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里見の謎

ジャンル:RPG
販売:サンテックジャパン
SLPS 00613

1996年12月6日発売
定価:5800円

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検索などで直接いらした方、当サイトは「GAMERS EDEN」です。
プロデューサー・製作総指揮  小澤 夢生 監督・脚本  三井 一正
キャラクターデザイン  セキ タカカズ マップデザイン  タカハシ ヒデオ
プログラム  ヨコツカ エイイチロウ
 ヤマキ ノリヒコ
グラフィック  スズキ トモミ
 コンドウ ヒサヨ
サウンド  エンドウ アキコ ボイス  島 紘子
 ラブリー
スーパーバイザー  オオタ ヒロカズ マネージメント  オザワ マユミ
以下の本文にはゲーム内容やストーリーについて言及する「ネタバレ」が含まれています。今後本作をプレイするつもりでおられる方は閲覧にあたって各自で御注意下さい。

ある意味ドラクエ・FF以上に、プレステで最も有名なRPG
ゲームの中でもとりわけRPGというジャンルについて人並み以上に関心をお持ちの方であれば、プレイしたことはなくともその名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう、サンテックジャパンの「里見の謎」です。そして同時に、これがRPG史上最大の問題作であるということも。「ドラクエ」や「FF」の名前は知っていてもプレイはしていない人に「DQ、FFってどんなゲーム?」と聞いても明確な回答は期待できないのに対し、この「里見の謎」はプレイしていない人でさえ、その名前を知っていれば「すごいクソゲーなんでしょ」とその内容を答えられるのですから、ある意味では国民的超大作RPGよりもはるかにメジャーだ、と言うことができるのではないでしょうか?(答:言えません)

「里見の謎」発売にあたりゲーム雑誌各誌は、その紹介をクロスレビューページの欄外でちょこっと触れる程度に留めました。まともに点数を付けたらとんでもないことになるのが目に見えていたからこその処置でしょう。それに反して本作のパッケージには、自信満々な「おすすめRPG」シールが貼られていました。販売店が貼ったのか?それともSCEか?いやいや、なんとメーカー自らが貼ったものなのだということも有名です。はっきり言って世が世なら不当表示とかで問題になりかねないこの行為、そうせざるを得なかった事情がサンテックジャパンにはあったのでしょうか。

ということで、とんでもないゲームであることは知っていても細かいことまではよくわからない、というゲーム入門者のために、「里見の謎」という歴史に残すべき作品を紹介していくことにしましょう。既にWeb上ではたくさんの人々が独自のレビューを公開しており、「超クソゲー」などのクソゲー本でも常連の位置をキープする本作、今さら筆者などが語ることは残されていないのかもしれませんが、語らずにはいられねえんだよ!
ゲームを始める前から、そして始めた直後から溢れ出る怪電波
ソフトを手にしてまず目に飛び込んでくるのは、そのジャケットイラスト。背景はともかくとしてセンターに据えられたメインキャラクターが、右利きの人が左手で描いたのか、という独特のタッチになっております。本作をレビューしている人々の文章は大抵、まずこのイラストをコキ下ろすことから始まるのです。表現のしかたはいろいろあれど要約すれば「ヘタクソ」ということなのですが、筆者はそうは思いません。絵が描けない人よりは間違いなく上手いです。左右のバランスの取れてなさ加減、ひしゃげた輪郭、自信なさげなデッサンなどなど、いずれもそういう絵柄なのだと思えば納得できるレベル。特にヒロインらしき少女なんかはミニスカートのセーラー服ですから、これに萌えるという奇特な人もきっといる……はずです。そもそもですね、イラストなんてのはゲーム的にはイメージビジュアルでしかないわけで、重要なのはゲーム中のグラフィックなんですよ!パッケージの絵がちょっとぐらいドヘタくそだからって、ゲーム本編の面白さにはみじんも影響しねえんだよおめーら、という開発陣の意気込みを感じませんか?感じねーよ、というリアクションがサラウンドで聞こえてきました。次いこ、次。

さて、説明書を開いてストーリーからチェック。「悪のカルト集団『ヌーヌー』がはびこり、さらには自然界のバランスが崩れ始めている現代」。おお、ずいぶんと現実世界に警鐘を鳴らすかのような設定ですな。実際、我々の住む世界でも日々新たなカルト教団が現れては世間を騒がせ、一方で止まることのない環境破壊も深刻化しています。ゲーム中では「自然界のバランス崩壊」についてはあまり触れられないのですが、そのうちそれもカルト集団「ヌーヌー」が引き起こしているものだということがわかってきます。主人公=我々は、基本的に「ヌーヌー」を倒し、自然界に正しいバランスを取り戻す……という目的を持って行動することになるのです。時代的にはオウムあたりとシンクロした設定でしょうか。娯楽作品において宗教問題を取り扱うことはいろいろデリケートな問題を抱えるものですが、あの頃は宗教団体に対するバッシングが世間的に容認されていましたし、そもそもこの作品のスタッフはそこまで深く物事を考えていなかったと思います。なぜそう思うかは、ゲームを進めればわかるでしょう。

続いて7ページからのキャラクター紹介に目を通しましょう。センターにいるのが主人公でありプレイヤーの分身、「夢若」12才です。「コンピュータが得意」とのことで、頭にはヘッドマウントディスプレイのようなもの、左腕にはパックスパワーグローブのようなものを装着。かと思うと右手で抱えているのはスケボー?ツンツン頭、ダウンジャケット、バッシュといったスポーティな服装はとても「コンピュータが得意」な性格の人間が着るものとは思えないところはありますが、そのへんの売れ線狙いアニメの主人公たちから良さげなところを掠め取ってきたようにも見えます。俺はとりあえず、コイツの鼻がキライ

その右側にいるのが主人公の親友、「洋介」15才。持ったことのある人ならわかる、意外に重いバスケットボールを親指と人差し指だけで軽々と持っているのはまあいいとして、「主人公の少年より年上だが、彼には一目置いている」ってどこに?というか、これもさんざん言われていることですが、ロンゲで名前が「洋介」って、フジテレビのトレンディードラマの一時代を支えた某江口アニキがモデルですか。1996年というリリース時期を考慮に入れても、今さらと言えばあまりに今さらな元ネタですなあ。「FF」なんかが同じことやったら大騒ぎになるところですが、モノが「里見の謎」だけに江口洋介の所属事務所も黙秘を貫いています。というかたぶん知りもしないかと。

主人公の左側にいるのが、主人公の愛犬「ラブリー」。ラブラドールレトリバーで、父は警察犬、母は盲導犬なんだそうです。優秀な血筋であるようですが、尻尾に絡み付いた巻物はいったい何でしょう?しかもこの巻物についてはゲーム中では触れられず終い。さらにスタッフリストを確認すると、ボイスのところに「LOVELY」の名が。この「ラブリー」、プロデューサー&制作総指揮・小澤夢生氏が飼っている、実在する愛犬だとのウワサ。愛犬をキャラクターとしてゲームに登場させ、しかもその声も愛犬のものを収録して使用!親バカならぬ「犬ばか」も、ここまで徹底すれば立派というものです。ちなみに実在のラブリーちゃんのお姿は、商品パッケージ裏面で見ることができます。

ページをめくって9・10ページ。セーラー服少女「イズミ」は16才と、洋介よりもさらに年上。和服少女「千夜(さや)」は14才。他に、忍者にしか見えないものの紹介文は「剣士」と書かれている「ジュウベー」、マスコットキャラにはなり得ないブサイクなカッパ「Q坊」、そして"愛すべき変なオヤジ"「Dr.ヘッケル」と、RPGに必要そうなキャラクターは一通り用意してみましたという面子が並びます。注目すべきは、11ページからのモンスター紹介。ゲームに登場するモンスターが4ページに渡って24種類も並べられているのですが、プレイ前から気が滅入るクセモノ揃い。

「ばふん」…ばふんとは、うまのうんこのことです。が、このゲームでは妖怪なのさ!
「あかぺろりん」…こんなのになめられたら、体がくさっちゃうよね!
「タコ・デ・イーカ」…タコなんだかイカなんだかよくわからねぇ化けもんだぜ!まあ、たこでいいか

……誰が考えたんだ、このテキスト。あげくに「このゲームに出てくるモンスターは、ひょっとしたら君のそばにいるかもしれないね!」って、この少年ジャンプも真っ青の子供向け加減は本気(マジ)なのか、ギャグなのか。筆者はそばに「ばふん」のいる世の中なんぞマッハ速攻でオサラバしますね。説明書はもういいです、とりあえずゲームを始めましょうか。サンテックジャパンのCGロゴの後、表示されるのはタイトル画面。
タイトル画面
……絵、動きません。かろうじて「PUSH START」の文字だけがきらめいてはいます。で、音楽はナシ。そのかわりに、ザザーン……ザーン……と波の音が。これはこれで、雰囲気が出ていると言えば出ているので、全力で否定するつもりはありません。別にタイトル画面で音楽が流れなくてはいけないわけでもないし。RPGだからとジャジャーン、ってな音楽で導入のイメージを固定するより、波の音で「何が始まるんだろう」という想像と期待感を煽るのは、手法としてはアリです。待ち受けているのは電波ワールドですが。ということで促されるままにスタートボタンを押しますと、現れるのは「あたらしくはじめる」「まえのつづきをやる」「おんがく せってい」の3つ。とりあえず「おんがく せってい」を……ステレオ・モノラルだけでした、とっとと始めましょう。「あたらしくはじめる」っと……。主人公の名前入力画面へ移ります。デフォルトで「ゆめわか」となっていますが、変えることも可能なようですね。ん?右の方に「じどう」という見慣れぬコマンドがありますが……。
名前入力
実はこれ、名前入力で困った時に、プレイヤーに替わって自動的に名前を付けてくれるありがたいコマンド。ほら、よくあるじゃないですか。どうせならイカす名前を付けたいけれど良いものが思い浮かばず、そこで15分ぐらい悩むことが。本作にはそれをソフトがやってくれるという素敵システムを搭載しちゃってるんです!親切このうえないこの仕様、クソゲーだなんて誰が言ったのよ見る目がねーな、よーし、せっかくだからパパ「じどう」使っちゃうぞ。ポチッとな。最初に出た文字は「じ」。なるほど、一文字ずつ選ばれていくわけやね。2文字目は何かな〜、もう一回「じどう」をポチ。「き」。「じき」?何か斬新な名前になりそうな予感。3文字目、カモン!……「だ」?……よ、4文字目、いくよ。「げ」……「じきだげ」?主人公の名前が「じきだげ」?これで決定すると、お次は洋介の名前も変えられるようです。ここも「じどう」にオマカセしてみます。……「だめばふ」。さらにラブリーの名前……「べじめで」。なめとるんかコラア!こんな名前でRPGやれっか!

リセットして再挑戦。ここで5文字までいけることに気付きました。デフォルトネームがどれも4文字なので、てっきり4つまでなのだと思い込んでました。……夢若、「ざべもえじ」。洋介、「びぇぅべょ」……発音できんわ。ラブリー、「とうふゅゐ」……なんで「ゐ」とか「ゑ」なんて文字まであるんだよ!これ、ホントに1文字ずつランダムで選んでるんだ……。斬新すぎるっていうか、意味あるのか、この機能。もういいよ、自分で適当に付けた方がマシだよ。っつうかデフォルトでいいですよ、もう勘弁して下さいよ。
ヒロイン選択
主人公たちの名前を決定すると、唐突に「あなたの好みのタイプはどっち?」と2人の少女のうち1人を選ばされます。イズミと千夜ですね。いや、その、まだキミたちのこと何も知らないのに、どっちか選べなんて言われてもねぇ……。んじゃ、セーラー服いっとく?セーラー服。ということでイズミをチョイス。名前同様、こんなところで本気で悩むことはありません。選ばなかった方はゲーム中に現れないというわけではありませんし、シナリオが分岐するわけでもないので、軽〜い気持ちで選んじゃって下さい。この選択はこの後のナレーションがイズミの声になるか、千夜の声になるかというところにのみ影響しますので、リセットして両方聴くことも可能。まあ、どっちを聞いても島紘子の一人二役なのですけど。
スーパーファミコンでもじゅうぶん描画できそうなグラフィック
これはプレステなのか?
既にかなりの精神的ダメージを受けてしまったような気がしますが、いよいよ本編スタート!スーパーファミコン、いや、ひょっとしたらファミコンかな?と錯覚してしまいそうなグラフィックによって描かれた、かろうじて海だとわかる背景をバックにイズミの(この前で千夜を選んだ場合は千夜の)ナレーションが流れます。物語の当初の舞台となるタテヤマーナの説明、そして最近なにやら世の中がおかしなことになっていること、そして、そんな世の中を救う英雄の言い伝え……「英雄は、この世の終わりにやってくる」。あのぅ、それでは遅くないですか、英雄さん。この世が終わる前にやって来ましょうよ、ね。

