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ヴァンダルハーツII〜天上の門〜 ORIGINAL GAME SOUNDTRACK | |
コナミ/キングレコード KMCA 20〜21 1999年 JASRAC表記:なし CDをamazonで購入(中古価格高騰中!) |
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ゲーム紹介 96年にコナミがプレイステーションでリリースした「ヴァンダルハーツ〜失われた古代文明〜」は、いわゆる「シミュレーションRPG(以下、SRPG)」というジャンルに属する作品だ。テレビ画面上でコンピュータ相手に行う将棋のようなもの、という例えは適切でないかもしれないが、より正確に言うなら将棋は将棋でも「軍人将棋」か。RPGとは姉妹関係のように言われることの多いSRPGだが、実はそのゲーム性は大きく異なっており、戦略の面ではRPGよりも総じて難易度は高い。そのためSRPGユーザーは、ゲーマーの中でもよりコアな層であると言えるだろう。96年と言えばプレイステーションのソフト群にRPGすら不足していた頃だが、そこにSRPGを投入したコナミを個人的には讃えたい。 「ヴァンダルハーツ〜失われた古代文明〜」はリリース時期で見れば、比較されがちな「ファイナルファンタジータクティクス(以下FFT)」よりも1年前の作品ながら、SRPGに乏しかった初期のPSラインナップの中にあってユーザーから高い評価を受けた。SRPGに欠かせない重厚なストーリーと世界観、地形や高低差も考慮しなければならない難易度の高い戦闘は、とてもSRPGを手掛けるのが初めてだと言うチームが作り上げたものとは思えない仕上がりである。しかし、シナリオが完全な一本道であり、すべてのプレイヤーが同じ道筋を辿ってエンディングを目指すことになる点、また、ランダムバトルが一切発生せず、そのためプレイヤーキャラクターの成長にも大きな差が生じないという「やり込み要素の欠如」は、クリアまでおよそ20時間程度というボリュームもあって少々物足りなかった。ゆえに「SRPG入門編」という括られ方をされることもしばしば。 かつて「オウガシリーズ」を作り上げてきたSRPGを得意とするクリエイターたちがスクウェア(現スクウェア・エニックス)に移籍して発表した「FFT」にもおそらく多大な刺激を受けたのであろう、99年にコナミはシリーズ第二弾「ヴァンダルハーツII〜天上の門〜」を発売する。前作で物足りなかったボリュームは大幅にアップされ、クリアするだけでも50時間はかかるほどになった。さらに隠しアイテムや隠しマップを多数用意し、フリー戦闘の要素も盛り込んで自由度を上げている。ストーリーのうえでも分岐を発生させ、基本的には一本道であるがエンディングの内容を4種類とした。プレイヤーのゲーム中での行動(選択)が、後日談に影響する仕掛けである。また、武器の収集率を数値で表し、コレクション要素も採り入れた。 ボリュームの面だけではなく、システムも手応えのあるものに進化した。それが敵と味方が同時に行動する「デュアルターンバトル」である。通常のSRPGにおいては、戦闘時にはだいたい「味方ターン(フェイズ)」「敵ターン」というように、両軍勢が交互に行動する。これを「ヴァンダルハーツII〜天上の門〜」では同時に行うのだ。味方が動けば、敵も動く。これによって戦闘の戦略性が飛躍的に高まり、リアルタイムであるからこその駆け引きや緊張感は本作独特のものである。背後から攻撃を仕掛けてくるであろう敵のさらに背後に回り込むとか、魔法攻撃してくるであろう敵の攻撃範囲にわざと入り込み、次のターンで回避して魔法を空振りさせる(=MPを無駄に消費させる)など、工夫しだいで有利にも不利にもなる戦闘の楽しさ。ゲームのコツをつかんでいくプレイヤー自身の成長も感じられるだろう。 そんな「進化したヴァンダルハーツ」の開発を手掛けたメインスタッフは、ほぼ前作と同じである。「SRPGを作りたい」という熱意で立ち上げにあたったディレクターの中里伸也氏、SRPGはもちろんPSソフトの開発も初めてだったというプログラマーの武田長氏、そしてプロデューサーの萩原徹氏ら「ヴァンダルハーツ〜失われた古代文明〜」を作り上げた面々は、おそらくその直後から本作の製作に取り掛かったのであろう。ユーザーの感想や不満、他のSRPG作品を、そして何より前作を徹底的に意識しながら。 音楽を手掛けたのも前作と同じコンポーザーだ。前作開発時に入社3年目だったというコナミの田廻弘志氏である。前作ではヤドランカ歌唱のテーマ曲があったり、東野美紀女史(MIKI-CHANG)や添田浩介氏らも楽曲を提供していたが、本作では田廻氏ひとりですべてを担当した。それだからこそ為し得た、モチーフによる音楽演出や楽曲のテーマ性に注目したいところである。「なぜここでこの曲なのか?」ということを分析した時に、きちんと答が返ってくるようになっているはずだ。それによってシナリオの理解度も変わってくるだろう。楽曲のテイストは前作に引き続き、シミュレーションRPGでは定番のオーケストラ音楽。音色クオリティは前作よりも格段に向上しており、前作の楽曲をセルフカバーした曲でその進歩を実感できるだろう。 田廻氏自身、前作「ヴァンダルハーツ〜失われた古代文明〜」の楽曲を『従来のゲーム音楽という様式の模倣を基幹としている』と解説しており、その他に携わった作品についても、「いろいろやりはしたがやっぱり基本的には"ゲーム音楽"という作法にのっとっている」と述べている。では、「ヴァンダルハーツII〜天上の門〜」はどうなのか?誰もが思い付くオーケストラ音楽だから、やっぱり「いわゆるゲーム音楽」なのだろうか?答はおそらく、「否」であろう。氏は本作の映像表現から、全体を「一種のバレエまたはパントマイム」として捉えたという。ゆえに、「常に音楽が鳴る」という「音楽劇」の手法を採っている。そのため音楽の中に環境音を模した表現を入れたり、映像に伴って楽曲が変化する仕掛けを施した。 他の楽曲についても垂れ流されるだけのBGMに留めず、台詞や映像で語られない行間の部分を補完するものとし、そのため台本を徹底的に解体・分析して理解するよう務めたという。今回の制作で最も苦労したのは実はこの部分だとか。他にも民族闘争を描くシナリオを感覚的に補完すべく架空の民族音楽を「捏造(談)」したり、楽器編成に一定のルールを適用するなど、わかり易いものから「どれだけのユーザーに伝わるだろうか?」というものまで、田廻氏はさまざまな試みを本作の音楽に投入している(ブックレット参照)。その甲斐あって、氏がこれまで担当したRPG作品の中でも初めて「物語の演出に加担できたかもしれない」と思えたそうだ。 というわけで、作品中のすべての楽曲を収録しているのがこの「ヴァンダルハーツII〜天上の門〜 オリジナルゲームサウンドトラック」である。前作のサントラに引き続き、曲名が親切このうえないところは筆者のような人間にとっては非常に有難い。田廻氏がどのような仕掛けを施し、それらがゲーム中でどのように「活きた」のか、じっくり吟味しながら聴き進めたい。なお、曲数が多いうえに使用箇所が多岐に渡るため、それらを言葉としてすべて書き記すとかつてないボリュームになってしまう(一度はそれで書き上げもしたが)。それゆえ、楽曲が流れる場所については一定のルールに基づき、表としてまとめている。まずは以下の解説をご理解いただきたい。 |
使用箇所データ略号解説 | ||||
章:その曲が使われている箇所がどの章かを示す。0は序章、4は最終章を指す。 「全」は全章共通の意。 E/B/M:その曲が使われている箇所がイベント(E)かバトル(B)かを示す。 両方に続けて流れるなら「EB」。街や村の曲は「M」で示す。 内容/マップ名:その曲が使われているのがイベントであればシーンの内容を、 バトルであればマップ名と、シナリオ必須バトル(S)かフリー戦闘(F)かを示す。 両方の場合は「SF」。フリー戦闘が存在しないマップについては表記を割愛。 |
Disc1
Prologue | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
01.Overture 序曲
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ゲームを起動すると、メーカーロゴに続いて表示されるタイトル画面で流れる曲がこちら。39秒からが本作の主題である「Theme
of "Vandal Hearts II"」、ヴァンダルハーツIIのテーマです。様々な楽曲に現れる重要なメロディですので、まずはしっかりとこれを覚えて下さい。とは言ってもこれだけキャッチーでわかり易い曲ですから、わざわざ指摘するまでもなく耳に残ってしまうとは思いますが。 プレステタイトルにして、その音色クオリティと発音数の制限を感じさせない表現力は特筆に値するものがあります。実際の編成は代表的な金管・木管楽器がそれぞれ1、バイオリンが2とビオラ、チェロ、コントラバスが各1という、「1管編成の管弦楽」です。そこに、鐘を含めた多種のパーカッションが加えられています。定番のティンパニのほか、低音部をバスドラムが補っているのも面白いですね。この決して豊かとは言い難い「打楽器を拡張した1管編成の管弦楽」という楽器編成は当然、ハードのスペックに起因する制約に対処するためのものではありますが、逆にこれをあらゆる楽曲で貫くことによって、全体の統一感を保つという狙いにもなっているのです。 このように楽器編成としては小規模のものではありますが、「制約の中で最も効果的に聞かせるには」という点を最大限に考慮して作曲されているため、安易な比較は慎むべきと理解しながらもあえて記せば、プレステでリリースされている「ドラクエ」シリーズのゲーム音源版と比べてもまったく聴き劣りはしません。フルオーケストラで演奏した「ヴァンダルハーツ」も聴いてみたいものです。 |
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02.The History 歴史
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ニューゲームで始めると、まずは時代背景とその歴史、世界観がテキストで語られます。いきなり複数の人名と複雑な状況が示されますが、これを理解せずに始めてしまうといきなりストーリーを見失うので注意(笑)。さて、楽曲は弦楽を中心として木管やハープが添えられた、しっとりとしたもの。ひとつのモチーフを繰り返し演奏していますが、これも本作のメインテーマに並ぶ重要なメロディですので、しっかり把握しておきましょう。あとあといくつかのアレンジ曲が登場してきます。レビューでは「歴史シリーズ」「歴史アレンジ」といった語句が出てきますが、その場合はこのモチーフのことだと思って下さい。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
03.A Massacre 殺戮
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歴史のお勉強に続いては、冷血騎士団による虐殺シーンが繰り広げられます。ラドラック枢機卿の命令による、反逆者の狩り出しと殺戮をビジュアルで具体的に描いています。そこで流れるこの曲は基本的に映像に合わせた恐怖感のあるもので、慈悲の心などかけらも持たない騎士団の容赦ない虐殺をドロドロと演出。 特に触れておきたいのは楽曲の終り方。シーンに合わせて淡々と進行し、場面終わりに向けてだんだんと盛り上がって「ジャン!」と完結するのですが、ここはテキスト送り(プレイヤーの操作)が人によって異なります。即ち楽曲の長さをあらかじめ決めておくことができず、このようにシーン終わりと楽曲の完結を合わせるには、途中でコーダを含む演奏データに切り替える必要があるわけです。終盤になるとメロディがなくなり伴奏のみになるのはそのため。この伴奏できっかけを待ち、特定のスイッチによってコーダに切り替えているのでしょう。このような「プレイヤーの操作スピードに合わせての楽曲の完結や切り替え」は他のシーンでも見られます。ゲーム中でこういう演出があるとバシッときまって気持ちいいですが、直後に「あれっ、どうやったんだ?」と振り返ってしまいますね。 また、7秒から20秒にかけて奏でられる、木管のモチーフは他の楽曲にも顔を出すテーマ性のあるもの。具体的には「意志(Disc1-14)」のモチーフです。これも覚えておきましょう。 |
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04.Title 題字
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虐殺シーンの最後に表示される、作品タイトルに乗せられる短いブリッジです。言うまでもなく「ヴァンダルハーツII」のメインテーマ曲をアレンジしたものになっています。もっともここにテーマを使わずして何とするか、というところでもあり、指摘しなくてもわかるレベルのものですが、とにかくこの作品はこのような「重要モチーフによる意味付け」「同一メロディによる関連付け」が頻繁に行われていきます。これらに気付くかどうかで、シナリオの理解度や人物の立ち位置などの把握がまったく違ってくるのです。 そしてそれはもちろんサントラを聴いた時ではなく、ゲームプレイ中に気付かなくては意味がありません。多くのゲーム作曲家たちは(ことRPGにおいては)そういった仕掛けを施しているのですが、映画などとは決定的に異なることとして、ゲーム中ではプレイヤーも何かの作業を行っており、音楽の分析をするまでにはなかなか至らないということがあります。これはゲーム音楽に課せられた永遠の命題かもしれませんね。 22秒からの尾を引くようなストリングスは「序章」のタイトルと、それに続く主人公によるポラータ村の紹介部分まで引っ張られます。 |
