FFX-2・戦闘に関する考察

前作とは異なる戦闘
 「FFX-2」は言うまでもなく前作「X」の続編ではあるが、戦闘システムは異なるものが採用されている。前作は定められた順序に基づいて味方・敵が行動する、ターン制の「CTB(カウントタイムバトル)」だったが、今作ではそのCTBの感覚を取り入れつつも、従来のFFらしさであるところの「ATB(アクティブタイムバトル)」に戻されているのだ。即ち、戦闘に時間経過の概念が色濃く反映され、より緊張感のあるスリリングな戦闘となっている。

 「FF以前」のコマンド入力型RPGの戦闘と言えば、敵と味方が順番に行動する「ターン制」が主だった。ドラクエシリーズを例にとると判り易いだろう。そこに「時間」の概念を持ち込み、敵味方が入り乱れて行動する斬新な戦闘を開拓したのだ。「FFX-2」は、その伝統的なFF独自の「ATB」を、最新作にして採用したのである。

 ATBを制するために最も理解しておく必要があるのは、何と言っても
ATBゲージだろう。戦闘画面の右下、キャラクターのHPの下に位置しているバーがそれだ。戦闘開始の時点では、ATBゲージは敵・味方ともにゼロだ。そして戦闘開始から、それぞれのATBゲージが次第に溜まっていき、満タンとなった時点で初めて任意のコマンド入力が可能となる。このATBゲージが溜まるスピードは、各キャラクターのステータス(すばやさ)と装備中のドレスに依存し、その時点で最もすばやいキャラクター(敵・味方問わず)のゲージがいちばん早く溜まることになる。ただし、キャラクターの状態(ヘイスト・スロウ・ストップ)や先制攻撃などの要因によっては例外もある。

 ATBでは常に時間が流れているため、たとえばこちらが次に何をしようかと悩んだり、使用するアイテムや魔法を吟味している間にも、敵はおかまいなしで攻撃をしかけてくる。これを特に「
アクティブモード」と呼ぶが、初心者にとっては少々敷居が高い(=難易度が高い)。このせわしなさにどうも慣れないプレイヤーは、コンフィグメニューでATBを「ウェイト」モードに変更することをオススメする。こうすると、こちらがアイテムや魔法を選んでいる間は敵の時間がストップするため、焦らずゆっくりと考えながら戦闘を楽しむことができるはずだ。特に強力なボス戦においては、アクティブとウェイトでは難易度にかなりの違いが出てくる。アクティブで勝てないと思ったら、ウェイトにしてみるのもひとつの手だ。
準備時間の発生
 ATBゲージが溜まった時点で行動できると述べたが、厳密にはそうでもない場合の方が多い。ほとんどの技やアビリティ、魔法には準備時間といったものが発生するからだ。準備時間とは、魔法を例に取れば「詠唱時間」とでも考えておけばいいだろう。つまり、準備時間が終了した時に初めて、本当の意味で行動が可能になるということだ。

 コマンドを入力して準備時間に突入すると、そのキャラクターのATBゲージが紫色になる。この間はコマンドをキャンセルすることもできず、非常に無防備な状態だと言える。味方3人がすべて準備時間中だと、場合によっては敵に一方的に攻撃されつつも対処することもできない、という状況にもなり得る。ボス戦など、激戦が予想される戦いにおいては、常にひとり行動可能なキャラクターに待機させておいた方が安全だ。

 準備時間の長さは、キャラクターが使用するアビリティによってまちまちだ。シーフの「盗む」や「早業」、白魔導士の「祈る」などは極めて短い準備時間の後すぐに行動し、また単なる「戦う」や「クイックトリガー」は準備時間なしで即行動する。反対に、大部分の魔法や特殊攻撃は準備時間が長めに設定されている。単に「アイテム」を使う場合にも、わずかながら準備時間が発生することがある。
チェインの発生
 「FFX-2」では、前作にあったような「オーバーキル」といった特殊なシステムはなくなった。そのかわりと言ってはなんだが、新たに「チェイン」という概念が登場。乱暴な言い方を恐れなければ、プレイヤーが意図的にクリティカルを発生させるといったものだ。

