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DIRGE OF CERBERUS -FINAL FANTASY VII-
-MULTIPLAYER MODE- ORIGINAL SOUND COLLECTION
アルバムアートワーク SQUARE ENIX (ITMS)
2006年8月30日配信開始

JASRAC表記:なし
作品紹介

 「DIRGE OF CERBERUS -FINAL FANTASY VII-(以下"DCFFVII"と表記)」ゲーム本編についての詳細は本編サウンドトラックのレビューを参照していただくとして、ここで御紹介するのはサントラとしては風変わりなものだ。いや、インターネットを介しての音楽配信が盛んになったからこそスタンダードになり得る商品形態だろう。いわゆるCDなどのパッケージがなく、音楽データのみを配信するものだ。だからこそ欲しい曲だけ購入することも、もちろんアルバム丸ごと購入することも可能になっている。ITMSで配信されており、どんなに探してもCD版は存在しない。他のFFシリーズ楽曲もネット配信はされているが、あくまでそれは「CD盤もありつつ」の選択肢として、であることが決定的に異なる。

 で、ここに収録されている曲は何なのかということだが、タイトルからもわかる通り「DCFFVII」に実装されているオンラインプレイモード「マルチプレイヤーモード」で使用されている楽曲を収めているのだ。オフラインに比べて曲数が少ないうえに、絶対的に小数のユーザーがターゲットになるわけで、ましてそのサウンドトラックをCDとしてリリースしたところで販売数は知れている、ならばその少数派に向けてデータ配信という形で供給する、というやり方はビジネスとしてまっとうだ。コストも抑えられて一石二鳥である。正直に告白すれば筆者はマルチプレイヤーモードをプレイしていないので、その楽曲について語ることは難しい。そもそもプレイしていないのだから楽曲への思い入れもない。ではなぜこれを購入し、ここで紹介するのか?それについては理由がある。

 このサウンドトラックにはマルチプレイヤーモードの楽曲のみならず、北米版のために新たに作曲された楽曲、そして本編で使われていたにも関わらずサントラに未収録となった多くの楽曲が収録されている。いや、曲数で言うならむしろそちらの方がメインであるとさえ言えるだろう。あの敵とのバトルで流れた曲……あのイベントシーンの曲……なんでサントラに入ってないのか、ということはユーザーの間でさんざん語られた。それを補完するものとしてメーカー側から提示されたのがこのデータ配信である。マルチプレイヤーモードを未プレイの本編ユーザーは、それら未収録曲から望むものだけを購入することも可能。今後、ゲーム音楽のサウンドトラックはこのような形での販売も増えていくのではないか。現にあまり数の出ない作品はサントラCDをゲームに同梱したり、後からリリースするDVDや書籍に添付している。CDにしてもどれだけ売れるか、コストとの折り合いがつかないタイトルはデータ配信という形で供給される可能性もあるだろう。実際、他社ではあるが、カプコンの「極魔界村」のミニサントラもデータ配信オンリーで発売された。

 パッケージのないデータのみの商品は確かに味気ないが、それでもこういった形で未収録曲が救済されることについては歓迎したい(あくまでCDなどパッケージでのリリースが理想ではあるが)。本編のサントラを購入し、期待していた曲が入っていないことに不満を持ったユーザーにはチェックしていただくことをお薦めする。ここではそれら未収録曲について、本編同様に語っていこうと思う。
レビューを読むうえでの表記について

「オンラインモード」または「オンライン」……「マルチプレイヤーモード」のこと。
「オフライン」「本編」……PS2用ゲームソフト「DIRGE OF CERBERUS -FINAL FANTASY VII-」のこと。
「北米版」……本編を海外市場向けに調整・発売したもの。日本では未発売。
「本編サントラ」……「DIRGE OF CERBERUS -FINAL FANTASY VII-」CD版サントラのこと。
「追加サントラ」……この「-MULTIPLAYER MODE- ORIGINAL SOUND COLLECTION」のこと。
「未収録曲」……本編で使われていながら本編サントラに収録されなかった楽曲。

