GAMERS EDEN ゲーム音楽 ゲームサントラ レビュー シミュレーションRPG
ヴァンダルハーツ〜失われた古代文明〜 ORIGINAL GAME SOUNDTRACK
ジャケット画像 コナミ
KICA 7725
1996年
JASRAC表記:
あり
(ただし、おそらく「悲しみを燃やして」のみ)

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ゲーム未プレイの方はこの機会にぜひ。
ゲーム紹介

 スーファミの「バハムートラグーン」でシミュレーションRPGを初体験し、PSの「ファイナルファンタジータクティクス」でその面白さにハマりまくった筆者が「もっとSRPGをやってみたい」という動機で選んだのが、96年にコナミがプレイステーションでリリースしていた「ヴァンダルハーツ〜失われた古代文明〜」であった。リリース時期としては「FFT」よりも1年前の作品ながら、本格的なシミュレーションRPGに乏しかった初期のPSラインナップの中にあってユーザーから高い評価を受け、99年にはシリーズ第二弾「ヴァンダルハーツII〜天上の門〜」も発売されている。

 今になって改めてプレイしてみると、さすがにボリュームやシステムの面では最新作に見劣りはするものの、シミュレーションRPGの基本的な魅力はじゅうぶんに味わわせてくれ、思考する戦闘=戦略についても、様々な局面でその奥深さを実感させてくれるだろう。シナリオは完全な一本道で、すべてのプレイヤーが同じ道筋を辿ってエンディングを目指すことになる。また、ランダムバトルが一切発生せず、そのためプレイヤーキャラクターの成長も個人差こそあれ、大きな差が生じることはない。プレイ時間もおそらく同様である。唯一、究極の隠し職業「ヴァンダリアン」への転職を可能とする過程で発生する隠しマップでの戦闘を経ても、ラストバトル時点での主人公のレベルはだいたい30前後、プレイ時間にして20時間程度となる。

 このように、自由度・寄り道要素は多くはないが、そのシンプルさとプレイ時間はシミュレーションRPG入門としてもってこい。しかし難易度は決して低くなく、各戦闘における全員生存でのクリアを目指すのであれば、戦略をじっくりと練る必要がある。中には特殊なクリア条件を満たさなければならない戦闘も設定されており、勢いに任せた猪突猛進型プレイに徹していてはエンディングを拝むのは難しいだろう。

 本作の音楽は、当時入社3年目というコナミの田廻弘志氏を中心として作られている(ちなみに田廻氏は続編ですべての楽曲を担当)。大御所東野美紀女史(MIKI-CHANG)も参加。さらにサウンドディレクターの添田浩介氏も全体マップBG(トラック6「全体保持」)を1曲製作している。エンディングのスタッフロールによればそれらの分担はイベントBGMが東野、バトルBGMが田廻とクレジットされているが、それほど単純なわけがないので、当ページでは各曲解説に作曲担当の頭文字を示しておくことにする。なお、タイトル曲「悲しみを燃やして」の作曲は山内雅弘氏(CM音楽も数多く手掛ける現代音楽作曲家)、作詞は歌唱を担当するヤドランカ・ストヤコヴィッチ(サラエボの代表的女性歌手)。CMにも使われた曲とは言え、ゲームの音楽としてはかなりゼイタクな布陣と言える。

 楽曲は全体的にシミュレーションRPGとして定番とも言えるオーケストラ音色でまとめられており、電子的な香りはまったくしない。もちろんサンプリング音源なので限りなく電子音楽なのだが、いわゆるテクノな音はまったくないという意味である。後に田廻氏自身が「ヴァンダルハーツII」のサントラにおいて、「ヴァンダルハーツ」の楽曲を『従来のゲーム音楽という様式の模倣を基幹としている』と振り返っていることからも、このオーケストラを基調とした音楽は意図的なもので、かつユーザーにわかりやすい形式としての選択であることが理解できよう。音色の吟味やオーケストラのシミュレーションが極めて良好で、チープな印象はまったくなく、むしろ豪華な雰囲気を感じさせる。反面どうしても使われる音色が似通ってくるため、特にバトル関係の音楽は複数あるにも関わらず各々の差別化という点についてやや弱い。一方でモチーフの共用についてはごく限られた楽曲に限定されており、そのメロディは特に際立っている。大別すると「栄枯盛衰」を中心とする回想のモチーフ(これは東野女史によるもの)、「遺跡」に代表される古代文明(とそれにまつわる人の業)のモチーフ、そして主人公アッシュの属する解放軍のモチーフの3つである。それらの楽曲の使いどころも適確で、サウンドのディレクションがかなり優秀な作品と言えるだろう。

 というわけで、作品中のほぼすべての楽曲を収録しているのがこの「ヴァンダルハーツ〜失われた古代文明〜 オリジナル・ゲーム・サントラ」である。曲名がこのうえなく親切であり、解説の必要がないほど(笑)。ブックレットにはヤドランカ歌唱によるタイトル曲「悲しみを燃やして」の歌詞・対訳とメロディ譜、ゲームでも度々フィーチャーされたオカリナが印象的な「栄枯盛衰」の楽譜も掲載されている。

作曲者の頭文字は「田=田廻弘志」「東=東野美紀」「山=山内雅弘」「添=添田浩介」を示します。

レビューは本文には「プレイ済み」を前提としたネタバレ要素があります!御了承下さい。
当サイトでは、まずゲーム本編をプレイされてからの閲覧を推奨いたします。


第一章 動乱の予感
01 悲しみを燃やして
(タイトル画面)
電源を投入すると再生されるタイトルムービーで流れる、本作のタイトルソング「悲しみを燃やして」の短いバージョンです(フルサイズはサントラには未収録)。水面に映る遺跡と一本の剣という映像にヤドランカのアカペラが印象的で、余計なことを語らないオープニングは「いったいどんな物語が紡がれるのだろう」という期待感を導いてくれます。
02 破滅の剣
(章題表示)
各章の冒頭、ナレーション入りのムービーの後に表示される章題で流れるブリッジ。金管・木管・弦・ティンパニといったオーケストラ全体が壮大に盛り上げ、プレイヤーを誘ってくれます。曲名の「破滅の剣」とは、そのムービーで光り輝く剣のことを指しているものと思われます。実はこれこそがゲームのタイトルにもなっている「ヴァンダルハーツ」そのものなのですが、それが判明するのはゲーム終盤になります。
03 山岳
(山賊の谷)
第一章の初め、「山賊の谷」に訪れたプレイヤーキャラ3名。間もなく山賊たちが現れるのと同時に鳴らされるのがこの曲でした。そのままイベントシーンから、バトルでの味方ターンまで通して使われます。複数のパートから成る金管群とマーチングスネア、そして力強いティンパニとシンバルが決して容易ではない戦いを感じさせます。本作で多くの楽曲に見られる特徴に「変拍子」がありますが、この曲で早くも取り入れられています。ボーッと聞いていると、すぐに拍を把握できなくなってしまいます(汗)。

いくつかのバトルでの味方ターンにおいて使われることになる曲です。この曲が使われている戦闘は以下。決して多くはありませんが、曲調からでしょうか、比較的難易度の高いバトルに使われているようです。以下使用箇所。

第二章イグドラ渓谷(ドルメンらの救出)、第五章トレネー山脈(VSカーツ)、隠しマップ「キーオブノヴァ」
04 敵ターン
(ズー・ガッハの攻撃)
戦闘において、敵ターンで流れる曲がこれ。非常に多くのバトルで聴くことになるので、かなり耳馴染みのある楽曲となるでしょう。「ヴァンダル」プレイヤーが聞けばすぐわかるはず。思考しながら少しずつ、慎重に進軍していくプレイヤーとはちがい、サクサクと行動するCPUキャラクターの動きに合わせたかのような、踊るようなテンポに焦らされることも少なくありません。