それはさておき、導入からボイスによるナレーションが入るあたりはさすがにプレイステーション!という気もしますが、ボイスが入るのはあとはエンディングぐらいのものなので、あまり期待しないように。また、いくらボイスが入っているとは言っても、このグラフィックではPCエンジンのゲームだよと言われたら納得してしまいそうです。まあファミコンは言い過ぎにしても、スーパーファミコン時代のたとえばスクウェア製RPGなんかと比較すると、明らかに本作の負け。1996年当時でこのグラフィックというのは決して褒められた出来ではありませんが、翌年には「FFVII」がリリースされることを考えると、プレステというのはいろんな表現のできるハードなんだなあ、とあらためて感心させられてしまいます。逆に言えば「里見の謎」がプレステソフトである必要もないのですが、それを言っちゃうとすべてがこれにて終了!となってしまうので、指摘は控えましょう。
レーザービィーーム!
ナレーションが終わると、さっそく主人公たちの姿を拝むことができます。イラストとはさらに似ても似つかないキャラクターたちはなにやら浜で釣りをしているようですが、ゲームの舞台はずいぶんと文明の進んだ世界なようで、釣りとは言ってもレーザー光線を海の中に照射することで獲物を捕らえるのですね。と思ったら、単に釣り糸でした。描写が稚拙なだけでした、本当にすいません。しかし、あらゆるレビュアーがまずこのレーザー光線にツッコミを入れており、筆者もついついそれに倣わずにはおれませんでしたが、民衆はいつからグラフィックに徹底的なリアルを求めるようになったのでしょうか?それこそファミコンの頃なんかは、描ききれていないグラフィックをユーザーの想像力でカバーしていましたよね。グラフィックの見た目から得られる情報だけにすべてを委ねるのではなく、もっとユーザーのイマジネーションを駆使してあげても良いのではないかと筆者は思うのです。問題なのは、本作がファミコンではなくプレステのソフトだということです。プレステであるにも関わらずユーザーの想像力をこれほど必要とする作品は、他になかなかないのでは。

このレーザー光線でもって、唐突にツボを釣り上げる夢若。よくこういったシーンではタイヤや長靴、空きカンを釣り上げるネタは見ますが、ツボというのは初めて見る気がします。どうしたらツボが釣り針に引っ掛かるんだ、などという科学的考証は本作においては無用っていうか無駄です。ということでゲームで初めて入手するアイテムは「つぼ」なのですが、

テキストの余白に注目。

なんですかこの空白は。いや、もしかしたら「つぼ      」という名前のアイテムなのかもしれないな。細かいことは気にしない、それが本作をプレイするうえでの鉄則です。さ、今日はイマイチ魚が釣れないし(ツボは釣ったけど)、とっととおウチに帰りましょう。海から一画面移動するといきなり森の中、ここで夢若は何度か怪電波を受信します。どうやら得体の知れない何かが頭の中に語りかけてくるようです。電波を受信するタイプのRPG主人公といったら「FFVII」のクラウドと、この夢若が双璧でしょう。しかし本作は特別なイベントグラフィックもなく、テキストだけで淡々とその様子が描写されていきます。この導入部分の盛り上げ不足な展開の仕方といい、シンプルかつノスタルジックなグラフィックといい、素人がRPGツクール(もちろんスーファミ版)で作ったゲームじゃないのか、という気がしてなりません。
「問題作」以前の類稀なるシナリオ展開と言語芸
自宅に帰り着いた夢若はよっぽど電波が恐ろしかったのか、母親に突然、
伝説のシーン。
「ただいま!母さん・・・ぼく、あたまが ヘンになっちゃったよぉ・・・・・・・」。かつてこんな主人公がいましたでしょうか。自分は頭がおかしい、と衝撃の告白をする主人公!プレイヤーにしてみれば「俺は(アタシは)これから頭のおかしい主人公を操作していかなきゃならんのか……」と、すっかりテンション落ちまくりなはず。さらに強烈なのは、この衝撃の告白を聞かされた母親のリアクション。
呑気な母親。
おかえり!ゆめわか!」……息子が「頭がヘンになった」などととんでもないことを言っているのに、開口一番「おかえり!」とは、どこまで無関心な親なのですか。優れたシナリオライターであれば、っていうかまともな人間であれば、夢若の「ただいま!」の後に母親の「おかえり!ゆめわか!」を挟み、それから「母さん・・・ぼく、」と繋げれば自然かつスムーズであることは考えなくともわかりそうなものです。「これは会話として成立していないのでは」ということに気付きもしない人たちが作ったゲームをこの先もプレイし続けてしまうと、こっちの頭がヘンになるのではないかと余計な心配もしてみたくなります。さらに母親は「母さんはあそびづかれだとおもうわ!」と、息子の異常に正面から向き合う姿勢を微塵も見せません。そのくせ、夢若が拾ったツボを見せるとあからさまに動揺。母さんよ、息子よりツボが気になるのか。頭のおかしい息子もいいかげんグレるぜ?とりあえず、母親に促されるままにグッスリと休む夢若。すると、

寝てる間に失踪する母。

突然、
母親家出。置き手紙には「しばらくかえってきません。あなたはもうだいじょうぶ!」って何が大丈夫なの母さん!というか、アナタの頭の方がヘンになっているのでは?「あなたはとくべつなうんめいをせおった子です」っていきなりすぎてわけがわからないよ母さん!「ついしん ヘッケルはかせをたずねなさい。それから、ヌーヌーいってる人たちにはきをつけなさい!」……話が唐突かつ一方的すぎませんか。「お前は特別な運命なのだ」というのは古典的なRPGにはよくある展開ですが、それは伏線あってのことで、こんなゲーム開始直後から言い放たれてもちっとも盛り上がりません。それを証明するかのように夢若は淡々としており、ショックを受けた様子は一切見せないのです。なんてたくましい子だろう!っていうか母さん、台所のコンロ、火がつきっ放しですよ!ヘッケル博士を訪ねる以前に、特別な運命を背負った息子が家ごと燃えてなくなったらどうすんの?

まあ、泣こうが喚こうが母親が消えてしまったことには変わりありません。素直に置き手紙に従い、
ヘッケル博士とやらを訪ねるほかなさそうです。それにしたって、博士の居場所ぐらい書いておいてくれてもよいでしょう、なんと不親切な母親ですか?愛人でもできたのか、と勘ぐられても仕方ないほどの放置っぷり。いずれにせよこれだけではあんまりです、母は他に何か残していないのでしょうか?と、RPG定番の物色捜索開始!するとあっさり母の日記を発見。いろいろ書かれていますが、覚えておくべきは「それにしてもヘッケルはかせは、いさなやさんのおみやげが だいこうぶつだ」、「6月13日、ゆめわかのたんじょうび」……なにが「それにしても」なのかは意味不明ですが、この2点だけです。金庫の鍵を入手したらもうこの家は用済みです、今後戻る必要もありません。グッバイ我が家。おっと、家の裏手(画面上、北側)にはいろいろアイテムが落ちてますので調べてみるのもよいでしょう。まあ、いらないけど。なお、本作の世界観的には「大事なものは家の裏手に埋める」ことになっているらしく、自宅以外にもあちこちの街や村で、そこかしこからアイテムを掘り出すことができますがなんなんだこの設定は。ぜひ小澤夢生サンや三井一正サンのご自宅の庭を掘ってみたいものです。何が出てくるんだろ(「里見の謎」のソフトが出てきたらイヤすぎ)。

家から北側に出ると、再び森の中へ。ルートは途中で東側と西側に分岐していますが、進むべきは西側の道。東側には駅がありますが、エンディング直前まで用のない場所ですのでスルーして可。行ったとしてもアイテムもないですし、特に重要な会話もありません。西側ルートを上へ進むと、軽快な音楽とともに大きな街「タテヤマーナ」へ。これがまたムダに広い!もっとコンパクトにできただろう、というぐらい、ウンザリするほど広いのです。そのくせ入れる場所は少ないし。ドラクエなんかの街がいかによく考えられて作られているか、本作をプレイするとわかると思いますよ。

とりあえず街の入り口付近にいる人に話しかけます。「うたいてぇー!ここはバージョンちがいで3まんきょくもあったんだぜ!あー、歌いてぇー」……なんのことかサッパリですが、よくよく周囲を見ると、地震の影響で休業中のカラオケ屋さんが。この地震という要素もストーリー的なネタフリではありますが、なぜカラオケ?そばにいるお姉ちゃんにも話を聞いてみましょう。「さいしんぎじゅつの、つうしんカラオケは、じしんにはつよいのよ!お店のオーナーのいえが じしんのひがいにあったらしいわ!」……だから?つまりこのカラオケ屋さんの機械は最新のものではないんでしょ?通信カラオケの話なんて、シナリオ上必要ありますか?ははあ、さてはこのカラオケ、ゲームが終盤にさしかかる頃には直されて最新のものになり、ストーリー上重要な役目を担いません。最後の最後まで、このカラオケ屋には入れません。こんなもの置いてるからマップがムダに広くなるんだっつーの!

そうそう、結論から言えばこの街にヘッケル博士はいます。しかし、いきなり訪ねて行っても会えません。博士の好物を手土産に持参しなければならないのです。ここで活きてくるのが母親の日記。「いさなやさんのおみやげが だいこうぶつだ」とのことでしたね。「いさなや」は街の入り口からそのまま西に歩けば突き当たりにあります。店内で店員に勧められるまま、「
いつもの」を購入しましょう。ちなみにこの「いつもの」、2つは買えませんので使ったりすることのないように。ゲームがクリアできなくなります。というかそんな重要アイテム、ロスト回避策ぐらい用意しておけよ!で、この「いつもの」を持っていさなやの裏手にある建物へ。中でヘッケル博士に会うことができました。夢若はこれまでのいきさつを話したようで、博士は突然自信満々に
「ミヤちゃんの・・・いや、母さんのことはしんぱいするな。いつかまたあえる!」と夢若を励まします。そうか、母さんはミヤっていう名前なのか〜、なんてことはどうでもよく、なぜ博士はここまで自信タップリに断言できるのでしょうか?さてはオマエ、何か知ってるな?!あらいざらい今ここで吐け!全部吐け!と詰め寄ることはできません。きっと感動的な再会があるんだろうな、と信じてゲームを進めるしかないのですが、二度と会えません。このウソつき博士!夢若を気の毒に思ったのか、博士は腕時計型の通信装置「リスコム」をくれます。あとは「つぼのなぞをとくんじゃ」と言われるだけで、特にどこに行ってなにをしろとも言われません。つまりこのボケ老人は用済み、さっさと研究所を出……というところで突然、手に入れたばかりのリスコムが鳴ります。通信相手は……洋介!なぜオマエは発明されたばかりなはずのリスコムに通信を送れる?んでもってなぜたった今リスコムを手に入れた夢若を特定できた?まあきっと、洋介も直前に博士からリスコムをもらっており、そして「夢若にもリスコムを渡したぞ」と博士から連絡が入ったのだと脳内補完しましょう。で、洋介がわざわざ連絡してきたのには理由がありまして、昨日夢若が釣り上げたつぼに関してなにかわかったことがある、と。だから「しろあとこうえん」まで来いと。とりあえず目的ができました。

これでまっすぐ城跡公園(勝手に漢字変換)に行ってもいいのですが、せっかくですからもうちょっとタテヤマーナを散策しましょうよ。つーか、それをしないとこのゲームをプレイする意味がありませんよ?建物に入るもよし、買い物もよし、そこらの人々に話しかけるもよし。ということで、話しかけたのはヌーヌー信者と思われる男。「ふあんのおおいよのなか、どうやってのりきるのですか?」大きなお世話だバーロー。そして、

これぞ伝説。

凄い勢いで心配なのですが。少なくともそんな誤字をするヤツに救われたくはないね。ゲームをプレイした人、ここまで読んだ人にはおわかりの通り、低年齢層を意識したのかこのゲーム、テキストが徹底的にヒラガナなんです。まあこれは正直、フォント製作においてヒラガナとカタカナだけで力尽きたんでしょうが、たまに漢字が入ったかと思ったら「しんぱい入りません」ですよ。まあ本作を語るうえで欠かせないネタですから、単なる誤字のレベルを超越して神話の域に達してるんですけど。
街には他に道場なんかもありまして、いきなり「修行をするか?」と問われるのですが、時間を浪費したくない人は間違っても「はい」とは答えないで下さい。おそらく瞬殺されるでしょう。当然ゲームオーバーになります。筆者も初回プレイでわけもわからずブチのめされたクチです。この段階で言ってしまうなら、エンディング直前でもパーティの状態によっては苦戦する相手です。ここで勝てるわけがありません。なのにスイッチも何も用意せず、ゲーム開始直後から戦えるようにしてあるあたりに、スタッフのイタズラ心を垣間見る思いです。つーかやっぱり素人制作のRPGツクールなノリなんだよな、このデタラメ加減。

忘れてはならないのは、マップ北にある銀行に立ち寄り、貸し金庫から「
ときのティアラ」を回収すること(忘れると時の洞窟以降に進めなくなります)。そこには母からのメモも添えられており、つーか最初から失踪する気マンマン、用意周到さに涙が出てきます。銀行の隣はコンビニです。コンビニと言いつつ武器や防具も売っているわけですが、けっこうな高値。ママ、金500まいごとき残してくれてもぜんぜん足りないよ……と嘆く夢若のために、おトクな裏技を授けましょう。コンビニの入り口右側に立っている男に話しかけると「おぅ!かねくれよ!」と言われますよね。ここで「はい」と答えると所持金の半分を没収されてしまうのですが、同じことを所持金1以下でやってみて下さい。すると、
なんと500まいもらえてしまうのです。しかも何度でも。これで買い物をして、所持金が尽きたらさらに繰り返せば、現時点での最強装備がいとも簡単に揃ってしまいます。コンビニだけでなく、質屋の売り物も見て下さいね。そっちの方が強力ですから。レビューなんだか攻略記事なんだかわからなくなってきたぞ。
やたらに強調される、独自の新システムたち
さて、最強装備が揃ったらいよいよ城跡公園に向かいましょう。ファミコン時代のハードなRPGを知らないお子様からは「公園っつったってノーヒントかよ」とか言われてしまいそうですが、しんぱい入りません!RPGで迷子はつきものですが、「里見の謎」に限ってそれはありません。それが、本作独自の新システム「P.M.L.S.」こと「プログレッシブ・マップ・リンク・システム」なのです。この小難しい名前のシステムを簡単に説明しますと、「タテにしか行けません」。あら、ホントに簡単。つまり、マップ画面の切り替わりは基本的に縦方向(上下)のみ。左への画面切り替えや右への切り替わりはなく、上か下にしか進めません。それだけ移動方向が限定され、迷子になりにくいという親切さ。これならカンタンですよね。どこかへ行く時にはひたすら上へ上へと進めば、あ〜ら不思議、迷うことなく目的地へ到着〜、ってなもんです。帰る時は下へ下へ。つーかこれ、システムなのか?早い話、従来のRPGから横への画面切り替えを取っ払っただけですよね?自分たちがラクした結果を大袈裟なシステムにしちゃう神経のズ太さ、見習いたい!

