クロノ・トリガー オリジナル・サウンドバージョン
ジャケット画像 ポリスター
PSCN-5021〜3
1995年
JASRAC表記:
なし

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ゲーム紹介

 「クロノ・トリガー」は、スクウェアが1995年にスーパーファミコン用ソフトとしてリリースした、完全新作RPGである。「FFVI」発売の翌年であり、スクウェア独特の洗練されたグラフィックは、「FFVI」と同等か、それ以上のクオリティだったと言っていいだろう。が、この作品において真に特筆すべきなのは、その制作スタッフたち。製作総指揮に坂口博信氏、そしてシナリオ(プロット)は「ドラクエ」の堀井雄二氏。そして、ビジュアルの面でユーザーをつかむのにかかせないキャラクターデザインは、当時すでに「ドラクエ」や漫画「ドラゴンボール」でおなじみの鳥山明氏が担当。この3人、名付けて「ドリームプロジェクト」。家庭用ゲーム業界を牽引する両雄、「FF」と「ドラクエ」の夢の融合をも思わせる「クロノ・トリガー」は、発売前からユーザーの話題を独占した。

 軸となるストーリーはいわゆるタイムパラドックスもの。時間を前後しながら進むシナリオは時として難解な場面もあったものの、いくつもの伏線が絡み合うイベントにプレイヤーは驚嘆したものだ。早く続きが知りたくなるストーリーも含め、これはもう堀井氏の独壇場といった感じ。「ドラクエ」のようなテンポの良さ、そしてゲームへの没入感は間違いなく「堀井テイスト」と言っても過言ではない。また、坂口氏もみずからイベントの製作やモンスター調整に参加している。エンディングが複数存在するということも、「FF」にも「ドラクエ」にも無かった新要素だ。さらに、鳥山氏のデザインを活かしながらも、明らかに「ドラクエ」とは異なるスクウェア風味のグラフィックは新鮮だった。

 当然ゲームはいかに著名なクリエイターが集まろうとも、彼らだけで完成するものではない。制作全般をしっかりと支えたスクウェアスタッフ陣も、「クロノ」を語るうえでは欠かせない。ディレクターは後に「FFVII」「VIII」「X」を製作することになる北瀬佳範氏と、「パラサイトイヴ」などでおなじみの時田貴司氏。そして、後に個々のタイトルでスクウェアを引っ張っていくことになる田中正道氏、加藤正人氏、高橋哲也氏、伊藤裕之氏、野村哲也氏などなど、今にして思えば「えっ?」と思わされる面々が、何らかの形で製作に参加しているのだ。スクウェアとしてもお祭り的なタイトルだったのだろう。なにしろ、動き始めていた「FFVII」の開発を、本作のために一時中断までしているのだ(もっともこの頃の「FFVII」はPS用ではなく、蔵入りとなったSFCの拡張CD-ROM用ソフトとして企画されていたのだが)。

 そして、サウンド(音楽)の面で本作を支えたのが、光田康典氏である。今やフリーの作曲家として多方面で活躍する光田氏。作曲志望でスクウェアに入社したものの、効果に配属されてSFC時代の「FFV」や「ロマサガ2」、「半熟英雄」などで効果音を製作していた。が、「僕は作曲がやりたい」と坂口氏に直訴。大物クリエイターが集結した本作で、初めて作曲を任されることになる。この時の直訴、そして坂口氏の英断が、現在の光田氏のスタート地点となっているのは間違いないだろう(当時22歳)。プレッシャーもあったのか、光田氏は製作中に胃潰瘍になったらしいが……。

 坂口氏としてはそれでもやや不安があったのだろうか?サポートとして植松伸夫氏が作曲をバックアップ。さらに松枝賀子氏も一曲、楽曲を担当している。ちなみに、本作のサウンドエフェクト(SE)は、後のFFシリーズや「クロノ・クロス」も担当している、嶺川千春氏がメインで製作している。前述の通り光田氏ももともと効果音担当。一方は作曲へ、一方は効果として「ゲームの音」を牽引する存在となっていくことも興味深い。

 このCDは、「いまになるとさすがに恥ずかしい」としながらも、「でも、今の僕には出せないものがたくさんあって、間違いなく原点だし思い入れは深い」と光田氏が述懐する、スーパーファミコン版オリジナル音源をゲーム未使用曲も含めて収録したサウンドトラック盤である。CD3枚組というボリュームは「FF」にも負けず劣らず(ほぼ同時期の「FFVI」も3枚組)、デビュー作にしてかなりヘビーな仕事であっただろうことは想像に難くない。しかし、ストレスで倒れたりしながらも仕事を成し遂げた氏の楽曲たちは、今日までユーザーに愛され続けている。ゆえに後にPS、DSへとリメイク(移植)されながらも、音楽は基本的に差し替えられてはいないのだ。光田康典の原点、そして「クロノ・トリガー」の原点をいまいちど、じっくりと味わおう。

ネタバレ成分を多く含みますので、未プレイの方や今後やるつもりの方は御注意下さい。

未プレイのアナタはこの機会にぜひ。DS版も出ますのでグッドタイミングですよ。
左からSFC版、PS廉価版、NDS版。


DISC1          DISC2          DISC3


文中、特に注釈の無いものについてはすべて光田康典氏の作曲・アレンジ。

DISC1

01 予感 コツ……コツ……コツ……。「時」をテーマにした「クロノ・トリガー」らしい導入曲です。アルペジオとボーカリーズから成る、予感めいたものを感じさせる短い楽曲。しかしスーファミのグラフィック(ドット絵)で振り子が揺れてたインパクト、当時は大きかったなあ。
02 クロノ・トリガー 言うまでもなく、本作のメイン・テーマ。主題です。形を変えて様々な楽曲に、このモチーフが使用されることになります。印象付けということでは、FFなみにできている本作。きっと若い頃から映画音楽にも興味のあった、光田氏だからこそできたのではないでしょうか?それにしても文句無くカッコいい曲だと思いませんか?パートも多く、厚みがありますよね。ティンパニとスネアによって構成されるリズムがテンポを形成し、ストリングスが緊張感を、そしてメインのトランペットによるメロディが勇ましさを感じさせます。後に「クロノ・クロス」でもカバーされています。

ゲームのオープニングで流れるような完結形での使用は他にありませんが、楽曲そのものはコーダなしのループ形にしたものが様々な場面で使われています。まずはリーネ広場で消えたマールを追って、初めてタイムワープするクロノのシーンで使用。また、未来のアリスドームにて、ラヴォスの存在を知ったクロノたちが、「歴史を変えよう!」と決意する(ゲームの真の目的が得られる)シーンでも流れます。他にもありますが、中にはイントロをカットして使用するケースも。