ネタバレしてます!プレイ前の方はご注意下さい。

ゲームをプレイしてからの閲覧をオススメします。
また、閲覧される方が本編のサントラもお聴きに
なられていることを前提としてレビューを記しております。

01 Turks 101

・チュートリアル
実戦形式のチュートリアルモードをプレイすると、タークス時代のヴィンセントを操ってゲームの基本操作を学ぶことができます。本編を始める前にぜひやっておきたいこのチュートリアル、そこでかなり長時間聴くことになるBGがこの曲。ループのリズムをベースに、パッドとギター、そしてピアノによって構成されたインストゥルメント。「DC」の中では珍しい、わかり易い曲なのでサントラには入るであろうと予想しましたが、本編サントラからは漏れてしまいました。

無線通信音のようなSEを伴ってイントロが始まり、ループとディストーションギターのリフが加わります。いったんクールダウンし、ピアノのリバース音に導かれてやっと曲のメインブロックへ(1分29秒〜)。2分41秒からはピアノも加わり、楽曲にまた新たな表情を加えます。長いチュートリアルでは何度も繰り返されることになりますが、楽曲の展開が多様なため飽きることはないでしょう。本編で使われる特定のテーマやモチーフは入っておらず、BGMに徹しています。
02 Song of the Gathered

・?
さて、続いては……聞き覚えがありません。1曲目がチュートリアルBGだったので、追加サントラは未収録曲集から始まるのかな、と思い込んでいましたが、どうやらオンライン専用曲もしくは北米版追加曲のようです。オフラインで聴いた覚えがないので……。マーチングスネア、シンセベース、高音の緊迫したストリングス、もろもろの管から成る、緊張感のある曲です。完結型です。作戦会議、状況説明、導入っぽい雰囲気。

筆者はオンラインはプレイしておりませんし、まして北米版の情報など持っていないので、もちろん語ることなどできません。ご了承下さい。確認しようにも、オンラインはとっととサービス終了しましたしね……。遊んでくれた人があまりいなかったのでしょうか?オンや北米版をプレイした方、「こんなシーンで流れてたんだよー」と教えていただけると助かりますです……。でもオンラインのイベントシーンってあまり音楽流れませんし、流れたとしてもけっこう本編の曲が流用されてるんですよね。筆者、you tubeにアップされていたオンラインのイベントシーンだけは一応ひと通り見たんです。本編でDGを象徴するかのように流れていた「Abhorrence Whirls」や、ロッソのテーマ「Rosso the Crimson」、ディープグラウンドのBG「Deep Darkness of Shinra」などがオンラインでも使われていましたね。
03 Final Briefing

チャカチャカした小刻みなビートに加えてメタルパーカッションのヒットが打ち鳴らし、圧倒的なハイテンポの上で歌うボーカリーズ。中盤以降はヴィンセントモチーフを思わせる金管が鳴り響き、終盤で再度ボーカリーズが登場。これもおそらくオンライン専用、もしくは北米版追加曲。
04 Underground Complex

フワーンとしたパッド音色を主体にパーカッションが加えられた、浮遊感のあるゆったり曲。本編のどこかでうっすら流れてたとしても違和感ないですが、これもたぶんオンライン専用、もしくは北米版追加曲と思われます。
05 Fierce Battle

あれ……このアタマのファンファーレ調のところ、妙に聴き慣れた感じが……。本編使用のサントラ未収録曲?でも、イベントを探ってみても出てこない。そりゃこれだけ長い曲ですし、おそらくステージ探索中のBGMだろうと思って、セーブデータからあらゆるステージを呼び出してもこの曲は流れてきません。やはり本編では流れていないか……。そもそも、ITMSのトラックデータによると作曲者名が「山崎良」になってます。本編の曲はすべて浜渦氏が作曲したはず(山崎氏はオペレーター)。じゃあこれもオンもしくは北米版の追加曲?にしてはなんか耳馴染みがありますねえ。

