギターがメロディを受け持つところなど、後にも先にもこの曲だけではないでしょうか。当時のアニメのサントラとかに入っていそうなアレンジになっています。これに慣れると、ゲーム中の音楽もポップスに聞こえてくるのだから面白いものです。このあたりは、後のロンドンフィルの演奏と比較するのが最も興味深い曲でもあります。編曲という作業によって同じ曲がどのようにその表情を変化させるのか、非常によくわかると思いますよ。 すぎやまこういち氏の解説: 市場に集まる陽気な人々。ソプラノサックスが軽快なリズムに乗って奏でます。 |
05 | 恐怖の地下洞〜魔の塔 FRIGHT IN DUNGEON 〜DEVIL'S TOWER |
弦の刻みとピチカートで不気味さを醸し出す「洞窟」の音楽と、マーチングスネアと威圧的なブラスが恐怖感を煽る「塔」の音楽がメドレー形式になっているトラック。両者に使われる音色が統一されていることで、違和感なく繋がっています。 「I」よりもはるかに規模の大きくなったこれらのダンジョンは、足を踏み入れたプレイヤーが最も緊張する場所。よって曲に対する思い入れも必然的に増すというものです。最近のRPGはダンジョンごとに専用の曲が用意されていたり、その間に発生するイベントにはまた別の曲が用意されていたりととにかく曲数が多いのですが、そのうちの何曲をプレイヤーが覚えていられるか、という問題があります。曲数がかさむと、一曲一曲に対する印象が薄れるのは無理もありません。ファミコン時代のRPGは容量の制約もありますが、場所ごとに統一されたテーマ、そして装飾を排除したシンプルなメロディの繰り返しもあって、曲のイメージが強烈に残ります。このあたりの楽曲は当時「ドラクエII」をリアルタイムでプレイしていたユーザーにとっては、あの頃の冒険と同時にゲーム以外の想い出まで蘇ってくるほど染み付いているはずです。今のゲーマーにとっても、そういう「後々まで記憶に残る」ゲーム音楽が出現することを切に願います。 すぎやまこういち氏の解説: 今回は地上にそそり立つ魔の塔も加わりました。魔物の影に脅えながら迷宮から抜け出すのに皆さんも苦労した事と思います。 |
06 | レクイエム REQUIEM |
「II」になって新たに追加された、全滅時の曲です。前作「I」にもMEという形では存在していましたが、組曲としては「II」が初めて。あまりに強すぎる敵を前にして全滅し、いったい今のは何だったんだ……と放心するプレイヤー。しかし、ドラクエではすぐに再出発できるため(所持金は半分になりますが)、この曲をあまり長く聴くことはないでしょう。すぐボタンを押してリトライするか、怒りにまかせてリセットボタンを叩くかのどちらかです(笑)。しかしファミコン版では当然もう一度「復活の呪文」を入力しなければならないので、リセットはオススメしませんが。 CDではあまりに切ない弦による演奏で、よりもの悲しい雰囲気になりました。「恐怖の地下洞〜魔の塔」の次にこの曲が入っているあたり、何か暗示的でもあります。多くのドラクエフォロワーがHPゼロ状態を「戦闘不能」と呼称しているのに対し、ドラクエではまんま「死亡」ですから、いかにドラクエがストレートかつ厳しいゲームであったかがわかります。 すぎやまこういち氏の解説: 死者の魂に安らぎあれ。弦楽合奏が悲しみのハーモニーを奏でます。東京弦楽合奏団のアンサンブルが聴きものです。 |
07 | 遥かなる旅路〜広野を行く 〜果てしなき世界 ENDLESS WORLD |
「ドラクエII」におけるフィールドBG大全集。最初の「遥かなる旅路」は、仲間が3人揃っていない段階でのフィールドで流れるものです。このアルバムの特色であるポップス楽器が控え目に添えられたアレンジとなっており、これもまたロンドンフィルの演奏と聞き比べたいものです。 なお、最初にすぎやま氏が「IIのフィールド」として作曲した曲は「明るすぎる」という理由から、製作会議の席でボツとなっています。すぎやま氏もその曲にはいまひとつ自信が持てなかったと語っていますが、その後に作ったのが「遥かなる旅路」というわけです。ボツ曲での反省も当然盛り込まれているのでしょうから、そのボツになった曲がどんなものだったか、そして「何がOKで何がボツか」という要素についていろいろと推測するヒントになりますね。 続く「広野を行く(1'13"〜)」は曲名が示す通り、「ドラクエI」のフィールドBG。ゲームをプレイしていれば、なぜここに「I」の曲が入っているかは当然わかると思います。「I」で冒険した世界は、「II」世界のごく一部でしかなかったという事実に衝撃を受けるとともに、「I」と「II」は密接に関連した続編であることを、ここで強烈に実感したものです。この衝撃は「III」まで繋がるわけですが……。寂しげなピチカートと、オカリナのようなリコーダーが郷愁を誘います。 「果てしなき世界(2'44"〜)」は、晴れて仲間が3人揃ってからのフィールドBGです。個人的にはやはり、この曲こそが「II」という感じですね。広大な世界をさまよう間、常にこの曲に支えられてきました。当時、筆者は中学2年生ぐらいだったかな……ゲームの中の冒険とともに、あの頃の友人、学校、クラブ活動……この曲を聴いていると、そんなさまざまな想い出が頭の中を駆け巡ってくるのです。なお、パーティが3人揃ってからは「遥かなる旅路」が聴けなくなるのかというとそうではなく、誰かが死んだりして3人揃っていない状態になるとフィールド曲が「遥かなる旅路」に戻るのです。芸が細かいですね! すぎやまこういち氏の解説: たった一人で未知の世界へ旅に出る期待と不安。リコーダー(竪笛)の素朴な音色が流れます。旅を重ねてアレフガルド大陸に入るとあの懐かしいドラゴンクエストIの「広野を行く」のメロディに代わります。仲間が三人揃うと明るく元気な「果てしなき世界」の曲が勇気づけてくれます。 |
