ファイナルファンタジーXインターナショナル

ジャケット画像 プレイステーション2
DVD-ROM
2002年1月31日発売
スクウェア SLPS 25088 7800円(税別)
メモリーカード64KB以上 特典DVD同梱
製作総指揮:坂口博信
プロデューサー:北瀬佳範
シナリオ:野島一成
キャラクターデザイン:野村哲也
アートディレクター:直良有祐
イベントディレクター:鳥山求
バトルディレクター:土田俊郎
マップディレクター:中里尚義
CGムービーディレクター:桑原弘
音楽・サウンドプロデュース:植松伸夫
スクウェア、スクウェアヴィジュアルワークス、スクウェアサウンズ

オリジナル版からインターナショナル版への主な変更点

シナリオ・イベント関連
ダーク召喚獣イベント

 基本的なシナリオに変更はないが、シナリオがらみの大きなサブイベントが追加された。「ダーク召喚獣イベント」と呼ばれる一連のイベントがそれで、反逆者となったユウナ一行を、寺院の追っ手が強力な召喚獣を引き連れてあらゆる場所で待ち構えているというもの。ダーク召喚獣は全部で8種10体(メーガス三姉妹がいるため)で、それらをすべて撃破すると、本作最強の追加ボス、デア・リヒターと戦うことができるのだ。ただし、このイベントを成し遂げるには、パーティが訓練所の「すべてを超えし者」を倒せるほどに育っている必要がある。

 くわしくは「ダーク召喚獣攻略」を参照。


すべての台詞が英語に

 インターナショナル版では、キャラクターたちのボイスがすべて英語になっている。字幕は日本語/英語の選択ができるが、ボイスは英語のみとなっている点に注意。それにともなって、キャラクターの名前表示もすべて英語表記になっている。なお、インターナショナル版に日本語音声は一切入っていないので、ボイスの言語切り換えはできない。


用語の変更

 インターナショナル版では、英語での自然な表現を目指したためと思われる、用語の変更が少なからず存在する。また、字幕を英語表記にした場合のみ変化する用語もある。字幕が日本語の場合でも変化している用語の代表的なものは以下。

「シン」の毒気→毒
エボンのたまもの→エボンに称えあれ
エボン=ジュ→ユ=エボン
祈り子→フェイス
大召喚士→高召喚士
総老師→大老師
試練の間→試練の回廊
シパーフ→シューパフ
機械→マキナ
ブリッツボールにおける技の「キャプチャー」→「テックコピー」


アルベド語辞書について

 アルベド語辞書は、もともと英語版の発売を想定して「全26冊」となっている。日本語版では一冊入手すると複数の文字が翻訳されたが、英語版では一冊の入手ごとに1文字ずつ判明していくこととなる。ただし、そもそもアルファベットは26文字であるため、翻訳度はたいして変化がないと言える。これに絡んで、飛空艇の隠しエリアのパスワードは、日本語表記と英語表記では当然異なってくる。基本的にはそのまま英語表記したもの。

ごっどはんど→GODHAND
むらさめ→MURASAME
びくとりあす→VICTORIOUS

システム関連
新たなスフィア盤の追加

 インターナショナル版では、ニューゲームの開始時に2種あるスフィア盤のうち、どちらを使用するか選択することができるようになった。「オリジナルバージョン」はオリジナル版のスフィア盤にインターナショナル版で追加された新アビリティを追加し、その他に多少の調整を行なったもの。「インターナショナルバージョン」は全員がほぼ中央から一斉にスタートし、ルートの分岐も増加したもの。インターナショナル版の方が自由なキャラクターメイキングが可能になっており、序盤からいきなり直接攻撃型のユウナや、魔法が得意なアーロンという具合に育てることができる。

 オリジナル版をプレイしたユーザーはついインターナショナルバージョンを使ってみたくなるが、実は
マスの数はオリジナルバージョンの方が54個多く、最終的にはオリジナルバージョンの方が強いキャラクターを育成できると言える。特にダーク召喚獣やデア・リヒターを倒そうと思っているプレイヤーは、オリジナルでのプレイを強くオススメする。ちなみに、ゲーム途中でスフィア盤を変更することはできないので、念の為。


アビリティの追加

 インターナショナル版では、オリジナルにはなかったアビリティがいくつか追加になっている。それにともなってスフィア盤も調整され、そのアビリティがセットされた武器も新たに設定された。追加されたアビリティは以下。

コマンドアビリティ

パワーアタック
敵をパワースフィアを落とす「力の記憶」状態にしつつ攻撃する
マジックアタック
敵をマジックースフィアを落とす「魔法の記憶」状態にしつつ攻撃する
スピードアタック
敵をスピードースフィアを落とす「すばやさの記憶」状態にしつつ攻撃する
アビリティアタック
敵をアビリティスフィアを落とす「アビリティの記憶」状態にしつつ攻撃する
くすねる
敵からギルを盗む
まきあげる
敵からギルを盗みつつダメージを与える
フルブレイク
敵を攻撃しつつ、パワーブレイク、マジックブレイク、アーマーブレイク、メンタルブレイクにする
じんそく
ごく短い動作時間でアイテムを使う