楽曲全体にも、本編と共通する音遣いが。さらに1分22秒以降にはヴィンセントモチーフの変形とも思えるブラスが……。オンラインでヴィンセントモチーフが現れる必然性はまずないでしょうから(プレイヤーはツヴィエートですし、舞台はDG内なので)、これはきっと北米版の追加曲なんだ!と勝手に結論付けてみます。
06 Time Limit

これも本編ではかかっていないはずの曲。曲名が「タイムリミット」なので、北米版において時限ミッションなどで流すために新たに追加したものと予想。本編ではそういったイベントでもステージBGMが淡々と流れ続けてたので、メリハリをつけるという意味、そして時限であることをわかりやすくするために改変したのでは。まあぜんぶ邪推ですけど。「DCFFVIIインターナショナル」は出さないんでしょうか?出ないだろーな。ちなみにこれも山崎氏による曲のようです。
07 Bad Feeling

・第一章エンド
・第四章エンド
ほっ、やっと自信を持って説明できる曲が現れました。ということで、おそらくここからはしばらく「本編使用サントラ未収録曲集」になると思われます。まずこの曲は、高音の持続する弦と不穏な管弦が主体となった雰囲気もので、最後(43秒〜)にヴィンセントモチーフが奏でられています。第一章・カームでの最後のイベントで流されているものです(リーブが「もう少し付き合って下さい。エッジも襲われています」と告げるあたり)。また、第四章の終わり(ニブルヘイムへ向かうとヴィンセントが告げるシーン)でも使用されていますね。

ゲーム中で聴くと、サントラに収めるには短すぎたのかなあと思えますが、実はイントロからヴィンセントモチーフに至るまではけっこう長めで、イベントサイズに合わせて適宜フェードインで使用しているようです。これならどこからでもフェードインできますしね。
08 Wild Pack

・ミッション
「ガードハウンドを撃退せよ!」
第二章「荒れた地の死闘」で課せられるミッション「ガードハウンドを撃退せよ!」のBGMです。ヴィンセントがシャドウフォックスの機銃で「ガガガガガ」と撃ちまくるアレですね。機銃の音も激しく音楽なんかほとんど聞こえないシーンです。それでも耳を澄ましてよく聴くと隙間隙間で「Fearful Happening」のフレーズが聞こえました。でも明らかに「Fearful Happening」ではない……。言わば「Fearful Happening」のロックバージョン?といった感じです。他に流用のない専用曲で、アレンジ曲であることからサントラCDには漏れましたが、追加サントラでこのようにめでたく補完されました。
09 Immaculate Frenzy

・ヴァイスの刈り取り宣言
・私だ!宝条だよ!
ヴァイスによる全世界放送(「我らはこれより世界すべての刈り取りを行う」)で流れるコーラスもの。こういうテーマ性があり、かつインパクトのある曲がサントラに収録されなかったのは残念でしたが、めでたく補完されました。ゲーム終盤、ヴァイスの身体を我が物にした宝条が正体を明かすシーンでも再使用。
10 Pegasus Riders

・第二章VSエアホース部隊
・第八章VSシュライク部隊
第二章の最後で戦うことになる、エアホース部隊とのバトルBGM。「Marching Tune」っぽい雰囲気を持つ、タイコがドンドコドコドン系。第八章の中ボス、シュライク部隊との戦闘でも使われている曲です。作中で二度使われるボスバトル音楽ながら、本編サントラには未収録となっていました。これもユーザーの「なんで入ってないんだよー」という声が多く聞かれた曲ですね。
11 Meeting in the Rain

・ヴィンセントとシャルア
・10年ぶりの姉妹喧嘩
冒頭のショッキングなブリッジは第三章のエッジにて、初対面のヴィンセントとシャルアが銃を向け合うシーンのもの。もちろん初対面ゆえの行動であり、互いの正体を知るとすぐに銃を下ろします。それに続く、ヴィンセントとシャルアによる会話シーンで流れる曲が15秒からの部分。ヴィンセントの「何を探しているんだ」の問いにシャルアが「私の……命だよ」と返答する場面。また、第六章の冒頭、シャルアとシェルクの会話シーン(「10年ぶりの姉妹喧嘩といくか?」)にも使われています。
12 Heavy Armored Soldier