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05.Scene : The Windmill 場景〜風車小屋
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ということで、いよいよ序章の開始となります。ゲームは序章+1章〜最終章(4章)の全5章から成り、序章では物語のきっかけとなる主人公の幼少期の出来事が語られます。ここで起こった出来事や人間関係が、すべてその後に作用してくるのです。もちろんそれは音楽についても同様であり、ある意味では序章で提示されたモチーフが終局まで貫かれていくと言っても過言ではありません。 序章は4人の子供たちが風車小屋で遊んでいるシーンから始まります。ここで流れるこの音楽は、いわゆるBGMとは意味合いの異なるもので、どちらかと言えばME(ミュージックエフェクト:効果音楽)に近いものですね。持続する弦とピチカートによって、風の音と風車の動く音を表しているわけです。これは田廻氏の言うところの「写実的な環境音を音楽として象徴的に奏する」、音楽劇のスタイルということになります。よって大きな起伏なく、淡々と同じ進行を繰り返しています。音楽単体で聴くと退屈かもしれませんが、そういう用途で作られたものではないということは認識しなければならないでしょう。こういった曲だけを切り出して「ヴァンダルIIの音楽って退屈だよね」と論ずることは、演出意図をまったく理解していないということになります。もちろん、その演出も含めて「退屈だよね」と言うことはまた意味が違ってきますけど。 ゲーム中では風車小屋シーンの冒頭から流れ、蝶を捕まえようとして屋根から転落する少年、そしてそのショックで記憶喪失?!というあたりまで通して流れています。 |
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06.Peace 安らぎ
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「ヴァンダルハーツIIのメインテーマ」を、のんびりとした雰囲気にアレンジした曲。10秒以降で繰り返されるメロディはまさしくメインテーマのもの。同じ曲でもここまで雰囲気を変えられる、というアレンジの妙技を実感できると思います。序章・風車小屋のシーンで、転落した少年の名前を入力するところから流れ始めます。ここでテーマのアレンジを流すことで、彼が主人公であること、そしてここに集う子供たちが物語の中心になっていくことを明確に示しているのです。 そうこうするうち、ヨシュアの妹レベッカが、魔物に襲われている旅人がいることを報せにやって来ます。子供たちは勇敢にも旅人を助けるべく現場に向かう、そんな場面まで通して流れます。ゲーム全体を通してはこの曲が流れる機会は決して多くはありませんが、エンディングで再度使われる場合があります。 |
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07.Warfare on a Plain 戦闘〜平原
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いわゆる戦闘BGMで、イベントで流れる楽曲とはまた意味合いが異なるものです。本作の戦闘BGMはその戦いが行われる土地に合わせて使い分けられており、例えばこの曲は平原マップに充てられているものです。他に山岳地、森、遺跡、市街地など、マップに合わせたものが用意されています。ただしシナリオ上必須となる戦闘では、土地よりも演出優先で他の曲が使われることが多いため、これらバトル専用楽曲は主にフリー戦闘で耳にすることになるでしょう。 木管による弾むような音に暗さはなく、「まあ軽くあしらってやるか」という気楽な雰囲気。それを弦が繰り返しつつ(31秒〜)、盛り上がる59秒あたりからは「意外と手強いかも?」という緊張感が加わります。作品で初めての戦闘を経験することになるロザースの丘で初出となるだけに、あまり重々しくならないように考えられているようです。旅人を助けるべく奮闘するヨシュアたちの健気な姿に添っているばかりか、新システム「デュアルターンバトル」に戸惑いながらも「なるほど、そういうことか」と理解する、そんなプレイヤーの楽しさも反映しているかのような。序盤の戦いからあまりに重々しい曲が流れてきたら、めげちゃいますよね。 |
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08.Introduction to "The Powerless People"#1 力無き人々への序奏1
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序章、ヨシュアの義父にしてポラータ村村長のコドレフとボナール医師が、ヨシュアたちによって運び込まれた剣士について語るシーンで流れる曲です。短いフレーズを淡々と繰り返すハープが、シーンの切り替わりとともに完結して次の「力無き人々への序奏2」へと繋がります。ここもプレイヤーによってテキスト送りに要する時間が変わってくるため、完結させるためには「殺戮」と同じ手法を使っているものと思われます。 2章では、大人になったユーリたちが久々にポラータ村付近にやって来た際(キリィ湿原クリア後)、挿入されるイベント(仲間が焚き火を囲んで会話)で流れます。しかし、気付いてみればヨシュアの姿がない……どうやら一人でポラータ村に向かったようです。しかし、ユーリいわく今のポラータ村は……。まあこのあたりは本当の意味での「BGM」であり、あってもなくてもという感じなのですが、この後にくるメインの曲への橋渡しという役目。もちろん次のシーンで流れるのは「力無き人々」になります。 2章では後に王都ユゴーで再登場。酒場の裏で再会するヨシュアとニコラ。ヨシュアはレベッカとクライブの「現実」を見て落胆し、一方ニコラはニコラで無銭飲食で酒場から放り出され……。かつて「夢」を語り合った二人、その想いはどこへ……?なおこのシーンは直前まで「力無き人々」が流れており、そこから序奏へと戻る珍しいパターンになっています。 |
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09.Introduction to "The Powerless People"#2 力無き人々への序奏2
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序章、ボナール医師との会話を終えたコドレフが病室から出て来て、今度はヨシュアたちと会話をするシーンで流れ出す曲。雰囲気的には前の「力無き人々への序奏1」に似たものです。「1」との違いは、「2」は明確に聴き取り易いメロディを持っていること。コドレフは一同に「もう遅いから家に帰りなさい」と言いつつもヨシュアだけを引き留め……というところで完結し、一瞬の静寂をもって次の「力無き人々」に繋ぎます。というかこのシーン、序奏を「1」「2」に分ける必要があったのでしょうか?なんか細かい曲がころころ切り替わるため、ちょっと落ち着かないですね。「どうだ、シーンに合わせて曲が完結するだろう!切り替わるだろう!凄いだろう!」というあたりをむやみに強調しすぎている感じが……。ゲーム冒頭だけに気合いが入りすぎたのでしょうか? 「序奏2」は、後に子供たちの隠れ家の前で、「アデルとはもう関わらない」と決意したヨシュアと彼を案じてやって来たアデルが出会ってしまうシーンでも使われています。その後、「力無き人々」に繋がるのは同じです。そこでヨシュアになじられたアデルは、ひとり思い詰めた表情でダンジューの森へと向かい、彼女の身を案じて追ってきたヨシュアと再度出会うシーンでもまたこの曲が流れます。 最終章、城塞都市ガードークリア後のイベントで再登場。ナトラ王宮で、アデルがフランツに西ナトラ壊滅を報告、世の中が落ち着いたらお医者を探します、と語りかけるシーンです。曲が終る頃、続いて「力無き人々」が流れ始め、いつかの見知らぬ少年が……。 |
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10.The Powerless People 力無き人々
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「ヴァンダルハーツIIのテーマ」と並び、本作で非常に重要な意味合いを持たされた曲がこちら。このメロディはメインテーマ並みにゲーム中で頻出することになります。初出はアデルとあまりに気軽に接しすぎるヨシュアを、コドレフが戒めるシーン。「わかったよ!」と飛び出したヨシュアは川辺で物思いに耽ります。心配してやってきたレベッカとのやり取り、「アデルにはもう関わらない」とヨシュアが語る場面まで通して流れます。ここでの「力無き人々」は、貴族の令嬢であるアデルに対する農民ヨシュアたちのことを指します。本作ではこうした身分・階級というものがシナリオ上で重要な要素となっており、どうすることもできない無力な人々のテーマとしてこの楽曲が与えられているのです。他に印象的だった使用イベントをピックアップしてみましょう。 まず序章、アデルとある約束をしたヨシュアが家に戻ると、冷血騎士団にさらわれたコドレフが帰ってきています。安堵するヨシュアですが、父がニコラの居場所を騎士団に教えたことを知り逆上。「国の運命がかかっているんだよ?!」と言うヨシュアに「国の、ではなく、貴族どもの、だろう?国の運命を真に切り開いたのは農民の貧しい血と汗だ」と諭すコドレフ。「力無き人々」としての考えを曲げない父、そして幼いヨシュアもまた力を持たない者。 1章、アガターとグレゴリ王を比較して「あれではどちらが王かわからぬ」「アガターこそ王の器」と話す廷臣たち、それを立ち聞きしてしまうグレゴリ王、彼を慰めるミネア妃。王という位にいながら、彼もまた「力無き人々」なのです。 2章で久しぶりにポラータ村を訪れるヨシュア。しかしそこはヨシュアの知る村ではなくなっていたのです。誰も住まない滅びの村……。ショックを受けるヨシュアの前に、意外な人物が現れます。アデルです。ここでは彼らは言葉を交わすことはありませんが、後にアデルはこの時に出会ったヨシュアらしき人物に思いを馳せ、そして生まれ故郷ポラータ村を守れなかった自分の非力さを嘆くのです。 2章、ユゴーで再会したヨシュアとレベッカ、そしてクライブ。「惚れた女になんて仕事させてるんだ」とヨシュアはクライブを責めますが、大変な時にひとり勝手に村を飛び出したお前に何がわかる、と逆に責められてしまいます。きっと彼らはヨシュアの知らないところで、生きるための苦労を強いられてきたのでしょう……。力が無いゆえに。 最終章ではナトラ王宮クリア後のイベントで使われます。ナトラ王宮最上階におけるアデルとのイベントがそれ。自らの無力を嘆きヨシュアを責めるアデル。このイベントはユーリ、クライブといった「幼なじみ」の生死によって3パターンに分岐し、全員生存で「和解」、一人欠けていると「決裂」、二人欠けてると最悪のパターンに。いずれも流れる曲は同じです。 このように徹底して「自らの非力を嘆く人々」「その非力さゆえ食い止められなかった悲劇」といったイベントに使われているのです。印象深いシーンが多いため強く耳に残っているのですが、曲の始まり方や音色が似ているため「歴史シリーズ」「意志シリーズ」と混同しがちで、この曲にもいくつかのアレンジがあるかのような気がしてしまいますね。この曲のアレンジは「愛する人の死(Disc2-30)」のみで、あとはすべて原曲が使われています。 |
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11.The Hometown 故郷の村
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序章、いろいろあった一日が終わって、翌日。臥せっている旅の剣士の様子を見に診療所を訪れるヨシュアたち。そんなイベントで耳にする曲です。と言ってもイベントBGではなく、ポラータ村のBGM。RPGで言うところの「街」みたいな種類の曲です。ポラータ村にいる間はショップ、酒場、診療所、教会などで通して流れます。ただし、急を要するイベントの最中は村の曲が「Tension」などに変化する場合があります。 弾むような木管と弦を中心にし、複数のパーカッションも鳴らされて明るく楽しげな雰囲気。貧しいながらも健全に生きる人々の姿が浮かぶようです。他への流用はなく、かつポラータ村に出入りできるのは序章の間だけであるため、ゲーム中では聴ける期間の限定された楽曲です。イントロにさりげなく「場景〜風車小屋」を組み込んでいるあたりにも注目。 |
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12.The Whole Map (Theme of "Vandal Hearts II") 全体地図(主題)