ということで、タテヤマーナを出たら上へ上へ……のはずが、一画面移動しただけでそこがどうやら城跡公園らしく、探すこともなくアッサリと洋介と合流。カンタンすぎねえ?で、洋介が言うには「つぼのナゾが、としょかんのコンピュータでわかるらしいんだ!」。それを聞いていたのか聞いていないのか、また電波を受信する夢若。心配する洋介に対して「つぼをひろってから、なんかヘンなんだ!」そして、

その程度か。

おまけかよ。洋介も「なんだかよくわかんないけど、オレもきょうりょくするよ!」……皆さんなら、友達の母親が失踪したなんてヘビーな話を聞かされたらどうリアクションしますか?筆者は「なんだかよくわからない」とは言わない自信がありますよ、ええ。まあ、それはいいや。ここで洋介が仲間になりました。さ、図書館はどこだ図書館は。左手にある建物は「資料館」で、入場は有料(15まい)。一応入っておきますか?すると、意味ありげなつぼが展示されています。これらを調べると「ときのティアラをもて」「男ひとり、女ひとり仲間を見つけよ」などという必須事項がサラリと示されます。有料であることから資料館に立ち寄らなかったプレイヤーはどうなるの?さらに「いち、みぎした」「に、ひだりうえ」「さん、みぎうえ」「よん、ひだりした」と、おそらくこの先で必要となるのであろうヒントが。

これ以上得られるものはなさそうなので図書館へ。図書館は資料館の東、噴水の前にある建物です。中に入ると、「コンピュータの利用には4ケタのパスワードが必要」と言われます。4ケタ?さっきの資料館のやつか?と思えば、近くにいるNPCが「ぼくのあんしょうばんごうは、なんばんだったけな?じぶんのたんじょうびをわすれちゃったよ!」とのたまってます。こりゃまたストレートなヒントだ。こんなにストレートなのにも関わらず、一部のレビューサイトでは「ノーヒント」「わかるかこんなの」と書かれているあたり、ゲーマーの知能指数は開発側の想定よりもずっと低かったみたいです。夢若の誕生日は自宅にあった母の日記で見たはずですね。問題は、なぜ夢若の誕生日がパス登録されているのかという点。これも母親が事前に仕組んだことなのか?なんだか母親の思惑に操られているだけの気がしてきたぞ。ちなみに図書館の本棚を調べるといくつかの書物が読めますが、締め括りがいずれも「……云々」となっています。ここまで徹底してヒラガナを使っておいて、なぜコレは漢字?子供が「うんぬん」なんて読めるわけないと思いますが。ヒラガナなみの画数の漢字だけはフォント作ったのでしょうか。

どうでもいい疑問はさておき、コンピュータルームは図書館の2階。右の方の床に数字の書かれたパネルがありますね?これを踏んで誕生日を入力します。夢若の誕生日はそのままだと3ケタなので、アタマにゼロを付けるのを忘れずに。ちなみに実はこの数字、このソフトの製品番号でもあります(SLPS 00613)。製品番号が主人公の誕生日という仕掛けはなかなか凝ってますね。暗証が夢若の誕生日であることに気付かなかった人に与えられた救済措置とも言えますが、そっちの方が高難度であり普通はわかるわけなさげ。というかもし製品番号が00633とかだったらどうするつもりだったのでしょう。さて、うまく番号を入力できたらコンピュータルームに入れます。先客がいますが、かまわずその隣のコンピュータを使いましょう。「はやりうたベスト5 1位、哀愁のミラービーチ 2位、あわびとりのうた 3位、雨の竹林 4位、ヌーヌーのうた 5位、さや姫のうた」……ヒントでも何でもないのできれいサッパリ記憶から消してかまいません。つか、何を調べてんだ夢若。この後も名所情報なんかを閲覧する夢若、やる気あるのか。すると、ようやく「つぼじょうほう」。「タテヤマーナで見つかるつぼは、水を入れることで文字が浮かび上がる」……それは資料館で聞いたけど、と思っていると、隣にいる女の子が突然カラんできました。
「わたしになんのあいさつもないで、タカタカタカタカ、キーボードたたいてんじゃないよっ!」って、この前時代的スケバン口調はなんとかなりませんか。なぜキサマに挨拶せにゃならんのだっていうか誰ですか?あっ、どうやらコイツがゲーム開始時に選択させられたイズミちゃんのようです。こんなイヤなヤツなら選ぶんじゃなかった……まあ、選ぼうと選ぶまいとここでこうして出会うことに変わりはないのですが。つーか、ゲーム開始時の説明では「一見おとなしそう」とのことでしたが、カケラも大人しそうじゃないんですけど。そして、こちらの何にムカついたのかわかりませんが、突然「ちょっと!かおかしてほしいんだけど!ノコギリ山のふもとでまってるわ!こないと、あんたがほしいデータはあきらめるんだね!」とまくしたてて立ち去ります。オマエに何ができるってんだ、もしかしてスーパーハッカー様?とにかく、次の目的ができました。ノコギリ山だそうです。それどこ?なんて言わないように。何のための「P.M.L.S」ですか。上へ上へと行けばいいんですよ!つーことで城跡公園から北へ向かいます。
先生!左右に分岐してます!話が違うじゃないですか?縦にしか進まないんじゃなかったの?まあ、立て札があるのでよしとしますかね。ノコギリ山は左だそうです。素直に左に進みます。すると……モンスターとエンカウントしました!忘れてた、これRPGでしたね。エンカウントしてから戦闘画面への切り替えは瞬時に行われ、おそらくプレステRPGの中でも最速ではないでしょうか。ノンストレスです。びっくりです。ROMカセットのファミコンかスーパーファミコンなみの速さです。

これぞ、「里見の謎」が誇る独自システム、「F.E.C.S.」こと「
フラッシュ・エンカウント・コントロール・システム」。パッケージの解説によれば「従来のCD-ROMの常識をくつがえす、マップからバトルへの瞬時の切り替え!」とのことですが、どうやってるんでしょうね?よっぽど優れたプログラムが……などと思ってはいけません。単に軽いだけです。何のことかよくわかりませんか?グラフィックデータもサウンドデータもイベントデータも軽いため、一度のロードでたくさんのデータが読み込めるわけですよ。つまり、マップを切り替えた際には、マップやキャラのグラフィックからサウンドから、はたまた戦闘で使用するデータもすべて読み込んで本体メモリーに蓄積してあるんですよ(その証拠にマップを切り替えない限り、プレステのフタを開けててもプレイできるのです)。そうすると、そのマップ内では驚異的な速さですべてのデータにアクセスできますから、バトルへの切り替えも一瞬で終わるってこと。特殊なことは何もしてないんですね。ただ単にデータ量が軽いので全部メモリーに入ってる、逆に言えばすべてのデータがショボいということの証明。これを例えばFFなみのグラフィックで実現できたら自慢していいんですけど、なにがフラッシュエンカウントですか。これもショボさを大袈裟なシステムに昇華してごまかしてるだけですな。速さはスーパーファミコンなみだけど、データもその程度ってことです。ま、おかげでゲームはサクサク進むので、「ゲームはグラフィックじゃない!」という人にはオススメのRPGと言えます。

さらに戦闘に関してはもうひとつ、「D.C.B.S.」こと「ダイレクト・コマンド・バトル・システム」なる独自システムが採用されております。また名前だけのシステムかよ、なんて言わないで!これについては次の項目で。
戦闘は単調ながらきちんとゲームになってはいる
「D.C.B.S.」こと「ダイレクト・コマンド・バトル・システム」は、出現したモンスターに対応したボタンを押すだけで、面倒な操作を省いた直感的な攻撃を可能とした画期的システム。まずは戦闘画面を見て下さい。

戦闘画面

各モンスターには出現と同時に「□・△・○」のコマンドが割り振られます。あとはコントローラーで、それと同じボタンを押せば即攻撃!いちいち攻撃対象を選択する必要がないんです。ただ、「どうやって攻撃するか」は、事前に決めておかなければいけません。×ボタンを押すことで、キャラごとに「武器攻撃・術攻撃・道具攻撃」を個別に切り替えられます。これさえ決めておけば、あとは対応したコマンドボタンを押すだけ。カンタンですね。ここでカンの良い人は気付くでしょうが、コマンドボタンが3つということは、本作で同時に出現する敵は最大で3体ということになります。

一方で回復については少々ヤッカイで、L1ボタンを押すことで回復メニューが現れます。ここで対象となる味方に対応したボタンを押せば回復できますが、何を使って回復するかは指定できません。一応L2ボタンで、回復について道具を優先して使うのか、もしくは術を優先して使うのかは決められますが、道具なら道具で「どの道具で回復するか」までは決められないのです。メニューに現れた道具を使うしかありません。その際に効果的な道具が現れてくれればいいのですが、たいていそうはなりません。瀕死状態なのにも関わらず、「ドラクエ」で言えば「やくそう」みたいなアイテムしか出ないことも。特に回復が重要になる終盤では困ります。所持アイテムを調整することでなんとかするしかありません。効果の低いアイテムは事前に売るか使い切るかしておくわけです。不親切です。しかもこの仕様が説明書に明記されていないのは、何かの罠でしょうか。

戦闘関連ではシステム名こそ付けられていませんが、まだ本作独自の要素が存在します。それは、いわゆる味方たちのパラメータについて。本作では一般的なRPGにありがちな「力」「体力」「魔力」「素早さ」などは存在せず、かわりに「心」「技」「体」の3つがあります。これらをどうやって伸ばすかというとこれもカンタンな話で、戦闘で武器攻撃をすれば「体」が、魔法(術)を使えば「心」が、道具を使えば「技」が成長していきます。こう聞くと、それぞれをまんべんなく伸ばすことを考えるRPGゲーマーは多いと思いますが、本作においてはそれはクリアの障害にしかなりません。だいたいパターンとしては男性キャラは「体=武器」、女性は「心=魔法」、犬(ラブリー)は「技=道具」を伸ばせば良いことになってます。特に技を成長させると戦闘のたびにアイテムを拾いまくるようになるので、回復アイテムについては不足することはなくなるでしょう。余剰分はどんどん売って資金にするのも良いですね。逆に技キャラがいないと常にアイテムと資金が不足することになります。なので、とりあえず夢若と洋介は手持ち武器、ラブリーは手裏剣(道具)で攻撃させて下さい。女性キャラが仲間になったら魔法だけ使わせます。MPが尽きることもありますが、その回復に必要なアイテムは犬が拾ってくれるので安心です。

そしてその成長に必要な手順ですが、戦闘終了後に敵を攻撃した数だけ経験値が得られ、一定数でレベルアップするというもの。武器で敵を5回叩いていれば、「体」に5ポイントです。心と技も同様です。しかし、これだとなかなかレベルアップせず、かなりの戦闘をこなさなければなりません。が、これについても裏技……というほどのことはないのですが、効率の良い方法があります。「D.C.B.S.」はモンスターごとに対応したボタンを押して攻撃するというものですが、その時に3つのボタン(□・△・○)を同時に押すとどうなるでしょう?答えは全体攻撃になります。敵が3体いれば一度の攻撃で3ポイントゲットです。攻撃力は単体攻撃に比べて落ちますが、全員が均等に手早く成長できる点は魅力。仮に誰かひとり成長が遅れたとしても、戦闘で他のメンバーを休ませて一人で全体攻撃を繰り返せば、あっという間に追いつけるでしょう。さらに、わざと弱い武器や道具、技を使うことで攻撃回数を増やし、経験値を荒稼ぎすることも可能です。

レベルも風変わりなものになっており、いわゆる「レベル1」といったものではなく、レベルごとに「なりわい」という称号のようなものが用意されています。さらに、心・技・体いずれかを突出させることでも系統が変化し、全部で4つのなりわいが存在しています。つまり、武器キャラと魔法キャラ、道具キャラでは同じレベルでも呼び名が違ってくるので、パーティ内のレベル格差がわかりにくいものになっているとも言えます。なりわいの名称も独特で、夢若とラブリーは最初は「ふつうびと」です。洋介は「てつだい」。つーかラブリー、「ふつうびと」ってオマエは犬だろ……。その状態から、戦闘で武器攻撃すると「体」が成長して「よわむし」になります。
つーか強くなった気がまったくしないのは気のせいでしょうか?まあ、これがだんだんと強そうな名前になるんだろう、と想像して戦闘を繰り返すのですが、「なりわいがにざこなったぞ」「なりわいがしたっぱに」「じゃくしゃに」……なめてんのか。いまだかつて、これほどレベルアップが嬉しくないゲームにお目にかかったことはありません。ちなみになりわい=レベルはMAXで25。「体」なら最高レベルの称号は「てんかいち」。オッス、オラわくわくすっぞ。いくらなんでもパクリ元がメジャーすぎやしませんかね?

