スフィア盤を使った成長システム

 「FFX」ではレベルの概念がない。これは、戦闘を重ねて経験値を溜めていけば放っておいても強くなる従来のRPG的手法を捨て、プレイヤーによる積極的な育成が必要であることを意味している。従来のシステムは、例えばレベル50に達したキャラクターの強さというのはどんなプレイヤーもほぼ一律だったのに対し、「FFX」ではプレイヤーごとにまったく異なる強さのキャラクターとなる可能性を秘めているということだ。
 戦闘に勝利すると、アイテムやギルといったものの他に、従来の経験値に換わって「AP(アビリティポイント)」が手に入る。言葉としてはFFシリーズではおなじみだが、その役割は異なるもの。このAPが一定数溜まると、キャラクターのS.LV(スフィア・レベル)が上がる。このS.LVは「レベル」と言っても従来の「レベル」ではないことに注意。スフィア盤で使用しないことには、いくらS.LVが上がってもキャラが強くなることはない。

 APは戦闘に際して、強い敵(特にボス)からはより大量に獲得できる。戦闘中に何かしらの行動をすれば入手が可能なので、キャラクターチェンジを活用してなるべく多くの味方にAPを獲得させよう。チェンジした直後に防御し、次のターンで後ろにひっこんでも戦闘に参加したことになるので、弱いキャラでも危険はない。ちなみにS.LV蓄積の上限は99。これ以降はいくらAPを入手してもS.LVは上がらないので、上限に達する前にスフィア盤で使用すること。
 実際にスフィア盤上でキャラを育成するのは、すごろくを考えてみると理解しやすい。スフィア盤はすごろくのマップのようなものだ。そして、そのマップの上には数々のアビリティやステータスを強化させる「マス目」が配置されていると思おう。獲得したいアビリティに到達するためにはすごろくを進んでいくわけだが、この時に進める「歩数」を決定付けるのがS.LVだ。S.LVはサイコロの目のようなもので、消費することでマス目を進んでいける。

 もちろん、「消費する」ということは、消費した分だけS.LVは下がるが、従来のレベルとは違うので、それによってキャラの能力が低下するようなことはない。S.LVひとつにつき進めるマスは1マスだ。ただし、すでに通ったことのあるマス目に限り、4マス進めるようになる。この法則を利用して、目的のマス目にたどりつくのが、成長への第一段階だ。
  マス目にたどりついたら、次にするのは成長スフィア(スフィアアイテム)を使用すること。これで初めて、目的のアビリティを獲得したりステータスを強化したりすることができる。マス目を移動しただけではダメ、ということだ。成長スフィアは数種類あり、目的に応じて使用するものが異なる。例えばアビリティを獲得したいのならば、「アビリティスフィア」が必要となるということ。くわしくはスフィアアイテムデータを参照してほしい。

 ただし、パネルを発動させるために、必ずしもそのマス目まで辿りつく必要はない。目的とするパネルのあるマス目の、隣のマス目まで行くことができれば、
隣接するパネルまで発動することができる。
 成長スフィアは、主に戦闘によってアイテムとして頻繁に入手できるので、不足することは基本的にはない。S.LVが上がったら、まめにスフィア盤をのぞいてキャラを強化・育成することが重要となるだろう。それでも序盤はアビリティスフィアが不足しがちになるので、これを落とす敵を見つけたらしばらくそのエリアで闘ってAPとスフィアを溜めた方がいい。
 スフィア盤はキャラクターごとに分かれているわけではなく、すべてのキャラが同じスフィア盤を使用する。ただし、スフィア盤は広大。そして、キャラごとにスタート地点がことなるので、ゲーム開始後一定期間までは、アビリティが重複することは基本的にはない。スタート地点周辺には、そのキャラの個性に合わせたものが配置されているので、周辺から道なりに習得していけば、自然とキャラごとの個性があらわれるということだ。
 