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序章、剣士を治療するには破傷風予防の薬が足りないことをボナール医師から聞かされたヨシュアたちは、その材料になるミュール草を入手するべく、マスタ渓谷に向かうことになります。ここで初めて全体マップに出ることになり、そこで流れるのがこちらの曲です。曲名からもわかる通り、これぞ「ヴァンダルハーツIIのテーマ」であり、そのモチーフは様々な曲に散りばめられているのです。ゆったりとしたマーチにアレンジされたこのバージョンは細部を確認するにはうってつけですので、ぜひ耳に染み込ませて下さい。以後、例外なく全体マップにおいてゲーム終盤まで流れ続けます。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
13.Tension 緊張
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曲名からもわかる通り、緊張・緊迫したシーンで流れる、汎用イベントBGM。ピチカートストリングスとどこか異国情緒のある木管の旋律によって、不安感と得体の知れない不気味さを醸し出しています。汎用曲ということで特別なテーマ性は持たせず、背景音楽に徹したものです。まれに戦闘まで続けて流れることもあります。 初出は最初のロザースの丘での戦闘後、風車小屋でエグワームに襲われるレベッカ〜それを一撃で倒す旅人〜倒れた旅人を村に運ぼう!というイベント。以後頻繁に使用され、その独特な音の運びも手伝って非常に耳に残るものとなってます。 また、急を要するイベントの間、期間限定でポラータ村の曲がこの曲に変化することもあります(例:アデルを助けにダンジューの森へ向かう際、ポラータ村がこの曲に。酒場などに移動しようとしても「それどころじゃないよ」と言われてしまう)。 |
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14.Will 意志
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序章、子供達の隠れ家においてヨシュアとニコラがふたり、「生き方」や「夢」について語り合うシーンで流れる曲がこちらで、その名も「意志」。身分の違いに縛られて正しいことのできない村人たちや、自らの身分を卑下・諦観し、神の教えをタテにそれを美徳とする大人たちを見てきたヨシュアは、そんな考えに染まりそうになっていました。しかし、そういったものを「宿命」のようだと思っているならそれは断じて違う、人は自らの生き方を自分で選び取れる、なぜなら人には「意志」の力があるじゃないか!とニコラは語り、その言葉をきっかけとしてヨシュアは、宿命に縛られない生き方を模索し始めるのです。 木管のみで奏でられるこの曲は、「意志」という抽象的なものに添えられるため、イメージ重視の曲調。どこか宗教音楽の雰囲気も漂っています。そしてこのメロディはアレンジされ、Disc2「運命と意志」「意志の力」へと派生します。このオリジナルの「意志」が流れる場面は上の通りでそれほど多くはありませんが、それらのアレンジが多用されているため結果としてゲームで最も多く聞かれるメロディになっています。もうほとんど「第2メインテーマ」と言っても良いぐらいです。 |
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15.Warfare on a Forest 戦闘〜森
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森マップでの戦闘BGM。初出は序章、ヨシュアにひどくなじられたアデルが思い詰めた表情で向かったというダンジューの森でのバトルです。平原の戦闘音楽に比べて暗めで重く、うっそうとした感じのイントロで始まります。森マップは地形が複雑で移動に手こずるうちいつの間にか混戦状態になることもあり、手こずるものです。さらに森で行われるシナリオ必須バトルではそのままこの曲が使われることも多く、そのため編成が厚くハードな曲調に仕上げられています。平原の曲と聴き比べると、コンセプトから違っていることがわかります。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
16.Scene : Night 場景〜夜
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環境音を模した、情景用の効果音楽のひとつで、夜のシーンに流れるもの。虫の声を模したものであるように聞こえます。草むらの中から聞こえるバックグラウンドとしての虫のコーラスを弦が、個別の鳴き声を管やパーカッションが担当し、立体的な空間を作り出しています。サントラではここに配置されていますが初出は序章で、コドレフ救出のためコシモの力を借りようと彼の邸宅に向かう途中、カタオ山でコシモ本人と出会う場面です。「初出」とは書いたものの、他にこの曲が使われているシーンは確認できませんでした。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
17.A Room of the Clan of Nobles 貴族の広間
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貴族サイドのイベントにおいて、背景音楽として度々使用される曲です。タンバリンとピチカートストリングスによる3拍子の曲ですが、舞踏音楽というよりは劇音楽であり、それもどこか暗い雰囲気で陰謀めいたものを感じさせます。つまり本作において貴族はそういう描かれ方をしているというわけです。領民・農奴から搾り上げることしか考えておらず、自分の富や名声にしか興味がない……。グラードなんかはその典型と言えるでしょう。 そんなグラードが収税吏に対してもっと厳しい取り立てを命じ、アデルと言い争う序章でのイベントが初出となります。幼いアデルにも、グラードがやっていることがどういうことなのか理解できているのでしょう。だからこそ、平民のヨシュアたちとばかりつるんでいるのかもしれませんね。そして、グラードに自室に行くよう命じられて退出したアデルと入れ替わりにやって来る男……ゴダールとはいったい何者か? というわけで、いくつかの例外はあれどグラード関係のイベントで多用されている曲です。コシモにも使われていることについては疑問に感じる人もいるかもしれません。貴族とは言ってもグラードとコシモは正反対ではないかと。さらにアデルのイベントに使われていることも。つまりこの曲はそのキャラクターを修飾するものではなく、あくまで「貴族の広間」という舞台に添えられているのです。 |
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18.Continuation of Scene 場景の続き
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場面転換用の短いME。聞いてすぐわかる通り、「貴族の広間」のメロディを利用しています。序章、ニコラからある書簡を受け取ったコシモが、自室でひとり考えを巡らせる場面の冒頭で流れました。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
19.A Weird Wind 不穏な風
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こちらもMEですね。場面の展開に合わせてこのような短いタッチを紡いでいくのは、まさしくバレエや舞台音楽の手法です。序章、ニコラから受け取った書簡について考えを巡らせるコシモ。すると、窓から一筋の不穏な風が吹き込み、ロウソクの火が消えます。暗がりの中に現れたのは、ゴダールでした。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
20.Introduction to "The Wizard" 魔道士への序奏
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序章、コシモの前に現れたゴダールは、なぜかニコラの書簡のことを知っていた……。ゴダールは書簡を欲し、コシモを拉致。「……これでよい」……ゴダールの目的とは?彼がただのグラードの側近などではなく、どうやらもっと大きな悪である、ということがわかるシーンで流れる曲です。低音部のアクセントだけで進行する、メロディのない楽曲ではありますが、実はこれ39曲目「魔道士」のイントロ(というかアンダースコア)ですね。音でキャラクターを印象付けているわけです。トラック18「場景の続き」、19「不穏な風」、そしてこの「魔道士への序奏」はゲーム中では一連の組曲として、連続して流れます。 続いて登場するのは2章、チャピ砂丘クリア後のイベント。アポス港でヨシュアらとはぐれたユーリとフランツは、ユーリの目的地であるザブ島遺跡に到着していました。呪文を唱えると書物が出現、それを読んで驚くユーリ。ほぼ同時にフランツに異変が。そして突如現れるゴダール……。というわけで、ゴダール登場からはやはり「魔道士」へと繋がります。 3章、ドミーゴの廃村クリア後のイベント。戦いに加わってくれた青年は名乗りもせずに立ち去ります。「クドゥール派には気をつけろ」と言い残して……。この曲が流れているために彼がクドゥール派なのかと思うかもしれませんがそうではなく、この村で目にした「狂気」がクドゥール派によるものだということを表しています。そしてイベントは場面転換し、楽曲はやはり「魔道士」へと……。 3章ヌガッソの森クリア後、教皇危篤の報せを受けて苦悩するラドラック枢機卿の前に現れたゴダール。一通の書簡を差し出し、そこに書かれている内容をもとにラドラックをそそのかします。しかし彼が乗ってこないと見るや本性を現し……もちろん曲は「魔道士」に切り換わります。 このように、一貫して「魔道士」の前フリとして使われるこの曲。まさしく「序奏」ですが、そのうちプレイヤーはこの音が流れてくるだけで「あっ、ゴダールだな」とわかってしまうため、イベントでどんなに謎めいた展開を作っていてもバレバレに。場合によってはあえて流さない方が意外性のある演出ができたかも。 |
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21.Madness People 狂気
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何らかの原因でまともではなくなってしまった人々と戦わなくてはならない場面で使われる、煽り立て音楽。戦闘BGに分類されますが、イベントにも使われることがあります。金管を前面に押し出した混沌とした旋律とブ厚い編成、そして圧倒的に早いテンポで危機感たっぷり。そこかしこで血みどろの混戦が行われているさまが目に浮かびます。一歩間違うとただのキテレツ音楽になりそうなところを、しっかり丁寧に完成させているあたりはさすがですね。勢いだけで作るとこうはいかず、メチャクチャでやかましいだけの曲になる可能性も。 初出は序章、バイロンの屋敷・大広間での、コシモとの戦闘。問答無用で襲い掛かってくるコシモと、不本意ながらも戦わなくてはならなくなったしまったヨシュア。このことが、ゲーム終盤までストーリーの基盤となる悲劇の幕開けになってしまうのです。 再度この曲を耳にすることになるのは、3章で訪れるドミーゴの廃村。ここで目にする住人たちはあの時のコシモと同じように正気の沙汰ではなく、もちろんヨシュアもすぐそのことに気が付きます。襲いかかる人々を相手にした避けられぬ戦い……。かつてコシモを失ったアデルがいま、知らないとはいえこの悲劇を引き起こしたクドゥール派とともにいるとはなんとも皮肉な話です。 他にも3章で中央ナトラ本部に侵入者が現れてフランツをさらってしまうイベント、最終章パゾの森での正気を失った冷血騎士団との熾烈なバトル、ニグラン大聖堂外部での正気を失ったマーラーとの戦いなど、一貫してクドゥール派の「実験」「術法」によってまともではなくなった者に関する場面で使われています。そして最終章ニグラン大聖堂地下での最終戦、いわゆるラスボス戦でも使用。ゲーム上で真のラスボスとの戦いを彩るのは意外にもこの曲なのでした。普通ならラスボスとの戦いには特別な一曲を用意するところですが、ゲーム序盤から積み重ねてきたネタである「実験」「術法」の集大成こそがラスボスですから、この曲が充てられるのはきわめて正しい演出です。 |
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22.Destiny 運命