この独特の戦闘と成長システムも、慣れてしまえば障害にはなりません。むしろ、他の要素が圧倒的に不出来な本作において、戦闘は唯一まともだと思えるほど、ちゃんとゲームになってはいます。惜しまれるのは、ここまで説明したようなことを理解してしまうと、以後は戦闘開始と同時に3つのボタンを連打するだけになってしまう単調さ。「この敵は弱いから後回し、コイツは強いから集中攻撃で、ソイツは魔法で……」というような、RPGにつきものの戦略性は皆無です。それこそがRPGの楽しさに直結する要素であるだけに、戦闘が単調なRPGってどうなのかな〜、と思うのです。ただ、テンポの良さとスピード感はアリなので、このシステムを上手に発展されることができれば、化けるかもしれませんね。

エンカウントの頻度は、立ち止まらない限りは常にフィールド音楽の同じフレーズで戦闘に突入するところを見ると、一定歩数で発生しているものと思われます。足場やエリアによるモンスターの出現頻度というような凝った設定はされていないように見えます。そもそもこのスタッフにそんなのムリなんでしょう。
攻略の参考にもなる?ここからストーリーをダイジェストで。
で、なんでしたっけ。そうそう、ノコギリ山でしたね。バトルを繰り返しながら上へ上へと進みます。途中でまた分岐がありますが、立て札によると左方面がノコギリ山、右は温泉とのこと。ここで温泉に行っても特に何も起こらないので、素直にノコギリ山へ向かいます。マップを1画面切り替えると……敵の強さがいきなりハネ上がりました!本作のスピーディなバトルでは敵もスピーディでガンガン攻撃してきます。タテヤマーナで装備を整えず、かつレベル上げもせずにノコギリ山へ直行してしまうと、文字通り瞬殺されかねません。マップを1画面進めるだけでこれですから、「もしかしてこのゲームはとんでもない難易度なのでは……」と錯覚し、ここでプレイを断念する人も少なくなかったとか。ノコギリ山で待つイズミのもとへ向かうのは、筆者の場合で夢若&洋介が「したっぱ」、ラブリーが「みならい」になるまで待ちました。一般的に言うところの「レベル3」ですね。装備が充実していればこれでイズミには勝てるでしょう。

さて、いよいよイズミのところへ。話しかけると「あんたちょっとなまいきなのよ!かくごしな!」って、それこそスケバンのような口調でもって問答無用で襲い掛かってきます。コイツ、何者なんだ?セーラー服着てるけど、学生じゃないの?男二人と犬を相手に堂々の戦いっぷり、かなりの強さです。イズミが世界を救えばいいんじゃないの?とにかくなんとかイズミを撃破。彼女の断末魔の声はそこらのモンスターのものと一緒でした。「キャー」ぐらい言わせたらどうなんだい、サウンド担当者。

イズミ「わたしがやられるとは!あんた・・・なまえは?」
夢若「ゆめわかだっ!」
イズミ「そう あんたがゆめわかかぁ!・・・」いつの間にか有名人になっている夢若。イズミ「タテヤマーナの人はみんなあなたにきたいしてるけど ほんとうにあなたは、いいつたえに出てくるえいゆうなの?」……いつの間にか期待され、伝説の英雄にされている夢若。それに対して当の本人は「・・・・・たぶんね!」っていつからそんなに自信過剰なヤツになったんだよ!「今は目の前のナゾをひとつひとつ解くだけ」と語る夢若に、イズミは「よくわからないけど・・・なんだかおもしろそうね!」。洋介同様、夢若の仲間になりたがるのは「よくわからない」が動機のヤツばっか。「わたしもなかまに入れて?・・・かわいくするからぁ!ね?」と色仕掛けをしてくるイズミですが、たぶんすべてのプレイヤーがオマエのことキラいだと思うぞ。ここで「はい/いいえ」の選択肢が出現しますが、「いいえ」を選んでも別の展開はなく、えんえんとループするだけ。限られた人生を無駄に費やすこともないでしょう、素直に仲間にしましょう。

イズミは仲間になるとさっそく「つぼのメッセージは
タテヤマーナ温泉の源泉じゃないと浮き上がらない」と教えてくれます。そういえばさっき、温泉方面への分岐がありましたね。ということで次なる目的地は温泉ですが、無駄な苦労をしたくない人はタテヤマーナに戻ってコンビニの男からお金をもらい、、イズミの装備も整えましょう。

温泉に着いたら金20まいを払って入場し、奥にあるというほら穴へ向かいます。なおこの温泉ですが、入り口は男女別でありながら中は混浴という素晴らしい、いや、夢のような、いやいや意味不明な構造になっています。スタッフの願望でしょうか?そんな目のやり場に困る温泉を通り抜け、「げんせん のほらあな」に到着しました。「のほらあな」って単語かと思っちゃいました。「げんせんの ほらあな」と書いた方が良かったと思いますよ?さて、ほら穴ではつぼのメッセージを読みます。「ゆめわかよ!いっこくもはやくときのどうくつへいけ!」っていうか偶然釣り竿(レーザー)に引っ掛かったツボのくせになんだ、偉そうだな。呼び捨てで命令口調かよ、気にいらねえ。「に・いち・よん・さん、のじゅんばんにしるしをふみ まんなかにたつのだ!」という意味深なヒントを得た夢若は「行かなくちゃ!」と俄然ヤル気に。なんかキャラ変わってない?しかし、どこに行けばいいのかは特に提示されず。まあ、あとここいらで行ってないのは、ノコギリ山とは逆方向の「
はまぢゃや」方面だけなのですが。ということでそこへ向かいます。

「はまぢゃや」自体には特に何もないのですが、必要なら買い物を。ここで本当に用事があるのは、はまぢゃやの西にある階段の先、ズバリ「
時の洞窟」です。つぼのメッセージでは「に・いち・よん・さん、のじゅんばんにしるしをふみ まんなかにたつ」とのことでした。これだけではどの印が何番なのかわかりませんね。実はここでは、資料館にあったつぼのメッセージを組み合わせる必要があります。「いち、みぎした」「に、ひだりうえ」「さん、みぎうえ」「よん、ひだりした」でしたね。
つまり、四隅にある印を「左上→右下→左下→右上」の順番に踏み、最後に中央の円形部分に触れればOK。驚愕の新展開がアナタを待ち受けます。……もういいって?まあまあ。
いきなりのタイムスリップ
時の洞窟で正しい手順を踏むと、突然舞台は過去の世界の、どこかの街。なぜ過去とわかるかと言うと、音楽がそれっぽいから。あとイズミが「ほんとうにタイムスリップしたの?」って言ってるから。つーかタイムスリップなんて前フリあったっけ?とにかくナゼか過去に来てしまったようです。街はこれまたムダにだだっ広いのですが、あらゆる建物に入れないばかりか、人に話しかけようとしても逃げられます。なんかヘンだな?と思いながら歩いていると、夢若たちは突然とっ捕まり、牢屋らしき所へぶち込まれてしまうのです。「なにをする!ここからだせ!おれはゆめわかだ!」って、オマエのことなど誰も知らんわボケ。何様のつもりだ。すると相手は「なにをいっているのだ!ゆめわかさまが、このヨにいるわけないだろう!」ありゃ、知ってる。そういや伝説の英雄なんだっけ。

一夜明けると、家老が会いたいと言っているからということで、牢から出される一行。ということはここは城?そして質問責めに遭う夢若たち。「この ときのティアラは どこで?」……大昔の人がサラリと横文字を使いやがるところがなんとも。さらに「そなたの母の名は?」と問われた夢若は「どうだっていいだろ!そんなこと!」と強気に突っぱねますが、「ミヤっていったよな!おまえのおふくろ」と洋介が余計なひとこと。意外に臆病者なのかも。そして「ミ・・・ミヤさま?し、して、そなたの名はなんと?」と訊かれた夢若、

突然、時代劇口調になる夢若。

なぜその口調?勘違いも甚だしい主人公に見えますが、あながちそれは勘違いでもなく、夢若の出生の秘密がここで語られます。まあゲームをプレイしてご確認下さい。ただ、盛り上がるような感動的なイベントはありません。衝撃の事実もサラッと流す、それが「里見の謎」です。演出力不足・技術不足とも言いますが。さて、ここで城を空けていた君主に代わって城を治めてきた「サヤひめ」に会ってくれ、と促されるままに会いに行きますが、
シカトかよ。会えっつーから来てやったのに。ま、いいです。ここで重要なのは千夜よりもその近くにいるオババ。彼女に話しかけると、味方が「じゅつ」を覚えます。つまり魔法ですね。さっそくイズミに装備させ、以後の戦闘ではイズミは「心」を伸ばすべく魔法を使わせていきましょう。術を覚えてから再度千夜に話しかけると、「大きな波がやってくる・・・つかれた、わらわはやすむ・・・」以後は何度話しかけても無反応。一生寝てろ!

次の目的は、
オキノシマで起きている幽霊騒ぎを解決すること。オキノシマってどこ?ってしつこいよ、上へ上へって言ったでしょ!いいかげんシステムに慣れなさい!ただし分岐してるので左の方ね。あ、オキノシマへ向かう前に城内の探索(宝箱回収)と、里見の城下町も一通り見て回りましょう。RPGの基本です。そうしたらお城の裏手から北側に抜け、例によって上へ上へと進むとオキノシマに到〜着。昔のFFを思わせる、隠し通路の先に隠された「取れそうで取れない宝箱」も、96年リリースの本作においては今さら感が漂いまくりです。すると、一軒の民家で寝たきりの剣士を発見!こいつこそが、城がオキノシマを救うべく夢若たちに先駆けて派遣したジュウベーその人でした。この役立たず!なんでも呪いをかけられているらしく、力になってくれそうもありません。放っといてとっとと話を進めましょ。
一生呪われてろ。
別の民家では、「よるになるまで いえでやすんでってください」と優しい言葉をかけてもらえます。ここで「はい」と答えて休ませてもらうとシナリオが進展しますので、村の探索がまだの人は注意。探索が済んでいたら迷わず寝て下さい。するとあっという間に夜になり、BGMが不穏なものに変化します。いかにも何かが起こりそうな……。さっそくおもてに出て再度探索、村の北部でいかにも怪しげな影を発見!海の神様へのお供え物に手を付けているようです。コイツが村を恐怖に陥れている幽霊なのか……。影は当然夢若たちに反応して逃げ出します、後を追いましょう。その先で……幽霊の隠れ家を発見!つーか、

近っ!

村の目と鼻の先じゃん。なんで今まで誰も気付かなかったの?オキノシマ住人、全員バカ説がここに立証されました。もうこんなバカども助けるのもイヤですが、乗りかかった船ですから付き合ってやりますか。洞窟に入って奥へと進みます。おっ、ザコ敵がけっこう強いっす。またもや隠れ通路の先に宝箱があったりも。最奥まで行くとさきほどの影が待ち受けています。パーティの強さは筆者の場合で「へいし・へいし・がくせい・にきゅう」という感じ。影は盗んだお供え物をウマそうにパクつきながら「まあ いっぱいやらんか?」と誘いかけてきます。「はい」→「おまえらにやる さけなどないわ!」……殺す。絶対に殺す。ここではどう答えても戦闘に突入します。ボス・よいどれせんにんとの戦いです。緊張感のカケラもない敵のデザインにいまさら呆れることもないですね。長期戦になると思いますが、うまいこと撃破できたらオキノシマへ戻りましょう。

村に戻るとすっかり明るく。これが「夜が明けた」ということなのか、脅威が去ったという演出なのか微妙に判別できないあたりも本作ならでは。呪いで寝たきりだったジュウベーはいなくなってます。結局なんだったんだ、アイツは。ま、とりあえず幽霊退治も済んだことですし、城に戻りますかな?と思っていると、突然「たいへんだーっ!つなみがやってくるぞー!」。驚異的なジェットコースタームービーぶり。今まさに救ったばかりの村が、今度は津波に襲われようとしています。洋介は「はやくにげないと つなみがきちまうぞ!」ともっともなことを言って危機感を煽りますが、対して夢若は「しかし、ジュウベーどのが・・・」ってなぜ「殿」付け?「夢若ともうす!」といいお城からこっち、急速に里見伝説の英雄としての自覚が芽生えつつあるようです(ただし口調だけ)。つーかオマエ、ジュウベーに何の義理が?モタモタしているうちに津波に飲み込まれる一行の様子が、スーファミ時代の「FF」以下のグラフィックで描かれ涙・涙(別の意味で)。しかも決して「ザバーン」みたいな気の利いた効果音なんて流れません。音楽すら変化しません。呑気な村の音楽のまま、焦燥感ゼロ。プレイヤーの感情の高まりはむしろマイナスに違いありません。かくして、救ったばかりのオキノシマ、壊滅。なんとまあ救い甲斐のない、というか、救いようのない展開なんでしょう。洋介を外すためだけに村ひとつ滅ぼす開発者、容赦ないです。

画面が暗転すると、水の引いたオキノシマ。夢若、イズミ、ラブリーは無傷です。人間じゃないと思います。しかし、洋介兄ぃだけは消息不明に!いちばんサーフィンとか上手そうに見える洋介兄ぃですが、実はバスケしかできないので水には弱かったのでしょうか。夢若は「しろにかえって たすけをよぼう!ここはもう だれもいないし!」とのたまいますが、誰もいないのに助けを呼んで何をするつもりなのでしょう。行方不明の洋介を探す気ですか?まあはっきり言って洋介自体に愛着はないのですが、パーティが3人になっちゃうのはキツいなあ……と思っていると、どこから湧いたのかジュウベーが現れ、問答無用で仲間入り。役に立たなさそうだなあオマエ。