初出は第一章開始直後の「山賊の谷」で、ズー・ガッハ側の行動時に流れます。以下、この曲がエネミーターンに流れる戦闘一覧。

第一章ドブル地区、王宮跡、ライン大橋、死の砂丘(VSデスアント)、ガダル海(VSレッドラム)、第二章ユース村、イグドラ渓谷、ルーの丘、城塞遺跡(トロアの方舟)、城塞遺跡内部(VSベラスコ)、城塞遺跡(VSガードドッグ)、第三章嘆きの台地(2回とも)、テスタ村、バジルの関所、リド街道(VSランドー)、要塞刑務所(地下牢)、要塞刑務所(外観)、第四章カノースの町、マサイ大森林、旧市街倉庫(貿易都市ケラチ)、魔鉄道(VSダロス)、ダイン砦(リーン救出)、第五章ワルト湾、トレネー山脈、デスク平地、灼熱の洞窟(VSサラマンダー)、辺境の村(VSサビーニ)、第六章ガイアス砦(VSケイン)、コバルタの丘、首都シュメリア(VSガモー)、大聖堂(VSドルフ最終戦)、隠しマップ「キーオブノヴァ」、「キーオブアース」、「キーオブマナ」、「キーオブケイオス」、「キーオブロゴス」、「キーオブヘブン」

ってバカ正直に列挙しちゃったけど、全戦闘じゃんか……。これだったら「すべての戦闘で流れます」で済んだヨ…。だから「まとめベタ」って言われるんだよ?でもせっかく書いたしもったいないのでこのままにします、エヘ。まあ資料として……ダメ?

一部ユーザーの中には、特別なボス戦や最終戦でさえ敵ターンがこの曲であることに不満もあるようですが、まあシュミレーションRPGっていうのは詰め将棋みたいなもので、やってることは毎度同じですから、そんなにいろんな曲が流れる必要もないかと。まあ、ボス戦用敵ターン音楽があってもよかったかな、とは筆者も思いますが。味方ターンの曲はたくさんありますからねえ。
05 勝利
(戦闘結果表示)
クリア条件を満たして戦闘を終了すると、倒した敵の数・失った味方の数・獲得戦利金が表示されます。ランダムバトルのない本作では一戦一戦がまさに真剣勝負。できれば全員生存でのクリアを目指したいものです。

この曲はクリア条件を満たした瞬間に流れ始め、達成感のあるファンファーレ調のイントロにプレイヤーもホッとひと息。後に続くマーチ部分は24トラック目「劫初」に代表されるプレイヤーパーティ(解放軍)のテーマアレンジになっています。
06 全体保持
(世界地図)
いわゆる「移動マップ」と呼ばれる、世界地図で流れる曲です。プレイヤーの意欲を煽る、景気の良いマーチのリズムについつい先を急ぎたくなってしまいますが、持ち物の整理やセーブもここでしっかりとやっておくことが勝利のカギとなります。必要があれば町にも戻りましょう。本作はシミュレーションRPGであるため、移動は行き先を選んでボタンを押せば完了。この曲を聴くのは一瞬かもしれません。広がるように配置された管群が、目には見えないワールドの広さを感じさせてくれています。実際に歩くことこそありませんが、そのイシュタリアの世界を想像してみるのも一興。

ところで「全体保持」ってどういう意味?
07 首都シュメリア
(凱旋〜戦況報告)
第一章・「山賊の谷」のあとに訪れる、アッシュたちイシュタリア警備兵団の本部が設置されている首都シュメリアで流れる曲。いわゆる町BGですね。その性質からか「町」というよりは「本部」の方を重点的に表現した曲調。警備兵団の厳格さを感じさせます。ホセのような人間も在籍しているのですから実はそんなに厳格ではないのかもしれませんが。

なお、第六章で再度シュメリアに戻る場面がありますが、そこでのシュメリアは戦闘マップになっており、町の施設を利用することはできません。よってこの曲も第一章限定です。流用も一切ありませんね。
08 傍若無人
(クリムゾンによる暴徒虐殺)
首都シュメリアの酒場に立ち寄った際に聞いた「ドブル地区での暴動」。急いで現場に駆け付けたアッシュたちが目にしたのは、特別治安維持部隊「クリムゾン」による、いきすぎなまでの暴徒虐殺。まさに曲タイトルのままに、そのイベントで流れているのがこの曲です。また、このドブル地区でのバトル後、クレイマール伯の説得に成功したアッシュたちのところへ、ケイン率いるクリムゾンが再度登場するシーンでも再び流れます。「クリムゾンのテーマ」といった位置付けでしょうか。

楽曲は威圧的かつ恐怖感のあるヘビーな金管の刻みが主体。イベント用BGMであり、バトルで流れることはありません。そのためほとんど展開せず、背景に徹しています。かなり後になりますが第五章のトルネー山脈にて、ケイン・カーツらクリムゾンリーダーに囲まれるアッシュたち。大ピンチかと思いきや……そんなシーンでも流れます。なお、ここではヘル死亡の報によってケインは撤退。カーツとの正面激突となります。
09 港町ポーツ
(ラドーの家)
曲名通り、第一章の「港町ポーツ」内で流れる楽曲です。ラドーの家に移動した後も流れ続けます。港町だけあって、なるほど船の汽笛を思わせるような吹奏楽器の音色が特徴的。本作の楽曲の中でも珍しい雰囲気を醸し出しています。ゆったりとした隙間のある音の構成が、ゆらゆらと揺れる水面を想起させますね。

なお、町の曲はショップ・酒場・転職道場にも通して流れるのが特徴。これによって、聴く機会の少ないひとつひとつの町の曲の印象をかろうじて保っています。なお、流用はありません。
10 同志
(パーティに加わるラドー)
パーティに新たな仲間が加わる際の短いファンファーレMEです。最初に耳にするのは「王宮跡」におけるエリナとホルクス。続いては副題にもある、港町ポーツで仲間になるラドー。第二章では、イグドラ渓谷でのドルメン・アモン・サリア。第三章でサムデラ、ゲニウス。第四章ではリーンが正式に仲間となりますが、そこではこのMEは鳴りません。
11
(海賊)
SE(効果音)から始まるトラック。冒頭はやって来る一隻の船、その後の「ガッチャン」は、ラドーの船に伸ばされるはしけの音です。港町ポーツ出発後、ラドーの予想通りに現れた海賊レッドラムの船から、こちらの船に向かって乗り込んで来る海賊たち。そんなイベントシーンから、船上で繰り広げられるバトルの味方ターンまで通して流れるのがこの曲になります。

バトル音楽という分類になりますが、この曲は他のバトルへの流用がまったくなく、聴けるのはこのガダル海での対レッドラム戦のみになります。微妙なところですが、「勝利」「劫初」と同じ「解放軍のテーマ」の匂いを感じます。
第二章 野望と狂気の島
12 管の低音部と小太鼓
(魅入られた村)
第二章スタート直後に足を踏み入れる「ユース村」で流れているイベント楽曲。題名まんま、スネアによるリズムと這うような管だけで構成されており、曲だけだとなんとも色がないのですが、ゲーム中では村人の台詞が表示されるのと同時に「ピロリロリロ」というピッコロの音色や弦のトレモロが重ねられ、いっそう不気味な雰囲気になります。ゲーム中のそのバージョンこそ、完全版という感じですね。この仕掛けは最初に聴いた時「うまいな」と思いました。