 しかし、それだけでは結局、用意されたようなキャラクターにしか育たないのか、というとそうではない。単にそれだけではこのシステムの面白みは半減してしまうというもの。一枚のスフィア盤を共用するということは、S.LVを使っていけばいずれ他のキャラクターの領域に辿りつけるということだ。すなわち、黒魔導師であるルールーが、ユウナのスタート地点周辺にある白魔法を習得することも可能になる。極端な話、やり込めば
一人のキャラが盤上のすべてのアビリティを獲得することも可能だということだ。ただし、それを実現するためには莫大なS.LVが必要になるだろうが……。やり込み派にはやりがいのあるシステムかもしれない。
 では、ひたすらS.LVを溜めることで、いきなり遠くの強力なアビリティが獲得できるのかと言うと、応えはNO。スフィア盤上には「スフィアロック」というものがあり、通行できないようになっている場所があるのだ。これを通行するには「キースフィア」というものが必要になり、これでロックを解除するわけである。ロックの先には強力・レアなアビリティが存在しているので、ロックを解除したら行ってみるといいだろう。さらに、ロックにはレベルがあり、例えば「Lv.2スフィアロック」を解除するには「Lv.2キースフィア」が必要となる。すなわち盤上にはいくつかのレベルのロックがあることになり、全種制覇は一筋縄ではいかないことが伺い知れる。

限界突破のススメ

 とりあえず自分のルートは一通り回ってしまった。次はどこへ進もう?悩んだなら無難に、そのキャラクターの長所を伸ばす方向で進行するか、逆に短所を補う進み方を考えるべし。たとえば、リュックの場合なら、突出したすばやさを活かすべくティーダルートに進み、同時にHPと攻撃力、補助的なアビリティを獲得していけば、より使い勝手のいいキャラクターになる。反対に、HPの少なさと打たれ弱さをカバーする育て方をしたいのなら、アーロンやワッカといったルートに乗るのもいい。うまくいけば、前線に立てるキャラクターになり得る。
 こうしてスフィア盤上を回っていくと、複数のルートを修得するキャラクターも出てくるだろうが、普通のペースでゲームを進めていては、エンディングまでにすべてのルートを回るのは不可能に近い。アイテムやS.Lv(つまりAP)が不足するのはもちろんのこと、普通に進める進行速度では、キャラが育つのを待たずしてゲームが終了してしまうからだ。しかし、モンスター訓練所などにハマり出すと、HP9999、MP999のキャラクターでも究めることは難しくなってくる。

 そこで、「FFX」をスミまでしゃぶりつくしたいプレイヤーにオススメしたいのが、
限界突破である。実は、今作においてはある手段を用いることで、キャラクターのHPの上限、MPの上限、攻撃力などを本来の限界よりもはるかに超えさせることができるのだ。具体的には、HPの上限が99999になり、MPは9999、敵に与えるダメージも最高99999に達することが可能になる。こうなると、かなり爽快な最強プレイが楽しめるのである(じっくり楽しむプレイヤーには、つまらないかもしれないが)。
 ただし、前述した通り、普通に戦闘を繰り返してゲームを進めていては難しい。限界突破のためには、やや特殊なAPの稼ぎかたをする必要があるのだ。普通にプレイしていても、攻撃力が9999に達したキャラに「ダメージ限界突破」のアビリティが付いた武器を装備させれば、5ケタダメージは可能。しかし、99999ダメージには届かないだろう。武器・防具の改造やアビリティというものをしっかりと理解したプレイヤーならば、その方法にピン!とくるかもしれない。逆に、その見当がつかないと、どうやったらいいのか想像すらできないはずだ。だが安心してほしい。ここではその方法をバッチリと紹介しよう。

 なお、インターナショナル版ではちょっとコツが異なってくる。というのも、APの入手に修正が施されているからだ。インター版をプレイしていて、キャラを上手く育てられないという人はこちらを参照してほしい。

まず、限界突破させたいキャラクターの武器に、
改造で以下のアビリティをセットする。

「ドライブをAPに」
……オーバードライブゲージは溜まらなくなるが、上昇分をAPに変換して獲得する。

「AP3倍」
……獲得するAPを増加させる(なければ「AP2倍」でも可)。
「トリプルドライブ」
……オーバードライブゲージの上昇率を3倍にする(なければ「ダブルドライブ」でも可)。
「ピンチにドライブ」
……瀕死時(HP表示が黄色)にオーバードライブゲージの上昇率が2倍になる。

これらのうち、絶対に必要なのは「ドライブをAPに」のみ。あとはいかに作業効率をよくするか、というものなので、なくても可能(ただし根気は必要)。

 これらをセットした場合に戦闘で何が起こっているかを検証すると、該当するキャラクターが瀕死であった場合、まずそれだけでオーバードライブゲージの上昇率は2倍になっている。さらに「トリプルドライブ」でゲージ上昇率は3倍だから、2×3=6倍。そして、これらは常にAPに変換されて蓄積されているというわけ。で、戦闘を終了させると、これまでに蓄積したAPがさらに「AP3倍」によって増加して獲得できるということ。ザコとの戦闘1回ごとに、確実に毎回S.Lvが上がると言っていい。

