parasite eve remixes(パラサイト・イヴ リミキシーズ) | |
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美麗ムービーと濃密なシナリオでプレイヤーを引き込む「シネマティック・RPG」として、スクウェアが世に放った「パラサイト・イヴ」。「ファイナルファンタジーVII」以後、世間一般やマスコミからも注目された中で発売された「パラサイト・イヴ」は結果として100万枚以上を売り上げ、新規タイトルとしては成功と言える実績を残した。 ユーザーの間では、「パラサイト・イヴ」の好きなポイントとして音楽を挙げる者も多く、RPGという括りで見た場合、テクノやダンス音楽の手法を縦横無尽に取り込んだ、下村陽子の手によるサウンドトラックはプレイヤーには新鮮なものとして聞こえ、ゲームそのものとは独立した評価を勝ち得た。最近になってこのゲームを知り、血眼になってサントラ盤を捜し求めるファンも多い。それゆえ、そういった手法を用いた「PE音楽」の「リミックス」CDが出るといったことも、ごく自然な流れであったと言えるだろう。もちろん、それはゲームそのものの売り上げが、成功と言ってよい本数に到達したからという背景もある。ゲーム本編が売れなければ、リミックスどころかサントラの発売すら危ういのだから。 そうして発売されたのが、この「リミキシーズ」。「パラサイト・イヴ」の音楽をよりコアなテクノ、ドラムンベース路線にアレンジ(この場合はリミックスか)し、ディープなマニアにも聴き応えのある内容になっている。シューティングゲーム等はともかく、RPGのサウンドトラックが独立して「リミックス」盤となることは、当時は珍しいことだったのだ。ともかく、サントラを購入したファンは、こちらも併せて購入することを強くオススメしておきたい。 |
デジキューブ SSCX-10023 1998年 JASRAC表記:なし |
01 | A.Y.A (Theme of AYA Primary Mix) |
「Theme of AYA」を、「Primal Eyes」の方向性でリミックス。作曲の下村陽子みずからがリミックスを担当している。ゲーム音源とほとんど違和感のないピアノから始まるものの、そこに重ねられるリズムはリミックスならでは。アドリブ入りまくりのピアノも攻撃的である。 軽めのドラムンベースといったテイストになっているが、あくまで女性的なメロの美しさを重んじたミックスになっているため、当アルバムの中ではおとなしくも聞こえる。下村氏自身は「浮きまくってますね」とのことだが、1曲目にこういう正攻法の、原曲重視なアレンジを入れておくことは間違ってはいないだろう。 |
02 | Arise within You (remixed by TOMO) |
ゲーム中のバトルBGを、TOMOがリミックス。典型的な4つ打ちテクノになっているが、2曲目にして早くも原曲の判別が難しいリミックスとなっている。1分50秒あたりからようやくそれらしいピアノのバッキングが入るものの、あくまで原曲にはこだわっていない。ボコーダーのようなボイスは曲タイトルを連呼している。 このように、リミキサーの思惑が介在してくるのもリミックスの面白さのひとつ。「どこがArise within Youなんだ」と言うもよし、原曲との共通項を探るもよし、独立したトラックとして楽しむもまたよし、だ。ゲーム音楽ファンにとっては、もうちょっと原曲寄りの方が楽しめるのかもしれないが、こういった機会をもとに、他の音楽ジャンルに触れることも有益なことだと考える。 |
03 | Plosive Attack (CULTIVE MIX) |
QUADRA(Hiroshi Watanabe)がボス戦BGをリミックス。こちらも原曲のパーツやフレーズはほとんど残っていないが、「どこまで残すか悩んだ」としながら、「題名からくるイメージを自分なりの解釈でダークに、壮大に描いた」とのこと。リミックスの対象となるのは楽曲だけではないのだ。時にはタイトルや作品そのものも、リミキサーの意思によって作品に反映されることがあるのである。その辺りを理解していないと、テクノのリミックスというのは何が面白いのか、ということになるだろう。歌謡曲で行なわれている、「原曲のアレンジをいじるだけ」のリミックスがすべてではないのだ。 |
04 | Missing Perspective (DAN K's Late Night Session) |
セントラル・パークや病院内のマップBGとして使用された「Missing Perspective」を、DAN Kがリミックスしたもの。落ち着いて聴くことができる、ホームリスニング楽曲に変貌を遂げている。4つ打ちのバックトラックを空間系のPadが舞い、フルート音色が主メロを奏でる癒し系トラック。 |