その後では「ルーの丘」でも使用されています。ここでは方々から敵が現れるタイミングで、やはりピッコロが挿入されます。楽曲とMEが重なって完成形になる様子は聞いていて面白いですね。サントラにはゲーム中のバージョンを収録してほしかったところです。
13 創世記
(遺跡の謎)
ニューゲーム開始直後、一連のムービーの後に始まる初のイベントシーンで流れる曲です。歴史や古代文明といったものを象徴しているかのような重々しい曲調で、金管によるメロディはトラック18「人の業」、トラック37「辺境の村」、トラック39「遺跡」に受け継がれ、総じて「古代文明のテーマ」という位置付けで使用されていきます。

この曲自体はゲーム本編では最も初期に聞くことになるもので、ベラスコ将軍が遺跡に隠された部屋を発見、そこに置かれた謎のオブジェに触れたとたんに光が溢れ……というシーン。画面が暗転し、いよいよ第一章の始まりとなります。果たしてこのイベントの意味は?ここはどこ?ベラスコって誰?様々な謎が提示されっ放しのまま、プレイヤーの戦いが始まります。

続いてこの曲が流れるのは、第二章のイグドラ渓谷クリア後。仲間になったドルメンの口から、遺跡調査の経過、ベラスコが変貌したいきさつが語られるイベントです。オープニングイベントと共通の曲が使われているのですね。ここまでそれを覚えていた人はどれぐらいいたでしょうか。「創世記」という言葉は、ここで初めてホセによって語られました。サントラでの曲名もこれを指しています。

ルーの丘クリア後に挿入されるイベントで、アッシュが「なぜ遺跡が方舟と言われているのか?」という疑問にドルメンが答えるシーンでも鳴っています。さらに、とうとう城塞遺跡(トロアの方舟)の内部でベラスコと対峙するイベントにも使われていました。他にもかなりの頻度で多用されています。モチーフを使ったアレンジ曲も含めると、ゲームの多くの部分を支配している曲になります。

・第三章バジルの関所クリア後に挿入される、帝国作戦会議のイベント。ヘルやケインの前でドルフが魔石こと「裁定の炎」を取り出して説明する。それを聞いた側近は「まさか、創世記に出てくるあの……」と驚きを露わにする
・第五章トルネー山脈の導入イベントにて。「ここになにがあるのか」とサムデラに問うドルメン。サムデラの口から出たのは「失われし民の末裔」という言葉だった
・辺境の村にて、パドウィン村長を問い詰めるアッシュとサムデラ。村の住人を古代人ブラフの民の末裔と認めるパドウィンだが、過ちを繰り返すことを恐れ力は封印しており、アッシュらに協力はできないと語る。リィナの助言もあり、アッシュらの意志を試すべくパドウィンは交換条件を提示する
・リィナに導かれ、いよいよオロイ湖の神殿内部に足を踏み入れるアッシュたち。そこにはパドウィンの言った通り、破滅の剣ヴァンダルハーツが眠っていた……
・第六章、最後の戦いクリア後、敗れたドルフが裁定の炎の力を解き放つシーンにて。エリナは叫ぶ、「創世記に記された世界崩壊の悪夢が蘇るというの!?」と……どうする?!
14 魔人
(魔人ベラスコとの対峙)
第二章・城塞遺跡内部における魔人ベラスコとのバトルを彩る楽曲です。数あるバトル音楽の中でも最もテンポが速い部類で、「この敵は普通じゃない、用心しろ!しかしひるむな、臆せず進め」と、プレイヤーを煽っているかのよう。ベラスコが変容した瞬間から、バトルの味方ターンまで通して流れます。こういう使い方だと、どちら視点の曲なの?という気はしますが。つまり、ベラスコの変身直後から流れ始めて、味方のターンで流れるとなると、ベラスコの曲なのか味方の曲なのかという疑問ですね。「変容したベラスコに立ち向かう者たち」という意味合いの楽曲なのでしょう。あっ、副題に書いてあったじゃん……(魔人ベラスコとの対峙)。

第六章・ガイアス砦でのケインとの戦いにおいて、形勢不利なケインのもとに現れたガモー。「勝ちたくはないのですか?あの男(アッシュ)に…」とケインをそそのかし、彼を魔人化してしまいます。そこでチラッと流れたのがこの曲。しかもプレイヤーターンにはそれまでトラック23「砦」が流れていたものが、しっかりこの曲に変化するのですから使い分けが一貫しています。つまり、ここでは「魔人ケインとの対峙」というわけです。
15 陰謀
(ヘルの画策)
副題にヘルの名が冠されているイベント曲です。這うような木管がおどろおどろしいこの曲はヘル周りの陰謀めいたイベントで頻出するものですが、初出もヘル絡み。ドブル地区の教会で、暴徒を説得し平和的解決を果たしたアッシュでしたが、間もなくやって来たケインは投降した暴徒を虐殺。怒ったアッシュとケインが一触即発のところに、クラウス団長が飛び込んでくる場面がそれです。クラウスはケインに「これ以上のトラブルは、いかにあなたの父上であるヘル・シュバイツ殿の力をもってしても抑えられなくなりますぞ」と語ったのでした。なるほど、このケインって奴は権力者である父の虎の威を借りて好き放題やってるドラ息子か、とわかります。

続いては「王宮跡」クリア後に挿入される、クレイマール伯に暴行を加えて尋問するケインとヘル、というイベントで流れます。と、そこにやって来たのはドルフ。やっぱりコイツ、怪しい奴だったか!

サントラでの収録位置通りの使用は、第二章・城塞遺跡のバトル後です。倒れたベラスコに打ち込まれる1本の矢、そして現れるクリムゾンとドルフ。まんまと魔石を手に入れたドルフはアッシュに選択を迫ります。そして拘束されるベラスコとエリナ、ホルクス……。ヘルの野望はドルフによって着実に前進しているように見えます。また、拘束されたベラスコらを救出した際、またもやドルフが現れますが、ここにはヘル本人の姿も。当然ながらこの曲が流れます。

・第四章カノースの町クリア後、ドルフとリーンの会話イベント。要塞刑務所陥落に際し、敵に加担した内通者の存在についてリーンを問い詰めるドルフ。あくまでしらを切るリーンだったが、ガモーが現れてその嘘を暴く。それにしても、いつの間にかこの曲、「ドルフの画策」にすりかわっているような……
・貿易都市ケラチの旧市街倉庫で、クルスに騙されたことを悟るアッシュ。そこにガモーが現れ、アッシュたちを炎で焼き尽くそうとする。息子を助けるべくガモーに抵抗したクルスによってアッシュたちは危機を脱する
・魔鉄道での戦いを制したアッシュたちは、王家の指輪を手に入れたかに見えた。が、そこにガモーの幻影が出現し、その指輪とリーンの命を交換するという取り引きを持ち出すシーン
・第五章冒頭、裁定の炎の前でドルフがヘルを殺害するイベント。ついにドルフがその本性を表し、プレイヤーにとって明確に敵であることを示すシーン
・第六章「コバルタの丘」で、錯乱したアッシュに斬り付けられたクラウスによる述懐イベントにて。賢者アレスとアッシュの父ウル、そしてクラウスの会話シーン。もはやヘルもドルフも関係ないようでいて、実はドルフはアレスの息子。しっかり「ドルフの画策」といった動機も含んでいる
16 敗北
(ゲームオーバー)
バトルにおいて敗北条件が成立してしまった際に、「作戦失敗」の文字とともに流れるのがこの曲です。かなり悲劇的で、悔しさ倍増どころか虚無感いっぱいになってしまいます……。ましてクリア目前ならなおさら。コンティニューセーブをまめにしておくと、立ち直りも早いですよ。