不本意ながらもジュウベーをパーティに加えて里見城に戻ります。洋介の身を案じる家来はひとりだけ、あとのヤツらは「
ちょうのうりょく石」とか「3つのまきもの」とか次の話を始めやがります。どうやら次の目的は3つの巻物を集めることのよう。あれ?洋介は?というかもうちょっとネーミングなんとかならなかったのか、「ちょうのうりょくいし」。そしてイズミがパーティから離脱し、かわりに趣味:寝ること(推定)の千夜が同行することに。最初からなりわいが「エリート」だなんて、千夜ってヤな感じぃ〜。ということで、夢若とラブリーを残してずいぶんとパーティが様変わりしますが、方針はこれまでと同じでかまいません。ジュウベーは「体(武器)」、千夜は「心(術)」でいきましょう。ここでイズミに「ときのティアラ」を渡すかどうか選択を迫られますが、まあお好きなように。じゃあなイズミ、城のことは頼んだぞ。俺たちはもう行くからな。すると、

早くも一人称が「わらわ」に。

「わらわ」って、このアマもうすっかりその気ぃ〜。
冴えわたる電波、スカトロあり
次はハクハマナ城に向かえと言われ、城を後にする一行。ハクハマナってドコ?ってまだ言いますか。えー、一言で言うと城を出て右の上の方。わかりやすくていいですね!なにかありげなカゴ屋が見えたら、正しい道を進んでいると思っていいです。「かごにのんねぇか?」と問われたら胸を張って「はい」と答えましょう。すると通行手形を盗まれます。なにやってんだ夢若!っていうか、
シクシクシク。
泣いてる場合じゃないぞ、オイ。つか、こんなグラフィック用意するぐらいなら他にやるべきことが山ほどあったでしょうに。ということで、次の目的は巻物やら超能力石よりも、「通行手形を取り戻せ!」ってことになります。ぜんぜんドラマチックじゃない件については気にせず、カゴ屋を追いましょう。すぐ北に峠の関所があります。ここを越えないことにはハクハマナには行けないのですが、関所を通るには通行手形が不可欠。取り戻したければ、茶屋で「じぞうだんご」を買って下さい。いいから買いなさい。いさなやの「いつもの」のようなものです、買わないとゲームが進みません。この「じぞうだんご」を、茶屋の裏手にある地蔵に供えましょう。すると、さっきのカゴ屋の片割れがスルスルと降りてきて供えただんごをくすねます。このゲームの敵って供物泥棒ばっかりだな。コイツとは戦闘になります。ボスと言うほどでもないのですが、対「もりのぬし」戦は、こちらが「つわもの・つわもの・エリート・にきゅう」ぐらいであれば労せず勝利できるでしょう。

もりのぬしを撃破したら、地蔵の背後にあるロープから森のダンジョンに進入。もしかすると本作いち広大なダンジョンかもしれません。通行手形を持った敵のいる目的地までは、マップを左・上・右・下という具合にぐるーっと回り込むようにして進みます。するともう一人のカゴ屋=もりのぬしに出会えるはずです。「だんごやるから かえんな!」と言われますが、オキノシマの時と同様にどう返答しても戦闘になるあたり、本作の選択肢の99パーセントは意味がなさそうです。もりのぬしはやっぱりたいして強くないので、適当にあしらえば晴れて通行手形を奪還!とっとと関所を越えましょう。そして例のごとく上へ上へ進めば、そこはもうハクハマナです。

ハクハマナでもトラブルが起こっているようで、なにやらあたりが干上がって困っているとのこと。ああ、またこれを助けてやらなきゃならんのだろうな……と溜め息をつきながらお城へ向かうも、兵が通せんぼしていて通れません。なにかスイッチがあるのだな、と街を散策しながら人々と会話していきます。それから再度お城の入り口に行くと、「さとみのあかし」を取り出す夢若。何がスイッチになっていたのかわかりませんが、最初からそれ見せとけ!で、城内に入ります。「ゆめわかさまですね?おまちしておりました!」……入れてくれなかったくせに何を言う。「
ちのまきものをねらっているヌーのれんちゅうが、北の山のすいげんを止めているのでございます!」、ずいぶん頑張って漢字をお使いですな。ということで、おそらくここではそのヌーの連中を退治して地の巻物を入手することになりそうです。展開、先読みできすぎ。

すると突然、城内に一本の矢文(やぶみ)が打ち込まれます。どれどれ、「オイチーみず、のんでますかぁー?おたくのとのサマ、くち かたいでちゅねー・・・ヌーのウーより」……これを読んでどうしろと?つーかこの文章、本当に大人が考えたものなのか?ジュウベーいわく「ぬぬっ・・・なめておる!」とのことですが、ナメられているのは夢若たちではなくプレイヤーの方です、確実に。まあいいや、とにかく、既にヌー討伐に向かったハクハマナの殿様はヌーの手に落ちてしまっているようです。やっぱり助けなくちゃならないですよね?重い腰を上げて、また上へ上へと向かいます。すると干上がった沼(そうは見えないけれど)があり、一匹のカッパがおりました。頭の皿が乾いてしまっており困っている様子ですが、ラブリーのひと舐めで元気に!そんな程度の水分でいいならテメエのツバでも塗っときな!ていうか、まだ沼に水、残ってますよ?「ごおんは、いっしょうわすれません!さよなら!・・・・・おれいにこれを!さん きゅう!」……あのぉ三井一正さん、「さよなら」の位置がメチャクチャなのは狙いでしょうか?

カッパから「しお」をもらった夢若たちは再び上へ上へ。そのうち「幽霊の棲み家になっている石段」に到着。モンスターと戦闘を繰り返しながら道を進むと、立ち尽くす女の幽霊に出会います。「ぞうりがなくてあるけません。どうかわたしを、この石だんの上の おはか まで、つれていって 下さい」……面倒なのでいっぺんにツッコミますが、まず、幽霊っつーのは足がないもんじゃないのか?「ぞうりがなくて歩けない」ってどゆこと?それからテキスト!句読点にすんのか空白にすんのかどっちかにしろ!読みにくすぎ。もう一点、このゲーム全般的にそうなんですが、キャラクターグラフィックがテキストウインドウですっぽり隠れてしまうのはいかがなものか?普通、常識的なゲームなら主人公たちの姿がテキストとかぶらないよう、画面センターに持ってくるものなのですが。
足、あるの?
承諾しないとゲームが進まないので、女幽霊を連れて行くことに。しかし、歩けない幽霊をどうやって連れて行く?誰かがおぶってやるのか?と考えるまもなく、自力でついてくる幽霊。だったらひとりで行けるじゃん!しかもNPCとして戦闘に参加することもありません。まあ実害もないのですが、邪魔なだけのお荷物というか、システムの貧弱な本作ですから、表示キャラクターが一体増えることでどのような不具合が起こるか心配で心配で……。あ、貧弱だからこそ別に不具合も起こらないのか。ハハハ、こりゃ失敬!……さて、えっちらおっちら石段の最上階に到着しました。すると突然周囲が真っ暗になり(手抜きとも言う)、ここまで連れてきた女幽霊が何者かと会話しています。どうやら亡霊となった息子をなだめているようなのですが、その甲斐もなく亡霊息子との戦闘になります。もちろん女幽霊は参加しません。本当になにしにきたんだオマエは。戦いに勝つと、夢若はカッパにもらった「しお」を撒いてお祓いします。そのためだけのアイテムかよ!しかも自動的に入手して自動的に使ってるし、なくてもいいじゃんソレ。なんでカッパから手に入れるのかも意味不明だし。もちろん母幽霊と亡霊息子による見るも涙・語るも涙のイベントなんかまったくありません。何のために出てきたんだヤツらは。

周囲が明るさを取り戻すと、ここが山寺だということがわかります。宿もあるので必要に応じて休憩しましょう。亡霊との戦闘を挟んだのでひと仕事終えたかのように錯覚してしまいますが、現在の目的はヌーのウー討伐です。つまりここはまだ通過点に過ぎません。休憩を終えたら先に進みましょう。ちなみに筆者の場合、ここでのパーティは「エース・エース・しどうしゃ・こうにんし」の状態。山寺から北へ一画面切り替えると、あたりには身動きのとれない兵士たち。そして怪しげな祈りを捧げる一味、コイツらがヌーの連中か!「ヒデリー、ヒデリー、ヒデリー」「アメイラネー、アメイラネー」……もうちょっと考えろよ。でもって連中は生け贄として、ハクハマナの殿様を磔にしています!もちろん助けるわけですが、そのとたん雷鳴が轟き、禍々しいモンスターが出現……しません。やって来たのは一体の馬。「おんまちゃん でちゅ!・・・・・のりますか?」……このナメた口調、コイツがヌーのウーか!「はい」と答えると「そんないっぱい のれまちぇん!」。じゃあ訊くなよ。「いっぱいとは たくさん ということで、おっぱいでは なぁーい!ヒヒひーん」……死ね。ヌーのウーもそうだが、テキスト考えたヤツも。さらにウーは「おんまちゃんごっこ ちよーよ?」と訊いてきます。やめてくれ、これ以上俺の精神を掻き乱すな!うっしまった、反射的に「はい」と答えてしまった!すると「あとに ついておいで!」と歩き出す馬。しかし、突然立ち止まって身体をブルブルと震わせたかと思えば、「ウーちゃん ぽんぽんいたい!」と腹痛を訴えてきます。直後、

史上初、ホカホカの汚物と戦うRPG。

わああああこの馬ウ○コしたぁ〜!!!

なにやってんだよSCE、ちゃんとチェックしたのか!?最低、まさに最悪です!つまり、突然腹痛を訴えた馬が目の前でボトボトとウ○コを垂れ流し、そのウ○コがモンスターとなって襲ってきた!と、こういうことですかい。たぶんどこで「いいえ」と答えたところで、最終的にこの流れに行き着くんだろうな(正解です)。どうせやるなら、FFなみの超美麗ムービーで馬がボトボトとババたれるところを描いてほしかったところですが、そうしたら間違いなくこのゲームは日の目を見なかったことでしょう。まあ「すごくくさいばふん」はまったく強くないのでサクッと倒してあげるか、もしくは電源切ってソフトを押入れの奥深くに封印しましょう。売ったり捨てたりしてもいいですね。筆者は辛抱してプレイ続行。馬は正体を現し、まったく違う口調で「すなおに ちのまきものの ありかを いえばよいものを!」と急に悪玉っぽくなります。つーか在処なんかしらねーし、そもそもオマエは俺らに対して質問などしていないぞ。そんでもって戦闘となりますが、ウーもたいしたことないのでサラリと葬り去ってあげて下さい。

ウーを倒すとあたりに雨が降り始めます。ふう、これでハクハマナは救われたかな、とひと安心していると、殿様はウーを倒して入手した「かいふうのしょ」を持って、「
風水の滝」に行けと言います。そしてヌーによって仕掛けられた大岩を取り除くことで堰き止められていた滝が流れ、ハクハマナが潤うようになるのだとか。それじゃあこの雨はなに、関係ないの?まあいいか、石段の途中から西に分岐する道を進み、「風水の滝」に向かいましょう。滝で「かいふうのしょ」を使って大岩をどかすと、めでたく流れ始める滝。もちろん大掛かりなイベントやグラフィックなんかありませんし、堰き止められていた水が一斉に流れ出す「ドザバー」なんて効果音もないので、とっととハクハマナに戻れ

あれ?そういや「地の巻物」はどうなった?と思いませんか?そういえばイズミからの連絡で「
地の巻物はカッパ沼に」と教えられました。ハクハマナに戻る途中でカッパ沼を通ることになりますが、ここも夢若たちの活躍によって潤いを取り戻しています。沼のほとりに止まっている船が使えるようになっているので、それに乗ってマップ中央の大木へ行きましょう。中にはカッパの長老みたいなヤツがいて、「かつて里見の使いの方がこの大木のどこかに地の巻物を隠された」と語ります。なぜにカッパの棲み家に宝を隠そうと思ったんだ、里見の使い。とは言え12年ものあいだ、誰にも見つけることのできなかった巻物です、探し出すのはさぞや困難な……

こんなところに。

ありました。会話終了から5秒とかからず見つけてしまいました。というかなんでコレを、今まで誰も見つけられなかったのか不思議でしかたありませんが、制作スタッフはきっと「こりゃあ見つからないだろうな、ヒヒヒ。」とでも思っていたのでしょうか。ネットの攻略掲示板に「地の巻物が見つけられません」なんて書き込みが溢れることを夢見たのでしょうか。つーか制作スタッフはRPGをプレイしたことがないのではないでしょうか?どうでもいいですね、そんなこと。巻物も手に入れたしハクハマナに戻りましょう。ん?
技術力不足だろ、どうせ。
なんでこの船、一方通行なの?(答:スタッフにスキルがないから)
中盤以降も衰えることなく加速する悪ふざけ
ハクハマナに戻ったはいいものの、城には入れません。カッパ沼方面とは逆、西の方にも北へと抜ける道ができていますのでそこに向かいましょう。つまりハクハマナは、ここでは単なる通過点なのです。ゲーム的にはこの後、おそらくあと2つの巻物を手に入れて、それから終局に向かっていくことになると思われます。まだ読み続ける根気のある方はどうぞお付き合い下さい。ハクハマナを出てちょっと進むと、小さな村に辿り着くはずです。え、なんだこれ、
でかい井戸?
明らかにアヤシイ穴があります。直接どうこうできるものではなさそうなので、村人との会話を進めていきます。するとある一人が、夢若が持つ「さとみのあかし」に反応。実はここの村人、「里見の隠密飛行部隊」なんですって!はぁ〜こりゃ驚いた。で、どうやって飛ぶの?「はっしゃだいは この下にあります!」……発射台ってなに?ははぁん読めたぞ、あの穴から飛行機だかロケットだかがビューンと飛び出すんでしょ。SFアニメや特撮ロボットものも真っ青の一大イベントになりそうな予感がしますが、本作の貧相グラフィックでは何をやってもたかが知れてますね。まあ間違っても驚かされることはないでしょう。