 だが、そのために歩き回って敵とのエンカウントを待つのも効率が悪いので、一度の戦闘で一気にS.Lvを99にしてみよう。

限界突破させたいキャラクターに、ODタイプ「危機」を覚えさせる。
必ずしもなくてもいいのだが、あればより便利という程度。「対峙」でも代用はきく。ただし「ピンチにドライブ」がないと意味がない。

上記の武器・ODタイプを獲得した状態で、ビサイド島に行く。
ビサイド島でなくてもいいが、敵が弱いという意味で、作業がラクであるということから選んだ。

 この状態で、限界突破させたいキャラを味方が攻撃して瀕死にしよう(こまかい残りHPの調整には「ドレイン」が便利)。そして、ウォータープリンとエンカウントしたら、他の敵は倒したうえでプリンにスロウ、限界突破したいキャラにはヘイストとリフレクをかける。さらに、他のバトルメンバーふたりは逃がすのである。これで、「敵の攻撃を受けずに(プリンは魔法しか使わないうえ、はねかえされた魔法で死ぬこともない)」「少ないボタン連打で(敵はスロウで、かつヘイスト状態の味方がひとりだけ)」効率よく稼ぐことができる。ここまでの準備が整ったら、△ボタン連打でしばらく防御し続けよう。場合にもよるが、15分ほどでS.Lvは99になるだろう。

 この時、「AP3倍」が「2倍」だったり、「ピンチにドライブ」が無かったりすると、それだけ余計に時間がかかるということ。それでも30分もやっていればS.LvはMAXになるはずだ。

 戦闘を終了したら、スフィアアイテムの許す限りスフィアを発動して、各ルートを回っていこう。スフィアアイテムさえ潤沢に供給できる状況にあれば、2〜3時間もあればそのキャラクターはスフィア盤のすべてを回ることができるはずだ。ちなみに、スフィア盤上のHPをすべて発動するだけで、HPはだいたい2万ほどになる(ただし、HP限界突破を付けている場合のみ)。攻撃力も、そこいらのザコなら常に99999ダメージを与えられる。アルテマウェポンやオメガすらも、一撃で倒せるはず。あとは「なにもない」盤にHPスフィアや攻撃力スフィアなどを使っていけば、それを発動させることでさらなる強化も可能。また、「HP+○%」の付いた防具をセットすれば、それだけ最大HPは上昇する。

 それでも、こういったキャラの強化を繰り返すうちに、今度はスフィアアイテム(パワー、マジック、スピード、アビリティ)が足りなくなるはずだ。今度はスフィアを稼ぐ方法を考えなければならない。まずひとつは、「○○の記憶」を敵に使用して、任意のスフィアを落とさせる方法。たとえば敵が4体出現したとして、すべてに「力の記憶」を使ってやればそれだけでパワースフィアを4つゲット。さらにすべてをオーバーキルで倒せば8つ獲得となる。ランダムエンカウントに頼るよりは、ずいぶんと効率がいいだろう。

 もっと効率の良い方法としては、ある程度パーティの強さに自信があるのなら、モンスター訓練場に行くべし。ここで「闘鬼」や「ファヴニル」などの、
一度の戦闘で20個のアイテムを落とす敵と戦い、「○○の記憶」を使用するのだ。通常なら回復の泉を20個落とす「闘鬼」に「力の記憶」を使えば、パワースフィアを20個得ることができ、オーバーキルできれば一気に40個獲得である。おそらくこれがもっとも効率の良いスフィア稼ぎだと言えるだろう。
 全員を限界突破させるのにはやはり根気がいる。必要なアビリティを改造で付けるためのアイテムは不足するし、わいろで得ようとすればギルも必要になる。基本的にオススメなのは、ティーダ・ユウナ・リュックの3人を突破させておけば、あらゆる局面でも心配は無い。攻撃はティーダをメインに、リュックやユウナでも抜群の物理攻撃力を持つ。ダメージ限界突破したユウナが「連続魔法」でアルテマ、他の二人が「ものまね」など、あらゆる敵を瞬殺する可能性を秘めている。

 注意したいのは、なるべく「攻撃・回復(魔法)・補助」といった組み合わせの3人を限界突破させた方がバランスがいいということ。たとえば、ティーダ・アーロン・ワッカといった攻撃メインのキャラばかりを限界突破させたとする。その状況で、何かの拍子に魔法に頼らざるを得なくなったとして、限界突破していないユウナやルールーと交代したとたんに強敵の攻撃を受けて戦闘不能、一気に不利になるということもあり得る。「盗む」なども積極的に活用したいプレイヤーにとっては、リュックも必須だろう(他のキャラを限界突破しても、やはり素早さは限界突破したリュックがダントツ)。このような理由から、あえて3人あげるとしたら前述のような組み合わせがベストだ、ということ。