・VSヘビーマウントソルジャー
エッジのボス、ヘビーマウントソルジャー戦のバトル音楽。特殊部隊との戦いで流れる曲とはまた違うのですが、テイストはやっぱりタイコのリズム。色なしツヴィエートのイメージはタイコなのかな?流用はなく、ゲーム中で流れるのは一度きりです。
13 Lucrecia's Research

・ルクレツィアの研究1
第四章、WROの研究室において、シャルアがルクレツィアの研究について説明するシーンで流れる弦+ピアノ曲。短いためか本編サントラからは漏れましたが、ここに収録。
14 Flying High

・シドとヴィンセント再会
・ミッドガル侵攻に向けて
第七章のシエラ号登場ムービーの後、シドとヴィンセントが再会するシーンで流れる勇ましい曲。オメガの秘密とヴァイスの企みを知った一行が、ミッドガル侵攻の決意を固めるシーンでも使用されている曲です。力強いリズム隊を従えて、管弦が宿命的な熱い旋律を奏でています。
15 Pure Stream

・ルクレツィアの研究2
13曲目から続いて、シャルアがルクレツィアの論文についてさらに説明するシーンの、コーラスベースの曲。シャルアが「星の淀み生まれし魂」と言い始めるのと同時に鳴り始めるものです。終盤にヴィンセントのモチーフが入っています。なんで「Lucrecia's Research」の次に入れなかったんだろ……。
16 Train Graveyard

・第六章、DGの侵入
・列車墓場ステージBG
アスールの目覚めを待っていたかのように、DGがWRO本部へと侵入を始めるイベントでの曲。第八章、列車墓場のマップBGとしても使用されており、長時間聴いたため非常に耳に馴染んでいる曲なのですが、なぜか本編サントラには未収録となっていました。他にカットすべき曲はあっただろうに……。一度きりのイベント音楽よりも、こういう使用頻度が高くて耳に残っている曲を収録してほしいですよね。個人的に、サントラに入っていないことが最も納得いかなかった曲です。同時に、追加サントラで耳にした時にはかなり嬉しくなったのですが。
17 Central Complex

・ミッドガル中央塔BG
第八章後半、シュライク部隊戦後のマップBG。ヴィンセントモチーフを組み込んだ曲。主人公のテーマモチーフが入った曲ですら、容赦なく本編サントラの収録を見送るとは……。Gacktとか入れなくていいからこういう曲をだな……ンガググ。っていうかGacktのCDを売りたいのなら、あえて主題歌未収録っていうのもビジネスとしてはアリなのでは?本当に聴きたい人はシングル買うと思うんですよ。もっともGacktサイドにしてみれば、「主題歌依頼しといてサントラに入れないとはどういうことだ?」ってなことになりそうですが。
18 Uncontrollable Darkness
・VSネロ第一戦
第十章のラストに行われる対ネロ戦バトル曲。ゲーム中ではもちろん一度しか流れません。ドラムンベース調のリズムを核とする、テンポの速い焦らし曲になっています。まあこのテの、キャッチーさのない背景音楽がサントラから漏れるのはなんとなく理解できますけど。ただ、ユーザーが思い入れるのってこういう曲だったりするんですよね。ネロのテーマ曲「Darkness」と同じ効果音を入れることで、楽曲に関連性を持たせているあたりはさすが。
19 True Beast

・VS真アスール
第九章、神羅ビル最深部における「真のアスール」との戦闘曲。「Azul the Cerulean(Disc1-8)」のイントロだけを伸ばして繋いだようなイメージの楽曲です。強大な敵との激しいバトルを、こういう曲調で彩るのも悪くないてせすね。煽るばかりが能じゃないよ、と。一部リズム音色を「Azul the Cerulean」と統一しており、すぐにアスールの曲だとわかるようにしてあります。それがわかるのは、よほど曲を注意深く聴いている人に限られると思いますが……。アスールがその姿を変化させるイベントシーンから流れ始め、そのまま戦闘に引き継がれます。
20 Crumbling Mind