勇ましい音楽とともに地下の発射台に向かいます。ここでジュウベーの装備品をひっぺがすことをオススメしときますよ。ええ、いなくなりますから。かわりに、以前カッパ沼で助けたカッパの「Q坊」がパーティに参加します。さて、発射台には大きな筒状のモノが。おお、ロケットですか!これに乗ってあの穴からスドーンと飛び出るわけですな。ロケットの横のハシゴを昇り、地上へ……あれ、乗らないの?と思う間もなく、自動的に穴の中へと飛び降りる夢若たち。その直後、

ドーン。

次々と打ち出されていく生身の仲間たち。え、人間発射台?む、無茶苦茶だ!空を飛び、スタスタスタとオリンピック選手も真っ青の着地をキメる一行。なんなんだオマエたちは。なんなんだこのゲームは。ファンタジーにも程があるだろう!くそ、驚いてしまったぜ。着地点周辺の情報はないものの、このゲームではとにかく上へ上へと進めばいいんでしたね。で、着いたところは港町センノクラ。ということはそろそろRPG定番の船旅ですかな?さらに、港町ということで「水の巻物」との関連性も気になるところです。

ここで、特に印象的だったセンノクラ町人のセリフを御紹介しましょう。「あんたは、およげるかい?オレぁ、トンカチなんでい!・・・・・じゃない、かなづち なんでい!」……つまんねえよ。一方で飯屋の女店員は、水の巻物欲しさに街へとやって来る人々への不満を露わにし、「まきもの まきものって!わたしたちを 目あてじゃないのが、シャクね!」……お嬢さん、「を」いらないですから。日本語の不自由な人ですね。つーかシナリオ担当者がだけどな。かと思うと船着場のそばにいる男は「ゆめわかさんは、ふねに のったことがありますか?ぼくは、ふなよいしてきもちよく なりました」……変態がいるぞ。てかオマエの性癖など聞いとらん。また別の人は「ゆめわかさんって、なかなかへこたれないですよね」って、お忍びの旅なのに面割れまくり。というかスタッフが「お忍びの旅」という設定を覚えてなさそうです。

本作でも珠玉のバカどもが巣食うセンノクラの街ですが、北の神社では市が開催中とのこと、さっそく行ってみましょう。掘り出し物があるかもしれません。いろいろなお店が出ていますね、ちょっと覗いて回ることにしました。えーと、なになに、「のりまき、だてまき、まきがい、うずまき、まきしんじ、ミズのまきもの」ってダジャレを売ってるのかオマエの店は。あ〜あ、やんなっちゃった(お約束)。そもそもその道具としての効果が気になるのですが、試しに買ってみる気にもならないのでスルー。あ、水の巻物はゲーム上は喉から手が出るほどほしいところですが、ここで売っているのは当然ニセモノです。ちなみに神社の敷地内にはタテヤマーナ同様の修行じじいがいますが、おそらくまだ勝てないでしょう。

センノクラ北西端には船が停泊していますが、乗ることはまだできません。北にある
カニヤマ城の殿様から許可をもらう必要があるのです。ということでセンノクラを出て北へ北へ。カニヤマ城についたらあちこち物色しましょう、けっこう宝箱がありますので。しかし「とのが おまちだよ〜ん!」って、もう制作陣も投げているとしか思えません。この段階で、もうマトモなゲームにするつもりは毛頭なくなってしまっていたのでは?それとも子供はこういうノリを喜ぶと思ったのでしょうか。だとしたら子供ナメすぎ。それはそれとして、城内の人々に話を聞いて回ると、殿様は最近ニセの巻物をさばいて商売しており、本物の「水の巻物」は性悪商人アオキンドの手に渡っているとか。で、アオキンドはヌーと繋がっていると。はい、またしても先の展開が読めてしまいました。こうなるとRPGなんて何も面白くないのですが、ここでやめるのもなんだか(別の意味で)作り手に負けた気がするので、意地でも続けてみせますとも。

殿様から許可をもらったら、センノクラに戻って船に乗ります。海をやみくもに動き回ると迷子になる可能性がありますが、基本的に海上においても「上へ上へ」の法則は生きています。北東方向に進むと岩が突き立つ浅瀬が見えてくるはずです。その先にはヌーのスーのアジトがあります。ここでは今まさに、アオキンドがスーに会っているところらしく、うまくいけば水の巻物を手に入れられそうです。「おまえたち、そのさきのどうくつには入るなよ!」と手下は言いますが、入るに決まってんだろうボケが。洞窟内部侵入時点での我がパーティは「せいきし・あらくれ・がくしゃ・べてらん」。ザコとの戦闘を繰り返して最深部に着くと、アオキンドがスーに水の巻物を差し出しているではありませんか!そこへ踏み込むと、スーたちはザコを差し向けてきます。それを撃退すると、千夜がアオキンドにさらわれてしまいました!しかし、夢若たちはそれ以上のピンチに陥ります。
やみくもに歩くわけにはいかない。
彼らは鉄格子の中に閉じ込められてしまうのですが、そこは一定歩数(20歩)歩くと大爆発、木っ端微塵になってしまうらしいのです!そういえば、アジト入り口の手下が「鉄格子を鉄のハンマーで壊した」とか言ってました。結論から言うと鉄格子内にいくつかある宝箱のうちどれかに鉄のハンマーがあるのですが、宝箱を経由して鉄のハンマーを入手、再び鉄格子に辿り着くという手順を20歩で済ませなければなりません。つまり、チャンスは一度だけ。緊張しますね!大爆発の際にはどんなドハデな演出があるのか気になりますが、本作のことですからたいしたことはないでしょう。確認する気も起こらないので一発で脱出。外にいる手下からスーとアオキンドがイサナジマの方に向かったという情報を得ました。イサナジマってどっち?バカだなあ、北にきまってるだろ。ということで船で向かいます。

と、いうことで北でアオキンド号を発見。接近すると、大砲を撃ってきました!近付くに近付けません。どうしようもないのでいったん南方に撤退……すると、突如白いクジラが現れます!クジラには見えませんがクジラです!そしてクジラの背中に一人の人間が。それは……

時代錯誤ここに極まる。

あっ、兄ぃ!洋介兄ぃ!江口洋介モドキという時点で時代遅れも甚だしいのに、さらに遡ってイルカならぬ「クジラに乗った少年」とはイカすぜ、兄ぃ!子供には絶対わからないぜ、そのネタ!しかも津波にさらわれて行方不明になったわりには、クジラの背に乗って海に潜っているのは平気なんだね、兄ぃ!「はなしは すすんでっかい?」と突然ストーリーテラーみたいなことを言い放つ洋介ですが、「ところで、・・・・・オレのイズミちゃんは?」っていつからキサマのモノに。と思うのと同時に、珍しく夢若がツッコミを入れます。「(いつから おまえの イズミちゃんなんだ?・・・)」。あのー、夢若さん?「おまえ」って一応洋介、年上だから。心の中では見下してるんですね。そりゃそうか、アナタ伝説の英雄だもんね。そういえば洋介も「イズミちゃん」って、オマエより2つ年上だから、彼女。

まあ洋介が出てきたところで、アオキンド号に近寄れない事態に変わりはないわけで。クジラと洋介が大活躍か?と一瞬期待しましたが、やっぱりというか何というか彼らにそんな力はありません。そこで、イズミと通信。「
せんすいぐが タテヤマーナにあったわね!」……潜って近付くことになるの?「わたしが、あなたたちを 里見によびよせるから、ゆめわか丸に のりこんで!」。しばらく見ない間に凄い能力を開発しましたな、イズミどの。つーかいつから船の名前が夢若丸になったんだっけ?ということでクジラとはここでお別れ。お別れなのに、なぜか仲間が増える時と同じファンファーレが。そしてイズミのひと声で夢若たちは一瞬に里見へワープ!エフェクトも何もなくワープ!ただの画面暗転でワープ!……ファミコン時代の「ドラクエ」だってもっと頑張ってたぞ。

里見に着いたら、
つぼ作り名人の家に行きましょう。以前は入れなかったこの家の地下に、「時を越える流れ」があります。そこからこれまた一瞬で、タテヤマーナの「時の洞窟」にワープ!すぐ近くの「はまぢゃや」に潜水具が売っていますのでこれを購入、再度「時の洞窟」から里見に戻ります。「はまぢゃや」ってこのためにあったのね。里見に戻ったら城にいるイズミに話しかければ、またまた一瞬で夢若丸へと戻してくれます。アオキンド号に近付くと、「海の水はニガテ」という理由でQ坊が一時離脱、3人パーティでアオキンド号の内部へ。この段階での筆者のパーティは「せいきし・もさ・あにきぶん」でした。船の最下部で隠し階段を見つけたら、その先にスーと千夜がいます。まずはスーに操られた千夜との闘いになりますが、ためらわずブチのめしてけっこう。カルト教団による洗脳まで盛り込むとは、やるね三井サン。続いてスーとの戦闘になります。船内を探索するうちに「もさ・けんごう・きようじん」になっていたので、苦戦はしませんでした。

スーを倒すと千夜が復帰、4人パーティとなります。「わらわは いきておるのか?」……すみません、ボコったのボクらです、とは言わない夢若。しかしボコボコにしたはずなのに気を失っただけとは、どこまで頑丈なんだこの女は。一人でもスーを倒せたのでは?しかし、スーのキャラがウーほどのインパクトのあるものではなく、ちょっと物足りなかったですね。はっ、もしかしてオレ、「里見電波」に汚染されてるっ?!軽くブルーになっていると、なんか船が沈みそうになってます。原因はわかりませんが、主を失った船は沈むものなのですね。とっとと脱出しましょう。船が沈む際の「どっ、しゃぁー・・・・!」というテキストがまったく意味不明でムカつきました
なめんな。
おいおい、効果音で処理すべきところをテキストで代用かい?どこまで手を抜くのですか。しかし!スーは滅んでいなかった!巨大なタコのような姿で再び襲い掛かってきます。RPGのボスっぽくなってきたじゃない?しかも足・本体と複数のターゲットが設定されてますよ。頑張りましたね!

スーを倒すと水の巻物を獲得。同時に洋介が「ゆめわか! はなしがあるんだ!イサナジマで まってる!」と言い残し、クジラとともにいなくなります。あれ…クジラとはさっき「お別れ」してなかった?とりあえず、ここでQ坊が復帰。洋介の話を聞くためにイサナジマへ行きましょう。もちろん北です、すぐに見えてきますよ。とりあえずイサナジマに上陸し、住人の話を聞いて回ると、あれあれ?なんか洋介兄ぃってば英雄扱いされてますよ。時代遅れの江口モドキも、昔の人々にとっては尊敬の対象ですか。ところで洋介本人はどこかな?いた!いました、一軒の家に。ババアといっしょです。すると突然彼は、

寝ボケてんじゃねえよロンゲ!

はあ?何が?ババアに惚れたか?と思うと、「おれは ここに のこることにした!おっと!何も いわないでくれ!」。何も言わねえよ。引き止めるつもりもないでーす。どうやら彼はイサナジマの人たちや海、クジラを大切に思うあまり、タテヤマーナを捨ててここに骨を埋める覚悟をしたようです。これが思い入れたっぷりの仲間キャラなら「そ、そんな!俺たちは仲間だろ?親友だろ?裏切るのかっ?!」なんていうドラマがありそうなものですが、筆者的に思い入れが皆無であるばかりか、夢若すら洋介のことは「オマエ」呼ばわりするほど見下していますので、んじゃバイバーイ、ってなもんです。ペッ、とツバを吐き捨てて立ち去りましょう。
クライマックスに向かって
さて、ここまで地の巻物と水の巻物を手に入れました。残るは「天の巻物」ということになるのでしょうが、具体的にどこへ行け、何をしろといったことは特に言われていません。しかし、困った時は北へ進め!が本作のルールですよね。夢若丸に乗り込み、海をさらに北へ進んでみましょう。小さな陸地がありました。そこに一人だけいるおばあさんが、突然語り始めるのです、「里見の宝を手に入れるにはヒハとウハが必要」と。つーか、ヒハってなに?ウハってなに?「ヒハはコノサキの国、ウハはソノサキの国に あるそうな」って、もう重要アイテム名も地名もまともに考える気力すら失っていたんですね、スタッフは。やめればよかったのに。ちゅうことでここからは「天の巻物」以前に、ヒハやらウハやら意味も効力もわからないナゾのアイテムを求めてさまようことになりそうです。ああ、イヤだなあ。とにかく再び船で北へ向かいます。すると小さな村、「ヒの村」に辿り着きました。おっ、「ヒの村」ということはヒハと関係がありそうな。つーかもうちょっとネタバレしにくい名前にすればいいものを。すると村人のひとりが「ヒの木のハ、ヒハは この村でしか とれない、たいせつなモノです」と教えてくれました。なるほどー、ヒの木の葉、略してヒハか。で、ヒの木ってなに?「火の木」?「日の木」?檜?