 今作では、ATBゲージさえ溜まっていれば複数
の味方がほぼ同時に行動することも可能となっている。敵や味方の行動終了を待たずに、準備時間の終了した(=行動可能となった)キャラクターがすぐさま動き始めるのである。これを利用すれば、複数の味方が敵に同時に攻撃をしかけることも可能。その際に発生するのが「チェイン」だ。ひとりの味方が攻撃をヒットさせた直後に別の味方が続けて攻撃をヒットさせると、格闘ゲームで言うところのコンボのようなものが発生、敵に与えるダメージが通常よりも増加するのである。これを「チェインをつなげる」と言い、チェインを多数つなげていけばいくほど与えるダメージも増加し続ける。

 単純に「戦う」+「戦う」では2チェインにしかならないが、ここにガンナーの「クイックトリガー」を挟むとどうなるか。いとも簡単に2ケタのチェインを発生させることができるのだ。「クイックトリガー」それ自体の攻撃力はさほどのものではないが、そこに戦士の一撃をつなげるだけでも、与えるダメージ量は跳ね上がることになる。ギャンブラーのトゥーダイス、フォーダイスについても同じようなことが言える。

 特殊なケースでは、シーフの「戦う」などは単体でもチェインが発生する。両手で2回攻撃するためだ。が、残念なことにチェインの概念は味方だけの特典ではない。同様のことは
敵にも発生するのである。両手で2回攻撃してくる敵はそれだけでチェインとなり、また複数の敵が続けて攻撃をしてくればそれもチェインとなる。当然こちらが受けるダメージは増加するので、敵が複数出現した時にはバラバラにダメージを与えていくよりも、集中攻撃で各個撃破、個体を減らしていくべきだ。そうすることで敵から受けるチェイン攻撃の確率を落とすことが可能になる。

 こちらからチェインをつなげていくコツはいくつかあるが、最も簡単なのは3人のATBゲージを揃えてやることだ。その時点でまずはガンナーが「クイックトリガー」で[R1]ボタン連射、同時に残るふたりに「戦う」を指示すれば、いとも簡単にチェインを発生させられる。誰かの特殊攻撃の発動を待って、他のキャラクターに準備時間のない行動をさせるというのも基本だ。なお、魔法と物理攻撃でもチェインは成立するので、魔法一発で倒しきれない場合は物理攻撃で追い討ちをかけてみるのもいいだろう。

 なお、チェインの発生は戦闘終了後の入手アイテム(敵が落とすもの)の確率に影響する。チェインを多く発生させれば、その戦いが終了した時点でアイテムが手に入る確率が上がるのだ。
距離と配置
 戦闘に突入した際の敵・味方の陣形はさまざま。向かい合っていることが多いが、敵味方が入り乱れていることも少なくない。敵に囲まれることも、逆にこちらが囲むこともある。しかも、戦闘中に行動することですべてのキャラクターは常に位置を変えるため、状況は刻一刻と変化する。ある敵を攻撃するために移動したものの、そのために他の敵に対して背中を見せてしまったり……。

 敵を囲んだ場合はこちらが圧倒的に有利な状態。前から後ろから、敵の背後を狙っていこう。移動距離(後述)も短くて済むため、不利な要素がほとんどなくなる。逆に敵に囲まれてしまったなら、なにはなくとも一点突破。敵一体に集中攻撃をかけて倒し、フォーメーションを崩してしまうのが得策だ。

 キャラクターの陣形はプレイヤーがコントロールできない。味方がどのように動くかは完全にオマカセとなってしまう。そのため意図せず不利な陣形となってしまうこともあり得るのだ。そんな時は離れた敵を攻撃対象にしてみよう。そちらに移動することで、多少なりとも陣形は変化するだろう。

 だが、敵との距離も戦闘に少なからず影響する。攻撃目標の敵とあまりに離れている場合、攻撃の際にはそこまで走っていくことになり、ロスが生じるのだ。つまりATBである以上、
こちらが走って接近している間に敵の行動順が割り込んでくるということ。よほどのことがない限り、敵への攻撃は「最も近距離の敵から叩く」のが基本と言える。さらに逆のケースでは、遠くから近寄ってくる敵に集中攻撃をすれば接近される前に倒すことも可能。結果として敵の攻撃を防ぐことにもなる。高度なものになると、「味方Aに敵が接近→味方Bが攻撃して足止め→その間に味方Aがすかさず戦う→チェイン発生で撃破」というように、味方をかばう戦い方も可能だ。