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Disc1の2曲目、「歴史」のアレンジ。前者が弦中心だったのに対し、こちらは木管中心でよりはかない曲調になっています。序章、バイロンの屋敷でやむなくコシモを手にかけてしまったヨシュアと、それを発見してしまったアデルのやり取りにおいて初出となります。この瞬間から、アデルにとってヨシュアは「大好きな幼馴染み」から「祖父の仇」「下賎な犯罪者」となり、彼女の恨みとヨシュアの贖罪の念はゲーム終盤までストーリーを引っ張っていくことになるのです。 序章が終わり1章が始まると、まずはテキストで時代背景の説明があります。ナトラは2人の王を戴くという異常事態にあり、泥沼の内乱まっただなか。その解説に流れたのがこの曲でした。逆に、2章ではエンディングにこの曲が流れます。偉大すぎるクルース公の息子として、己の無力に焦っていたレオーネ。良かれと思ってやったことで、自らの命を落としてしまうのです。しかし最期に父から「自慢の息子」との言葉をかけてもらった彼は、満足そうな顔で息を引き取ります。そのまま2章は幕を閉じ、3章の幕開けは同じメロディの「歴史」が流れます。このあたり、ちょっとクドいかな。アレンジ違いの同一曲が続けて流れるって……。 最終章では、まず岩窟修道院クリア後のイベント。過去に選んできた選択肢によっては、この戦いのなかクライブが死亡します。戦闘後、クライブがヨシュアに「レベッカを頼む……」と言い残して息絶えるシーンで流れたのはこの曲でした。クライブは幼なじみの中では、アデルやユーリに比べて影の薄い存在でした。特別な身の上があるでもなく、なにか秀でたところがあるでもなく、威勢がいいだけ。それは演出サイドも感じていたようで、アデルやユーリの死に際には専用曲が用意されているのに、クライブだけは既存曲の使い回しなのです……。合掌。 ナトラ王宮正門をクリアしたヨシュアたちは王宮内部へ。気合入れて突入したのに誰も……いや、ユーリがいました。実はこの時点で隠し究極武器「ヴァンダルハーツ」を取得したか否かで展開が変わります。持っていればユーリが改心、持っていなければ彼と戦うことに。イベントシーンでこの曲が流れることについては同じです。 エンディング中にも流れます。ヨシュアたちが続けてきた戦いは確かに終りましたが、人々は戦いをやめなかったのです。人々の中にあった信仰が崩れ去ることは、彼らを律するあらゆる規範も失われたということ。二重帝国や共和国、大小の内乱・謀略・民族主義などが大陸全土に渡る戦乱を繰り広げました。真の平和は、変革はまだ遠い……そんなヨシュアのモノローグから、スタッフロール直前まで。 印象的な曲であるうえいくつものアレンジがあり、メロディの耳馴染みはメインテーマに並ぶものになっています。それだけに「力無き人々」とのはっきりとした差別化をしてほしかったところ。「歴史」シリーズと「力無き人々」って、出だしの音形が似ているんですね。それぞれ別のものを表すのであれば、ガラッと変えた方が効果的だったのでは。ワザと似せてるんだよ、と言われれば返す言葉もないですけど……。 |
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Part 1 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
23.Traveling on the Train #1 列車走行1
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1章冒頭、物資を乗せて失踪する「東ナトラ」の軍用列車。そこで流れるのがこの楽曲です。前作にもこういう「汽車の走りを模した曲」がありましたが、本作ではさらにわかりやすくなっています。弦の刻みは汽車の走行音、管は「ポォ〜ポォ〜」と汽笛を表現し、スネアドラムが「タタントトン」とレールの継ぎ目の音を演出。BGMというよりはこれも効果音楽の類と言えます。 ひとりの兵士が、金を積まれて上官に無断で乗せた民間人と会話しています。西ナトラなどは恐れるに足らずだが、最近世間を騒がしている盗賊団「紅の狼」に話が及ぶと……。↓ |
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24.Urgent Stop of the Train - The Hero's Theme 列車の急停車 主人公の主題
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急停車する汽車!スネアのリズムが徐々にゆっくりとなって止まる、というのが芸が細かいです。高音を持続する弦は言うまでもなくブレーキ音を模しています。そしてハデに盛り上げた後、13秒からは主人公のテーマでさらに盛り上げます。作品のメインテーマも組み込んだ「タッタラター」のフレーズは既におなじみになっているかと。これが主人公のテーマでなくて何だと言うのか、という説得力がありますね。そして汽車の前に立ちはだかるのは……すっかりたくましくなった、成長したヨシュアその人でした。序章は彼の回想だったのです。ここからゲームの最後までは、成長したヨシュアが導いていきます。 楽曲は続けて行われる鉄道路での戦闘まで通して流れます。この主人公のテーマは後に何度も使われますが、「列車の急停車」が流れるのはこれ一度きり。あとはDisc2-27「主人公の主題」が使われています。 |
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25.The Chivalrous Robber 義賊
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「主人公の主題」のライトバージョン。メロディ的にはどちらかと言うと「ヴァンダルハーツ2のテーマ」寄りですね。1章、汽車を止めて東ナトラ軍を蹴散らしたヨシュア、そして今の彼が行動を共にするブラッド、パイクらのやや間の抜けたやり取りで流れるものです。そして、汽車の積荷を調べるとひとりの老人と女性を発見。なんと彼らは西ナトラ最強を謳われる白竜騎士団のプラトー伯爵、そして女戦士リラでした。ヨシュアは「俺たちには関わりない」と立ち去ろうとしますが、伯爵は彼らを傭兵として雇いたいと申し出るのです。彼らは多額の報酬もあって、この申し出を受け入れます。他の使用箇所もほとんどが、彼らの活躍や新たな行動を起こす場面です。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
26.A Crisis (Metamorphosis based on Theme) 緊迫
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1章、ルクサル村に立ち寄ったヨシュアらとプラトー伯爵たちは、野盗の襲撃を目にします。関わらない方が……というパイクをよそに、プラトー伯爵とリラは野盗許すまじ、と村人を助けに。二人に死なれたら報酬がパアだ、ということでヨシュアらも加勢せざるを得なくなるのです。思えばヨシュアたちはこんな感じで伯爵に振り回されっ放しのまま、大きな渦に巻き込まれ……。 そんなルクサル村で初出となるのがこの曲。煽り立てるような厚い編成でテンポも速く、緊迫した状況を盛り上げます。イベントに戦闘にと便利に使われますが、曲名にもある通りに「メインテーマの変形」。10秒以降で聞くことのできる金管の「タッタラター」は紛れもなくテーマのフレーズ。そりゃあ使い易いわけです。意味合いも出てきますからね。 その後、鉱山刑務所・儀式部屋でのモホーサ、サムヒンらとの、フランツ奪還を目的とした戦闘において流れます。シナリオ上重要な意味を持つバトルでメインテーマが流れるのも納得。その後、この曲を聴くことになるのはだいぶ経ってから。4章のルガスタ遺跡で、しばらく会わない間に敵対者となっていたユーリ。話し合いの余地もなく、彼が呼び出した敵を相手にしなければならなくなります。 モホーサがらみでは、最終章ニグラン大聖堂内部でのバトルにもこの曲が。立ちはだかるのはもちろんモホーサです。小物かと思いきや、ゲーム最終戦間際まで生き残るとはなんとしぶといヤツ……。こういう場合は大抵、制作スタッフに人気があるんですよね、そのキャラが。そう思って見るとモホーサ関係のイベントや人格設定・セリフ回しなんか、けっこう気合い入ってるもんなあ。 もっと便利に使えそうな気がするのですが、終わってみればそれほど使われていないんですね。 |
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27.The EAST Area 東
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東ナトラの村や町で流れるBGMです。最初にこの曲を聴くことになるのは、1章開始後まもなく訪れるルクサル村。とは言うものの全部で3ヶ所。町や村がそれほど多くない本作、しかも「西」は別の曲ですから、そんなにあちこちで流れるものではありません。交易都市や王都の曲に比べて寂しげで人の匂いも感じませんが、妙に懐かしくてホッとしますね。昔話とかで流れてきそう。音色のビブラートも丁寧に作り込まれており、少ない音数ながらもしっかり聞かせる仕上がりはさすが。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
28.The Empress 皇后
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王母アガターのテーマ。つまり敵側(西ナトラ)ですね。1章、要請した数には程遠い数の物資や兵員しかよこさない二重帝国について、アガターが使者に憤慨するシーンで初めて耳にすることになります。王宮音楽、舞踏音楽にも聞こえる曲調ですがアガターにそのような華やかさはなく、むしろドロドロとした思惑が渦巻く女性です。そうなるとこの曲は彼女のテーマとしてはミスマッチであるように思えますが、楽曲はあくまで「西側」という背景を表現するため、あえて人物そのものには寄せていないのではないかと思われます。曲調を差別化することで、舞台を明確にする……「この音が聞こえたら西だよ、この音はゴダールだよ、メインテーマは味方だよ」という。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
29.Attack (Metamorphosis based on Theme) 進攻
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メインテーマをアレンジした戦闘BGM。テーマをアレンジした曲はいくつもあれど、中でもこの曲はタイトル「進攻」の通り、最もイケイケなアレンジと言えます。ゲームをしながらしっかり音楽も味わっている人なら、この曲が流れる戦闘ではよりいっそう「負けてたまるか」という気分になるはずです。 1章、白竜騎士団の拠点・ガスタ砦での戦いで初めて耳にすることになるでしょう。いろいろありつつもやっとプラトー伯爵を約束の場所まで送り届けたというのに報酬どころではなく、砦は東ナトラ軍によって陥落寸前!またまた加勢せざるを得ないヨシュアたちなのでした。その後もここぞというところ、「絶対に引き返せない、進むしかない重要な戦い」といったバトルで使われています。メインテーマであるからにはそうでなくちゃね。 |
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30.Political Issues 政争
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序章、ポラータ村から立ち去った剣士を追うヨシュアたちが、ユタ平地西での戦いの後、街道で冷血騎士団と出会うイベントで初出となる楽曲。ここで出会ったヤコブやジャミールと、大人になってから剣を交えることになろうとは想像もしないヨシュアたち。ここではヤコブらが去った後、クライブとユーリが冷血騎士団について、そして彼らが反逆者を狩り立てるラドラック枢機卿直属の秘密警察であること、彼らの行ってきた殺戮行為について語ります。ここで、プロローグと本編が繋がるわけです。楽曲はヨシュアたちと騎士団との出会いよりも、その騎士団が持つ背景について語っています。 その後も主にゲーム前半に集中して使われています。後半は「政争」に絡まない、はまた別の敵が表面に出てくるからですね。で、その前半での使いどころは曲名の通りで、情勢を見ながら次に打つべき手を思案する人、といったシーンが多いです。しかし全てがそうではなく、特に使うべき曲が見当たらない場面になんとなく使い回されている……ようなところもありますね。最初は「もしかして"歴史"とかを変奏しているのでは?」とも思ったのですが、本作でそれをやるならもっとわかり易く入れるでしょう。使用シーンに一貫性はなく、特にテーマ性もないようです。 |
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31.Warfare on a Water's Edge 戦闘〜水辺
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曲名の通り、川の流れるマップや湿原で耳にする戦闘音楽です。だから3拍子のワルツ調ってこともないのでしょうが、やっぱり水辺には3拍子がハマりますね。1章、東ナトラ潜入のため国境を越えるべく訪れたポルタ川での戦闘が初出となります。他も一貫して水のあるマップです。干上がったコラバ沼には水がありませんが、でもこの曲。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
32.The MINE-PRISON 鉱山刑務所
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1章、鉱山刑務所に着いたユーリは早速所長のモホーサ、獄吏頭サムヒンとやり取り。ユーリが調べようとしている場所はモンスターが発生していて立ち入りできないとのことなので、ヨシュアたちの出番となります。そんなユーリと所長らの会話イベントから流れているこの曲ですが、イベントBGではなく鉱山刑務所そのものの背景音楽。ゆえに町や村と同様、ここにいる間は常に流れ続けることになります。拍頭のタッチ、物憂げな木管の旋律、中盤からの金管など特徴的な音遣いが多く、そのシンプルさも手伝ってミョーに頭にこびりつきます。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