・実験なんかじゃない!
ラストSNDムービーの後、ルクレツィア視点で進行するイベント一連の曲。完全に画合わせで作られております。「実験なんかじゃない!」〜宝条によるヴィンセントの射殺〜「あの人と同じ目をしてたんだよ(楽曲的には1分56秒あたり)」〜混沌の誕生(同じく2分30秒あたり)〜エンシェントマテリア〜「あの子を返して!」〜「もう、ダメみたい」という流れのイベントですね。けっこうな大作なのですが、本編サントラには未収録となりました。ちなみにイベントの終盤では「Fragment of Memory」がゲーム本編で初めて流れます。
21 Attack On Midgar

・ミッドガル上空BG
最終章、ミッドガルのマップBGM。控え目なリズムと空気音のようなシンセ、うっすらしたシンセストリングスでひたすら背景に徹しています。印象に残るメロもなく、かつ特にインパクトのあるギミックが施されているでもなし。加えてゲーム中ではこのあたりは、前後にムービーも含めて自己主張の強い曲が連なっており、結果的にこの曲はユーザーに覚えてもらいにくいのです。流れる場面も長くはないですしね。サントラで何かをカットしなければならなくなった時、真っ先に候補に挙がるのもやむなしかな、という。
22 Redeem the World

・物語を終らせよう
・REDEMPTION直前
2つの短い曲が組み合わせられたトラック。前半部分は、最終章、「自分の口から彼女に伝えたらどうですか」と言うシェルクに対し、ヴィンセントが「その前に……この物語を終わらせよう」と告げてオメガへと向かうシーンで流れる、ヴィンセントモチーフを主体としたブリッジ。同じヴィンセントモチーフのブリッジである「Bad Feeling(7曲目)」がどことなく暗示的で次へと続くような曲調だったのに対し、こちらは勇ましいイメージになっています。ただしゲーム中ではイントロをそのままは使わず、フェードインさせています。

後半(32秒〜)はエンディングムービーで「REDEMPTION」の直前に流れる、金管の短いアオリ音楽。ヴィンセントがオメガに突撃し、その飛翔を阻止するシーンに使われているものです。
23 Outskirts of Fight

・?
本編では流れていない曲ですね。オンライン専用もしくは北米版新曲でしょう。背景音楽に徹した、淡々とした曲です。
24 Combat Results

・?
「戦績」ってことだと思いますが、本編でたびたび挿入される戦績画面(戦績表示〜ポイント換算〜ショップ)は音楽ナシだったので、オンラインではそういった箇所で音楽が流れるのか、北米版では音楽を流すことにしたかのどちらかではないかと。
25 Restrictor

・?
これも本編では流れてないですね。曲調からしてバトル音楽だと思うのですが。曲名の「Restrictor」はマルチプレイヤーモードに登場するキャラクターですので、おそらくソイツとのバトル曲ではないかと。このサントラ、不親切じゃないですか?せめてどこからどこまでが「なんのための曲か」ぐらい教えてくれても。
26 First Encounters

・ブリッジ集1





































































最初にこのトラックを聴いた時は、その長さと組曲的な構成から「オンラインモードのオープニングイベント用か?」とか勝手なことを思ったのですが、それにしてはどれも聴き覚えがあり、かつひとつのシーンで流れるものにしては長すぎ、曲のトーンもバラバラ。で、ひとつひとつを検証していくと、「なあんだ、ブリッジ集かあ」という結論に至りました。つまり、単一トラックとするには短すぎるブリッジ、MEなどをメドレーふうに繋げてひとつのトラックにまとめているわけです。ということで、その内訳を解説しましょー。

0秒〜最初の曲は、カームのお祭り(ネットワーク復興祭)でのダンスシーンで流れている曲ですね。導入ムービーのワンシーン。

37秒〜カームの街におけるドラゴンフライヤーGL登場イベントで流れるブリッジ。

50秒〜カームでヴィンセントがガリアンビーストへと姿を変え、ドラゴンフライヤーGLを叩き落とすイベントでかかるドハデなアオリ曲。第八章のシュライク部隊撃退後のイベントでも使用されていますね。