ラヴォス戦絡みでもケースによっては使用されています。時の最果てのバケツからAD1999年に移動するとラヴォスと対峙することになりますが、ここでのラヴォスが「過去のボス敵の攻撃モード」になったとき、この曲が流れるそうです(ギガガイアモードを終えるとラヴォスが咆哮し、「ラヴォスのテーマ」に切り替わります)。これは「黒の夢」からラヴォスに達した場合は見られない演出です。ラヴォスと戦うんでもいろいろな到達パターンがあり、細かな演出が変化するのです(情報提供:肌村様 thanks!)。
03 朝の日ざし ゲーム開始後、冒頭のカモメ、花火、波(風?)のSEから。このSEは今になって聴いても、よくできていますね〜。そして18秒からが楽曲です。自分の部屋で寝ているクロノを、ジナ(クロノの母)が起こしにくるシーンで流れる短い楽曲。自分なら「ん〜、あと10分……」なんて言ってしまいそう。

後にこのオープニングでの記憶を上手く利用したイベントが発生します。魔王との戦いのさなかゲートが発生。その直後、自室で目を覚ますクロノ。自分を起こす声がする……。いつもならそれは母の声、しかし今日に限っては……マール?!戸惑っていると突如マールが「クロ!クロ!クロ!」と……どこかで聞いた声が。そんなプレイヤーを記憶と現実の間で戸惑わせるイベントにおいて、再度この曲を流すことで効果を増しています。こういう演出はイベントの印象はもちろん、曲の印象もそれなりにないと成立しないものですが、本作はバッチリでした(情報提供:肌村様)。

エンディングでもちらっと顔を出します。
04 やすらぎの日々 「朝の日ざし」が鳴り終わると、続けて演奏されるのがこの曲。あ〜、なんて癒される曲なんだ。構成楽器のすべてが暖かい、というか、優しい。ずぅ〜っと聴いていてもまったく苦にならないです。以後、リーネ広場に入るまで、トルース町のワールドマップ及び屋内で流れつづけます。また、この段階でパレポリまで徒歩で行くことも可能ですが、パレポリ町内でもこの曲が流れます。

ちなみに、クロノの部屋のカーテンって、開閉できましたよね。細かいところまで遊びが仕掛けられていて、ドラクエから本作に流れてきたユーザーはこのスクウェア流のお遊びに驚かされたとか。

他に、お化けカエルの森の中にあるカエルの棲み家や、現代のチョラス町でも流れます。
05 みどりの思い出 現代のワールドマップBGですね。ちょっと寂しげなマップBGとしては、ドラクエに通じるものも感じさせるかな?すぐにわかると思いますが、メインテーマのアレンジになっています。アレンジによって、楽曲の印象がガラッと変わるという良いお手本。ワールドマップをトルース町からガルディア方面に移動すると聴くことができます。本作ではワールドマップでのエンカウントがないので、ずぅ〜っと聴いていることも可能です。

また、トルース町の宿屋でピアノの前にいる女性に話しかけ、「一杯おごる」とこの曲を演奏してくれることがあります(何を演奏するかはランダムっぽい)。この場合は宿屋を出るか、もしくは封印された宝箱を調べるともとの曲(やすらぎの日々)に戻ります。
06 ガルディア王国千年祭 光田氏お得意の、という感じのお祭り音楽。けっこう長い曲なんですよ。アコーディオンやフルートの音色がいかにも楽しげ。町の片隅で、数人の楽団が演奏しているような雰囲気。周りで聴いている人も思わず手拍子、みたいな。そういう、手拍子とか「ハッ!」という人声のサンプリングが、曲にアクセントを加えていますね。うまいです。曲で「祭り」の賑やかさを、存分に演出していると思います。実際、広場の中にはキャラクターってたいしていないんですが、賑やかな感じがするでしょ?ちなみに6/8拍子です。

なんとなく、「魔女の宅急便」を思い出したのは私だけじゃないはず(私だけ?)。
07 ゴンザレスのお歌 祭りの広場の片隅に立っているロボット、ゴンザレス。話しかけると、いきなりマイクを取り出して歌を歌う!それがこの曲(短い曲です)。お遊びイベントにもちゃんと曲を用意しているあたり、芸が細かいですね〜。歌詞は「あ〜 ゴンザ〜レス オ〜レは強い オ〜レに勝ったら 15ポイント〜」、2番が「あ〜んたは強い あ〜んたはす〜ごい だ〜からあげるよ 15ポイント〜」。ちゃんと曲にはまるので、みんな歌ってみよう。

余談ですが、このイベントは坂口氏みずから作ったそうで。「光田くん、このイベントにも曲つくってよ」というやり取りがあったのだろうか?ちなみにここのイベントが、ゲーム中で最も早くバトル曲を聴くことができる場所。
08 不思議な出来事 ルッカの作った転送装置に異常が発生し、マールが行方不明になるイベントで初出となるこの曲。その後もトラブル・緊迫という場面で使われる汎用曲です。衝撃的・悲劇的な感じも含んでいて、便利に使い回せるタイプの曲。ダルトンが、奪ったシルバードを勝手に改造してしまうイベントシーンなどでも使われています。

基本的にイベントBGなのですが、中世の地底砂漠では、ダンジョンのBGとして利用されています。
09 風の憧憬 ワールドマップBG。マールを追ってクロノがやってきた、中世のトルース村で初めて流れます。ピチカートが孤独感を強調していますね。うう……寂しい。中盤は高音のストリングス中心にまとめられ、寂寥感がありつつも楽曲としては美しさを感じさせるものになっています。もちろん、後々チョラス村の方でもワールドマップにはこれが流れます。
10 おやすみ 宿屋などでの睡眠・休憩時に流れるME。
11 樹海の神秘 ガルディアの森におけるフィールドBGです。スローテンポな楽曲で、低くて重いベース音とアルペジオが、深くて暗い(イメージの)森の不気味さを醸し出しています。いつどこから、何が襲いかかってくるかわからない……。フクロウの声のようなSEも混ぜられていて、いっそう不安にさせるあたり芸が細かい!このあたりは、効果音出身の光田氏ならではといったところでしょうか。後半のピアノとベースのみのパートはゲーム中ではなかなか聴かないかもしれませんが、一周2分13秒という、けっこう長い曲なのです。あ、私にはどうしてもメインテーマのアレンジに聞こえるんですが、どうでしょう?けっこう「違うだろー」と言われてしまうのですが……勘繰りすぎですか?