33.Weird Mood (Metamorphosis based on Theme) 不気味
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メインテーマを文字通り「不気味」にアレンジしたもので、主に戦闘で流されています。メインテーマはいきなりアタマから奏でられていますね。初出が1章・鉱山刑務所の地下坑道での戦闘だからか、筆者には弦と木管が妙に寒々しい空気を作り出しているように聞こえます。ショッキングなホラーテイストと言いますか……。なお、地下坑道3〜5層において共通。ただしそれはシナリオ時のみで、フリー戦闘ではDisc2-14「戦闘〜建造物」になります(ただしフリー戦闘で入れるのは3層のみ)。 3章でパウワ海を航海中、突如あたりに暗雲がたちこめ、ヨシュアたちの前にマーラー率いるクドゥルー派の船が現れるイベントでも使用されています。彼らは神の名のもと、問答無用で襲い掛かってくるのです。海マップでは通常Disc2-18「戦闘〜海」が流れますが、この戦いではそのまま「不気味」が通されます。 シナリオバトルでしか流れずその回数も決して多くないため、テーマアレンジでありながらゲーム中で耳にする機会はきわめて少なくなっています。ちょっと不気味すぎて使いどころがなかった? |
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34.Warfare on a Ruin 戦闘〜遺跡
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遺跡と呼ばれる場所での戦闘BGM。第一章、鉱山刑務所第6層におけるバトルが初出となります。38トラック目に「遺跡」という曲がありますが、特にこの曲との間に共通のフレーズがあるというような仕掛けはなく、別個の楽曲になっています。遺跡という場所のイメージを優先したためか、戦闘音楽というよりもイベント音楽に近いテイスト。神秘的なものを感じさせる謎めいたイントロから、楽曲後半は「悪のパレード」という感じ。んー、こうくるなら別に「遺跡」をそのまま流しても良かったんじゃないでしょうか?別曲を用意するほどの特別なものは感じられないです。もっとも戦闘音楽の中でもダントツに印象が薄いのはそのせいばかりではなく、使用箇所の少なさにも原因が。フリー戦闘をまったくせず、シナリオだけを追って進んだ場合、ゲーム中でこの曲を聞くことになるのはただの1度のみなのです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Part 2-1 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
35.Suspicion 疑惑
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特徴的な音色が耳にこびりつく奇妙な曲。なんかネコ鳴いてるよ?みたいな、どこかコミカルな感じもします。初出は序章でヨシュアがバイロンの屋敷に忍び込み、ヤコブとニコラの会話を聞いてしまうシーン。「なんでニコラさんが冷血騎士団の親玉なんかと……」というヨシュアの「疑惑」。自分を導いてくれた「尊敬する人」と、明らかな「悪者」が争うでもなく穏便に会話をしている……。しかしヨシュアは思考する間もなく、捕らえられてしまいます。 以後も多くのシーンで使われ、そのいずれもが当然のことながら疑惑がらみのシーン。密談を立ち聞きして知る真実、権力の利用と謀略、誘惑と困惑、利用する者される者、罠、裏切り……。ああ、いやだねえ人間って。まあそんなイベントがてんこ盛りなわけです。なんか筆者がプレイするSRPGってそんなのばかりなんですけど。で、ゲームが進むにつれ深刻さを増していくシナリオに、どことなく滑稽なこの曲は徐々に浮いていくことに……なるのですが、そこでもっとドロドロな曲を流すとほんとに暗〜いゲームになっちゃうわけで、良い感じで中和しているのかな。そもそもグラフィックが、制作陣が胸を張って「人形劇」と言う作りなわけで、曲ばかりシリアスになってもそれはそれで「浮く」のです。つまり、ゲームの雰囲気をうまくつかんで作られた曲だ、ってことなんですね。これで絵がリアル路線だったら、また変わってくるでしょう。 |
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36.Scene : The Wharf 場景〜波止場
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波止場用の情景BG。シーンの雰囲気を音で表した効果音楽の類です。2章のアポス港で初めて耳にすることになるでしょう。いよいよ船に乗って交易都市ナスカへ向かおうというところに、モホーサ率いる追っ手が……というシーンです(モホーサ出現のタイミングで楽曲は「対峙」に切り替わります)。これもやはり音楽というよりは、各楽器が場景音を模しています。聞こえませんか?風の音、打ち返す波の音、飛び回る水鳥の声が……。このサウンドデザインが固まったとき、効果音チームは喜んだでしょうね。「今回はラクできるぞ!」みたいな。環境音はほぼスルーでいいわけですから。まあ溶岩の音とかはさすがに付いてましたが。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
37.Confrontation against Enemies (Metamorphosis based on Theme) 対峙
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特別な地位の与えられた、特定の敵と戦うことになる戦闘で流される楽曲で、ゲーム音楽的な表現を借りれば「ボス戦音楽」ということになるでしょうか。本作で言えば3人衆や冷血騎士団との戦闘がそれにあたります。そういう敵のいるバトルは厳しいものになることが多いため、曲調も重くハードなものに、ガンガン煽り立てるというよりはジワジワと追い詰められるような雰囲気に仕上げられています。まあボスキャラはたいていザコが倒されるまではマップの奥でウロウロしてるので、おとりキャラで「接近しては離れる」を繰り返してMPを浪費させてしまえば楽勝なんですけども。 初出は1章、バーター平原でのゴドーとのバトル。続いて2章アポス港にて、船で次なる目的地に向かおうとするヨシュアたちの前にモホーサの追っ手が立ちはだかるシーン。さらにユゴー駅でのジャミールとの戦い、ガブール城地下一階でのVSジャミール&マノン、3章コラバ沼でのVSマーラー戦など。3章ランダル平原では慟哭のゴドーとの対峙イベントに(戦闘は別曲)。同じく3章コラバ沼でのソープとのバトル、そして3章ラストとなるドミーゴ村でのドゥーム・ゴドー・ソープら3人衆との戦いにおいても、負けられない戦いを盛り上げます。 戦闘以外でも流れることがあり、3章パウワ海西でマーラーを撃退した後、彼に詰め寄るイベントで使用されています。しかしそう容易くはいきません、ヨシュアたちの船の舵を破壊してあっさり姿を消すマーラー。順調に思われた航海でしたが、急遽予定していない土地に上陸せざるを得なくなるのです。 最終章冒頭の王宮の庭園では、アデルと会話するヨシュアの前に、「そこまでにしてもらおう!」とマーラーが現れる場面で流れています。ヨシュアがひとり行動している間、他の仲間たちは先に地獄に行ったぞと言いながらジワジワと迫り来る、マーラーとクドゥール信徒。とてもヨシュア一人で相手できる数ではない……。そこに、刺客を退けた仲間たちが現れます。まさに「対峙」。ここでは戦闘は別の曲にチェンジ。その後、ブッホ山でのゴドー、ソープとの最後の戦い、城塞都市ガードー城内におけるドゥームとの最後の戦いにも流れます。シナリオバトル用音楽としては最多使用ではないでしょうか。 |
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38.The Ruins 遺跡
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1章で鉱山刑務所第6層、聖遺跡に足を踏み入れた際に初めて耳にする曲。厳かな曲調がいかにも神秘的な「遺跡」という感じですが……前作からプレイした人にとっては、どこかで聴き覚えがあるのではないでしょうか?そう、前作の「遺跡」と同じ曲ですね。ファンサービス的な、こういった楽曲の流用は大歓迎です。直接的な繋がりはなくても、このような音楽的仕掛けを施しておくことでシリーズ作品に関連性が出てきますしね。 この曲、前作では「創世記」という原曲を核としてシナリオ上重要な立場を与えられていた曲なのですが、本作においてはそこまで重要なものにはなっていません。あくまで遺跡という場所のBGM、あとはちょっとした(但しベストエンドには必須な)隠しイベントに使われるぐらいです。しかもこの「遺跡」が流れるのは上記1ヶ所のみ、他は前作からともに出張してきた原曲「創世記」になります(Disc2-26)。 |
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39.The Wizard 魔道士
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ゴダールのテーマ、と言い切っても良いでしょう。彼が自分の思想を語ったり、悪事をはたらく場面で頻出する曲です。サントラでは一枚目のラストに置かれていますが、初出は序章。バイロンの屋敷に忍び込んだヨシュアは一度は捕らえられるものの、再度脱出する際に「アデルをこんな汚い大人たちのところに置いては行けない」と大広間へ。そこにゴダールが登場します。ゴダールは始末に困った厄介者の処分を、ヨシュアにさせるのです。そこに現れたのは……正気を失ったコシモでした。説得が通じるはずもなく、ヨシュアは不本意ながらもコシモと戦うことに……。 次に登場するのは2章、チャピ砂丘クリア後。ヨシュアらとはぐれフランツとともにザブ島遺跡に辿り着いたユーリの前に、突如ゴダールが現れるシーンです。ユーリは驚いていますが、音楽的にはこのイベント冒頭から「魔道士への序奏」が流れているので、プレイヤーにはバレバレです。ここはあえて序奏を流さない方が良かったかも。 当然のことながら他の使用場面もすべてゴダール関係。「魔道士への序奏」とセットで使われることも多いです。「くっくっくっ……」といやらしく笑うゴダールとともに重々しいイントロが現れ、戯曲的な「悪のテーマ」のようなものが木管で奏でられ始めます。そのうち弦も加わり、終盤は鐘まで打ち鳴らされて盛り上がります。決して長くはない曲ですが、その中に「小悪党」から「稀代の大悪人」まですべての要素が詰まっています。その展開が、「最初はおとなしくしているが徐々に本性を現す」というシーンにピッタリはまるんですね。お見事です。 |
Part 2-2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
01.Traveling on the Train #2 列車走行2
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基本的にはDisc1-23「列車走行1」と同じ曲です。ややこちらの方がパート数が少ないのは、流れるシーンがあまり長くない(すぐに次の「列車併走」に乗り換わる)ためではないかと。冒頭の汽笛を模した金管の後はリズム隊の刻みだけになります。各楽器が効果音のような役割を持たされて情景を演出しているのは前述の通りです。2章ユゴー駅でジャミールを撃破すると、ヨシュアたちは鉄道を使ってナスカを目指します。しかしそううまくいくわけがなく……。↓ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
02.The Two Trains Travel Side by Side (Metamorphosis based on Theme) 列車併走
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上のシーンの続き。ナスカ目指してひた走るヨシュアたちの乗る列車に、背後から迫るもうひとつの列車。それは「水のマノン」率いる追っ手でした。それに伴って楽曲がこの曲に切り換わります。ヨシュアたちが乗る列車の走行音を模すスネアに対し、タンバリンが敵の列車の音を表現しているのがわかりますでしょうか。併走する2つの列車両方の音を表しているわけですね。そしてこの曲はそのまま戦闘にも通して流されるため、しばらくするとメインテーマのフレーズが顔を出してきます。他に流用のない、ゲームで一度きりしか流れない曲です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
03.Scene : Field 場景〜野原
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汎用BGMで、野原を背景とするイベントで流される効果音楽。こういった場景の楽曲はただ垂れ流される音楽としてではなく、その場面で聞こえるであろう環境音を模したものであることは前述の通りです。この曲は「野原」ということで、持続する弦は虫のコーラスに聞こえますし、不規則に鳴らされる木管は鳥のさえずりのようでもあります。 初出は序章、ユタ平地東での戦闘を経たヨシュアたちがやっと剣士に追い着くシーン。しかし剣士は息も絶え絶え、平気そうに振る舞っていてもまだ怪我はよくなっておらず、再び意識を失ってしまうのです。 |