個人的には43トラック目「テーマ」(味方パーティのモチーフ)の変奏だと思っているんですけど、どうでしょ?センターで鳴ってるトランペットの「パッパプー、パラララララパー……」って、そうでしょ?違うかな?
第三章 明日への脱出
17 荒野
(嘆きの台地)
かなりテンポのゆっくりとした曲ですが、バトルBGです。副題は「嘆きの台地」となっていますが、初めてこの曲が流れるのは荒野は荒野でも第一章の「死の砂丘」。ジリジリとした暑さが伝わってくるような曲調はお見事ですね。暑いのは苦手、さらに虫も苦手だと言うホルクスには同情してしまいます。味方ターンのバトルBGとして続けて流れました。じわじわと迫ってくるようなブラスに、思わず汗が出てきそうです(笑)。

曲名通りの使用は、第三章の冒頭、その名も「嘆きの台地」における対ゴースト戦になります。その後は第六章「コバルタの丘」で使用。隠しマップ「キーオブマナ」でも使われていました。

しかし、疑い始めるとこの曲も「テーマ」に聞こえてくる……。いや、違うな、これわ。
18 人の業
(サムデラの庵)
すでに第二章で聞いているはずの曲。13トラック「創世記」、39トラック「遺跡」のオカリナアレンジとでも言いましょうか。城塞遺跡の地下牢に囚われたエリナとベラスコの会話イベントが初出となっています。ベラスコは魔石の持つ力について語りますが、このメロディ自体が作品中で「古代文明のテーマ」として扱われていることについては前述の通り、賢明な方にはお気付きでしょう。

第三章ではスタート直後、時空の狭間でベラスコ将軍が最後の言葉をアッシュに託して事切れるシーンで使用。ここは古代文明に関係なく雰囲気で選曲された感もありますが、ベラスコが最後に「魔石をたのむ…」と言っているので、かろうじて必然性を保っています。

さい果ての町到着後、アッシュの口から出た「魔石」という言葉に反応し、サムデラは自分の家に彼らを招待します。そこで流れているのがこの曲です。ここでは曲名通り、「人の業」についてサムデラがアッシュを詰問。しかし、黙っていることなどできない!というアッシュの決意によって、サムデラが行動を供にすることに。

第四章・マサイ大森林クリア後、サムデラが己の過去とガモーとの関係について皆に説明するイベントでも使用されています。こうなると文明うんぬんよりも、このトラックについては「サムデラのテーマ」も兼ねているような気がしてきますね。もちろん魔道を志したサムデラとガモー、そして裁定の炎復活を目論むガモーというキーワードについては、古代文明と無関係ではありませんが。

第五章冒頭で、裁定の炎の美しさに心酔するヘルとドルフの会話シーンでも使われています。ヘルはここで自らを「業の深い男」と評しており、まさに「人の業」というわけですね。しかし、それもここまで。さらに業の深い男に殺められてしまうのです……。かなりの頻度で使われているこの曲、他には以下のような場面で。

・サビーニによって壊滅させられた辺境の村。唯一生き残った古代人の末裔であるリィナにすべてを託し、オロイ湖の神殿へ行って破滅の剣「ヴァンダルハーツ」を蘇らせるのだと告げ、パドウィンは静かに息を引き取る……
・第六章「ガイアス砦」で反乱軍を待ち受けるケイン。アッシュらの到着とともにこの曲が流れる。アッシュを憎むケインに対して、まはや話し合う予知はない……彼もまた、業に囚われた者か
・首都シュメリアにて、ガモーを撃破したアッシュたち。「ガモーの望みは、人の業そのものだったのかも知れぬ」とはサムデラの言葉。もちろんこの曲が流れる
19 さい果ての町
(時空の狭間)
第三章のさい果ての町で流れるBGM。ここがどこかもわからない、不気味な空気に支配された「時空の狭間」において、唯一心の休まる場所です。楽曲は「人の業」と同じようなオカリナチックな音色がメロディを奏でていますが、ゲーム中での順序は「アッシュらがさい果ての町に到着」→「サムデラの庵へ」という流れですから、楽曲の流れはサントラとは逆になっています。

他の町やイベントへの流用はありません。
20 テスタ村
(反乱計画の立案)
第三章のテスタ村で流れるのはもちろんですが、実はそれより早く、第二章のユース村でも流れています。副題の「反乱計画の立案」とはテスタ村でのアッシュの発案を指していますが、実際にそのイベントで流れているのはトラック24「劫初」です。この曲においては「反乱計画の立案が為された村」ぐらいの意味でしょう。

フルートもしくはピッコロといった感じの木管楽器がメロディを受け持ち、タンバリンによるシンプルなリズムが村の素朴さを感じさせます。しかしこの曲数ですから無理もありませんが、各楽曲の収録時間が短いのは残念ですね。曲にもよりますがもう1ループぐらいは収録してほしいものです。さすがに2枚組みには抵抗があったのでしょうけど。
21 作戦
(リド街道)
第二章の終わり、城塞遺跡への潜入戦で初めて耳にすることになる曲。ここでのバトルは「逃げる敵を食い止める」というもので、ターン数に制限があります。曲名の「作戦」が示す通り、楽曲は平均的なテンポのマーチになっており、プレイヤーに冷静な判断と適確な作戦遂行を要求しているかのよう。勇ましい金管群が、頭を悩ませるプレイヤーを後押ししてくれます。

曲名通りの使用は第三章のまさにリド街道における、クリムゾンリーダーの一人であるランドーとのバトル。ここでは敵を一人も逃がさないという制限付きバトルが行われます。やはり作戦が重要で、数ターンの間アッシュらは微動だにせず、敵をやり過ごすことになるわけです。敵が退転できない距離まで引き付けて、奇襲!緊張感のある戦闘ですね。こういった制限バトルもシミュレーションRPGの魅力のひとつ。

他に以下の3ヶ所で使われています。
・第四章、マサイ大森林でのバトル
・第五章、デスク平地におけるバトル
・隠しマップ「キーオブヘブン」におけるバトル
22 戦慄
(刑務所脱走)
汎用焦らし系イベントBGM。各パートがそれぞれにリズムを刻んでおり、焦燥感を煽る効果はバツグン。特にパーカッションは本作の楽曲では珍しい味付けをしています。副題が「刑務所脱走」となっていますがこの曲はもっと早く、第一章から使われています。首都シュメリアの酒場に、一人の男が駆け込んできて「ドブル地区で暴動が起こった」と継げるシーンがそれ。また、同じ第一章の「ライン大橋」では、つり橋を渡ろうとするアッシュたちの前に山賊が立ち塞がる場面で使用。なんとつり橋が爆破され、急いで渡らなければ河にまッさかさま!こういった、緊急を要するシーンでたびたび使われます。

・第二章のユース村で挿入される回想イベント、変わり果てたベラスコ将軍が村人を襲う場面でチラッと流れる
・イグドラ渓谷で魔物に追われるドルメン、アモン、サリアたち。そこに通りがかったアッシュたちは彼らを助けるべく、共同戦線を張ることに
・第三章テスタ村において、ズー率いる帝国軍にホセ、ホルクス、ドルメン、クラウスらが追い詰められているシーン
・リド街道クリア後、要塞刑務所に囚われているキースたち。そこにリーンがやって来て、「あなたたちは明日処刑される」と告げるシーンで使用。早く脱出しなくては!これこそまさに曲名のシーン
・第五章「辺境の村」で、村長の家に村人が駆け込んで「薬草を摘みに行った連中が魔物に襲われた!」と告げるシーン。アッシュたちはもちろん助けに行くことに
・第六章「コバルタの丘」クリア後、ヴァンダルハーツの影響で錯乱したアッシュが暴れ出すイベントで使用。ついには駆け付けたクラウス団長に斬りかかってしまう
23
(要塞刑務所陥落)
激しいテンポで味方の進軍を煽るイケイケ系バトル音楽。激しい変拍子で、バトルを単調にしない展開になっています。ブラス+ティンパニ+シンバル+スネアという編成は王道にして効果大。やっぱりお約束は偉大なのです。この曲が流れると、プレイヤーの作戦もついイケイケになってしまいますね。惑わされずにしっかり戦略を練りましょう。