ちなみに、中世「お化けカエルの森」でも使用されています。言ってみれば、森のテーマということです。
12 戦い 通常バトル音楽ですね。いわゆるオケ調の曲ではありません。この頃から「RPGといったらオーケストラ」という風潮に対する、光田氏の反発が表れていたのでしょうか(注釈:後に光田氏はことあるごとにそういった旨の発言をしているのです)。早い動きのドラムとベース、特にハイハットが楽曲のテンポを担い、ボーカリーズが緊迫した戦闘を演出。中盤部からは、左右を動き回るシーケンスがさらにプレイヤーを焦らしにかかります(笑)。パート数は少なく、メインのメロディにも「これだ!」というものがないものの、クロノファンの間ではやっぱり外せない楽曲ですね。おそらく何百回と聴いたでしょう……。初めて聴くことができるのは、千年祭でのゴンザレスイベントですが、それを外せば、マールを追ったクロノが転移先で初めて遭遇するモンスターとの戦闘になります。
13 ガルディア城
〜勇気と誇り〜
勇壮なマーチ。もちろんガルディア城内でのBGMです。メインのメロディを受け持つのは弦楽器なのですが、左右でブラスが鳴っているためか勇ましく聞こえますね。まあマーチっていうのは勇ましく聞こえるものなのですが。弦メロなのになぜか不思議とブラスの印象が強い曲。
14 んっ!? MEです。タイトルの通りの使用目的ですが、あまり耳にしません。
15 マノリア修道院 マノリア修道院・礼拝堂で流れる曲。宗教的なイメージからか、ボーカリーズを主体とした構成になっています。使われるシーンが極めて特定されているためか、非常に短いリピート曲になっています。

他に、デナドロ山においてグランドリオンが置いてある洞窟内や、カエルの家(?)で折れたグランドリオンの柄を発見するシーンなどで使用されるほか、太陽神殿、光のほこらなどにも流用され、サブイベントの結果によってできる現代のフィオナ神殿もこの曲が流れています。つまり、神秘なるもの、奇跡がかったもののテーマ……ということですね。

さらにマールが、ニセ大臣によって貶められた父の疑いを、証拠をもって晴らすシーンでも使用(サブイベント:虹色の貝がら)。
16 道行く者へ 祈りを… 礼拝堂から奥へと進む隠し扉を見つけるために演奏するパイプオルガンのME。いや、たぶんパイプオルガンだと思うのですが、なぜか音色が左右にパンニングしています。パイプオルガンなのに、ロータリー?!ってあたりで笑えるかもしれません。こういうMEもしっかりサントラに収録しているあたり、サントラリスナーとしては嬉しいですね。
17 沈黙の光 植松伸夫氏による楽曲。マノリア修道院のダンジョン部分で流れる曲です。教会というイメージを残し、ボーカリーズがメロディを担います。個人的には、スーファミ音源としてはなかなかによくできたボーカリーズ音色なのではないかと思うのですが。また、「クロノ」は全体的に、シンセというよりは生っぽいベースの音色が特徴になっています。この曲なんかも、ベースの質感が非常に秀逸です。ベンドも多用してあり、さりげなく凝ったことをやっています。

現代のメディーナ村でも流れているほか、未来の「死の山」でのフィールドBG、またチョラス町の「北の廃墟」内部のBGとしても流用されています。耳にする頻度は非常に高いと言えますね。

掲示板に寄せられた情報(肌村様より)によると、「地の民の洞窟」でも流れているそうです。筆者は「地の民の洞窟」のBGMを「生きる望みをすてた人々」と記述しているのですが……。DS版での宿題にしますのでしばしお待ち下さい。信用してないわけじゃないんですよ!自分であのように書いた以上、自分の耳で確認しなければならないと思うからなんです。ごめんなさい!
18 ボス・バトル1 作曲は松枝賀子氏。本作の中で唯一、松枝氏が担当した楽曲になります。なんというか、すごく男らしい曲になっていると思うのですが……。それは、アレンジは植松氏が担当しているからです(関係ないか)。メインメロがセンターにあり、右でオルガン、左でディストーションギターが刻みをやってますね。ドラムのフレーズも含めて、非常に植松チックなバトル音楽になっているような気がします。スーファミでサンプリング音色が使えるようになって、植松氏が多用するようになった「スーファミロック」ですな。「FFVI」のノウハウを注ぎ込んでいるのではないでしょうか。

こういう主要な曲を光田氏が作らなかったのは、なにか理由があるのでしょうか?ボス戦音楽といえば、RPG音楽ではキモですからね。ライナーノーツで光田氏は「製作中、スランプに陥った」と書いてますが、そのへんと関係しているのかな?
19 カエルのテーマ とても勇壮なマーチ曲。プレイヤーは、カエルという外見の奇妙なキャラクターと、このカッコイイ曲のギャップに戸惑うわけです(うそうそ)。カエルの過去、目的が徐々に語られていくことによって、この曲の重みが次第に増してくることになります。カエルがらみのイベントで頻繁に流れますが、やっぱりグランドリオンの場面がいちばんゾクっときましたね〜。この「一匹狼(あ、一匹蛙か)」もしくは「決意の人(あ、蛙か)」っぽいフレーズ、音色ともにバッチグー。ファン人気もとても高い楽曲です。

ちなみにカエル初登場シーンでは流れてません(そこでかかるのは「ファンファーレ1」)。初出はヤクラ撃破後のガルディア城、「俺は城を出る」の場面です。なお、イントロはサントラ用に追加した(もしくはもともとのデータに戻した)もののようで、ゲームでは流れないとのこと(情報提供:肌村様)。
20 ファンファーレ1 汎用的に使われるファンファーレです。アタマにファンファーレがあり、そのあとで軽快な音楽が続くあたりはお約束ですね(笑)。ちなみに本作では戦闘終了時にいちいちファンファーレが鳴ることはなく、そのままバトル音楽がフェイドアウトしていきます。言わばこれらのファンファーレは、もっと演出的な使用のされ方をしているわけです。初出はマノリア修道院にて、クロノとルッカの前にカエルが姿を現わす場面でした。そのあともヤクラ撃破後、そして現代へと戻るシーン(ルッカがゲートホルダーを解説)など、頻繁に使用されています。ジョニーとのバイクレースに勝った際にも聴くことができます。エンディングにも登場。
21 王国裁判 現代に戻ると、なぜか誘拐犯となっていたクロノ……初プレイのプレイヤーも「なんで?なんで?」だったことでしょう。裁判所における大臣からの審問シーンでかかる曲がこれ。グラフィッカー(実は野村哲也氏!)入魂のステンドグラスとともに、雰囲気を作り出していましたね。コミカルに聞こえてしまうのは、大臣のキャラゆえでしょうか?