村の北部には畑らしきものがあります。普通ならここでヒハを手に入れられそうですが、見る限りでは葉っぱがありません。どうやら狩り入れは済んでしまったようです。狩り入れたヒハは村の行商人が外に売りに行くそうですが、その行商人がもう3日も帰っていないとか。事件の予感です!これを解決してヒハをゲット、となるのでしょうか?とにかくこの村でヒハを入手することはできなさそうなので、次の場所に進みましょう。とは言っても村に出口は見当たらないので、船に戻ってみます。すると、リスコムにボケ老人ヘッケル博士からの通信が入ります。

オレ、上戸彩キライ(ゲームと関係ないけど)。

おまえは上戸彩か。なんてツッコミも数年経ったら過去のものになることを期待。なんと、ヘッケル博士はタイムマシンを完成させてこの時代に来ているもよう。さらに、渡したいものがあるが、到着地点が少しズレた、山のふもとなんだが来られるか?みたいなことを言いやがります。大丈夫か、そのタイムマシン。とにかくまずヘッケル博士に会う必要があるようです。しかし、場所は「山のふもと」そして「コノサキにも高い山が見える」ぐらいのヒントしかありません。まあ北に進めばなんとかなるでしょう。あー、ラクだ。

上へ上へ進むと、案の定ひとつの村(火口の村)を発見。しかし、ヘッケル博士はいません。そのかわり人々から「むかしきた里見の オサムライさんたちも 山にむかったよ。
たけやぶのなかに 里見のおたからを かくしたってぇウワサだけどな」とか、「山のとちゅうの ウハのもりに なぞのぶぞくが すんでいる」とか、「ヒハ茶売りの行商人はこの先にはいない、ハクハマナか、センノクラか、ほかの街か」といった重要ヒントらしきものが得られます。ひとつひとつ片付けていきましょうか。まず、ヒハ茶売りはセンノクラの市にいます。千夜がルーラ、じゃなかった、ハイドウを覚えていたら一瞬で移動できますので、まずはセンノクラに移動し、市でヒハ茶を購入。おまけとしてヒハがもらえます。キーアイテムひとつゲットです。そうしたらもといた火口の村に戻ります。

火口の村からはさらに北へ進めますので、徒歩で上へ上へ。すると、明らかにこれまでとは雰囲気の異なる、原始時代の様相を呈した村(部族の村)に着きました。つーかこの村の名称、大丈夫か?凄く差別的な香りがするのですが……。最初に話しかけた村人からカタコトの日本語で「ウマソウナ カラダ シテイル!」とか言われちゃいましたが気にしない……。「ソノカラダ オレニモ サワラセロ!」などとのたまうセクハラ原始人……千夜に言ってんのか?すると、突然村人たちに囲まれてとっ捕まる夢若たち。そういえば火口の村で聞きました、森の中にいる謎の部族は人を食べてしまうと……ひえええ、食われる!しかし、奴らの興味はQ坊に向いていました。「ウマソウナ スッポン」とのことです。あ、どうぞどうぞ召し上がって下さいよそんなカッパでよければいくらでも。身の危険を察知したのかQ坊は突然、

流行ネタは腐るのも早い。

超死語じゃん食われて死ね。なお、「ちょべりば」を知らない若い人々に一応御説明しておきますと、「チョーベリーバッド」の略ですね。かつて女子高生を中心に、一般人からメディアまでが乱発した流行語です。現在では使う人もいなくなりました。そんなことはどうでもいいですね。……そこへ現れたのはヘッケル博士でした。原始人からなにやら神様扱いを受けて崇拝されているようです。そりゃあ、こんな低文化部族の村にいきなりタイムマシンで乗りつけたらそうなるでしょう。で、夢若たちは大事な兄弟だから食ってはいかん、と原始人たちを諭します。あーあ残念、史上初の食人RPGになりそこねました。

ヘッケル博士は、ここの村人たちが病気の時に食べる虫、
ウハムシというのが森に棲んでると語ります(ちなみに病気じゃないときはヒトを食ってます)。ようし、ヒハの次はウハをゲットです、北にあるウハの森に向かいましょう。ところが、森に一歩足を踏み入れたとたん、そうあっさりとはいかないことに気付きました。ここまでずっと「心」を伸ばしてきたサヤが、あまりに打たれ弱いのです。ザコ戦闘のたびに死んでしまいます。とにかくHPが低いのです。これはいかん……と、センノクラなどちょっと前の地点に戻って、サヤひとりを戦わせることでレベル稼ぎをしました。全体攻撃を繰り返していれば、みるみるなりわいが上がります。このゲームにおいてはひとつのレベルアップが大きな違いになるため、2〜3レベルアップするだけで受けるダメージが激減するのです。HPはあまり上がりませんでしたが、だいぶ打たれ強くなりました。これならなんとかなるだろう、ということでウハの森に戻ります。

森の奥にウハムシがいました!ウハムシとは戦闘となり、勝利すればウハを入手できます。筆者の場合で「ぶとうか・せいきし・エスパー・しゅにん」というパーティで勝てました。これより低くてもギリギリ倒せるとは思いますが、この先に訪れることになるエリアで出現するザコ相手に苦戦することになるでしょう。進む前に、ウハの森などでレベル上げをした方がよいかもしれません。さて、準備が良ければ先へ進みます。祭壇のようなものがあり、そこにヒハとウハを捧げることで「虹の道」がかかります。
さて、どこへ?
辿り着いた場所……言ってしまえばもうゲーム本筋は終盤です。出現するザコは前述の通りかなり強くなっています。心して進みましょう。そのうち、なにやらうすぼんやりと明滅を繰り返す竹を発見。
微妙すぎるよ。
調べてみると……なんと天の巻物入手!おいおい、これまで他の巻物はイベントや戦闘の後に苦労して手に入れてきたじゃんかよ。なのになにゆえ最後の巻物だけ、無造作に森の中に置かれているんですか?さらに、明滅させるならもっとハッキリやらないと、コレ見落とす人けっこういたんじゃないかなあ。一応、火口の村で前フリあったけどさあ。「ついに てんのまきものを 手にいれた!」とか言われても、この達成感のなさはナニ?というわけで天の巻物を拾得したら、さらに上へ進みましょう。一軒の山寺があります。中には大きな仏像が……。そして唐突に、3つの巻物は通信装置である、これらを合わせることで、今は亡き里見の殿様の記憶と繋がる、などと言われます。すると、里見の殿様=夢若の父との会話が発生。父と母の出会い、夢若の誕生、母の失踪、なぜ夢若がタテヤマーナにいたか……などなど、ゲーム序盤からの謎が明かされていきます。詳細はゲームをプレイした人にだけ知っていただくとして、まったく感動的でないことだけは言っておきます。

山寺からはさらに北へと進むことができます。マップを上へ上へ……そして最終ダンジョンへと辿り着きます。ちなみに最終ダンジョン突入時の筆者のパーティは「にんじゃ・にんじゃ・そうりょ・ぎし」でした。中はけっこう広いですが、マップは複雑ではありません。今までと違ってちょっとした謎解き要素もありますが、行き詰る程度のものではありません。ある地点まで行くと「
何かを掘り当てないと下へは進めない」と言われますが、
あちこち探索してひたすらこのような石を調べていればOKです。下へ降りられるようになったら北へ北へと進むと、ついに諸悪の根源・ヌーのヌーと対峙します。「動かすと世界が破滅する」らしい「時のカナメ石」の力を我が物にし、石の力を試そうと我々に襲い掛かってくるのです。さあ、ラスボス戦だ気合を入れて!

いちおうモザイクしてます。

……
その姿に気合を削がれました。教祖というものはいつの世も、どのような存在であっても醜くなければならないようです。パーティは「チャンプ・チャンプ・チャネラー・たくみ」。ここにきて千夜の打たれ弱さが再発したのか、1200あったHPがヌーの一撃でゼロになりました。ヤバい、勝てない?と思ったのも束の間、他のメンツはたいしたダメージを受けてません。そういや術なんてほとんど使わなかったし、回復はラブリーが拾ってくるアイテムが余りまくってたし、今になってみると「心」キャラは不要だったかな?女も「体」もしくは「技」にしたらずいぶん違ったんじゃないでしょうか。誰かやってみて。

ヌーを倒すと、ヘッケル博士が通信で「お前の役目は終わったな!タテヤマーナにも平和が訪れるだろう」と話しかけてきます。さらに父上が現れ、人々が耕した大地に種を撒け、と意味不明なことを言い残して消えます。父が残していった種を撒くと(自動)、
とたんに花が咲きました。成長はえーなー。するとそこに一匹のメスカッパが現れ、「ぽっ!・・・、かわいいで きゅっ!」と動物の本能を露わにするQ坊。そして……「は〜る〜かな〜銀河の〜時の〜なか〜」と突然流れ始める島紘子の歌。メスカッパとともに消えるQ坊。いよいよエンディングっぽくなってきました!千夜ともここで別れ、里見城に戻る夢若とラブリー。ありゃ?歌が終わっちゃいました。おかしいな、こんな中途半端に主題歌出しちゃって、最後をどう締め括るつもりなんだろう……。

里見城に戻ると、イズミもここに残ると言い出します。なんだよー、みんなして過去に留まるのかよー。「ときのティアラはわたしが持っててもいいの?」とイズミ。うんうん、もう必要ないし、キミとももう会わないだろうから餞別代りにとっときなさい。夢若はさらに、タテヤマーナに戻る前に洋介に会っておこうとイサナジマへ。用立て係からお金をもらいました。エンディングでいまさらお金もらってもなあ……。さらに、わざわざ来てやったのに洋介は不在。最後の最後まで気に入らねえヤツだったぜ、洋介。お前のことは一生忘れるよ。今すぐ忘れるよ。そして、夢若はひとり、感慨に耽るのです。

激しく同意。

本当にわからないですよね。こんなゲームを作ることになったあなたたちスタッフ、親が泣いてますよきっと。そしてこんなゲームをプレイするとは夢にも思わなかった筆者。「こんな下らないゲームをさせるために生んだんじゃない」っつって母親が泣いてますよ、今、筆者の背後で。いやあ、人の人生って本当にわからないなあ。さ、タテヤマーナに帰ろう。

現代に帰ると、いきなり自宅の前にいます。え、まさか……まさか母さんが……というところですが、真相はアナタの目で確かめて下さい。それにしても長いエンディングだな。他のRPGでも「自分で操作して各地を巡るエンディング」はありましたが、この期に及んでまだタテヤマーナの街にも自力で移動できちゃいます。街にいる人に話しかけると、「まちのにんげんは、ほとんどヌーヌーほんざんに いっちゃったよ!」……

え!?

ヌーヌーって……確かに倒したんですけど。というか、エンディングだなんてとんでもありません。ゲームはまだ終わっていない!じゃあさっき流れた歌は、エンディングテーマでなく挿入歌?くっそー、このゲームの演出で初めて予想外のことが起きた……。
本当のクライマックスに向かって
ということで、すっかり平和になったと思われたタテヤマーナには、他に通行人らしい人もいません。銀行やコンビニは利用可能で、道場での修業も可能です。今なら倒せると思いますので、チャレンジしてみましょう。倒したところで何がもらえるわけではありませんが。
博士を仲間にしてから戦うとラク。
もうひとつ忘れないようにしたいのが、ヘッケル博士です。おそらくこれからヌーヌー本山でヌーと戦うことになるでしょうが、夢若とラブリーだけでは不安です。博士もタテヤマーナに戻ってますので、研究室へ行って仲間にしましょう。というか、仲間にすることは必須です。していないと本山に行けないようになっています。というところで、ヌーヌー本山ってどこにあるの?もう「上へ上へ」というわけにはいきません。それで行けるところはすべて行って来たわけですから。まだ行ってない場所……そう!街の東にある駅です。ヘッケル博士の装備を整えて、さっそく駅に向かいます……が、電車に乗れません。大切なものを忘れてきた気がする、んだそうです。なんだろう?そもそもこのゲーム自体が大切なものを忘れまくってる気がするのですが、ここで言っているのはそういうことではないようです。あ、そうだ、切符がないんだよ。切符なんてどこにあるの?見たところ駅では売ってなさそうですし……。
なんでこんなところに。
タテヤマーナの交番の地下にいた男が持ってました。最後の最後でアイテム探しさせやがって、わかるかこんなの。どこかにヒントあったっけ?なければ理不尽すぎます。あったんならすいません、筆者が未熟でした。ってことで切符を手に入れたのであらためて駅へ。今度は電車に乗れましたよ。目的地に着いたらすぐにヌーと対峙。おや?
「時のカナメ石」持ってきちゃってるよ。動かしたら世界が破滅するんじゃなかったっけ?そんな前の設定は覚えていないようです、スタッフが。ということで、ヌーとの戦いは避けられない状況ですが、3人で勝てるのかしら……と思う間もなくイズミが参上。プレイヤーによっては千夜かもしれません。「ときのティアラ」を持たせている女性キャラクターがここに現れるという仕掛けのようです(ゲーム開始時の選択は関係ありません)。とにかくこれで4人パーティ!真の最終戦の火蓋が斬って落とされます!