初出は第三章「バジルの関所」で、導入イベントからバトルの味方ターンまで通して使われています。「油断しているはずだ、一気に攻め落とすぞ!」というアッシュの言葉はまさにイケイケ。

さらに要塞刑務所(曲名の場面です)で使用されます。脱出したかに思えたキースたちでしたが、周りを敵に囲まれています。万事休すか……と思ったところにアッシュたちが到着!一気に形成逆転といきたいところですね。なお、アッシュ到着ターンからは曲がトラック43「テーマ」に変わります。たしかに解放軍のテーマですが、うーん。この曲のままの方が「攻め落とせ!」という勢いはあったんじゃないかなあ。

第五章の辺境の村におけるバトルでも使われています。見事サラマンダーを打ち倒し、灼熱の洞窟から戻ったアッシュたちが見たものは、クリムゾンによって火を放たれた村の姿でした。次々と村人を手にかけていくクリムゾン部隊、アッシュたちの居所を白状させようとパドウィンに詰め寄るサビーニ。アッシュは「許せん!」と怒りを露わにし、戦いを挑みます。途中でケインも加勢してくる激しいバトルをこの曲が彩ります。

第六章、ガイアス砦でのケインとアッシュの決戦を彩ったのもこの曲でした。不退転の覚悟でアッシュに挑むケイン、前に進むためにはケインを倒さざるを得ないアッシュ双方の総力戦。ケインが放つ最強魔法・プラズマウェーブを耐え凌ぐことはできるか?!
24 劫初
(解放軍勢揃い)
行進曲調の軽快なこの楽曲は、言ってみればアッシュたち解放軍(初期はイシュタリア警備兵団)のテーマ曲のようなもので、アッシュ側視点のイベントで度々使われています。たいていは現状報告や仲間との会話、作戦計画などを語る場面で、初出は第一章・首都シュメリアに着いたアッシュたちが、クラウス団長にズー・ガッハの背後に関する報告をしているイベントでした。

・ドブル地区の教会に辿り着いたアッシュたちが、クレイマール伯を説得するシーン。そして彼らが説得に応じて投降するまで
・ガダル海でのバトル後、謝るアッシュに対してラドーが「気にするな」「俺はあんたらについていくぜ」と、あらためて仲間になる旨を告げるシーン
・第二章「城塞遺跡」でのベラスコ、エリナ、ホルクスら拘束後、夜中ひとりで救出に向かうアッシュ。そこに仲間たちが集結し、全員でベラスコ将軍らの救出に出発!というイベント
・第二章のラスト、ベラスコらを連れて地下牢から脱出するアッシュたち。しかし、そこに……
・第三章テスタ村クリア後、3年ぶりにもとの世界に戻ったアッシュがクラウスからイシュタリアの現状について聞かされるイベント。そこでアッシュが提案したのは、大胆にも難攻不落の要塞刑務所の襲撃だった
・第三章ラスト、要塞刑務所への襲撃を成功させ、再び集結したアッシュの仲間たち。ゲニウスも加わり、旧友ホルクスとの小競り合いも……。まさに曲名通りの「解放軍勢揃い」!
・第四章冒頭、クラウスと合流し今後の作戦を話し合うアッシュたち。王家の指輪の行方を追って、貿易都市ケラチへ向かうことに。ホセはどうしてか乗り気でなさそうだが……
・ダイン砦で見事リーンを救出したアッシュたち。「なんで助けたのよ」と言うリーンに、「多数の安寧のために一人の不幸を見過ごしてしまったら、俺たちはヘルと同じだ」と語り、「君の力が必要だ」と諭すキース。リーンという最後の仲間が加わるイベントだ
・続くダイン砦でのイベント。悲劇を繰り返してはいけないが、裁定の炎も王家の指輪も敵の手にある。どうしようもないのか……と途方に暮れた時、サムデラが口を開く。「トルネー山脈に行けば、道は開けるかもしれない」
・第五章ラスト、ついに破滅の剣ヴァンダルハーツをアッシュが手に取るシーン

なお、この曲の「味方パーティのモチーフ」はトラック5「勝利」やトラック43「テーマ」に用いられています。というか、「テーマ」がオリジナルかもしれないですね。なんと言っても「テーマ」ですし。
25 着実な変革
(レベルアップ)
味方キャラクターがレベルアップした際に流れるファンファーレMEです。なぜサントラのここに収録されているかは不明。
第四章 覇道を継ぐ者
26 人の四季
(ベラスコの死をエリナに報告)
第四章冒頭、まさに曲名通りのイベントで流れる曲。ベラスコの死を聞いたエリナは「夜風にあたってきます」と退出します。ドロドロとしたうねるような弦楽器が必要以上に怖いですね。エリナの受けたショックを表しているのか、それとも人が死んだという事実に対する弔いでしょうか?もうちょっと寂しげな方が場面にはマッチしたんじゃないかと思うのですが。

ところで曲名、「人の死期」に引っ掛けているわけじゃないですよね?!えっ、誤植?まさかね……。なお、このイベントでしか流れない限定曲です。
27 市街戦
(包囲網突破)
緊迫感たっぷりに、どこか宿命めいた「避けられぬ戦い」といったものを感じさせるバトル音楽。打ち鳴らす重低音のティンパニが迫り来る敵の進軍を感じさせています。この曲の初出は第二章の「ユース村」でのバトルでした。村人を傷つけないように、イビルスタチューだけを破壊しなければならないという特殊な条件が設けられたバトルで、村人が全滅した場合、作戦は失敗となってしまいます。もちろんアッシュが死んでも失敗。迫り来る敵を倒してはいけない……この曲が戦闘の厳しさを際立たせます。

市街戦という曲名、包囲網突破という副題に則した使用は、第四章の最初に行われる「カノースの町」でのバトルになります。ここでは集結したクリムゾンリーダーたちを振り切り、味方が町外れに辿り着けばクリアという特殊なバトルです。じわじわと距離を詰めてくるクリムゾン兵たちの威圧感と言ったら……この曲の効果がさらに際立ってくるではありませんか。この時点ではクリムゾンリーダーとまともに戦っても勝ち目はありません。タイミングを見計らって桟橋を降ろし、町外れを目指しましょう!

隠しマップ「キーオブケイオス」でも使用。本作で最もパズル要素の強いマップですね。クリア目前にして再挑戦もあるでしょう。「あー、箱の動かし方まちがえた!」って。このマップではティンパニがゴーレムの足音に聞こえてくるような気がしてきますね。
28 魔導士
(ガモー登場)
第四章の「マサイ大森林」において、アッシュたちの前に初めてガモーが姿を現すイベントで初出となる曲。後に、リーン救出のためアッシュたちが向かったダイン砦でも導入イベントで流れます。もちろんそこにはガモーの姿が。まんまと王家の指輪を奪取したガモー、しかし処刑装置は既に作動していた……!バトルにもそのままイケそうな曲ですが、あくまでイベントBG。戦闘に引き続けて使われることはありません。小刻みなリズム隊が、ガモーの下でチョロチョロとうごめいている下僕どもの気配を感じさせます。

第五章・オロイ湖の神殿では、アッシュたちがリィナの力を借りていよいよヴァンダルハーツの封印を解こうとしたその時、「そうはさせぬぞ」とガモーが登場するシーンで流れます。ガモーが召喚した次元の歪に飲み込まれ、なんとリィナ消滅……!ヴァンダルハーツの封印は解けないのか?