 似たケースに、攻撃目標とする敵との間に別の敵がいる場合。このとき、味方は間にいる敵を迂回して目標に接近する。結果として移動距離が伸びることとなり、敵に行動の機会を与えてしまうことになってしまうのだ。さらに、しかたなく逃走しなければならない場合に進路上に敵がいると、退路を邪魔されてしまう。これを迂回する間に敵に攻撃されるのは具合が悪い。このように、「FFX-2」の戦闘はこれまでのATBにさらに一味も二味も要素を加え、非常に奥深いものに仕上げられているのである。

 さて、どのような陣形であれひとつだけ言えることは、「
敵の背後を狙え!」ということ。背後からの攻撃はダメージが増加する。背後をとったキャラクターがそれぞれの敵を分担していけば、通常よりも短時間で戦闘を終了できるはずだ。また、ガンナーのような飛び道具を用いるドレスや魔導士系のドレスは距離に左右されずに攻撃が可能。遠距離にいる敵はそういった味方に任せることも頭の片隅に留めておこう。
属性について
 「FFX-2」の世界には火・氷・雷・水・重力・聖の6属性が存在する。多くの敵は属性を持っており、さらに属性のある特殊攻撃をしてくることが非常に多い。これを見極めることができれば、敵に効率の良いダメージを与えることができるばかりか、敵の攻撃を無効化することも可能なのだ。

 モンスターの多くは弱点属性とは逆に耐性も備えている。耐性には半減・無効・吸収があり、「半減」は特定の属性攻撃で受けるダメージを半減し、「無効」は文字通りダメージを受けず、「吸収」に至ってはHPを回復してしまう。逆に
「弱点」の属性で攻撃されると、ダメージは2倍になるといった具合だ。

 敵の属性を把握するには「ライブラ」が手っ取り早いが、敵が使用してくる攻撃からもある程度の予測は可能だ。例えば、「ファイア」を頻繁に使用するようならその敵は火属性であることが多い。つまりこちらの火属性攻撃はほぼ受けつけないということだ。反対属性の氷属性で攻撃してやれば、いとも簡単に片付くだろう。

 属性の恩恵は味方にも有効だ。リザルトプレートアクセサリーで耐性を得ることができる。例えば雷属性の攻撃をする敵が出没する地域で雷属性吸収の装備を身につければ、敵の攻撃でHPを回復しながらガンガン進める。もっとも戦闘中の装備変更はできないので、事前にリサーチが必要だが……。そのあたりは当サイトなどからデータを得てほしい。強力なボスも属性がわかっていればあっけないほど簡単に倒せるのだ。

 ただし、「無属性」の攻撃だけは防ぐ手立てがない。
オーバーソウル
 戦闘中、突然「○○がオーバーソウル!」と表示され、その敵がウソのように強くなってしまったことはないだろうか?これは「オーバーソウル(OS)」と呼ばれる現象である。簡単に説明すると、同族を倒され続けた恨みをモンスターがまとい、怒りでパワーアップするというものだ。

 本作に登場するモンスターはほとんどが「
」に分類されている。狼族、羽虫族、邪眼族などがそれだ(ライブラで確認可能)。ある特定の「族」を一定数倒し続けると、次にエンカウントした同族がオーバーソウルするというしくみ。たとえばビサイド島でコヨーテを多数倒していると、次にナギ平原で出会ったワイルドウルフがオーバーソウルするという具合に、同じ族であれば種別は関係なくオーバーソウル対象となる。初めて出会ったはずの敵がいきなりオーバーソウルするのはこのため。場合によってはボスモンスターがオーバーソウルすることだってあり得るわけだ。

 何体倒すとオーバーソウルするかは、族によって決まっている。そして一度オーバーソウルしてしまうと、以後は倒すまで何度でもオーバーソウルし続ける。オーバーソウルした敵は強さがケタ違いに上がるため、かなわないからと言って逃げてばかりいると、その族に出会う限り何度でもオーバーソウルするのだ。なんとか頑張って倒してしまうしか回避方法はない。するとオーバーソウルはリセットされ、またゼロから蓄積される。そして再度一定数の同族を倒すと、またオーバーソウルする。

 が、オーバーソウルはプレイヤーにとって決して不利な面ばかりではない。オーバーソウルした敵は攻撃力・防御力・HPなどすべてのステータスが跳ね上がるものの、同時に経験値や獲得ギル、盗めるアイテムや落とすアイテムもグレードアップするのだ。