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04.Destiny and Will 運命と意志
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意志シリーズ、Disc1-14「Will-意志」のアレンジバージョン。原曲が木管中心だったのに対し、こちらは弦楽になっています。そのためより悲劇的、宿命的な重さが感じられますね。2章アポス港クリア後に挿入される、アデル視点のイベントが初出。このところアデル自らの意志で世話をしている孤児院が、何者かに襲撃を受け無残にも焼き払われているという絶望的なシーンです。アデルは「皆を守る力、世の中から不毛な争いを無くすことのできる力がほしい。そのためなら悪魔に魂を売り渡してもかまわない」と強く願います。まさしくこれはアデルの意志です。「よくぞ申されました!」とそこに現れたのは……。 「そうしたい」「こうありたい」と人は願うけれど、その意志の前に立ちはだかるのはいつも「運命」。運命の前に、人の意志は無力なのか?いや、そうではないはず、という序章から続く命題は、この曲が引き継いでいるのです。使用されているシーンはいずれも「意志」と「運命」が激しく絡み合うイベントばかり。作曲の田廻氏は、「どこにどの曲を乗せるか」というサウンドディレクション的なことも担当されたのでしょうか?本作に充てられている音楽のほとんどが、その作曲意図をきちんと理解したうえで付けられているように感じるんですよね。そういうことをわかってないプランナーとかが「この曲でいいか〜」なんてお気楽に指定したのではない、しっかり考えられた選曲がなされているように筆者は思います。 |
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05.The Capital 首都
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2章で王都ユゴーに到着すると鳴り響く楽曲で、これまでの町や村とは違った、弦中心の華やかな雰囲気。発展した街並み、行き交う人々の賑わいを感じさせますね。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
06.Invitation to the Club 酒場への誘い
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ユゴーに到着して初めて宿屋に移動すると、パイクとブラッドがヨシュアのもとを訪れ、酒場に行こうと誘ってきます。そのシーンで流れるのがこの曲で、ピチカートで演奏されるどこかコミカルなメインテーマアレンジです。後に、特定の条件下(ユゴー出発後〜ナトラ到着前の期間、夕方〜夜にユゴーへ行く)においてユゴーで発生する、パイクのナンパイベントでも流れます。何人もの女の子に声をかけてはいるもののいっこうにうまくいく様子のないパイクのナンパ、最後に声をかけたのは……。 ゲーム全体でこの曲が流れる箇所は極めて少なく、ある意味で最もレアなテーマアレンジと言えます。 |
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07.The Club 酒場
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ということでオトナの酒場へやって来てしまったヨシュア。「すまん、アデル……」と操を立てているところを見ると、ヨシュアはアデルに対して特別な感情を抱いているようです。その様子を見て茶化すパイクたち。その時、女性従業員と客との間でトラブルが……。ヨシュアには、その従業員の名前に聞き覚えがあるようですが……。 そんな一連のシーンで流れる曲がこの「酒場」。いかにも怪しげなイントロから、どこの国?と思わせる異国情緒。田廻氏の言うところの「架空の民俗音楽」に分類されるものですね。ここでしか流れず、しかもシーン自体が短いために不要と言えば不要な曲で、前の「酒場への誘い」でも代用は効くんですが、それだとトラブル以降のシーンにはちょっと合わない。そのため用意された専用曲なのでしょう。 |
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08.The Wrong for the Justice 大義のための悪
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序章、バイロンの屋敷に忍び込んだヨシュアは、ニコラとヤコブが一緒にいるところを目撃します。尊敬する人と悪人の親玉がどうして……。捕らえられたヨシュアは、自分を逃がしに来たニコラに疑問をぶつけます。「綺麗ごとだけでは何も変えられない」……本意ではないが枢機卿の力を利用せざるを得ない……。大人の理屈は幼いヨシュアには到底理解できるものではありませんでした。 次にこの曲を聞くのも、やはりヨシュアとニコラの会話イベント。2章のユゴーで再会した二人、いろいろあって道を見失いかけているヨシュアはかつて自分に「夢」を説いてくれたニコラに「どうすればいい?」とすがります。しかしニコラは「青臭い」「人ひとりの意志では何も変えられない」「戦乱が終らないのは民のせいだ」と、かつての彼からは想像もつかぬ発言を重ねるのです。それを聞いたヨシュアは激怒し、「俺は諦めない」と奮起、結果的にはニコラによって立ち直ります。狙ってやったのであればニコラはかなりのもんです。 3章でもニコラ関連のイベントで使用。パウワ海東クリア後、ニコラの居室。ニコラに対して中央ナトラとの講和を進言する枢機卿。国力の維持すら危うい現在の東ナトラ、西とはともかく中央とならば歩み寄りの余地はある、体面に拘っている場合ではないと説きます。しかし頑として聞き入れないニコラ。彼はナスカでの、ヨシュアとの会話を思い出すのです。「東ナトラに巣食う亡者を道連れに滅びるまで、悪役を貫き通す」、それがニコラの秘めたる意志。あえて「ダメな王」を演じているのです。 最終章以降はアデル関連のイベントに。彼女もまた、目的を為すためには手段は選んでいられない、利用できるものはすると考えていました。それがクドゥール派だろうと、結婚相手のフランツであろうと……。 使用シーンの印象と覚え易いメロディから何かのアレンジかと思われるでしょう。楽曲の意味合いと、そして最も近いものとして筆者は「意志シリーズ」の変奏だと解釈しています。 |
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09.Continuation of Scene 場景の続き
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トラック20「作戦会議」からメロディを抜いた、アンダースコアバージョン。2章交易都市ナスカにて、囚われのヨシュアとクルース公をプラトーたちが助けに来るシーンで使われています。どうやらこの地にヤコブらがやって来ているらしい……。このままではフランツが危ない!という場面です。このバージョンが使われるのはゲーム中でもここ一度きり。おそらくシーンが短いためにメロディが鳴ってしまうと収まりが悪く、このような伴奏のみのバージョンが用意されたのでしょう。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Part 3 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
10.Warfare on a Mountain 戦闘〜山岳地
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山岳マップでの戦闘音楽です。初出は序章、コドレフを救出するためコシモ邸を訪れる途中で発生する、カタオ山での戦闘。以後山岳マップではシナリオバトル・フリー戦闘共通して使われていきます。例外的にダボル岳はシナリオバトルがなく、ブッホ山はシナリオではボス戦があるため別の曲が充てられています。 山をエッチラオッチラと登りながら戦うイメージなのか、楽曲もゆっくりと「よっこらしょ、よっこらしょ」という感じで進行。こういう移動に制限のあるマップはなかなかどうして苦戦を強いられ、思うように攻撃が届かなかったり、逆に敵の攻撃はこちらに届いちゃったり。イライラがつのる持久戦には、煽り立てる曲よりもこういったドッシリとした音楽がよくハマりますね。 |
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11.The Destiny Changes Everything 運命は流転する
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Disc1「歴史」「運命」と同じメロディから派生したアレンジで、木管とピチカートストリングスから成る音数の少ないバージョン。テンポもよりゆっくりしたものになっています。3章の冒頭で再度出会ったヨシュアとアデルの二人は、ひょんなことから二人きりになります。谷底の小さな洞穴で……。しかし、アデルにとってヨシュアは依然として「祖父を手にかけた人殺し」。ここで選択肢が現れ、「罪を償う」「言い訳して命乞い」いずれかの行動を迫られます。実はこれ、ゲームの進行に大きく影響するもの。できればセーブデータを複数用意しておきたいところです。どちらを選んでもこのイベント中に流れる曲自体は変化しません。 3章では、ドミーゴ村での対3人衆バトル後のイベントで流れます。西ナトラ辺境のザギン遺跡にて、ひとり調査を続けるユーリ。書物を読み、「真実」に触れながらもまだどこか信じきれないでいる……。そこに現れたゴダールがユーリに真実を語るのです。ユーリは何を知るのか。彼の「信仰」は?彼がそれを捨てた時、彼の運命もまた流転するのです。 しかし何と言っても、本作で最もその運命を流転させてきたのはゴダールに違いありません。最終章、ガードークリア後のナトラ王宮でのイベントで、アデルの前に現れたゴダールは彼がなぜ今のような立場になり、何のために恐るべき計画を進めているのか、過去の出来事を語るのです。悪には悪の理由がある……。いや、何が「正義」で何が「悪」なのか、それはその人の立ち位置でどうにでも変わってしまうもの……。 |
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12.Going to Warfare 出陣
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どこか楽しげで前向きな、メインテーマのアレンジ。ゆっくりとはしているものの、弾むように軽快なアレンジには重さ・暗さはなく、自信に満ち溢れた作戦行動という感じ。サントラではこの位置ですが初出はもっと早く、序章。剣士の治療に必要な薬の材料を手に入れるべくヨシュアたちが初めて全体マップに出て、マスタ渓谷で行う戦闘で流れています。曲調が「子供ながらも薬草を取るために奮闘する健気な姿」にふさわしく、もしやこの戦いのために作られた曲ではなかろうかと邪推してしまいます。 次に耳にするのは3章。アデルとヨシュアの谷底イベントの後に見られる、中央ナトラの本拠地ナスカでの作戦会議。クルース公やプラトーを中心に「次に攻めるべきは東か、西か」が議論されます。そして、プラトーの案によりまずは西から、と決まり、その具体的な作戦をヨシュアたちに伝えるところまで通して流れます。 |
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13.Fanfare : Level Up 昇級
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キャラクターがレベルアップした際に流れる。軽快なME。これに合わせてキラキラと輝きながらジャンプするキャラが可愛いですね。「やったぁ!」という声が聞こえてきそうです。こんな短いMEもしっかりメインテーマになっているところはさすが。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
14.Warfare on a Constructions 戦闘〜建造物
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「建造物」に区分される戦闘マップで流れる曲です。見たまんまの解説ですみません。もっとも使用箇所一覧をご覧いただければわかる通り、シナリオ上の必須バトルでは一度も流れていません。すべて、プレイヤーが能動的に行うフリー戦闘です。つまりレベル稼ぎやアイテム探索をせず、シナリオの進行だけを追いかけてエンディング一直線なプレイヤーはこの曲を聞かないままゲームを終えることもあり得ます。流れるように爽快なこの曲はバトル曲の中でも個人的に好きな方なので、非常にもったいないですね。別の曲のフレーズが組み込まれているとかそういった仕掛けはありません。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
15.Fanfare : Finding of a Treasure 財宝発見
