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レビュー ファイナルファンタジー
feel / Go dream  ユウナ&ティーダ

ジャケット画像

デジキューブ  SSCX 10058   2001年   JASRAC表示:あり

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 「X」において初めて声によるセリフが入った「ファイナルファンタジー」。それによる効果は、ゲームのイベントにおいてより感情を含んだ演出が可能になったこと、そしてよりストーリーに没入できるようになったこと。さらに、その効果は他にも波及していたようだ。それがこのCD「feel / Go dream」。2人の主人公・ティーダとユウナの歌う楽曲を収録した、いわゆる関連グッズというやつである。歌うのはもちろん、それぞれのボイスとモーションを担当した森田成一氏と青木麻由子氏だ。

 そもそもこの企画は、森田・青木両氏の雑談から生まれた、妄想ネタにすぎなかった。「ティーダとユウナのデュエットでCD出したら面白いね」、そんな妄想がいろいろな人の手を借りて、現実のものとなったのだ。と、なれば楽曲はもちろん植松伸夫氏が製作。結果から言えば、それぞれのソロによるサントラのボーカルアレンジ2曲、デュエットでのオリジナル曲1曲という構成になった。ちなみに植松氏は各曲のアレンジをスクウェアサウンズの若手に任せており、このあたりからも(サントラに浜渦・仲野両氏を起用したのと同じく)FFミュージックに新たな世代を取り入れようとしているのがわかる。

 森田・青木両者ともに歌のレコーディングは初めてのことだったらしい。そんなふたりに植松氏が与えたアドバイスは「自分が思っているよりも3倍ぐらい幸せなつもりで歌って下さい」。いかにも植松氏らしいアドバイスではありませんか。二人は納得のいくまで何度も挑戦を続けていたとか。そしてできあがったこのCD、今後のFFにおなじみのシリーズとして定着していくのだろうか?

 ジャケットイラストは野村哲也氏による描き下ろしで、ケース内側にはヘナ絵もあり。

track1.feel ユウナ(青木麻由子)
 ループのリズムに乗せて進行する、今ふうに言うなら「癒し系」のボーカルもの。原曲は聴けばわかる通り「祈りの歌」である。アレンジはサントラでも一貫して「祈りの歌」のアレンジを担当した浜渦正志氏。さりげなく楽曲を主導するピアノが、いかにも浜渦氏だ。胡弓の音色が、オリジナルにも増して「アジアンテイスト」になっているのが面白い。サンプリングだと思われる、楽器名を特定し難いパーカッション群も独特の雰囲気をかもし出している。
 ボーカルの青木麻由子氏は、想像よりも歌えている印象。おそらくもともとの音感は良いのでしょう。ちょっと奥に引っ込めた感じの処理が、神秘的な雰囲気の声になっている。ダブって聞こえる部分はたぶんエフェクトではなく、2回オーバーダビングしたものと思われる。

track2.Go dream ティーダ(森田成一)
 「ティーダのテーマ」をアレンジして森田成一氏が歌う。アレンジはスクウェアサウンズの中でもユーザーに多くのファンを持つ関戸剛氏。想像にたがわないロックチューンになっております。もちろんギターも関戸氏みずから担当。イントロだけ聴くともろにロックだ(まさかティーダのテーマとは思えない)。驚いたのは、ドラムがサザンの松田弘氏だということ(!)。
 さて、ティーダのボーカルですが……元気はいいし勢いもあるけど、音感は微妙に「アレ?」という感じ。高い声が出てないわけではないので(単に「歌い方」をよく知らないという感じ)、数多く歌い込んでいけばメチャクチャ上手くなる可能性も秘めていそう。声の伸ばし方とかビブラート、ブレスなどのテクは一切なしで直球勝負!イヤミのない歌い方で好感が持てます。なんか一時期の尾崎豊に声質が似てるかも。

track3.Endless Love Endless Road
ユウナ&ティーダ(青木麻由子&森田成一)
 植松氏作曲によるオリジナルデュエット・バラード。アレンジは仲野順也&菊池真義両氏。なごみ系ほんわかソング、といった感じで、ひたすらまっすぐな二人のボーカルが好印象。サビのハモリなんてなかなかどうして、森田氏がんばってます。きっと楽しくレコーディングしたんだろうなあ。

トラック4〜6は各曲のボーカルなしインストバージョン(バックトラック)を収録。「feel」のインストは単に「祈りの歌」のアレンジバージョンとしても普通に聴けマス。


あ、マスタリングがオレンジの小泉由香氏ってのもさりげなくゼイタク。



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