ところで、アナタは有罪でしたか?無罪になりましたか?あらゆる行動が有罪/無罪に絡んでいて驚きました。初プレイ時はまったく気がつかないでしょうけど……。普段のRPG的な感覚でいくと、あの「おべんとう」とかぜったい取っちゃいますよね。まあ、無罪になったとしても大臣の手によって牢屋にぶち込まれてしまうわけですが……。
22 隠された事実 クロノが牢屋に連れて行かれるシーン一連で流れます。ちょっと短い曲ですが、しっかりと「王国裁判」のアレンジになっているわけです。あの橋を渡るシーン、手錠をかけられてトボトボと歩くクロノのグラフィックにはまいりましたね。こんな一瞬しか使わないキャラクターグラフィックまで、ちゃあんと描き起こしているんですね。

また、ゲーム的にはずいぶんと後になりますが、マールの父であるガルディア王が貶められ、裁判にかけられるシーンでも再度使用されています。ここではループして使われていました。

話はそれますが、牢屋の中では音楽はありませんでしたね。スーファミのゲームで、無音(ベースノイズのみ)で勝負するっていうのは、おおいに評価したいです。むやみに音楽を鳴らすのでなく、無音で静寂・不安を演出する。けっこう安易に曲を付けがちな場面なんですが、良い判断でした。他にもそういう所はけっこうあって、メリハリの付け方にうなったものです。本作のサウンドプランニングは、他のゲームの手本になり得る出来ですよ。
23 危機一髪 タイトルのようなシチュエーション(危機、脱出、急げ!など)において、何度も使われる汎用BGM。中世マノリア修道院にて、ヤクラとのバトル直前でかかります。雰囲気はバトルBGに似てますね。チッチキハイハットとベースのせいでしょう。個人的にはこの曲はベースが好きです。ベーシストが、チョッパーでビンビンやっているような感じ。特に中盤のベースソロの部分はグーですね。ゲーム音楽って、なかなかベースだけで勝負できませんよ。ベースとキックのコンビネーションもキまってます。スネアも気まぐれにたたいているようで、その配置はハマってると思います。一部、両手打ちを思わせるところもあったりして、キーボーディスト・ベーシスト・ドラマーが「せーの!」で演奏している感じでしょうか。

他の使用例では、現代ガルディア城での牢獄脱出(ルッカと合流後)や、初めて原始に訪れて恐竜人に襲われるシーンなど多数。

特筆すべきなのは、黒鳥号においてダルトンが改造したシルバードに乗り込むシーン。ダルトンが意気揚々とBGMを流すように部下に命ずると、なんと「クロノ・トリガー」が流れてしまいます。怒ったダルトンが「違う!」と叫んでBGMの変更を要求し、この「危機一髪」が流れるのです。BGMを使った遊びですが、もちろんテーマ曲としての存在感があればこそできることなのは言うまでもないですね(情報提供:肌村様)。

ディスク2へワープ、ということでしょうか?2分のところから、あのタイムワープの時のSEが入っているあたりがファンのツボにはまります。

DISC2

01 荒れ果てた世界 ディスク1からワープしてきました、ってことで、ワープのSEに続けて未来の世界のワールドマップBGです。とにかく絶望的な曲。音数の少ない楽曲の隙間を埋める風のSEが、グラフィックとあいまってバツグンの効果になっています。楽曲というより、MEですね。こんなところにも、かつて光田氏が効果音を担当していた経験が活きているのでしょうね。それにしてもこの「ガラン、ゴロン」というパーカッションが非常に気になりますね……何の音なんだろ。後に光田氏は民族音楽テイストを自らの持ち味にしていくわけですが、この頃からその片鱗が音色のチョイスなどに顕れています。

ちなみに、ワールドマップだけでなく、トランドーム内でも流れ続けます。
02 過去の謎 短いME。封印を解く手段がない状態で、封印された宝箱や扉を調べると鳴るものですね。そういったものは物語序盤からけっこうあるので、メモでもとっておかないと大部分を忘れてしまいます……。短いとは言え、植松氏の作品。
03 16号廃墟 言うまでもなく、曲名そのままに16号廃墟のフィールドBG。ドラム音色やベースがバトルなどのものと同じなので、いかにも「クロノ」な匂いのする曲ですね。マニアックになればなるほど、音色からもゲームの匂いを嗅ぎ取るものなんです(笑)。基本的に主要なメロディのない、「構成の曲」です。それでも「過去」「現代」とはきちんとタッチが変えられており、音の面からでも時代を把握できるようになっているのは便利ですね。それはそうと、アイテム盗んでいくネズミ、腹立ちませんでした?
04 生きる望みを捨てた人々 植松氏の曲です。アリスドーム内で初出となる、未来の人々のテーマ。プロメテドームでも流れます。これも絶望的というか、諦めのようなものが伝わってくる楽曲です。生きるには生きている、でも生きている実感がない……そんな感じでしょう。エナ・ボックスがあるため、死ぬことはない。が、常に空腹。満足感などありはしない……いやですね、そんな世界……。私ならとても耐えられませんよ。エナ・ボックスってのも罪な装置です。

未来世界は、どちらかというと音数が少なめな楽曲で統一されています。この曲もそう。そりゃあ、こんな世界でハデな音楽がガンガン鳴り響いてもね。

他には、原始のラルバ村・焼け跡や、古代の「地の民の洞窟」でも使われています。また、掲示板に寄せられた情報によれば、32号廃墟を徒歩で通り抜ける時にも流れているそうです。いつも徒歩だったのに筆者、まったく覚えてませんでした……。補完感謝です(情報提供:肌村様)。