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宝箱を開けたり、探索歩行で足元に隠されたアイテムを発見した際に流れるME。レベルアップとの区別を明確にするためにメインテーマのフレーズの後半部分を用い、音も金管ではなく弦をメインにしています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
16.Warfare on a Town 戦闘〜市街地
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2章・リウキの関所が初出となる、「市街地」マップを舞台としたバトルで流れる戦闘音楽。リウキの関所が市街地かどうかは微妙なところですが……。14曲目の「建造物」ほどではないですが、シナリオ上の必須バトルで流れるのはそのリウキの関所一度のみ。あとはフリー戦闘でしか流れません。プレイヤーによってはその存在をまったく覚えていないかもしれない、不遇の曲です。筆者は何度となく聞きましたが……。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
17.The Trade City 交易都市
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2章で訪れる交易都市ナスカで初出となる楽曲。というかそこでしか流れませんし、曲名からしてそのためのものですよね。ユゴーで流れる「首都」とはまた違う曲調で派手さはありませんが、人の往来・行き交う物資といったスケール感は楽曲後半になるほど顕れてきます。イメージとしては、街の入り口は静かだけど奥に入るほどに活気に満ちてくるといった感じ。人々が遊んだり暮らしたりする場所ではないんです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
18.Warfare on a Sea 戦闘〜海
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海上戦闘で流れるバトルBGM。初出は3章のパウワ海東での戦闘です。西ナトラを討つべく海上を船で行くヨシュアたちの前に、海賊が立ちはだかります。敵は東西勢力やクドゥール派だけではないのです。あとは海上マップでのフリー戦闘でしか流れません。まあ海マップ自体が少ないので……。これも人によってはゲームで一度しか聞かない曲。アイテム収集家は、パウワ海西は最低2回プレイしなければなりませんよ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
19.The WEST Area 西
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3章で訪れるミズール村が初出となる町BGM。やはりちょっと異国情緒があり、民俗音楽風に仕立てられています。東は「うわー寂れてるー」というほどに寂しい曲でしたが、西はちょっと華やかで、東よりは潤ってそうな感じ。というか、東と西を合わせても、王都や交易都市を除いた町や村って5ヶ所しかないわけで、わざわざ曲を分ける必要はあったのでしょうか?都市は別にしても、町村の曲は同じで良かったんじゃないか、と思わないでもありません。たとえばどちらかが凄く栄えてて、どちらかが滅亡寸前というなら分ける意味があるでしょうけど、本作の場合はそうでもないでしょ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
20.A Meeting 作戦会議
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メインテーマ、または主人公の主題をアレンジした汎用BG。曲名のような作戦会議シーンはもちろん、ちょっとした会話イベントなどでも頻出する曲です。当然ながら味方側視点でのイベントでしか流れません。 初出は1章のバーター平原、ゴドー撃破後に挿入される会話イベント。「西の軍人プラトーが、なぜ同じ西から命を狙われているのか」という疑問を伯爵にぶつけるパイク、というシーン。続いては2章漁村アポスでの作戦会議、船に乗って交易都市ナスカへ向かうと言うプラトーですが、そうすんなりといくものか……?そして3章コラバ沼クリア後、ハメットからクドゥルー派の狂気の実験について聞かされるヨシュアたち。今後は東西勢力のほか、クドゥルー派の存在にも注意する必要があると認識を改めるシーンでも流れています。 他の使用箇所も、基本的には集まっている仲間のもとに新事実が知らされ、それに対してどう動くか、ということを論ずる場面になります。そういったニュースを持ってくるのがだいたいギルティなので、筆者はこの曲を聴くと彼の顔が浮かんでしまいます(笑)。 |
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21.The Wizard and The Cardinal 魔道士と枢機卿
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Disc1-39「魔道士」の別バージョン。3章ヌガッソの森クリア後、ラドラック枢機卿の前に現れたゴダール。ちなみに彼らはここで初対面となります。というか曲名のまんまですね。一通の書簡を差し出し、そこに書かれている内容をもとにラドラックをそそのかすも、彼はそれを突っぱねます。乗ってこないと見るやゴダールは本性を現し、そこからこの曲が流れ始めるのです(そこまではDisc1-20「魔道士への序奏」)。「お前なぞ知らぬ」と言うラドラックに対し、自らの本当の名を告げるゴダール。プレイヤーにはまだ知らされませんが、明らかにラドラックはショックを受けうろたえています。ゴダールは何と名乗ったのでしょうか……? 「魔道士」との違いは、イントロが長いこと、主題のリピートが省略されてすぐにサビ(?)にいくこと、そしてサビから主題には戻らないこと、などなど。イベントの展開に合わせるため、曲の展開も調整してるんですね。ラドラックがうろたえているのにまたイントロに戻ったらヘンですし。ここはグワーっと、恐ろしく盛り上がったまま終りたいわけで。で、このバージョンが流れるのはこれ一度きり。流用はありません。 |
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Part 4 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
22.The Resistance 反抗派
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最終章で初出となる曲です。ユゴーの王宮でクドゥルー派に追い詰められたプラトーたちは、思いがけない人々の助けによって窮地を逃れます。現れたのはクライブとレベッカ、そしてナゾの「ボス」……。ヨシュアたちは彼らの組織「パルチザンのアジト」に招かれるのです。そこで流れるのがこの楽曲。つまり彼ら「パルチザン」のテーマ曲ですね。彼らは今の戦乱をもたらすものは統一ナトラでも西でもなく、その背後にいるクドゥルー派であると説きます。そこまでクドゥルー派に詳しいおぬしらはいったい……?とプラトーが尋ねると、ボスは素顔を明かすのです。謀殺されたとばかり思われていた……! 次にこの曲が使われるのは、上記イベントのすぐ後。パゾの森に向かったものの、そこのアジトは既に壊滅していたことを、パルチザンのアジトに戻って報告するプラトーたち。ボスは彼らに感謝し、続けてクドゥルー派討伐に際しての協力を要請します。クドゥルー派に送り込んだ彼らの内通者を介し、教祖ゴダールの居場所を突き止めたと言うのです。ヨシュアは快く承諾し、プラトーも今しかあるまい、と機を見定めるのです。かくしてヨシュアたちは本格的にパルチザンと手を組み、クドゥルー派を討つために旅立ちます。 他にもパルチザンとヨシュアたちのイベントはいくつかありますが、この曲が流れるのは上記の2回のみ。この段階でまた新勢力登場、という事情はあるにせよ、別になくてもよかった曲じゃないかなぁ、と。飛び抜けて個性のある楽曲ではないですし、代用の効く曲はあると思うので……。用意したなら、もっと使うべきでした。使えるシーンはありましたから。 |
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23.Warfare on a Hidden Place #1 (Arranged based on "A Fort" from "Vandal Hearts") 戦闘〜隠された場所1
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本作は前作同様、普通にゲームを進めていたのでは行くことのできない、隠された戦闘マップが存在します。その数は前作以上に豊富。そしてそれらへ辿り着くためには、埋もれたアイテムを発見したり、特定のイベントを発生させたりといった手順が必要で、予備知識がないとすべてを見ることはおそらくできないでしょう。もちろん行かなくてもゲームのクリアには支障ありませんが、行けばより強力なアイテムが手に入ります。そしてベストエンドを迎えるのに必要な究極武器「ヴァンダルハーツ」を獲得するのに必要な「プリズム」を入手するのにも、隠しマップのプレイは不可欠なのです。 前置きが長くなりましたが、それら隠しマップで流れる戦闘音楽には特別なものが用意されているのです。具体的には、前作の楽曲をアレンジしたものが3曲用意され、隠しマップで流されます。これらは隠しマップ以外で流れることはなく、ゲームを隅々までプレイしてくれる、かつ前作からのヴァンダルファンに向けたサービスと言えます。このトラックは前作「ヴァンダルハーツ」のサントラでは23曲目に収録されていた「砦」。だからと言って砦っぽい隠しマップに流れているのかと言えばそんなことはなく、前作から戦闘曲をセレクションした時にそうなったということだと思います。基本的に前作オリジナルの曲を踏襲していますが、音色はもちろん本作のものになっており、細部のアレンジも微妙に変わっているほか、テンポもややゆっくりになっています。前作も本作もプレイした人は聴き比べてみては? |
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24.Warfare on a Hidden Place #2 (Arranged based on "A Crisis" from "Vandal Hearts") 戦闘〜隠された場所2
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こちらも隠しマップ用戦闘音楽で、前作「ヴァンダルハーツ」サントラの42曲目「危機」です。前作の中でも最もキャッチーな戦闘音楽でしたね。前作をプレイした人であればすぐに「あっ、この曲!」と思うことでしょう。こちらも基本的にはオリジナルを踏襲していますが、もちろん細部は変わっています。特にリズムやパーカッション関係が豊富になっており、音色も格段にグレードアップ。つまり「ゴージャスになってる」ってことです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
25.Warfare on a Hidden Place #3 (Arranged based on "The Hero's Theme" from "Vandal Hearts") 戦闘〜隠された場所3
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隠しマップ用音楽3曲目は、前作「ヴァンダルハーツ」サントラ43曲目の「テーマ」、メインテーマですね。前作もやり込んだ筆者は本作でこの曲を聴いた時、凄く嬉しくなりました。アッシュがいるんじゃないかと錯覚したぐらいです。しかしそこで剣を振っていたのはヨシュアでした。ここまでやるぐらいだから、隠しキャラとしてアッシュが仲間になるなんてこともあるんじゃないの?と思いましたが、結局それはなかったですね。まあ、アッシュは実はチラッとだけ登場するんですよ。いや、アレは絶対にアッシュだって。 前作からの流用曲はすべて、オリジナルも田廻氏が作曲を担当していたもの。 |
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26.The GENESIS 創世記
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曲名通り、前作「ヴァンダルハーツ」の「創世記」と同じ曲です。もちろん音色などは本作用のものになっていますが、楽曲そのものについては大きな違いはありません。さらに前作ではこの曲を核とした「創世記アレンジ」を要所要所で用いることによってシナリオを補っていましたが、その中から「遺跡」という楽曲も本作に持ち越されています(Disc1-38)。ただし本作においては前作ほど重要な意味を持たされてはいません。 この「創世記」はゲーム中ではだいぶ遅れての登場となり、4章のルガスタ遺跡を初めて訪れた際に耳にすることになります。神秘的な雰囲気は謎めいた遺跡にぴったりです。このルガスタ遺跡には、マップ奥に初めて訪れた際には入れない「開かずの扉」がありますが、この中には何があるのでしょう? その答は、すべてのプリズムを持って再度ルガスタ遺跡を訪れると得られます。開かずの扉の中で我々を待っていたのはニルヴァースその人。とは言っても彼の遺した立体映像ですが……。そこに映るニルヴァースは、「創世神話」の真実を語り始めます。彼の行ったこと……そうせざるを得なかった理由……。これを知れば、ユーリも揺らいだ信仰を取り戻せるはずなのですが……。すべて語り終えたニルヴァースは、最後に究極の力を秘めた剣「ヴァンダルハーツ」を託すのです。これを見せればあるいはユーリも……。 ヴァンダルハーツを持った状態でグッドエンドを迎えると、エンディングの最後の最後にイベントが追加。ヨシュアがルガスタ遺跡にヴァンダルハーツを再度封印にやって来るというものです。そこで流れるのもこの曲。すると、立体映像にニルヴァースではない「誰か」が現れ、語りかけてくるのです。その姿はどう見ても、前作の主人公アッシュがヴァンダリアンになった姿!アッシュの呼びかけに応じ、ヨシュアは歩み寄ります。そして……というところで終了。何かの伏線っぽい終り方に、当然当時は考えられていたであろう続編への期待が……。アッシュとヨシュアが共に戦う「ヴァンダルハーツ3」、やってみたくないですか? |