 また、ゲーム中に登場するすべての「オーバーソウルする可能性のある敵」をオーバーソウルさせたプレイヤーには、非常にレアなごほうびが用意されているぞ(リザルトプレート「天地の破壊者」)。どの敵がオーバーソウルする可能性があるかは、シンラ君の魔物辞典を参照。特定のモンスターをオーバーソウルさせたい場合は、そのモンスターと同じ「族」を倒し続け、オーバーソウルしたら逃走。以後同族との戦闘は避け、目的のモンスターとエンカウントすればいい。

 より詳細なオーバーソウル解説はこちら。
戦闘後に手に入るもの
 レベルの概念が復活した「FFX-2」では、戦闘後に経験値が手に入る。これを溜めていく(戦闘を繰り返す)ことで、キャラクターは個々にレベルアップをしていく。もちろんステータスも上昇していくぞ。さらに、FF世界の通貨「ギル」が手に入る。これは、すでに戦闘中にギルを盗んでいる場合でも、「落とした」ということで個別に手に入る。アイテムも同様に、盗んだものとは別にモンスターごとに設定されたアイテムを拾得できる(ただし、必ず落とすわけではない)。なお、戦闘中により多くのチェインを発生させると、アイテム入手の確率が上がる。

 そして、最も重要なのが前作にもあった「
AP(アビリティポイント)」だ。キャラクターは経験値の蓄積によってステータスは成長していくものの、アビリティを覚えることはない。アビリティはレベルとは別に、APを蓄積していくことで修得していくことになるのだ。が、APは実は戦闘後に入手するのではない。
効率の良いAP稼ぎ
 APを得られるのは、「1.敵を倒した瞬間」「2.アビリティを使った瞬間」のふたつ。これらは戦闘中、その時点で入手する。その際にアビリティを修得する規定数に達すれば、戦闘中にアビリティを修得し、次のターンからすぐさま使うことができるようになる。

 APは「1.敵を倒した瞬間」は全員に均等に、「2.アビリティを使った瞬間」の場合はそのキャラクターに与えられる。ただ単に「戦う」を連発して敵を倒しているだけでは、APは出現したモンスターの数しか入手できない(モンスターを3体倒す→それぞれ3ポイントずつ)。効率よくAPを稼ぐには、
いかに戦闘中にアビリティを使っていくか、ということに尽きるだろう。つまり、アビリティの修得を優先するなら、「戦う」ではなく何らかのアビリティを使うべし、ということになる。

 たとえば、パーティに白魔導士がいるなら、ひたすら「祈る」を繰り返すことでAPはその都度入手できる。戦士の「鉄壁」も同様。ガンナーは「戦う」を使わず、クイックトリガーを使えば準備時間もなしで何度もAPを稼いでいける。なんてことのないザコ戦でも、工夫しだいで大量のAPを稼ぐことができるのだ。ドレスによってはすぐにMPが尽きてアビリティが使えなくなってしまうので、セーブスフィアのそばで「レベル上げ」兼「AP稼ぎ」をするといいだろう。

 ただし、AP獲得の対象となるのは
「何らかの変化を起こした」場合のみ。例えば何も持っていない敵に対する「盗む」は獲得APゼロだ。さらに敵に「ガード」された行動でもAPは獲得できない。また、味方に対する行動も同様で、全員HP満タン状態での「回復」や、限界まで魔力が高まって「ミス」となる「集中」、なども対象外。もちろん味方を攻撃するパーティアタックではAPは得られないので、稼ぎをする場合には注意してほしい。が、例外的なアビリティもあり、たとえば「ぶんどる」は、言ってみれば「戦う」+「盗む」なのだが、盗みが失敗に終わっても敵にダメージを与えていれば、アビリティが成功したとみなされるのだ。

 ひとつのテクニックとしては、
敵が倒れた後も味方を対象とした行動は継続する点。これまでの「FF」では最後の敵を倒した時点ですべての行動が中止となったが、今作では敵が全滅した後でも味方に対する行動は実行されるのだ。やることがなくなったバーサーカーが最後にバーサクを使用したり、アイテムシューターがメガポーションを使用したりといった行動は、敵が全滅しても実行され、かつそれがAP獲得の対象となる。最後の敵を倒す直前でも手を休めず、行動可能となったキャラクターは何らかの行動を入力しておこう。小さなことだが、戦闘を重ねていくとたったこれだけのことがキャラの育成に大きく影響してくるはずだ。

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