さらに補完投稿、というかご指摘が。「地の民の洞窟」で流れるのはこの曲ではなく「沈黙の光」だということです。ちょうどDS版が出ますので、そこで確認して修正します(繰り返しますが信じてないわけではありません。ごめんなさい)。
05 ラヴォスのテーマ アリスドームの地下・情報制御室のモニターで、偶然「世界最後の日」を目の当たりにしてしまう面々(&プレイヤー)。モニターの中に現われる災いの元凶、ラヴォスのテーマ曲です。オルガンが強烈な印象を残すこの曲、これ以上ないほどに悲劇的な感じがします。かと思うと、途中でオルゴールのような音色で奏でられる悲しげな部分もあり、一筋縄ではいかない楽曲です。いわゆるゲームのボスキャラのテーマ曲、というものは数あれど、これはなかなか無いのでは?邪推すれば、これはただのボスキャラのテーマ、というだけの曲ではなく、そのために絶望的な生活を強いられる人々、そして世界をも内包したものなのではないでしょうか。そうでなければ、中盤以降のフレーズはまず入らないでしょう。そこまで考えて作曲しているんじゃないですかね。だとしたら、デビュー作にもかかわらず、すでに光田氏はタダモノではなかった!と言えます。

イベント音楽としてはラヴォスがらみのシーンで幾度となく使われていますが、ラヴォス外殻との戦闘ではバトルBGとして流れ続けます。この戦闘、けっこう時間かかるんだよなあ。曲のおかげで焦らされることはないんですが。

肌村様からの追加補足によれば、「サントラでは追加フレーズがあります」とのこと。それがどこかは筆者にはわかりません……。全部ゲーム中で聞いたような気がします……。
06 世界最後の日 ラヴォスのテーマの中から、中盤部以降のフレーズを抜き出してアレンジしたバージョン。ディレイのかかったベル系の音色となっています。とは言ってもこのディレイ、ベロシティを変えて打ち込んで作り出しているもののようにも思えます。

全てのプレイヤーがこの曲を初めて耳にすることになるのは、アリスドームの地下から戻った一行がドンに種を渡すシーン(補完情報:肌村様)。また、死の山の山頂でクロノが生きかえる場面でも流れます。こちらのシーンはサブイベントであるため、聞けない場合もあるかもしれません(クロノがいなくてもゲームをクリアすることは可能)。

さらに、基本的なことが抜けていました。K5さんが掲示板に寄せて下さった情報によると、いわゆるパーティの「全滅」で流れるのもこの曲であるとのこと。えーっ、そうだったのか!ん?もしかしてワシ、このゲームで全滅したことなかったんか……?
07 暴走ロボ軍団ジョニー 32号廃墟に進入すると、いきなりロボットが来襲!はやくも戦闘か?と思うと、この曲とともに現われるジョニー。ジャジーというか、大人の雰囲気です。それにしても、何故にロボットが意思を持って「走り」に情熱を燃やすのか?そして彼を「アニキ」と呼んで心酔する子分たち……絶望的な未来の世界において、唯一ホッとできるひとコマですね。ロボットにしてみればラヴォスとかの存在なんて、別に関係ないのでしょうか?
08 バイクチェイス いかにも植松氏の趣味爆発という感じですか?最初に聴いた時、FFのボスバトルかと思ってしまいました。オルガンの早弾きとディストーションギター……最初に聴いて、まず植松氏の作曲だろうなと思っちゃいました。わかりやすすぎです。

あ、肝心なことを。32号廃墟における、ジョニーとのレースのBGです。ジョニーに勝つには、ゴール直前でターボ使用。これだけです。32号廃墟は徒歩でも渡れますし、お好きな方でどうぞ。ただし、徒歩では当然この曲は聴けませんよ(その場合は「生きる望みを捨てた人々」になります)。

この曲をゲーム中で聴くための、唯一の別の方法としては、現代パレポリ・まきがい亭でピアノ弾きのモンスターに「はでなやつ」とリクエストすればOKです。
09 ロボのテーマ まんま、ロボのテーマ。プロメテドームにおいて、ルッカの手によって作動したロボが、一行に挨拶するシーンで初めて使われます(工場クリア後、ルッカが修理して見事再起動したシーンでも使用)。インダストリアルな雰囲気のあるリズムと、細かく刻むベースとギター、そして明るいメロディから成り、なにかと暗い未来の世界において一服の清涼剤となっています。

ところで、この楽曲はみょ〜に小室哲哉の匂いがしますが……。一部ネットでは「EZ DO DANCE(TRF)」なんて言われてました(笑)。個人的にはTM NETWORKという感じがしますね。音色的なこともあって。
10 工場跡 工場の曲です。ベースが前面に出た、一歩引いた楽曲。グラフィックもあるんでしょうが、不思議にメカニカルな曲に思えてしまうから不思議ですねー。で、私としてはエリック・セラの「SUBWAY(映画のサントラです)」を強く感じてしまうんですが……。あ、「SUBWAY」にこの曲とよく似た曲があるんですよ。で、その曲もやっぱりサントラ盤ではフェードインで始まるんです。つまり、楽曲も含めて、その「SUBWAY」の曲へのオマージュ(パロディ)なんだと、私は解釈してるんですが。いや、フェードインまでしておいて「SUBWAYなんて知らん」とは言わせませんよ(笑)。

後に訪れるジェノサイドームでも、もちろん流れます。
11 戦い2
(UNRELEASED TRACK)
未使用楽曲も収録したサービス満点のサントラ、なわけで。バトル曲の候補なのか、それともボスバトルのボツバージョンなのかはわかりませんが……。そしてなぜサントラのこの場所に入っているのか……。興味は尽きません。けっこう展開があって、「聴かせる」曲なのですが、もったいないかな。まああんまりバトル曲がとっ散らかるのも何ですから、絞り込んでいったんだと思いましょう。
12 ファンファーレ2 なにか「やった!」という場面で挿入される短いファンファーレ。ヤクラ撃破後、ガルディア城においてマールが生還するシーンで唐突に(笑)流れました。太陽石をもとにルッカが武器を作るシーンでも、キメポーズとともに流れます。
13 時の最果て 時の最果てのテーマ。ハープをひっかいたような音が印象的です。ベル系の音色とピチカートが神秘的な雰囲気を作り、メインのメロディはピアノが担当しています。少ない音数でも強い印象を残すことの出来る、良いお手本ですね。そしてバケツに飛び込んでビックリすると(笑)。いつでもボスと対峙できる、という点も画期的でした。