05 | Influence of Deep (DJ HIRAGURI'S OPERATTACK) |
プロモーションでも多用された「パラサイト・イヴ」の顔とも言える楽曲を、TRIBAL MASTERS(DJ HIRAGURI)がリミックス。ローランド系のビンテージ・リズムマシンの音色が淡々とリズムを打つ中、うねるようなシンセ・サイレン。その後にボーカリーズが裸にされたかと思うと、クラブ系シンセと破壊的なリズムが展開されていく。どこまでもループして伸びていくボーカリーズ。原曲をさらにディープに推し進めたリミックスになっている。ある種、典型的なテクノトラックになっていると言えるだろう。 |
06 | Under the Progress (SOMETHING WONDERFUL Remix) |
「Out of Phase」のテンポアップバージョン、「Under the Progress」をKAY NAKAYAMAがリミックス。自ら「ゲームの世界観を壊さないようにした」と語る通り、特徴的なカリンバのシーケンスとピアノが残っているため、イントロからそれと判り易いリミックスだ。リズムの核はドラムンベーステイストのループ。所々に挿入されるリバースや、パンニングするスクラッチっぽい音色が、リズムに彩りを添えている。後半に加えられるギターがクール。 |
07 | Primal Eyes (WE ARE ALL PARASITES /CHARUE HORSE MIX) |
「パラサイト・イヴ」のオープニングデモの楽曲を、DUMMY RUNがリミックスした。超攻撃的というか、イントロは何かの映画か、格闘ゲームからのサンプリングかとも思えるような打撃的音色が混沌としている。その後のギターを聴けばすぐに「Primal
Eyes」と判別できるが、それもすぐに「スモーク・オン・ザ・ウォーター(笑)」のように変貌してしまう。 2分30秒過ぎからが本筋といったところ、それまではイントロである。原曲の雰囲気は残っているものの、リミキサーの意図が大胆に投じられているミックス。本人が「新しい発想で音楽を作ることが大事」と語っているが、この曲がそうなっているかどうか、感じるのはリスナーそれぞれである。 |
08 | Across the Memories (DB REMIX) |
サントラには「Across the Memories」という曲はない。これはVAG40がリミックスをするにあたって、「Memory
I」と「Across the View」を紡いでいるのだ。 イントロの「Memory I」はスクラッチノイズで汚され、間もなく「Across the View」が始まる。ただ、原曲がマーチングリズムだったのに対し、このミックスでは攻撃的なドラムンベースに置き換えられている。だが、違和感はまったくない。むしろ正統的な、原曲重視のリミックスに思える。「原曲のイメージを残す方向で」と語るリミキサー自身が、ゲームの「パラサイト・イヴ」に「かなりはまりましたよ(談)」ゆえのリミックスと言えるだろうか。 |
09 | Urban Noise (112-80MIX) |
ゲーム本編で移動画面のBGとして使われていた曲を、TAMARUがリミックス。テンポがだいぶゆったりしたものとなり、しかもコーラスまで加えられており、ずいぶんと印象が異なる。というより、元曲の判別すら困難。それもそのはず、「元曲の延長線上にはしないように」「オリジナルを壊す方向に持っていった」とのこと。 そういった類のものが「リミックス」と呼べるのかどうかは、非常に好みが分かれるところだと思う。特にオリジナルに思い入れのある、ゲーム音楽ファンならば釈然としないのも道理。解釈の違いを楽しめる人もあれば、「どこが?」と首を傾げる人もいるはずだ。これは完全に「勝手に作ったオリジナル曲」と思ってしまえばそれまで。が、リミキサーは当然元曲を聴いて触発(インスパイアと言おうか)されているはずで、それも含めての「リミックス」なのだ。「リプロダクション」と呼んでも差し支えないが、元曲に似ても似つかぬリミックスは、テクノでは日常茶飯事なのである。 |
10 | Somnia Memorias (Platinum Edition) |
エンディングテーマ「Somnia Memorias」をKEIICHI TAKAHASHIがリ・アレンジ。さらにダークに、ヘビーになったリズムに、ワウ・ギターをフィーチャーしたトラックになっている。低音がぎっしり詰まった印象だ。 イントロのフライング・ビームはよく聴く音。JVのカードを使ったかな? |