第六章で、やっと首都シュメリアへと戻るアッシュたち。しかしそこはかつてのシュメリアではありませんでした。異形の魔物たちが徘徊し、クリムゾン兵を虐殺する光景。そしてその魔物を統べるのはガモー……ということで、流れているのはこの曲です。
29 貿易都市ケラチ
(大商人クルス)
あのー、この曲なんですけどぉ、ブックレットだと曲名が「貿易都市ケラチ」なのにぃ、パッケージの背中では「貿易都市」になっているんですけどぉ、これってなんか意味あるんですかぁ。どっちかにして下さいぃ。って何でこんな口調?コホン。ちなみにネットのWebページやCDDBでは圧倒的に「貿易都市」になってることの方が多いんですよ。みんなブックレットなんか読んでないのかな?それともCD持ってないのに書いてるのかな?

それはさておき、第四章で訪れることになる貿易都市ケラチ。そこで流れているのはもちろんこの曲です。ケラチ専用の町BGMですね。流用はないです。このどこかトボケたような雰囲気は、「チッ、来たくねえのに来ちまったよ……」というホセの心境でしょうか?アッシュは大商人クルス・リズモンを訪ねると言うものの、ホセは「奴は信用できねえ」と……。ホセは何を知っているのでしょう?なお、クルスの家におけるイベントでも続いて流れます。どうやらクルスとホセは古くからの知り合い……っていうか親子?!
30 過去2
(ホセの述懐)
というわけで、ホセがアッシュに自分の身の上、親と家を捨てた理由を語るイベントで流れるのがこの曲です。41トラック目「栄枯盛衰」のメロディを使ったアレンジバリエーションのひとつで、木管とオルガンによる伴奏にオカリナのメロディが奏でられたもの。「過去シリーズ」とでも括りましょうか、回想のテーマです。

この曲の初出はずっと以前でした。第一章「王宮跡」バトルクリア後、アッシュたちの前にベラスコ将軍の娘エリナとホルクスが現れるイベントです。ベラスコ将軍という共通のキーワードによって、彼女達はアッシュの仲間としてパーティに加わります。他での使用は以下の通り。

・ガダル海でのバトル後、アッシュ一行に敗れた海賊レッドラムが実はラドーの弟だと判明するイベントシーン。過去を懐かしむレッドラムだが、間もなく事切れてしまう
・第二章「ルーの丘」クリア後のイベントで、キースがリーンにその無謀な戦い方について忠告するシーン。その後、入れ替わり現れたホセによって、キースの「恋人を殺された」という過去が語られる
・第四章「旧市街倉庫」クリア後、ガモーの手により負傷したクルスをホセが看病しているイベントにて。父と息子が和解するシーン
31 魔鉄道
(列車上の死闘)
第四章のバトルマップ「魔鉄道」専用バトルBG。冒頭の効果音はもちろん魔列車です。続いて流れる楽曲は、バトルの味方ターンまで通して流れるもの。まさに「列車上の死闘」ですね。クリムゾン兵が密集しているうえ、列車は一定ターンごとに後ろから切り離されていきます。ひるまず前進しなければ、どちらにしても待つのは作戦失敗。遠距離攻撃を上手く使って道を開きましょう。

楽曲は他に流用のない限定BG。左側で鳴っている太鼓による「ドンッドドン」というリズムが、本作においては独特。似通ってしまいがちな味方ターンBGに変化をつけています。さらに右側の「パパッパパッ」というブラスの伴奏がポイント。さきほどの太鼓と合わせてみると、「ドンッドドン・パパッパパッ・ドンッドドン・パパッパパッ」……鉄道の走行音を模しているんです。いわゆる「ガタンゴトン、ガタンゴトン」を楽器でやっているということ。……え?考えすぎ?……筆者はそう感じてしまったのですから仕方ありません。世界のすべてが「それはない」と言っても、作曲者本人に「んなわけないべ?」と言われてしまったとしても、筆者は走行音だと主張します!
32 転職
(ジョブチェンジ)
転職道場で転職を実行した際に鳴らされるファンファーレです。サントラではここに収録されていますが、順調にプレイしていれば第二章のユース村で転職が可能でしょう。むしろこのサントラ時点では、2度目の転職で上級職になる頃でしょうか?
33 緊迫
(処刑装置作動
  /リーンの危機)
ドンデンドンデンというティンパニが鳴りっぱなしの、プレイヤーを焦らせる「煽り系」のバトルBGM。しかし「こわいぞ、強いぞ、危ないぞ」という恐怖感・緊張感はなく、どちらかというとプレイヤーを急がせることを重視したかのような「進め進め!急げ急げ!」といった曲調。タイトルのシーンはまさに緊迫という、本作でも屈指の難易度を誇るターン制限のある戦闘を指していますが、初出は第一章のライン大橋。こちらもやはり、ターンごとにつり橋が落ちていくという時限要素のある戦闘ですね(リーンが初登場するバトルでもあります)。

第三章では、キース・エリナ・アモン・ゲニウスたちの要塞刑務所脱出バトルで流れます。ターン制限こそありませんが、シチュエーション的には「早く脱出しなければ処刑されてしまう」という緊迫した場面です。ここで登場する敵は背後以外の攻撃を受け付けないため、パズル要素も含んだバトルになります。

そして曲名のシーン、第四章ダイン砦でのターン制限のあるバトル。8ターン以内にすべての装置を破壊しなければ作戦は失敗となってしまうため、いやでも焦らされることになるまさに緊迫したバトルです。そのうえ宝箱や埋没したアイテムをすべて回収するとなると、難易度は飛躍的に跳ね上がるのです……。

第五章、灼熱の洞窟(VSサラマンダー戦)や、隠しマップ「キーオブアース」でも味方ターンBGとして使われています。このように、比較的難易度が高いバトルで使用されているようです。

ところで、この曲は「テーマ」のモチーフ入ってますよね?
34 過去3
(リーンとキース)
伴奏のみのイベントBGM。曲名の通り「過去シリーズ」に属しており、今にも「栄枯盛衰」のメロディが顔を出しそうな雰囲気です(出しませんが)。ためしにオカリナのつもりで「ソファソラシラソードソー」と口ずさんでみて下さい。ね?違和感ないでしょ?

第四章冒頭、東方で孤立している解放勢力とコンタクトを取るため、カノースの町を発つクラウス。そこへアッシュがやって来て、「あなたまでも反逆者にしてしまったのかも」と心情を吐露するシーンで流れたのがこの曲でした。「自分の中の裏切り者の血が、皆を巻き込んでいるような気がする」と告げるアッシュの胸中とは。そしてクラウスが言いかけて止めた言葉とは?

曲名のシーンは、ダイン砦クリア後のイベント。焚き火を囲んで身の上を語るリーンと、イシュタリアの悲劇的歴史を検証するアッシュたち。悲劇を繰り返してはならない、と決意を新たにします。しかし、魔石(裁定の炎)も王家の指輪も敵の手に……どうする?

