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ファイナルファンタジーIV アレンジバージョン ケルティック・ムーン | |
このCDは、「ファイナルファンタジーIV」に使われた楽曲の中から15曲をセレクト、ケルト音楽風味にアレンジしたアルバムである。FF作曲者・植松伸夫氏の民族音楽趣味とアイルランド音楽(というか、文化)に対する思い入れはファンの間では有名なことで、FF音楽のアレンジバージョンがこのような形になることも何ら不思議ではない。 驚くべきことに、ケルト風味にアレンジされたFFのメロディには違和感がまったくない。はじめからこのようなアレンジが製作されることを見越して作曲したかのように、だ。もちろんゲーム音楽というのはゲームのシナリオ、演出に合わせて作られる。「FFIVはケルトでいこう!」というようなことはもちろんなく、即ち植松氏の中に流れている音楽的な何かが、本質的にこのような「雰囲気」を持っているのだと邪推できる。完全にゲームとは独立して、単体の音楽として聴き応え十分な名盤である。 サウンドプロデュースとしてアレンジを担当したのは、マイラ・ブラナク。この方面では著名な女性音楽家で、本作品ではフィドルやヴィオラ、キーボードまでを多彩に弾きこなしている。優しげなアレンジは彼女のセンスから奏でられているのだ。 |
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ポリスター PSCN 5017 1991年 JASRAC表記:なし |
01 | THE PRELUDE | プレリュードのアレンジ。ハープの美しいイントロから始まり、フルートの旋律が加わってくる。バックで薄く鳴っているシンセ・ストリングスも、包み込むような優しさを持っている。少ない楽器数で最高級のアレンジが為されている好例。時代を先取った「癒し」に溢れている。 |
02 | PROLOGUE | おなじみの「FFのテーマ」。アコースティクギターとシンセ・ストリングスをバックに歌うフィドルのメロディがなんとも言えない味わい。暖かい、とはこのこと。オーケストラのような「厚み」はないが、清楚さに満ちている。 |
03 | CHOCOBO-CHOCOBO | イントロからはわかりにくいが、しばらくするとすぐにお馴染みのあの曲だとわかる。かわいらしく、どこかコミカルな楽曲の持つ雰囲気はそのままだ。 |
04 | INTO THE DARKNESS | ダンジョンの曲をアレンジ。ケルティックアレンジにこのあたりの曲を選ぶセンスが素晴らしい。どこか物悲しくもボイスが加わることで、なにか神々しい雰囲気すら漂う。原曲とはかなりイメージの変わったアレンジで、どちらが好きかは好みの問題。 |
05 | MAIN THEME OF FINAL FANTASY IV |
イントロからおおっ!と思うほどに、原曲のイメージを再現している。木琴のような音源で奏でられるシーケンスフレーズとフィドルによるメロの掛け合いが見事。このままゲーム内のフィールドでかかっても違和感なし! |
06 | WELCOME TO OUR TOWN ! | 「街のテーマ」のアレンジ。原曲も安堵感ある楽曲であったが、このアレンジは「癒し」感増大。ケルト系のコンピレーションに入ってても不思議はない。途中からはテンポアップしてお祭りのような楽しい雰囲気に。 |
07 | THEME OF LOVE | 「FFIV」の代表曲「愛のテーマ」。はかなさ、愛しさ、哀愁がたっぷりのアレンジ。もともとこういう曲だったのだと錯覚してしまうかのような出来だ。楽器の持つ音色自体が、限りなくこの楽曲のメロディに合っているのかも。アレンジャーの技量ですな。 |
08 | MELODY OF LUTE | 「ギルバートのリュート」。原曲重視のアレンジで安心して聞ける。 |
09 | PAROM & POLOM | よくぞこの曲のイメージをそのままにアレンジしたものだ。もうまんま!という。メロディだけでなく楽曲の微妙なニュアンスまで再現しているのにびっくり。そうとう原曲を聴き込んだのでしょうか? |
10 | GIOTTO, THE GREAT KING | 「キング・ジオットの城」のアレンジ。こちらも原曲重視のアレンジ。 |
11 | DANCING CALCOBRENA | 「踊る人形カルコブリーナ」。やはり生演奏はコンピューターミュージックでは出しにくいニュアンスを見事に出してくれます。ああ、人形たちが夢に出てきそう……。 |
12 | MYSTIC MYSIDIA | 「ミシディア国」のアレンジ。この曲を選んだだけで評価に値する(笑)。原曲が「これ、曲なの?」というヘンチクリンなものだったのにもかかわらず、こうしてアレンジするとちゃんと「楽曲」として聴けるから不思議だ。 |
13 | ILLUSIONARY WORLD | 「幻獣の街」のアレンジ。全編にボイスが入って、より神秘的なムードが増している。ケルト音楽を意識して作曲したとしか思えない音符運びに拍手。 |
14 | RYDIA | 「FFIV」のもうひとつの人気曲、「少女リディア」のアレンジ。原曲よりも暖かさのあるアレンジになっているためか、ゲームのあのシーンが頭の中に蘇ってくるよう。途中から入ってくるコーラスが絶妙。やっぱり人間の「歌声」って偉大だなあ。 |
15 | TROIAN BEAUTY | 「トロイア国」のアレンジ。こうして聴いていると「FFIV」の舞台がアイルランドのように思えてくるのはなぜだろう。中世、ヨーロッパ的なファンタジーだからか。アレンジバージョンを聴くことで、その音楽とも世界観が見事に一致していると認識させられる。 |
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初版紹介 アメリカーナレコードから出ていた、本アルバムの初回盤。これが廃盤となり、ポリスター盤が発売された。現在、新品として入手できるのはポリスター盤となる。初回盤は曲目・構成・収録時間ともに差異はないが、商品番号とジャケットが異なっている。 アメリカーナレコード N30D-006 |
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