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ピアノ・コレクションズ ファイナルファンタジーIV
ジャケット  このCDは、「ファイナルファンタジーIV」のために作曲された楽曲の中から14曲をセレクト、ピアノソロとしてアレンジしたアルバムである。FF音楽ファンにはおなじみの「ピアノ・コレクションズ」はこの「IV」が最初となる。

 実はしばらくの間、「ピアノ・コレクションズ」は廃盤の憂き目にあっていた。オリジナルサントラはそれなりの売り上げを記録する「FF」シリーズだが、「アレンジバージョン」は思いのほか売れていない現状があった。そのような事情もあってか「IV」「V」および「VI」の「ピアコレ」は発売を中止されていたのだが、「FFVIII」にて「ピアノ・コレクションズ」が復活し、「IX」も製作された。同時にファンからの、「IV」〜「VI」の再販希望が多数届いたため、2001年に再発売となったのである。左に掲載しているCD番号は現在発売されているもの。
 
 ゲームのために作られた楽曲が一人歩きし、ピアノソロという形になってその表情を変化させる様子は、とても興味深く聴くことができる。編曲を担当したのは佐藤史朗氏、ピアノの演奏は森俊之氏が担当している。
NTT Pub.
NTCP-1001  
1991年/2001年  
JASRAC表記:なし

01 プレリュード イントロを聴いただけで、ファンなら何の曲かわかるはず。ピアノソロになってもその美しさは変わらず、むしろシンプルなアレンジはメロディの良さをより浮き立たせる気さえしてくる。本来ならばストリングスやフルートで奏でられるフレーズも見事にピアノで演奏。
02 愛のテーマ むしろこの形が本来のものなのではないかと思えるほどに自然な仕上がりとなっている。スーパーファミコンでは生ピアノの再現は難しいところだが、プレイステーションの音源ならばなんとか可能であるはず。ゲームから流れるこのバージョンも聴いてみたいもの。
03 オープニング シンプルなメロディで始まる、いわゆる「FFのテーマ」。徐々に音が重ねられていき、厚みが出てくるさまはまるでオケ版のよう。そういえば、劇中でこの曲がこういった形で演奏されたことはかつてないはず。ピアノという楽器の表現力に、あらためて感心させられる。
04 街のテーマ イントロからはわかりにくいが、メロが出てくるとまごうことなき「街のテーマ」。ピアノで演奏されることで、オリジナルバージョンよりも感傷的な印象になっている。どこかのイベントで、アレンジ違いとしてかかっていても違和感がない。
05 ファイナルファンタジーIV 
メインテーマ
フィールドでかかる「メインテーマ」。かなり大胆にアレンジしてあり、ちょっと聴いただけではそれと気付かないかも。原曲からのイメージはかなり変わっているものの、見事にピアノ曲になっているところはさすが。中盤以降はかなり原曲のイメージが出てくる。単調になりがちなピアノソロ曲を、徐々にアレンジを変えていくことで飽きさせない工夫がされている。
06 チョコボ イントロからチョコボとわかる好アレンジ。音数の少なさから言えば、ピアノソロというのは最もファミコン音源での演奏に近いのかもしれない。まだチョコボのテーマが短かった頃のことだけに、アレンジには苦労されたのではないだろうか。
07 ダンジョン FFシリーズの中でも最も美しいダンジョン曲のアレンジ。とても落ち着いた印象になっている。こういう形で聴くと、原曲におけるストリングスとハープの持つ意味が見えてきて興味深い。
08 少女リディア やさしさ、暖かさがより強調されたピアノソロ。このような形になっても、やっぱり植松氏以外の曲には聞こえないところが、氏の持つ個性なのだろうか。どこを切っても植松メロディである。
09 ギルバートのリュート そもそも異なる楽器で演奏されるべき楽曲を、あえてピアノにしたところが面白い。
10 黒い甲冑ゴルベーザ これをピアノソロにするか?と思ったが、低音部の鍵盤を巧みに使ったアレンジで、見事雰囲気を再現しているではないか。さりげないが、演奏者のテクニックが試される楽曲である。
11 トロイア国 「FFIV」の中でも印象の強い楽曲。早くから出てくるメロディで、すぐにそれとわかるだろう。よく「トロイアン・ビューティ」と英訳されるこの曲だが、ピアノで奏でられる本アレンジはまさに言葉通りの美しさ。
12 バトルメドレー
バトル1、バトル2、
ゴルベーザ四天王とのバトル、
最後の闘い
ピアノでバトルを?しかもこの4曲、どうなることかと思ったが、「バトル1」はあえて「戦闘」っぽさは考えず、メロディのみ拝借してきて別の楽曲として生まれ変わっている。単なる「ピアノバージョン」にはなっていない。一方で「バトル2」のアレンジでは演奏者に拍手!原曲の雰囲気がそのまま出ていると言っても過言ではない。「ゴルベーザ〜」はゆっくりとしたアレンジに。どこか大人の雰囲気を感じさせる。「最後の闘い」では再び原曲重視のアレンジに。スーファミ音源のどこか物足りない部分に影響されず、こういった形の演奏を聴くと、楽曲本来の良さを再認識できる。
13 エンディングテーマ ピアノソロとしては大作。このアルバムでも最も長い楽曲になっている。構成も原曲の雰囲気を壊すことなくなされているので、安心して聴くことができるだろう。
14 愛のテーマ アンサンブル 「愛のテーマ」を、劇中のイメージを重視してストリングスアンサンブルによって演奏したバージョン(もちろんピアノソロではない)。弦+ピアノのアレンジは、この曲の本来の姿を聴いているようだ。ヘタなドラマの劇伴よりもよっぽどよくできた曲である。何度聴いても同じ所で右側にいる弦が歪むのはご愛嬌か?ウチのCDプレイヤーかなあ。

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2001 GAMERS EDEN

いまや音楽の教科書にも載ってしまう「FFIV」の楽曲。
この世で最もピアノで弾かれてるゲーム音楽かな?