08 | 海原を行く BEYOUND THE WAVES |
「ドラクエ」ではおなじみの移動手段・船は、この「II」で初登場となりました。手に入れると同時に行ける場所が増え、世界はさらなる広がりを見せるのです。いったいどこまで広いんだ……ドンブラコ、ドンブラコとワルツに揺られながら途方に暮れたのもいい想い出。途方に暮れると同時に、まだまだ冒険を続けることができるんだ!とワクワクしたものです。 この、なんとも呑気なワルツに身を委ねていると、突然モンスターが出現!そののんびりとした雰囲気と戦闘の緊迫感のギャップといったら、徹夜のプレイでもハッと眠気が覚めるほどのインパクトがありました。海といったらワルツだろう、という先入観もまた、筆者は「ドラクエII」によって植え付けられたのでしょう。今にして思えば、「スーパーマリオ」の海もワルツでしたね……。 すぎやまこういち氏の解説: 波に乗ってドンブラコドンブラコ。そんな感じのワルツです。 |
09 | 戦い〜死を賭して DEATHFIGHT 〜DEAD OR ALIVE |
わかりやすいアタックがイントロに添えられた、「II」の戦闘音楽「戦い」。ボケーっとフィールドを歩いていると突如襲いかかってくる魔物たち、その衝撃をこの短いイントロでじゅうぶんすぎるほど語っています。このCDではドラムス、ギター、ベースが加えられ、ゲーム音源よりもさらにテンポ感と音圧が増しています。ステレオ音場を右に左と駆け回るタムタムが、敵・味方が入り乱れての混戦を想像させますね。 48秒からは、ボス戦で使用されるバトル音楽「死を賭して」。前作の「竜王」が低音によるおどろおどろしい恐怖感を煽っていたのに対し、今回は威圧的なブラスが、邪教のボス的な雰囲気を醸し出しています。中盤以降のアツいサックスソロは、プレイヤー視点の「負けられない!」という感情でしょうか。「I」と同じく、通常戦闘と異なる音楽はラスボスだけに充てられているので、プレイヤーに与える心理的な「盛り上がり効果」も抜群です。 すぎやまこういち氏の解説: ホルン、トランペット、トロンボーンによる金管合奏の響きを楽しんで下さい。 |
10 | この道わが旅 MY ROAD MY JOURNEY |
「I」の勇ましいエンディングとは対照的に、ポールモーリア的インストルメンタルを連想させる、プレイヤーの高揚感を静めるような落ち着いたトーンの「II」エンディング曲。どこか大人の雰囲気に満ちています。すぎやま氏自身のコメントによると、フランク・シナトラの「My Way」をリスペクトしているとか。まあ、曲名「この道わが旅」というのがそもそもモロに「My Way」ですけど。 「Love Song 探して」と同様、こちらは愛知和男の歌唱でシングルレコードが発売されています。のちにテレビアニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のエンディングテーマとして、団時朗が歌ったものも存在しています。少年〜時代の〜見果てぬあの夢〜、今〜でも〜心に〜……染みますねえ。そうそう、ルーラも歌ってますね。 すぎやまこういち氏の解説: 人生はその人の時間の旅でもあります。「ドラゴンクエストII」というこの雄大なゲームは波乱に富んだ人生の縮図といっても良いでしょう。ゆったりと大きなメロディがフィナーレを飾ります。 |
11 | ドラゴンクエストII 〜悪霊の神々〜 ゲームオリジナル サウンドストーリー |
このトラックでは、ゲームの進行を再現したファミコン音源ストーリーを収録。この頃はまだ、ゲーム音源を独立した音楽として単一のトラックに収録するといったことはあまり行なわれておらず、それはドラクエでも例外でなく、このような形での収録となっています。しかし逆に、ゲーム音源の方が当時の記憶がハッキリと蘇ってくるのが不思議。なお、このCD自体は廃盤ですが、このトラックだけは「ドラゴンクエスト ゲーム音源大全集1」に再収録されています。 |
東京弦楽合奏団バージョンが再販されました! | |
組曲「ドラゴンクエストI・II」 すぎやまこういち |
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長らくコレクターズアイテムとして、数少ない中古品が競って買い求められてきた「東京弦楽合奏団」による「元祖・組曲」が2009年、キングレコードから再販されました。残念ながらオリジナルサウンドストーリーは省かれてしまいましたが、なんと「I」とのカップリングとなっています。あくまで「組曲」であることを前面に出した形ですね。ロンフィルとも都響とも違う、もうひとつの「組曲ドラクエII」をこの機会にぜひ! キングレコード KICC-6371 2009年10月7日発売 JASRAC表記:あり amazonで購入できます!復活の組曲「ドラゴンクエストI・II」 |
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