1分30秒〜第二章直前に挿入される、ロッソの初登場イベント(WRO隊員を瞬殺し「DGじゃ一日だって生き残れない」)で流れる曲。ロッソのテーマ「Rosso the Crimson」の別アレンジ、ということではなさそうですが、彼女を象徴するかのような弦を引っ掻いた音色が使われています。

2分4秒〜ガードハウンドの追撃を振り切ったかに思えたシャドウフォックスにさらなる危機が!橋が落ちていて道が寸断!勢いにまかせてジャンプ!という橋越えイベントの短いブリッジ音楽。こりゃもう短かすぎてサントラに収録されるはずもありませんね。

2分26秒〜ガードハウンドの集団に混じって、クリムゾンハウンドが出現するイベントのブリッジ。これも短いです。

2分43秒〜倒したかに思えたクリムゾンハウンドがムクリと起き上がり、再びヴィンセントの背後に飛びかかる!しかし、ヴィンセントはしっかりお見通し。キック&弾丸を浴びせて華麗に撃退してみせます。そこで流れるブリッジです。プレイヤーが操作してる時にはそんなアクション見せてくれないのになあ。

2分58秒〜第三章、ロッソと対峙したヴィンセント。彼女はエンシェントマテリアを渡せと言いますが、ヴィンセントにとっては知らない単語でした。無言を貫くヴィンセントに「交渉決裂?なら死になさい!」と襲いかかるロッソ。そこで流れるのがこの曲です。会話シーンまでは「Rosso the Crimson」が流れていますが、彼女が牙を剥くと同時に音楽も切り換わります。吹っ飛ばされたヴィンセントは……↓

3分25秒〜第三章のラスト、ロッソに攻められたヴィンセントがカオスの姿に変化するシーンで流れるもの。「Tranceformation into Chaos」のショートバージョンといった感じ。

3分52秒〜第二章、ガードハウンドに襲われるシャドウフォックス。それに対してリーブとヴィンセントは機銃をスタンバイ、迎撃準備をするという一連のイベントの音楽です。また、第四章の終盤も終盤、ヴィンセントがアスールにバズーカ(?)を撃ち込むイベントでも使われていました。焦らし曲です。

4分18秒〜ヴィンセントの前で、オメガと同化するに至った経緯を語り、自らを「天才だ!」と評して高笑いする宝条。ヴィンセントは「貴様の声は聞き飽きた」と、宝条に銃口を向けます。宝条=ヴァイスはその攻撃をまったく受け付けず、圧倒的な力でヴィンセントを翻弄するのです。そのイベントシーンで流れる、重厚なコーラス+煽りリズムから成る曲がこれ。ハリウッド映画っぽいですね。

4分46秒〜第五章・神羅屋敷で謎の「忍」が登場し、ロッソを翻弄する際のME。イントロからグアーッと盛り上がる部分は、「終わりにしてあげるわ」と倒れたヴィンセントに手をかけようとするロッソ、テンポの速い煽り立てパートは手裏剣を投げる「忍」、コーダは目くらましにたじろぐロッソ。

5分5秒〜ヴィンセントマーチ……これのみ、本編では流れていないですね。本編では流せる場面がなさそうなほどに明るく勇ましい、ヴィンセントモチーフのアレンジです。オンラインか北米版で流れるものと思われます。意外とオンラインのタイトルバックだったりして。
27 Dark Feelings

・ブリッジ集2































これもブリッジ集なのですが、前のトラックとは明らかにトーンの異なるもの……語弊があるのを承知で言えば、より音楽っぽくない背景もの、効果音にも思えるようなMEなどを集めたトラックです。まずサントラには入らない類のものですが、こういう音もストーリーもののゲームには不可欠なわけで。

0秒〜エッジの街において、物陰に潜むスナイパーからヴィンセントが狙われるイベントで流れる曲。這うようなシンセに、しばしば鐘のような音色がタッチ的に挿入される雰囲気ものです。直後にミッションが発生し、それらスナイパーを退治することになります。ミッション中のBGは通常のエッジBGM「Silent Edge(Disc1-11)」です。