また、この曲はフィオナのイベントを達成し、ロボを現代で回収した後に発生するイベントでも聴くことができます。ちなみに、その後に発生するララ(ルッカの母)救出イベントのパスワードは、彼女の名前でOK。つまりコントローラーで、L・A・L・Aと入力します(PS版はL・○・L・○)。当時、まちがえて「R・A・R・A」と打ってしまったプレイヤーもいたとか(笑)。いま思うと不親切なパスワードだなぁ。
14 愉快なスペッキオ 時の最果てでスペッキオと対面した時に流れる、言わばスペッキオのテーマです。タイトルの通り、なんとも愉快な楽曲になってます。スペッキオに力試しを挑む際、戦闘中もこの曲がこのまま流れますが、そこからは想像できないスペッキオの強さに驚いたプレイヤーも少なくないでしょう。しかも、最初の頃はまだしも、だんだんと姿を変化させていくスペッキオ。場合によってはこの曲が浮きまくりでしたねえ。何もかも計算ずくなら完敗ですが。

そんなスペッキオのテーマですが、実は初出は中世マノリア修道院。クロノたちを人間だとは気付かず、魔物の悪企みをしゃべってしまうマヌケなモンスターたちのいる部屋で流れました。また、デナドロ山では魔物たちから逃げる勇者(?)タータの場面で使用。さらに、太陽石を原料としてルッカが武器を作り出すイベントでも流れます。

さらに、筆者が完全にチェック漏れしていた「サブイベントで生き残った三魔騎士を倒すことで、雰囲気が変わる現代のメディーナ村」でも流れるとの情報を肌村様よりいただきました。奥が深いなあ……。イベント自体には覚えがあるので聴いてるはずなんですが、数が多くて覚えきれてないですね。やっぱメモ取らなきゃ。
15 ファンファーレ2 最も短いファンファーレ。隠しアイテム入手などのMEとして使われていました。
16 地下水道 未来世界の地下水道のダンジョンBG。植松氏の作曲です。キモは何と言ってもループの水の音。これだけで、地下水道なんだな〜、という気になります。グラフィック的にはあまり水が流れている感じはないのですが、見事に音でフォローしてますね。最初に未来に訪れた時には地下水道に立ち寄る必要がないため、プレイヤーによってはずっと後に聴くことになるかもしれません。ですが、実は水の音を抜いたバージョンが、中世デナドロ山で使い回されており、そこで耳にするはずです。デナドロ山の曲、作り忘れちゃったのかな?同じく、水音ナシのバージョンが、ビネガーの館において使用されています。
17 ボス・バトル2 シナリオに添ってゲームを進めた場合、初めて聴くことになるのはデナドロ山における、対グランとリオン戦。「ボスバトル1」に比べると、オーケストラ調の楽曲になっています。緊迫感があるというよりは、「ひるまず進め!」という方が合っていると思います。前向きな感じと言ったらいいでしょうか?位置付けとしては、より強大なボスと戦う際に用いられているようです。ティラン城におけるブラックティラン戦、太陽神殿でのサンオブサン戦、巨人のツメでのルストティラノ戦、ビネガーの館における三魔騎士戦などがそれにあたります。
18 原始の山 原始におけるフィールドBG。植松伸夫氏の作曲です。パーカッションは、一般にイメージするところの原始的なイメージに基づいていると思われます。なぜかとっても緊迫感のある楽曲になってますね。中盤から終盤にかけての展開が面白いです。恐竜人アジトでもこの曲が使われています。
19 エイラのテーマ とっても勇ましいエイラのテーマ。そりゃあ、出会ってすぐにあんなに強いところを見せつけられてしまっては……。そして、半ば強引に村まで連れていかれるわけです。原始などのイメージよりは、エイラの強さにスポットを当てた楽曲ではないでしょうか。ブラスがメインであるため、より勇ましく思えるのでしょう。
20 風と空と大地のリズム 原始のワールドマップBG。パーカッションのみ、という潔さが好きです。けっこう雰囲気出てると思うんですが、どうですか?言ってみれば、極限まで装飾を削ぎ落とした楽曲。打楽器しか存在しなかったと思われる原始時代に、ある意味リアルにマッチングした、これ以上ない曲ではないでしょうか。ゲームにおいて、ワールドマップのBGMをこのようにすることは、けっこう勇気のいる決断ではないかとも思ってみたり。

現代トルース町の宿屋で、ピアノの前の女性に一杯おごると曲を弾いてもらうことができますが、この曲が流れることもあります。いったい、ピアノでこのパーカッションのみの曲をどうやって弾いているのか……この曲にまつわる、どーでもいいナゾでした。
21 燃えよ!ボボンガ! 植松氏の作曲です。さすがと言うか、原始!って感じになってますよね。アニメのサントラにもありそうなわかりやすい「原始時代」のイメージが、見事にハマっていると言えます。宴をテーマにしているだけあって、思わず身体が動きませんか?現代人がコレで踊れるかどうかはおいといて……。パーカッションがいろいろ入っていてそれぞれに細かいことをやってますが、サンプリングも良い状態で行なわれており、パーカッションを打つ手の「ペタペタ」という音まで感じ取ることができます。もちろん原始におけるクロノ一行歓迎の宴で流れるのですが、先に千年祭の会場でも聴くことができます。そのイベントも、北瀬ディレクターの命令で坂口氏が(!)作ったのだそうな。「坂口さん、ここ何かイベント作って下さい」「こんなステージしかないような狭い場所、どうしろっていうんじゃ!」という感じだったとか(坂口氏・談)。

ちなみに歌詞は「ボボンガ コインガ ノインガ ホインガ 歌えや踊れ 風達と/ボボンガ コインガ ノインガ ホインガ 歌えや踊れ 山達と/ボボンガ コインガ ノインガ ホインガ 歌えや踊れ この一夜」。

また、原始時代の「かりの森」における戦闘もこの曲がBGMになります(ご指摘:おなじみの肌村さん、thanks)。有用なアイテム目当てに「かりの森」でバトルを繰り返したプレイヤーも多いであろうと思われ、印象に残っている人も少なくないのでは?
22 魔王城 魔王城に到着した一行が、城を見上げるシーンで流れる短い曲です。このフレーズが、魔王のモチーフとなります。
23 錯乱の旋律 緊張した高音のストリングスを主軸として、低音のストリングスが左右にゆっくりとパンニングしています。とっても不気味な楽曲で、魔王城の中におけるダンジョンBGとして流れます。曲そのものは短いループものなのですが、特筆すべきはやはり、サンプリングの笑い声。もちろん、魔王の嘲笑、というイメージなのでしょうが、これめちゃくちゃ恐くないですか?初めて聴いた時、「テレビから笑い声がする?!」ってビビりましたもん。
24 魔王決戦 魔王のモチーフをイントロにして、風のSEが加えられ、そのまま戦闘曲へと突入します。「錯乱の旋律」でおなじみの笑い声もありつつ……。やっぱり敵の方が印象付けしやすいんですよね。カエル(グレン)VS魔王の、宿命付けられた戦いを彩ります。

また、「黒の夢」内部での対ジール(巨大化)戦にも流用されています。……この場合、誰の笑い声ということになるんでしょうか?