 もちろん、スフィア盤すべてを全員が発動させるつもりでいるならば、誰を選んでもキャラクターごとの差異はほとんど意味がなくなってくる。すべてのパーティキャラが極限まで限界突破したなら、それは無敵のパーティと言えるだろう。逆に言えば、キャラクターごとの個性は目立たなくなるので、ゲームとしての面白さには欠けるという難点もあるにはあるが。

インターナショナル版での限界突破

 インターナショナル版では、ダーク召喚獣に関する一連のサブイベントや、究極の隠しボス「デア・リヒター」が追加されている。それらは「すべてを超えし者」を倒せる力を持ったパーティでなければ歯が立たないわけで、当然やりこみ派のプレイヤーは限界突破に臨むことだろう。オリジナル版で培った知識の通りに装備を改造し、「ドライブをAPに」でひたすら防御防御……。戦闘を終えてみると、APがほとんど獲得できていない!いったいなぜ?!

 実は、インターナショナル版では
「ドライブをAPに」にちょっとした細工が行なわれているのだ。「ドライブをAPに」でAPを獲得した場合、獲得するごとに「前回獲得したAPの90%」になるように変更されている。つまり、「ドライブをAPに」をセットして瀕死状態で防御を繰り返すと、100%、90%、81%、72%、……と低下していき、10回以上防御した頃にはほとんどAPを得られなくなる。結果として数百回防御を繰り返したところで、S.Lvは3も上がればいいところだろう。これでは、限界突破に果てしない時間がかかるのはあきらか。どうすんの?!

 実は、インターナショナル版で最も効率的なのは
「ドライブをAPに+OD修行」。オリジナル版での「ドライブをAPに+OD危機」は、瀕死状態で防御しまくることによってAPをこつこつ稼ぎまくる、という概念だった。だが、それが徐々に低下していく以上は発想を変え、一発で大量のAPを得るという方法に切り換えてやる必要がある。そこで、「ドライブをAPに+OD修行」をセットし、わざと大ダメージをくらえば一度に多くのAPを獲得できるというわけだ。もちろんこの場合も徐々に得られるAPは低下していくので何度も行なう必要はあるが、最も実用的なはずだ。

 ただし、大ダメージとはいってもそんじょそこらのダメージではたいしたAPは稼げない。オススメは
ダーク召喚獣を利用させてもらう方法だ。通常のキャラクターなら、ダーク召喚獣の攻撃でまず99999ダメージは必至。これならかなりのAPが獲得できる。ただ、普通はダーク召喚獣との戦闘からは逃げられないうえ、結局は倒さないとAPを得られない。しかも倒すと2度と出現しないので、何度も挑戦できない……。

 そこで利用するのは、雷平原に出現する
ヘレティック・イクシオン。これはイベント上2度倒さないと倒したことにならず、倒すまでは何度でも戦いを挑める。しかも1回目の戦闘からは確実に逃げることができる。これ以上の好条件はなかなかないはずだ。

 具体的には、限界突破したいキャラの装備に「ドライブをAPに」をセットし、ODタイプを「修行」にする(装備に「ピンチにドライブ」「AP3倍or2倍」をセットすれば、より多くのAPを獲得できる)。そしてヘレティック・イクシオンと戦闘開始。味方にヘイスガをかけた上でひたすら防御し、敵の攻撃を受け続けるのだ。もちろん一撃で仲間は戦闘不能になるので、すぐに蘇生しよう。これを繰り返し、敵のオーバードライブゲージが満杯になる頃に「とんずら」するのだ(もちろん、育成したいキャラが生きている状態で)。装備にセットしたアビリティによっては、敵のオーバードライブゲージが満杯になる約5〜10分ほどの間に、S.Lvが50前後上がることもある。こうなったらしめたもの、どんどん成長させよう。ヘレティック・イクシオンとは何度でも対戦できるので、満足いくまで戦おう。できれば、味方3人を同じ条件にして戦えば、一気に3人を育てることができて効率がいい。

 他に、訓練場のサポテンダーと戦って「針99999本」をくらう手もあるが、必ず使ってくるわけでもないのでやや効率がよろしくない。確実に99999ダメージをくらう相手と戦うのがベスト、ということだ。

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