第五章では、開拓村ソルボーで休息を取っていたエリナが、深夜に嫌な夢を見て目を覚ますイベントで使われています。同室のサリナに「小さな頃から何度も見る嫌な夢」と告げるエリナ。しかし、それは夢ではなく……第五章のラストで明らかになるでしょう。

同じく第五章、辺境の村でパドウィンをはじめとする村の仲間を失い、「ひとりぼっちになっちゃった」と泣きじゃくるリィナを、エリナが優しく慰めるシーンで流れていました。凄いショックを受けたはずなのに、エリナのちょっとした言葉とペンダントのプレゼントで立ち直るリィナ、さすがは古代人の末裔唯一の生き残り!器が違いますね。

第六章では、錯乱してたとは言え自分の斬ってしまったクラウスが一命を取り留めたという報せを、アッシュがエリナから受けるシーンで使われました。しかしアッシュは「こんな自分に戦う資格なんかない」と言い出します。驚いたエリナは彼を諭します。決して言葉は多くありませんが、適確に相手の心を突くエリナの話術により、アッシュは立ち直るのです。まったくエリナはたいした女ですね。
第五章 遺産
35 開拓村ソルボー
(いにしえの民、ブラフ)
開拓村ソルボーのBGM。辺境の村は途中で壊滅してしまうため、この村には五章が終わるまでお世話になるでしょう。楽曲は他の村BGと共通のイメージ(木管+タンバリン)でまとめられた素朴感のあるのどかな曲で、他に流用のない専用曲です。
36 疑惑
(ヘルの暗殺を憶測)
サントラではこの位置ですが、イベントBGMとして本編の各所で頻繁に使われている不穏な汎用曲です。おそらくゲーム中、バトル曲を除いて最も使われているのではないでしょうか。最初に耳にするのは第一章・「山賊の谷」のバトルクリア後に挿入されるイベントで、山賊を利用する小汚い商人や政治家の存在が語られるシーンでした。以下、ずらずらと使用イベント一覧っ。

・ドブル地区での騒乱の翌日、アッシュがクラウスから若手改革派議員ドルフを紹介されるイベント。アッシュたちは謹慎と称して、行方不明になったベラスコ将軍の調査という極秘任務を授かることになる
・ライン大橋クリア後、リーンがアッシュたちの仲間になろうと持ちかけてくるシーン。なんでここで「疑惑」なのか?実は彼女がドルフの言うところの「私の手下」であることを楽曲が物語っている
・第二章「ユース村」で、正気に戻った村長たちから3ヶ月前にベラスコ将軍が遺跡調査に来たことを聞かされるイベント
・イグドラ渓谷でベラスコ将軍の部下ドルメンたちと合流したアッシュらが、襲ってきた魔物たちがかつての同胞の成れの果てだということ、そしてそれを率いるのがベラスコであるという事実を聞かされるイベント
・第三章バジルの関所クリア後、ドルフの前にガモーなる謎の人物が現れるシーン(ちなみにガモーはここで初登場)。リーンのことを信用しすぎではないかとドルフに意見するガモー、いったい何者なのだろうか
・リド街道クリア後、要塞刑務所のイベント。捉えられているキースとゲニウスのいる牢獄に、クレイマール伯が連れて来られる。魔石の秘密を語るクレイマール伯、するとそこにリーンがやって来て、牢獄を開けキースたちを脱出させる、という一連のシーン
・第四章、貿易都市ケラチのクルスの家で、クルスが「王家の指輪の所在がわかった」と語るイベントで使用。息子ホセの仲間であるアッシュに協力的な態度を見せる一方で、なぜこの「疑惑」が流れているんだ?という疑問も、音楽をしっかり聴きながらプレイしている人には怪しさバレバレ。この男、信用できない?
・第五章、トレネー山脈バトルクリア後のイベント。ヘル死亡の報はアッシュたちにも聞こえていた。リーンは「ついにドルフが動き出したのでは……」と語る。ドルフはヘル以上に危険だ、とも
・デスク平地で無事リィナを救出したアッシュたち。しかし、なぜこのような幼い娘が古代の高等魔法を使えるのか?村長は何かを隠している、とサムデラとアッシュが語らうシーン
37 辺境の村
(パドウィンの家)
第五章で訪れる「辺境の村」。トラック13「創世記」、トラック18「人の業」、トラック39「遺跡」と同じモチーフを紡いであることがわかりますでしょうか?古代文明を象徴するメロディが使われているということは、この村がタダの村でないことを音楽で物語っているんですね。しかもエリナの様子もなんだかおかしい。それなのに村長・パドウィンさんはアッシュの問いに対してつれない返事。アンタ、何か隠してるでしょ?隠してもムダだよ、曲が語ってるもん。ある意味ネタバレしている罪な曲ですね。
38 過去1
(リィナ消滅)
41トラック「栄枯盛衰」のアレンジバリエーション。言うまでもなく「過去シリーズ」で、メロディが木管(オーボエ?)になっています。第一章「ライン大橋」での夜中の会話シーンが初出となります。アッシュがオカリナを吹いているうちは「栄枯盛衰」、吹き終わってからがこの曲になります。同じメロディを続けて流すことで、このメロディそのものをプレイヤーに強く印象付けようとしているのでしょう。今後、様々な場面で登場するメロディですから、ここでの印象付けの成否が重要なわけですね。場面によって使い分けられていく「過去シリーズ」の3曲ですが、この「過去1」は以下のイベントで耳にします。

・第二章城塞遺跡クリア後、倒れたベラスコに駆け寄るエリナたち。正気を取り戻したベラスコが魔石のこと、「あの男」のことを語ろうとするイベントにて
・第三章バジルの関所クリア後、キースを案じるリーンと、リーンを気遣うドルフの会話イベントで使用。リーンの過去に何があったのか、ドルフは何を始めようとしているのか……
・サントラに添った使用は、第五章オロイ湖の神殿にて。記憶を取り戻したエリナが自分の正体を悟り、リィナに変わってヴァンダルハーツの封印を解くシーン
・第六章「コバルタの丘」で、錯乱したアッシュに斬られたクラウスが「アッシュの父を殺したのは私だ」と過去の真実を告白し、「お前は決して裏切り者の息子などではない」と告げて気絶するイベント
・最終戦前に対峙するアッシュたちとドルフ。「すべては我が父、賢者アレスの復讐のため」と言うドルフ。アッシュとドルフは因縁浅からぬ関係だったのだ……
39 遺跡
(オロイ湖の神殿)
金管群のみで奏でられる曲。どこか神々しく神秘的でありながら、謎めいた雰囲気を兼ね備え、かつ威圧的でさえあります。曲名の「遺跡」を彩るに相応しい楽曲です。イベントBGのようですが実はバトルBGで、初出は第一章の「王宮跡」。ここも、遺跡のような朽ち落ちた建築物が並んでいるマップです。ここでは到着後のイベントから、味方ターンのバトルBGとして続けて使用されていました。

第二章では「トロアの方舟」こと城塞遺跡で使用。ここでもバトルの味方ターンを通して流されます。そしてサントラ通り、第五章のオロイ湖におけるバトルでももちろん使用されています。

使用例を見てもわかる通りこの曲そのものは「遺跡のテーマ」ではありますが、メロディ自体はトラック13「創世記」、トラック18「人の業」、トラック37「辺境の村」と共通で、即ちそのメロディ自体は「失われし古代文明」を象徴しています。また、隠しマップ「キーオブロゴス」でも使われていました。このマップも言ってみれば遺跡に属するマップで、きつい高低差のある難易度の高いバトルになるでしょう。

右側のブラスが歪みっぱなしなのですが、サンプリング段階のものでしょうか?まれに音の欠損(たとえば37秒、49秒など)もありますね。
第六章 愚者の墓碑銘
40 グラスゴーの町
(決戦前夜)
第六章はグラスゴーの町から始まります。そこで流れている曲ですが、既に第四章の「カノースの町」でも使われていたBGMです。やっぱり木管+タンバリンの素朴系楽曲になっておりますが、村と町の区別がよくわかりません。どこもショップや酒場はあるし、転職道場もある。人の往来も描かれてないので……。もうちょっと音楽は差別化した方が、「ここは町、こっちは村」という違いが表現できたかと。
41 栄枯盛衰
(アッシュとエリナ)
東野美紀女史による、本作の第二テーマと言っても過言ではない重要な楽曲です。このオカリナによるメロディがいくつかの曲(過去シリーズの3曲)に使われていることからも、その重要性が理解できるでしょう。きっとプレイヤーの脳裏にこびりついているハズ。というかこのメロディを覚えていないと、エンディングへの没入感がまるで変わってきちゃいますからね。