↑と、筆者はこのように書いていたのですが、肌村様からの情報によるとジール(巨大化=顔と手)戦で流れるのは通常「ボス・バトル2」ですが、パーティに魔王を入れておくと「魔王決戦」に変化するとのこと。いつも魔王を入れていたのでそれをデフォルトだと思ってたんですね、筆者は。とすると、前述の疑問は「魔王の笑い声である」でFA。

2分50秒からは、ディスク3へワープということで、再びSEが収録されています。

DISC3

01 歌う山
(UNRELEASED TRACK)
再びワープSEから、Disc3は未発表曲で始まります。未来世界や山ダンジョンで頻繁に使われる風のSEが加えられた、非常に切ない曲です。ピアノとベル音色、ボーカリーズから成るこの曲は切なくも大変美しい曲なのですが、使われていないのが惜しいほど。実は、開発中にこの曲が使われる予定だったダンジョンがイベントも含めてカットになったとのことで、惜しくも未使用曲となってしまったのです。
02 ティラン城 植松氏による、ティラン城内のダンジョンBG。「原始」的な色合いはあまりなく、威圧感・不気味さを前面に出した楽曲になっているようです。オルガンによる重厚なイントロも印象的ですが、メインの楽曲も展開が多くて楽しめます。ブラスとディストーションギターが骨太なロックを思わせるあたりは、いかにも植松氏といった感じですね。

初出はティラン城ではなく、恐竜人アジトにおいて、アザーラと初めて対面するシーン。言わば誇り高き恐竜人・アザーラのテーマでもあるわけです。また、中世「巨人のツメ」のダンジョンBGとしても再び使用されています。実は、ティラン城はラヴォス墜落の時に地中深く埋まり、そのまま遺跡となって中世まで残って「巨人のツメ」となったということなのです。う〜ん、深いっス。ちなみに巨人のツメでは、バトルに突入してもこの曲が流れ続けます。
03 夜の底にて 悲しみのシチュエーションで汎用的に使用されるこの曲。アリスドームの地下から戻ってドンに種を渡すシーンや、プロメテドームで、マールのロボットに対する偏見をルッカが諭すシーンでも使われています。また、工場脱出時に、ロボの仲間であったはずのRシリーズから、ロボが欠陥品の烙印を押される場面でも印象的に使用されました。もちろん、カエルによるサイラスにまつわる回想シーンでも使われてます。さらに、ジェノサイドームでロボがアトロポスを倒した後も。

実は、本当の初出は中世マノリア修道院の隠し部屋(魔王像のある部屋)にて。そこでは魔王を崇拝するモンスターたちが、この曲にのせて歌を歌っていました。
「ああ 魔王様〜 魔王様〜 輝くひとみ そよぐかみ 山より高く 海より深い どんなにはれた、さびしいひるも あなたを思えば、こわくない どんなに明るく、かなしい場所でも あなたがいるなら、へっちゃら ぷー (コーラス)ああ 魔王様ったら 魔王様〜 われらが すくいの 魔王様〜」
……ちゃんと曲にハマるかどうかは、わかりません……誰か歌ってみて。

お遊びとしては、現代パレポリのまきがい亭で、ピアノ弾きのモンスターに「悲しいやつ」とリクエストすると、この曲が流れます。ある意味ではこれが本当に初出かも。
04 時の回廊 原始でラヴォスが墜落すると、続いてクロノたちがやってくるのは古代。そこには、宙に浮かぶ町に暮らす人々がいた……。これはそんな、「魔法王国ジール」で流れるフィールドBGです。メインテーマをシタールのような音色でアレンジした曲に思えますね。メインテーマそのままのフレーズは入っていませんが、その派生形に聞こえます。どこかわからない異国感を出しているようです。とっても光田氏っぽいと言ったら失礼でしょうか?

初出は「時の回廊」ではなく、ボッシュの小屋でグランドリオンを彼に見せるシーン。後にドリストーン入手後、グランドリオンを修復するイベントにおいても聴くことができます。

また、基本的に古代のワールドマップでは音楽は流れず吹雪のSEのみなのですが、ジール宮殿崩壊後は吹雪がやみ、この曲がワールドマップBGとして流用されます。
05 ジール宮殿 もちろんジール宮殿内部の曲なのですが、プレイヤーが初めて耳にするのは、修復したグランドリオンをカエルに渡すと見ることのできる、カエル(グレン)の回想シーン。魔王と対峙するサイラス、グレンの場面です。建設中の黒鳥号でも聴くことができます。緊張した高音の持続音が恐怖感の増幅にはもってこいで、そのようなシーンにも流用されているのではないかと思います。パーカッションの使い方も絶妙。

ゲーム終盤では、ジールという人物そのものに関した場面で頻繁に使用されます。後に、「黒の夢」内部での対ジール戦でも聴くことができます。まあ、ジールという人物そのもののテーマとして解釈して間違い無さそうです。
06 サラのテーマ ジールの長女、サラのテーマ。母の計画と謎の予言者、そしてクロノたちに挟まれて苦悩する、優しく真面目過ぎる女性。そんなサラの哀しみを表わしているかのような楽曲です。初めて耳にするのは、なげきの山が落ちた後、地の民の洞窟にサラがやって来るイベントで。残念ながら、ゲーム中ではあまりフィーチャーされておらず、耳にする機会は少ないです。サラのいるシーンにはジールもいることが多く、どうしても「ジール宮殿」に食われてしまうようです。
07 封印の扉 植松氏の作曲。封印の扉を開くと流れ出す、どこか悲しげな曲です。監視者のドームでも流れます。低音の「ズーン」というピアノのタッチが、なんとなくFF風味。
08 海底神殿 言うまでもなく、海底神殿のダンジョンBGMです。戦闘に突入しても流れ続けるため、曲の印象が非常に強いものになっていますね。シンセによるパンニングされた機械的なシーケンス、ティンパニと低音のピアノで構成するベース、威圧的なブラスなど、全体的に重いトーンでまとめられており、未知なる文明を象徴しているかのよう。

後に現代ガルディア城で、ニセ大臣の手によって王様が貶められ裁判にかけられるシーンでも使われ、それを知ったマールたちが地下の宝物庫に「虹色の貝がら」を探しに行くイベントの間、流れ続けます。海底神殿とは何の関係もなく、こちらはいわゆる流用です。
09 クロノとマール
〜遠い約束〜
初出は中世ガルディア城、クロノがマールと再会し、お礼を言われるシーン。その後にヤクラを撃破し、マールディアが生還する場面でも再度流れます。クロノとマール、いや、マールのテーマと考えたくなりますが、エンディングでの使われ方からすると、「クロノと仲間たち」という方が合っているのかな?