ラスボス戦。

♪夜空の〜向こうに〜光る流星のかなた〜

背景には流星がきらめき、さらにこれまでと色合いの違うバトル音楽だなと思ったら歌!島紘子の歌!すげえすげえ、やるじゃんスタッフ。こんなスペシャルなラストバトルが用意されてるとは思わなかったよ。良いか悪いかは別にして。つか、これバトルが長引いて曲が終わっちゃったらどうすんだろ。また頭から流れるわけ?バトルの方もちょっと特殊で、ヌーはその立ち位置を頻繁に変えるんです。つまり、これまでのようにひとつのボタンを連打していればいいわけじゃなく、ヌーの位置に合わせて押すボタンを変えていかなければなりません。やればできるじゃん。これ、ザコ戦でも採り入れた方が良かったのでは。

ノリノリソングをバックに思いのほか目まぐるしいバトルを制したら、あとは感動(?)のエピローグを残すのみ。これは各自御自分の目で確かめていただきたいのですが、予想できる内容であるのは確かです。ちなみにここでもオープニング同様、島紘子のナレーションが聞けます。そしてスタッフロールが流れます。あ、ここは歌じゃないんだ。しかし、RPGにしてはスタッフ少ないな〜、と思うのは筆者だけでしょうか。そしてトドメに……

「里見の謎2」をお楽しみに!

続編作る気だったのかよ!
サウンドはそこそこ、でもそれなり
サンテックジャパンはもともと「サウンドテクノロジージャパン」なわけで、だからこそ商品パッケージで「物語を盛り上げる、極上の音質と音楽表現!」と自信タップリに記されている、本作のサウンドについても触れておかなければなりません。ゲーム中で流れる音楽というものは通常、開発側(制作、企画、イベント)から「こういった場面で使うためのこんな感じの音楽を○曲」みたいな形でコンポーザーに発注されます。コンポーザーの地位やキャリアがスタッフ内で高いところに位置する場合なら、自ら「このイベントにはこんな曲も必要だろう」といったアイディアを投じることもできるでしょうが、基本的には開発側からのオーダーに沿って音楽制作がなされます。そういう意味では、本作「里見の謎」の開発陣がきわめて基本的な音楽メニューしか用意していなかったことを、作品から感じ取ることができます。

本作での音楽はそれこそ本当にBGM(バックグラウンドミュージック=背景音楽)としての役目しか持たされておらず、シナリオやイベントに対してではなく、あくまでその場所、土地ごとに充てられているのが特徴です。現代の街、過去の街、エンカウントフィールド、ダンジョンといった場所ごとのBGMはひたすら垂れ流されており、そこでどのような内容のイベントが発生しようとも、音楽が切り替わることはほとんどありません。即ち、他のRPGでよくある「イベントを音楽が盛り上げる場面」というものがなく、プレイヤーの感情の盛り上がりに作用しないばかりか、時には邪魔をしていることすらあるのです。それこそ、ファミコン時代のきわめて初期のRPG並み、と言い切ることもできるでしょう。RPGではおなじみの、イベント用途を意識した「悲しい曲」「危機感を煽る曲」などもなく、とにかくイベントに対する音楽演出が徹底的に排除されています。記憶にあるもので、人間発射台に向かう際に勇ましいマーチ曲に変化する、そのぐらいではなかったでしょうか。

バトルに関しては、いわゆる中ボスと呼ばれる魔物との戦闘でも通常のザコ戦音楽が流れるかわりに、ヌー関連の特別なボスとの戦闘だけは専用の曲が用意されていました。で、それらの音楽のクオリティはというと、「求められたものを真面目に、忠実に作り上げた」という楽曲で、遊び心はないものの堅実です。古代の街では曲が流れたとたんに「過去だ」とわかるメロディと音色を使い、現代の街ではそれと対照的な楽曲を用意することで差別化を図っています。他の楽曲についても、開発からのオーダーをストレートに音にした感じで、ハズした曲はないものの、後々まで語り継がれるような突出した曲もありません。きわめて無難に仕上げられています。どうせならゲームに合わせた、伝説になるようなバカ音楽もほしかったところです。音色や技術的なことで言えば、プレイステーションだけに音のサンプリングレートは良好ですが、パート数は多くありません。スーファミ並みとまでは言いませんが、パートを重ねたブ厚い曲や凝った音作りなどは聴けませんでした。

このようにBGMについては全体的に印象は薄いものの無難にまとめられているわけですが、サウンドプログラムに難があるのか、もしくはチェックが甘いのか、ちょっとした画面切り替えやイベントの挿入で音楽がブツ切れになり、次の画面で同じ曲がまた頭からスタートされる、といったツメの甘さが多くみられるのが気になりました。本来ならそのまま音楽が続いていていいところであるにもかかわらず、です。大作RPGでもわりとよくあることですが、本作は特に多かった気がします。

音楽関連で唯一「ちょっと冒険してやろう」という思惑が感じられるのが、島紘子による歌唱曲でしょう。1回目のヌーとの戦闘後、そして2回目のヌーとの戦闘中に流れる2曲が用意されています。楽曲そのものはなんてことのない、シンセによる打ち込み中心の安上がりな曲なのですが、劇中で歌が流れるという演出は「FF」ですらまだやっていなかった時期であり、さらに「里見の謎」がこれをやってしまうということ自体がインパクト大。ユーザーからは酷評の多いこれらの歌ですが、筆者はこの冒険は歓迎したいところです。ただ単に島紘子を売り出してやろうというタイアップだったのかもしれませんが……。残念なのは、スーファミレベルのグラフィックに対してCD音質の音楽が流れてくることの、画と音の乖離感ですね。なお、この歌についてはソフトを通常のCDプレイヤーにかけることで聴くことが可能です。しかも、隠しメッセージとして島紘子の自己紹介コメント付き!こういうところに力を入れるぐらいなら本編でもっとやるべきことが以下略。

一方で効果音についてはまったく足りていない、という印象が正直なところです。基本的なカーソル操作音や戦闘での打撃音などはひと通り揃っていますが、イベント関連の効果音が手抜きという言葉では足りないほどに欠落しています。ひとつの村が津波に飲み込まれる音、大きな滝が今まさに流れ落ちんとする音、船が沈む音などなど……。本作のような、音楽によるイベント演出を排除した作品においては、効果音の重要度はさらに大きいものになってきますが、そちらもスカスカとあっては、もはやサウンド的には欠陥商品であると言わざるを得ません。他所のレビューでは圧倒的にシナリオやグラフィックの不出来が指摘されており、サウンド関係者は知らぬ顔をしていることと思われますが、当サイトでは「音もぜんぜんなってないよ」と言わせていただきます。

つまり本作のサウンド全般は、ゲーム全体の完成度の中で小さく収まっている、程度のものです。ゲーム本編がこれじゃあ音もこの程度だよね……ぐらいのレベルだ、ということです。うーん、「サウンドテクノロジージャパン」ねえ。社名に負けてるねえ。
総評してみます
ここまで、ゲーム独自の素敵なシステムや愉快なシナリオ、ストーリーの流れを駆け足で御紹介してきましたが、頭からケツまで奇妙奇天烈なゲームであることはじゅうぶんに伝わったことと思います。説明不足かつ珍妙きわまりなく、矛盾も多いシナリオに稚拙な技術、これらが組み合わさるとどんなに真面目にゲームを作ろうとしても、神の領域に達するバカゲーができあがるわけです。もっとも本作の開発陣が真面目に作ろうとしていなかったことはまず間違いありませんが。すべての発想に素人臭さを感じるんですよね。笑いのツボが内輪っぽいとか、雑談の中で生まれたネタを吟味もせず投じてしまったような。ひとつひとつは許容範囲だったとしても、すべて繋げて頭からプレイしてみたら想像以上にとんでもないことになった、と。こりゃマズイ、ってんで急遽「おすすめRPG」シールなんかを貼ったりしたんでしょうか。

しかし、逆に言えばそもそものコンセプトが例えば「世界一おバカなRPGを作ろうぜ!」ということだったなら、評価は真逆になります。我々はまんまとハメられた、今ふうに言うなら開発側にとって「釣れた釣れた」ってことになります(今ふうなのか?)。狙って、それこそ予定調和でこのゲームが出来上がったんなら、スタッフ全員神認定ですよ、本当に。「子供ってウンコってだけで笑うよな、だから敵はばふんにしよう」みたいな発想というのは、クリエイターとしてのその後の自分を考えた時にマイナスにしかならないものです。「おたくの代表作は?」「里見の謎です」なんて会社やクリエイター、どこも使いたがるわけがないからです。しかし、後先考えずにやり通し、後世まで語られる問題作を完成させたという意味では、評価に値します。なかなかできないですよ、コレは。我が身が可愛ければ可愛いほど、守りに入るもんですから。

いくつものRPGと呼ばれる作品をプレイしてきた人にとってはそれこそ「なんじゃこりゃ」な作品なのですが、RPGをやったことがない、これが初めてのRPGだというユーザーにとってはボリュームもそこそこ、システムもカンタン、進行はサクサクで親切な仕様と言えます。ただし、この独特のノリが許容できれば、という条件付きですが……。RPGに慣れた人であれば難解な謎解きや複雑なマップもなく、筆者の場合で言えば10時間ほどでクリアできました。不慣れな人でも20時間もあれば解けるのではないでしょうか?「RPGってこういうゲームなんだ、ふーん」と思ってもらうには、入門用として適度なボリュームでしょう。さらに、これでRPGというものに興味を持った人が他の作品をプレイした際に、それがどんなものであれ素晴らしく見えてくるという効能まで。つまり、本作は他のRPGタイトルにとって「縁の下の力持ち」。我が身を犠牲とすることで、RPGというジャンル全体の底上げに貢献しているのです。だって、コレと比較したらどんなもんでも良く見えるでしょ?もっともコレで「RPGってつまらないんだな」と見限られてしまう危険も孕んでいるのが問題ではありますけど。



という感じで、褒めてるのかけなしてるのかわからないまとめ方をしていますが、最後に触れておきましょう。「なぜこのような作品ができたか」という「里見の謎」最大の謎に……。これについてはひとつの可能性があります。それは、本作は本当にド素人が作ったのかもしれない、さらには「小澤さんの暴走」であるということ。とは言っても夢生サンではありません。エンディングのスタッフロールにはスペシャルサンクスとして「沖縄タレントアカデミー」「沖縄マルチメディア学院」の名前が記されていますが、同じくエンドロールにある「小澤公平」さんという人は、沖縄タレントアカデミーの校長です。で、ここに島紘子が在籍していたわけです(今ではすっかりメジャーな仲間由起恵ちゃんもここ出身)。即ち、ボイスやら歌唱やらで島紘子がやたらとフィーチャーされているのは、やっぱりというか完全なタイアップ(無理強いとも言う)で、これをキッカケにしてパワープッシュ、ひいてはメジャーへという目論みであることは確実です。もっとも島紘子本人にとってはこの作品に巻き込まれたことは不運だったとしか言えませんがね……。もしも仲間由起恵が巻き込まれていたら、今頃「TRICK」のヒロインは島紘子だったかもしれませんし、CMにも出まくっていたかもしれないわけです。

さらに、小澤公平氏は少なくとも当時は、沖縄マルチメディア学院の校長も兼ねていました。こう聞くとすぐに思い浮かぶのは、このゲームそこの生徒に作らせたんじゃねーの?という疑い。もしくは卒業制作か?それがわりと出来が良かった(ように思えた)から、商品にしちゃったとか?そう考えると、作品全体に漂う素人臭さもスキルの低さも説明がつきます。そんな憶測はいくらでも考えられるのですが、しかしいくら学校の校長とは言え、そう簡単にゲームを商品にできるか?という問題もあります。ここで登場するのが小澤夢生氏です。サンテックジャパンの社長だった(らしい)夢生氏は、公平氏の弟。つまり、公平氏は弟の夢生氏に働きかけ……もしくは逆か?どっちにしろ、小澤兄弟のどちらかがが言いだしっぺであることは間違いなさそうです。

「夢生、ウチの学生を使ってゲーム作ってみんか。主題歌もウチの生徒でな」
「兄さん、ゲームを作りたいんだけど人手が足りないんだ。なので学生を貸してよ」

どっちでもいいやね。

また、マネージメント担当の「オザワマユミ」さんも、間違いなくどちらかの小澤サンの関係者でしょう。姉か妹か、嫁サンか。つまり本作はオザワさんたちがいろいろなコネを使って自らの思惑を叶えようとして失敗した、悲劇のゲームなのだということです。後にサンテックジャパンは、PSでやはりクソゲー史に名を残す超マイナーゲー「10101 "WILL" The Starship」をリリース。この作品でボイスに飯島愛を起用したことからエロに目覚めたのか、エロゲーブランド「K'night」を立ち上げてそこそこのヒットを飛ばすも、2004年に倒産してしまったようです。彼らが現在、どこでどうしておられるのか非常に心配です。


 
どんな人に向いたゲームなのか?
このゲームをプレイすべき人
・お手軽なRPGでとにかくクリア本数だけを増やしたい人
・複雑化する一方の大作RPGに疲れた人
・ローディングを気にせず、ストレスのない快適なプレイがしたい人
・RPGをプレイする時にはいつもセリフを飛ばしちゃう人
・漢字が苦手な人
・不出来なRPGというものをいっぺん見てみたい人
・ばふんが好きな人

このゲームをプレイすべきではない人
・大作と呼ばれるRPGが3度のメシより好きな人
・豪華絢爛なグラフィックやムービーに期待を寄せる人
・重厚なストーリーをガッツリと楽しみたい人
・高尚な小説なんかを読むのも好きな人
・世の中で「クソゲー」と呼ばれるものは見るのもイヤだ、という人


「里見の謎」はこんなゲームですから、販売本数も多くはありませんでした。当然のことながら現在新品を発掘することはかなり困難ですが、中古ですらその希少価値から、ところによっては凄い価格が付いていることがあります。amazonではほぼ5000円前後をキープ。オークションでも高騰気味です。中古ショップにおいても、価値がわかるお店では同様の価格が付けられていることが多いです。まれに知識のないショップが「こんなゲーム知らねーなー」と数百円で投げ売っていることもありますので、見かけたらゲットして下さい。ネタにはなります