49秒〜ネロの放つ「闇」のイメージ。ヴァイスを前にし、その目覚めに反応して武器を構えるヴィンセントとユフィ。ネロは激昂し「兄さんに触るな!」と闇を放ちユフィを捉えます。闇に堕ちたユフィ……そこで流れるのがこのME。苦痛・恐怖・狂気に満ちた呻き声に包まれ、絶叫するユフィは何を感じたのでしょう?効果音の範囲だと思っていましたが、こうしてサントラに入っているところを見ると楽曲サイドの仕事なんですね。

1分38秒〜第四章の頭、タークス時代のヴィンセントが謎の男(宝条)に「うるさい!」といきなり撃たれる回想イベントで流れるME的楽曲。その後、宝条のひとりごと(「使って…実験…天才……」)まで流れ続けるものです。また、飛空艇シエラ号の中でカオスが暴走しかけ、ヴィンセントが一瞬我を忘れるシーンでも薄〜く流れてます。

2分43秒〜宝条の凶弾に倒れたヴィンセントが、薄暗い部屋で目を覚まし悲鳴をあげるイベントの曲。弦をデタラメにひっかいたような、ホラー映画っぽい曲です。

3分8秒〜本編では流れてないと思います。オンラインのイベントで頻出していたような。音楽というより背景音ですな。

4分14秒〜本編導入ムービー直後、DG兵士からのターゲットデータを受けたシェルクが「見つけた」と言う時に流れる短いME。


それでもまだサントラに収録されなかった未収録曲
追加サントラで多くの楽曲が補完されたとは言え、それでもなお完全収録には至らず、わずかながら漏れたものが存在しています。さすがにこれらが補完される機会はもうないでしょうから、本当の意味での未収録曲です。その数、6曲。うち3曲は既存曲のアレンジ違いですから、まあほとんどの曲はサントラに入ったと考えてかまわないでしょう。それらが最初のサントラに入れられなかった(=3枚組にはできなかった)理由、追加サントラがデータ配信という形しか採れなかった理由などを考えると、昨今のゲーム音楽……いや、ゲーム業界におけるもろもろの「事情」が見える気がします。
オープニングムービー中、
ニュース番組のジングル
やっぱり収録されませんでした。オープニングムービー後半、ヴィンセントのいる部屋のテレビから流れるニュース番組で使われている現実音楽です。
ケット・シー初登場 敵弾に倒れるリーブ!と思いきや、その中からケット・シー登場、という場面で流れるコミカルなピアノ音楽。「Sneaky Cait Sith(Disc1-19)」のバージョン違いですね。これは元バージョンが収録されているのでまあいいでしょう。バージョン違いまで全て収録してもキリがないですから。
終わりの始まり 忍者(ユフィ)の活躍によってヴィンセントを取り逃がしたロッソが、エンシェントマテリアを見つめて「終わりが始まるわ……」と呟くシーンでの短いブリッジ。第五章の締め括りでもあります。
High-Spirited別バージョン 空中部隊の出撃準備シーン(シドの「たっぷり生き残ってやれ!」)で流れる曲で、「High-Spirited」の打ち込みバージョンとでも言えるもの。原曲がサントラに入っているので良しとしましょう。
頼まれるのは珍しい リーブから「頼みごと」をされたシェルクが戸惑うシーン(なんで私が……理由がありません)で流れる、「Ten Year Reunion」のメロディ(シェルクのテーマモチーフ)を組み込んだ短いME。これも、シェルクのテーマはサントラに複数バージョンが入ってますからまあOK。短いしね。
終焉を奏でよう シークレットムービー「G」で流れる雰囲気モノ。ムービーがシークレットなだけに音楽もシークレットか?
そして新たな未収録曲……?
オンラインモードエンディング マルチプレイヤーモードのスタッフロールで流れる、おそらくオーケストラ録音と思われる長めの曲。ヴィンセントモチーフで締め括られています。オンラインのためにわざわざオケ録音するか?という思い込みから既存トラックの流用と思っていたのですが、それらしいものは見当たらず……。


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原点「FFVII」未体験の方は
この機会にぜひ。