オートアビリティ

パワーチェンジ
「戦う」「技」などの直接攻撃に「力の記憶」状態を付与する
マジックチェンジ
「戦う」「技」などの直接攻撃に「魔法の記憶」状態を付与する
スピードチェンジ
「戦う」「技」などの直接攻撃に「すばやさの記憶」状態を付与する
アビリティチェンジ
「戦う」「技」などの直接攻撃に「アビリティの記憶」状態を付与する
リボン
あらゆるバッドステータスを無効にする


装備品もソート可能に

 オリジナル版で不満の大きかった、装備品の「整理」ができない点について改良がなされ、アイテム画面で「装備」を選択すると、武器の並べ替えが可能になった。


セーブスフィアの追加

 インターナショナル版では、ナギ平原のモンスター訓練所にセーブスフィアが追加された。これによって、戦闘から回復、セーブ、そして再度戦闘と、戦闘を繰り返す場合の効率が飛躍的に上がったと言える。


飛空艇での移動の修正

 インターナショナル版では、飛空艇操作画面において操作性の向上がなされている。具体的には、場所リストの上端と下端がつながってループになったこと、そして方向キーを押し続けるとカーソルが移動し続けるようになったことの2点である。

バトル関連
「ドライブをAPに」の調整

 「ドライブをAPに」で得られるAPが、インターナショナル版ではAPを獲得するごとに「前回の90%」となるよう調整された。このため、オリジナル版でのキャラ育成ではおなじみだった「瀕死状態で防御を繰り返す」というテクニックがほぼ意味を持たなくなってしまった。


瀕死状態の調整

 インターナショナル版においては、瀕死状態となる条件が「最大HPの50%未満」に変更された。オリジナル版では25%だったので、瀕死状態になりやすくなったと言える。すなわち、瀕死状態に陥ると発動する「ピンチに〜」系のオートアビリティが、より発動しやすくなったということになる。


「クイックトリック」の調整

 インターナショナル版では、「クイックトリック」の消費MPがオリジナルの3倍にあたる36となり、「MP消費1/2」「MP消費1」などと併用しないと使いにくくなってしまった。さらに動作時間が倍になっているため、オリジナル版ほどには有利に戦えなくなっている。


オーバードライブの調整

 インターナショナル版では、オーバードライブタイプ「対峙」「危機」のゲージ増加量が減少している。また、ティーダのオーバードライブ技「エース・オブ・ザ・ブリッツ」は、オーバーキルの判定にすべての攻撃が含まれるように改良された(オリジナル版では最後の一撃のみだった)。


「わいろ」の変更

 インターナショナル版では、「わいろ」にランダムの要素が追加された。支払ったギルの額によって、成功確率や入手アイテムの個数が変化するようになったのだ。くわしくはわいろのページを参照されたい。


モンスターのステータス調整

 ごく一部のモンスターに、無効化ステータスや無効属性などか追加され、攻撃力・防御力なども微妙に変更された。特にオメガウェポンはすべてのステータスが上昇しているほか、属性の「半減」が「吸収(回復)」に変化。さらにHPは1ケタ増えて999999になっている。また、行動が調整されたモンスターもおり、代表的なものでキングベヒーモスは「ほかく」された後に限って、反撃のメテオを放たなくなった。

 モンスターの落とすアイテムにも調整が施され、オリジナル版ではオーバーキルで倒すとなぜか落とすアイテムが減るものがあったのに対し、インターナショナル版ではすべて2倍になるように修正されている。
その他
 オリジナル版にあったいくつかのバグ的現象がなくなっているのに加え、プレイヤーに有利な状況を作り出すいわゆる「裏技」も削除されているものがある。具体的には以下。

 味方全員をリフレクにしてヘイスガをかけ、それを敵に向かって跳ね返すと敵の行動を大幅に遅らせることができたが、インターナショナル版では削除。

 チョコボの訓練「とれとれチョコボ」においてカモメに当たらなくなる裏技があったが、こちらも削除されている。
 他にも細かい変更はいろいろあるのだが、プレイに大きな影響を及ぼすものはこのぐらいかと思われる。結果として、ゲーム全体の難易度はオリジナル版よりもやや上がったと言えるだろう。ただ、訓練所やダーク召喚獣を極めたプレイヤーにとって、シナリオ上のラスボスが相変わらず弱すぎるという点についてはオリジナル版のままである。パーティの最大HPなどのステータスや、「すべてを超えし者」「デア・リヒター」を倒したかどうかの判定によって、ラスボスのステータスを変化させるぐらいのことはやってほしかった気もする。

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