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FINAL FANTASY VIII FITHOS LUSEC WECOS VINOSEC
ジャケット

ケースに文字、
中ジャケにイラストが印刷された
特殊なパッケージ。
 このアルバムは、「FFVIII」に使用された楽曲の中から特にファンに人気のあると思われる楽曲を13曲セレクト、すべてをフルオーケストラアレンジして収録した、純粋なアレンジアルバムである。「FFVII」のそれが『オリジナル音源のベスト+アレンジ3曲』という再編ものだったのに対して、本作はすべてがアレンジされている。オーケストレーションはご存知、浜口史郎氏。ゲーム本編でもオーケストラの生録音が一部で採用され、全体の音源もオケ感が強調されていた「VIII」のアレンジとして、まったく違和感のない出来。そのようなことからも、本盤が基本的に原曲重視であることが伺える。なお、ゲーム本編ですでにオーケストラ録音だった楽曲はすべてそのまま再録されている。

 作曲・植松伸夫氏と編曲の浜口氏の間でのやりとりは、双方の仕事場に同じローランドのMIDI音源「SC-88」を用意し、メールでMIDIデータを受け渡しして詰めていったらしい。音源を統一することでそれぞれのイメージに統一感を持たせるためである。植松氏から送られたデータを浜口氏が「このパートは○○の楽器よりも△△の楽器の方が良いでしょう」という具合にアドバイスしていった(「たしかに言われた通りにした方が良くなるんですよ」と植松氏は語る)。もちろんこのようなことは今回に限らず、ゲーム製作中も行われていた。

 また、1999年にはスクウェアのサウンド制作が「スクウェアサウンズ」という名の会社として新たに発足。このCDからそのクレジットが記載されるようになった。また、これを機にスクウェアサウンズの楽曲(CD)にはJASRACの表記がなされることが多くなった。基本的にスクウェアサウンズはスクウェアのゲームの音楽製作をメインにしつつも、今後は他社の発注も受けていくというスタイルをとっている。取締役はもちろん植松伸夫氏である。
デジキューブ
SSCX 10037
1999年(廃盤)
JASRAC表記:
あり
スクウェア・エニックス
SQEX-10025
2004年再発
JASRAC表記:
あり

ゲームをプレイして、本編サントラとあわせて楽しもう!
ゲーム本編 本編サントラ このアレンジ盤

01 Liberi Fatali オープニング曲。ゲームに収録されているものから変更はない。
02 Blue Fields フィールドBG。原曲に忠実なアレンジになっているので安心して聴ける。もちろんそれぞれのパートの厚み、豪華さは原曲よりもはるかに増しているのは言うまでもない。それにしても「フィールドでメインテーマがかかる」というFFの伝統を崩した今作に対するオールドユーザーからの反応はいかがなものだったのか。
03 Don't be Afraid もともとオケを意識した楽曲だったが、迫力は倍増。原曲の雰囲気を壊したくないという配慮からか、一部パーカッションはゲームのトラックをそのまま持って来ているようだ。フルオーケストラバージョンを聴きたいと思っていたファンは少なくないはずなので、嬉しいアレンジ。
04 Balamb GARDEN〜Ami もともと別バージョンだった「Ami」と繋げてしまったアレンジはお見事。原曲よりもさらに柔らかく、暖かい雰囲気になっている。
05 Fisherman's Horizon イントロがコーラスになっていてビックリ。原曲の雰囲気をさらに強調したようなアレンジになっている。本編でもサンプリングの弦はたいへん高いクオリティであったが、やはり生楽器の持っている情感豊かな表現力はすばらしい。中盤でメロを担当するトランペットもいい感じだ。コーラスも加わる。
06 FITHOS LUSEC
 WECOS VINOSEC
原曲の雰囲気重視なフルオーケストラアレンジ。さらに厚く、荘厳に。原曲にはなかったピアノが加わって狂気的なイメージも加わっている。今にもダンサーたちが動き出しそうだ。
07 Eyes On Me シングルバージョン(サントラと同じバージョン)をそのまま収録。
08 The Man with
the Machine Gun
あのテクノっぽい楽曲をフルオーケストラアレンジ。やや雰囲気は変わっているが迫力はある。オリジナル音源から一部リズム(ハイハットなど)をそのまま持ってきており、生ドラムとの掛け合いも面白い。通常の戦闘音楽とともにこちらもファンには人気の高かった曲である。「ラグナのテーマ」とまで言うファンも。
09 Dance with the Balamb-fish かなり原曲にそっくり。そもそもフルオーケストラでやるべき曲だろうけど。
10 Love Grows もちろん「Eyes On Me」のアレンジ。ピアノの旋律が美しく、弦との掛け合いも聞き惚れてしまう。
11 The Oath 原曲は弦中心で奏でられていた曲。このアレンジではフルオーケストラによる雄大な印象となっている。
12 Ending Theme サントラのものをすべてそのまま収録。
13 Fragments of Memories ラストをエンディングではなく、この曲を持ってくるセンスがいい。弦のアンサンブルがいい心地にさせてくれる。

「FFVI」のアレンジ「グランドフィナーレ」とはまた異なる方向でのフルオーケストラアルバム。植松氏の
「グランドフィナーレ」に対する不満の原因が、このCDを聴いているとおぼろげながら見えてくるような気がする。


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