副題は「アッシュとエリナ」ということで、第一章「ライン大橋」クリア後、夜中にひとりオカリナを吹くアッシュと、そこにやってくるエリナとの会話イベントが初出となっています。これはエンディングへの伏線にもなっているのです。

次にこの曲が登場するのは第六章。クラウスを傷付けたことで「自分に戦う資格なんかない」と塞ぎ込むアッシュでしたが、エリナが諭すことで立ち直ります。そこで彼が取り出したのはオカリナ。と、突然演奏を始めます。泣いたカラスがもう笑ったならぬ、ヘコんだアッシュがもう吹いた、ということで、「これ、親父の形見なんだ……」。エリナにしてみればわけわからん、でしょう。このイベントではこの曲の前後をトラック34「過去3」が挟んでいます。個人的に「過去3」は「栄枯盛衰」のアレンジに属していると解釈しています。

そして、エンディング。エンディングはエリナが記す手紙という形で語られていきます。その手紙を書いているエリナの耳に、あのオカリナのメロディが聞こえてくるのです。慌てて外に出るエリナは、そのオカリナの主に向かって「おかえりなさい!!」と……。もうこれはハッピーエンドと言っていいでしょうね。
42 危機
(首都崩壊)
サントラではかなり終盤に配置されていますが、第三章「嘆きの台地」で初出となっているバトル曲です。トラック33「緊迫」と同じような焦らし系の曲調ながら、こちらはジワジワと迫り来るようなプレッシャーを感じさせます。どちらかというと、敵の方が優勢な感じというか、プレイヤーにとっては「守りのバトル」。時空の狭間に迷い込んだアッシュたちは、サムデラの発案でもとの世界へ戻ろうとしますが、そのために必要な魔法塔が今にもゴーストに破壊されようとしている!5ターンの間、魔法塔を死守せよ!というバトルで使われました。

第四章・貿易都市ケラチの「旧市街倉庫」での戦闘でも使用。王家の指輪を取引きするため、クルスの手引きで貴金属商と待ち合わせたはずのアッシュたち。しかし、なぜかそこにモンスターが……やはりクルスは信用できない男だったのか?考える間もなく、四方を敵に囲まれたいやな体勢で戦闘は始まるのでした。

そしていよいよ第六章、久しぶりに帰還した首都シュメリアは、裁定の炎が呼び寄せた異界の魔物によって支配されていました。最終バトル目前、ガモーとの直接対決で流れるのがこの曲です(サントラのタイトルが指すのはこのバトル)。これをクリアしたらラスボス戦を残すのみ、なんとしても勝つしかない!
43 テーマ
(決戦)
「決戦」とはなっていますが、決戦専用のBGではなく、汎用戦闘BGとして多くのバトルで耳にすることになるものです。24曲目「劫初」のアレンジになっており(いや、逆かも?)、アッシュたちのバトルテーマと言っても良いでしょう。プレイヤーに対して「恐れず進め」と奮起を促す応援歌といった感じでしょうか。

初出は第一章「ドブル地区」。その後、第二章では「ルーの丘」、第三章の「テスタ村」、「要塞刑務所(アッシュら到着後)」、第五章最初の戦闘となる「ワルト湾」といった戦闘で使われています。

そして最終戦、ドルフとの直接対決でのプレイヤーターンを彩るのもこの曲。ドルフ変身後も変化ありません。最終戦にしては迫力に欠けるんじゃないかって?まあまあ。「進め解放軍、ドルフを倒せ」ということで。本来ならばラストバトルの曲っぽくないかもしれませんが、ここまで解放軍のテーマとしてトラック24「劫初」とともにイメージを積み重ねたからこそ、なのですよ。
44 悲しみを燃やして
(エンディング)
エンディングムービー前半部で流れるもので、テーマソング「悲しみを燃やして」の別バージョン。結局、動乱前とそれほど変化のない世界……アッシュたちがやったことは何だったのか?無駄だったのか、それとも……答はあるのでしょうか?エリナは自分なりの答を見つけたようですね。そしてその答は、この曲の歌詞にも……。歌詞はブックレットに掲載されていますのでチェックして下さい。
45 無双
(スタッフロール)


エンディング後半(仲間たちの後日談以降、スタッフロール部分)で流れる、ゲーム中に使われたいろいろな曲を紡いだスペシャルメドレー。作曲クレジットに3名が記載されているのはそのためです。いろいろな曲のメロディ、モチーフが次々に現れます。ゲームをやり込めばやり込むほど印象深いトラックになるでしょう。組み込まれている楽曲の内訳は以下の通り。

0'00"-「テーマ」または「劫初」
0'43"-「敵ターン」
1'01"-「作戦」
1'31"-「栄枯盛衰」または「過去」
1'50"-「貿易都市」
2'14"-「傍若無人」
2'23"-「山岳」(裏に「疑惑」が入ってる気もする)
2'52"-「栄枯盛衰」または「過去」
3'28"-「全体保持」
4'06"-「テーマ」
4'17"-「創世記」のモチーフ
4'28"-「テーマ」のモチーフ

他にも「こんな曲が入ってるよ!」という情報・ご意見は掲示板までお寄せ下さい。
46 悲しみを燃やして
(ボーナストラック)
トラック1に収録されているものと同様のヤドランカによるアカペラバージョンですが、前者は冒頭が歌詞なしのスキャットであるのに対し、こちらは最初から明確な詞が歌われています。ゲーム中では使われていないバージョンです。わざわざサントラのために作ったわけではないでしょうし、オープニングでどちらを使おうか検討する意味もあって、2バージョン作成したのではないでしょうか。何がボーナスなのかわかりませんが(笑)、私ゃてっきりヴァンダリアンになってクリアすると、最後にコレが流れるものと思ってましたヨ。でも冷静になってみるとそりゃないですよね。直前で44トラック目のバージョンが流れているわけですから。
サントラ未収録曲
・各章のプロローグムービーで使われている楽曲すべて
関連CD
シングルCD 悲しみを燃やして/予感

1996年 コナミ KIDA7616 JASRAC表記:
あり
このシングルCDを購入できます。

コナミゲームのCM曲をカップリングした8cmCDシングル。ただし、現在は廃盤です。「悲しみを燃やして」は言うまでもなく「ヴァンダルハーツ」のタイトル曲ですね。テレビCMで流れていたんです。一方の「予感」は同じくコナミの「幻想水滸伝」のCMソングでした。どちらも作編曲は山内雅弘氏、作詞・歌唱はヤドランカによるもの。

ヤドランカって誰?という人ももちろんいると思うのでいちおう簡単に書いておきますと、ボスニア・ヘルツェゴビナ(旧ユーゴスラビア連邦)のサラエボ出身で、フルネームはヤドランカ・ストヤコヴィッチ。地元では国民的歌手です。ヴォーカリストとしては本作でもその歌声を堪能させてくれていますが、ベーシストでもあり、また画家でもあるという才女。彼女のCDは大きなCDショップのワールドミュージックコーナーでなら買えると思います。ネット通販も手ですね(オフィシャルサイトももちろんあります)。また、癒し系オムニバス「イマージュ」シリーズにもその歌声が収録されていることがあります。「FFX」の「ザナルカンドにて」を収録した「イマージュアムール」では、ヤドランカによる『ムーン・リヴァー』を聴くことができます。

このシングル自体は前述の通り廃盤ですが、ここに収録された「悲しみを燃やして」が聴きたい人には救済策が。「KONAMI LABEL THEME SONG COLLECTION(99年、KMCA-14)」という企画盤の7曲目に入ってます。まだ廃盤ではないので入手可能(2005年4月現在)。

続編「ヴァンダルハーツII〜天上の門〜」サントラレビューはこちらから。


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2005 GAMERS EDEN

ポロポロと中古が出るようです。