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27.The Hero's Theme 主人公の主題
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これぞまさしく「主人公のテーマ」であり、同時にメインテーマのバリエーションでもあります。1章冒頭で既に、東ナトラの汽車の前に立ちはだかる紅の狼、という場面で使われていましたが、それは「列車の急停車」が付いたバージョン(Disc1-24)。このトラックは主人公のテーマ単体で、主に「危機的状況に颯爽と現れるヨシュアたち」という場面で流れるものです。1章、一度はプラトー伯爵らと別れたヨシュアたちが伯爵の危機を聞きつけて駆け付ける、クメヌの谷での戦闘で初めて流れます。ここでは四天王のひとり、強敵ソープを相手にすることからも重要な戦闘で、テーマアレンジがよりいっそう気持ちを引き締めてくれます。他の使用箇所も、いずれもシナリオに大きく関わる重要な局面ばかり。この曲が流れている戦闘にだけは、何としても負けられませんね。もっとも他の戦闘にも負けてはいけないのですが。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
28.Mission Successful 作戦成功
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こんなところに入っていますが、当然ここに至るまで戦闘のたびに何度も耳にしている嬉しい曲。無事勝利条件を満たして戦闘が終了した際に流れるブリッジです。もちろんメインテーマのアレンジになっています。敵を倒した数に見合った戦利金を獲得、さらにパーティが全員生き残っていればパーフェクトボーナスも得られます。すべての戦闘をパーフェクトで終えてこそ、真のヴァンダリアンと言えるでしょう。デュアルターンバトルを理解して自分のものにすれば、ほぼすべての戦闘を無傷で乗り切ることも可能です(ラスボスだけは必ずダメージを受けてしまいますが)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
29.The Friend's Death 友の死
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シナリオの進み方によっては聞くことがないかもしれない曲ですが、予備知識ナシで初めて本作をプレイした人はほとんどが聞いてしまったのではないでしょうか。曲名通りのイベントに使われる曲で、具体的にはユーリが死ぬシーンで流れるものです。そのため楽曲も、彼がらみのシーンでたびたび流れた「歴史」もしくは「運命」をアレンジしたものになっています。また、その場所が教会であることから、ちょっと賛美歌的な色付けがなされていますね。 で、ユーリの死については隠し究極武器「ヴァンダルハーツ」をプレイヤーが所持していれば回避できるのですが、これはあまたの埋没アイテムを集め、あらゆる隠しマップも探索し尽して初めて得られるレア中のレアなアイテム。予備知識がなければそんなものが存在することすら知らずにナトラ王宮に来てしまいます。最終章のナトラ王宮到着時点で「ヴァンダルハーツ」を持っているかどうか、という判定がなされてユーリの生死が決定するのです。というわけで多くのプレイヤーが彼を死なせてしまううえ、彼が生存していないとグッドエンディングにも至ることができなくなるのです。隠し要素を知り尽くしていないと、真のエンディングは見られない……。残酷なゲームです。 |
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30.The Lover's Death 愛する人の死
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シナリオの進み具合によっては、決戦の地ニグラン大聖堂・外部においてアデルとの直接対決が待っています。もちろんそうなってしまったからには、倒さなければ先に進めません。戦闘に勝利すると、アデルの亡骸の前で膝を落として嘆き悲しむヨシュア、彼を励まし決戦へと促すプラトー伯爵、そんなシーンで流れる短い楽曲がこちら。アデル関連のイベントでたびたび使われてきた「力無き人々」のアレンジです。確かゲーム中でヨシュアは一度もはっきりとはアデルのことを「愛してる」とは言わなかったはずですが、サントラの曲名は言っちゃってるんですね。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
31.The Wizard's Last Moment 魔道士の最期
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「魔道士」アレンジのこの曲は最終戦の後、激闘の末の静寂も束の間、倒したはずのゴダールがまたまた現れるシーンで流れるもの。その生命力と執念に驚く一同。せめておまえたちを道連れに、と魔法を放つゴダール、危機一髪それを剣で食い止めるヨシュア。いまのうちに、と皆を逃がし、一人留まるヨシュア。まあぶっちゃけここからはエンディングなので、こちらとしてはもう見てるだけなんですけどね。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
32.The Falling Down of the Sanctuary 大聖堂の崩落
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ゴダールの放った魔法を食い止め、ひとり大聖堂地下に留まったヨシュア。仲間たちは彼の好意によって外へと脱出。ヨシュアの身を案じる一同をよそに、崩壊するニグラン大聖堂。中に残ったヨシュアはどうなったのか?!そこで流れるこの曲では、なんとも切ない「歴史(運命)」のモチーフが一度だけ奏でられ、あとは高音のストリングスで緊迫感を引っ張ります。シーン終わりで「ジャン!」と完結。劇音楽を意識しての処理でしょうが、なんかこの「ジャン!」のおかげで非常に安っぽくなってしまってます。次に繋げる意味でも、弦の余韻を残したまま終ってほしいところです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
33.Continuation of Scene 場景の続き
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大聖堂崩落後、ヨシュアの身を案じる一同、というシーンでひっそりと流れるブリッジ。ハープが単音をポン、ポンと引っかき続けるのみです。以後ブラッドがヨシュアの姿を発見し、聖堂の方からヨシュアが歩いてくるところ、皆が駆け寄ってヨシュアが「心配かけちまったみたいだな」と言うところまで流れます。「どうやって?」と尋ねるところは無音になります。そうなると次に流れる「意志の力」に繋げるためのブリッジというよりも、前の「大聖堂の崩落」に続くものと考えられます(音程も合ってるし)。であればやはり、前の曲は「ジャン!」で終らせず、ストリングスの余韻を引っ張りつつ「情景の続き」に乗り換わった方がスムーズだと思います。前の曲を「ジャン!」と完結させたことで、この「情景の続き」自体の必然性が「あってもなくても」というものになってるのです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
34.Power of Will 意志の力
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4トラック目「運命と意志」のアレンジ(さらなる原典として、Disc1の14トラック「意志」からの派生)。木管、弦ときて、ここでのアレンジはハープ。さらにシンプルに、切ない演奏になっています。シーンの邪魔をしないことから使い勝手も良かったのか、「意志シリーズ」でも最多の使用頻度を誇ります。サントラ終盤の収録ですが、初出は序章の最後。アデルがひとり自室で、誰も私を運命から助け出してはくれなかった……自分で運命を見返してやる、誇り高く生きてやるんだ!と決意するシーンでした。彼女は「貴族の務め」を果たすため、都から来た迎えの馬車に乗り込むのです。ここで提示されるのは「アデルの意志」です。 その後も様々な人々の「意志」に寄り添い、この曲は何度も奏でられます。ある時は「自由に生きたいというヨシュアの意志」、また「国を憂い、平和をもたらしたいと願うプラトーの意志」、「力が欲しいと願うアデルの意志」、はたまた「祖国再興のため情けを捨てたアガターの意志」、さらには「失くしたはずのフランツの意志」……。たくさんの人間それぞれの「意志」が「運命」と交差して、悲劇を生む……。意志の力は人々を、歴史を変えたのか? ま、さすがに「ゴダールの意志」だけには充てられることはありませんでしたが。 |
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Epilogue | |||||||||||||||||||||||||||||||||
35.Epilogue and Staff Credit 結末
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曲名通り、エピローグ紹介を兼ねたスタッフロールで流れる曲ですね。いやー、長い長い!「作戦会議」なのか、「作戦会議」によく似たメインテーマアレンジと解釈すべきか?もっとも「作戦会議」がもともとテーマアレンジなのですが……。これだけ長い曲ですから、エンディングは盛大に「いろんな曲がメドレー的に次々現れるんだろうな」と予想していましたが(前作がそうだったし)、意外にアッサリ、淡々としていましたね。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
36.Finale 終曲
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エンディングの最後に入る曲です。メインテーマのアレンジと思いきや、それはイントロとコーダ部分に使われ、イントロ直後には「意志」のモチーフが奏でられています。本作のテーマが何であったかがここで明確にされていますね。終ったー!という達成感のある終曲として満点。 ゲーム中での複数の選択肢によって生じた展開の差異により、アッシュの「その後」は4パターン。アッシュ皇帝による恐怖政治、旅人ヨシュア、復興したポラータ村の村長となったヨシュア、宰相としてアデルを支えるヨシュアといろいろな人生が待っています。ベストエンドは「宰相」パターンで、アデル・クライブ・ユーリ全員が生存していた場合にのみ見られるものです(当然「ヴァンダルハーツ」の獲得は必須)。どのようなエンディングかは皆さん自身の目で確かめて下さいね。 |
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37.Mission Failure 作戦失敗
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最後にこういう曲を入れてくれるなよな〜、という(笑)。戦闘において作戦が失敗した(敗北条件を満たしてしまった)時に流れる悲しい曲です。とは言ってもメインテーマのアレンジ+「意志モチーフ」になっているため、悲しいというよりはどこか神々しくなっています。これなら「もう一度頑張るぞ!」という気持ちになりますね。まあ、本作では戦闘中に「ヤバい!」と思ったらその戦闘を最初からやり直すことも可能になっていますが。 |
サントラ未収録曲 | |
ゲーム中で流れる音楽はすべてサントラに収録されています。素晴らしい! |
使用箇所データ略号解説 | ||||
章:その曲が使われている箇所がどの章かを示す。0は序章、4は最終章を指す。 「全」は全章共通の意。 E/B/M:その曲が使われている箇所がイベント(E)かバトル(B)かを示す。続けて流れるなら「EB」。 街や村の曲は「M」で示す。 内容/マップ名:その曲が使われているのがイベントであればシーンの内容を、 バトルであればマップ名と、シナリオ必須バトル(S)かフリー戦闘(F)かを示す。 両方の場合は「SF」。フリー戦闘が存在しないマップについては表記を割愛。 |
「2」はやったけど前作は未プレイ……という方はこの機会にぜひ。
ベスト盤がおトクです。 | こちらはサントラです。 |
ポロポロと中古が出るようです。