また、古代・海底神殿でクロノの存在が消滅してから時の最果てに訪れ、老人にそのことを報告すると、老人は「では、この曲を贈らせてもらうよ。題して『クロノ・リメンバー』……」と語り、この曲が流れ始めます。
10 シルバード
〜時を渡る翼〜
黒鳥号を脱出してダルトンを撃破、見事シルバードを奪回すると初めて流れます。以後、シルバード搭乗中に耳にすることに。どことなくメインテーマに通じるような、トランペットメロによる曲調は、間違いなくクロノの音楽だと思わせますね。
11 黒の夢 ジール宮殿崩壊後、魔王を仲間にして(もしくは倒して)からシルバードに搭乗すると、イベントが発生。海中から海底神殿が浮上、「黒の夢」が出現します。そこで初めて使用され、以後は「黒の夢」内部のBGとして聴くことになる楽曲。ゆったりした曲と思わせておきながら、中盤でアップテンポな感じに変化(実際のテンポは変わりませんが)。機械や異形の生物が徘徊する「黒の夢」内部で、かなり長い間聴くことになります。個人的にはベースがいちばん好き。

肌村様からの補足情報によると、「通常の戦闘ではBGMが途切れるのですが、"さまようもの""たゆとうもの"というモンスターと戦うときは『黒の夢』が流れ続けます」。……ああっ、言われてみればそうだった!なんでコイツらだけ……きっとただの敵ではあるまい……と思った記憶が蘇ってきました。
12 決意 普通にシナリオを進め、「黒の夢」を経過してラヴォスに挑むと、この曲を聴くことがないままエンディングとなるため、プレイヤーによっては聴いたことがないかも。メインテーマのアレンジなのですが、リズムのみで始まって次第に弦がかぶさってくるというものです。これはシルバードでラヴォスに突っ込む、という専用イベントシーンでしか流れることはありません。シルバードのワープで「AD1999世界崩壊」を選び、さらにその後の選択肢で「戦う!」を選べばOK。シルバードはラヴォスに突っ込み、外殻との戦闘をパスして、いきなり本体(第一形態)と戦えます。

「黒の夢」から外殻と戦って内部に侵入した場合も、ラヴォス内部のタイムゲートから時の最果てに戻る→シルバードに乗る→AD1999にワープ→突っ込む、こうしてやれば、なぜか直接戦闘で外殻は破壊しているにもかかわらず、シルバードは突っ込みます。つまり、ラヴォスにだけは過去の事象が影響しない?!それとも、千年の間に外殻が回復した?謎は尽きません。

なお、またまた肌村さんから追加情報。「(このシーンは)特殊な操作をすると曲が変化します。1999年にタイムワープしてラヴォスが出現したら一度「今は逃げよう!」を選択し、タイムワープの画面にします。そうしたら、タイムワープをキャンセルし、次の選択肢で「戦う!」を選択し、ラヴォスに突っ込みます。そうすると、「決意」が流れてラヴォスに突入するシーンになるのですが、このときの曲のテンポは通常より速くなっています」……なんて細かい仕掛けがしてあるんだ!知らずにその手順はまず踏まないですね。まさに知る人ぞ知る、です。あらゆる可能性を試してみるその探究心に拍手!
13 世界変革の時 ラヴォス本体(第一形態)とのバトル専用音楽。かけまわるシンセと、ラヴォスのテーマのオルガンメロが随所に入り、戦闘を煽ります。かと思うと、弦によるメインテーマのモチーフもあり、楽しませてくれる楽曲です。言ってみれば、アップテンポ版・メインテーマ+ラヴォスのテーマメドレーってとこでしょうか。関係ありませんが、PS版で初めて「トリガー」をプレイした人の中には、「えっ、ラスボスがセル?!」と思った人もいるとか、いないとか(いないでしょうけど)。
14 ラストバトル ラヴォスの正体とのバトルです。まずは鳴き声一発。「世界変革の時」を引き継ぐようなテンポで、シンセがかけまわる点も同じ。メインのメロディはボーカリーズになり、より運命的というか、後には引けない最終決戦!という感じになっています。ラヴォスのモチーフやメインテーマは入っていません。なんとなく、個人的には曲の使いどころが「世界変革の時」と逆の方が良かったような、そんな気もします。なんかあっちの方がラスボスっぽいじゃないですか。いろんなテーマのモチーフが入っていて、印象的ですし。

ラストにラヴォスを倒した時の一連のSEが入っています。
15 星の祝祭 エンディングの、千年祭最後の「ムーンライトパレード」イベントの曲。「ガルディア王国千年祭」のフレーズももちろん入ってます。というよりもアレンジと言った方が適切かもしれません。それにしてもこのイベント、処理落ちするほどのキャラクター数は圧巻でしたね。
16 エピローグ
〜親しき仲間へ〜
基本的には、「クロノとマール〜遠い約束〜」です。オルゴールで始まりますが、途中から弦も加わってきて、厚みのあるアレンジになります。エンディングにて、ともに戦った仲間がそれぞれの時代に帰って行く場面で流れる曲。次々と去っていく者たち……特にロボとルッカのやりとりは今になって見ても泣けます。
17 遥かなる時の彼方へ エンディングもいよいよ大詰め、スタッフロール部分で流れる曲です。ゲームクリアの喜びとシナリオの余韻にひたり、そして各キャラのその後なんかにも想いを馳せて見ていると……MUSICのクレジットで表示されたのは「NOBUO UEMATSU」。えっ?こっ、これは光田氏にとってあんまりと言えばあんまりなのではっ?

エンディングの曲が終わってからしばらく無音部分が続きますが、4分39秒からまた曲が入っています。何の曲かって?フフフ。それはサントラで確認してね!……あ、いや、そんなたいそうな秘密は何もないですが。

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やっぱりオリジナルの3枚組みを強くオススメ。